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「よし、来たか!」
 ぐり~んは滑走路を走る小さな陰を見て言った。
 ネジとポットンだ。
「今何時だ?」
 ネジはある程度近づき、ぐり~んに問い掛ける。
「あと30分くらいかな?よくやった」
 ネジはポットンにジェット機に乗るよう促した。ネジはポットンの隣に押し込むように乗った。
「定員オーバーだな」
「我慢だ」
 ポットンは痩せているので、さほど苦しくは無い。
 ポットンは、これで助かったと安堵の表情を浮かべた。席に寄り掛かり、空を見上げた。

 ジェット機は滑走路を走り、愛知へ向けて旅立っていった。
「これからポットンはどうするかな…」
「確かに」
 ぐり~んとネジはポットンの今後について話し合ったが、二分ほどで決まった。

 一時間後。
 星屑宅。
 テレビでは予告通り一軒家が爆破された、というニュースが映っており、現場で生中継をしていた。星屑、ネジ、ポットンの三人は椅子に座り、ネジは出された茶を少し飲んだ。
「……まあまだ金は残ってるから構わないけど」
「よし!そうと決まればポットン!」
 ネジはポットンの背中を強く叩いた。
「お前もアパートに住め!こっちのほうが安全だ!」

 結局ポットンは、ネジの隣の部屋を無償で借りることにした。大学は別の学校となってしまうが、同じ分野かつ同じ偏差値でなるべく近くの大学へ行かせる。
 ネジは再びポケガイをチェックしようとパソコンを開いた。
 アップテンポの曲を鼻歌で歌いながらポケガイのスレッドを確認する。
 ニュースで死人はいないと報道されている。だから、立てられたスレッドにはポットンが死んだ、というような文は無かった。少しだけ下にスクロールさせると、興味深いスレッドを発見した。
 スレッドには、「マスケーゼ対抗策」と書かれていた。
 すかさずそのスレッドを開いた。
「マスケーゼに対抗しよう、我々はここで屈する訳にはいかない。来れる人は明日の午後2時に東京都代々木公園まで来てほしい。案がある。」
 と書かれていた。投稿者は“ヒノムー”という男だった。
「ヒノムー…!」
 ネジはすかさずスレッドに書き込んだ。無論、“ドライバー”というハンドルネームで。
「何か持ち物は無いか?」
「必要ない。ただし各自通行料を用意しといて」
 と返ってきた。
「何をするんだ?」
「現場で話す」
 どうやらマスケーゼ対策の為に『ここ』では説明しないようだ。

 ネジは二人に事情を話した。ポットンは、もし、仮に、万が一、マスケーゼが明日の会議に居合わせた時、殺されかねないと言うので、ポットンは参加を断念することとなった。
 これにはネジも同意した。再び、住所の特定をされることを避けるため、ポットンはポケガイに行く手段を全て断ち切ったのだ。なのに、マスケーゼと出くわし、殺されてしまっては目も当てられない。ネジと星屑は、明日に備え準備を始めた。
 ネジは、財布と、念のため、護身用にサバイバルナイフをリュックサックに入れた。
 星屑は、財布と、これまた護身用に、改造したスタンガンを持つことにした。



物語はここで終わっている・・・

最終更新:2014年01月06日 09:33