魅魔(レス)1


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吹き飛ばされたのは何度目か。
妖怪の爪が振るわれる度に肉が抉られ、血が流れる。
傷は深く、少し指を差し込めば骨を取り出せてしまいそうだ。
視界は霞むし、意識もはっきりしない。
まだ辛うじて意識はあるものの、もはや立っているのも難しい。

「うぁ……、くそ…」

真昼から妖怪が出ないなどと決めつけていた数時間前の俺が恨めしい。
何故、俺はあの時の警告を聞いておかなかったのだろうか。

「ぅ…く、そ」

目の前の妖怪はというと、どうやら久しぶりの獲物を相手にして狩りを楽しんでいるようで。
圧倒的な力の差があるというのに、俺がまだ生きているのもそのお陰だろう。
だが、それも限界。
後数分と持たず、俺の意識は途切れるだろう。
そうなればおしまい。
目の前の醜い妖怪に、頭からむしゃむしゃバリバリと食い千切られて――

「死にたく、ねぇ」

体を支えきれなくなり、ついに膝をつく。
そのまま倒れそうになる上半身を両腕で押し止めようとするが、力が足りずに崩れ落ちた。
みっともなくうつ伏せに倒れ込む。
畜生、まだ俺は――

「愛して、いるってのに」

ぎゅっと、ポケットの中の小箱を握り締める。
今日渡すつもりだったのに、結局渡せなかった給料3ヶ月分の指輪の入った小箱。
まだ死ねないのに。
あいつとこれを渡すまで、死ねないってのに。

「……ッ、ハ、…」

悔しい。
力が入らず、意識が抜けていく。
苦しい。

そうして、妖怪は獲物が動かなくなったことを理解すると俺に止めを刺そうと襲い掛かり――

「まったく、だらしないねぇ」

――吹き飛ばされた。
俺の頭上スレスレを通って行ったビット攻撃。
魔理沙のそれによく似た――いや、魔理沙のそれがよく似ているのか。
三角棒に大きな翼。
口調こそ暢気であるものの、凄く怒っているのだろう。
彼女から溢れる魔力は、普段のそれとは比べものにならなかった。

「遅ぇ…んだぜ」

そんな姿が頼もしいものでつい、口元が緩んでしまう。
惚れた女に守られる、というのは格好がつかないけれど。
彼女が来たなら、もう大丈夫だろう――


「さて、私の三日後の旦那さんを虐めてくれたんだ。
勿論、覚悟はあるんだろうね?」

怯えて逃げ去ろうとする獣。
だが、もう遅い。
無限に降り注ぐ弾幕。
削られる妖怪の肉。
彼女の逆鱗に触れてしまった妖怪は、自分が男に与えた痛みの何十倍もの苦しみを受け、塵一つ残さず消滅した。


19スレ目 >>188
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「さて……みんな行ったかな?」
「良かったのか?」


博麗神社の鳥居の上。
普通なら誰もいないそこで、一人の青年と、その傍らに寄り添う女性が少女たちの旅立ちを見送っていた。
青年はどこに居てもおかしくない風貌。強いて特徴を上げるのなら、額に小さな火傷がある程度か。
しかしその傍らに寄り添う女性は足が無く、魔法使いのような格好をしており、明らかに普通では無かった。


「あはは、興味はあるけどそこまでじゃないよ。
むしろ、あんたが良かったの?」
「まぁ、俺はお前がいればどこでもいいよ」
「言ってくれるじゃないか。
……そう言えば、魔理沙にお土産頼むの忘れてたね」
「あぁ、確かに」
「じゃあ、その埋め合わせをしてもらおうかな?」
「喜んで」


そうして外来人の青年と悪霊の女性は今回の企画に参加することなく。
ただ、いつも通りにいちゃいちゃしていた。


(編者注:「今回の企画」については、20スレ目>>301参照)
20スレ目 >>342
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「博麗神社の神様ねぇ……」

外見だけは普通の神社。
賽銭箱の中身は常に空な神社。
見るからに御利益がなさげな神社。
果たして、そんな神社に小銭の賽銭を入れて意味があるのだろうか。
そう思いつつ、五百円玉を投入。

「いるなら、出て来てみろってもんだ」

ここが守矢神社なら、現人神が対応してくれるのだが。
しかしここは博麗神社。
返事が返ってくることは無く、空しく冷たい風が吹き抜けるだけである。
どうやら巫女は不在らしい。
何時までもここに居る意味は無いので、妖怪が出る前にさっさと退散した。

「腹減ったな……」

今日の夕飯をどうするかを考えながら長い階段を下りる。
その途中、ふと誰かの視線を感じたような気がして振り返る。
しかし、そこに居たのは尻尾が二本ある猫だけだった。
気味悪くなり、歩くペースを速める。
結局何事も無く家に辿り着き、一日を終えた。



「起きなよ」
「うん……?」
「ほら、もう十時じゃないかい」

知らない声で目を覚ます。
その方向を見れば、そこには緑髪の足の無い女性が。

「うわ……!」
「なによ、その反応。自分で呼んだせに」
「え……?」
「昨日言ったじゃないか、賽銭箱の前で」

いるなら、出て来てみろってもんだ。

「あ……まさか…」
「そう、私は魅魔。博麗神社の祟り神だよ」


それが、俺と彼女との出会いだった。

20スレ目 >>581
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「では○○。私たちも踊ろうか?」
「ちょっと待ってください。どうやって踊るんですか?足もないのに」
「足がない?よく見てみろ。ちゃんとあるぞ」
「あれ?ホントだ。でも俺…踊れないんですけど……」
「心配するな。私が体で教えてやる。さぁ踊るぞ!」
「は、はい……(何か嫌な予感がするのは気のせいか?)」

踊りの後疲れきった俺は精気を吸い尽くされていたかのように果てていた

24スレ目 >>261
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○○「今日も博麗神社にきたよ」
霊夢「ち、またきたよこいつ」
○○「魅魔ぁ~」
魅魔「お、また着たか、うれしいな」
○○「だって、魅魔が大好きだから(ギュ)」
魅魔「うれしいこといってくれるじゃないの」
霊夢「ったく、見せ付けて・・・ここ私の家なのに」


29スレ目 >>764
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最終更新:2011年04月17日 12:10