ハーレム?6
12スレ目>>476
その時俺は風呂に入っていた。事件はその時起こった。
「○○一緒に入ろー」
突然諏訪子様が風呂場の床を持ち上げて入ってきたのだ。
「!? ??!?」
俺がうろたえるのも無理はないはずだ。
そんな俺を尻目に諏訪子様は平然とこう言ってきた。
「そんなにびっくりしないでよ。ちょっとお風呂場の床をもう一枚作っただけだから」
「え? どういうこと?」
「だから、」
床に手を伸ばし何かを引き上げ下を指差す諏訪子。
「床は『2枚』あったッ!」
「はぁ?」
「さっき○○が乗っていたのは私が作った偽物よ」
「ど……どうやって?」
「このくらい私の力を使えばどうってことないわ」
と、胸を張って答えてくる諏訪子。
眼鏡が無いから良く見えなかったが、確かに普段より浴槽の縁が低かった気もする。
ううむ、諏訪子様の作戦勝ちか。
「というわけで入れてねー」
「駄目ですって諏訪子様、もう入りきりませんよ」
「へへ、このお湯を被っちゃえば、もう入れざるをえないよ。温まらないとだし」
そういって浴槽脇のケロヨンを手にする諏訪子様。しかし俺はあの桶で湯など汲んでいない!
「ヒィッ!」
ああ、やっぱり水だったのか。両肩抱いて震えてるよ。
「お願いだからちょっと入れて。温まらせて……」
仕方がない。ここで入れなければまさしく外道である。
端に寄って、反対側に入れる分のスペースを作る。
しかし諏訪子様はそんな配慮は何のそので、股の間に割り入ってくる。
これは危ない。この配置は危ない。
耐えろ俺のケロちゃん。くれぐれも舌を伸ばさないでくれ。
「はーあったかいねー」
「そーですねー」
正直言ってそれどころではない。
「いい気持ち。歌の一つでも歌いたい気分」
「そーですねー」
「かーえーるーのーうーたーがー」
「輪唱はしませんよ」
「かーえーるーのーうーたーがー」
「どっから!?」
浴室を見、天井を見、諏訪子を見る。
しかし諏訪子様は私も知らないという風に首を振る。
きょろきょろともう一度見回していると、ふと気づいた。
窓に! 窓に!!
「諏~訪~子~、何抜け駆けしてるの!」
窓にすごい不機嫌そうな顔の神奈子様が!
「もう怒った。私も一緒に入る」
「やめて」
言うや否や猛然とダッシュする神奈子様。
それを引き止めようとして全く止められなかった俺。
「早いところ上がりましょう」
幸い体も髪も洗ってある。まだ暖まりきっていないが背に腹は代えられない。
風呂から上がって寝巻きに着替えてしまえば、闖入者は増えないだろう。
「上がる必要は無いよ」
「?」
諏訪子様が妙なことを言う。風呂から失せないと事態の収拾は無理だろうに。
恐らくは神奈子様乱入風呂釜崩壊早苗さん大激怒ルートだろう。
そう思っていると突如水の中に何かが出来た。
「『坤を創造する程度の能力』! いま水から風呂の底を作ったッ!」
「なッ!」
「これに隠れて神奈子をやり過ごすッ!」
遠くからドンドンという床を踏み抜かんばかりの疾駆音がする。
早く隠れろと腕を引かれ、水中に顔も体も全く没する。
水に潜れない俺が、だ。
「ぬうっ。諏訪子め何処に消えた」
何処の戦国武将かと思うような声で神奈子様が言う。
俺は板二つに挟まれて、水中で身動き取れない状態になっている。
体の下には諏訪子様。上には板越しに神奈子様。
そして俺のオンバシラはエクスパンド済み。
加えて泡で居場所がばれるので、うかつに息も吐けない。
「上がったのかな。早苗に聞いてみるか」
神奈子様がそう漏らし、俺もほっとして息を漏らしてしまう。
泡は掴むことも出来ず、板の隙間を通り抜け面に上り、
「そこかーッ!」
無情にも居場所をばらしてしまう。
神奈子様が掛け声と共に振り下ろした足は板の端、頭のあるほうとは反対側を踏み、
どうやら諏訪子様が立てていた膝を支点にきれいに宙返りをして、神奈子様にクリーンヒットしたらしい。
ゆっくり崩れ落ちる神奈子様と、勝ったとばかりに両腕を掲げる諏訪子様、
どたどたと音を立てながらこちらに向かってくる早苗さん。
十中八九最悪だ。
「どういうことですかッ!」
見られたのは床に大の字で寝ている神奈子様と、裸で抱き合う俺と諏訪子様。
そして散乱した浴室と風呂の床。
事態の把握など出来るはずも無い。
「○○さんは私だけを愛してくれるんじゃなかったんですか」
なんでだ。あとそっちからか。
「あの日布団の中で愛しているのは早苗だけだって言ったのは嘘だったんですかッ!」
「いや言ってねえよ。大体一緒に寝たこと無いでしょう」
早苗さんが残念そうな顔をして一瞬の間が開く。
既成事実でも作るつもりだったか、それとも言質を取りたいのか。
「それで、何でこんな風になっているんですか?」
「ワカラナイ」
「判らないじゃないでしょう。なら○○さんと諏訪子様、先に入っていたのはどちらなんですか」
「シラナイ」
「それならこの床は何なんですか」
「コムギコカナニカダ」
叩かれました。
「本当に○○さんは目を離すとすぐに騒動を起こしますね」
早苗さんが言い、横で神奈子様と諏訪子様が頷く。
俺は皆の対面で正座させられ、この家族? 会議の主役に仕立て上げられている。
あれあれ悪いの全部俺なんですか?
