色々ご感想いただき、ありがとうございました。
が。正直、自分の中で納得出来ない部分が多々ある話になってしまったので、
(言い訳は見苦しいので何がどうとは言いません)リベンジとして事の翌日番外編、
バカップルもの一編投下させてください。
これにて、また一読者に戻りたいと思います。






あの時何が起こったのか――。

気付いた時は朝で、二人で裸のまま抱き合っていた。クリフは軽く寝息を立ててぐっすりと眠っている。
「ええっと……」
起こさないようにと口の中で呟いたつもりだったのに、クリフは目を覚ましてニッと笑った。
こんないたずらっぽい笑顔は初めて見る。
「おはよう」
「――おはよう、ございます」
「まだ早いよ? 俺、体力使ったんだよね。もう少し寝ない?」
クリフの言葉にボッと全身を赤くする。
昨日は昼間から二人で抱き合って――セ、セックスして……
クリフの細い身体のどこにあんな力があるのかと思うほど、何だか色々なことをされたような気がする。
結ばれたところまでは覚えている。内臓を抉るような破瓜の痛みに耐えているうちに、名状し難い甘い感覚が沸いてきて。
そうだ。たしか別人になったような気がしたのだ。
あれは一体、何だったのだろう?
「ねえ、クリフ。あれ、一体何?」
慌てて尋ねると――
「寝てる……」
がっくりと肩を落とす。
アニーは知らなかったのだが、アニーの助けを借りたとは言え、自己流独学魔道師が魔神の召喚を行うと言うのは命懸けで、本人の言う通りとても体力を使ったのだ。
だが、アニーは知らない。
少し膨れる。でもいたずら心が湧き、気持ち良さそうに眠るクリフの頬を引っ張った。
だが――
「やっぱり寝てるし」
そっと唇を重ねてみる。
昨日は何度こうやって唇を重ねただろう。
ぺろっとその唇を舐めてみる。
少し、甘い。
そういえば、昼からずっと何も食べていない。
湖に行って魚でも捕ってくるか? 釣竿とかある? 網は?
ここ、調理場はあるのか? パンとかあるのだろうか。
いやいや、そもそもここって誰の小屋なのだ? クリフのことだ。不法侵入はないだろうが。
「クリフ! 頼む、起きてくれ!!」
いらえはない。
アニーは途方にくれた。
溜め息と共にクリフを見つめる。
白い裸身が目に入った。さっきまで一緒にくるまっていた掛け布団をアニーが持ってきてしまっていて、半分しか掛かっていないことに気が付いた。
掛け直そうとして――
「――!!」
身体の中心に聳え立つもの。
こ、これって……
掛け直す風を装って、そっと覗き見る。
これが私の中に――?
おずおず、と手を伸ばす。

華奢な体躯のクリフに似合わない凶暴な大きさと形をしている。
つつ――と先端の亀裂に指を滑らせると、透明の滴がまるで一つ目小僧のように浮かんだ。
張り出した先端を摘まんでみると――意外と柔らかい。
段差があって、その下には皮が弛んでいる。
見れば見るほど不思議な形状だ。
皮の弛む部分を握ってみたら、ギュッと上からクリフに掴まれた。
「きゃっ……!!」
「そのまま動かして…」
少し、甘えるような響きに頬が赤らむ。
「起きていたのか?」
「誰かさんがいたずらするから」
のんびり笑って、クリフはアニーの耳朶に口付けるようにして囁く。「もっと……して?」
そのままアニーの手を使って己を扱く。
「ああ……気持ちいい……」
クリフの嬉しそうな表情が嬉しくて、アニーは恥ずかしそうに微笑んだ。
反対側の手で頭を引き寄せられ、口付けを交わした。
舌を絡め合っていると、また身体の奥が熱くなり、とろりと濡れてくる。
「ああもう!」
何か悪いことをしたのかと驚くアニーに抱き付き、そしてベッドに押し倒した。
「俺、本当に眠いんだけど!!」
と、怒るようにしてアニーの胸にむしゃぶりついてくる。
「ご、ごめ――うわっ!!」

昨日のような優しい指使いではなく、乱暴に揉みしだく。
ささやかな膨らみのためなかなか手の中に収まらないが、乳首に指が触れる度に電流が走る。
息が荒くなる。うねるような愉楽に声が上がる。
性急に足の間をまさぐり、肉芽を揺らす。
「もう凄く濡れてる。びちゃびちゃだよ? もしかして、淫乱?」 もしやと内心思っていたことを指摘され、アニーは足の先まで赤くなる。
「昨日まで処女だったのに」
「誰がそうした――?あっ!」
「俺」
再びいたずらっぽく笑う。
「アニー、俺にしない?」
「あ、あ、あ、あ、何がぁっ?」
「俺のモノになってよ」
「え?……きゃあっ!」
「俺と結婚して」
「あん…あん…あっ…や…だめっ………」
「だめなの?」
「だめっ……何か来る……来ちゃう! あ、あ、あああああ!! 」
アニーは激しく身体を強張らせて弓なりにしなった。

クリフは嬉しそうに笑いながら、アニーのぐったりとした右足を掴み上げ、肩に伸せて腰を突き入れた。
「やああ……あんっ……!」
「まだ、痛い?」
挿入の余韻を楽しむように腰を止めながら言う。
不思議だ。昨日はあれ程痛かった交接が今日はほとんど痛みはない。
むしろ、甘い疼きがどんどん沸き上がってくる。
「大丈夫……気持ち、い……」
クリフは嬉しそうに笑った。
アニーはそっとクリフに訊く。
「嬉しい?」
「ああ。嬉しいよ、アニー。もっと気持ちよくなってよ」
そう言いながら、アニーごと身体を揺らした。
繋がっている部分がかき混ぜられて、粘った音を立てる。
「インラン――でもいいの?」
「いいよ――俺にだけなら」
また嬉しそうに笑うとアニーに口付ける。
「駄目だ……もう限界。行くよ……!」
クリフの高ぶりがアニーの身体の奥を突き、圧倒的な悦楽の世界へ連れていく。
「アニー!!」
「クリフ!――ああっ!!」
熱いものが胎内に放たれ、がっくりとアニーの胸元に崩れ落ちるクリフを抱き留める。
胸に満ちる穏やかな幸福に、アニーはゆっくり目を閉じた。


結局、空腹のあまりにそっと起き出したアニーは再びクリフにベッドに引きずり込まれ、散々声を上げさせられた挙げ句、昼過ぎにはとうとう怒り出したため、
渋々クリフも服を着て、共に釣りをし、持ってきていたと言うパンを――持っているならさっさと出してとまたアニーが怒り――仲良く平らげた後、
デザートを寄越せとアニーを引き寄せ、またまた甘い時を過ごした二人は、ようやく夕方になってから帰路に着いた。
結局、クリフのプロポーズはうやむやになってしまったが、律儀な魔神の約束を信じているのでそれはそれでよしとした。
尤も、もう手離す気は更々無いわけで、なにがなんでも彼女を自分だけの女にすると決めている。
クリフは計算高い男なのだ。決めたことは必ず実現させる。
人生ただ一つの誤算はこの俺が女に惚れるなどと言うことだ――と自嘲して、
しかしそれもまた良いかもなと熱に浮かされた事を考えていたりする。
城に戻れば、彼は王の宰相としての道が待っているはずだ。
周りはきっと魔法のようなことだと思うだろうが、事実魔法なのだとは誰にも教える気はない。
例えそれが愛するアニーであっても。

<FIN>



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最終更新:2010年04月25日 02:02