天子2
memory(うpろだ1181)
梅雨も明け、夏の兆しが春を凌駕し始める。日光が降り注ぐ外にいれば、太陽が疎ましく思えただろうが、天子と霊夢は我関せずの態度で縁側に腰掛けていた。
乙女二人揃えば、色恋沙汰へと昇華する。自ずと、互いの腹の探りあいが始まった。
面白いのは他人のことであり、自分の話題など恥でしかない。
だから、どうにかして相手のことを聞き出そうと、あの手この手を使用する。
「あんた、幼い時に天界に昇ったんでしょ。想い人とかいなかったの?」
「何を言ってるのよ、霊夢。神社が壊れたから、精神がおかしくなった?」
「それは残念。そうなら、もうとっくの昔に壊れてるわ」
ちょうど影になっている縁側。心地よい風も吹き、物事を第三者から鑑賞するのには最適な地点である。
冷たいお茶が入ったカップを一度置き、霊夢は目の前に広がる工事現場へと目をやった。
「あ、忘れてた。今日、里から一人来てるの」
「何の為に?」
「神社の修理の手伝いに。一応、博麗神社は里の安全も守ってることになってるの。忙しいらしいし、あんたが連れてきたので十分だと思ったから断ったんだけど、どうしてもっていうから」
「ふ――ん……」
興味なさそうに返答してから、湯飲みを口元へと運ぶ。
天界に住む住民には、地界の物事など、お茶が美味しいか不味いかと同じ位にどうでもいいのだろう。
そして、かつて地上に住んでいた過去を持つからこそ、差があまりないのが分かる。
「あの設計図持ってる人。見える?」
「うん……」
湯飲みを廊下に置いてから、ごろりとうつ伏せになる。
視界が歪む。首を無理矢理現場に向けると、立っていた人が一瞬で傾いた。
ひんやりとした廊下の感覚に、目蓋が重くなる。熱さを増してくる季節、この感覚に世話になることも増えるだろう。
何か直視できないモノがあれば、見る角度を変えればいい。眩しく照りつける日光は目に毒だった。
その眩しさは、普通なら見えるはずの男性や女性達の顔を無に返している。
「こっち側の建物に詳しい人がいなかったからね。どうなることかと思ったけど、ありがたいわ」
「だから、設計図持ってリーダーみたいなことしてるのね」
「本当のリーダーがぐうたらしてるからね」
巫女の言葉に、青い髪の少女も負けずに反論する。
「霊夢がそれを言っては、この世も末よ」
あって数日しかしていない人物の評がそれならば、確かに世も末だろう。
身体の角度を変え、頭を腕で支える。傍観者の態度で労働人を見る少女……比那名居天子は重い目蓋を擦りながら呟いた。
先の天気が絡んだ異変で、博麗神社は崩壊してしまった。原因となった局地的な大地震を発生させたのが天子。
幼い時に親と共に天界の住人となった天子は、地上にいたときは地子と名乗っていた。地上の子が天上に住むのはおかしい。だからこそ、彼女自身改名する決心がついたのだ。
異変の解決よりも、むしろ神社の復旧を犯人にさせるつもりだった霊夢が突き止めたのが、天界に住む少女、天子だった。
元の神社を把握しているのは霊夢だけ。交流が全くなかった天子や天女、訪問でさえ希少だった里の人間が分かるはずもない。
霊夢は設計図段階で、こっそり神社の完成予定を大きく変えていた。大きければ良い。そう考えるただの人間らしい思考である。
だが、後に掃除が以前よりも増え、霊夢にかかる負担が増大してしまう未来を招く結果となってしまったのに彼女の気が付かない。
身を持って知るのは、まだ先のことだ。自業自得、というべきだろうか。
里から派遣される人物は前途多望らしく、大工の親方が信頼して送りだせる程らしい。
下界の建物に対し情報でしか知らなかった天界の人々と、実際に下界で暮らしていたが幼い頃上へ昇った女性。
知識の点で一日の長がある彼は、指示役になるのは当然といえる。
稚拙な下界で燻る存在の命令と誤解されるのでは、と第三者で見ていた霊夢は思ったのだが、的確な判断と無理をさせない指示で、上に立つ者に最重要な信頼をすぐに獲ていった。
「霊夢――! ちょっとこっち来てくれ――!」
「はいはい」
湯飲みを縁側の廊下に置き、霊夢が歩いていく。その先では、設計図とにらめっこする男性と女性が数人。
建設現場で男性よりも女性の方が多い光景は、幻想郷といえども今この時だけだろう。
天子に、何処か耳が初めて捉える反応を示しながらも、はっきりと聞き慣れた音が聞こえた。
天界で飲んでいたお茶と味も変わらない下界のお茶は、拒絶反応が出るはずもなくすんなりと飲める。
または、陶器の入れ物が廊下と交わりたてた音かもしれない。しかし、上でも木の建物は珍しくない訳でもない。気の所為だろうと考えた。