「だが待って欲しい。乱入したのはそこなお二方なのだから、自重していれば事件は防げたのではないか」
……。
「まあ何にせよすぐ騒動を起こすと言うことで」
早苗さんごまかすな。
「これはあれですね、皆でいつも監視していないとということで」
「そうだね、それじゃ当番決めようか」
「日曜はみんなではいるの?」
「それじゃあお風呂場も大きくしてもらわないといけませんねえ」
「露天風呂ならすぐ作れるよ」
これはあれか? しっとマスクが来る様な事態か?
工事屋の代わりに工兵の杉本君が来るのか?
「あの……みんな落ち着いて」
「私お風呂の順番後のほうがいいなあ」
「諏訪子、風呂で何する気よ」
「何って……いろいろよ」
「こやつめハハハ!」
「ハハハ」
だめだこいつら、早く何とかしないと。
「それじゃあ○○さん、諏訪子様が露天風呂を御造りになられるそうなので、外に行きましょうか」
俺の蛇がもたねえ。
12スレ目>>482
リグル「見て!カブトムシ形とクワガタ形を作ったの!」
○○「妙にリアルでキモイぞ」
みすちー「はい鰻チョコ!」
○○「いらない」
慧音「あ、あの、これ・・・」
○○「なにこれ歴史書?すごいチョコの匂いがってインクがチョコかよ!食えるかよ!!」
てゐ「はい○○!愛情たっぷり手作りチョコだよ!」
○○「アーモンドチョコ形消しゴム懐かしいな」
鈴仙「は、はい、○○、これ・・・」
○○「この滑らかな流線型は座薬ですね」
永琳「はい、どうぞ」
○○「なんかカプセルはみ出してるぞ」
輝夜「○○、私のが一番おいしいわよね?」
妹紅「燃えろー!」
輝夜「ああ!私が愛情こめて作らせたブリリアントドラゴンチョコレートが!!」
○○「人に作らせたのかよ」
妹紅「あああ私のも溶けちゃったああ」
輝夜「バーカwwwwwwww」
○○「うわああっちいい水!水ー!!」
12スレ目>>571
れみりゃ「ぅー」
○○「……どうした? お腹でも痛いのか?」
れみりゃ「○○、ほかのひととはなしてばかりであそんでくれない……」
○○「うわ、ごめん! そんな約束してたっけ」
れみりゃ「おままごとするってやくそくしたのに……」
○○「今! 今からやろう!」
れみりゃ「……! じゃあ、れみりゃがままで○○がぱぱね」
○○「OK、把握した」
れみりゃ「それでね、それでね、こどもがふらんどーるね!」
○○「……!」
フラン「パパ、お外で私と遊んでー?」
○○「おま、いつから……」
れみりゃ「ちがうもん、ぱぱはままといちゃいちゃするの! ねー?」
○○「ね、ねー?」
フラン「ふーん、じゃあ私もパパとイチャイチャする!」
フラン's「「「イチャイチャだー! イチャイチャだー!」」」
○○「いやちょっと待て二人だけならわかるけどなんで五人になってrうあわはああああああ」
○○はスカーレット姉妹にもみくちゃにされました。
12スレ目>>812 うpろだ890
なんだか凄く困った事になっていた……。まぁ、見ようによっては羨ましいかもしれないが
「ねぇ、どっちが好きなの?ハッキリしなさいよ!私なの?妹紅なの?」
「お前が大声だすから可哀相に○○がビビってるじゃない。殺すよ、輝夜……」
俺がビビってるのはそんな理由じゃない
となんか陽気な雰囲気が流れるいつもの神社での宴会の中、右に居られるは永遠亭のニート姫こと輝夜。
左で殺気剥き出しなのは近所の竹林に住んでる妹紅。
あれだ、こんな状況になったのは宴会で「○○さんっていっつも妹紅さんか輝夜さんといますよね~、一体どっちが本命なんですかぁ?」
と酒の入ったどこかの馬鹿天狗に聞かれたからだ。
ちなみにその馬鹿天狗はとっくの昔に姿を消した。流石幻想郷最速を名乗るだけはある、最低だ。
抑止力になろうはずの永琳さんは意外にも既に酔いつぶれていて慧音さんも今夜は寺小屋の野外授業で生徒さん達と星を見に行っていない。
二兎にはもう何の期待もしてないしギャラリーは見て見ぬ振りするか酒の肴にしている
「うるさいわね、嫉妬は見苦しいわよ妹紅、私と○○の仲を邪魔するならあなたこそ死んでもらうわ」
「あ゛?誰と○○の仲だって?お前こそ私と○○の絆の深さに入る余地なんかないんだよ」
何か知らんがどんどんヤバい方向に……。誰かに助けを求めなくては……。
ふとこっちを見ていた霊夢に視線を送ったら目があったが少しばつの悪そうな顔をして霊夢は目を逸らした。
あ、無理?無理なの?
