光のない月夜

光のない月夜(ひかりのないつきよ)」とは、ポケモンノベルにて掲載されていた作品である。作者は倉木シン
5月6日現在、全64話+プロローグ。
ただし、2013年7/24の利用規約変更に伴い、削除された。


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概要

ゲーム「ポケットモンスター」の設定を軸に、いくつかのオリジナル設定や解釈を加えた作品。
人間の描写が主となっており、ポケモンが一切登場しない話が度々ある。また、全編通してミステリー色が強い作品となっている。

とある理由により、この作品はポケモンノベルに投稿されている作品の中でもかなり異質な作品である。そのため、読者を選ぶ傾向が非常に強い。
当然暴力描写も盛り込まれているため、そちらの意味でも読者を選ぶ作品である。

世界観

時間軸は「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ」の数十年後であるとされており*1、ゲーム中では僅かにしか登場しない「自動車」などと言った乗り物や、バトルフロンティアが多数存在するとされている。
尚、現時点で「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」のポケモンは一切登場しておらず、作者のコメントからこれ以降も登場しないことが示唆されている。

物語の舞台はオリジナルの地方「シチョウ地方」とされているが、実際に主人公が行動するのはその中でも一つの町の近辺に限定されている。
また、オリジナルポケモンの存在も示唆されているが、現時点では極々僅かな台詞が登場したのみである。

あらすじ

12年前に両親を失うと同時に記憶をほぼ全て失った主人公・秋山龍一(アキヤマ リュウイチ)は、親戚の大杉家に弟の龍司(リュウジ)と共に居候している。
20歳になった夏、同じく12年前の事件で妻を失った一家の主・大杉勝田(オオスギ ショウタ)の提案により、その娘・優華(ユウカ)も含めた4人で里帰りする事になった。
当初は「ポケモン民俗学」の教授である勝田の手伝いという形で同行する龍一だったが、里帰り先の宿となる平松家にて龍一を待ち受けていたのは、予測不可能な展開と千年にわたって語り継がれる謎の神話だった。

登場人物

※尚、登場人物の読みは作中の表記に従ってカタカナで表記する。
また、ここで紹介する人物以外にも数名の人物が登場する。

主要人物

  • 秋山 龍一(アキヤマ リュウイチ)
主人公。タマムシ大学に在籍する20歳の男子学生。
銀髪に黒い瞳、端正な顔立ちと長身という事もあってか、女性からの人気はかなりのものがある。その一方でやや不器用な一面や、非常に趣味が悪いという一面も。
12年前の「事件」によって両親を失い、自身も記憶を失ってしまっているが、手持ちポケモンであるニールとカイルが記憶の手がかりとなる。
ポケモンバトルの実力は「一般人としては」高い方だが、あくまで一般人レベルの話である。そのため作中では手加減されても尚、終始圧倒されてしまう事も。
菜月に対して最初はあまり良い感情を抱いてはいなかったが、平松家に深く関わると共にその心に変化が現れていく。
【所持ポケモン】
ニドキング(NN:ニール)
ハクリュー(NN:カイル)
ニューラ(NN:ライユー)
ライボルト(NN:ボルテス)

  • 平松 菜月(ヒラマツ ナツキ)
年齢は18歳。龍一たちが訪れた平松家の令嬢であると同時に、12年前から決まっていた龍一の許婚。長い黒髪と琥珀色の瞳が特徴的。
大人の女性として成熟しつつある身体とは対照的に、顔立ちは美しいものの幼さが残っており、大きな赤いリボンで髪を纏めてポニーテールにしているなど、大人っぽさと子供っぽさが入り混じっている。
彼女も「事件」以前の記憶が無く、勝手に決められていたも同然の許婚・龍一の対応の拙さもあってか、かなり反抗的な態度を取っている。しかしその一方で、精神的な脆さも度々見せている。
屋敷を訪れて間もない頃に龍一が起こしたいくつかの事件が原因で、龍一に対しての好感度は最悪と言っていいものがあったが、次第に心を開くようになる。
【所持ポケモン】*2
ニドクイン(NN:ニノ)
ブラッキー(NN:クイラ)
ルナトーン(NN:ルナ)