「地面に残っていた跡から推測される社殿の大きさよりも、設計図の方が大きいんだけど……」
「あー―、大丈夫大丈夫。気にしないで」
「それで、もう一つ。この後の天気について……」
「それは少し待ってて。今天気予報するから。天子――!」
遠くから自分を呼ぶ声を聞いた天子は、夢の世界から強制的に帰還を余儀なくされた。
「何よ、もう。ゆっくりしてたのに」
「あんたは天界でも何処でもできるでしょ。この後の天気を教えなさい」
「心配はいらないわ。夕方までずっと晴れ。綺麗な夕日が見れるでしょうね」
「あんたが言うなら信頼できるわね」
男性と女性達の方を霊夢は振り返る。
「ってこと。今日の作業をお願い」
「了解。じゃあ、皆、作業を続けて!」
はーい、という統制された返事。それだけを見ても、彼がリーダーとなっていることは明白だった。
女性達は天界から連れられた人々である。当然だが、上に属する者が下に属する者から受ける支配は一時的には続いたとしても、継続するのは難しいだろう。
天界から彼女達を連れてきた人物がリーダーとなるはずだ。その人物である天子は今、黄金輝く夕日を浴びながら、現と夢の境界でうつらうつらを繰り返していた。
仕事を手抜きしないか監視する唯一の役目も、男性にいつの間にか乗っ取られてしまった。
仕事というべき掃除ができない霊夢と同じく、縁側で作業風景を眺めることぐらいしか残されていなかったのである。
そして、霊夢と天子は会話を交わすこともなく、お茶を飲みながらただぼんやりとしていた。
時折無くなる液体を継ぎ足すために、霊夢が台所へと足を運ぶ以外に二人が腰を上げる動作を行わない。そんな中、天子は夢を見た。珍しい、昔の夢である。
「……じゃあ、今日はここまで。明日も晴れるらしいから、また明日もよろしく頼むよ」
設計図をくるくると丸めながら、彼は口を開いた。終了の宣言が残された後は、いつも労働で疲れた女性達を少し休めてから一旦天界へと帰るのが常となっている。
今日もなんら変わりなく、霊夢が冷えたお茶を作業隊の面々に配っていた。
目蓋を擦りながら、天子は一つ背伸びをする。長い間同じ体勢を保っていたからか、固まった筋肉は僅かな動きでさえも悲鳴を上げた。
緩まった唇から吐息が洩れる。憂鬱が含まれた息は、大気と混ざり一瞬で消えた。
「……あんたにもご苦労さま、って言うべきなのかしら」
空になったお盆を持ちながら、苦笑を備えた霊夢が近づいてくる。そんな彼女に対し、天子は軽く手を振りつつ口を開く。
「当然でしょ。働き手を連れてきてあげたのは私よ」
「そもそも、神社を破壊したのはあんただけどね。暇だからって理由で」
そう言って、霊夢は復興を遂げつつある神社に目をやる。
いくら訪問者が珍しいからとはいえ、日常の証だった神社が存在しないというのは心に隙間が空いたようで好きではない。
「だ――か――ら――。悪かったと思って、造り直してあげてるでしょ」
「本当に悪かったと思うんなら、あんた自身が働きなさいよ」
「嫌よ。面倒じゃない」
言い切る天子に、霊夢はつい苦笑してしまった。両親からどんな教育を受けたのだろう。機会があったら、過去について聞いてみたいものである。
「霊夢、お先に失礼するよ」
別の声。今度は天子の耳に直接聞こえた。以前よりも発生源が近かった所為か、耳が戸惑いを覚えはしない。
見れば、リーダー役だった男性が目の前にいた。その後方では、地面に腰を降ろして談笑する女性達がいる。
大工にしては体格はあまり宜しくない。少し平均から背が高いのが、特徴といえば特徴か。
「ええ、お疲れさま。明日もよろしくね」
「分かってる。親方からも言われたし、頑張らせてもらうよ。……えと……」
彼の視線が天子を向いていることに、天子は霊夢が口を開いてから分かった。
それまでは、頭の奥が見えない何かで握られていた感覚に囚われて身動きさえできなかった。
彼が言葉の最後を滲ませたのに、天子ではなく霊夢が気付いた。惚けている天子は、微小な差異など判別する能力を一時的に失っている。
霊夢は気付いたものの、実際に言葉にしたのは彼女ではない。
「まさか……地子?」
「え……?」
酷く懐かしい響きと音程。霞んだココロが、彩りを取り戻す。
目蓋の裏に浮かび上がる光景は、夕日を塗り替えて雲一つない晴天を取り戻す。
「チコって誰よ。コイツは天子。我侭な天界人、比那名居天子っていうのよ」
「あ、間違えたのか……。すみません、間違えました」
「あ、え……うん……」