「じゃあ、本人に聞いてみるってのはどうだ?」
「あなたにしてはいい考えね妹紅。聞いてたわね、○○?」
「あ、あのさ、二人とも落ち着いて……。せっかく宴会の席なのに、な?」
「「いいから、どっち?」」
マズい、マズすぎる……。どっち選んでもちぬ、確実に死んでしまう。
「そ、そんなすぐには決めらんないっていうか……」
A.実は輝夜の事が……
B.実は妹紅の事を……
C.君達二人とも僕の可愛いにゃんこさ
ここは普通に考えてC以外だろ、でもどれ選んでも死にそう。
「…優柔不断ね、○○は」
「○○は優しいんだよ、お前みたいな箱入りと違ってな」
「何ですって!?」
どんどんヤバい方向に流れていく気がしたその刹那、俺は急に冷静になり目を閉じる。
周りの喧騒が徐々に聞こえなくなっていく。
こんなどさくさで言うのも気が引けたが、閉じた闇で見えたのは確かに、確かに笑ってたのは彼女だった。
「俺が好きなのは---」
二人とも途端に黙り、俺のことを不安と期待を込めてまじまじと見る。
当たり前だ、きっと俺が彼女達の立場でもこんな感じになるに決まってる……。
【A.実は輝夜の事が……】
「え……、うそ……」
と輝夜は信じられないような顔をして呆けていた。
「あぁ~あ、失恋かぁ。全く○○は女泣かせだな」
「ごめん、妹紅…。」
「謝んないでよ、私が余計惨めになるじゃない、…でもね、○○そこまで腹括ったんだ」
そこで一区切りすると妹紅は不意に耳打ちして宙に舞った。
「それじゃあたしはお邪魔みたいだからね、慧音のとこにでも行くよ」
「あ……、妹紅」
と今更のように輝夜が妹紅の事をたどたどしく目で追う。
「何シケたツラしてんのよ幸せ者。○○の気持ち粗末にすんじゃないよ、○○が好きなのはお前なんだからな」
そういうと妹紅は三日月が照らす薄闇の中へと消えていってしまった。
「ねぇ、○○。私の事好きだって言ってくれたのよね、確かに」
妹紅が消えていった方を見ながら輝夜は俺に背を向け言う
「あぁ、俺は輝夜のことが好きだよ。ごめん、こんな勢いだけで言って」
と後ろから輝夜に手を廻してそっと呟いた。少しビクッとなる輝夜に慌てて手を解く
「うぅん……、良いの別に。それよりもっと○○の話が聞きたい」
そういって輝夜は引っ込みかけた俺の手を引く。その白く美しい手に思わず俺は見とれる。
「ねぇ、○○……、私何で貴方が妹紅でなくて私を選んだのか、わからないの」
「輝夜……」
「いや、あのね、○○のこと嫌いとかそんなんじゃなくて……○○、ホラ、妹紅と仲良しだし、その……○○は妹紅を選ぶと思ったから……」
「俺は輝夜の事が好きだから、じゃ駄目なのか」
「…だめ。私恐いのよ。からだの痛みだけならいくらでも耐えられるけど心のはそんなに強くないから……、言葉が欲しいのよ」
顔は見えないが輝夜の肩が小刻みに揺れていたので輝夜を一層強く抱き寄せ童を安心させるような感じで語りかける。
「輝夜……」
輝夜は一瞬ビクッとしたがすぐに体を預けこっちを向いた。心なしか輝夜の頬はほんのり朱に染まっていた
「○○……、ちょっと、」
「嫌か?」
「嫌じゃない、嫌じゃないけど……見られてるじゃない、恥ずかしいのよ////」
「輝夜のさ、そういう可愛らしい所が好きなんだよ」
「ばか……、もう知らないわ」
と輝夜は体を俺に預けてきたのでしっかりと抱き止めてやる。
「輝夜、好きなんだ、俺とずっといてくれ」
「……じゃあコレ飲んでよ……」
輝夜は懐からおずおずと不思議な色をした液体の入った小瓶を取り出す
「ずっと私を愛して、文字通り永遠に……」
しばらく静寂があった、そして互いが互いを見据えて……
「輝夜……、」
「ごめんね、意地悪だったね」
「違うって、」
「うぅん、いいの忘れて!永琳が言ってたの、いつか貴方と共に歩んでくれる人が!きっと来るって!
でも私、私○○に私の理想ッ、押し付けて安心しようとしてたッ!」
輝夜はパニックを起こし自暴自棄になっていた。眼には涙が溜まり始め顔はくしゃくしゃに……。
違う、俺が見たいこいつの顔は、そんなんじゃないッ!
