とある中世の時代世界―
ライドムンとサンレブトという二つの王国に挟まれた、マサンド山と言う山の奥地に、ひっそりと人々が暮らす村があった。
山岳地帯であるにも関わらず、二つの王国に挟まれているという都合の上から、領土の覇権争いの具にされ、
村は実に何度も戦火の中に飲まれかけていた。
しかし、負傷者や死者が1人も出ないなどとはいかないまでも、その村自体が滅びる事は無く、両王国からの侵攻、侵略に屈する事もなく残り続けた。
その奇跡は、たった一人の女戦士が起こしていた。

「また、王国の手の者か…」
「お、お前がッ!?―」
風に靡く髪は金色。
青く澄んだ瞳。
そして―
「あれ程に富と土地を持ち、何故、この様な辺鄙な村にまで執着するのか?」
「―…ッ?!」
ドサ!―
その音を敵に聞かせない程に速い剣捌き。
金髪の悪魔―
いつからかそう噂される程の存在になった、まだ15歳の少女とも言える女戦士が。

「…存外呆気なかったな」
一人の兵士を斬り伏せたものの、その手応えの無さに拍子抜けの感が否めない女戦士は、
逆に警戒心を強め、周囲を見渡した。

(まだ…いる!)
女戦士のこれまでの経験が、見えぬ敵の気配と危険を彼女に察知させる。
「!―ほう、私に気づいたか」
「…魔法使い、か」
「まあ似たようなものだ」
何も無かったはずの女戦士の前、無色透明な空間に、黒い色の点が現れ、それが急速に膨らみ、フードを目深に被る黒衣を着た男へと変貌した。
「先の兵士は囮…私を試すための捨て駒、と言うところか?」
「正解だ。ならば、次の私の一手も想像は容易であろう」
「生憎、魔法使い相手にのんびり出方を待つほど人はできてないんで、―なッ!」
(魔法使いの類いを相手にする場合、殊更に先手が肝心!!)
女戦士の剣が雷光の如く走る。
しかし―
「?!!―こ、」
これは何だ?と言う間もなく、女戦士は、相手の魔法使いの広げた、黒い闇の空間に飲み込まれた。

(しまった!移動―空間転移系の魔法か!―)
女戦士は静かに舌打ちする。
勢いに任せ、先に手を出す事を見事に読まれてしまっていたのだ。 「ようこそ我が城へ」
二人が運ばれた先は―
「ここは?!…ライドムン城の地下じゃないか!」
「おや?ご存じでしたか」
「…個人的な事情でな…」
(まさか、こんな事態で再びこの城に来る事になるとは…)

「なんにせよ、こちらはキサマを倒す事に何ら変わりはない。さあ、覚悟しろ!」
「さあ、それはどうかな?」
黒衣の男は、嵐のような女戦士の怒濤の剣撃を飄々とかわしながら、不敵に笑う。
(?―強がりか?)
「ここは城の地下でしたね」
「それがどうした」
「今、あなたの守るべき「村」は、どうなってると思います?」
(!―)
男の片手から、サッと水晶球が現れて、その中に、のどかな農村が映し出された。
(ま…まさか?!…)
「今この村の周囲には、私が用意した100匹のオーク兵がいるんだ」
「オーク…だと?」
「そう!まあ、君なら1000匹相手でも勝てる相手だろうがね」
(そうだが…今の村には!―)
「つまり村そのものが人質、と言うわけか…」
「こちらのお願いを聞いてくれるかい?」
「げ、外道め!」
女戦士はそう吐き捨てながらも、剣を下げて、無抵抗をアピールした。
「…望みは、何だ?」
「フフフ、他ならぬ君自身だよ」
「な?!…何だと!」
黒衣の男は、無抵抗を示した女戦士の前に堂々と歩みより、彼女の着ている鎧や衣服を、魔法を使い、まるで強い酸をかけて溶かした様な格好にした。
「君をこの地下室で、たっぷりと躾てあげよう」
「な、何する気―だ?」
「可愛い悲鳴をあげてもいいんだよ」


「うぼっ!…ごぶぼ!んっ!…」
裸にされ、両腕、足に鎖をかけられて、逃走と抵抗する自由を奪われた女戦士は、
今、ライドムン城の地下室で、その城の兵士たちの「下の世話係」として奉仕していた。
「おいおい!溢さないでちゃんと飲めよ!」
「…な、慣れてないか―う"っ!」
兵士が女戦士の腹を蹴る。
「口答えするんじゃねえ!さっさとオレのモノをくわえて、美味しそうにおねだりしろ!」
「ぐっ…く!…」
赤面する女戦士。
「あれ?…お、お前―カイザーか?」
「な…?!何故、私の名前を―」
「はっはっは!こりゃ傑作だ!」
兵士は破顔して笑う。
黒衣の男もその笑いの理由に興味を示す。
「どうされました?もう彼女がバテて逝き果てた、とか?」
「違いますよ大将。こいつは、かつてこの城で騎士団長まで務めた女だったって事で、ついね」
「ほほぅ!…それは初耳でした」

「それがどうしてか、騎士をやめて放浪し、金髪の悪魔と呼ばれる様な野良の戦士に成り下がってたとはねぇ…くくく」
「くっ!…」
「大人しく国の意向に従っていれば、こんな目にあわず済んだものを」
兵士は女戦士の頭を後ろから鷲掴みし、後ろに引き倒し、おもむろにぺニスを挿入した。
「これからは金髪の雌犬として、俺らが養ってやるよ!カイザー!」
「い、やああああぁぁッ!!」

