早苗7



13スレ目>>376 うpろだ981


突然だが早苗が風邪を引いた
まあ外とは違って幻想郷は寒いし外で使ってた暖房機器は殆ど役立たずになってるからそれはしょうがないと思う
が、やっぱり直接的な原因は腋を開けっ放しにしてることだと思う
同じ腋巫女でも霊夢は袖の中に護符を入れたり自分の周りに結界を貼ってる辺りさすがだ

ゴホッ!ゴホッ!


「早苗ー大丈夫か?」

「……○○さん、あまり私に近寄ったら風邪、移っちゃいますよ」

「俺は丈夫だから大丈夫だよ
 ほら、熱測るぞ」

早苗の額に手を当てて熱を測ってみる
温度計があればらくだが生憎と電池が切れて使い物にならない
……結構高いな、明日までに熱が引かなかったら永遠亭に言って永琳を連れてくるか

「つらくないか?何か欲しいなら持って来てやるけど」

「私は、大丈夫ですから○○さんは部屋に戻っててください」

俺に風邪を移さないよう心配して言ってくれてるのはありがたいが
何度も何度も帰れといわれると正直腹が立ってくる

「ふぅ…いいか早苗、俺がお前を心配するのはお前のことが好きだからだ
 なのに俺に帰れなんていうなよ、俺はお前の彼氏だろ?それともお前は俺の好意が邪魔なのか?
 そうだとしたら俺は……悲しいよ」

「………………」

やばい、ちょっと言い過ぎたかもしれない、早苗に限って俺が邪魔だ何て思うわけ無いのに何いってんだろ
場の空気が重い、何とかしないと

「……ま、まあ俺に風邪が移って看病するのも大変だろうな
 居間にいるから何かあったらすぐ呼べよ、あと欲しいもの無いか?」

あぁーーーー!逃げるしかないなんて俺はヘタレか!

「だったら」

「ん?」

「だったら、寝るまで手を握っててください…… 
 風邪の所為か本当は一人で寝るのが怖くて」

「それぐらいお安い御用だ」
ギュゥ

俺の手と比べて小さい女の子の手だ
寂しかったんだろうな、外の世界からいきなり知り合いは諏訪子さんに神奈子さん以外居ない世界に来て不安だったんだろう
風邪を引いて体が不安定になってそれに引きずられるように心も不安定になったのか

「……早苗」

「すぅ、すぅ…ん…」

「寝たか」

俺は早苗に何をしてやれるんだろう
たぶん俺がやれることはあまり無い、でもそれならそれでやれることを精一杯やるだけだ





ガラッ
「あ、○○どうだった?早苗の様子は」

「結構高かったんで明日もう一回熱を測って高かったら永遠亭に行って永琳を連れてきます」

「そうかい、いつもすまないね」

「早苗の恋人ですから、それぐらいはお安い御用ですよ
 それで神奈子さんに少しお願いがあるんですけどいいですか?」

「なんだい?何でも言ってみな」

「えっとですね、神事のこととか色々教えてくれませんか?」

「いいけどなんでまたそんなこと」

当然のように理由を聞いてくる神奈子さん
あー、理由を言うのが恥ずかしいな

「えっとですね、俺も早苗と結婚したら守矢神社の事を手伝わないといけませんから
 今のうちに慣れておこうと思って」

「へー、○○早苗と結婚するつもりなんだ」

茶化すように聞いてくる諏訪子さん

「当たり前です、俺は早苗の恋人ですから」

「でも早苗と結婚するてことは婿入りするってことだよ、そこんとこは分かってるのかい?」

「はい、重々承知です」

「そこまで言うならいいでしょう
 式はまだ早いけど早苗の風邪が治ったら婚約の儀でもあげようか」

……あれ?俺確か神事を教えてくれって頼んでるのにどうして婚約の話になってるんだ?

