王様ともなれば、臣民からの陳情を聞いたり、仕官を求めてやってくる騎士や学者が来たり、
はたまた時節のご機嫌伺いに顔を出す貴族が居たり、非常に人に会わねばならない機会が多い。
それも堅苦しい宮廷言葉でナンタラカンタラ喋る上に、ずっーと坐っていなければならないので、
僕みたいな王宮暮らしに慣れていない羊飼い上がりにとっては、もはや一種の苦行ですらある。

そのくせやる事といえば、もっともらしく頷いて適当に
『考慮してみよう』とか『後ほど返答しよう』やら『気持ちは受け取って置く』でお茶を濁す位なのだ。
(なぜかと言えば、難しい話をされても僕には判らないからなんだけど)

で、そんな日常を何とかこなして居る内に、僕はふと思った。
考えてみれば、お決まりの台詞を喋るだけなら、
別に僕本人が玉座に坐って無くても良いんじゃないかと。
思い立ったが吉日。
さっそく試してみる事にした。

普通の王様たちなら、自分に似てる人間を影武者に用意するのだろう。
けど、僕は指輪に秘められた叡智と魔力がある。
それを使って自分そっくりの人形を作り、こっそり玉座に置いてきた。
誰かに話しかけられたならウンウンと頷き、『その事は、暫く考えてから返事をするとしよう』と
勝手に人形が答えてくれるのだ。
まるで鏡を見ているかのようなその出来栄えに、我ながら感心したものだ。
で、『これが有るなら僕は王宮に居なくても良いよね』と思い、
僕は誰にも告げぬまま、離れた戦場に居るクローディア姫に会いに来たのであった。


・・・・・・


「なるほど、君は私が口を酸っぱーくして言ってきた事を、何ら理解していなかったということかね?」
「……」

指揮官用の幕舎の中で、僕とクローディアは久しぶりに二人っきりになれた。
ただし、折角会えたというのに、彼女の態度はいつもと違って厳しい。

「確か、何度も言ったよね?
 『王になったら、嫌でも宮廷行事に参加したり、謁見なり何なりを行わなければならない。
 だけれども、それは一種の儀式みたいに必要な物だから、退屈でも我慢してくれ』って。
 それとも言い忘れてたかい?」
「イイエ、何回も聞きました」

僕は椅子に坐って、固く身をこわばらせたまま彼女の言葉に答えた。
うーん、すっごく怒ってる。
爆発する直前には、かえって冷静な口調になるのがクローディアの癖だ。
いつ噴火するか、はっきり言って怖い。

「じゃあ何で、そんな子供だましを用意してまで宮廷を抜け出してきたのかな!?」
「だって、ずっと玉座に坐ってるとお尻が痛くなるし……」
「私もね! 長ーい行軍の間中、ずっーと鞍の上に乗っていれば下半身が痛くなるんだよ?
 それはもう、肌が擦れてお尻さえ硬くなる程さ!」

前にも言ったとおり、僕は元羊飼い。
いくらクッションが効いているとはいえ、長く椅子に坐ってるのは苦手だ。
それに謁見の間は見通しが悪い。
故郷の山野を見慣れた僕には窮屈この上ないのだ。
でも、あまり馬に乗らない僕には判らないけど、ずっと乗ってるとお尻が硬くなっちゃうのか。
今度肌荒れ用の薬を調合して塗ってあげよう。

「でもね、子供だましというけれど、誰も見破れないくらいにそっくり出来てるんだよ?」

一応抗議してみた。
形だけとはいえ僕は王様、彼女は臣下。
主導権をとられっぱなしなのは、ベッドの上でだけでいい。

「そのよく出来た人形へ廷臣が『陛下、ご決裁をお願いしたいのですか?』と尋ねたとしよう。
 君の身代わり人形は、それにどう答えるんだい?」
「うん、僕そっくりの声で『その事は、暫く考えてから返事をするとしよう』って言ってくれるんだよ」
「侍従が『そろそろ夕食のお時刻です』と言ったなら、それはどう答える?」
「え?、『その事は、暫く考えてから返事をするとしよう』だけど」
「『陛下、そろそろお休みの時間です』と聞かれたら?」
「……『その事は、暫く考えてから返事をするとしよう』」
「みんなから、『貴方は陛下の贋物ですか?』と詰め寄られたなら?」
「やっぱ、……よくよく考えると良くなかったかな」
「考えるまでも無く、悪い!!」

