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サマル――サマルトリアの王子は運良く誰にも見つからないまま夜を迎えられたが、震えが止まらなかった。
なにしろいつ殺されるか分からないのだ。
今こうして茂みの中で隠れてる瞬間にも殺されてしまうかも知れない。
「ッ!」
気配を感じ、飛び上がる。
背後に立っていたのは気の良さそうな恰幅の良い中年男性だった。
「やぁ、私はトルネコといいます。殺しあうつもりはありませんよ」
「ぼ、僕はサマル……です」
サマルの方に戦う意志がないことを耳にし、トルネコはにっかりと笑う。
そして握手を求め、サマルはそれに応じた。
「お互い突然こんなことになって大変でしょう。どうです? どうにか2人で脱出する方法をッ」
言葉の途中でトルネコは血を吐いた。
「と、トルネコさん!?」
全く気がつかなかったが――トルネコの遥か後方に男が立っていた。
白衣姿だがどう見ても研究者には見えない明らかに不自然な男。
木原は拳銃片手にサマル達へと歩み寄る。
「悪いなぁ」
全く悪びれた様子もなく言う。
「俺も死にたくないんだ。だから死ねや」
そう言ってもう一度拳銃をトルネコへ打ち込む。
トルネコは大きく身体を痙攣させ、そして二度と動くことは無かった。
トルネコ 死亡 残り22名
「う……うわあああああああ!」
目の前でトルネコが息絶え、サマルは絶叫した。
しかし木原は気にもしない。いや、実際には叫びによって他の参加者が集まることを恐れていた。
「チッ、さっさとヤるしかねぇか……」
銃口がサマルを捉える。
「大丈夫か!?」
突然の声に木原は動きを止めた。まさかこんなにも早く他の参加者がやってくるとは。
絶叫を耳に駆けつけたスコールは、サマルをかばうように木原へ立ちはだかった。
「おい兄ちゃん、何のつもりだ? ヒーロー気取りか? 俺はルール通りにやってるだけだぞ?」
「だからといって人を殺して良いはずはない」
「かーっ、吐き気がするわぁ。死ね」
一切の躊躇い無く銃弾が放たれる。スコールに避ける術はない。
彼の武器は『肉体再生』だった。それもレベル0、何の役にも立たない。
辛うじて致命傷は避けられたが最早木原の手から逃れられる手段はない。このまま死を待つだけだ。
「く…………リノア、すまない」
「じゃ、おつかれさんっと」
木原が引き金に指をかけようとした瞬間、彼は引き裂かれた。
彼の後ろには先程まで絶叫していたサマル、その手にはトルネコの遺品であるいなずまの剣が握られて。
木原(武器:コルトパイソン)死亡 残り21名
「トルネコさん、仇はとりました……! 早く彼の手当てをしないと!」
サマルはデイパックを手に、スコールへ駆け寄る。
最終更新:2014年03月12日 19:37