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翌日午後、かっしーとグリーンの連合軍は軍議で決した予定戦場であるクワッタに到着した。

「何で不細工論とか語るようなFラン低学歴の作戦を大事な戦いで使わなきゃならないんだ。」と布陣を終えてからも愚痴を言っていたのは一隊を率いるかっしー派の重鎮・平行四辺形だった。

「しかもあいつ肩書きはグリーン王国の騎士団所属ってだけらしいじゃないか!下っ端の癖に軍議に首突っ込んであれこれ好き勝手言いやがって!かっしー様にもタメ口だし何様のつもりだ!」

平行が愚痴を溢すのも無理は無い。平行の言うそのFラン低学歴が今回全ての作戦を決めたからである。その張本人はアティーク将軍の本陣に居た。

「では、頼んだぞ。」

アティーク将軍が床几に腰かけてながら李信に言葉をかける。

「いきなり一隊の将とは大抜擢だな。」

李信も床几に足を組みながら腰を下ろしている。

「お前のようなバカでも使わなきゃならん。我が国は人材不足なんだ。」

「バカって単語は引っかかるが、この世界は優しいな。」

「優しい?」

「現実世界では人手不足とかのたまっておいて人材を選り好みして応募しても雇わない企業ばかりだからな。人手不足だから素直にバカでも拾ってくれるグリーン王国に感謝だ。」

李信が生前、散々な思いをさせられた経験を苦々しい表情を浮かべながら思い出す。

「就活の辛さは分かるぞ。自分を落とした企業の採用ページとか見るとまだ募集してたりするんだよな。現実世界の愚痴話に花を咲かせるのも悪くないがそれは後でゆっくりしよう。そろそろ…」

「ああ、持ち場につく。互いに生き残れるといいな。じゃ。」

李信はアティーク将軍の本陣を後にした。

李信は3500の部隊を率いてエイジス率いる2500の部隊の前方に布陣した。エイジス隊の右には平行四辺形率いる2000が布陣する。これが左軍である。

中央軍は後方にアティークの5000、かっしーの本軍3500、その前方に3000、リキッドの2000、他に2部隊ありそれぞれ3000ずつ。 右軍は2000の部隊が3つと1500の部隊が一つで魚鱗の陣を敷いている。

軍議で決した通り、かっしーとアティーク将軍は全軍に土木工事を命じた。堀と土塁を巡らし、馬防柵を立てて防御陣地を築き敵軍との戦いに備えるのである。

サバ派との決戦が後に2日というところまで狭っていた。

各将が布陣を終えて土木工事をしている最中、こちらに後方から向かってくる軍があった。ガルガイド王国領クワータリアを中心に、王国領三郡の領主達5000の兵を束ねたまさっちである。

まさっちはサバ派だったが、クワータリアからサバが逃げたと聞いてかっしーからの使者に会い、内応を約束していた。まさっちはサバ派に気づかれないように連合軍35000が布陣するクワッタの南方にあるクワーダン山を迂回して、戦場全体を見渡せる位置にあるクワユキ山に布陣した。サバ派には「クワータリアが落とされるのが早過ぎて間に合わなかった。これから5000の兵を率いてかっしー軍を牽制する。」と使者を通じて伝えている。

「この山、絶景だね^^何て山なの?^^」

布陣を終えたまさっちが土木工事を行う連合軍を見下ろしながら側近に尋ねる。

「はい、この山はクワユキ山と申します。」

側近は短く答える。

「クワユキ山?^^クワタ山の方が語呂がいいと思わない?^^」

「いえ、私はクワユキ山の方が趣があると思いますが…」

まさっちの質問に側近が汗を浮かべながら答える。

「それって君の主観だよね^^」

「え、いやそれは…」

「はい論破^^」

何とも疲れる男である。

李信は内応したまさっち軍5000を戦場の東にあるクワユキ山に布陣するよう書状で指示(かっしーの名において)し、まさっちには「かっしー派とグリーンの連合軍がクワッタに布陣した為にそれを牽制する為にクワユキ山に陣取る。」とサバ派に伝えさせた。

まさっちを見捨てればサバの求心力は更に下がる。クワータリアでの敗北で既に1000以上の損害を出したサバとしては、まさっちの力は今後の統治の為にも必要なのである。

李信はそれを利用した。これでクワッタにランドラとサバの連合軍を引きずり出すことが出来るのである。

土木工事は1日かけて行われた。斥候の報告によれば、サバとランドラの軍はクワッタから15km離れたタカユキ平原を進軍中とのことである。

「いよいよ明日、決戦だな。」

李信の陣所にはエイジスが尋ねてきていた。

「勝てばサバをランドラに追いやることが出来る。この国はかっしーの物になる。だが…。」

李信が言いかけて暫く溜める。

「ただ、何だ?」

エイジスが口を噤んだ李信の態度に疑問を持つ。

「このままかっしーの世が続くとは思えない。」

はっきりと答えた。

「サバよりマシとは言え、かっしーに王としての器量は無い。この国はまた荒れるな。」

「…。」

李信のセリフにエイジスは黙り込む。

「氷河期さんも身の振り方を考えた方がいいぞ。このままこの国に居ても未来は無い。」

「俺は騎士だ。一度仕えると決めた国をそう簡単に捨てるわけにはいかない。」

エイジスがきっぱりと断った。

「忠告はしたからな。この国が嫌になったらいつでもグリーン王国に来るといい。俺がぐり~んに口利きしよう。」

「気持ちだけ受け取っておくよ。さて、明日は決戦だ。俺は戻って休む。武運を祈る。」

エイジスは立ち上がってその場を後にした。

「俺も寝るか。」

決戦前夜は静かに更けていった。

最終更新:2022年09月04日 16:33