東方学園7
新ろだ129
「いらっしゃいませこんにちわー」
東方学園のすぐそば、渦巻きマークの看板でおなじみのバーガーショップ、『厄・DE・鳴門(やくどなると)』。
学生達の憩いの場であり、俺のバイト先でもある。
しばらく前から勤めている中で、特に顔見知りと一緒になることもなかったが、最近学校の後輩が入ってきた。
「ご注文はお決まりですか?」
「お燐ー、私この人形が付いてるやつがいいな」
「……お空、それ子供向けのセットだよ?」
高等部一年のお燐こと、火焔猫 燐。あまり見たことのない顔だなと思っていたら、最近まで停学を食らっていたらしい。
どんなやつかと内心不安だったが、話してみればなかなか気さくでいい子だった。
面倒見がよくて友達思いだし(ちなみに今キッズメニューを頼もうとしてるのが面倒を見られる代表格・お空こと霊烏路 空、高1)。
「―お待たせしました、ごゆっくりどうぞー」
なんだかんだで、おまけのくるくる厄神ちゃん人形を嬉しそうに握りしめてバーガーをぱくつく親友を、お燐は苦笑しながら眺めていた。
「せんぱーい、先上がりますねー」
「はい、お疲れー」
俺とはちょっとずれたシフトで働いてるお燐は、いつも少し先に上がる。
最近、何となくそれが寂しいと感じるようになってきた、気がする。
いや、気のせいだろう。寂しがる理由などどこにもない。
気持ちを振り払うように、手を動かしていく。
さっきハンバーガーを注文してきたのが隣のクラスの河城だったのを思い出し、
心持多めにピクルスを入れてやることにした。
「……あー、疲れたー」
今日のバイト、終わり。
最近陽が落ちるのがすっかり早くなったので、この時間、外はもう真っ暗だ。
街燈の明かりの下を一人とぼとぼと歩く。
風が冷たい。ついつい背中を丸めがちになってしまう。
と、足元に柔らかなものが擦り寄ってきた。
「にゃーん」
「おっ、またお前か」
最近帰り道で、よくこの黒猫に会う。
さほど動物に好かれる方でもない俺だが、この猫は変わり者なのか警戒もせずに懐いてくる。
どこか近所で飼われているんだろうか?
「よいしょ」
「うにゃ」
猫を抱き上げ、胸にくっつけるように密着させてみる。
おお、あったかい。
体温を提供してくれたお礼に小さな頭を撫でてやると、猫は目を細めてのどを鳴らした。
「よしよし、お前はあったかいなあ」
「にゃ、にゃああん」
暖を取りながらしばらく歩いていくと、猫は突然するりと腕から抜け出した。
「にゃうぅん」
「おう、またなー」
いつもしばらくはついてくるのだが、この辺りに来ると決まってどこかへ行ってしまう。
どこか近くに家があるのかもしれない。
「あ、おにーさん!」
そして、この辺りに来るとお燐に会うのもいつもどおりだ。
まあお燐の場合は、かもしれないではなく実際近くに家があるからなのだが。
「……どうでもいいけど、なんで外とか学校だとお兄さんって呼ぶんだ?」
「そりゃ、あたいなりに親しみを込めてるからさ。ね、おにーさん今日は寄ってくかい?」
「そうだな、今日も冷えるし……寄ってこうかな」
「はい、お一人様ごあんなーい」
嬉しそうなお燐の後に続いて、俺は明かりの方に向かって歩き出した。
「ふーい」
かぽーん、という伝統的な効果音が似合いそうな情景。
俺はタオルを頭に載せ、湯に浸かっていた。
お燐の家は、銭湯をやっている。
それも今時珍しい、木材を燃料にして沸かす昔ながらの銭湯だ。
『灼熱地獄』という屋号を聞くと恐ろしく熱そうだが、湯加減はちょうどいい。
むしろ名前に反して、まさに極楽。疲れが溶け出していくようだ。
「生き返るなあ……」
ここに銭湯があるということは、最近まで知らなかった。
確かバイトにお燐が入ってきた日、今日みたいに帰りに黒猫と会って、
黒猫と入れ替わりに現れたお燐に出くわして……あれ、今日と変わらないな。
ともかくその時ここの存在を知って、以来バイトの帰りに寄るのが習慣になってしまった。
「―それにしても」
周りを見回す。時間が少し早いせいもあるが、他に人はいない。
女湯の方はわからないが、少なくとも男湯は今のところ俺一人だ。
掃除が行き届いているので一見して寂れてはいない。が、今の灼熱地獄は有り体に言って閑古鳥が鳴いている。
以前は繁盛していたらしいけれど、家に風呂があるのが当たり前になったこの時代、やはり銭湯に来る客はあまりいないらしい。
