ある暑い日の午後。
草いきれの中、モニカは鎌を持つその手を休め、ぐっと背伸びをした。
屈みっぱなしの姿勢は、腰にくる。ついでに体もひねると、彼女は眉間にしわをよせた。
「おい、マイク! おまえ、サボるなとあれほど言っただろう!」
背の高い茂みであるのをいいことに、同僚の男は地面に寝転がっていた。
「マイク!」
「……うっるせーなぁ。こんな仕事、俺たちがするようなことじゃないだろ」
「しかし、これも立派な任務――」
「だからって、2人はねぇだろ?」
「それは……」
海外派兵により本国から海を超え、はるばるこの地にやってきたのはもう3ヶ月ほど前のことである。
だが、斯く斯く然々、正義感満載で上官から疎まれたモニカと、
ちゃらんぽらんちゃらんぽらんして同じく上官から疎まれたマイクは、
現地復興支援という名の下、体よく僻地に追いやられ、毎日毎日草刈りに精を出していた。
金髪に豊満な肉体と軽薄に思われがちな見た目に反して、モニカは真面目一辺倒の性格である。
しかし、1人ではただの空回り。マイクは気分にむらがありすぎ、2人は小さな諍いを繰り返していた。
「――た、確かに私たちだけなのは大変だ。けれど、与えられた任務は全うすることが……」
「……あーっ、もう、うるせーなぁ!」
勢いよく起き上がると、マイクは立ちはだかる草をものともせず、モニカに詰め寄った。
「取り敢えず、ヤらせろ」
「なっ、おまえ、場所を考えろ!」
「てめぇが元気過ぎるからだろ。すっきりさっぱり心地よい疲労、いや、ヤりまくってクタクタのボロボロにして明日動けなくしてやる」
「それは単なるおまえの欲求だろうっ!」
ニヤリと笑うとマイクはモニカの頭を掻きつかみ、激しくその唇を貪りはじめた。
抵抗しようにも、やはり己より体躯のいい男の力にはかなわない。
しかも、モニカには弱点があった。
「……ふーん。やっぱ、おまえ弱すぎだな」
片手でモニカの尻肉を掴み、絞るように揉み込む。ついでに自分の高ぶりも下腹にこすりつけると、モニカはあっという間に腰砕け状態になってしまった。
「ぅ、うるさい」
「真面目だからか、想像力は抜群だよな……。もう突っ込まれること考えてんのか?」
「ばっ、んなわけ、ぁ、ひゃああ!」
厚い軍服の上から今度は胸を鷲掴みにされ、モニカはへなへなとへたり込んでしまう。
「この前から思ってたけど……、おまえ、今までよく軍隊で無事に生きてこれたな」
「それは、こ、こんなはしたないことは、したこと、なかったからだっ」
モニカの快感で潤んだ瞳と乱れた呼吸は、容赦なくマイクの理性を削っていった。
「――感度良すぎってのも、考えもんだな」
「んっ、やっ、ダメだってばぁ!」
勝手知ったる軍服を手早くはだけさせていく。
屋外のため全てを脱がせることは出来ないが、その中途半端さが、普段真面目な彼女と今の快感に喘ぐ彼女の両方を思い起こさせて、
マイクはそのギャップに目眩がしそうな興奮を覚える。
先日、酔った勢いと好奇心でモニカと関係を持った。
頭が硬そうでいかにも処女然とした彼女に、正直全く期待していなかったのだが、今ではこの体たらく。
まだまだ硬さの残るモニカの体を気遣うつもりでも、ついついがっついてしまうのだ。
今だって、随分手荒な愛撫にもモニカの体はしっかりと反応して、その中心はとろとろのぐちゃぐちゃである。
けれど、まだ中を解さないとモニカは若干の痛みを感じるらしい。
彼女を四つん這いにさせると、マイクは背後から覆い被さり耳元に口を寄せた。
そのまま息を吹きかけ食むように耳を舐る。
それだけでモニカの体は慄くように震えた。
「ふ、っう、…はぁ、ああっ」
指の間に突起を挟み込み、垂れ下がる双丘をたゆたゆともみしだく。
時々突起をしごき上げたり引っ張ったりするたびに、悩ましげな吐息が漏れていく。