天子の頭は、大地震が起こったように滅茶苦茶で、思考が展開する隙間などない。
自己紹介は霊夢に取られ、彼女から口を開く機会を無くしてしまった。
「僕は○○です。里から手伝いに派遣されました」
差し出される右腕。土木工事をしていたからか、楽を繰り返す天子と違い、所々角張り固くなっている。
その手のひらを、夢心地で天子は掴んだ。地獄で苦しむ罪人に、伸ばされた救いの手というのはただの比喩に過ぎない。
だが、今の彼女を表現するならば、その表現こそが的確だった。
「私は……私は天子。霊夢が言った通りにね……」
夢ではない。しっかりと掴んだ彼の手には、ちゃんと暖かさがある。まるで、覚えのない夢のように。
「天子様、ですか。短い間と思いますが、よろしくお願いいたしますね」
「天子様……って柄じゃないけど」
天界に住むべき人物は、その事実だけで地上とは乖離される。彼は、天界自体が尊敬される対象だと思っているようだった。
そんな彼を、霊夢はたった一言で酷評する。我侭で、つまらないからと神社を崩壊させた過去を持つからこそ、彼女のみが言うことを許された台詞。
天子にも反論する権利がある。だが、彼女は口を開かない。溺れて限られた空気を求めるかの如く、口を小刻みに動かしているだけだ。
「では、霊夢。そろそろ失礼するよ。ごめん、長く居座って」
「いいの、気にしないで。暗くなってきたから、気をつけてね」
霊夢が彼に向かって手を振る。天子は何もしなかった。
階段に彼の姿が全て消えてから、天子は知らずに溜息を吐いた。もっと前に吐き出していれば、胸のもやもやの正体に気が付いたかもしれない。
「天子様。暗くなってきたことですし、帰りましょう。お父様もお母様も心配なさいます」
連れてきた者の一人に話しかけられてから、改めて天子は意識を取り戻した。崩壊した頭の中は未だに整理されてないが、常識に乗っ取った判断はできるだろう。
「え、ええ。そうね。そうしましょう。準備お願いね」
「もうできていますわ。後は天子様だけです」
周りを見渡してみれば、手荷物を持った女性達が揃っていた。確かに、夕日は退場を始め、東の空には静謐の闇が広がり始めている。
しどろもどろになりながら、必死に言葉にしても、天子のみが正常な状況を把握していなかった。
「あ……う、そ、そう。分かったわ、帰りましょう」
明日もちゃんと来るのよ、という霊夢の言葉を聞いた気がする。しかし、ぼんやりとした意識がちゃんと記憶するはずもない。
しかし、脳裏で記録されたその言葉を取り出す度に、再び足を運べる口実ができたと心が弾むのだった。
次の日も天子は博麗神社に来ていた。手伝い人を連れてくるのが天子であり、天界でも仕事がある訳でもない。
どうせ天界にいたとしても、暇な一日には変わりがない。だから、話し相手にも困らなく、同質でお茶にも困らないとくれば訪れるのが当然である。
「あんた、様子おかしくない?」
何度目の御代わりを貰った辺りだっただろうか。天子に湯飲みを手渡した霊夢が、そう言った。
その時、天子は仕事風景を何も言わずに見ていた。彼は設計図と実際の光景を照らし合わせながら、アドバイスを投げ掛ける。
集中と凝視は類似している。どちらとも取れて、どちらとも取れない態度を続けていた天子は、予想外の言葉に身を震わせた。
「え?」
「朝からずっとぼんやりしてる。何処か一点を見つめているようで、何も考えてない。どうしたのよ」
「……霊夢には、関係ないよ……」
搾り出した言葉は、あまりにも惨めで、嘘をついていると暗示しているようなものだ。
何故か、声も今にも泣きそうだった。
「……悩み事があるなら、相談に乗るけど?」
「大丈夫。大丈夫だから……」
随分と心が脆くなってしまっていた。しっかり体の心を支えていなければ、今すぐにでも霊夢に飛び込んで、泣き叫んでしまう。
もし誰かにそれを見られて、色々とからかわれるのは本位ではない。だから、その一点のみで天子は踏みとどまった。
薄く目に浮かんだ液体を、振りほどいて。
「間違いないの。間違いは、ないの……」
それから数日後に、宴会の話が持ち上がった。
仕事後に始まり、次の日を休日にすることにより夜中騒いでも仕事には影響を残さない方式。
天気に恵まれ、予定よりも順調に物事を消化していたので、息抜きをする暇ができたのだ。
日頃の宴会の開催場所だった神社が崩壊し、地界の宴会も中止だったのである。
誰ともなく、何処からともなく現れた白黒魔法使いを始めとして、色々と姿を現していたのには霊夢は苦笑するしかなかった。彼女達にとっては、いい口実に過ぎない。救いは、差し入れを少なからず持ってきていたことか。