「さて、身体洗って上がるか……」
昔を懐かしむほど長く生きているわけではないけれど、こういったところがなくなるのは寂しい気がする。
ちょっとしんみりした気持ちで、俺は湯船から出た。
「お燐、いつもの一本」
「はいよ、毎度あり~」
番台に座って所在なげにおさげ髪をいじっていたお燐に声をかけ、コーヒー牛乳を買う。
足は肩幅、左手は腰に当て、視線は正面上方45°、ぐいっと飲み干すのが日本の掟だ。
誰が言ったかは知らない。
「おにーさん、ここはどうだい?」
空き瓶をケースに戻していると、お燐が尋ねてきた。
「んー?」
「いや、もう何度も来てもらってるから、気に入ってくれたかな、と思って」
「そうだな。俺はこういうとこ、結構好きだよ」
「そっかー、おにーさんにそう言ってもらえるとあたいも嬉しいよ」
そう言って、心底嬉しそうにお燐は笑った。
「うちも見てのとおりだからさ。
お空のところから、新しい熱システム入れて改修しないかって話も来てるんだけど」
「ああ……」
お空はああ見えて、割といいとこのお嬢さんだ。
エネルギー関係の仕事をしているお空の家は、最近外部との提携で新型の熱供給システムを開発したという話だ。
「ありがたい話なんだけれど、あたいもここが好きだからね。なるべくなら、今のままでやっていけたらいいなとは思ってるんだ」
そう言ったお燐の顔は笑っていたけれど、頭の上にある猫の耳は伏しがちになっている。
おそらくは、いずれ今のままではやっていけなくなるのがお燐にも見えているのだろう。
それでも笑顔を見せるのは、彼女の気丈さなのだろうか。
「でもこういう商売やってて良かったよ。こうしておにーさんがうちに来てくれるわけだし」
「はは、持ち上げてもなんも出ないぞー?」
「……あはは、今後ともご贔屓にしてくれればそれで十分さ」
「それは、もちろん」
実際、ここは俺にとって欠かせない安らぎの場になりつつある。
しばらくそんな風に雑談を交わしていたのも、
せっかく温まった体で寒い外に出るのがためらわれたから、だけではなかったように思う。
「うわっ、やっぱり寒いな」
ひとしきり話してから、のれんをくぐって外に出た。
ちょうど入れ替わりに二人連れの客がやってくる。
「あら、○○くん」
「こんばんは、○○先輩」
「あ、古明地先輩。こいしちゃんも」
学校で見知った顔であるのがわかり、挨拶する。
3年生で風紀委員の古明地さとり先輩と、その妹で1年生のこいしちゃんだ。
先輩は思考を読み取る恐怖の風紀委員として恐れられているが、結構面倒見がいい。
お燐やお空ともよく一緒にいるけれど、ここの常連だったとは知らなかった。
「そうね、貴方がここに通い始めるよりずっと前から来てるのよ。
なかなか会うことはなかったけど、お燐から話は聞いてたわ」
「あ、いらっしゃ……ちょ、ちょっと何話してるんですかあ!?」
古明地先輩は、見送りと出迎えのために出てきたお燐と俺を交互に見比べると、ちょっと微笑んでのれんをくぐっていった。
……いや、何も言われないと気になるんですけど。
「気にしなくていいですよ」
「いや、そう言われても」
訊いて答えてくれる人でもないので、それ以上はどうしようもない。
慌てて姉の後を追いかけるこいしちゃんと、なんだかあたふたしているお燐に軽く頭を下げ、俺は家に向かって歩き出した。
「にゃああん」
「あれ、またお前か。珍しいな」
来る時にも会った猫が寄ってきた。
いつもは灼熱地獄からの帰り道に会うことはないんだが、ほんとに珍しい。
「ほら、おいで。今度は湯上りだから、俺の方があったかいぞ」
「……なーう」
気持ち良さそうにくっついてくる黒猫。
さほど冷えていないところを見ると、やっぱりこの近くに家があって、一度そこに帰っていたのかもしれない。
「なあ、猫」
「にゃ?」
周囲に人もいない中、猫に話しかける。
まあ、猫が理解してくれるわけもないのだが、独り言にするよりはましのような気がしたのだ。
「俺さ」
「うにゃ」
「お燐のこと……」
「……ふにゃ?」
普段目にしているお燐の姿が浮かぶ。くるくるとよく働くお燐、明るく笑うお燐、ちょっと強がりなお燐。
しかしこの猫、絶妙な相槌を入れてくる。偶然だろうけど、面白い偶然もあるもんだ。
「―好きなのかもしれない」
「にゃあっ!?」
一瞬猫がびっくりしたように動いた。いけないいけない、ちょっと力が入りすぎたかな?
