あの子良いですよね、あの子。そう、例の夢幻世界に生きている吸血鬼。いつも元気そうな子。
くるみって言うんですよ。別に苗字とかがあるわけじゃなく、くるみ。袖の長いブラウスと白いリボンでおしゃれしてる子。
夢幻世界なんて遠い世界に居ますけど、そんなの関係ないですよね。勝手に愛するのは別に構わないですよね。
アイドルに憧れる様に、僕だってくるみに憧れてもいいですよね。
最初は凄く変わった世界にいる吸血鬼、としか思ってなかったんですけど、そのうち心奪われてしまいまして。
もう頭の上から翼の根元、足の先まで素敵です! お手手繋いでみたいなあ……。
まあそれは置いといて、彼女のリボンって良いと思いません?
金髪に白色のリボンですよ? 見るからに清楚な少女って空気がするじゃないですか!
ああ、もう最高! 彼女のリボンと米と塩と水さえあれば生きていける!
それはともかく、彼女の格好って帰国子女をお洒落で表現してるみたいじゃありません?
神秘的で、幻想的。可愛らしげがあって、ちょっとおてんばっぽい感じ。
まずくるみっていう名前が良いですよね。響き……って言うんですかね、こう、日本語の発音の流れが綺麗っていいますか。
かきくけこ行のくから始まり、柔らかそうな音のる、しっとりとした音のみ。くるみ。鋼鉄天使とかは知りません。
一種の歌でも歌ってる気分になります。あの子の名前を口ずさむときの気分は、一流演歌歌手です。
まあ、顔を合わせて話したことなんて無いんで、一人でこっそりと呼んでるだけですが……。
くるみさん! くるみちゃん! くるみん! ああ、凄く可愛いよ! 幽香さんや
エリー、オレンジなんて目じゃないね!
くるみの事なら他にも好きなところありますよ。服装。そう、着てる服!
胸のリボンやブラウスの襟辺り、彼女の汗の匂い一杯そうで興味あるんですよね。
あのリボンしゃぶってみたいです。くるみちゃんの味……。きっと最高の珍味ですよ。酒の肴に是非。
ああ、僕が変態なのはこの最我慢してくださいよ。でないと話が進まないので。彼女と手を繋いでみたいですね。物凄く柔らかいんでしょうなあ。
あ、さっきも言ったような気がしますね……。まあ、聞いてくださいよ。
彼女に血を吸われ、彼女の下僕として使役されるのなら喜んで何でもしたいですね。くるみちゃんウフフ。
彼女の肌触りはきっと、僕お気に入りの枕カバーを超える心地だと思うんですよね。
スベスベして、それでいてモチモチとしていて、サラサラしてる感じです。
まあくるみちゃんが僕と手を繋ぐなんてすれば、彼女の方が嫌がると思うんで、願望に留めておきますね。
太腿も最高。あの黒いスカートに隠れてるのがたまらないですね。どんなラインを描いているのだろうと想像するだけで僕はもう。
その脚の先にある、靴に包まれた御足も堪りませんね。踝が描く曲線なんて、この世の宝に等しいはずです。
他に、拝んだことがないので自信はありませんが、彼女の背中もきっと素晴らしいと思いますよ?
日本人女性が持つ、背中の美しさってあるじゃないですか。肩甲骨が表す、あの淫らな造形美。
そう。髪の生え際。うなじの魅力に似てますよね。なんかこう、グッっと来るっていいますか。
想像するだけでご飯食べれます。写真があれば家宝にしたいぐらいです。
彼女はどちらかといえば外国少女の骨格に似るのかもしれないですけど、きっと日本人でしょう。どっちにしろ素敵そうですし。
彼女の胸はどんなものなのだろう。二次成長期は迎えたのだろうかな。
まあ、それはちょっと自重すべき話題なんで、これ以上触れませんけど。
ああ、くるみちゃんが幽香さんの嫉妬してたりしたら可愛いなあ。
エリーさん達と一緒にお茶してる姿を見られれば、それだけでお腹一杯ですよ。テレビのドラマを見るより遥かに楽しい。
あ、あれ? なんか周りの景色が変だぞ? 紅響曲を聞きながらくるみちゃんの立ち絵を眺めている間に、知らない世界へ迷い込んだ!
ここは幻想郷なのか!? ここは夢幻世界なのか!? どうなんだろう!!
あ、大きな湖が見えてきたぞ。氷の妖精がいる湖なのか? それともくるみちゃんが警護している湖なのかな?
凄い! くるみちゃんだ! 本物のくるみちゃんだ! どうしよう、心臓止まっちゃう! 嬉しすぎて死んじゃうよ! 心の準備なんて出来ていないのに!
あ! くるみちゃんが僕に気付いた! どうしよう、こっち来ちゃうよ……。プレゼントやお土産なんて用意していないのに、どしようもないよ!
「こんにちは。ここに普通の人がやってくるなんて珍しいわね」
く、くるみちゃんが話しかけてきた! す、凄く綺麗な声だ……。
「ぼ、僕の名前は○○です! こ、ここはどこなのかな? 知らない世界に迷い込んだみたいで、その……」
「ふうん。私はくるみって言うの」
え? 君の名前はくるみ? やった、やっぱり君はくるみちゃんなんだ! ここは夢幻世界なんだ! いやっほーう! 夢幻世界最高おー!
「あ、なんでもないよ! ちょっと嬉しくなってはしゃいじゃっただけなんだ」
「ねえ、物凄く暇だからちょっと付き合ってよ」
とりあえずお茶でもどうだって? いいの? 妖怪の君に殺されるんじゃないかと思ったけど……。
「ちょっと狭い家だけど、落ち着いていていい家だね! いつもはここで一人暮らしなのかな?」
「そうね。ここは忘れ去られた日本の幻想郷。そしてその幻想郷からも忘れ去られようとしている儚い世界、夢幻世界よ」
「ぼ、僕を食べたりしちゃう? 殺したりしちゃうの? あ、でも血を吸われるのなら大歓迎だよ」
「ふふ、そんなことしないわ。……したいけど、どうせあなたは帰ることができない。それなら、一緒に暮らして楽しく過ごした方がいい。そう思わない?」
「……!? いいの? 君と一緒に暮らしていけるなんて出来れば僕はいいけど……」
「ええ。外の人間が喜ぶ食事は用意できないと思うけど……僕は来訪者を歓迎するわ」
「そんな、君みたいな綺麗で可愛い女の子と暮らしていけるっていうだけで幸せだよ! あ、くるみちゃんって馴れ馴れしく呼んじゃっても構わないかな?」
「ふふ、いいわよ。よろしくね、○○さん」
わあ、すっごい! くるみちゃんが僕の名前を呼んでくれだぞ! 感激だ!
「お腹は減っている?」
「え……あ、うん」
「それじゃあ、食事を作りましょうか」
「うん! あ、僕も手伝うよ、くるみちゃん!」
本物のくるみちゃんに会えたことが信じられないよ。今でもこれは夢なんじゃないかと思う。
でもくるみちゃんの声をはっきりと僕の聴覚で感じている。くるみちゃんのヴィジュアルをこの目でしっかり捉えている。
ああ、くるみちゃんの温もりを体で感じたいよ。でもそれはもっと仲良くなってからにしないとね。
さあ、僕はくるみちゃんと食材を取りにいかなくっちゃ!