ハーレム?21



トライアングル4(新ろだ847)



家に帰ると、母が出迎えてくれた。

夕食を外で済ませた事を告げて、そそくさと風呂へ。

上がった後は妹との会話もそこそこに布団に入った。

頭の中にあるのはさっきの光景。

「キス……されたんだよな」

あんな事、と言ったら失礼か。あれだけの事をされておいて気付かないほど鈍感には出来てはいない。

ある程度の、親しい友人程度の好意を持っていて欲しいとは思っていたし、

俺自身も二人にそういった感情を抱いていた。

けれど、まさか異性に対するそれだなんて思いもしなかった。

正直に言えば、嬉しかった。

二年もほったらかしにしていた俺を変わらず好いてくれることが、素直に嬉しいと思う。

けれど、俺はその想いに応えることは出来ない。

何よりも、誰よりも愛している人がいるから。

その場でその事を伝えられれば良かったのだが、当の蓮子は顔を離すと

真っ赤な顔で話しかける間もなく走り去ってしまった。

いずれちゃんと伝えなきゃ、と考えながら俺の意識は沈んでいった。


目を開けると、目の前に魔理沙の顔があった。

非常にデジャヴっている気がしたのだが、前との相違点が二つある。

一つは今の時間が深夜二時過ぎだという事。

もう一つは、

「よ、おはよう○○」

布団が剥がされ、馬乗り状態だという事。

寝間着は妹から借りたようで、パジャマ姿が新鮮で可愛い。じゃなくて。

「おはようには早すぎると思うんですが」

「いやさ、明日まで待ちきれなかったんだ」

そう呟く魔理沙の顔は仄かに上気していて。

好きな人のそんな姿と布越しに伝わるぬくもりに、嫌が応にも反応してしまう。

ちょうど上に腰掛けているから、すぐに気付かれてしまった。

一層魔理沙の顔が赤くなって、

「……いいよな」

そう言って顔を近づける魔理沙に抗うことなど出来るはずも無く。

第二ボタンまで開いた胸元に手を伸ばして、

………

……



「いやー、今日もいい天気だぜ。これも日頃の行いの賜物だな」

絶好のデート日和という奴だ。だっていうのに、

「そーだな……」

愛しの旦那様の声にハリがない。心なしか頬も少しこけているように見える。

「出掛ける前からそんなんでどうするんだ○○!」

「あれだけ搾り取られたら元気も出なくなるっての」

○○の言葉に昨夜の光景が蘇る。

顔が熱い。傍から見たらさぞかし赤くなっていることだろう。

確かに昨夜はいつも以上に盛り上がったけど、○○が一日お預けにするからだ。

「お前だって途中からノリノリだったじゃないか!あんな格好でするなんて、

恥ずかしかったんだからな!」

「そりゃしてる時の魔理沙があんまり可愛かったから!」

そこまで言い合って、はたと我に返って周りを見ると、道行く人達が何事かとこちらを見ていた。

その内の何人かはニヤニヤと生暖かい視線を送っている。ように見えた。

人の往来で痴話喧嘩をしていたことに気付いて、そそくさとその場を後にした。


「おおー、これが“ゆーえんち”って奴か!」

こちらの世界の娯楽施設らしい。

話には聞いていたけど、百聞は一見に如かずとは良く言ったものだ。

想像していたのよりずっと広いし、何より楽しそうだ。

「おし、今日はめいっぱい遊ぶか」

さっきより幾分回復したのか、気力の篭った○○の声。

待ちに待ったこの日なんだ、言われるまでも無い。

○○の手を取って、引っ張るように歩き出す。


「このジェットコースターってのは何度乗っても面白いな」

まさかこっちで弾幕勝負並みに風を感じられるとは思っていなかった。

弾を避ける楽しみは無いものの、速さは中々にスリルを感じた。

もう二、三回乗ろうと思ったけど、○○の提案で別の場所に行く事に。

「ここなんていいんじゃないか?」

指差した方を見ると、おどろおどろしい洋館がそこにあった。

どうやら客を怖がらせるのが目的のアトラクションらしく、出てくる客の何人かは

涙目になって肩を震わせていた。

「この程度のものでこの私が怖がるとでも?」

幽霊だの騒霊だのはそれこそ腐るほど見てきてる。今更作り物のそれを見たところで

悲鳴一つ上がらないだろう。

自信満々な私の顔を見た○○は口の端を吊り上げ、なら試してみようと私の手を引いて入口をくぐった。

………

……



「いや、なんか悪かった」

「……ぐす」

あんなの幽霊じゃない。怖いなんてもんじゃ無かった。

けど○○にべったり引っ付けたから良しとしよう。

その後も昼ご飯を食べたりお土産を見たり、色々回った。

一つひとつが幻想郷には無いものばかりで新鮮で、時間を忘れて楽しんだ。


「やー楽しかった楽しかった」

