紅魔館のメイド1
1スレ目 >>711
「……参ったねぇ」
ぐしぐしと吸っていたタバコを携帯灰皿に突っ込みながら、男はぼやいた。
幻想郷でも珍しい風体。どこからどう見ても外界の人間であることは明白だった。
真っ白いフリル付のエプロンがどことなく笑いを誘うが、同時に異様なほど似合ってもいる。
……それもその筈。この男、現時点では紅魔館最高のコックなのだから。
事の起こりは一ヶ月前。紅魔館のほど近くにこの男は流れ着いた。
もちろん捕獲→食材倉庫→おにくー、なのは明白だったのだが、そこからがちょっと違っていた。
あろうことか倉庫から脱走、食堂に立てこもったのである。
『メシ作れないまま死んでたまるか!!』
そう叫びながら凄まじい勢いで調理器具を操る男を、紅魔館中の者達はあきれ半分で眺めた。
……が、思わぬことが起こった。この男の料理、信じられないほど美味いのである。
一口食べたのはメイド長に門番。『弟子にしてください!!』と即座に土下座。
度肝を抜かれたのはお嬢様ズ。試しにぱくりで『うまぁーい♪』と幼児退行。
挙句の果てにはメイドたち。『私によこせ!!』と皿に群がり争奪戦。
かくして男は食材から調理師筆頭まで驚異的な出世をしたのである。
一芸に秀でているというのは、正しく命を救うものなんだろう。多分。
かくして男は紅魔館に勤めることになった。もう一ヶ月になる。
現在の場所は厨房。内勤のメイドたち専用の大食堂である。
紅魔館は広くはないが狭くもない。よって、働くメイドの数も多い。
ついでに言えば朝夕かまわず働くメイドがいるので、食堂が閉まるということもないのだ。
男は類稀なる調理スキルを持っていたが、休み無しではそう持たない。
一応夕方~夜にかけての時間が勤務時間となっているのだが……
「シェフー……相変わらず長蛇の列ですー」
「廊下の向こうまでですー」
「……わざわざ俺の時間まで待たなくても……」
メイドたちの誉め言葉に、苦笑しながら男は答えた。
……男の料理を一口でもいいから食べたい。そう願う紅魔館中の連中が集まるようになってしまった。
列の中には門番、メイド長、お嬢様ズに紫もやしまで勢ぞろい。
この分だと列の最後尾辺りには黒白やら紅白やらもいそうだ。
……繰り返して言うが、ここはメイドたち専用の大食堂である。
「相変わらずお前達には苦労をかけるな」
「いえいえー」
「こっちも頑張る元気が出ますー!」
「貴方の下で働けるのって光栄ですからー」
専属の調理メイドたちも腕まくりしつつ答える。
「よっしゃ!! 一気に賄うとしますかぁ!!」
「「「「おー!!」」」」
かくして、紅魔館でもっとも賑わう夕食が始まった。
* * * *
「コック!! 七番テーブルより7番8番定食入りました!!」
「続いて九番テーブルは9番七つです!!」
「ななつ!? 俺の体は一つしかねーんだぞ。おいメイド(B)!! 牡蠣剥いて茹でとけ!!」
「ラジャーっす! って、お嬢様テーブルから追加オーダー入りました!!」
「待たせろ!! 料理の前じゃ誰だろうと平等だからな!!」
「い、いいのかなぁ……」
「いいんだよ!! オラ1番から9番まで5枚出たぞ持ってけ!! 次は!?」
「えーっと……って、いいいいい妹様が来ますっ!!!!」
「またか!? 総員戦闘配置につけ!! 一番槍は俺が!!」
「おーーーーーーーーーーーーなかへったーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「厨房は立ち入り禁止って言ってるでしょがこの暴走妹様ァァァァァァァァァァっ!!」
……とまぁ、こんな具合で嵐のような時間は過ぎて。
* * * *
「つ、疲れた……」
時間的には数時間。だが丸一日動き回ったかのような疲労だった。
男は決して楽な仕事(料理系)にはついていなかったが、紅魔館のソレは今までの比ではなかった。
ポケットから紙巻煙草を取り出し、一服する。
「……就職場所間違ったかな」
ぽつりと呟く。もうそろそろ交代の時間なので、エプロンを外す。
「お疲れ様でしたー。コック、大丈夫ですか?」
「……妹様こなけりゃ楽だったかも」
「あはは、しょうがないですよ……って、おや?」
軽く雑談していたメイドが、誰かを見つけたのか言葉を切る。
男が振り向くと、もう殆ど人がいなくなった食堂に、ぽつんと立っているメイドが一人。