うう、いい考えだと思ったのにこんな落とし穴があったとは。

「一体全体、何でそんな真似をするんだい!?」
「だって……」
「だって?」
「ここ暫く遠征続きで、ずっと会えなかったし……」
「え?」
「手紙の遣り取りだけで声も聞けなかったから、久しぶりに会いたいなーって思って。
 退屈な政務は怠けて、クローディアの所に来たくなっちゃったんだよ」
「うぅ……」

さっきまでの怖い顔が、僕の言葉を聞いてとたんに蕩けた。
にやけた表情を隠そうとしてか、薄く朱に染まった顔を僕から背ける仕草が可愛らしい。
クローディアは怒った時も美人だけど、やっぱり僕は怒ってない顔の方が好きだ。

彼女は僕の臣下であり、教師であり、同時に恋人でもある。
僕がなんとか王様稼業を続けていられるのも、みーんな彼女のお陰である。
宮廷に居る時は、僕が遣り残した仕事…… というか、僕にはまるで判らないので
彼女に丸投げせざるを得ない統治業を一手にこなしてもらい、
外に出たら僕の世界征服を成し遂げるため、彊域をどんどん広げるために軍を進めてくれているのだ。
いや、本当にありがたいと思っている。

でも、領土が広がるにつれ、戦場はどんどん遠くなる。
心の支えとも言うべき人に会えないのは心細い。
会えない時間が増えるにつれ、決裁待ちの案件がどんどん積み重なってくる。
未整理の書簡が溜まっていくのを見ると、僕は何だか落ち着かない気持ちになってしまう。

一応は廷臣たちも心得ており、それらの処理は保留にしておいてくれるのだが、
王様である僕がしっかりしない所為で、皆が困ってるのではないかと思ったりもする。
まるで、ムクムクと毛を伸ばした羊たちを、刈りもしないで放置しているような感じだ。
そういう訳で、身代わり人形を作ったときにまず会いたいと思ったのは、
グロリア殿でもグレダでもなく、僕が一番頼りにしている人、クローディア姫だったのだ。

「ごめん、僕を王様にしてもらったのに、いつも迷惑掛けてばっかりだよね。
 クローディアの顔が見たいなあ、声を聞きたいなあ…… なんて思ったばっかりに、
 また厄介なことになっちゃうよね」
「う、ううぅ…… ずるいなぁ! そんな言い方されたら、これ以上怒れないじゃないか!?」

こう言わなければ、まだ説教を続ける心算だったのか? ――恐ろしいことだ。

「まあ、はるばる私に会いに来てくれたことに免じて、今回は許すよ」
「本当に?」
「ああ…… 実際、私も君に会いたかったしね」

クローディアは本当に嬉しそうに、僕の顔を見詰めてくれた。
その瞳には、普段の凛々しい姫将軍さまの威厳はない。
なんというか、普通の女の子っぽい感じだ。

「わざわざ、私の顔を見るためにここまで来てくれたんだね…… 嬉しいよ」

潤んだ瞳を細めながら、微笑むクローディアの顔が僕の方に近付き、そのまま二人の唇は重なり合った。
しなやかな腕が、僕の首を抱え込むように巻きついてきた。
唇の柔肉同士が触れ合い、互いの存在を確かめるように絡む。

 ちゅっ、
 ちゅっ……、
 ちゅっ…………、
 ちゅぅぅぅぅーーーーーー……………っ!?

(む、むごごごごーーーー!?)