  • 秋山 龍司(アキヤマ リュウジ)
龍一の弟であり、17歳の高校3年生。
外見は龍一とほとんど同じという事もあってか女性受けはかなりいいのだが、本性は重度のオタクであり、平松家にフィギュアやゲームなどを大量に持ち込むほど。*3*4
とは言えその一面を除けば性格は非常に明るく、我が道を行くという印象が強い。表向きの性格と実際の性格が異なるのは兄弟に共通している模様。
また、ポケモンバトルでは龍一よりも強いとされており、一方で受験勉強も真面目に行っている事が示唆されている。
【所持ポケモン】
リザードン(NN:リーズ)
ヤンヤンマ(NN:フライ)
エビワラー(NN:ジョー)
ガバイト(NN:ガイル)

  • 大杉 優華(オオスギ ユウカ)
龍一と同じくタマムシ大学に在籍する19歳。ただし学科は異なる。
居候先の娘であり、名前に似合わず性格はかなり大雑把かつガサツ。
12年前の「事件」で母親と記憶を失っているのだが、本人はその事件の影響を微塵も感じさせない振る舞いをしている。
尚、彼女もまた通算成績では龍一に勝ち越しているのだが、作中描写ではポケモンバトルよりもむしろ、龍一を一撃でノックアウトする程の腕力を活かしたリアルファイトの方が印象強い。
【所持ポケモン】
ギャラドス(NN:ガープ)
ビブラーバ(NN:アース)
ブーバー(NN:バーンズ)

  • 平松 由紀(ヒラマツ ユキ)
菜月の母親であり、平松家の現当主。12年前の「事件」で夫を亡くしている。
普段から微笑みを絶やさない女性であり、異様に若々しいという特徴があるため、それが一種の不気味さを醸し出している。
善人のはずなのだが、時折龍一に対して無茶振りをする事がある。そのため、龍一にはあまり快く思われていない。
また、珍しいポケモンと接触しているようだが……?

  • ???*5
菜月に瓜二つと言っていいレベルでよく似た謎の少女。
元々童顔な菜月よりも更に幼く見えるのが関係しているのかは定かではないが、言葉が不自由なところがある。
龍一の夢に介入するという非常に特異な能力を発揮するなど、謎が多い。
【所持ポケモン】
メタグロス(NN:メイル)*6

  • シンゲツ
黒髪に琥珀色の瞳という、菜月と由紀に共通する特徴を持った少女。年齢は18歳前後と思われる。
龍一の夢に度々介入するなどその存在には謎が多く、人間ではないとも言われている。
尚、シンゲツという名前は偽名であると龍一は予想している。

その他の登場人物

  • 大杉 勝田(オオスギ ショウタ)
大杉家の主であり、タマムシ大学の教授。優華たち3人を男手一つで育ててきた。
昔はポケモンリーグで上位入賞するほど強かったらしいが、その実力を振るう事は滅多に無い。
記憶を失ってはいないのだが、過去について語る事もまた、滅多に無い。
【所持ポケモン】
バンギラス*7

  • 川相 春香(カワイ ハルカ)
平松家に仕えるメイドその1。茶髪のツインテールと眼鏡がチャームポイントで、穏やかな大人のお姉さん風の人物。
菜月の友人でもあり、様々な仕事がこなせる事から、平松家の使用人の中では高い地位にいるものとされている。

  • 仁科 奈美(ニシナ ナミ)
平松家に仕えるメイドその2。金髪のショートカットが特徴的で、こちらは春香とは逆に明るい美少女。
持ち前の明るさもあってか、親しみやすい雰囲気がある。

  • 犬養 奏介(イヌカイ ソウスケ)
犬養家の次男であり、平松家の後継者候補の1人。
茶髪に端正な顔立ちかつ長身であり、龍一・龍司と同じように女性受けは良い部類に入る。
菜月に想いを寄せているためか、12年前から平松家の後継者として決まっていた龍一を一方的に敵視しているが、当の龍一に痛いところを突かれてしまう、そもそも平松家に居候中の身でしかないなど、龍一同様に三枚目な描写も多い。
また、龍一と嗜好が似通っている部分もある模様。
【所持ポケモン】
ミロカロス(NN:ミスト)

  • 土井 悠斗(ドイ ユウト)
平松家の専属医師。医者としてはまだまだ若いが、腕は確か。
ちなみに多趣味であると自称しており、オカルト関係に詳しい友人がいるらしい。
キノガッサは治療の手助けが出来る。
【所持ポケモン】
キノガッサ