ー大切にしてやりなよ、○○ー
俺は泣きじゃくる輝夜から瓶を引ったくりそのまま垂直一気に飲み干した。
一瞬、あたりがシンとした。汗にぎり観ていたギャラリーは勿論、輝夜も声が出ないようで口をパクパクさせて目を見開いていた。
「もう泣かなくていいから、笑っておくれ」
「貴方、本当に馬鹿ね……」
輝夜はそう言ってクスクス笑いながら拳を作りトン、と俺の胸を叩いた
「あぁ、筋金入りの大馬鹿さ」
その瞬間神社は大歓声に包まれた。
弾幕を花火替わりにする奴、激励してくれる人妖問わずの友人たち、「ついでに神社だ、結婚しちまえ!」と茶化す白黒魔砲使い
酔いつぶれて「末永くお幸せに~ぃ」とベロンベロンの永琳さん
なんか褌の裾噛み締めて睨みつける古道具屋の店主
そしてもう一度輝夜を見る
「後悔なんかしないしさせない、俺と共に永い道を歩んでいこう」
「クサすぎるわよ…。でも嬉しい、愛してるわ○○……」
翌日の文々。新聞は言うまでもなくスポーツ新聞並みの下世話な見出しと共に即日完売だった
-完-
【B.妹紅が好きなんだ】
「……ばか、○○の馬鹿ァーーーッ!」
そう言って輝夜は泣きながら夜の闇に消えていった
かける言葉はない、自分から絶望を与えておいて慰めを考えるなんて愚の極みだ。
「○○、てっきり私は輝夜だと思ってたんだけどなぁ」
「おれは妹紅の事が好きなんだ、輝夜が好きなのはあいつの人柄が好きで」
「男女の関係では見れないのか?」
と少し悲しそうな目で俺を見る妹紅。俺には少し引っかかるものだった。
「私は○○の事は好きだ、だけどもっと入れ込んでる奴がいるのも知ってる。だから今回は諦めと焚き付けを込めて天狗と芝居を打つつもりだったんだけどな、はは、参ったな」
妹紅は肩をすくめて苦笑した
総てのからくりがわかった。俺と輝夜の関係を深めようとして、そして言葉通りにとらえるなら妹紅は自分の意志を殺してまで取りはからってくれたのだ。
予想外は俺の答えだけ……。
「でも、それでも俺は……」
「今更輝夜とくっつけようとしても無駄そうだね、でも、私は○○の気持ちを素直に受け入れられないよ」
「なんでッ!?」
妹紅は俯きながら話す
「ホラ、○○は私にとって弟みたいな感じなんだよ。
それに輝夜と○○をくっつけようとしたのに私が○○を横どりしたら今までの関係が壊れるんじゃないかって思う。」
妹紅は辛そうに時々目を瞑りながら淡々と語っていた。
傍目から見ても仲が悪そうに見えてもお互い永年付き合ってきた縁なんだという事は解っていた。
「でも、それでも俺は妹紅の事が好きなんだ。ちっちゃい頃から妹紅お姉ちゃんと遊んでもらってた頃から、……初恋なんだと思う」
「○○、初恋は散るものなんだよ。そして過去は色褪せていくものなんだ」
と妹紅は俺を悲しみを含んだ瞳でみる。瞳がもうやめてくれと言っているようだった。
でも関係ない、俺はここで伝えきれなかったらきっと後悔する。周りの奴らに後で馬鹿にされても構わない、妹紅に呆れられても構わない、後悔だけは……、したくなかった。
「あの時だってそうだった、俺の父さんと母さんが妖怪に殺されたって聞かされた時誰よりも早く俺の所に来てくれた」
「……」
「俺のことを抱きしめて泣いてくれたんだ、それまで堪えてた涙を俺は出してオンオン泣いたよ。
泣きつかれて眠ってしまった俺を慧音さんに預けて無力な俺のために怒ってくれた」
「○○、それは、「憧れ」だよ……」
「俺は嬉しかったよ、朝起きたらその妖怪がつけてたっていう呪い道具を握りつぶした妹紅が俺の前に現れた時には……、俺はその時誓ったよ」
「あぁ、そうだな……。『つよくなる!』って言ったな、そしてお前は強くなったよ、そして真っ直ぐに育った」
「それから村のみんなに支えられながら一人で暮らしてたけどしょっちゅう妹紅も慧音さんと一緒に俺の様子を見に来てくれた」
「心配だからに決まってるだろう」
「いつからか俺の中じゃ『憧れの妹紅お姉ちゃん』、じゃなく『いつか一緒に肩を並べたい妹紅』になっていたんだ……」
「なぁ……、○○、私はお前よりずっと生きるんだ。お前が先に死ぬと、きっと泣くだろう……。今だってそうだ。もっと親密になったらもっと悲しくなる……。
だから夫婦にはなる気は、無い。ありがとう○○、お前は普通の人間と幸せになるんだ。意味もなく人外に交わるな、一人暮らしし始めた時いったろ?」
「それでも俺は、妹紅の事を好きでい続けたい、妹紅が迷惑だって言ったって!妹紅が俺のこと嫌いだって言ったって!」
きっと蓬莱の薬を俺が飲もうとしても妹紅は俺のことを止めるだろう、だから俺は人でありながら妹紅をずっと慕って死んでいこうと思う。
言いたい事は総て言った、気持ちの細微は伝えられないだろうけど伝わったはずだ。
「妹紅、それでも好きなんだ」
そういった瞬間、妹紅は一筋の涙を流した。
「ばか、ワザとお前を拒絶したのに……。好きな気持ちを、隠しきれないじゃないか、心底惚れてしまったじゃないか!」
「え……、それじゃあ」
「あぁ、お前の求愛に答えてやるよ。お前が死んでも、お前は私の中で生き続ける。……そう考えることにしたよ」
「妹紅…」
妹紅は顔を朱に染めながらはにかんだ笑顔を俺に見せた。
「よろしく頼むぞ、○○」
その時神社中から拍手と大歓声があがった、見てた側も緊張してたのか?というか初めっから見られていたと考えると……照れる
「まったく……、お前は。今じゃ人妖問わず好かれてるんだな」
と妹紅は周りのどんちゃん騒ぎを傍目に笑った
「この神社を介して大分人付き合いが広がりましたが」
と苦笑を漏らしながら返す
「そっか、お前色になら染められてもいいな……」
「え?妹紅今何か言った?」
