ナレーション | 昔々、一人の娘がおりました。 娘はみすぼらしい服を着て、灰かぶり姫と呼ばれていましたが、魔法で美しいお姫様になり、王子と踊ります。 そして12時の鐘と共に、娘はガラスの靴を残して、元の灰かぶり姫に戻りました。 王子はわざわざ娘を探し出し、妻に娶りましたが、でも、王子はその娘を本当に愛したのでしょうか? |
クレール | うふふ。 思い出したわ、私は鴉。 そして、私こそが本当のプリマドンナ、プリンセスクレール! 欲しいものは地からづくで奪い取ればいい。 |
ふぁきあ | プリンセスチュチュ。 心を戻すのをやめるつもりはないんだな? |
チュチュ | そう、それが王子の望みだから。 また、王子の心臓を砕こうっていうの? |
ふぁきあ | だとしたら? |
チュチュ | そんなことは許さない。 |
ふぁきあ | なら、俺を殺すか。 |
チュチュ | え? |
ふぁきあ | 殺せるのか? |
チュチュ | そんなこと……! |
みゅうと | やめて! |
ふぁきあ | 鴉を前にして、なぜ倒さない!? 心を戻すだけではみゅうとを守れない! |
みゅうと | ふぁきあ。 |
チュチュ | でも、クレールは苦しんで……。 |
ふぁきあ | それならチャンスじゃないか! 俺はできるぞ! いざとなれば、お前を殺すことも! |
みゅうと | チュチュ、逃げて! |
チュチュ | うん。 |
みゅうと | なぜ、僕が心を取り戻すことを邪魔するの? |
ふぁきあ | 邪魔? |
みゅうと | 僕は心を取り戻したいんだ。 この先、どんな運命が待っていたとしても。 僕は……。 ふぁきあ、震えてるの? なぜ? |
ふぁきあ | これは……。 |
アヒル | どうして? いつの間にあたし、アヒルに戻って……。 そうだ。 クワッ! ……どうして? なんで元に戻らないの? あ……、ペンダント……! |
ドロッセルマイヤー | いいよ、アヒルちゃん。 完璧な主人公ほど退屈なものはないからね。 魔法が解けたらあひるはただの鳥のアヒル。 さて、鳥のアヒルが何をするか何ができるか。 とくと見せてもらおう。 |
アヒル | どうしよう……。 ペンダントがないと、女の子にもチュチュにもなれない。 どこ行っちゃったんだろう、あたしのペンダント。 |
ふぁきあ | 取り戻しに来てみろ、プリンセスチュチュ! |
みゅうと | ふぁきあ……、震えてるの? |
ふぁきあ | バカ言え……。 |
ふぁきあ | どこにいるプリンセスチュチュ。 |
アヒル | クワー。 |
ふぁきあ | おい……、おい! |
アヒル | クワーッ! わわ、あたし眠っちゃったんだ! |
ふぁきあ | お前、この間のアヒルだろ? |
アヒル | ペンダント! クワーッ! クワーッ! |
ふぁきあ | 何だお前、これが気に入ったのか? ……お前は罪がなくていいな。 |
アヒル | クワ? クワッ……。 クワーッ! |
アヒル | クワ、つけてるー! グゥ。 |
ふぁきあ | もしかして、この中に、プリンセスチュチュがいるのか? |
ワニ子 | おいしそうなアヒルのにおいがします、猫先生! |
猫先生 | おしずかに、ワニ子さん! |
ふぁきあ | 思い過ごしか。 |
アヒル | みゅうと、きれい。 前からきれいだったけど、今はもっと。 それって、心を取り戻したから? |
ぴけ | きれいよねえ、みゅうと様……。 |
りりえ | あひる、くやしがるわね、きっと! |
ぴけ | あひるってば、やっぱ、失恋の痛手かしらね? |
りりえ | そうであってほしいわ~。 |
ぴけ | 早く戻ってこられるといいけど。 |
りりえ | うん、うん、立ち直らないうちにね。 |
ぴけ | ま、ああみえて、立ち直り早いからねえ。 |
りりえ | いやあああ! |
猫先生 | ぴけさん、りりえさん、授業中におしゃべりしてると、二人まとめて結婚してもらいますよ! |