帰り道の途中。両手に土産の入った袋を提げて、魔理沙と並んで歩いている。

「ありがとな、○○」

「ん?お礼を言われるような事はしてないだろ」

一緒になって楽しんでいたわけだし。

すると魔理沙はそんな事は無い、と俺の目を真っ直ぐ見つめ、

「お前がいなかったら、そもそも外界に来ようとも思わなかったかも知れないからさ」

だからさと一呼吸おいて、

「私の事を好きになってくれて、ありがとう」

「そんな事でそれを実感するのか」

安っぽいなと思ったが、つい昨日同じ事を言われた事を思い出し、つい笑ってしまう。

「さ、早いとこ帰ろう。母さん達も晩飯作って待ってる」

「ああ。と、その前に」

何事かと訝しむ俺の唇を魔理沙が自分のそれで塞いだ。

一時舌を絡ませ合い、離れた魔理沙は顔を仄かに赤く染めて、

「今日のお礼だぜ」


晩飯の後、自室でごろごろしていると不意に携帯電話の着信音が鳴った。

画面には良く知った名前が。

「どした、メリー?」

「ちょっと話したい事があるの。今から出て来れないかしら?」

「まあいいけど」

「ありがと。それじゃあ……」

待ち合わせの場所を告げると、それじゃあ、と通話が切れた。

何の話かは大方予想はついている。

掛けてあった上着を手に取り、出掛けてくる、とだけ言って家を出た。


待ち合わせの場所には、既にメリーが立っていた。

「悪い、待たせたか」

「私も今来たところよ」

恋人同士のそれに聴こえる会話。そんな間柄でない事は当事者である俺が一番良く知っているのだが。

メリーが二つ持っていた缶の片方を差し出した。中身はホットコーヒーで、受け取った手から伝わる熱が心地いい。

「話ってのは?」

コーヒーを啜りながら話を切り出せば、

「蓮子、貴方にキスしたんだって?」

想像通りの言葉が返ってきた。

「本人から電話があったわ」

酷く慌てていたとの事。俺の目から見てもテンパっていたし、大方勢いでしてしまいどうしようかとメリーに相談したんだろう。

「で、気付いているんでしょ?あの子の気持ち」

「まあ、な」

「それは当然として。今、私の手にはこんな物が」

メリーがポケットから取り出したのは、一枚の写真。

移っているのは俺……と魔理沙。

“今日のお礼”を貰っている決定的瞬間を捉えていた。

背筋が凍った気がした。

「ちょ、いつの間に!?」

「たまたま居合わせたのよ。それで貴方に二つ質問」

これが本題だと真っ直ぐ俺の目を見据える。

「この子の事、好きなの?」

「……ああ」

「蓮子には?」

「ちゃんと伝える」

「そう、ならいいわ」

拍子抜けだった。

もっと問い詰められると思っていたのに、予想に反して

あっさり引き下がったから。

呆然とした表情をしていただろう俺に、メリーはさも当たり前かのように。

「答えが出てるなら私に出来る事は無いわ」

「……そか」

背を向けたメリーを無言で見送る。と、

「蓮子は、私の親友なのよ。だから、」

持っていた写真を、

「泣かしたら握りつぶすわ」

乾いた音と共に握りつぶした。

何を、とは聞けなかった。


目に映るのは一面の森。

燃えるような夕日に照らされたそれを、屋根の上から眺めている。

傍らには魔理沙がいる。

“あの日”の夢だとすぐに気付いた。

そう。俺はこの日、魔理沙に想いを伝えた。

夕日よりも赤くなった魔理沙の顔を良く覚えている。

受け入れてくれた事が本当に嬉しくて。

最初のキスで積極的に求めてきた魔理沙が本当に可愛くて。

今までで一番、目の前の少女を愛おしいと思った。


「うん……うん、分かった。すぐ行く。じゃあ」

通話の切れた携帯電話を閉じる。

今日、○○がこの町を去る。

元々帰郷が目的で来ていたらしく、もう戻らないといけないらしい。

だから最後に話がしたい。○○はそう言った。

何の話かは分かっている。

一方的にキスして逃げてそれっきりなんだ。ちゃんと話したいと思うのは当たり前だ。

だから私も、ちゃんと伝えよう。

好きだって、伝えよう。


待ち合わせ場所の場所。二年ぶりの再会を果たしたあの場所に、○○はいた。

「ま、待った?」

うまく喋れない。すごく緊張してる。

「五分ほど」

「ご、ごめん。中々寝癖取れなくて」

気にするな、と言った○○はすごく落ち着いているように見える。もう返事は決まってるんだろうか。

沈黙が二人を包む。

「蓮……」

「待って!……私から言わせて」

破裂しそうなくらい心臓が高鳴る。でも言うんだ。

あんな不意打ちみたいなやり方じゃなくて、ちゃんと。

私の想いを伝えるんだ。

一度だけ大きく深呼吸。そして、


「好きです。付き合ってください」


実際は十数秒、でも数時間にも感じられた。