「いや、何でもないぞ。至って何でも無い!」
凄く気になるが慌ててる妹紅の姿が妙に滑稽でどうでも良くなった
「妹紅さ~ん、どうでした~?」
とその時どこかに行ってた天狗の新聞記者が戻ってきた
「ん~、あれだ。手伝ってもらってなんなんだがな……、こうなった」
と妹紅は俺の腕に抱きついてきた
「うわっ」
「何だよ、恥ずかしがることはないだろ。人生短いんだ、遠慮する事はない」
「あの……、そういう展開になっちゃったんですか」
と文は驚きながら撮り終えたカメラをしまった。それはもちろん新聞で使うんだろうな、止めても無駄そうだからスルーすることにした。
「何はともあれめでたいんだ、今夜は付き合ってくれ文」
俺は杯を手に文にも酒を勧めた。
「えぇ!交際決定後にすぐ浮気ですかッ!?」
「馬鹿か?○○は一杯付き合えって言ってるんだよ、大体浮気は私が許さない」
「ですよね~、そういうことなら私もいただきましょう。酔いつぶれる覚悟は出来ていますか?私は出来ていますよ」
「「「よーーし、今夜は呑み明かすぞぉ!おーーーーーー!」」」
こうして今宵も幻想の夜は更けていく、今宵俺は幸せを感じながら祝杯を挙げた。
~Fin~
【C.君達二人とも僕の可愛いにゃんこさ】
「オーケイ!俺は来るもの拒まずさ、二人ともカマン!」
やっぱこれしかねぇよ!円満にこの場を収めるにはこれしかない!!
バキ!ドカ!ボキゴキ!グシャ!
「最低、女の敵ね。なんていうか求愛してきた貴族にこんなのいたわ」
「○○、おまえがそういう考えの持ち主だったとは思わなかったよ」
そういって二人はどこかにいってしまった・・・。なぜだ、何がいけないんだ……。
そんなとき誰かの影が俺に落ちた。ふと顔を挙げてみると裸一貫のふんどし姿の霖之助さんが優しく微笑んでいた。俺は泣いていた
「もう、女なんか信じられない……」
「共に逝こうか?漢の道へ、辛く険しい茨の道だけどね、ははっ」
そういって霖之助は手を差し出した、その優しくすべてを包み込んでくれる笑顔に思わず高まってくる気持ちがそこにはあった。
「霖之助さん/////」
「もっとフランクにこーりん、でいいよ」
俺達はまだこの男坂を登り始めたばかりだ
~終~
12スレ目>>818 うpろだ891
ワイワイ ガヤガヤ
「おーい、これどこに置けばいいの?」
「それは向こうにセットしてくれ」
「おいしそうな匂いがするお酒だね~~」フラフラ
「飲むなら式が終わってからにしなさい」
「ねぇ妖夢」
「なんですか幽々子様」
「これだけご馳走が並んでるんだから一つぐらい食べてもいいわよね?」
「駄目です、もう少し我慢してください」
「妖夢のいけず~~~」
「リリカ、メルラン今日は賑やかな曲でいくよ」
「こんなこともあろうかと結婚式用の曲を用意しておいたかいがあったねルナ姉」
「なんだかやる気が出てきたわ」
今、俺の目の前では結婚式の準備が行われている
ちなみに花婿は俺だ
俺なんかの為に知りあい総出で式の準備をしてくれるのは素直に嬉しい
しかし一つ問題があってその問題は……
「霊夢、おめでとう、とりあえず言いたい事は一つだけ、幸せになりなさい」
「当然じゃない…………ありがとう、紫」
「いいなーいいなー私も白無垢着たいなー」
「ふふふふ、それにはまず相手を探さないと駄目よ橙」
「はーい」
「わ、わわわわ私は橙がお嫁に行くなんて反対だぞ!あと500年は早い!」
「綺麗だね早苗、私も鼻が高いよ」
「そんな、八坂様……恥ずかしいですよ////」
「本当のことだよ、ねぇ?諏訪子」
「うんうん、本当に綺麗だよ早苗
それにしても結婚式かー、懐かしいな
私もあの人と結婚する時は国を挙げての盛大な結婚式を挙げたんだよ」
花嫁が二人いるということだ
「……何でこんな状況になってるんだろう」
確か事の発端は約3時間前、なんのたわいの無い世間話から始まったんだ
~約三時間前~
「そういえば霊夢さんはどうするんですか?」
「なによ唐突に」
「跡継ぎのことですよ、幻想郷での結婚年齢適齢期がいくつか分からないですけど
霊夢さんって私と同い年ぐらいですし、そろそろお婿さんとって跡継ぎとか考えないといけないと思いますよ」
「跡継ぎねー、正直考えた事無かったわね、まあ婿のあては一人いるけど
そういう早苗こそどうなのよ、私が跡継ぎ考えないといけない年齢なら早苗だってそうでしょ」
「私はちゃんと考えてますよ
お婿さんになってくれそうな人もいますし」
「…………私の勘なんだけどもしかして早苗と私の言う婿って同一人物なんじゃない」
「…………恐らくそうでしょうね、最初に言っておきますけど私は譲りませんよ」
「私だって譲る気なんかさらさら無いわ」
「どちらも譲る気がない、かといってお互い心当りは一人しかいない
となると最後の手段ですけどこれしかありませんね」
「そうね、私たちの婿になってもらうしかないわね」
「そういうわけですからお願いしますね○○さん」
「…………はぁ?」
俺には関係ない話だと思ってのんびりと聞いてたら何を言い出すんだこいつらは
ってか俺が二人の婿?行き成り過ぎて脳が処理できん
取り合えず……逃げるか
○○は逃げ出した
霊夢の攻撃
夢符「封魔陣」
○○は捕まった
神社から脱出しようとした俺に霊夢が封魔陣を放ちあっけなく拘束された
「ちくしょー!放せー!」
「大人しくしたら解放してあげるわよ
それより、紫、いるんでしょ」
ニョキッ
「はいはーい、よばれてとびでてじゃじゃじゃじゃーん」
「どうせ話し聞いてたんでしょ?それなら言いたい事分かるわよね」
「式の準備でしょすぐにでも皆に知らせて準備させるわ」
「ありがとう」
「おい!結納とかいろんなことすっ飛ばしてなんでいきなり式なんだよ!