  • 星野 俊也(ホシノ トシヤ)
平松家の分家である星野家の長男。
落ち着いた性格ではあるがその雰囲気は不快であり、悪意を滲み出させている。
何か強力なポケモンを持っているようだが、詳細は不明。
【所持ポケモン】
ヨノワール

  • 星野 俊樹(ホシノ トシキ)
俊也の双子の弟。兄とはまるで似ていないが、双子である。
兄とは対照的に敵対心を隠そうとはしない。
【所持ポケモン】
ミカルゲ

  • 宇喜多 修哉(ウキタ シュウヤ)
菜月の「儀式」の斎主である老人。
普段から星野兄弟やシンゲツと接触しており、何かを企んでいる。

用語等の解説

地名

  • シチョウ地方
ジョウト地方のさらに西に広がる地方。現実世界に照らし合わせるなら、中国・四国地方に当たる。
大きく分けると3つのエリアに分かれるのだが、前述したように龍一の行動範囲が狭いためか、作中ではあまり解説されていない。

  • ビースタウン
本作の舞台から最も近い町であり、龍一の故郷。
ポケモンジムは存在しないがバトルフロンティアが存在するため、日々多くのトレーナーが訪れている。
しかし、本質的には田舎である。

  • 平松家の屋敷
物語の舞台となる屋敷。3階建ての洋館であり、約100年前に建てられた屋敷であると言う。
当主室から客室に至るまで全ての部屋の内装が整えられており、多数の蔵書を収めた図書室も存在する。

  • 龍神洞
平松家の屋敷の北にある洞窟。
抜けた先には、後述する「月食の儀」を行う社がある。

  • 禁忌の洞窟
屋敷の南にある謎の洞窟。完全に立ち入り禁止であり、結界の類で封鎖されてあるなど、徹底的に秘匿されている。
しかしその一方で、この洞窟に入っていく人間もいる。

家系

  • 平松家
本作の舞台でもある、ビースタウン郊外に屋敷を構える財閥の家系。
ルーツを辿ると千年以上も昔の豪族にまで遡る家系であり、現在に至るまでとある神話を語り継いでいる。

  • 秋山家・大杉家・星野家
いずれも平松家の分家であり、これらの中から平松家の次期当主候補が選ばれる。
他にも分家がある可能性もあるが、作中においてはこれら以外の分家は登場していない。

  • 犬養家
千年以上昔に存在した豪族の直系に当たる。
平松家は元を辿れば犬養家の分家だが、現在は諸般の事情により平松家の方が地位が上である。

固有名詞

  • 月食の儀
平松家が8月の満月の夜に行う謎の儀式。
その内容は徹底的に秘匿されており、『千年前の神話を再現する』という抽象的な事と、当主とその妻が必要である事しか分かっていない。

  • 儀式
月食の儀の下準備として、巫女となる平松の女・菜月が受けている儀式。
しかしその内容は奇妙奇天烈なものであり、その意義は不明。

  • 12年前の事件
厳密には固有名詞ではないが、ここに記す。
星野兄弟の両親が「月食の儀」を妨害しようとした結果起こった事件であり、龍一の両親、菜月の父、優華の母を始めとした多くの人物が死亡した。
さらにこの事件が原因で、龍一たちは記憶を失ってしまっている。
しかし、妨害する事に何の意味があったのかは今現在も不明。犯人である星野兄弟の両親は龍一の両親と相討ちになっており、その意義を知るものは星野兄弟と修哉、そしてシンゲツのみであると思われる。

  • 宿命の子
シンゲツの口から出た言葉であり、「宿命の子」は人知を超えた存在であるとされている。
尚、平松家の周辺には3人が存在するらしいが、3人という数え方が正しいのかは微妙なラインである。

  • 悪しき魔の者
正体不明の存在。略して「悪魔」と呼ばれる事もあるが、現時点では詳細は不明である。

  • 「技」
ポケモンが使用する技ではなく、トレーナーが使用する何らかの特殊な能力を指す。作中では正式名称が語られていない。
その効果についてはあまり語られていないが、作中で確認できる限りでは並大抵の攻撃を遮断する障壁を張っている他、作中表現から言えば攻撃の威力を大幅に強化する効果もあると取る事ができる。