「……ごめん」

明確な拒絶の言葉。

「そっ…か。残念」

想いは実らなかった。

すごいショックな筈なのに、不思議と心はさほど揺れてはいない。

心のどこかでは気付いていたのだろうか。

「ごめんね、こんな事に時間割いちゃって」

「こんな事…じゃないだろ」

「そ、そうだよね」

またも沈黙が包む。

「えと、今日、講義あるからこれで」

「あ、ああ」

「たまには帰ってきなさいよ。○○の事、忘れたりしないから」

「ああ、必ず」

○○の言葉を最後に、お互い自分の家に向かった。

体が軽い。肩の荷が下りた気がする

自宅に着くと、玄関の前に親友の姿があった。

「何でいるのよ」

「ちょっとね。それより、酷い顔してるわね」

親友の言葉に首をかしげてしまう。

何を言っているんだろう。気分的にはすっきりしていてむしろいい顔をしているはずなのに。

不意にメリーが私を抱きしめた。

「め、メリー?」

「泣いていいから」

今日のメリーは何かおかしい。いきなり泣いていいだなんて。そもそも

泣くような事をされた覚えは無い。

「ちょ、何言ってるのメリー?私泣きたくなんか……」

「いいから、泣いて」

止めて欲しい。こんな姿誰かに見られたら誤解されてしまうから。

肩の荷が下りたのではなく、心にぽっかり穴が開いたんだと気付いてしまうから。

本当に、泣いてしまうから。

「……う」

もうだめだ。無意識に耐えていられたのに。

せっかく○○とは態度を変えずに話せたのに。

もう、だめ。

メリーの肩に額を当てて。

飲み込んだ感情を全部吐き出すように。

思いっきり、泣いた。

………

……



どれくらい時間が経ったのだろう。

泣き止んだ私の両肩に手を置いて、

「蓮子」

「ぐすっ……何?」

「○○の事、好き?」

何を言うのかこの親友は。

今さっき振られて、子供みたいに泣いた人間にかける言葉とは思えない。

慰めてくれたのではないのか。

「振られて、思いっきり泣いて、それでも、彼の事が好き?」

「……好き、だと思う」

というよりまだ心の整理がついていないと言える。

二年も想っていて、その日の内に忘れられるほど軽い性格はしていない。

「よし、じゃあちょっと付き合ってくれる?」

「いいけど、何考えてるの?」

私の問いにメリーは笑顔で、

「諦めるには早いってこと」


駅のホーム。

そろそろ戻らないといけない事を伝えると、母と妹はわざわざ見送りに来てくれた。

「もう少しゆっくりしていけばいいのに」

母の言葉に妹もそうだそうだと頷いた。

そう言われてもこちらにも都合がある。主催者と連絡がつかない以上、予定通りに動かなければ戻れないし、書くもの書かないと天狗から催促が来る。

「また帰ってくるからさ。父さんにもよろしく言っておいてくれ」

「……分かったわ。いつでも帰ってらっしゃい」

母の言葉に頷くと、乗車を促すベルが鳴り響いた。

魔理沙は既に乗車済みなので、後は俺が乗るだけ。

じゃあ、と一言だけ言って乗り込む。と、

「○○!」

声の方を見れば、蓮子が息を切らせて走って来ていた。

「よかっ…た。……間に合った」

「だ、大丈夫か?」

呼吸を整えながら頷く蓮子の手には小包が。

「これ、餞別」

受け取った直後、音を立てて扉が閉まった。

新幹線が緩やかに動き出す中、蓮子の口が動いていたが、扉に阻まれて良く聞こえなかった。

駅が遠ざかっていき、やがて視界から消えた。

幻想郷に帰ると思うと、流れていく景色を名残惜しく思う。

「あ、そういえば」

受けとった小包の事を思い出した。

席についてから開けようかと思ったが、魔理沙の前で中身を確認する事に

何となく抵抗を感じ、この場で開けることにした。

中には携帯電話用のストラップと一通の手紙が入っていた。

ストラップにはフェルトで出来た蓮子とメリーと俺の人形が付いている。

その出来の良さに感心しつつ、手紙に目を通す。


親愛なる○○へ。


蓮子を泣かせた罪は重いわよ。

次帰ってくる日を楽しみにしてるわ。

貴方の恋人二号 マエリベリー・ハーンより


追伸

諦めないから!by宇佐見蓮子


もう一度人形を見る。

メリーの人形の背中には、俺とメリーの相合傘が。

蓮子の人形の背中には、俺と蓮子の相合傘が。

「……え?」



乙女の想いは消える事無く。

来るべき再会の時を待つ。






新ろだ859


「ごめんね……。ごめんね……○○……。」


そう言って幽々子は謝る。何度も、何度も。
その美しい眼に涙を浮かべ、私の胸に縋りつきながら。
本当のところ、幽々子が謝ることはないのだ、幽々子は何も悪くはないのだから。