夕闇が空を包んだ後。料理と酒が地面に引かれた敷物を彩り、人は寂れた神社を賑やかにする。
更に騒がしくなるのは、まだ早い。
人々の前に立った霊夢。その手には、酒が入ったカップが握られている。
「いつもお仕事ご苦労さま。今はゆっくり休んで、英気を養ってね」
「お前、人様に仕事させておいて何言ってんだよ!」
帽子を脱いで、豊かな金髪を露わにした魔法使いが軽口を投げ掛ける。
その言葉に、所々で苦笑が起きた。ただの苦笑で、文句が一言もなかったのが、当然といえば当然である。
「ああ、もう……魔理沙ったら。……じゃ、乾杯!」
乾杯、とあちらこちらで杯は重なり合う。天子も、座席の近くにいた天女と乾杯をする。古今東西、上でも下でも、常識は常識なのだ。
天子は酒は嫌いではない。むしろ、好きの部類に入る。陽気な気持ちで騒ぐのは心底楽しくて仕方がない。
だが、心配事がなければの話。これまで体験した宴には、心配事など二日酔いぐらいしかなかった。
本当に心を煩わせるコトが伴った宴会は初めてだった。
最初はアルコールを摂取すれば酔いに任せて忘れられるだろうと思った。
だから、早いペースで杯を重ねていく。周りにいた天女達が心配する位の速度で。
「……なんでよ……」
騒ぎに紛れ、溜息が誰かに聞こえることはなかった。既に酒の味を感じられない。
乗り遅れてしまったのは天子だけだ。その他の面々は友人や親しい人、話し相手を見つけていた。彼女達の表情に憂いはない。酒の席に心配事は不要である。
見れば、巫女に茶々を入れた魔法使いは彼と楽しげに話をしている。
邪意がない二人の笑みは、初めて会っただろうに意気投合を遂げた証。彼はあまり人見知りをしない性格とはいえ、酒の力は凄いというべきだろう。
心が締め付けられる。胸の奥が解けない糸で、雁字搦めにされた感覚を覚えた。
正体が判らない何か。感情、思念、または他にあるかもしれない。
とにかく、こんな光景を見たくない。目にさせないなら、自分が当事者として魔法使いの位置にいたい。カタチだけの願望が降り積もっていく。
本当に。
嫌になる。
「……なんで……よぉ……」
「なにが?」
心臓が停止するのでは、と思われる衝撃が天子の身体を駆け巡った。
聴覚が捉えた言葉が細胞の一つ一つにまで沁み込み、冷や汗という反応で答える。
「あ……霊夢に、○○……」
「こんばんは、比那名居様。楽しんでおられますか?」
驚く程すんなりと彼の名前が出た。
当然である。何度も呼んだ昔があれば、忘却する方が難しい。唯でさえ多感な子供時代。別の感情さえあれば、常識となろう。
「どうしたのよ、一人で。あんたも宴会には乗り気だったでしょう」
「え……。ちょっと、考え事。そう、考え事よ」
「へぇ……」
奥を覗かれるような感覚を覚える巫女の視線が、実際に痛覚を通じて天子を襲う。
そういえば、と霊夢は話題を転換させた。脇に立っていた、彼へと標準を映す。
「あの時に言った、チコって誰のことなの?」
「ヒナナイ、って名字に覚えがあってね。珍しい名字だろ? でも、テンシって聞いたことなかったんだけど……」
数言口内で呟いてから、彼は天子を改めて見る。
彼の視線は、はっきりと目上の人に対するモノで、何故か天子を苦しめた。
「あの、チコという名をご存知でしょうか? 地面の地に、子供の子って書くのですが……」
「あ……う……」
「アイツは一人っ子のはずですが……。まさか、姉妹とかいたんですかね……」
まだ覚えている。覚えてくれている。
首を傾げる姿は、記憶に焼きついた瞬間の反復。
麻薬の如くに頭を駆け巡る喜びを、天子は他人事のように思った。あまりにも現実を離れていて、邯鄲には信じられない。
「ねぇ、チコってどんな子供だったの?」
もう全てを分かっているのだろう。悪戯を思いついた幼児のように、霊夢の顔が怪しく笑う。
その笑みが天子を一直線に向いていたことに気付き、更に天子は居心地が悪くなった。
「そうだね……。まず、我を主張するってコトが珍しい子供だったかな……」
「そうなんだ……。我侭とか、利己的というか……自分が通ってないと嫌、みたいなことあった?」
「あんまりなかったね。友達とかの決定事に口を挟むのが珍しかったよ」
「ふむふむ……。他には何か、ある?」
彼の言葉を何度も反芻しながら、巫女は彼に先を促す。彼女の頭の中では、現在と過去の乖離を比べているのだろう。
何も知らない者にとっては、霊夢が浮かべている意地の悪い笑みの理由など分かりはしまい。