ってかまだ俺は納得してないぞ!」
「大丈夫ですよ○○さん、「嫌よ嫌よも好きのうち」って言うじゃないですか」
全然大丈夫じゃあねー!ってかなにいってんだこの青腋巫女
くそぅ!このままでは人生の墓場×2に行き着いてしまう
なんとかしてこの封魔陣から抜け出さないと
「私らの巫女じゃ不満だと?」
「いい度胸してるね○○」
…………このこの威圧感はまさか
「式の準備を今から急ピッチでするからこれ以上人手は割きたくないんだよ
だから、大人しくしてなさい、分かった?」
「逃げようとしたら問答無用で
タ タ ル ヨ 」
この目は本気だ、俺が少しでも逃げようとすれば確実に祟られる
殺されはしないだろうがどんな目に合うか分かったもんじゃない
「イ、イエス、マム」
「よろしい、それじゃあ準備が整うまでそこで大人しくしててね
逃げちゃ……嫌だよ?」
嗚呼、こりゃ逃げれんわ
~現在~
現在も着々と準備が進められて終わるもの時間の問題だ
「本当にどうしようか……」
結婚するのに絶対に嫌だって訳じゃない
あの二人こと好きだし
正直な所婿の話が出たときは表面的にはどうでもいいと思ってたが内心では結構あせってた
だから二人が俺を婿にしたいと言ってくれた時は素直に嬉しかった、でも……
「俺に二人を幸せにできるのか?」
何の力も無い俺が二人を幸せにできるのかと聞かれたら正直自信が無い
「……こういうのをマリッジブルーって言うのか?」
なんか違う気がしないでもないが大体合ってるだろう
「覚悟を決めろ、前を見ろ、最初から無理だと決め付けてたら何もできない」
そうだ、今更うだうだ言っても仕方が無い
「覚悟は決めたようね、それならそろそろ式を始めてもいいかしら?」
「うぉ!?紫さん、後ろからいきなり声をかけないでください
それにまだ俺服を着替えてませんよ」
「そういうことなら」
パチンッ!
紫さんが指を鳴らすと俺のジーパン、シャツ、コートの格好がたちまち袴姿になった
「さ、ここからは貴方のステージよ、頑張ってらっしゃい」
「はい、ありがとうございます」
紫さんに頭を下げ準備ができてる霊夢と早苗に向き直り
「霊夢!早苗!二人とも絶対に幸せにするからな!」
「お願いします」
「当然よ」
未来がどうなるかは分からない、だけど俺は二人といっしょに生きていく
12スレ目>>936 うpろだ907
「○○、ちょっといいか」
庭の掃き掃除をしている時に神奈子様に呼び止られ、そのまま呼び寄せられるままに納屋のほうへ向かう。
「なんでしょう。何か御用ですか」
「うん、今日は14日だろう。受け取って欲しい、オンバシラポッキー」
「なんだこりゃあ」
それはポッキーというにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに木塊だった
「それは外箱だ。ちゃんと中身がある」
「そりゃそうですよね。さてどんなのでしょ」
アジャスターケースのような外箱をあけると、数本の棒のようなものがあった。
それは長く、とても長く身の丈程はあろうかと言うほどで、太さも親指より大きそうだ。
「ポッキー、ですよね……。大きすぎやしませんか?」
「ご当地ポッキーだって大きいんだし、これくらいいいじゃないか」
けらけらと鷹揚に神奈子様は笑うが、食べるほうはそれどころではない。
なにせ重いうえに長いのだ。端から食べればチョコレートのかかっていない所にはどうやっても届かない。
しかも太いので大口開けなければ口に入らない。それか齧りとるしかない。
とりあえずチョコレートの付いているほうの端から食べ始める。
コーティングされたチョコレートは意外にも柔らかく厚みもあり、ポッキーと言うよりはフランといったほうが良い。
中のプレッツェルも大きいながら火が通っていて、生ということは無くサクサクしている。
「あ、結構おいしい。でかいから大味かと思ったのに」
「結構とは何だ。でもまあ、気に入ったようでよかったよ」
――5分後――
「疲れた……しかも喉が渇く」
「流石に大きすぎたかね」
四半分程度食べきったところで顎が痛くなってきた。
これがもっと細ければ満腹するまで食べられるのだろうが、
大口開けて齧りつかなければならないのだから、どんどん口がつらくなってくる。
「残りはおやつにします」
「それじゃ、後でみんなで食べましょう」
「何を食べるの?」
脇から不意に諏訪子様が現れる。心なしか今日は帽子が大きい気もするが、きっと気のせいだろう。
「諏訪子様どうなさったんですか? 普段はこちらまで来られませんのに」
