戦争の理由は兵士にとってはあまり重要なものではない。
たとえどんな理由であっても兵士は上官の命令を聞き実行するだけの存在だ。
「全く、せっかく今日も生き残れたっていうのにまだ働かせるっていうのかよ」
ほんの数時間前には戦場だった平原で一人の兵士がぼやく。
彼等はこの日の白兵戦の後、死体処理を命じられていた。
他の部隊の者は勝利を祝い宴を催しているだろう。
「隊長の命令なんだから仕方無いだろ。だいたい人を殺したのを
喜んで騒ぎまくりたいか?」
マスクをつけた兵士が敵兵の死体を引きずりながら言う。
「…別にそうじゃねえけどよ、ヘナポン。なんで俺達だけが
こんなことをいつまでも…」
「僕らが奴隷みたいなものだからだろ」
穴を掘っている兵士が答える。この兵士たちは辺境の部族から徴兵された者たちで、
一般の兵士たちに比べ冷遇され、任期も異常に長く設定されている。
部隊長が無能だったらとっくに全滅している連中だ。
「やれやれ…」
アイズというこの兵士は愚痴を言うのもあきらめ、手頃な死体に近づく。
「あーらら、もったいねえなあ…」
よく見れば美しい少女だった。年の頃は16歳くらい、おそらく高貴な身分だった
のであろう。外傷は見当たらないが煤けているのを見るに爆発魔法に巻き込まれようだ。
鎧は高価だった為か誰かに引き剥がされていたが、珍しく凌辱の跡などはなかった。
これくらいの器量なら死姦する者がいてもおかしくはないが。
少々哀れに思いつつも、穴に投げ入れようと担ぎあげた。
「…っく」
「!!」
突然少女がうめき声をあげたように思えた。心臓に耳を傾けると
わずかだが鼓動が聞こえる。
「おい、どうしたアイズ?」
ヘナポンが声をかける。
「このガキ、まだ生きてやがる。メディック、治してやってくれ。」
「…いいのか?それ」
墓穴を掘っていた兵士は首をかしげる。敵兵を助けるなどもってのほかのことだ。
「別にそんな規則はないし、構わないと思うが。」
ヘナポンが言う。メディック自身も可能なら人を助けたいと思うくらいの良心は
残っている。一般的には邪神とされ、メディックにとっては自然神とされている神に
祈りを捧げその少女を癒す。しばらして少女は目を覚ました。
「キ…」
叫ぼうとする口に慌ててアイズが手をねじ込んで黙らせる。
「馬鹿かお前、今叫び声あげたら飢えたアホどもが押し寄せてくるぞ。」
少女は震えながらゆっくりとあたりを見回し、ようやく現状を理解できたようだ。
「…何故私を助けた。」
震えるような声だが、強い敵意が感じられる。当然と言えば当然だが。
「別に生きてるんだから死ぬことはねえだろ。」
「ふざけるな!!貴様らのような蛮族にこの私が…」
蛮族という言葉に3人ともカチンとくるが、間違いではないので反論はしない。
「…見逃してやるからとっと逃げ…
ドカッ
三人が油断している隙にすでに少女は戦いの準備をしていた。
隠し持っていた短刀はヘナポンの脇腹を貫いた。
「ヘナポン!!てめえ…」
素早く短刀を抜き防戦しようとするが、先にアイズの鉄拳が顔面にめり込む。
怯んだすきに少女に馬乗りになって首に手をかける。
「このガキ…なんのつもりだ。」
「だっ、黙れ、薄汚い蛮族の分際で…!」
少女はもがきながらも、鋭い目つきで睨みつけてくる。何故だ?
どうしてどいつもこいつもここまで偉そうに振る舞うのだ?