……どこか儚げな姿をしたメイドだった。
「また食いそびれたのか……えーっと、食材なんか余ってたか?」
「あ、はい。一応4番定食が作れる程度には残ってますけど……」
「そか。じゃあメシ作ってるから、次のシフトの連中呼びに言っといて」
「わかりましたー」
メイドはとてとてと廊下を歩いていった。
男は一度外したエプロンを再び装着。余り物でさくさくとご飯を作っていく。
作る分量は……二人分。例の寂しげメイドと男の分だった。
出来上がった料理をトレイに載せて、メイドの方へ男は向かった。
「よ。相変わらずくいっぱぐれたか?」
「…………別に」
ぷい、とそっぽを向く。このメイド、あまり人付き合いが良い方ではないらしい。
ソレもその筈。このメイド、メイド隊の中でトップクラスの性能を持っているのだ。
妹様対策に編成された特別メイド隊、そのリーダーとも言える存在が彼女である。
赤と青の針状のばら撒き弾幕を得意とし、短時間ではあるがスペカ無効の能力まで持っている。
通常のメイドたちからしてみれば、最強といっても過言ではないほどなのだ。
彼女はそんな特性もあってか、あまり周囲となじめない。
夕食の混雑も避けたがるためか、ちょくちょくご飯を食べそこなう事も多い。
……なので、男は見かねてご飯を作ってあげているのだ。
「ともかく……食べようぜ。俺メシ食ってないし」
「………………」
メイドは答えない。けれども、行動が全てを物語った。
手近なテーブルにすわり、さらに隣の席の椅子を引き、じーっと男を見つめる。
……まるで子犬が期待しているような眼差しだった。
「はいはい……さ、召し上がれ」
「……………………」
ぱちん、と手を合わせてメイドはガツガツと食べ始めた。
男は少し笑いながら、同じく手を合わせて同じく食べ始める。
しばらくの間、食器と食器が触れる音と咀嚼音だけが食堂に響いた。
* * * *
「……ご馳走様」
「はいな。お粗末さんでした」
礼儀正しいのか、きちんと手を合わせてご馳走様をするメイド。
男は食器を片付けながらソレに笑顔で答えた。
もうそろそろ次のシフトのメイドたちが来る筈なので、急いで片付けなければならない。
男は洗い場へ入ると、食器を水につけてから洗い始めた。
「……いつも、ありがとう」
「んー? いや、いいんだよ。やりたくてやってる訳だし」
それに、寂しそうなのみてられないんだよ。その……好きだし。
……と続きを口にしそうになったが、あえてそこは語らない。
同情や哀れみは、きっと彼女の気分を害するだけだろうから……
「………………」
「……? どーした?」
彼女が喋らないのはいつものことだが、少し様子が違った。
何か躊躇うように視線を走らせている。
どうしたのか、と男が問おうとしたとき。
唇に、柔らかいものが触れた。
とたんに駆け出していくメイド。心なしか首筋まで紅く染まっているように見える。
「…………」
キスされた、と気づいたのは、かなり時間が経ってからだった。
そのメイドが若干の読心術を扱えるのを知ったのは、さらに後のことだったとか。
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紅魔狂のパチェ前のメイドさん萌えー。
……なんて稀少なモンに萌えてるんだか。
1スレ目 >>845
私的紅魔狂メイドさん妄想
○赤と蒼を基調にしたメイド服。フリルはややシャープでスカートはロング。
○身長はメイド連中の中では高め。美鈴や咲夜ほどではない?
○腰まである長い髪をポニーテールにしてる。
○眼はオッドアイ(赤と蒼で服とは反対になってる)で物凄く釣り眼。
○無口。クール系。だけど可愛いもの好き。趣味は甘い物食べる事。
○対妹様に編成されたメイド中隊の隊長。階級は少佐(何
…………。
メイドさん! ぜひ私めと付き合ってくださいま(赤+蒼針ばら撒き弾
10スレ目>391
あ、こんばんわ
ん?何処かでお会いしましたか?気のせいですよ
私は名もないメイドです、ここで主に救護を担当してるのであなた方と会うことはないかと
ええ、ですから4面とか5面でも負傷者の手当てをしてるので・・・
だから名前はないんですって、え?救護メイドだから救ちゃん?そんな安直な
まぁ別にいいですけどね・・・救ちゃんか・・・救ちゃん、えへへ
な、何ですか!?ニヤニヤして!なんか文句ありますか!?