「単純に臆病みたいな感じ。些細なことで泣いて、いつも僕の背中についてきたなぁ……」
「へぇ……興味深いわね。じゃあ、チコが大きくなったら……」
そう言って、流し目で天子を見る霊夢。彼や周りの人々から見たとすれば、軽く細められた瞳には、しかし威圧感など存在しない。
天子の心の傷を抉るには、十分過ぎる威力を伴っていたが。
「……お淑やかで、絹のように滑らかで。それこそ、無垢なお嬢様……って感じに育ってるのかしら」
ある意味決定的な一言を言われた。もしも彼が肯定すれば、天子の意味が無くなる。記憶を離れた現在など、手に入れる価値もない。
「ははは……。うん、そうだね。そうなんじゃ、ないかな。ご両親も厳しい方だったしね」
彼の言葉は、現実の厳しさをたった一言で教える。期待を繰り返した刹那を否定し、天子が考える最悪の結末への階段を登っていく。
手摺りなど存在しない階段。足を踏み外せば、奈落へと真っ逆さま。
そして、天子の階段は先が無い。足を踏む隙間さえ無い。まさしく今の天子がおかれている状況だった。
「お――い、○○、霊夢!――! こっち来て飲もうぜ――!」
魔法使いの声。彼女の周りには、既に人々が群がっていた。
見る者を安心させる彼女の笑みには、惹かれる者も多い。天子も通常の心理状態だったならば、積極的に接触を取っていただろう。コップを片手に叫ぶ彼女に他意はないのだろうが、結果としては彼女に救われた形となる。
先程のような安っぽい嫉妬を恥じ、心の中だけで謝る。頭を垂れたままで、顔を上げずに。
今口を開いては、感情の奔流しか現せない。きっと、トコロ構わず泣いてしまう。
彼の目の前で、否定されたチコが天子と暴露されるのはなんとしてでも避けなければならない。
今を生きるチコが、彼が考える正反対の位相に位置することは、彼にとっても苦痛だろう。
「それでは、比那名居様に霊夢。また」
一つ礼をし、彼は喧騒の中に消えていく。湿った天子が纏う雰囲気と、酒に酔う人々の空気は決して交じり合わない。混じらない方がいい。
宴に心配事は、やはり余計なのだ。日々の悩みを忘れるのが酒の力なら。悩みを消し去るのが宴会の効力である。
「……っ……!」
「ええと……」
「……霊夢も行きなさいよ。こ、ここにっ、いて……は、ツ、っ、マラナイわっよ……」
「あのね……、天子」
霊夢の溜息。空気が微かに震える。
それが発端となったのか、俯いた天子のスカートに、ぽたり、と液体が落ちる。その雨は止まることを知らず、何度も何度も落下を繰り返した。
「私の記憶が正しければ」
「あ……ぅ、あぅ……、あ……」
「……あんたの気質は、降雨じゃなかったと記憶してるけど?」
その音は、天子に無情に、無常に聞こえた。
脆く、ひびが入った天子のココロが対抗できるはずもない。
記憶の奥で、誰にも見られないように裸で蹲る彼女は、あまりにも純粋で、あまりにも幼かった。
「う……ぐすっ、うぅう……! うわぁぁぁぁぁ……!」
本当に、二人の周りだけ隔離されている。天子が一目を憚らずに大声で泣いているにも拘らず、誰も寄ってこようとはしない。
酔っているからだろうか。もし理由を問われても、天子にははぐらかすことぐらいしかできないのだが。
「……私も悪かったわ。そんなに悩んでたのに、深く考えないで……」
「本当に悪く思ってるなら、胸を貸しなさいよぉ……」
誰にも注目を浴びないというのは本当に久しぶりだった。不良呼ばわりされたとはいえ、天界に住むのは一種のステータスでもある。
しかも、運が良いのか悪いのか、オマケで天上を許された一家なのだ。それこそ、良い意味でも悪い意味でも注目される。
それとも。
今霊夢の胸で泣きじゃくる天子を完膚無きまでに崩壊させたのは、彼がチコのみに興味を示していたからかもしれない。
チコへの興味は、天子への無関心を意味する。今正体を明かして、惚けさせることはできるだろうが、彼の記憶に漂うチコに摩り替わることはできない。
天子が望むのは、過去から続く道に乗り入れること。
チコならばどんなに良かったことか。過去の喪失さえ乗り越えてしまえば、すんなりと隙間に入り込める。
同じ線路を走りさえすればいい。だが、チコでは乖離が襲う。かといって、天子となった今では彼の予想を裏切ることとなる。
板挟みの状況から逃げるように、天子は泣き続けた。
「寂しいよ……胸が痛いよ……ぉ……! 寂し、かったんだよ……○、○……!」
彼の名を呼ぶ。叫び続ける。
対象となる彼は、天子の現状を知らないのだろう。要らない心配をかけるのも間違いなのだろう。
