マリルリ虐
僕はその日、苛々していた。別に大した理由はない。
家に着き、なんとなく庭の草刈りをしてみたくなったが、草刈り鎌を取り出しただけで止めてしまった。
暇なので、マリルリ(♀)をボールから出し、一緒に遊ぼうとした。
しかし、彼女は久しぶりにボールから出られた解放感からか、そこら中を
飛び回り、部屋中を散らかってしまった。
………僕は心の苛々をコイツにぶつけることにした。
落ちていた草刈り鎌をポケットにしまい、
「何してんだよ、まったく」
と言って僕は彼女に近づき、彼女をおんぶした。
背中で彼女が暴れることもなく、僕はある部屋に到着した。
そこは、僕の家の中でも自慢のオーディオルーム。完全防音だから、心ゆくまで音楽を楽しめる。
そこに僕と彼女は入った。でも、今日は音楽を聴くために来た訳じゃない。
部屋のほぼ中央に置かれたクッションに、僕達は並んで座った。
そしてちょっと位置を変えて、僕は彼女と向き合った。
……次の瞬間、僕は彼女の腹を殴っていた。そして彼女は後ろの壁まで飛んだ。
「…ま、まりるぅ?」
地面に彼女はへたり込み、少し呻くと怯えたような瞳で僕を見ていた。
口から血が零れて、彼女の体に赤い斑点をつけていた。
僕はハンカチを出すと、体に付いた血液を拭いてあげた。やはりすぐ拭き取れる。
僕は何か物足りない感じがした。だから彼女をもっと苛めることに決めた。
彼女のお腹をさらに殴る。何発も、力を込めて。
「まり、ま、るり、りる、り、まるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
彼女はとても痛がっている。しかし、そろそろ暴れだすかも知れない。
ちょうどロープが部屋にあった。まだ呻き声を上げている彼女を、機材が一杯置かれた棚に縛り付ける。
棚は重たく、ビクともしない。しかも機材には全て保護用のビニールシートが被せてあった。
これなら機材に血がかかることもないだろう。
僕はニヤリと笑い、ポケットから鎌を出した。
僕は鎌を持ち、彼女の腹に思い切り斬りつけた。
「まりぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
苦痛に顔を歪めた彼女の腹からは、真っ赤な血液が溢れ出ている。
そろそろ仕上げだ。僕は彼女の左耳をピンと引っ張った。
彼女はこの程度の痛みなんてもう感じてすらいないだろうが、大事なのはこの後だ。
耳と体との付け根に、僕は鎌を当て、耳を削ぎ落とし始めた。
「まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
もはやこの世界のものではない程の絶叫が、この狭い部屋を覆い尽くした。
しかしこの部屋は完全防音だから、外に彼女の悲鳴が漏れることはない。
僕はあえて、耳を2cmぐらい残して体から離れないようにした。
「ああ、ああっ、ああっっ」
彼女の目には、無残な自分の耳が映っているのだろうか。
次は右の耳だ。言葉にもなっていない彼女の声を聞きながら、僕はまた彼女の耳に鎌を当てた。
左手で耳を引っ張り、今度は勢い良く鎌を引く。
「ああああああまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
世界が反転しそうな叫びを彼女はあげた。僕の左手に、彼女の耳がある。
そろそろ彼女は死んでしまうかも知れない。
僕は彼女をポケモンセンターへ連れて行った。鎌は玄関の近くに隠した。
「ぼ、僕のマリルリが…」
ジョーイさん達はすぐ、マリルリに処置を施してくれた。
「少し暴れていますが、2、3日で回復出来るでしょう。」
と、担当医は僕に言った。
彼女が暴れている理由は分かる。いっそ殺して欲しかったのだろう。
でもねマリルリ。
僕だって君が傷ついて悲しいんだ。ただ、傷つけたのが僕だったというだけなんだよ。
最終更新:2011年03月24日 18:17