ふいにアイズに、この少女に徹底的に屈辱を味わわせてやりたい思いがわきあがった。
左腕だけで少女の首と左腕を押さえつけ、右手を少女の右腕に振り下ろした。
身につけていた籠手の重さは1キロあり、簡単に人体を破壊できる。
「…っ!!」
気管をつぶされている少女は声にならない悲鳴を上げた。
全くもろいものだ。もう抵抗もできないだろう。
そのまま少女の衣服を素手で引きちぎった。繊毛に包まれた秘所があらわになる
「へーきれいじゃねえか、ぴったりと閉じてやがる。」
そう言うと、何の遠慮もなしに少女の秘所に指を突きさし、動かし始めた。
あまりの激痛のためか少女は白目をむいて痙攣するが気にも留めず動かし続ける。
しばらくすると少女が何の反応も示さなくなってきたので引き抜くと、
秘所からは血が滴っていた。
ぐったりとしている少女を引き寄せ、アイズは後ろから自身の性器を荒々しく挿入した。
ぶちぶちっ
「ぎぃいい!!」
あまりの痛みに少女は再び覚醒した。
少女の股間からは血が溢れんばかりに流れているが、アイズは気にせず
強く腰を打ちつける。
その度に絶叫が上がり、少女の小ぶりな乳房がゆらゆらと揺れる。
その様をメディックとヘナポンは止めるでもなく、参加するでもなく眺めている。
「やれやれ、大丈夫か?ヘナポン」
「ああ、あんなちっぽけなナイフで死ぬわけないだろ。しかしまあ…どうする?」
「ぎぃ、ひ、こ、殺せ、いや、助け…」
少女の痛々しい悲鳴が聞こえてくるが、止める義理も無い。
「とっとと、仕事終わらせるか。」
「ああ。」
―どうしてこんなことになったのだろう。
少女は激痛にさいなまれる中そんな考えが浮かんだ。
名門貴族の自分が、帝国騎士の自分が、こんな異郷の地で
蛮族の中でも最も卑しい部族の男に何故こんな目にあわされるのだ?
「へへ、ぶちまけてやる。」
アイズの言葉で少女の意識は現実に戻された。
「な、やめ…」
アイズはさらに強く一物を奥へと打ち込み、果てた。
熱い子種が少女の下腹部を満たしてゆく。
「あ…あ…いや、いやあああ……」
目を見開き、くぐもった悲鳴を上げる。
アイズは射精により冷静さを取り戻したのか、ばつが悪そうに性器を抜き取った。
少女は放心状態のようで、精神が壊れていてもおかしくはない。
ごぽっという音がして、割れ目から精液がこぼれ出た。
…この量では妊娠させてしまったかもしれない。
「おいアイズ、戻るぞ。」
「あ、ああ。」
仲間に呼ばれ慌ててついていく。明日の夕刻にはこの地にも敵兵がくる。
運が良ければあの少女も助かるかもしれない。野営地に行くと、隊長が出迎えた。
「穴掘り穴埋めご苦労。戦績をまとめてやる。」
三人は手帳を取り出し、隊長に手渡す。
手帳には10年分の日付が書かれており、この手帳全てに印を入れられれば
晴れて除隊することができる。
最も除隊したところで戦争が続いていればまた徴用されるだろうし、
補償金も少ないので結局そのまま兵隊であり続けるものがほとんどなのが現状だが。
3人は手帳を受け取るとすぐに床に就いた。
それから数日後、彼等はまた以前のように死体処理を命じられた。
「アイズ…」
ヘナポンは変わり果てた戦友の死体を見つけた。
遺品はないか調べてみたら、彼の手帳が出てきた。
開くときりのよいページでちょうど印が終わっていたため、残りを破いて焼き捨てた。
「ほら、全部埋まったぞ。」
手帳を返してやる。
「…お前、あと何日残っている。」
メディックが語りかけてきた。
「2000日。…なあ、メディック。何で私たちって生きてるんだろうな。
似たような鎧着せられて、水にぬれただけですぐボロボロになるような
革靴をはかされて、ただ人殺しと尻拭いをやらされて。何なんだろ。」
「さて、な。理由なんて必要ないだろ。ただ食って寝て。
まあ、生きた証を残すに越したことはないだろうけどな。」
「生きた証ね…」
不意にヘナポンの頭にアイズに辱められた女騎士がよぎった。