「――あーあ、この調子じゃ、一回じゃ足りないかもなぁ」
「ばっ、か……1人でヤってろ……」
「あ? ……ちげぇよ、おまえの体が満足しないんじゃ、って」
こんなにびちゃびちゃなのに、とマイクは下腹部に手を滑らせた。
繁みを掻き分けると、ぬるつくそこは触れただけで小さく水音が聴こえる。
ぷっくりと膨らんだ肉芽は手のひら全体で振動させ、中指はまだきつい中を少々乱暴にかき回す。
自分の腕を噛み締め声を殺すモニカに、マイクは胸に小さな痛みを覚えた。
いじらしい、と思ったのか。征服欲が満たされた歓喜からか。
どちらにしろ、或いはどちらでもないにしろ、モニカの媚態はマイクの興奮を助長するには充分であった。
ベルトを緩めていただけだった自分のズボンから、屹立したそれを取り出す。
「……いくぞ。力を抜け」
その言葉を言い終わらないうちに、マイクはゆっくりと腰を落としていった。
「ふっ、は――はあぁぁぁ……」
「く……っ」
処女だったからと思っていたが、モニカのきつい締め付けはどうやら生来のもののようだ。
モニカのためというよりは自らのプライドを保つために、マイクはゆっくりと動き始めた。
「すっげ……。締めすぎ……」
「はぁっ、す…まない……」
「…………なに謝ってんだか」
一生懸命深呼吸して力を抜こうとするモニカを無視するように、マイクはさらに深く押し込めていく。
蜜にまみれた怒張に押しつけるように、肉芽をぐりぐりと押しつぶす。
嬌声を漏らしながら喘ぐモニカをしっかりと抱き留めると、マイクは激しく揺すり上げた。
「はっ、ぁぁ……、…はぁあっ……、あ、あ、……ああぁぁぁ!」
マイクはぎりぎりまで肉壁を味わうと、彼女の臀部に白を散らした。
持っていたタオルでモニカの体を拭うと、マイクは自らの身支度ををすませる。
呼吸を荒げて弛緩していたモニカも、のろのろと起き上がると自身の服を整え始めた。
「…………良かったのか?」
「あぁん? 何が」
その応えにモニカは瞬時に顔を赤らめると、きっとマイクを睨みつける。
「おまえが、何回もしたいっていうからこっちはそれなりに覚悟を、して……っ!」
唖然としたマイクの表情を見て、数瞬のちにモニカは己の失言に気づいた。
猛烈にいたたまれなくなり、多少ふらつきながら立ち上がろうとしたところをマイクに腕を取られ、胡座をかいた彼の膝の上に乗せられてしまった。
「――おまえさぁ……、なんかすげぇ勘違いしてるよな」
バタバタと暴れるモニカを上手く抱き込む。
「確かに、何回でもしたい。が、ここじゃ気持ち良くなりきれないだろ、お互い」
「はっ!? おまえ、結局――っ」
「そーれーにーだーな」
再びもがき始めたモニカをぐいぐいと抱きしめる。今度は手加減なしだ。
「――余り者同士とはいえ、俺たち仲間だろ。肝心なところで、俺の顔色伺うのはやめろ」
襲ったも同然だったのにモニカがマイクとの関係を続けた理由。
知ってしまった快楽故、というのもあるが、男の生理的欲求に対するちょっとした誤解と責任感によるのではないかとマイクは感じていた。
マイクは男だし、しかも女の体が好きだ。あればできるだけ味わいたいが、なきゃないで我慢することはできる。
しかしモニカは、男と女2人っきりのこの状況においてマイクがモニカを求めたくなるのはしようがなくて、そしてそれに応えるなら精一杯頑張ろうとするのだ。
健気というか真面目というか。
与えられた状況に対して必要以上に一生懸命になってしまう、何事にしても。
「俺は…………」
我に帰る前に。
「好きでもない女を抱くほど、お人好しじゃねぇんだよ」
「…………調子のいいことを。……言うな」
強張っていた体の力が抜け、モニカはこつんとマイクの胸に頭を預けた。
この日初めて、2人の唇が重なった。
最終更新:2009年07月07日 03:37