「それじゃあ私天狗や河童たちにこの事教えてくるね!」

やめて下さい、諏訪子さん
恥ずかしいですから

「ああ、待ちなさい、諏訪子」

おお!さすがは神奈子さん、止めてくれるのか

「折角だから新聞に書いてもらって幻想郷中に知ってもらいましょう」

「成る程、流石は神奈子」

煽らないで下さい!!
嗚呼……なんか事態が段々と大きくなってきてるような

「いやー、早苗の風邪が治るのが待ち遠しいね」

……すまん、早苗、どうやら風邪が治った早々また疲れることが起きるかも知れん

「ほら、それじゃあ○○は私とちょっと来な
 色々と教えるから」

「はい!」

でも、俺がしっかりとお前を支えるからな

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うpろだ1002


ホワイトデーの次の日
○○「あぁ~早苗怒ってるかな。昨日仕事で会えなかったからな~」
早苗「何をしてるんですか○○さん」
突然背後から声がしたと思ったらその姿はまさに鬼の形相
○○「っ!さ、早苗何時から居たんだ?」
早苗「あぁ~」のところからですよ、○○さん」
その笑顔でわかるぜ。完璧にキレてるな、どうすれば…
○○「早苗!!」
早苗「ナンですか○○さん?」
○○「昨日は本当にすまなかった!!突然の仕事でどうしても抜けられなくて……」
早苗「……」
○○「だから今日はバレンタインデーのお返しに早苗のしたいことをしようと思う!!」
早苗「…」
○○「だから今日は早苗が俺を独り占めできるってことdふぁ」
喋っている間に早苗が抱きついてきた
早苗「…昨日は会えなくて寂しかったんですよ…」
○○「早苗…」
早苗「だから…あなたからのお返しは今日は一日中一緒に居てください…」
○○「わかった…今日は早苗と一緒に居るって約束する」
早苗「○○さん…」
○○「早苗…」

障子の裏から…
諏訪子「よく神社の前でイチャつけるよね」
神奈子「そうだね~最近の若い子達の恋愛を見守るのもいいかも知れないわね」
諏訪子「神奈子…おばs「諏訪子オンバシラ頭に食らいたい?」ナンデモナイデス」
神奈子「まったく…これで子孫も残せるようになるわね」
諏訪子「ちょっと気が早いんじゃない?神奈子」
神奈子「いいのよ、これくらい気が早くても」

早苗「二人ともナニヲシテイルンデスカ?」
諏訪子&神奈子「「!!」」

開海「海が割れる日」
諏訪子「ちょっ!早苗!!」
神奈子「いきなりスペルカードは…」

大奇跡「八坂の神風」
ピチューン×2
早苗「油断もスキもないんですから…」
○○「お~い終わったか?」
早苗「はい!!」
○○(やっぱり早苗の笑顔が一番だな…)