……ほら、早く館から出て行ってくださいよ、私が見回りの時に騒ぎを起こされると面倒ですから
べ、別に心配してるわけじゃありません!ほら!今なら門番さんも仮眠を取ってるでしょうから
ええ、それじゃあ・・・おやすみなさい
え?また会いましょう ?・・・そうですね昼間に正面から来てくださいね
はい、それではまた・・・
ギィ バタン
救ちゃん・・・私の名前、か
12スレ目>>965 うpろだ920
「あ、あの…○○さん、ちょっといいですか?」
それはバレンタイン当日でした。
風の便りをきいて、試行錯誤の末に完成した手作りのチョコを片手にもって、○○さんに会いました。
周りは休憩中で私と○○さんしかいない。
バレンタインチョコを渡すのにはちょうどピッタリでした。
「ん、なんだい?」
彼は私の突然の用件でさっぱりなはずだ。
そんな○○さんでもわかるように行動で示しました。
「…はいっ、○○さん、良ければ、これを貰って下さい!」
緊張で顔が俯きながらも勇気を振り絞って彼にチョコを渡しました。
風の噂ですが…○○さんは外からやってきた人間らしく、お嬢様が気に入ったため、ここで働く事になったとか…。
でも、○○さんの仕事振りは私たちよりもとてもよく、周りからは憧れの的でした。 もちろん私もその一人です。
ところが○○さんはまだ付き合っている女性がいないのです。
お嬢様やメイド長やお嬢様の友人は○○さんと付き合いたいとおっしゃっているのに…全て丁寧に断れたらしいです。
誰か好きな人(?)はいるのだろうかとあちこちで噂してました。
けれども、博麗の巫女も魔法使いも、そのほかのも当てはまらない用で…。
無謀だとわかっているのですが、今日を機会に告白しようと決心しました。
十中八九無理とわかっててもその一、二の可能性にかけて見ました。
「…これ、君が作ったの?」
彼は中のチョコレートをまじまじみて、訊いてきました。
「は、はい…。 頑張ったのですが、下手ですみません…」
あぁ、目の前で捨てられるでしょうか。
やはり私みたいな下っ端の妖精メイドが作ったチョコなんていらないのでしょう。
それなら料理の上手なメイド長やとてもおいしいチョコを持っているお嬢様の方が欲しがるはずです。
しかし、予想は見事に裏切られました。
○○さんは「そっか、それじゃいただくよ」と言って、私のチョコを食べてくれたのです。 それも美味しそうに。
あぁ、うれしいです、○○さんが食べてくれました! 私死んじゃってもいいです!
「うん…、ちょっと甘すぎたけど、美味しかったよ」
彼はにっこりと笑ってました。
もう、うれしくて感動で…肝心の言葉が出ませんでした。
代わりに涙とが出てきました。
「…ふぇぇ、よかったぁ、よかったぁ…!」
正直、告白しなくてもいいと思ってました。
チョコを渡すだけで精一杯だったのですから。
私はその場にへたり込み、両手で顔を隠して、嗚咽交じりに泣いてました。
自ら恥を晒していると言っていいかもしれません。
でも今の私には恥かしく思う余裕などありませんでした。
そんな私を見てなのか、○○さんは優しく抱き付いてきました。
……あれ? これってもしかして…!?
「…僕の事が好きなんだね」
「…はい。 でも私なんてどこもいい所なんて…」
お嬢様のように強くはない、メイド長のように万能でもない私なんて。
「あるじゃないか。 周りから負けずに頑張ったじゃないか!」
「えっ、で、でも…」
「…その勇気に見込んで、一つだけ何でも聞くよ。 ほら、言ってごらん」
あぁ、お嬢様でもメイド長でもだめだった○○さんに果たして私の想いは伝わるのでしょうか?
