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ホテルに着いた。
古泉純三郎らはチェックインを済まし、12階建てのホテルの10階の部屋に案内された。見渡しがいい。ゆとりがあって高級ベッドが4つ用意されており、豪華なシャンデリアが付いていた。床には赤いカーペットが敷いてあった。
「さあ今度こそ全て話して貰いますよ古泉さん。」
阿宗が眉間に皺を寄せた恐い表情で古泉を問い詰める。
古泉は自分で話したくなかった。自分の失態を自分で話すのが恥ずかしくもあった。
「い・・・いや、その・・・そうだ!ニュースで見れば全て分かりますよ!」
古泉は咄嗟に思いついた案を出した。顔色は優れない。
「なるほど、自分の口からは言いたくないんですね?」
副田がそう言うと傍のテーブルに手を伸ばしリモコンの電源ボタンを押した。
テレビが映った。ちょうどニュース番組が始まった所だった。古泉は顔を真っ青にしながら伏せる。
「今日午前9時、国会が謎の集団に襲撃され、森元首相、警護兵約1000人、橋上元首相が殺害されました。では、破壊された国会に中継が繋がってます。中野アナ、お願いします。」
「はい。こちら国会跡です。国会は隕石の様な岩が落ちて焼失されたものと思われます。謎の小隊は午前9時過ぎ、森元総理と国会内外の警護兵100人を撃ち、増援に来た橋上元総理と政府軍2000と小隊の増援4000が戦い、小隊と増援が政府軍900を討ち、200に重症を負わせたとの事です。又、橋上氏も死去したとの事ですが遺体が未だに見つかりません。尚、事件前危険を察した古泉元総理は逃亡したものと思われます。」

ニュースを見た阿宗は手をブルブルと振るわせ古泉に怒りをぶつけた。
「古泉さん。これは本当の事なんですね?」
眉間に皺を寄せ、顔を硬直させている。
「は、はい。すいませんでした。」
古泉は必死で頭を下げて謝る。
「すいませんで済む事か!貴方がちゃんと冷静に指揮してればこれほど犠牲を出さずに済んだ筈だ!お陰で我が政府は大きな損害を負ったよ!それ相応の処分を健闘せねばなるまいな!」
阿宗はそう言って部屋を出ていってしまった。
副田や阿倍も恐い目つきで古泉を睨み付ける。
「古泉さん。クビも考えた方がいいですよ。貴方がこんな無能だったとはね。」
そう言って二人も出ていってしまった。
「・・・・・・・・・。」
古泉は泣いている。郵政民営化、ポスト古泉・・・。首相時代の栄光など一欠片もなかった。クビの危機に立たされた古泉。
(何とかして汚名を返上したい。だがどうすれば・・・・。)
古泉はベッドに寝転がり、嫌なニュースを付けっぱなしのテレビで見た。

次の朝
チェックアウトを済ませた一行はとりあえず東京の最高裁判所に行く事になった。
「申し訳ございませんでした。この度の失敗を私に挽回させるチャンスを与えて下さいませんか?」
古泉が下手に出た。
「まあ何かの形で考えておきましょう。しかし古泉さん、次はありませんよ?」
普段は温厚な阿倍内蔵だが今度の事については流石に怒っていた。
「は、しかと心得ました。」
慇懃に頭を下げるその姿はかつての首相の威厳など微塵もなかった。
「お車の用意がしてあります。どうぞあちらへ。」
阿宗直属の官僚の案内で一行は駐車場へと向かった。
「しかし一度済んだ事をウジウジ言っていても仕方ありません。次にどうすればを考えないと・・・。」
眼鏡を掛けても知的な感じが出ない副田が言った。
「そうですな。小隊に呼応してあちこちでヲタクが反乱を起こすかもしれません。我々政府軍はどう対処すべきか。裁判所に着いたら早速軍議を行いましょう。」
阿宗が答えた。正直、自分はヲタクを舐めすぎていた。たかがヲタク。日本の恥など弾圧して一気に根絶やしにしてしまえばいいとの考えがこうも破れ去るとは予想していなかった。



物語はここで終わっている・・・

最終更新:2015年10月07日 23:57