「まあ、向こうにしてみればただの先輩だろうし、だからどうこうっていうんじゃないけど……」
「にゃー……」
しかし俺、なんで猫にこんな話してるんだろう。
誰もいないからいいようなものの、傍から見たら危ない人みたいだ。
と、そんなことを考えていたら向こうから人影が歩いてくるのが見えた。
「あ、○○先輩だ。こんばんはー」
「お空か。こんばんは、こんな時間にどうしたんだい?」
「うん、お燐のうちに行こうと思って。……あれ?」
お空は、俺の腕に抱きかかえられている黒猫に目をやった。
しげしげと眺めた後、口を開く。
「お燐、そんなところでなにやってんの?」
「は?」
お燐?この猫が?なんの冗談だろう。
あれか、近所の猫に友達の名前をつけてるとか。
「番台はいいの?あ、もしかしてお休み?」
「にゃ、にゃー?」
……違うらしい。
俺に構わず猫に顔を近づけ、話しかけるお空。
お空と視線を合わせないように、白々しく目をそらす猫。
いや、そのリアクションはただの猫じゃないだろ。
「お人違いじゃ、って……この辺で二股尻尾の黒猫なんて、お燐ぐらいじゃない」
「にゃ、にゃにゃにゃ」
なんだか意志の疎通が出来てるようだし
……あ、本当だ。今まで気がつかなかったけど尻尾が二本ある。
「―わっ、寒い。じゃあお燐、私お燐のうちであったまってるから、また後でね」
言うだけ言って、お空は俺が歩いてきた方へと走っていった。
後に残された俺と猫の間に、なんとなく気まずい空気が流れる。
「あー、えーと。猫。いや、お燐?」
「……にゃー?」
「ほんとに、お燐?」
黒猫は俺の腕から飛び降りると、宙返りを一つ打った。
瞬き一つほどの間に猫の姿が消えて、
「じゃ、じゃじゃー、ん……」
代わりに姿を現したお燐は場を和ませるつもりだったのか、掛け声と共に明るくポーズをとろうとした。
が、すぐに頬を赤らめてうつむいてしまった。
「……そうだよ、あたいだよ」
「なん、で」
上手く口が動かない。なんで猫に変わるんだ、ということが訊きたいわけではない。
強いて言えば、なんで猫の状態とお燐の状態(厳密には両方お燐のようだが)で別々に接して、
同一人(?)物であることを教えてくれなかったのか、ということが知りたかった。
「だって……だって……」
ぽつりと話し始めたお燐はどうしていいのかわからなくなったようで、
今にも泣き出しそうだった。
「猫の姿で近づいたら、あたいのことぎゅって抱きしめてくれたんだもの。
すごく、すごく嬉しかったけど、でも、あたいだってわかったら、あたいなんか、おにーさんから見たらただの後輩だもの。
そしたら、もうぎゅってしてもらえないじゃないのさ」
両手で顔を覆ったお燐の声には、涙が混じり始めた。
「おにーさんがうちに来てくれるようになって、猫の姿の時にも構ってくれて、
一緒にいられる時間が増えて、すごく嬉しかったんだ。あたいも、おにーさんのこと好きなんだ。
……だますつもりじゃなかったんだ、ごめん、ごめんねおにーさん……」
すすり泣くお燐の肩を、黙って、包み込むように抱きしめた。
「さっきのは」
「ぐすっ……え?」
「さっきのは、見知らぬ猫に独り言を聞いてもらってただけだからな。
改めてお燐に言わせてもらう。お燐、好きだ」
「……わぁぁぁん!」
ありがとう、ありがとう、大好きだよ、と。
切れ切れにつぶやきながら、俺の胸に顔を埋めて泣くお燐。
夜空からは雪が降り始め、俺とお燐の上に深深と積もっていった。
なんだか別れがたかったので、家までお燐を送っていくことにした。
「あー、お燐泣いてたの!?○○先輩に何か意地悪されたの!?