思う存分キスされたまま、呼吸もままならず僕はジタバタ暴れた。
逃げようにも、両手でがっちり顔を固定されて逃げようがない。
彼女が満足するまでじっくりと口を吸われ尽くした後で、ようやく僕は解放される。

「ぷはーーっ…… うふふ、久しぶりのキスは嬉しいね」

久しぶりどころか、危うく最後のキスになるところでした。
長い禁欲明けのキスにご満悦といった感じのクローディアだけれど、
僕はそんな彼女に、何と言うか…… そこはかとない身の危険を感じた。

「じゃ、じゃあ王様のお仕事に戻らなきゃいけないから、今日の所はこれで……」
「待った!」

クローディアの手が、僕の衣装を掴んだ。

「今更戻ろうが、ちょっと遅れて戻ろうが、大きくは変わらないと思わないかい?」
「えっ?」
「ならば、折角会いに来てくれたのだもの。もう一寸ゆっくりしていっても良いだろう?」
「で、でも、皆待ってるし……」
「私も、ずっと君と会える日を待ってた!」
「うわわっ!」

椅子ごと押し倒された僕の上に、クローディアが圧し掛かる。
はじめての時からずっと、こんな感じで主導権は彼女側にある。
牧羊犬の躾と同じで、初めにガツンとやっておかなかったのがいけないんだろうか?

「フフフ、逃がさないよ?」
「えーと、その、逃げたりしないから、どいて欲しいな」
「ヤダ」
「やだって…… むぐっ」

クローディアの唇に、僕の言葉は遮られた。
さっきと同じくらいに激しい口付けだった。
唇を重ねつつ、彼女の手は僕の装束を解きに掛かる。
はだけられた襟元から、細いけれど鍛えられた指が忍び込み、僕の胸板を撫でていく。
(うう、ここまできたら覚悟を決めなきゃ)
僕は手を伸ばし、クローディアの背中から腰、脇の辺りに愛撫を返す。

「あんっ ……うふふ、その気になってくれたんだね?」

嬉しそうに笑ったクローディアは、襟元から引き抜いた手を今度は僕の下肢へと移した。
腰帯を解いて差し込まれてきた手が、僕のモノを掴み、握る。

「はぅっ?」
「うむ、こっちもその気になって来たみたいだね」
「ううう、ちょっと握るの強すぎ……」
「まったく、憎らしいことだ。私は進軍中ずーっと禁欲しているというのに、
 君は王宮でヤりたい放題なんだからな」

ちょっとスねた顔で、僕を睨むクローディア。
でも、美人はそんな顔も綺麗なんだよなあ。

「ヤりたい放題なんて、してないよ」
「ほう? ミリアンやモーディの件はどう説明する気かな?」
「それはその……」

ミリアンもモーディもクローディアの侍女で、主人が出陣中に僕と懇ろになった女の子たちだ。
でも最近になって、二人とも急に縁談が纏まったとかで、王宮から居なくなってしまったのだ。
なかなか可愛い子達だったので、ちょっと僕はがっかりしてたんだけど……
まさか、クローディアが裏から手を回して追い出したのだろうか?

「それは?」
「えーっと、それはその…… ごめんなさい」
「ほらね」
「……うぎぎぎぎっ」

力いっぱいナニを握り締められて、呻き声を漏らす僕。

「怒ってる訳じゃないんだよ。ちょっと悔しいなと思ってるだけだ」
「なら、少し力を抜いて欲しいんですけど」
「私は君一筋で、こんなに愛しく恋しく思っているのに―― 君にとっての私は、
 その他大勢な女の一人でしかないんだよなあ」

眉を顰めた顔に、憂いが浮かぶ。
心なしか、どこか眼が潤んでいるようにも見えた。
思わず、僕は叫んでいた。

「そ、そんな事無いよっ。クローディアは僕の一番の人だよ!」
「……本当かい?」
「ホントにホント! たとえ他の子に手を出しても、一番はクローディアだよ!?」

そうじゃなきゃ、抜け出してまで会いに来ない。
これからも王様としてやりたい放題するかもしれない…… いや、きっとするけど、
クローディアが好きな人筆頭だという事実は変わらない。
僕は彼女の瞳を見つめて、はっきりと断言した。

「フフフ、信じて上げる」

そう僕の耳元で囁くと、クローディアはナニを握り締める力を緩めてくれた。
そしてゆっくりと、付け根から筒先までゆっくりとしごいてくる。

「あぅ……」
「相変わらず、可愛い声で啼くね」
「あんまり可愛いとか言って欲しく無いんだけど…… 一応男だし」
「実際可愛いんだから仕方がない。私は可愛い君も好きで好きで好きで好きでどうしょうもないんだ」
「はうっ!」

先っぽの部分を指の腹で撫で回され、また情け無い声を上げてしまった。
強弱を付けた指裁きは、ほんの少し前まで処女だったなんて信じられない位に上達している。
ほぼ同じ時期に童貞を捨てたはずの僕が、なんでこんなに遅れを取っているのだろうか?
やっぱり生まれ持った才能というヤツには敵わないのかなあ?