できることなど何もない。泣き疲れるまで泣き、天子は静かに意識の蓋を閉じた。
「……眠ったの、天子……?」
問いかけても、返答はない。安らかな寝息と、全てを委ねた柔らかさを感じるだけ。
一方的に感情をぶつけられるのは勘弁願いたかったが、知り合いとして他人事ではないので如何ともしがたい。異変で絡んだ縁もある。
だが、解決は二人の問題である。部外者の霊夢が口を挟む隙間など存在しない。
「……願わくば、天子の道に幸あらんことを……」
宗派も何もかもが違う祈祷に効果があるのかは分からない。霊夢は何処か冷めた面持ちで、身動き一つしない天子に向かって呟くのだった。
久しぶりの夢を見た。久しぶりに、ではなく、文字通りに久しぶりの夢。
最後に覚えがある夜を記憶で検索してみる。何故か、目星が付いた。
地子から天子へと改名を決心した日。
しかし、理由までは思い出せない。最後まで躊躇わせていた事由も姿を消している。
亡失には価値が無いから。頭に覚えておき、心に書きとめる価値が無い。諦めるとき、そんな言葉を耳にした。
そして、彼女は自らの口で繰り返す。
麻薬のような、興奮が沈静へと向かう感覚が身体を駆け巡る。
何か重要なことを忘れた虚無感と引き換えに、他にどうでもいいことを得た満足で満たされていた気がした。
無いといえば、無いのだろう。
忘れた記録に、何の価値があるというのか。決して忘れないと誓った記憶でさえ、人間は忘れる。地上にいても、天界にいても同じ。
だから、ヒトは恋して涙を流すのだろう。悲哀でも享受でも、涙という点では同じ。
ただ質が違うだけだ。その質は他人には分からない。自分自身にしかワカラナイ痛みは、貴重であり身の近くには置いておきたくなかった。
「う……」
夢のような時間は、儚くて。自分勝手な立場を恥じる態度さえ見せず、消え去った。
我侭を言い続け、周りを振り回す天子が文句を言えるはずもない。
止まらない時計。其を決定付ける唯一の印である普遍性。
時計に対する動き続ける針は、天子が自分と通そうと吹っかける無理難題と等しい。他へ向けて己を忘れさせないように、わざと無理を言う。
たとえ迷惑だとしても。相手に刷り込まれる情報は、嘘偽りない。何も主張しないよりも、印象に残る。
「テンシ様、気がつきましたか?」
見慣れない天上。身体は覚えがない感触に包まれていて、何も知らない一般人ならば天上の夢心地だっただろう。
実際に天界に住んでいる天子からすれば、布団などやっぱり上も下も同じなのだった。
「え……? なんで、私はここに……?」
辺りをぼんやりと見渡す。改修作業を見るにも飽きて、昼寝の為に霊夢から借りた部屋の一つだった。そこに布団が敷かれ、天子は横になっている。
窓から覗く月は満月。月見酒には絶好というべき夜だろう。
「覚えていらっしゃいませんか? 霊夢が言うには、酔い潰れたらしくて。霊夢はしばらく留守にするというので、私がお世話を預かっているという訳です」
「そう……」
幻とは呆気ない。せっかくの甘美を、一寸の迷いなく消滅させる。届かないユメなら、せめて理想のままに。
実体が無い身体、実感の無い感覚。天子自身が呼吸をしているという事実さえなかったら、もう一度旅に出ただろう。
彼が後ろを向いたときを見計らって、瞳を軽く擦る。水滴が指先に付いた感触はない。涙全てを流し終えたのか、乾き終わる程に時間が経過したのか。
霊夢なりの配慮なのだろう。みっともない表情など、想い人には不要だ。
だが、巫女は致命的な間違いをしていた。泣かれた後で、彼女なりに色々考えてみたのだろう。
用事があるというのが嘘か本当か分からないが、彼と一緒にさせた方がいいと思ったに違いない。
「はい、お水です」
水が入ったコップを手渡され、酔いとは違う頭痛に耐える。
既に感情が爆発した。爆心地に残るのは、粉々になった塵のみ。
酷く冷静になった天子には、巫女との遣り取りで全て吐露していた。もう、熱く訴える感情は無い。
彼を目の前にしても、心が沸き立とうとはしない。
「ん……ありがとう」
当然だが、水に口をつけても、酒のような喉が拒絶する感覚は覚えない。むしろ、水を欲していたのか、天子でも驚く程に早く飲みきった。
酒は大量に飲んでいた。しかし、一人で摂取する量など、友と語りながら潤滑の為に口にするよりは少なくなるだろう。
一人酒は雰囲気を楽しむモノ。相手がいる酒は会話に花を咲かせるモノ。酒とは、芽を出そうとしている種に与える水分である。
「それにしても、天人といえども、酔い潰れるってあるんですね。僕、驚きました」