一方
ズタボロとかした諏訪子「早苗、少しやりすぎ…」
ズタボロとかした神奈子「少しは手加減してよね…」


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うpろだ1349


どうも様子がおかしい。

「すみません、今日は・・・」

ここのところずっと、避けられているような感じだった。

今までこんなことはなかったのに。


「というわけなんだよ・・・」

「なるほど」

「どうすればいいと思う?阿波野。お前も彼女持ちだし」

「いや、聞かれてもなあ・・・東風谷に何かしたのか?」

「いや、してないはず・・・だけど・・・」

「それじゃあ、お前が気づかないうちに何かしでかしてるのかもな」

「そうなのかな・・・」

「お前なあ、東風谷だぞ。学年で五指に入る、だ。そいつを彼女にしているんだから・・・」

「ちょと、何話してるの?」

「あ、山下・・・」

阿波野の彼女の山下が、話を聞きつけてやってきた。

「いやな、○○が東風谷のことでな・・・」

「早苗ちゃんの?なんかあったの」

「いや、最近どうにもつれないんだよ・・・」

「というと、なんかしたわけ?」

微妙に睨んでくる山下。

「してないって・・・」

「そう?でも早苗ちゃん、理由もなしにそんな風になる子じゃあないと思うけどね・・・」

「まぁ、確かにそうだけd」

「はっはー、ついに貴様も年貢の納め時のようだな!」

「金村・・・」

「お前ごときが東風谷さんと付き合っていること自体が間違いだったのさ!」

「・・・相変わらずだなあ、金村は」

「何を言う阿波野!お前や吉井や高柳のような彼女持ちにはわからないんだ、この気持ちが!」

一人で騒いでいる金村。

「金村は置いておいて・・・確かに早苗ちゃん狙ってる奴って多いわね。ほかにも真喜志とか羽田とか」

「そうなんだよなあ・・・」

「東風谷をとられないように、気をつけとけよ」

収穫はゼロどころか、相談してますます不安になってしまった。


「○○君・・・」

この街を出て、幻想郷に行くことを決めたのは、彼の言葉でもあった。

『私は、この神社を昔みたいに、大勢の参拝客が来るような神社にしたいんです』

『なるほど・・・』

『無理、と思うでしょうか?』

『いや、早苗さんならできそう、そんな気がするんだ。俺も手伝うよ』

彼は度々、境内の掃除に来てくれたり、賽銭を入れたりと足しげく通ってきてくれた。

だが、人の信仰心はなくなる一方であった。

しかし、幻想郷なら守矢神社再興の夢が叶いそうだ。

とはいえ、自分はともかく彼まで幻想郷に連れて行くわけには行かない。

そうしたところで、彼に大きな負担をかけてしまう。自分のためだけに、すべてを捨てさせるわけにはいかなかった。

つまり、離れ離れにならなければならないということ。

それでも、早苗は夢を捨て切れなかった。


その日も、彼は神社に来ていた。

「あ、早苗さん・・・」

そして、早苗もそこにいた。

「あ・・・」

「どうも最近俺、避けられてる気がするんだけど」

「そ、そうですか?」

「何かまずいことした?」

「そんなことは・・・」

「悪いとこがあったら直すよ、だから機嫌を直して欲しい」

「ないです、悪いところなんて」

そう。彼といるだけで気持ちが穏やかになれたし、彼ほど熱心に参拝に来る人はいなかった。悪いところなど何一つない、でも。

「すみません、私はこれで・・・」

「早苗さん・・・!」

罪悪感で、彼の前にいられなかった。

「・・・ありがとう、さようなら」



「本当にいいんだね?」

もう一度、最後の確認の意味で問う神奈子。

「はい」

「あの○○には、伝えなくていいの?」

「ええ・・・また顔を合わせたら、きっと決心が鈍ってしまいます」

「もう、引き返せないんだよ」

「わかっています。キャンセルなんてできないんですよね」

「ああ、それでも・・・」

「さみしくなんて、ないですよ。神社の再興は私の夢です。そのうちきっと笑えるようになりますから。今行かないと、きっと後悔します」

「そうか・・・」


早苗さんがいなくなった。

それも、神社ごと。それなのに、

「東風谷?そんなやついたか?」

「いや、いただろ、こないだだって話したじゃないか・・・」

「お前、彼女が欲しいからってそんな妄想まで・・・金村じゃないんだから」

「呼んだか?」

「呼んでないって・・・」

「あいつと一緒にするなって・・・」

「まあ、お前も早く彼女見つけるんだな。お前なら吹石あたりもいけるかもしれないぞ」

「吹石さん?いやいやもっとかわいくて包容力があって・・・」

「まーた金村が馬鹿なこと言ってるよ。吹石以上となったらほとんどいないぜ。それこそ空想の産物かなにかだ」

「・・・・・・」

誰も覚えていなかった。

まるで、早苗さんと神社のことだけすっぽり抜け落ちたように。

早苗さんが幻だったかのように。

でも、そんなはずはない。

それは彼自身がよく覚えていた。

「あ・・・」

窓から、そっと風が入り込んできた。

なにか、懐かしい香りがしたような気がした。


負けた。

宣戦しておいて、あっさりと。

「やっぱり、そううまくはいかないよね・・・」

山の妖怪たちから信仰を集めて、二柱、そして自分も十分強くなった。そう思った。

しかし、実戦経験という致命的な差が、早苗と霊夢の間にあった。

配分を考えず力を使ったため、スタミナ切れを起こして終盤はグダグダだった。

「あ・・・」

風だ。

雨上がりの風の香り。

そっと手をかざしてみる。

幻想郷と外は結界で区切られている。しかし、風はそんなことも関係なく、自由に行き来している。

だから、この風は、きっとどこかで彼とつながっている。

そう思うだけで、力がわいてくる気がした。

他の人は忘れても、彼はきっと自分のことを覚えているのだろう。

今も自分の事を探して、呼んでいるのかもしれない。

でも、いまさら帰れないし、帰りたくはない。

外の常識がこちらでは通用しないことも多く、度々笑われるようなこともあった。

しかし、それにも慣れつつあった。

「常識に縛られちゃ、いけないんだよね・・・」

今はまだ助走の時間。

実践に慣れて、強者と互角に渡り合えるようになる、飛翔の時の為の。

幻想郷へ旅立った日に言った、『笑える日』が早く来るように、まだまだがんばらなければ。

「あ、虹・・・」

雨上がりの空に映る七色。

励ますように映える虹を見て、早苗は、

「・・・よし!」

練習だ。

いつか、この弾幕に模したように、輝く星になるために。



ttp://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND8367/index.html

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うpろだ1357


今日も彼は神社に来ていた。

昼間だというのに、彼の心情を映したかのようにあいにくの曇天。


早苗の様子がここのところおかしかった。

誘ってもつれない返事ばかり。

そのため、彼はほぼ毎日、神社まで来るようになっていたのだが・・・

話しかけてみても反応は薄かった。

早苗の悲しげな顔を、どうにか明るく出来ないだろうか。

彼はそれだけを考えていた。



大型の旅客機がゆっくりと、彼らの真上を旋回してきた。

松本空港からの路線だろうか。

太陽に覆い被さったその分厚い雲を、旅客機は難なく突き破って消えていった。

(あいつはいいなぁ・・・)