私の親友を泣かせたら、○○先輩だって許さないんだからね!」
勘違いしたお空に詰め寄られたり、
「違うのよお空。お燐はね、嬉しいことがあったから泣いてたのよ。ね、○○くん、お燐?」
お燐の代わりに店番をしてくれていた古明地先輩に、誤解を解きつつ意味深な視線を送られたり、
「え、嬉しいことって、もしかして○○先輩とお燐ったらラブラブなの?」
こいしちゃんにピンポイント直撃で恥ずかしくなるような冷やかしを(おそらく無意識に)受けたりしながら、
「お燐、後任せた!」
「あ、おにーさんずるい!」
俺は冷えた身体を温めるためにもう一度湯に浸かっていくことにしたのだった。
……決して、戦略的撤退とかではない。
「まあ、女湯と男湯は完全に分断されているわけではありませんし。
壁越しですが、色々と聞かせてもらいましょうか」
「ねーねー、○○先輩はお燐のどんなところが好きなの?」
「だめよお空、壁に上っちゃ……先輩、何て言って告白したの?」
そもそもお燐は番台にいるので、結局俺だけが追い詰められる形になったし。
新ろだ614
朝
ジリリリ
カチッ
目覚まし時計に起こされて起床した
冷蔵庫を開けてみて食材がつまっているなそういえば
昨日買い物に行ったんだな。
久しぶりに弁当でも作ってみるか。
弁当のおかずの酢豚を作ってみるかな。
……
仕上げのとろみをどうするか?
片栗粉を使う←
小麦粉を使う
酢で煮詰める
つやとろ酢豚が完成した。
昼休み
弁当を作ってきていたな。
誰かと一緒に食べようかな?
博麗霊夢←
紅美鈴
永江衣玖
屋上・・・
霊夢と一緒に弁当を食べた。
朝作った、つやとろ酢豚と霊夢の弁当を分け合って一緒に食べた。
霊夢「うあ、おいしい!○○が作ったの?そういえば○○って昔から料理が上手かったわね。
…だったら私が作ってあげたのに・・・」
最後の声が余りにも小さくて聞こえなかったが気に入ってくれたようだ。
そろそろ霊夢との仲が特別な関係になりそうだ。
------------------------------
昼休み
弁当を作ってきていたな。
誰かと一緒に食べようかな?
博麗霊夢
紅美鈴←
永江衣玖
屋上・・・
美鈴と一緒に弁当を食べた。
朝作った、つやとろ酢豚と美鈴の弁当を分け合って一緒に食べた。
美鈴「あ!凄く美味しいです!○○さんて料理とか上手かったんですね。
…後で私の手作りお弁当も食べてくださいね・・・」
最後の声が余りにも小さくて聞こえなかったが気に入ってくれたようだ。
そろそろ美鈴との仲が特別な関係になりそうだ。
------------------------------
昼休み
弁当を作ってきていたな。
誰かと一緒に食べようかな?
博麗霊夢
紅美鈴
永江衣玖←
屋上・・・
衣玖先生と一緒に弁当を食べた。
朝作った、つやとろ酢豚と衣玖先生の弁当を分け合って一緒に食べた。
衣玖「空気を読んで○○君のお弁当は、レストランと同じ味ですね分かります。
…私のお弁当も美味しいですよ・・・」
最後の声が余りにも小さくて聞こえなかったが気に入ってくれたようだ。
そろそろ衣玖先生との仲が特別な関係になりそうだ。
ちなみにコミュニティのキャラクターはうp主の好きなキャラクターである。
最終更新:2010年06月24日 21:33