その他物品

  • ポケギア
トレーナーだけでなく一般人も多くが利用する汎用ツール。現実世界における携帯電話としてのポジション。
アップデート用プログラムによる機能拡張も可能である事が示されている。
所持ポケモンのデータ閲覧機能はトレーナーにとって必須と言って良い機能である。
尚、ポケギアと同様の汎用ツールとしてホウエン地方では「ポケナビ」が、シンオウ地方では「ポケッチ」が主に使われている。

  • トレーナーカード
ポケモントレーナー全員が所持を義務付けられているカード。これがあればポケモンセンター等での公的サービスが受けられるとされている。
簡単に言えば免許証であり、前述した使い方以外にも身分証明書として機能する。

  • モンスターボール
ポケモンを捕獲するための物であり、市場に安価で流通している。
しかしその原理には不可解な部分も多分にあり、実質ブラックボックスとなっている。

  • はづき
菜月のお気に入りのピッピ人形。ぬいぐるみだが「人形」である。

データ

  • 2010年12月20日連載開始
プロローグ
【第1話】 何も知らぬ者――秋山龍一
【第2話】 西へ、ひたすら西へ
【第3話】 邂逅
【第4話】 女難――異常な世界への誘い
【第5話】 『旦那様』
【第6話】 其の願い、唐突也
【第7話】 資格在りし者
【第8話】 増え続ける謎
【第9話】 分からぬ、過去
【第10話】 秋山龍一の自爆
【第11話】 見えないもの
【第12話】 収めた矛、収められぬ矛
【第13話】 少女と女と
【第14話】 ピンチとチャンスは裏表?
【第15話】 自惚れ
【第16話】 「悔いは残すんじゃないよ」
【第17話】 負け犬と傀儡
【第18話】 氷解する心
【第19話】 夜という名の試練
【第20話】 そして始まる物語
【第21話】 それは夢、幻、妄想?
【第22話】 何をイマサラタウンなポケモン講座
【第23話】 激闘、バトルステージ
【第24話】 激戦の果て
【第25話】 弱き者
【第26話】 二枚目? いいえ、三枚目です
【第27話】 嫉妬
【第28話】 欲望
【第29話】 与太話と胡散臭い儀式
【第30話】 大嵐
【第31話】 2人の距離
【第32話】 嵐の後に
【第33話】 赤い爆炎、黒い疾風
【第34話】 安穏と暗雲
【第35話】 名推理、はたまた迷推理?
【第36話】 マイナス思考
【第37話】 不足
【第38話】 穢れ
【第39話】
【第40話】 2人っきりの世界の中で
【第41話】 NEXT
【第42話】 後悔先に立たず
【第43話】 禁忌の先に待つ者
【第44話】 変転
【第45話】 依代の少女
【第46話】 誤認
【第47話】 混沌
【第48話】 絶対零度の夏
【第49話】 家庭教師
【第50話】 謎 謎 謎  どこまで行っても謎
【第51話】 過去から現在へ
【第52話】 遥かな地より来る者
【第53話】 彼女だけの彼
【第54話】 幕間
【第55話】 ラストスパート
【第56話】 残された希望
【第57話】 失われし物
【第58話】
【第59話】
【第60話】 今其処にある幸せ
【第61話】 夢からの目覚め
【第62話】 good-bye, my happiness
【第63話】 導く者と追い求める者
【第64話】 思い出の中に

余談

この作品にはパロディが多いという特徴があり、主に「ジョジョの奇妙な冒険」のネタが用いられている。また、作品のストーリーやキャラの多くにも元ネタが存在するとされている。
また、この作品のタイトルは「光の無い月夜」ではなく、「光のない月夜」である。
何故この部分に漢字が使用されていないのかは、作者のTwitterを見れば想像がつくと思われる。ただし、アカウントを探すのは自己責任で。

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最終更新:2013年07月24日 19:16
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*1 具体的に何年後とは書かれていない。

*2 ポケモンバトルを一度も行った事がないにも拘らず進化しているポケモンが多いが、進化した理由は不明。

*3 尚、件のゲームに関しては作中での説明から、高校生では買えないはずの如何わしいゲームである可能性が非常に高い。

*4 ただし、龍一も台詞を見る限りではオタクと言われても文句は言えないような事を口走っている他、龍司と優華の発言から、ある意味では龍司以上に性格に難がある人物であると伺える。

*5 最新話の時点では既に正体が明かされている。

*6 色違いであり、全身が白銀色。

*7 ただし、30年前の所持ポケモンである。