ぴけ&りりえ | んんん! |
猫先生 | なんなら、今日お休みのあひるさんもまとめて、3人で一緒に結婚しますか? |
ぴけ&りりえ&アヒル | んんんん! |
猫先生 | 素晴らしい踊りでしたよ、みゅうとさん。 テクニックよりも感情が伝わるようになりましたね。 |
みゅうと | はい。 |
猫先生 | 恋、してますね。 |
みゅうと | え? |
猫先生 | 私にはわかるのです。 |
みゅうと | 恋ですか。 |
猫先生 | いいでしょう、放課後、みゅうとさんのために、恋の特別授業をしましょう。 |
アヒル | みゅうとが? |
みゅうと | はい。 |
猫先生 | 恋は素晴らしいものですが、気をつけなくてはならないこともあります。 とりわけ、発情期には自己コントロールが大切です。 |
アヒル | クワッ……。 ペンダント、ペンダント! ないじゃなーい! まさか、持って入っちゃってるの? わー! 出てくる! どうしよ、どうしよ!? やっぱり持ってたんだ! けがしてるの? 違う、痣だ。 ペンダント、アレに届けば……。 |
ふぁきあ | みゅうと、お前は何もわかっていない。 心を取り戻すことが、何を意味するのか。 |
アヒル | え? |
ふぁきあ | くっ! クレールめ、俺など敵ではないというのか。 |
アヒル | みゅうととクレールの結婚式? 立会人はふぁきあ。 |
みゅうと | 今宵12時、教会にて。 クッ。 |
アヒル | ふぁきあ、何を? 骨董屋さん? |
ふぁきあ | カロン。 |
カロン | ふぁきあ。 |
ふぁきあ | 剣はどこだ? |
カロン | 久々に帰ってきたというのに、挨拶もなしか。 剣なら店にいくらでもある。 |
ふぁきあ | 違う、あの剣だ。 ローエングリンの剣だ。 あれが必要なんだ。 みゅうとを鴉から守らなければならない。 |
カロン | お前にはやれない。 |
ふぁきあ | なに? |
カロン | あれは騎士が使うべき剣だ。 |
ふぁきあ | 俺にくれると約束したじゃないか! |
カロン | 子供の頃の話だ。 |
ふぁきあ | みゅうとが心を取り戻している。 プリンセスチュチュが現れたんだ。 鴉も復活しつつある。 あんたから聞かされていた言い伝えはすべて現実になっている! だとしたら俺は物語の中の騎士の生まれ変わり。 |
アヒル | ふぁきあが騎士の生まれ変わり? |
ふぁきあ | 騎士ならば、ローエングリンの剣を使ってもいいはずだな。 |
カロン | ふぁきあ…。もうみゅうとのことは放っておけ。 |
ふぁきあ | 何だって? |
カロン | この忌まわしい物語に、これ以上関わらない方がいい。 |
ふぁきあ | 何故今更あんたがそれを言うんだ! …俺の両親が死んで、あんたの所に引き取られてきた日、言ったよな。 |
カロン | お前のこれは、私たち一族に語り継がれた言い伝えそのままだな。 きっとお前は強くなるぞ。 王子を守り通した勇敢な騎士の生まれ変わりの証だ。 |
ふぁきあ | それは、いつしか俺の誇りになった。 |
ふぁきあ(幼少期) | 『王子は人々を守るためには自分が傷付くことを決して恐れませんでした。』 ふーんすごいや。 |
ふぁきあ | そして…運命は突然動き出す。 |
ふぁきあ(幼少期) | カロン! 心臓が動いてない。 カロン…? あ…。 |
カロン | 心臓を失くした王子? …ミュートス! |
ふぁきあ(幼少期) | ミュートスってのは伝説の人って意味なんだぜ、知ってる? |
みゅうと | さあ…。 |
ふぁきあ(幼少期) | 王子は何も知らないんだなー! |
みゅうと | ごめん。 |
ふぁきあ(幼少期) | 王子って名前も変だからさ、みゅうとって名前にしたら? かっこいいじゃん! |
みゅうと | うん。 |
ふぁきあ(幼少期) | じゃあ今日からみゅうとだ。決まり~。 |