「……あのね。天人っていっても、元は普通の人間よ。酔いもすれば泣きもするわ」
だから。
冷静過ぎた天子は、以前なら決して口にしない言葉を口にした。もう隠すこともない。
霊夢との付き合いはまだ短い。彼女が秘密を軽々しく口外するとは考えたくもないが、嫌でも最悪に対する供えが必要となる。
我侭な娘が見せた弱さ。しかも色恋が絡むとなれば、噂にならない方が珍しい。
どうせ神社が建ったら、天子は再び天界に隔離される。
彼女が引き起こした異変の後始末として、今は大目に見られているものの、日常が戻ったのならばその限りではない。
「……うん。笑ったり、怒ったり、泣いたり、憂いたり。喜怒哀楽を……持っ……て……」
言葉にすらならなかった。頭の回転は正常値を示しかけているものの、上手く口が動かない。
それとも、それが思考が弾き出した答えなのかもしれなかった。
感情を表すのは、生者にとって当然のコト。するかしないかは、個人の自由に委ねられる。
今の天子は権利を持っていても、身体が不思議と涙を流すからどうにもならなかった。
「泣きなくないのに、っ……ぐっ、泣きたいの……。天人だって、こんなとき、ぐらい……っ、あるん……だからっ……!」
涙は全部流したと思った。たった今飲んだ水が、体内から出ているのかもしれない。
どうでもいいコトには違いない。涙が問題なのではなかった。
布団を握った震える手に、水滴が落ちていく。その中の一つが、灯りに反射して幻想的に光った。
「昔良く泣いてたからって、今泣いちゃ駄目なの? 変わっちゃ駄目なの!? 大人しい子供が、我侭になったからって、どうして泣いちゃ駄目なのよ!」
感情の爆発に使用した、火薬は全て燃えてしまったはずなのだが。訳も分からずに、天子は叫んだ。
それは、あの時からずっと心に秘めていた思い。張り詰めていた分、衝撃も大きい。
「テンシ様……」
「もういや……もういやよ! 私一人過去に取り残されるのはイヤ! 一人にしないでよぉ……!」
部屋中に天子の慟哭が響き渡る。哀愁と絶望が入り混じったその声は、彼女が積み重ねてきた日々の欠片。
「……バカ。お前は、一人じゃないさ。そんなトコロは、昔と変わらないな」
そう天子には聞こえて。いつぞやに体験したはずの、記憶と一致して。
数度しか感じたことのなかった、暖かさが全身を包んだ。心に刺さった棘が一瞬で蒸発する。その傷も、いまや気にする暇もない。
「……○○……?」
「天子……いや、地子。僕のコト、覚えてる?」
「忘れ、る……わけっ……ないでしょうっ、が……!」
彼の胸はただただ安心できた。抱かれているという現在よりも、彼の暖かさと一つになっている結果に身体が解れていく。
知らずの内に、天子は彼の背中に腕を回し繋がりを深くする。
昔よりも随分と広がった背中は、離れていた時間を容赦なくぶつけてきた。
「うう……わぁぁあ……あぁぁぁぁ……!」
一度完全に決壊した綻びを止める力など、天子には残されていなかった。
彼は一方的に打ちつけられる感情をその身に浴びていた。だから、天子は他のことに思考を展開する必要がない。
「……っ、んっ……いつ、気付いたの……?」
「いつ、なんだろ。よく分からない。……けど……きっと、初めて会ったときにじゃないかなぁ……」
軽く天子の頭を撫でる彼。
少しだけのこそばゆさと、嬉しさに天子の胸が一杯になる。以前感じた感触と同じで、芯が溶ける。
「……霊夢が言ってた未来の地子と、現在の天子は反対なの。とっても我侭。それでも……いいの……?」
再び目の奥が熱くなってくる。今更打ち明けるのは、危険な冒険に過ぎなかった。夢のように進んだ物事を壊しかねない台詞。
けれど、天子には白黒はっきりつけなければならないコトでもある。
彼は一つ笑って。
小さく天子の頭を叩いた。
「いいさ。……まだ、今の地子……天子は僕よく分からないから……」
「……バカ……ばか……ぁ……」
やはり、昔と同じように彼に頼らなければならないのだ。昔は助けを、今は救いを。
しかし、その関係は天子にとって嫌ではない。気持ちを代弁するように、彼を更に強く抱き締める。
やがて落ち着きを取り戻した天子。誰にも向けられていない彼女の独白は、虚しく部屋に響いた。
「寂しかったの……。苦しくて、胸が張り裂けそうだった……」
「……」
「でも、嘘みたい……。今、こうして抱き合ってるだけで、悪い冗談みたいに思える……」
「……天子」
「ねぇ……」
顔を彼の目の前に持っていく天子。
意志が宿る目には、言い表せない何かが渦巻いている。
「……伝えたいこと、あるんだけど……。聞いてくれる……?」