「ごめんね、○○……。私じゃ貴方の子供、産んであげられない……。」


大丈夫、大丈夫なんだよ幽々子。私はそういうことを全て承知して、君と結婚したのだから。
幽々子が謝る度に、私は彼女の頭を優しく撫で、慰める。
私の手が、私の言葉が、どれだけ幽々子に安らぎを与えられるのかは分からない。
だけども只人のこの身には、出来ることなど何も無く。だから私はただ只管に、彼女の頭を撫で慰める。


事実私は、幽々子が子を宿せないことなどは承知していたのだ。
私は人間で、彼女は亡霊で。しかしそんなことは関係なく、私と幽々子は愛し合えたのだから。
私は人間で、彼女は亡霊で。しかしそんなことは関係無しに、私と幽々子は愛し合えたと思っていた。
しかし、私が些事だと気にしなかった事柄は、彼女の心を深く苛んでいたらしい。


毎夜行う交わりの最中、幽々子はとても幸福そうで、熱に浮かれたように何度も私の名を呟く。そんな幽々子の声を聞くと、私の心は満たされる。
毎夜行う交わりの後に、幽々子は深く悲嘆に暮れて、何かに耐えるように何度も私の名を呟く。そんな幽々子の声を聞くと、私の心に穴が開く。


「ごめんね……。ごめんね……。○○……。」


幽々子……。幽々子が謝ることはないんだよ、幽々子は何も悪くない。悪いのは全てこの私じゃないか。
閻魔も見捨てる程の大罪を犯しているのは、この私なんだよ、幽々子。


今夜も響く謝罪の中、私は心で懺悔する。












「ごめん……。ごめんな……妖夢……。」


そう言って○○さんは謝る。何度も、何度も。
凛々しい顔をくしゃりと歪め、強く私を抱きしめながら。
実際のところ、○○さんが謝ることはないのだ、これは私が望んでいたことなのだから。


「ごめんな、妖夢……。こんな辛い役目を押し付けてしまって……。」


違う、違うんです○○さん、私は嬉しいのですよ。叶わぬ筈の私の夢が、敵わぬ想いが叶(敵)ったのですから。
謝罪の言葉を聞きながら、私は彼を抱き返す。
女性らしいとは全く言えない、骨張り固いこの身だけれど。半人半霊のこの身だから、体温もとても低いけれど。
そんな私の身体だけれど、とても柔らかいと言ってくれた。とても温かいと言ってくれた。
だから私は抱き返す。彼に温もりを与えるために、彼の温もりを感じるために。


そう、私は○○さんを愛している。あの日あの時あの庭で、初めて会ったその時から。
だけども彼が愛するのは、私ではなく我が主。後に出会った幽々子様。
二人はとてもお似合いで、誰が見ても仲睦まじく、桜の花がその身を散らす、春の終わりに結ばれた。
結婚式は盛大で、知人の全てが参加をした。皆に囲まれ祝福され、二人はとても幸せそうだった。
勿論私も祝福した。大好きな二人が一緒になるのだ、こんなに目出度いことはないと。
しかし夜の帳が下りた後、自室で独りになったその瞬間。目から溢れた一滴に、込み上げてきた強い嗚咽に、私はとうとう気づかされたのだ。
嗚呼、私も彼のことが好きだったのだな……と。
どうしようもない感情と、どうしようもなくなった想いとに、私は静かに涙を流した。


三月もして夏を迎えた頃だろうか、唐突に私は幽々子様に呼び出しを受けた。とある頼みごとがあるそうだ。
頼みごと、とは言っても相手は我が主、それは事実上の命令であった。
そして対面に座る幽々子様の口から告げられた命(頼み事)は、女性にとってはとても残酷なもので、私にとってはとても……とても、魅力的なものだった。


そして今宵も主の命で、私は彼に抱かれるのだ。
指が這う。 この身は固くはないでしょうか?
腕が這う。 この身は冷たくないでしょうか?
舌が這う。 この身は汚くはないでしょうか?
指が、腕が、舌が、足が、腰が、肉が絡み合う。嗚呼……この身は、私は、貴方の『女』足りえてますか?
気持ちいいですか? この快感は私の一方的なものではありませんか? この悦びは……。
温かいです。気持ちいいのです。幸せで、怖いくらいです。○○さん。○○さん……。だから……だから……


「ごめん……。ごめん……。妖夢……。」


だから、そんなに謝らないでください。私は幸せなのですよ? 貴方は悪いことはしていない。謝る必要なんて何処にも無いんですから。
悪いのは、謝るべきはこの私です。天をも見放す罪業を、抱いているのはこの私。


今宵も上げる嬌声の中、私は独り業を燃やす。












「ごめんなさい……。ごめんなさい……幽々子様……。」


そう言って妖夢は謝る。何度も、何度も。
その幼さの残る眼に涙を浮かべ、私の前に跪きながら。
言うまでも無いことだ、妖夢が謝る必要は無い。この子には何の罪も無いのだから。