すでに堅く屹立した僕の物を、クローデイアは楽しそうに弄ぶ。
僕も負けては居られない。
クローディアの纏う絹服の隙間から、脚衣の中へと手を差し入れて――

 にちゃっ

「あんっ!」
(わわっ、もう濡れてるのか)

湿った感触が、指先に伝わる。
まだそこには禄に触ってもいないうちから、彼女の股間は濡れていた。

「驚いたかな? こんな早く濡らしてたなんて」
「い、いやっ、そんな事はないよ。(やば、顔に出てたかな)」
「はしたない女だと思う?」
「そんな事、思わない」
「でもね―― 」


熱い吐息を感じるくらいに顔を耳元に寄せて、クローディアは呟いた。


「 ――私が熱く濡れるのは、君を感じる時だけなんだよ」
「クローディア……」

彼女の名前を呼ぶ以外、口から何の言葉も出なかった。
ああ、もうっ。
そんなに熱い告白されたら、男冥利に尽き果てるってもんじゃないか!
きっと今の僕は、顔を真っ赤にしているだろう。
なぜならまた、僕の顔を見てクローディアが面白そうに微笑んでいるから。

「じゃあそろそろ、ずっーと君を待ち望んでいた健気な女に、ご褒美を貰えるかな?」
「うん」

一もニもなく僕は応じた。
っていうか、この状況で拒否できる奴が居るなら会ってみたい。
するすると服を脱ぎ捨てたクローディアが、僕の上に跨る。
僕は上手く納まるよう、片手をナニに添えて待ち受ける。
この体位でされるのは慣れているので、二人の呼吸は自然に合う。
(というか、彼女が騎乗位好きなのだ)

「ん、んんっ……」

筒先が、温かく湿った柔肉に包み込まれる。
ゆっくりと、彼女が僕のを飲み込む。
うねる肉襞の存在を陽根で感じながら、奥へと刺さってゆく。
途中で、クローディアは腰を止めた。
いきなり最奥までは行かないのが、彼女の流儀だ。
奥に突き立てる前にたっぷり時間をかけて、情感を高めておくのが好きなのである。
初めは急がず、ゆっくりと引き戻して、また腰を落とす。
それを繰り返されると、僕の方も堪らなくなってきちゃうのだ。

「ウフフ、気持ち良いかい?」

クローディアは、そんな僕を余裕ありげな風に見下ろしている。
うー、また主導権を握られてしまった。
相変わらずといえば相変わらずだし、
そもそも彼女がこの体位を好む理由が、自分の好きな通りに動けるからなのだが、
このままではちょっと情け無いぞ。

「えいっ」
「きゃっ、」

僕はクローディアが腰を落としてくる瞬間を見計らって、下から突き上げてやった。
当然相手が予想していたよりも強く深く入る訳で、
彼女の唇から、それこそ珍しく可愛らしい叫び声が上がった。

「へへー」
「もう、やってくれるじゃないか!」

たまにはこうして逆襲もしておかないと、尻に敷かれっぱなしになっちゃうものね。

「そっちがその気なら、私も本気を出してしまおうかな?」
「え?……ふぁぅ!」

ぎゅっと、締めつける力が強まる。
なにがナニを締める力が強まったのか、一々ここでは説明すまい。
そのまま雁首ごと持ち上げられるかの如く、引き抜かれて行ったかと思うと、
一転、今度は粘膜が吸い付いくかのように絡みついてくる。

「ク、クローディア…… こんなの何処で……」
「鍛えた」
「ちょっ、鍛えたって…… あっ、ぅ……」
「うかうかしてると、他の女に君を取られてしまうかと不安だったのでね」