「……ああ。何だい?」
一度深呼吸する。その小さな動作でさえ、彼と身体を合わせている天子は彼の実感を得ることができた。
「……私ね、ずっと……」
小さな響きは紡がれることなく、安らかな寝息に侵食された。焦点が合っていなかった視線は、睡魔を追い出そうとしていたのだろう。
結局は負けてしまい、彼の胸の中で眠ってしまったのだが。
軽く彼は眠った天子の背中を擦る。赤子をあやすように動く手のひらは、布と擦れたにも係わらずに音を発生させなかった。
「……今度は、僕の番……ってコトで、いいのかな?」
霊夢の胸で泣き疲れて眠ってしまった天子を、彼はしっかり目撃していた。だから、このような台詞が口を出たのだ。
返答はまだしていない。あの後の言葉を考えるのは、野暮だろう。
「……まぁ、また次の機会に。そうだろ、天子……?」
静かに問いかける。彼女は前髪が鬱陶しく感じたのか、前髪を払う動作をしてから、楽しげに頷いた。
夢を侵食する言葉など覚えがない。だが、寝ているならば聞いて理解しているとも考えにくい。
揺り篭に揺られる天子の唇が微動する。それを理解できたのはとある言葉を示していたのは、静謐な夜に浮かぶ、欠けの無い満月のみだった。
予期できないことが起きるのが人生である。霊夢は今、それを実感していた。
「……おめでとう、というべきなのかしら」
天子が起きるとは、想定外の物事だった。帰ってきて天子を寝かせた部屋の襖に手をかけると、嗚咽が聞こえた。
一応慎重に襖を開けると、二人が抱き合っていたのである。
そのときの天子の表情は、止め処もなく涙を流していながら、福音を得た旅人のように輝いている。
確かに彼女は旅人だった。その旅の過去から未来を、覗いていたのが霊夢。
天子と彼が幼い時に別たれた存在だというのは分かっていた。少なくとも、彼に粘着してチコの過去を聞きだす時には。
「いいえ……。おめでとう……そして、ご苦労さまと……」
音もなく襖を閉める。困難を極めた旅路は、せめて終着点ぐらい幸せに。
またどうしても足を進めなければならない時が来る。遅かれ早かれ、絶対にだ。
酷く酒を飲みたくなった。外には酔い潰れてしまっている友達がいる。無理にでも起こして、現と夢を巻き込んだ色恋沙汰の話で盛り上がるのも悪くはない。
台所の戸棚に仕舞ってあった、とっておきの酒瓶を取り出す。いつ仕舞ったのかは忘れてしまった。
埃を被っているから、かなり昔だとは思うのだが。
表面を薄く覆う埃を軽くほろい、霊夢は足を進め、縁側へと腰掛ける。
「……今は、ただ二人に乾杯を」
頭上に輝く、満月へと容器を掲げる。揺れる水面は、他人行儀に輝いていた。
「そして……幸あれ、と……博麗の巫女の名の下に祈りましょう」
先程は誰か相手が欲しかったのだが、対象は全て幸せそうな表情で眠りについている。
本当の幻は破る価値もない。幻想の名を冠する世界といえども、単純に世知辛い世の中である。夢で慰めを得ることぐらい、許されてもいいだろう。
それに、霊夢自身が一人で味わいたかった。
「……ただ、それだけを……」
二人の船出を祝福するように、巫女は杯を重ねる。
霊夢は分かるはずもない。
月光に映し出される、決して綺麗とお世辞にもいえない文字で描かれた製造日時は、二人が別れた日を刻銘に示していた。
一度栞を閉じた本。
長い間放置して、すっかり埃塗れになった。
汚したくないからと、せっかくかけたブックカバーも汚れてしまった。
でも、そんなのは洗えばいい。
何度も洗って、太陽の下で干せば元通り。
カバーを綺麗にして、再び未読の本にかけよう。
今度は汚さない。
決して手放さない。
まだ半分にも至っていない物語の主役は、今出会ったばかりなのだから。
後書き
いきなりですが、私は今他に本腰を入れている小説があります(東方ですが……)
その小説と、この天子小説のカタチというか、作風が私にとって全く逆のモノなのです。ですから、いい息抜きをしながら書けました。
オリジナル設定天子盛り……じゃなくて、てんこ盛りでしたが、いかがでしたでしょうか。少しでも楽しんでいただけたら、書き手としてはこれに勝る喜びはありません。
緋想天のストーリーモードのシステムがあまり好きではないので、あまりプレイしていません。ですから、設定と喰い違う箇所もあろうと思います。そこを、それはそれとして楽しんでいだだきたく存じます。
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最終更新:2010年05月11日 22:14