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風に諭された星屑の選択は、どちらも殺すことだった。それが最も、星屑が選び取った最善の選択肢だった。ゲームの状況を考えれば、ペアを殺すことは不利になるが、むったのような存在を許すことも出来なかった。たとえ互いを殺し合うゲームだとしても、そこに快楽や悦楽だけで相手を殺す人物は必要ない……。
風も死にたかったというわけではないだろう。ただ、いま自分に出来ることを、自分の考えるままに遂行した。それが結果的に死に繋がっただけだ。嬉しいに違いない。でなければ、あんな満足そうな笑みなど……。
厨二病じみた……それでも、その感覚に共感を覚えてしまう星屑もまた、ここで生きることよりも、自分が出来ることをしていこうという意思を見いだしていた。
「終わりましたか?」
「あっ……」
「警戒しないでも大丈夫です、別にかみついたりしませんから」
部屋の入り口から姿を見せるココ。風に促されて窓から飛び出したようだが、そのまま逃げ出すことはなかったようだ。
「風のペアだったっけ?」
「そうですね、どうやら、死んでしまったみたいですが」
言いながら、ココは風の身体へと近づいて、風の手を、身体の上で組ませた。その行動とは裏腹に、表情にも、言葉にも悲しそうな様子は見られない。
「風のこと、どうでもよかったのか?」
「いいえ。……なんとなく……慣れてしまっているのかもしれません。何度も、何度も、同じような光景を見たような……そんな感覚で……」
「何度も? まさか、これより前のバトルロワイアルでの優勝者とか……?」
「いいえ、違うと思います。……まあ風さんも、『意味の分からないところで死ににいくような性格だから、そのときはごめん』なんて自分で言っていましたから。実際、意味が分かりませんでした」
「俺は……風のことよく知らなかった。でも何となく、分かる気がするんだ、今は」
満足そうに目を閉じている風を見て、星屑は少し涙を浮かべた。それが何に対しての涙なのかは、自分でもよくわからなかった。
【残り18名】
物語はここで終わっている・・・
最終更新:2014年01月26日 13:18