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小銭のマケドニア軍がガルガイド軍の追撃を受けながら国門前までの撤退を完了した。
「国門は目の前だ!一気に敵を蹴散らして王都に雪崩れ込む!」
エリスを先頭に勢いに乗るガルガイド軍が国門に迫る。
「馬鹿が。罠だとも知らずにノコノコと追って来たな。」
小銭の馬車に乗りながら李信が右手を挙げて合図を送ると、国門の左右に切り立った崖から無数の巨大な岩石がガルガイド軍に降り注いだ。
「これは…!しまった!図られた!」
先頭に居たエリスが青ざめる。自分は敵の術中に嵌っていたのだと気づくが、全ては遅過ぎた。
優勢だと思っていた戦況が一変、そこは共に労苦や喜びを分かち合ってきた騎士や兵達が断末魔を上げながら岩石に押し潰され、血の川を流しながら肉塊に変わっていく地獄絵図と化した。
「ひ、怯むな!このまま突撃し敵を突破し王都に攻め入る!続け!」
残った兵で突破を試みるも、目の前には驚きの光景が広がっていた。
予め地面に埋めてあった馬防柵が、グリーン軍により紐を引かれて立ち並び、何処から手に入れたのか、馬防柵からはグリーン兵達がつがえた火矢が顔を覗かせていた。
更に、左右の崖からは樽が大量に投げ入れられ、ガルガイドの将兵達に命中し、破裂して油がぶち撒けられる。
エリスは体の震えを抑えられなくなる。これから起こる更なる地獄が脳裏に浮かび、彼女を金縛りにした。声が、出ない。
第二軍、第三軍は岩石によりこの場で最も兵力の多い第四軍や遥か後方の第五軍と国王の本軍、更に戦の最中に後詰めとして参陣した第六軍とも完全に分断されている。つまり、助けは来ない。
「やれ!」
李信の命令で正面と左右の軍が一斉に大量の火矢をガルガイド軍に放った。火矢は着火し、爆炎となって天高くキノコ雲のように舞い上がる。ガルガイド軍の断末魔が戦場に木霊した。
マケドニアとグリーンの軍の前に、夥しい数の焼死体と圧死体が転がる。
「こ、こんな…ことが…!」
声を震わせて呆然とするエリス。彼女は軍の先頭に居た為辛うじて圧死も焼死も免れたが、自らを守る100人ばかりを除いてガルガイド軍の第二軍と第三軍は全滅した。エイジスは水素と戦闘に入っている為、これを救うことは出来なかった。
「奴が第二軍の大将だ!討ち取れ!」
李信の号令で正面のグリーン軍が槍を持って一斉に襲い掛かった。
「お前らも行け!やっちまえ!」
小銭の命令を受けたマケドニア軍も残り僅か100人余りの第二軍に向かっていく。
総勢4万の兵が、エリス達を囲み迫る。
「クッ!こうなればいっそ華々しく散るまでよ!皆、一人でも多くの敵を討ち取り、国王陛下への忠義とするのよ!」
死を悟った100人の精鋭が、最後の戦いに挑もうとしていた。
最終更新:2022年09月04日 16:01