「ごめんなさい……、ごめんなさい……。私は、私は喜んでしまいました。」


そんなことは分かっていたのよ、妖夢。私はそんな貴女の気持ちを知っていて、この命を下したのだから。
妖夢が謝り泣く度に、私の心は締め付けられる。それは彼への罪悪感。それは彼女への劣等感。
この子は○○を愛していた。それは恐らくこの私が、彼を愛するその前から。
その眼差しは彼を追い、その仕草は彼を求めて、発する声に愛を込め。半人半霊の未熟ながらも、幼い身体で精一杯に、彼女は懸命に恋をしていた。

そんなことは解っていたのよ、妖夢。だけど自分も知らぬ内に、私も彼を愛してしまっていた。
彼の優しい眼差しに、彼の温かいその掌に、彼の愛しいその声に。それは妖夢の後にだけれど。
そして恋しい○○が、その愛を向けてくれたのはこの私。妖夢ではなくてこの私だった。


それはどれだけの幸福だったのか、彼は私を好いてくれた。
それはどれだけの幸運だったのか、彼は妖夢の想いに気づかなかった。
彼は人間、私は亡霊。だけど彼は好いてくれた。種族なんかは関係ないと、私は幽々子を愛していると。
彼は人間、私は亡霊。私は彼の子を産めない。そんなことは解っていた、そんなことは分かっていた筈。
甘く見ていた、この問題を。甘く見ていた、この感情を。


例えばそれは人里で、道行く親子を見掛けた時に。
例えばそれは真夜中に、彼の腕(かいな)に抱かれた時に。
例えばそれは私の中で、彼のぬくもりを感じた時に。
例えばそれは行為の後で、彼が寝入った独りの時に。
その感情は襲ってきた。嫉妬、羨望、哀情、絶望。私は、彼の子を産めないのだ。私は、彼の『女』にはなれないのだ。
その感情の名は罪悪感。亡霊の私に恋をして、我が子を残せぬ運命の、彼に対する罪悪感。
かの感情の名は劣等感。半人半霊の身の上なれど、赤子を産める体を持った、妖夢に対する劣等感。
だから私は妖夢を呼び出し、無垢な彼女に頼んだ(命じた)のだ。


「妖夢。彼の……○○の子を産んでちょうだい。」


だから妖夢、謝らないで。これは分かっていたことだから。
だから妖夢、謝らないで。これは私の命令だから。

襖に仕切られた部屋の向こうで、貴女は喜んでいたじゃない。喜べたのならいいことでしょう?
彼に抱かれて上げた声は、とても濡れていたじゃない。悦べたのならいいことでしょう?

だから妖夢、謝らないで。劣等感に潰されそうなの。
だから妖夢、謝らないで。嫉妬心に狂いそうなの。
だから妖夢、謝らないで。丸く収まっているでしょう? 貴女は何も悪くない。謝る必要なんて何処にも無いんだから。
悪いのは、謝罪すべきはこの私。冥府に似合わぬ罪科に、狂っているのはこの私。


今日も響く二人の声に、私は独り涙を流す。











十月十日(とつきとおか)の其の後に、産声上げた子が一人。果たしてそれは誰の子か?






(了)








最近のスレの流れ(出産ラッシュ)を見て、ふと思いついた小ネタを文章に起こした結果がこれだよ!
暗いですね救われないですね報われないですね。ぶっちゃけ私にはNTR属性なんて無かった筈ですがね。思いついちゃったんだから仕方ない。
「幽々子様亡霊だし、子供産めないんじゃね?」とか思って「でも妖夢は半身半霊だし産めるんじゃね?」とか思っちゃったんだから仕方ない。
最初はもっと明るいと言うかギャグというか、ハッピーなエンドを予定していた気もしないでもないけど、そんなの全くの気のせいだったぜ!

何にせよ次はもっと明るい話を書きたいな。何も思いついちゃ居ませんけど。


新ろだ863(新ろだ829続き)


「すいませーん、プリズムリバー楽団ですがー」
「はーい、今開けます。……○○さん、お久しぶりです」
「こんにちわ魂魄さん。あぁ、つまらないものですが、どうぞ」
「あ、どうもすいません。ではこちらへ。幽々子様もいらっしゃいます」
「また持ってきたお茶菓子が瞬殺されそうですね……」
「すいません本当に……」