ふぁきあ | みゅうとには感情はなく、ただ弱いものが苦しんでいるのを見ると、どんな危険を冒してでも躊躇いなく守ろうとした。 |
ふぁきあ(幼少期) | あ!みゅうと! 危ないよ! みゅうと…。 みゅうと! |
みゅうと | ふぁきあ。 |
ふぁきあ(幼少期) | バカ…お前はボーっとしてるから、余計な事をすると迷惑なんだよ。 |
みゅうと | ごめん。 |
ふぁきあ(幼少期) | 誰かを助けようなんてするな。 |
みゅうと | うん。 |
ふぁきあ(幼少期) | おれの言う事だけ聞いていろ。 お前は俺が守ってやる! |
ふぁきあ | 俺はみゅうとを守る! それが約束だからな。 |
あひる | (みゅうとを守るって…でもじゃあ何故心臓を砕こうとしたの?) |
カロン | お前のしている事はみゅうとのためなんかじゃない。自分のためだろう、ふぁきあ! |
ふぁきあ | なにっ! |
カロン | やがて戦いの時が訪れて、自分が物語の騎士と同じ運命を辿る事が恐いんじゃないのか? |
ふぁきあ | 違う。 |
カロン | 王子の心が戻らないように役立たず呼ばわりし続けたのも…。 好きな踊りだけさせるために金冠学園に入れたのも、戦いを恐れたからだろう! |
ふぁきあ | 違う! |
カロン | 今のお前にみゅうとを守る事など出来ない! |
ふぁきあ | やめろっ! |
カロン | 手を引くんだ。 |
ふぁきあ | もういい! 剣なんか何だっていいんだ! |
カロン | もうやめるんだ。いいな。 |
ふぁきあ | …そう、カロンの言う通り俺は恐れているのかもしれない。 でも、守りたいんだ。純粋で危なっかしいみゅうとを。 |
あひる | (あ…この辺りに、カケラが!) |
カロン | ふぁきあ! |
あひる | (分からない…。何が正しくて何が間違いなのか…。 でもふぁきあが嘘をついていないことだけは分かる。) |
あひる | (あたし…何も見えてなかった。 ふぁきあもあたしと同じ…ううん、もしかしたらあたしよりもっとみゅうとのこと思っていたかもしれない…。) |
ふぁきあ | お前…。 みっともない所見られちまったな。 |
あひる | くわ…。 |
ふぁきあ | 俺のために、泣いてくれるのか? |
あひる | く。 |
ふぁきあ | やるよ。それが欲しかったんだろ? |
ふぁきあ | (プリンセスチュチュ。俺はお前を認めていない。) |
あひる | (ふぁきあ…。そうだ、カロンさんの家にカケラが!) |
カロン | 本当にこれで良かったんだろうか。 |
心の欠片 | それは分からない。 今のあなたは何をしても後悔するばかり。 |
カロン | ああ…。 |
あひる | (やっぱりいた…!) |
ドロッセルマイヤー | さあ急がないと結婚式が始まってしまうよ。 |
チュチュ | カロンさん。 |
カロン | プリンセスチュチュ!まさか本当に。 |
チュチュ | 私と一緒に踊りましょう、カロンさん。 |
カロン | 物語は本当に動き始めていると…。 しかし、私にはどうすればいいのかが分からない。 |
カロン | ずっと…ふぁきあに言い伝えを話したことを悔やんでいた。 今はふぁきあを傷付けたことを悔やんでいる。 私はあの子に悔やむ事しかしてやれない。 |
チュチュ | いいえ、信じてあげることが出来るはず。 |
カロン | …っ!信じて…。 |
チュチュ | そう…。 |
チュチュ | ふぁきあが自分の信じた道を行くなら、どんな結末になっても後悔しないと思う。 ふぁきあを信じてあげたら? |
カロン | ふぁきあを、信じる。 |
心の欠片 | 僕は悔やむ心。 |
カロン | プリンセスチュチュ、ありがとう。迷いが晴れたよ。 |
ふぁきあ | 恐れるな、自分の手でこのページを、開くんだ。 んっ。 うわ。 うわぁぁぁぁぁぁ! 俺は、俺はこんな無様な運命はたどらない。 変えてやる。 |
プリンセスチュチュ | 王子! |