あっさり言ってくれますが、宮廷では政務、外地では遠征と忙しい中、
何時そんなの鍛錬する暇があったのやら?
心に浮かぶ疑問を問いただす間もなく、締め上げる力に強弱も込めて、
クローディアは僕のをしごき上げる。
髪を振り乱し、亀頭が子宮を突くたびに嬌声が洩れる。
激しい動きに、目の前で彼女の胸がたゆたっていたが、僕にはおっぱいに手を延ばす余裕も無かった。
何度も何度も往復し、擦り上げられるうちに、会陰の辺りをぞわぞわと催してくる感覚がある。
我慢しようにも、抑え切れるもんじゃない。
僕のそんな気配を察して、クローデイアは腰を上下する動きを強めていく。

「あっ、うぅっ、も、もう…… んっ、んんっ!」

陽根を走り抜ける名状しがたい快楽とともに、僕はクローディアの膣中に精を放っていた。

「ん、一杯出したね」
(……うー、また良い様に弄ばれちゃった。我ながら情け無いなあ)

でもなんだか、こういう関係もまんざら悪くないと思う自分も居たりして。
今でこそ彼女を呼び捨てにしてる訳だけど、初めは『クローディアさま』と呼んでいたんだし、
指輪の力がなければ、僕は彼女の足元にも―― いや、
彼女が乗った馬の蹄の跡にも近寄れない身分だったんだし。
なんとなーく、彼女の尻に敷かれるのも、僕の運命のような気もしてるんだな。
事が終わった後の、気だるくも心地よい感慨の中、僕はそんな事を考えていたのだ……が、

 き ゅ っ

「あうっ?」
「何時まで休んでるのかな。私はまだ満足させてもらってないよ?」

胎の内に納まったままの僕のモノを締め上げつつ、クローディアは笑いかけてくる。

「えーっと、えーっと」
「さあ、お楽しみはこれからさ……」


・・・・・・・・・


理屈と膏薬はどこへでもくっつくとやら、
僕が戦地に突然現れたことも、それなりに理由がつくものだ。

『恐れ多くも、戦地観閲にお越しになられた陛下に、敬礼!』

いつの間にか、僕は抜き打ちで戦況視察にやって来たことになったらしい。
(もちろん、考えたのは僕ではない)
大勢の兵隊さんが直立して敬礼する中を、僕とクローディアは並んで進む。

「うーん……」
「どうしたの?」

僕が唸ったのを聞いて、クローディアが小声で尋ねてくる。

「この式典、急に決まったんだよね」
「そうだけど、それが何か?」
「いや、誰もが皆、真剣な顔をして僕の観閲を受けてる姿を見ると、
 急にこんな式典をやらされて大変なのに、みんな真面目にやっているんだなあって」
「ふふ、そう思うのなら、君もこれからはキチンと宮廷儀式に努める事だ」
「……なるべく、頑張る」

お尻が痛くなったら、また嫌気がさすかもしれないから、あんまり確約はしない。
しかし、こう皆真面目に整列する姿を見ると、退屈だからといって王宮を抜け出してきた自分が、
なんとなく恥ずかしくなる。
僕も一兵卒として従軍中は、重い軍装を背負わされて長い間歩き通しで、心底辟易したものだ。
きっとここにいる兵隊さんたちも、同じ苦労をしているのだろう。
それでも尚、こうして全員緊張の面持ちで僕を迎えるのは、
王様の観閲という出来事をとっても重大に捉えているからに違いない。
うーん、やっぱり僕も王様になったんだから、一生懸命頑張らなきゃいけないなあ。
ちょっと退屈な儀式も我慢するか。居眠りは二日に一回に抑えよう。


そう決意を新たに新たにした僕だが、ここでもう一つ考えたことがある。
将兵の視線が集まる観閲式で、僕はクローディアと並んで歩いてる訳だが、
姫将軍の頬がツヤツヤで、王様がゲンナリした青い顔してるってのはどうなんだろう? 威厳的な意味で。


(終わり)

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最終更新:2009年03月04日 22:20