「さて、今日二人に家にいてもらったのは他でもないわ。
 ○○の件でどうしても話をしないといけないと思ってね」

メルランがルナサ、リリカをリビングに呼んだのはつい先ほど。
○○がコンサートの事で白玉楼や紅魔館に行くこの日こそが彼女達の会議を取れる数少ない日であった。

「どうしたのよ姉さん。○○に何か問題でもあったの?」

リリカが訝しげに聞く。

「ねぇリリカ、この前みーんなぎくしゃくしていた朝食あったわよねぇ?
 あの時あなたと○○と何があったか、教えてくれる?」

その言葉にリリカはもちろん、ルナサも一瞬にして頬が赤くなる。
その時の事を思い出しているのだろう。
ちなみにメルランも少し赤くなっていた。

「起こしに行った順番は姉さん、私、リリカ。
 この時何があったか、リリカのは当てずっぽうだけど……皆、ファーストキスを○○にあげたと思うんだけど、どう?」

「えっ!?皆!?姉さん達も!?」
「……知ってたのね、メルラン」

○○からルナサの件に関しては直接聞いたので間違いは無い。
リリカも同じような感じで朝食を取っていたのでおそらくと思っていたメルランの読みは当たっていた。
つまり彼女達は同じ日に同じ相手にファーストキスをしたということになる。
それはつまり、3人の思い人が同じである事に相違なかった。
しかしこれについては皆薄々気づいてはいた。
時折そう思わせられるアクションはあり、一つ屋根の下1年位を過ごし彼の人柄に触れるには十分過ぎる程の時間があった。
彼女達が皆○○を好いているのは最早疑いようがない事実であった。
それによる行動が朝のそれである。
故にメルランはそろそろ決めなくてはならないと思った。

「それで、メルランはどうしたいの?」

ルナサが少し眉を顰めて尋ねる。
姉妹で取りあうとなればそれこそ大変な事になる。
今まで3人で過ごしてきた中に1年位前から入ってきた○○。
しかしもう既に彼無しの生活は考えられない。
だが事は穏便に進めたい。
彼女はメルランが無茶な事を言いださないか気が気でなかった。

「……日和を決めて○○と3人別々にデートをして。
 それで○○に決めてもらおうと思ってるの」

無論○○が他に好きな人がいた場合、この計画は頓挫する。
しかし今のところそういう話は誰も聞いていない。
もちろん○○が誰も選ばないという可能性もある。
彼女たちにとっては一世一代の勝負でもあり、そして博打でもあるのだ。

「……姉さん、もしそれで○○が誰かを選んでも恨みっこ無し、だよね?」

リリカのその言葉はメルランの案に乗るという事に相違ない。
メルランはそれに頷く。

「……姉さんはどうする?私の案に乗る?」

ルナサは他に何か案は無いかと考えを巡らせる。
しかし現状維持、とは既にいかなくなってしまっている。
そうなれば一番これが決めるのに問題がなく、相応しいのかも知れないと思った。

「わかったわ、あなたの案に乗るわ。
 それで、他に何か決めごとはあるの?」

んーとメルランが思案する。

「行為はキスまで、誰が選ばれても恨みっこなし。
 ○○には……私がい「私が言う」」

メルランに被さる様にリリカが挙手をした。
はぁっ、やっぱりこうなるのかとルナサは心の中で溜息をつく。
既に牽制し合っている二人を落ち着かせるルナサの頭の中には少しだけ自分が言うと言いたい感情はあった。

「皆で言えばいいでしょう?まったく……」






「わかりました、ではその日に皆で御伺いします」
「よろしくね、それにしても相変わらずお茶菓子の選択、上手いわね」
「いえいえ十六夜さんのお料理には敵いませんから、せめて良い物を持っていきませんと」
「でも、サボってる門番に餌は与えないようにね」
「知ってましたか……」
「そりゃあホクホク顔で食べてりゃわかるわよ、まったく……」








「ただいま戻りました」

戻ってきたら何やら妙な雰囲気が。
何が、かはわからないが何だろうか、嫌な予感がする。
何かが起きている、そしてそれから何かが始まるような感じが。

「おかえり~どうだった~?」

メルランが出迎えをしてくれた。
彼女の雰囲気に特別妙な感じはしない。
……気のせいだったのかなぁ?

「白玉楼と紅魔館でコンサート取りつけてきたよ。
 日程は明後日紅魔館、6日後に白玉楼」

「成程ね、3、4、5日後は予定なし、ね」

?何かあるのだろうか。
彼女達自身がどこかで話を貰ってきたのだろうか?
そうなるとまた予定を少し調整したほうがいいかもしれないな。

「別の場所で演奏するのかい?」
「いいえ、私達にとっても○○にとっても重要な三日間になるの」

……どういうことだ?