「んー二人がここに入るのが見えたから、つけてきたんだけどね、」
「尾行せんでください」
「面白い神奈子が見れたよ」
瞬間、神奈子が動く。
左足を大きく出し、右掌底を諏訪子に叩き込もうとする、が、敢え無くガードされる。
「神奈子ったら、いつ反対側に齧りつこうかってずっと見てたのよ」
本当に面白そうに諏訪子が笑う。対して神奈子は顔を抑えてうずくまってしまっている。
「初心な乙女みたいにずっと見てて、見てるこっちが恥ずかしかったわ」
恥ずかしいのか不覚と思っているのかは分からないが、神奈子は返事もせずに、地面にへたり込んでしまった。
なにせ普段とまるで違う神奈子の姿であるから、このまま囃し立てるのが続けばいずれ噴出してしまいかねない。
それでなくても当事者の片割れなのだから、助け舟程度に話を遮っておく。
「えー諏訪子様、それで何用ですか」
「そうそう、これを渡そうと思ってね」
と言うと、おもむろに帽子を取りその中を探る。
幾らかして中から手を出すと、その手には数個のカラフルな卵が握られていた。
「諏訪子、なにそれ?」
「それよりあの帽子の構造のほうが気になるんですが」
立ち直った神奈子が訊く。
「これはあれよ、外国のお祭りで使う、トースターだかコンスタンタンだか……」
「イースターエッグ? ですか?」
「そうそれ。中に何か入ってるから、いいものが入ってたら幸せになれるよ」
何か色々とごちゃ混ぜになっている気がするがまあいい。それより気になったことがある。
「山葵とか入っていませんよね」
「空籤無し、当たりのみだよ」
「それならひとつ」
「ひとつと言わず全部持ってっちゃっていいよ」
「それじゃ私もひとつ」
神奈子様もひょいと一つ摘み上げ、自分とほぼ同時に口に放る。
食べていると違和感がした。口から取り出してみると紙がある。
「大吉?」
「当たり。いいことあるよ」
「辛いッ!」
「神奈子も当たり~」
「山葵じゃなくて辛子ですか」
「ううん、ウィスキー。ストレートで」
ウィスキー? 戦車戦? うん、違うな。
「ウィスキーボンボンは原液使わないでしょう、というかどうやって入れたんですか?」
あれは糖蜜か何かに溶かし込むようにして作ったはずだ、と言うか液じゃあ取扱いが面倒すぎる。
「シリンジでチューっと注入したの、結構いっぱい」
「何故そんなことを……」
「バレンタインだしバランタインを使ってみようと思って」
駄目だこの神様。早くなんとかしないと。
「ま、それより次行っちゃって」
軽い感じでまた手渡してくるが、こちらはオンバシラポッキーのこともあり、すでにおよそ満腹である。
「諏訪子様、すみませんがもう満腹な物で……」
「えーもう食べてくれないのー」
「……それじゃもう1個だけ」
上目使いに潤んだ目は反則だろ常考。
結局、更に2個ほどのエッグを食べたあたりで神奈子様が復活した。
普段なら水無しストレートの一杯ぐらいなら30秒あれば余裕で復活しているのに、
今回大分時間がかかったということは、よっぽど見られたことが堪えたのだろうか。
ちなみにエッグの中身は指輪と鶉の卵だった。
「諏訪子、中に入ってゆっくり話をしましょう」
そう言った神奈子様の声にも表情にも生気は無く、顔も幾らかやつれた風に見えた。
釣られて俺も中に入る。寒明けを迎えたとはいえ、山の上にある神社はやっぱりまだまだ寒いのだ。
「あ、○○さん。結構時間かかってましたね。そんなに汚れてましたか?」
中に入ると、すぐに早苗さんが声をかけてきた。
「いやそれとは別件で」
後ろを親指で示しながら答える。示す先には本殿に向かう神奈子様と諏訪子様がいる。
「何かあったんですか?」
「ちょっと込み入ったことが。これから話し合いだそうな」
「……長引きそうですね」
「きっとそうだろうね」
心配そうに見つめる早苗さんに答える。そこには暗鬱な表情を浮かべる神奈子様がいた。
手を洗い、炉辺で暖をとっていると早苗さんに呼ばれた。
呼ばれた先には濃厚なチョコレートの匂いが漂っている。
正直、またチョコか……という思いで歩を進めていると、
卓の上に鍋とビスケットや果物の類が置いてある皿が見えた。
「チョコレートフォンデュ?」
「はい。先日、秋の神様からドライフルーツをたくさん頂きましたので、それを使ってみようと」
隠れて見えなかった皿には干し芋や干し柿、レーズンに干しりんご、更に栗まである。
「早苗さん、干し芋とかレーズンは違うんじゃないの?」
「一緒に貰いましたし、まあ物は試しです」
意外にチャレンジャーなところのある早苗さん。いや、ゲテモノ趣味か?
