3-32

そろそろ、か。
俺は月光の綺麗な夜、街の片隅で『ある人物』が来るのを待っていた。
まあ、いわゆる『張り込み』ってヤツ。

ここの所夜な夜な殺人事件が起きているのを知ってるか?
・・・そいつが誰かってのがだいたい割れてきたんだ。
てぇ言うより「見てしまった」って言うべきか。

昨日この付近を歩いてたんだ。
今日みたいに月明かりが綺麗だったんでな。
そうしたら悲鳴が聞こえてきて。
よく見るとトレーナーが人とポケモンを殺してたんよ。
確か手持ちで分かってるのはまだ
『ヨルノズク』『オーダイル』『ストライク』の3匹だけ。
そのトレーナーは見た目本当普通の『トレーナー』なんだ。
この前公園でバトルしてるのも見ていた。

おっと、来たみたいだ。

こっちに来た。
こっちから誘ってみるか。

「バトル、しませんか?」
『おお、いいとも。』

「じゃあもうちょっと広い所で・・・」

俺は公園に誘導して行った。
普通にバトルを始める。

「ヤミラミ、頼むぞ。」
《ヤミー!》
『出て来いサンド!!』
《サーン!》
「ヤミラミ、集中力を高めろ。」
《ヤミイイイ》
『サンド、地震だ!』
《サーン!》
<ドゴオオオ!>
《ヤミイ!》


やりたくなるのは月1回って言っても【見せれば】やりたくなるかな?
・・・よし。やってみるか・・・

「ヤミラミ、サンドの目を潰せ。」
《ヤミッ!》
<ズシャッ!>
《グギャッ!》
ヤミラミの鋭い爪がサンドの両目を深く抉った。
「次は両腕を千切れ。」
<ブチッ ブチッ>
血が公園に飛び散る。
《モギャアアア!!!》
「全身を切り刻め。」
《ヤミイイイ!》
<ズバズバズバズバッ!>
《モギャアアアアアアア!!》
全身真っ赤になったサンドは高く悲鳴を上げている。
「フィニッシュ。」
《ヤミイ。》
サンドの頭を切り落とした。
相手が指示する間も与えなかった。
全ては3秒で起きた事である。


さあて、そろそろいいかな?

『・・・・・命が惜しかったら金をよこせ。今の内だ。』
来た。目が妖しく光っている。
もうちょっと挑発しておくか。

「お金なんて持ってませんけど?あの、それと『命が惜しかったら』って
どういうことでしょうか。分かりません><」

これぐらい挑発すればおkだろう。
さらにもう一言。

「俺を殺せるなら・・・・殺し・・てみ・・・ろ」

わざと怯えるそぶりを見せておく。


その瞬間相手は「ニヤリ」と笑って空高く飛び上がった。
そして俺とヤミラミを囲うように2匹のポケモンがその姿を現した。
予想通りの展開。

まずは・・・
腰に着いているボールを手に取った瞬間ポケモンに指示を出した。
「サマヨール、フラッシュ。」
《サマアアア・・・》
<ビカッ!>
2匹の目晦ましに成功。
「ヤミラミ、ボールに戻れ。」
《ヤミイ。》
ヤミラミは自分でボールに戻って行った。

(あと2分。)
俺は腕時計で時間を見ると次の行動に移した。
サマヨールにはまだ目晦ましをやってもらっている。
「ノクタス、〔砂嵐〕。」
腰のボールに手を触れた瞬間おおきなサボテンが姿を現す。
《ノクタッ!》
<ブワッ!>
これで完全に視界を封じた。ここまでで6秒。
「ノクタス、オーダイルに〔ニードルアーム〕。」
《ノクッ!》
<ドスッ・・・ズシャアア!!>
オーダイルの体を棘が引き裂いていく。
「次は、顎を持って、そのまま下に思い切って引っ張れ。」
《ノクタッ!》
<ベキャッ・・・バリバリバリ・・・・>
オーダイルの下顎から腹が裂けて内臓が、赤い肉が滴る血と一緒に
顔を出した。

ここまでで18秒。
「ノクタス、ぶちかましてやれ。」
《ノクタア!!》
<ドスッ>
<ブシャアアアア>
勢い良く血を吹き流して内臓が潰れた。
《グギャオオアアアアア・・・・・》

「サマヨール、ストライクに破壊光線。」
《サマアアアアッ!》
<ドシュウウウウウ・・・・>
極太の光線が一直線にストライクへと延びる。
光線が消えたと同時にストライクはそこにいなかった。
あったのは右の鎌と抉れた片羽のみだった。
一面の砂嵐の中、ヨルノズクに掴まってるヤツはこの惨事が分からない。
まずは引きずり降ろすか。

「パッチール、冷凍パンチ。」

《パッチ!》
パッチールの両手に冷気が集まる。
十分に冷気を溜めたパッチールは凄い高さまでジャンプした。
ヨルノズクとあのトレーナーがいる高さまで。

《パッチ!》
『何だ!こいつは!』
パッチールは両手の冷気をヨルノズクの左の羽にたたきつけた。
《パッチー!》
《ホオオオオ!!》
ヨルノズクは悲鳴を上げて地面へと落ちて行った。
パッチールは上手く着地して俺の元へ来た。
まだ砂嵐が残っていたが、凄い衝撃で消え去った。
<ビターン!>
ヨルノズクとトレーナーが降ってきた。
ヨルノズクはトレーナーを庇って落ちたので、もう動けない。
トレーナーはむくりと起きた。
今の状況が理解できなかった。

『嘘だ。俺のオーダイルとストライクが・・・死んでるなんて・・・』
「さて、次はあなたの番ですよ。」

「ヤミラミ、心臓を抉ってあげな。」

《ヤミッ!》

<グチャッ!>

「月の明かりが綺麗だなあ。さて、と。そろそろ行くとしますか。」

後に残ったのは内臓がグチャグチャになったオーダイルの死体、
全身を打ちつけたヨルノズクの死体、
虫の羽。
それと自分の心臓を口の中に詰められたトレーナーだった。

      • END・・・
最終更新:2021年05月25日 14:48
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