「詳しくは皆揃った時に、ね。
 あぁ、そうだ、おかえりの……」

不意にメルランが近づいてきたかと思ったらキスをされていた。
驚く俺を尻目にメルランは抱きつく力を強め、キスも情熱的になっていく。
されるがままに吸いつかれ、舌を交わし、唾液を送り合う。
おかえりのキスでこんなに激しくしないだろ普通とか的外れな考えをし始めたくらいにようやく解放された。

「ん……ぷはぁ……覚悟、しておいてね。
 私達があなただけにする特別でとっておきの3日間になるから」

少し顔を赤らめてはにかみながらメルランはリビングに入って行った。
何が特別な物を感じない、だ。ばっちり大変な事になってるじゃないか。
この前の彼女とのキスを思い出し、俺は少しの間玄関で立ちっぱなしになっていた。
きっと顔は物凄い真っ赤だったろうなと後で思った。

そしてこれを誰かが見ている事も少し経って知る事になるのであった。




「ふぅ……何が起こるんだこれから……」

先程のメルランの一件を思い出しながら部屋で着替える。
3日後からの3日間、彼女達が俺に何をするのか、よくわからない。
今までメルランにじゃれつかれる事はあってもあそこまでされた事は前の朝の時以外はない。
しかもあれは事故みたいなものだ。

「何だろう、何かやっばい地雷踏んでいるどころか踏みながら歩いているみたいな感じがする」

とにかく他の二人も何かしらアクションがあるに違いない。
用心はしておかないと、と思った刹那、ドアがノックされ部屋のドアが開いた。
部屋に入ってきた人物はドアを閉めてこちらを向いた。

「○○ーちょっと……あ」
「あ」

見事にズボン下ろした俺とリリカちゃんの目があった。
一瞬にしてリリカちゃんの顔が真っ赤になった、あ、嫌な予感。

「な、ななななななななにしてんのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「え、ちょ、弾幕はだめぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

スペルカード宣言するのは勘弁してくれ……あれ、目の前が弾でいっぱいだは、ははは……アッー!!!


「ま、まったく、○○が悪いのよ、そ、そんな下着姿で私の前にいるのが」
「あぁ、おれのせいだね、うん、色々と何か間違ってる気がするけど俺のせいだね…」

こういう時は自分が悪いとしたほうがいい。
なぜならば下手に何か言うとさらにとんでもなく面倒な事になるからだ。
弾幕を直撃しまくった俺は気絶し、気付いたら目の前にリリカちゃんの顔があり、凄い怒っていた。
ん?何か頭が柔らかい物の上にあるような・・・?

「あれ?もしかして……膝枕してくれてる?」

おまけにズボン元通りだし。
言ってみると恥ずかしさであろう怒っていた時よりもリリカちゃんの顔が真っ赤に染まっていく。

「そ、そそそそそそそそういう事は言わないの!」

リリカちゃんは顔をぷいっと背けた、何か可愛いじゃないか。
少しだけお互い無言だがそろそろ夕ご飯の時間だろう。
今日はルナサさんが作ってくれると聞いていたので少しは手伝いにいかないと。
名残惜しいが顔を上げようとするとリリカちゃんが手で制した。
顔はまだ真っ赤で何かを決心したようである。

「まだ何か?」
「ね、姉さんだけするなんて不公平だから……その、お帰りのキス……」

は?と言おうとしたら眼前に既にリリカちゃんの顔が迫ってきていた。
そして抗う事も考えずにたどたどしく、そして軽いキスをされていた。
唇をつけるぐらいのだが何だろうか、それだけで彼女の恥ずかしさが移ってくるようなそんな感じだ。
唇が離れると彼女は「じゃ、じゃあ夕飯の時にね!」とすぐさま立ちあがり部屋を出ていった。

後に残された俺は唇の感触の余韻と頭の痛さにしばしそのまま動けなかった。
いきなり頭を床にぶつかったら痛いんだぞ……本当に……





「ルナサさん、手伝います」
「……ゆっくりしていればいいのに」

台所ではやはりルナサさんが夕食の支度をしていた。
時折やり方を忘れたくないからとルナサさんが作る時がある。
俺はそんな彼女の手伝いをするのが毎度の事となっていた。
ルナサさんは断っても食い下がらない俺にいい加減諦めたのか直ぐに少し横にずれてくれる。

「いえいえ、居候ですから」

「……もう居候じゃないよ○○は」

包丁を置いてこっちを見るルナサさん。
何時になく真剣な表情でこちらを見るルナサさんに俺は吸い寄せられるように彼女と向き合っていた。

「居候なだけなら家の妹達があんなに懐かないし、私も信頼しないわ」

「あ、あはは……そ、そう言って貰えると嬉しいです、いてっ!」

気恥ずかしさから野菜を切るのに戻ると手元が狂い少し指を切ってしまった。

「だ、大丈夫?……んっ」
「うぇ!?」

ルナサさんが心配してくれたと思ったら切った指を咥えられていた。
ルナサさんは一生懸命に俺の指を咥える姿は豪く背徳的であり、俺は少しだけゾクゾクとしてしまう。
台所でルナサさんの俺の指を咥える音がするこの状況、傍から見ればどんな光景に見えるのか。
どうしても思考がまともにならない。
そんなどうしょうもない俺自身に、心の中でどうしようか会議が始まろうとしたくらいにルナサさんの口から俺の指が解放される。
助かった……これ以上いくとどうなってたことか。