自分の悩みも、あの旅客機にしてみれば簡単に突き抜けられるようなものだろう。

羨ましかった。そして、自分の無力さが妬ましかった。

流れ星に見立てて、彼は願った。

以前のように早苗と付き合えるように。


早苗は別の願いをかけていた。

あちらでうまくやっていけるのか。

自分は飛べるのか。

そもそも、彼を悲しませずにあちらに旅立つことが出来るのか。

彼と一緒に、行けないのか。

思い思いの願いを乗せたその翼は、旅客機を空高く運んでいった。


それから数日。

あの日以来、洗濯物も干せないような曇りばかり。

早苗は境内にほとんど姿を見せなくなった。

居住部分に入る扉は閉められていた。

「どうしてなんだろう・・・」

それでも彼は神社通いを、参拝を欠かす日は無かった。

行き止まりの壁の前で、彼は自らに何度も言い聞かせてみた。

この厚い雲の合間に、一筋の光が差し込んでくるように。

いつかは扉が開かれ、早苗が笑顔で出て来る映像を、頭の中に浮かべて。


「今日も、来てる・・・」

もう来なくていい。そう言いたかった。

自分もつらいし、彼もそれ以上につらいのだろう。

でも、彼にそんなことは言えなかった。

自分が好きになった、いや、今でも好きな人に拒絶の言葉など言えるはずが無かった。

だから、境内には出ない。

出れば、彼を見てしまう。悲しくなってしまう。

幻想郷に行かないという選択肢は無い。

延期という選択肢すら、なかった。

捨てるのに胸が痛んで取っておいたケーキを、結局腐らせて捨てるように。

今でなければ―まだ僅かに信仰の残る今、行かなければ―行っても信仰を集めるだけの余力は無く、朽ちるのを待つばかりとなってしまう。

期限付きの賭け。今はその期限が恨めしかった。


「・・・早苗」

居た堪れなくなった神奈子は、早苗に話を切り出してみた。

「なんでしょうか・・・?」

「早苗は、○○と一緒に行きたいんだろう?」

「え!? ええ・・・でも・・・」

それは、彼にこちら側での家族、友人、すべてを捨てさせることを意味する。

そこまでの覚悟が彼にあるのかは分からない。

「でもね、ここ最近奴は毎日来ている。で、日が暮れるまでずっといる」

「・・・・・・」

「いずれは早苗にも婿を取る日が来る。○○への想いを引きずらないで、その婿と後継者を作れる?」

「それは・・・」

彼以外の人と。

考えたことも無かった。

しかし、至極当然のことだ。早苗が子供を作らなければ、次代の風祝がいなくなってしまう。

血脈が絶えてしまっては、わざわざ幻想郷まで行く意味が無いのだ。

「正直、自信ありません・・・」

「だから、奴を試してみようかと思ってね。ちょっと行ってくるよ」

「・・・はい」


今日も日が暮れた。

結局早苗は姿を見せなかった。

「もう五分・・・」

そうつぶやく彼の目の前に、一人の女性が現れた。

「君が○○君だね?」

「ええ・・・あの、あなたはどなたですか?」

「この神社の神だ、といったら信じる?」

「え・・・」

確かに、その女性は何か人間離れした雰囲気があった。

それも、早苗と似通った・・・

それに、早苗が説いていたあの話。すると・・・

「『八坂様』、ですか?」

「ああ。覚えていたんだね、早苗の話」

「それはもちろんです。それで、わざわざ俺の前に出ていらっしゃったという事は、何か・・・」

「ああ。大事な話がある。早苗と君にかかわる、ね」

「え・・・?それじゃあ、早苗さんが最近おかしかったのも・・・」

「そう。まあ、落ち着いて聞いて」


彼は聞いた。

神社が信仰の危機に瀕していること。

それを解決するために旅立つこと。

彼と離れ離れになるのを早苗が悲しんでいること。

「それで、だ。ここからが本題なんだけれどね」

「はい」

「君、幻想郷に一緒に行く気はある?」

「え・・・」

「早苗はいずれ婿を取らなきゃならない。継ぐ子を作るために。でも、君のことが忘れられない早苗が、そんなことをできるか・・・。
 君本人を連れて行く、というのが最良の選択なんだよ」