そんな不安を感じながらも○○さんにぶつけました。
「私…○○さんの事が好きです! こんな私でも良かったら…付き合ってください!」
あぁ、言っちゃった、言っちゃった。
もう、後は引けれません。 ○○さんの答えをただただ待つのみです。
その待っている間がとても長く感じました。
「その言葉を聞きたかった。 貴方のお嬢様を断った俺でもよければ」
ようやく私の想いは伝わりました。
しかし、告白が終わった夜。
○○さんの部屋で○○さんと一緒になっているのですが…何だか不安で一杯です。
「どうした? ずっと不安そうな表情じゃないか」
「は、はい…私、今でも実感がわかなくて…」
それもそのはず、お嬢様やメイド長を追い越して、○○さんの彼女になったのですから。
「ほら、チョコでも食べて気分を変えなよ」
わかりまs…んぐぅっ!?」
そのとき、私は一瞬だけ頭が真っ白になりました。
彼からキスされちゃったのです。 しかも、溶けかけのチョコを口移しで……///
「…恥かしいですよ///」
「君のその恥かしい表情がかわいくて仕方ないよ。 ほら、もう一個どうだ?」
「…馬鹿ッ。 でも、お言葉に甘えて…///」
そのとき、メイド長や他のメイドたちがドアの隙間からとてもうらやましそうに顔を真っ赤になって見ていたのに気付いたのは翌朝の事でした。
END
Megalith 2012/03/03
咲夜は自室で本を読もうとしていた
今日一日の仕事は終わり、楽しみの一つである
前に読んだ時に残しておいた栞が挿んであるページを開く
確か、主人公と仲間が旅の途中で…と内容を思い出しながら読み始めた時
不意にドアがトントンとノックされた
こんな夜中に誰だろうか、と考えながら本を閉じる
「鍵は開いてるわ。入っていいわよ」
「失礼します…」
ドアが開かれ、そこに居たのは一人の妖精メイドだった
「あら、こんな時間にどうしたの?仕事の事?」
「いえ、みんな仕事は終わってます
その…個人的な相談がありまして…」
「相談?まあ、とにかくこっちに来なさい
今、紅茶を用意するから、ちょっと待っててね」
「ありがとうございます」
「で?相談っていうのは?このまま聞いてあげるわよ」
「あ、はい…その前にお聞きしたい事があるんですけどいいですか?」
「答えられる範囲ならいいわよ」
「それじゃ…失礼かもしれないんですけど…」
「何よ?」
「咲夜さんは恋をした事…ありますか?」
「……は?」
「すみません!!変な事聞いてしまって…」
「…恋…ね…私は恋愛経験はゼロよ」
「そうですか…」
「…急にどうしたのよ」
「実はその…あの…」
「…まあ、ここまできたら察しはつくけどね
大方、好きな人が出来てどうたらでしょう?」
「は…はい、そうなんです」
「で、その相手は誰なのよ」
「○○さんっていう人です…咲夜さん知ってますか?」
「○○?…どんな人かしら?」
「外来人の方で、里で寺子屋のお手伝いをしている方です」
「ん~…悪いわね、知らないわ」
「そうですよね…」
「結局、相談って何よ?彼と付き合いたいけどきっかけが無いとかかしら?」
「そうでは無いです
というか、彼とは事実上付き合ってます」
「あら、そう……待って、じゃあ、何よ相談って」
「それがですね…この前、○○さんに…その…」
「はっきり言いなさい!!」
「…結婚しようって言われたんです」
「……え?ごめんなさい、聞こえなかったわ、もう一度いってくれるかしら」
「○○さんに結婚しようって言われました」
「…ますます分からないわよ
結婚しようと言われて何に悩んでるのよ」
「…怖いんです私…彼が居なくなった後を考えると…」
「え?」
「私は妖精です。幻想郷が滅ばない限り生き続けます
でも彼は、人間は寿命が来れば遅かれ早かれ死んでしまいます」
「まあ、ね…」
「私は彼が大好きです…これ以上無いくらいにです…
でも、これ以上幸せになったら…彼が居なくなった後が辛くなるんです…」
「……」
「咲夜さん、私は…どうすればいいんでしょうか」
「…そんなの分からないわよ」
「……」
「でもね、一つ言っておくわね」
「はい…」
「結婚して、その後に辛くなるかもしれない
でも、あなたはしなかったら、もっと辛くなるわよ」
「咲夜さん…」
「彼との思い出は、、彼が居なくなった直後は辛いのかもしれない
妖精なら尚更の様ね
でも思い出は、いつまでもそう感じるものでは無いわ」
「…そうですね…」
「…答え、出せそう?」
「すぐには…でも、少しだけ決心がつきました」
「焦らないでいいのよ。大事な事なんだから」
「はい……今日はもう部屋戻らせてもらいますね
お時間を使わせてもらってすみませんでした」
「いいのよ。部下の面倒見るのは、仕事の内でもあるから」
「ありがとうございます…それでは」
部屋を出た妖精メイドには、もう決心がついていた…
次の休暇…その時に全部伝えよう…あの人に…
ー数日後・里の某所ー
「あっ、○○さん!!ここに居たんですか、探しましたよ!!
この前のお返事なんですけど…
………その………
……………わ……私みたいな不束者でよければ……あの
…これから、よ、よろしくお願いします!!」
○○がね、一回もね、出てこなかった
反省はしている
妖精メイドが何か大ちゃんっぽくなった…
最終更新:2012年03月21日 19:59