大海の上に、数々の島が点在し、そこに様々な階級、種族の人々が暮らす世界があった一
今現在、その世界は一応の平和を保っていたが、だからこそ、
その端々では、より暗い話が平気でまかり通ってもいた。
「さぁ…お嬢ちゃん、こっちにおいで~」
「い、いや…」
とある市街地の路地裏、薄暗く人目も無い場所で、
まだ年端もいかぬ幼女、と形容できる幼子が、今まさに乱暴されんとする瞬間一
「一ぐあッ?!」
「その子から離れろ、この外道が!」
疾風一
見た者がそれを連想するほど、無駄の無い鮮やかな剣技が、幼子を毒牙にかけようとした男に炸裂した。
「お、おのれッ!…」
「去れ。今の剣をかわせない腕前じゃ、勝負にならないわ」
斬られ傷ついた腕を抱き込む様に、崩れ落ちる男の前に、
戦士然とした女が一人。
その姿は、この世界で一般には『レディナイト』と呼ばれているそれだった。