「ちゃんと消毒してね?」
「は、はい……」

赤い顔で心配そうに言われると男として駄目になる一歩手前になりそうで困る。
俺も絶対今顔が真っ赤だ、うん絶対。

「じゃ、じゃあ……消毒してきますんで」

何時までもここにいると地雷どころか核ミサイルを踏みかねないので一旦台所から撤収し、心を落ち着かせねば。
一応傷の手当てもしておくべきだしな、うん。

「えぇ……あ、そうだ○○?」
「はい、なんでございまっ!?」

台所からリビングに行こうとし、ルナサさんに声をかけられ振り向いたらルナサさんの顔が間近に。
肩に腕を置かれ、少し背伸びをして俺に口付けを彼女はしてきたのだ。
しかもそれだけではなくおずおずと舌を交わす始末。
メルランのような積極的な動きではなく、恥ずかしがりながらも必死に絡めようとする感じだ。
さすがに3度目ともなれば少しは対応できるような物だがどうすればいい……
何かこれに答えたら物凄いフラグをぶったてちゃう気がするんだ。
そんな葛藤をしている内にルナサさんが離れた、色々と危なかった……

「二人とも、たぶんしたんでしょ?おかえりの……キス」
「うぇ!?あ、い、いえその……あ、あははははは」

真っ赤な顔で尋ねてくるルナサさんに俺は一気にクールダウンしていた。
い、いえねぇ。いくら向こうからしてきた事でも言えないだろこれは……
しかし何なんだこの状況は、一体今日何が起こるんだ!?

「じゃ、じゃあ料理、済ませちゃうね。
 聞いてるとは思うけれど夕飯の時、皆で話があるから」

は、はい。と機械的な動きで戻る俺。
何だろう、俺今日命日になるのかなぁ?
凄い幸せな感じだが凄い嫌な予感がする。

夕飯……逃げようかなぁ。









結局逃げられるはずもなく、夕飯は4人で取る事に。
この前の朝を思い出すような感じだが違うのは俺だ。
いくらなんでも前のような事故では済まない。
ここまでくれば鈍いとか宴会で言われまくった俺でも少しは気付く。
それで夕飯の時に話があるとか言われれば第三次プリズムリバー抗争とかそんな事でもあるのかと思ってしまう。
ちなみに第一次は誰がルナサさんのプリンを食べたのかで第二次はメルランさんの下着が一着消えた件だった。
さらに余談だが犯人は両方ともリリカちゃんだった、美味しそうだったからと羨ましかった、が犯行の動機だった。
ってそんな事は置いておく。

「「「……」」」

実に視線を感じる。
あぁ何だろう、DEADENDまで俺には考えられるぞ……

「……さて、○○」
「ふぁい!」

やべ噛んだ。
皆が食べ終わった後ルナサさんの突然の声に俺は緊張を隠せない。
この手の流れからすれば取り合い修羅場デッドエンドだ。
平穏だったプリズムリバー亭が戦場となる、そんな考えに俺は埋め尽くされている。

「さすがに気付いているとは思うけど……私達、○○の事が好きよ?家族の一員として、そして男として」

続くメルランの発言に俺の顔は真っ赤になっているだろう。
今ならばわかる、彼女達の今までの好意を示していたものを。
鈍感な俺はそれに気付けないでいた、だから彼女達は遂にああいう行動を示したんだと。

「もしも○○が他に好きな人がいるんだったら私達は諦める。
 でも、私達の中にもしも好きな人がいるんだったら……選んで。私達はそれを受け入れるから」

リリカちゃんの言葉に俺は選択を迫られる。
今更今まで通りというのは虫が良すぎる話だ、もう戻れない。
かといって他に好きな人がいるわけではない……むしろ……

「俺は……3人が好きだ、家族として。
 外から迷い込んだ俺を受け入れてくれて優しくしてくれた3人が。
 でも、それが今は家族としてなのか一人の女性だから好きなのかわからなくなった。
 だから……時間をくれないか?少しだけ、決める時間を」

今まで彼女達を一人の女性で見た事はほとんどなかった。
故に彼女達の好意を知った時自分の好意は果たしてどちらなのかわからなくなった。
誰か一人だけはそうなのかそれとも全員家族なのか、わからない。

「ならば私達は待ちます、あなたが答えを出すのを」
「でもね、私達からもお願いがあるの」
「休みの三日間、私達一人ずつとデートして、それで白玉楼のコンサートの後に答えが欲しいの」

三日間の話はそれだったのか……
そう言われてみれば彼女達と一緒に過ごしてきたが個人個人でどこかに行ったなんてほとんどなかったな。
……いい機会なのかもしれない。

「わかった。コンサート後までに答えを出す」

覚悟を決めなくてはいけない。
彼女達の思いを無碍にしない為にも。

「うん、その、なんだ……よろしく頼むね」
「さーてどこ連れて行ってもらおうかなぁ~」
「へ、変な事したら許さないからね!」

さて、どうなる事やら……























何これ、どうなってんの。
電波に赴くままに書いたらこの結果だよ?
さて、誰から書いていくか……


最終更新:2011年02月21日 23:50