女戦士カイザーの凌辱の宴は続いていた。
「ハハハ!あの女騎士様が今や変態の雌犬、いや、もはや奴隷か!」
「あっ!あっ!…いっ、や!」
四つん這いにされて、立て続けに続く挿入と前後の揺さぶりに、カイザーは次第に身体が馴染むのを感じていた。
(あ……こ、こんな―)
真っ白になる景色。
途切れる意識。
耳に入る嘲笑。
顔に、身体に、子宮にぶちまけられる数多の男たちの白濁の液体。
「ンああああぁぁあああ!!」
(な、何これ?!身体が…熱い!もっと!刺激が!……欲しい…ほしい!)もっと!もっと!もっとおぉっ!)
「いやぁ、ちょ~っとあなたの身体に「解放」の魔法をかけてみたんですが…見事に「性欲の扉」が開いたみたいですね」
(そ、そんな―でも、もうッ!―)
「も、もう…もういいッ!いいッ」
カイザーは、その長い金髪の髪を振り乱し、ビクンビクンと鼓動する雌肉と化していた。
「さあ!もう自分は性交奴隷だと、大声で叫んでみろ!カイザー!」
「…あ、そん――」
僅かな理性の躊躇い。
それを瞬間、爆発的にカイザーの欲情が凌いで―
「わ、私はッ!あなた達のッ!雌奴隷えええぇぇっ!!」

その叫び声と同時に、カイザーはドバッと股間から潮を吹き出していた。
「はあひゃあああぁぁッ!」
「ふははは!いいザマだな!もっともっとイカせてやる!そら!腰を振れ、このド変態の雌奴隷め!」
「あひぃいいっ!はいッ!…もっと、私をッ、バコバコ突いてえッ!」
スタンダードなバックで、ひたすら犯されるカイザー。
その顔はすでに半白目のアへ顔で、さっきまでの戦士としての凛々しさなどもはや欠片もなく、
今自分は性交の絶頂にあると、全身で歓喜を表現していた。
「おっ、おっ!…そろそろまた出そうだ!いくぞ!そらそらそらそら!」
「ッ!アッアッアッアッアッ!!」
男の激しい腰使いがカイザーをガクつかせ、一気に追い込む。
「あああぁぁああぁッ!イクイクイクッ!イク、イクううぅぅッ!」
ブンブンと頭を振り、金髪乱して喘ぐ様は、さながら何かの舞いを思わせる妖艶さがあった。
そして最後に―
大きくビクン!と身体を震わせて、カイザーは意識ごとイッた。
「ふぅ…金髪の悪魔も、こうして輪姦(まわ)されてしまえば、単なる雌か―」
「そう―ね」
「?…何だ、もう回復したか?早いな」
ここから―
男兵士達は知る事になる。
何故、カイザーが「金髪の悪魔」と呼ばれたのかを。


「なんだ…もう、起たないのぉ?」
「う、あ…も、もう許し―」
「ダァメ!」
容姿はカイザーのまま、身に纏う雰囲気と、声が少し甘く高めに変わっていた。
「お、お前は…何者、だ?何故、こんな?うおおぉうっ……」
「何者、とはご挨拶ねぇ…散々「私」に跨がっておいてぇ」
嬉々として身体を弾ませ昂るカイザーは、先の悲鳴をあげて泣き叫んでいた時とは、まるで別人だった。
サキュバス―
今の彼女は、その悪魔に憑依されたその存在そのものだった。
「あら、これで全員?早いわねぇ」
(…終わったの?なら身体を返してよ!)
「何よ、あなたが5人目くらいで気絶するから悪いのよ。まだ暫く乗っ取らせてもらうわ」
(なら、村に迫る危機だけでも知らせて!)
「ああ、あのオーク達ならさっき討伐隊にビビって逃げ出してるわ」
(わ、分かるの?)
「生粋の悪魔だからね~」
(……分かったわ、暫く寝てるわ)
「…でも、忘れないでね?こうして私が楽しめるのは、
「器」で相手があなたに負けてるからで、器ごと上回る相手とやると、本当にあなたは奴隷になっちゃうんだからね」
(…その条件と引き換えに存命したみたいなものなんだから、贅沢は言わないわ…)
「フフフ、じゃ、おやすみなさい」

「なるほど…そう言うわけでしたか」
ライドムン地下室から、いち早く脱していた黒衣の男が、城を見渡せる高台に立ち、眼下を見下ろしていた。
「彼女が騎士団だったのは20年も前の話―容姿が歳にあわないのも、そのせいだったわけですね」

その後―

ライドムン地下室の死体が発見された後、これをサンレブド王国の仕業であると仕立てあげ、両王国の大規模な戦争が始まる。
しかし、真ん中に位置するあの村は、またも難を逃れた。

時代の移り変わり。
両王国の戦争は、新たなる新興の軍事的国家の台頭を許す隙も生み、共に滅亡する運命を辿り、戦時の時間は短くすんだ為に。

「王様ッ!私、妾でも…いい、です」
「はい!あの…村、いえもう…国、を!守って!私っ…子を、作ります!」
その裏で、一人の女が村を国とし、そこに王を立て、自らを供物の様にして、故郷を守っていたのだと言う噂が流れた。
その噂も「金髪の悪魔」の噂が廃れると同時に、次第に廃れ、いつしか国に発展した村は、
悪魔の仕業とされる事をおそれ、その存在を無かった事にしていった。

      〈完〉

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最終更新:2012年02月25日 20:00