「ええと・・・」

「ま、すぐには決められないだろうから答えを聞くのは明日にしよう」

そういうと『八坂様』はすっと消えた。


すべてを捨てても、彼女とともに行くか。

フロンティア行きの片道切符を、使うも使わないも自分次第。

切符の有効期限は明日。


彼は決心した。


「・・・・・・」

早苗は待っていた。

彼は来てくれるのだろうか。

いや、それは無いはず。

いくらなんでも、自分と自分以外の世界すべてを天秤にかけて、こちらに傾いてくるなんてありえない。

でも。

もし来てくれたら・・・


「早苗さん!」

「○○・・・君・・・」

思考は他でもなく、彼の声で打ち切られた。つまり、

「本気なんですか!?」

想いとは裏腹に、そう口にしていた。

「みんなに忘れられるんですよ?もう戻れなくなるんですよ!?」

「・・・・・・」

「あなたまで、みんなに忘れられる必要は・・・」

「・・・それでも」

「え・・・?」

「俺は早苗さんと一緒にいたい。俺がいたところで何が出来るかはわからないけど、
 早苗さんが落ち込んだとき、前が見えなくなったときに足元を照らす明かりくらいにはなりたいんだ」

「○○・・・君・・・」

「これが俺の本心だ。誰に指図されたわけでもない、何かに縛られているわけでもない、混じりっ気なしの」

早苗はもう言葉が出なかった。

ここまで私は愛されていたのか。

「俺はどこまでもついて行くよ。それこそ世界の果てへだって」

「・・・うん、ありがとう・・・」

「ほら、泣いてないでさ。せっかくの門出は笑って迎えようよ」

そう言われ、抱きしめられると、早苗の中の不安がすっと光に溶けていく気がした。

「決まり、みたいだね」

奥から出てきた神奈子は、彼に確認の意味を込めて、そう言った。

「はい」

彼は静かに頷いた。

「それじゃ行くよ、新天地!」

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「なあ鈴木」

「なんだ?村上」

「うちのクラスって、二つも空き席あったっけ?」

「多分、前からあったんだと思うけど・・・確かに、二つは多いよな。でも、机の数はどのクラスも一緒のはずだけど」

「というか、うちだけ他のクラスより人数が少ないんだよな」

「なんでなんだろうな?」

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「婿、ねえ・・・」

あの満月の、霊夢・魔理沙来襲の日から数日後。

「おかしいですか?」

「いや、おかしくは無いと思うが・・・」

当然といった顔で神社のおやつ時に訪れた二人。

「勝ったっていうのに、なんとも言えない敗北感がするのよねぇ・・・」

「確かに・・・」

彼の顔を見つつ、そういう霊夢と魔理沙。

「早苗くらいの年なら普通じゃないの?特にこちらでは」

と横槍を入れるのは諏訪子。

「確かに。そっちは相手、いないの?」

さらに突っ込む神奈子、

「む・・・」

「いない・・・わよ」

「相手、見繕ってあげようかしら」

「ちょ、紫!?どこから入ってきてるのよ!」

「不法侵入にもほどがあるぞ」

自分のことを棚に上げる二人。

「霊夢も後継者、いるでしょ。というか、いないと私も困るし」

「うるさいわね、私にだっていずれ縁ある人が来るわよ」

「来るのか?あっちの神社、ここと同じくらい人が来ないじゃないか?」

魔理沙はどでかい地雷を踏んだ。

「ひどいことをいいますね!まだ参道作ってる所なんですから、完成すれば博麗神社よりは来るはずですよ」

「なにその一緒にするな的発現!うちだって参道を整備すれば・・・」

「いや、博麗神社に人が来ないのは有力な妖怪が集会場にしてるからってのが問題なんじゃ・・・」

「大変ねえ」

その有力な妖怪の一人が、そ知らぬふりでそう言った。

「あんたね・・・」

「それにしても、わざわざついてくるなんて、あなたも相当の決断をしたわねぇ」

霊夢を無視して、紫は彼に水を向けた。

「ええ、まあ・・・」

「何にも縛られていないようで、そのくせ繋がっている・・・そんなことをあの吸血鬼が言っていたわね」

「それはもちろん。俺は早苗さんが行くところならどこまでも行きますよ」

「ちょ、○○さん!?」

「・・・甘いわね」

「・・・ああ、甘いな」

「あらあら」

「うぅ~・・・」

冷やかされる早苗と彼、二人。

これから、いろいろな外でし得なかった体験をするに違いない。

戸惑うこともあるだろう。

それでも、二人なら。

この、『世界の果て』の幻想郷でも、どこまでも一緒に行けるだろう。この確かな想いを連れて。



ttp://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND26769/index.html


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最終更新:2011年07月19日 00:21