しかしレーズンの食べにくさはきっとエクストリーム級だろう。
「今何か失礼なこと考えませんでした?」
「イイエソンナコトアリマセン」
女の勘は鋭い。気をつけなければ。
しかしもはやチョコレートの一欠けも腹に入る隙は無いと言うのに、更にこんな物が用意されている。
およそ苦行僧に近い心境で椅子に座る。
「早苗さん、さっきいろいろあってお腹一杯なんだけど」
「えー、じゃあどれくらいでお腹空きます?」
「1時間くらいかな」
不満そうな声を上げるが、猶予の時間をとってくれる早苗さん。
その間にどっか逃げてしまおうかとか考えている駄目な俺。まあ止めておいたほうが無難だけど。
20分ほどしたら小腹が空いたので甘栗をつまみ食いしたら怒られた。
代わりにレーズン食べてなさいと口に放り込まれたが、私はレーズンは好物なのだよ早苗さん。
……すいません、自分で食べますから、一粒ずつ口に入れるの止めて下さい。
大体1時間過ぎたあたりで、チョコレートを溶かし始めようと、早苗が動き始める。しかし、
「直接火にかけるのはまずくない?」
「やっぱりですか。でもお鍋のままで湯煎も難しいでしょう」
「まあやりにくいだろうけど、大鍋に入れれば何とかならないかな」
「そうですねえ……ああよさそうなのがありました」
そういって早苗さんが持ってきたのは、昔外で使った道具。
そして一般家庭にはまずないであろう道具。
「なぜウォーターバスがこんなところに……スターラーまで」
こうして疑問に思っている間に早苗さんは着々と準備を進めていく。
もう既にウォーターバスに水を入れ終え、スターラーの上に置き、鍋を入れようとしている。
「早苗さん、鍋の下に敷くものがないとスターラーバーに当たるよ」
「あーそうですね。なにかいいものは……」
「四隅に置ければなんでもいいでしょ」
「積み木で平気ですか?」
「溶けたり駄目にならないなら大丈夫だろうけど……」
だから何でそんな物があるんだよ。
かくしてスターラー、ウォーターバス、アルマイト鍋の訳の分からない三段重ねが完成する。
鍋の中身はチョコレートなので真っ茶色だが、それがオイルバスを思い出しどうにも食欲をそそらない。
それを知らない早苗さんは竹串やらフォークやらを持ってきて食べる気満々で座っている。
「○○さん、どうぞ」
俺に対面に座るように示す。
卓を見ると鉢に蓮華が備わっているが、これは根本的に違うような気がする。
食べてみると存外意外なことがあった。
干し芋にチョコレートは意外と合うし、甘栗とはなおさらだった。
果物類とはもともとの組み合わせなので、言うまでも無い。
「○○さん、はいどうぞ」
早苗さんがチョコレートをつけた栗をこちらに差し出してくる。
これは食えということか。
一瞬逡巡するが、ずっとこのままというわけにもいくまいと思い、一息に食べてしまうことにした。
咀嚼する俺を早苗さんがニコニコと見ているが,何か悪い予感を俺の第六感が告げている。
「じゃあ○○さんも」
早苗さんが口をあけて待っている。これは俺にやり返せという事か。
そう思い脇の大皿を見ると、まずバナナが目に付いた。
いや、これはちょっと……ねえ。
「酸っぱいのと甘いのがちょうどいいですねえ」
よく蜜柑を選んだ俺。バナナだったら今頃命は無かったぞ。
そんなやり取りを何度か繰り返しているうちに、こもっていた神奈子様達が出て来た。
神奈子様は大分すっきりした表情、対照的に諏訪子様は幾らかげんなりした風だ。
ナニシテタカナンテシラナイヨ。
チョコレートを囲む卓に二柱が加わり、場は混沌の限りを極める。
「ああ! 甘栗がやられた!」
「落ち着け! 諏訪子、あんたは干し柿食え」
「チョコが減ってきたよ」
「シシカバブ投入」
いいながら、神奈子様がオンバシラポッキーのチョコを削ぐように鍋に入れていく。
「さなえー空いてるところで熱燗あっためていい?」
「あ、私のもおねがい」
場の雰囲気はもはやチョコレートでは無く酒の臭いが支配的になっている。
「結構あったのにもう無くなってきてる」
「まだドライフルーツはありますよ。はいあーん」
出されて思わず食いついてしまったが、今非常に軽率なことをしたように思える。
他二柱の目つきが鋭くなったからだ。
「はい口あけて」
諏訪子様が膝の上に座って、さっきのチョコエッグを口元に押し付けてくる。
「続いていきましょう。あーんして下さい」
早苗さんも肩にしだれかかって干し柿を口に押し当てている。
さっきバナナ食わせとけばよかった。
「やらないか」
神奈子様はもう押し付けてくるのはチョコでなく、酒とかになっている。
もはや脱出するには全て食べ切るより他ないのだろう。
さて誰から食ってやろうかしら。
最終更新:2010年06月04日 23:49