みゅうと | プリンセスチュチュ。 |
プリンセスチュチュ | 心の欠片をお持ちしました。 |
みゅうと | ありがとう。 |
プリンセスチュチュ | クレールの元に行くの? |
みゅうと | うん、逃げてはいけない気がするから。 |
プリンセスクレール | うふふ。ありがとう、プリンセスチュチュ。 わざわざ私の夫に心を返してくれて。 でも心を返そうが返すまいがもはやどうでもいい。 今宵王子は私の物になるのだから。 あなたには立ち会ってもらうよ。生け贄としてね。 |
プリンセスチュチュ | うう…。はっ。 |
カロン | 待っていたよ、ふぁきあ。 |
ふぁきあ | んん? |
カロン | 後悔のないようにな。 |
ふぁきあ | カロン…。 |
カロン | 私の息子。 |
ふぁきあ | ぅふ。 |
プリンセスクレール | どう? プリンセスチュチュ。私達はとてもお似合いでしょう? |
プリンセスチュチュ | はぁ、あっ…。 |
プリンセスクレール | んふ。特別席を用意してあげたわ。 |
みゅうと | チュチュ! |
プリンセスクレール | まずは祝いのダンスを。 |
プリンセスクレール | (今すぐチュチュを亡き者にする事も私にはできる。) |
プリンセスチュチュ | みゅうと…。 |
プリンセスクレール | 美しい王子、あなたは私の物。 |
みゅうと | クレール、君は誰なんだ? なぜ君の物になれという? |
プリンセスクレール | それは運命だから。 |
みゅうと | 運命? それは誰の為の運命? |
プリンセスクレール | 誰のためだろうと関係無い。 運命は変えられないのよ誰にもね。 |
ふぁきあ | さがれ、薄汚い大烏。 |
みゅうと | ふぁきあ…。 |
プリンセスクレール | ふんっ、腰抜けがいまさら。 |
プリンセスチュチュ | ふぁきあ! |
ふぁきあ | みゅうとに近付く事は俺が許さん! |
プリンセスチュチュ | クレール、やめて! |
みゅうと | どうしたの? 何を苦しんでいるの? |
プリンセスチュチュ | はぁ、あっ。 |
ふぁきあ | 石が、戻っている。 何している、さっさと消えろ。 それとも今ここで決着を付けるか? |
プリンセスチュチュ | 戦いたくないのあなたとは。 |
ふぁきあ | んぁ。 |
あひる | 早くしないとふぁきあ達に追いつかれちゃう…、よ。 あああっうっ。 こんな時間にウロウロしてたら怪しま…、え、うそっ。 |
ふぁきあ | おいっ。 |
あひる | はっ! あわわ…。 |
ふぁきあ | 「あわわ」じゃない。何しているこんな時間に? |
あひる | 何って、こんな時間にする事っていったら、アレに決まってるじゃない。 |
ふぁきあ | アレ? |
あひる | アレったらアレ! んじゃ、そゆことで。 |
ふぁきあ | おい、あれって、何っ…? |
ふぁきあ | まて! |
あひる | ん! |
ふぁきあ | そのペンダント…。 |
あひる | んあっ! おやすみなさーい。 |
ふぁきあ | プリンセスチュチュ? |
あひる | どうしよう、もしかして、バレた? |
ドロッセルマイヤー | おやおや、正体が知られてしまったようだね。 どうするのかな? プリンセスチュチュー。 |
ふぁきあ | 正直驚いたぜ、まさかよりによってお前だったとはな。 |
みゅうと | あひるはプリンセスチュチュの事知ってるの? |
あひる | みゅうとが会いたいのはあたしじゃなくて、プリンセスチュチュ…。でも! |
るぅ | クレールの記憶を消して、ずっとるぅのままでいたかった。それなのに…。 |
エデル | この宝石の名前は「愛」。 |
心の欠片 | 僕は愛する心。 |
プリンセスクレール | 愛する心ですって? |
プリンセスチュチュ | やめて、クレール! |
ドロッセルマイヤー | お話の好きな子供はよっておいで。 ふふふふふ、へへ…。 |