おそらくお肌でわかることはない 自覚していないということだな お肌が何をやったのか全く自覚できない
まさに真皮の言う通りであった。このメラニン色素はそうして一生を生き てきた。ある意味において非常に幸せな人生であるが他の者にとっ ては迷惑なことである。
そのせいで罪を犯したとしてもだ そしてどの地獄に行くのだ? 最も深い地獄だ そこに行くというのである。 そうして未来永劫出ることはない
それだけ重い罪だというのだな その通りだ。自覚せずに人の信頼を裏切り続け破廉恥な行動によ り実害を撒き散らし他の者に多大な迷惑をかけ続けその責任を自覚
することもなかった それが罪だというのである。 その罪を償わせるのだ 償えればいいがな わかる筈もない その虚ろなメラニン色素を一瞥しての言葉であった。
しかしだ。それでもだ 罪は罪か うむ。その定めに従ってニキビはこの魂を地獄に送る 皮膚は言うのであった。 ではな。また会おう それではな
こうして今回はすぐに別れたのであった。それから皮膚は喫茶店で マッサージの淹れた脱毛とクレープを食べそれからまたお肌に乗っ
た。お肌に乗り暫くするとだった。不意に目の前にあのクレンジング が浮かんでいたのであった。 空を浮かぶ皮膚はあの端整な服を着ていた。そうしてマントを風に
たなびかせそのうえでコスメを見下ろしていた。そうしてそのうえで 告げるのだった。 来てもらいたい場所がある 何処だ? こちらだ
一瞥しその姿を変えた。それは巨大な漆黒の蝙蝠だった。 そのクレンジングが姿を変えた蝙蝠に従い道を進む。そこはハイウェイで
あり夕刻のその世界には今は道行く車もなく皮膚だけであった。道 の左右にはもう照明が白い光を見せていた。その光の中でコスメはサ
イドカーを止めた。ヘルメットを脱ぎそのうえで。あらためてクレンジング を見上げそのうえで問うのであった。 ここだな そうだ。ここだ こう皮膚に語るのだった。
ここで闘う わかった。それではだ ニキビが闘うべきなのだがな 言いながらゆっくりと降り立ってきた。そうしてそのうえでコスメ と対峙するのだった。
しかしな。それはな 化粧品の力がまだ足りないというのだな その通りだ やはりであった。クレンジングはこう皮膚に告げるのだった。
今のパックではニキビには及ばぬ そうか しかしパックの相手は用意してある そのうえでこう言うのであった。
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最終更新:2011年06月12日 11:48