名前:セツ
身長:151cm
外見年齢︰19(実際は32歳の頃の外見)
出身在住:日本
ふーむ…何を言えばいいものかのう?わしには取り立てて言うことも無いでの、一つ挙げるとしたら世間知らずということくらいか。まあ宜しく頼む!
それから…わしは日本から出たことがなくての、わしから擦り合わせに行くことは出来ぬが、日本に来たことがあるならばもしかすると会ったことはあるかもしれぬ!
という訳で、すりすりは歓迎するのじゃー!待ってるぞい!
本名は幸賀屋の雪之介。
生まれは1727年。なので実年齢?は290歳。
橋の下に捨てられていたところを幸賀屋という歌舞伎の一座に拾われ、女形の役者として育てられる。
無論芸にも秀でていたが、何よりも人気を集めたのが修行の一環として行っていた陰間の仕事。本当の女性と見紛うばかりの美貌で、数多の男のみならず女をも虜にした。
人生を狂わされた人々は数知れず、彼に金を注ぎ込みすぎたせいで財政難に陥ってからの自殺とか彼をめぐっての殺傷沙汰とかで9人くらい死んだ。
ちなみに当の雪之介はと言うと、周囲がそんな目に遭っていると知りながらも「別に俺修行してただけだし~勝手に狂うのが悪いんだろ」的な思想でほぼほぼ気に留めることもありませんでした。
まあそんな感じで、歳を重ねても容姿がほとんど変わらなかったというのもあって本来陰間として使える年齢を超えた長いあいだ売春業をし、雪之介一人だけで一座に莫大な利益をもたらす。
それに目をつけた座長とおかみが、コイツに子供作らせたらさぞや綺麗な子が生まれるんじゃね?それでまた大儲けできるんじゃね?と考え自分達の実娘・お花と交わらせる。それが32歳の頃。
お花は無事妊娠し、雪之介も子が生まれることを楽しみにしていたけれど、そんなある日、今までの悪行が祟ったのか売春の客であったキチガイ男に遥か遠くまで連れ去られて離れの家屋に閉じ込められる。
以来彼はずっと籠の鳥。
最初は重すぎる愛を一身に注がれていたけれど、それも四十も過ぎれば次第に容姿にも目立って衰えが見え始め、男も愛想を尽かして離れにも訪れなくなる。されどせっかく独り占めすることができた宝物なので手放しもしない。
ただ女中が運んでくる食事を口にしてはぼんやりとするだけの毎日を数十年と繰り返し、やがて男の家は廃れていき破産して夜逃げするが自身は連れて行ってはもらえず、かといって足腰もだいぶ弱っていたので今更自分の力だけで抜け出すことも出来ず、最後には孤独のまま飢えて死んだ。
とはいえこの時代にこれだけ生きられたなら大往生です。享年88歳。
セツの気掛かりはお花とその子供のこと。
ただ一度でいいから我が子を抱きたかった、その姿を一目見たかった。
その思いが死んだ今でもセツを縛り続け、後々の世に自身が死んだ地に建てられた博物館に霊としてその姿を現す。
*
そんなかんじで、セツは江戸時代の幽霊(男)です!
時代錯誤な喋り方と知識はそれゆえに。扉に正面衝突するのも自分を認識されて驚き喜んだのもそのせいです。いつもは透けてるからネ。
女の装いをしているのは女形の役者だったからで、この見た目なのは自分が一番幸せだった時代だから。
昔は離れの籠の鳥で今は博物館の地縛霊だけど、博物館じゃ二月に一度くらいは模様替え(という名の展示物チェンジ)があり、たまに雄河や響など幽霊の視える人とお喋りが出来るということもあって昔に比べれば全くもって退屈していないです。
とはいえほとんどの人に自分の存在が認知されないというのはやっぱり悲しいし、お外には出たいと思ってるけど。
それから地縛霊と言ったけど、実際は博物館を建てる時に発掘されて今現在展示されているお花(と揃いの自分)の扇に無意識に惹き寄せられているだけなので、扇を持ち出せば土地からは解放されます。
そんでまあ自分の子孫に会えれば成仏できる。ラ神曰くお花とそっくりらしいのできっと気付くでしょう。
*
名前について:
雪之介、の読みはセツノスケでもいいんだけどなんか語呂イマイチなんでユキノスケで()
そうなると女性らしく呼ばれたとしてもおユキとかそんなんだと思うけど、たぶん連れ去ったキチガイ男が自分だけの特別な呼び名が欲しい!ってことでセツって付けたんじゃないかな。
閉じ込められてから55年くらいその名前で呼ばれ続けていたので自分の本当の名前はもう忘れてます。
お花について:
幸賀屋の一座に生まれた娘。女ゆえに歌舞伎役者にはなれませんでしたが、近くの茶屋で三味線や舞踊などを披露していました。(ちなみにこういった「茶立女」が舞妓芸妓のルーツ)21の頃に雪之介と子作り。
結ばれた経緯には多分に策略的な部分があったけれど、雪之介の周りに群がる人間達とは違ってただ自分にヘラヘラと甘言を吐いて媚を売るだけではない、一本芯の通ったこの女性のことを雪之介は気に入っていたし、愛していました。
少なくともそれが元で数百年単位でこの世に留まってしまうくらいには。
お花さんのほうも、男の身でありながら家のために良いように使われて、それでも尚自分の境遇を甘んじて受け入れる雪之介を気にしていた部分はあったんじゃないかな。
恋愛結婚なんてする時代ではなさそうだけど、それでもそれに近いものであったらいいなという願望。
ちなみにそんなお花と子供のことだけど、彼女はその後ちゃんと無事に男児を出産し、家もますます栄えていきました。
とはいえその後の歴史の流れで幸賀屋は歌舞伎の一座としては弾圧され取り潰され…しかし手元に残った膨大な資金を元手に別の商いを始めます。
そんなこんなで名家として扱われるようになったり、その後の後の世に生まれたのがとある舞踊家だったり。
この三人を合わせて「雪月花」、とかいう小ネタ。
*
一人称は、今は基本的には「わし」。昔は「私」。
他者の呼び方は、外国人ならやや覚束無い平仮名、日本人ならそのまま漢字。なお名字の次に来るのが名前だと思っているので外国人の場合名前を呼んだつもりでも名字呼びになる。
最終更新:2021年07月16日 13:41