修羅場?4
4スレ目 >>239-240
4スレ目>>233(咲夜)から派生
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――数分後。
さて、俺が咲夜から貰ったプレゼントに舌鼓を打っていると……。
「ねえ、おつまみ持ってきたんだけど、ちょっと台所借りていいかしら」
「どうぞ。場所はわかる……ってもうかよ」
早い。早すぎ。
俺が言い終わる前には皿に切り分けられたチーズが乗っていた。
「時間が勿体無いでしょ?」
「まあ、ね。ただ、俺に待つ楽しみは無かったわけだが」
「それはまた今度のお楽しみという事で」
「期待してる」
軽く笑い合う。
――ここまでは良かったんだ。そう、ここまでは。
「○○さーん! 今日はドアを破らずに参上ですよー! ……って、なに、してるんですか」
いきなり玄関から疾走しながら文が来訪。しっかり床にブレーキ痕を残して。しかし俺と咲夜を見た瞬間無表情に。そしてさらに……。
「あら、今日は珍しく貴方の家ににしては騒がし い の ね……」
窓からえーりんさん登場。前回はトイレから。その前は天井から。いつも思うが、貴女はマトモに出てこれんのですか。スキマ妖怪じゃあるまいし。そしてやっぱり俺たちを見た瞬間に無表情にチェンジ。
「「「…………」」」
いきなり張り詰めていく空気。これって修羅場モード?
微妙に男として嬉しいが、動けない……!
この状態で動いたら、俺は間違いなく殺される……!
「残念だけど、○○はもう私と飲んでるから。どうぞ安心してお帰りになってください」
「そんな値段ばっかり高いジュースみたいなお酒じゃ○○さんは満足しません! ここは私が持ってきた天狗に伝わる大吟醸を!」
「可哀想に。二人とも舌が馬鹿になってるのね。治療ついでになんならその煩い舌、引っこ抜いてあげてもいいけど?」
「「「…………」」」
「コッチの言う事が理解できないみたいだから率直に言うわ。年齢不詳の人外はさっさと消えなさい。お呼びじゃないのよ」
「知らないんですか? 最近の世論の傾向は外見重視なんですよ。ああ、私や○○さんと違って半分ほど無職やってるお二方には関係ないお話でしたね」
「最近の若い子は短気で駄目ね。それとも知恵遅れかしら? ここまで酷いと薬どころか死んでも治らないでしょうけど。あら御免なさい。つい本音が」
「「「…………(ギリィッ)」」」
幕○内ばりに即ボディーにクる皮肉の応酬の後は痛いまでの静寂。
あ、あれ? 俺、いつ死亡フラグ立てたっけ?
「……このままだと埒が明かないわね。二人とも、表に出なさい。ここだと○○に迷惑がかかるわ」
そう静かに、しかし鋭い殺気を叩きつける咲夜は、何時の間にかメイド服を着ていた。
そしてバスケットの中にはさっきまで着ていた服が。さっきまでメイド服もこの中に入れていたのだろう。流石は瀟洒なメイド。
しかし、いつもの彼女ならこの面子での勝負、少々分が悪いだろうが、なんか後ろにやたらゴッツイ背後霊みたいなのが見える。
「ええ、こちらこそ望む所です。身の程知らずな人間のメイドと頭のネジが全部トンだ宇宙人に、本当の天狗の力というものを見せてあげます」
ふんっ、と鼻で笑う文。結構長い間生きてるだろうに、今の彼女は外見相応って感じだ。セリフは真っ黒だが。
因みに、いつも彼女の肩に留まってる烏は当の昔に逃げ出した。
今頃は根性で大結界を越え、夏の海の町で本当の自分を取り戻している事だろう。頑張れ。超頑張れ国崎住人(仮名)。
「あらあら。無知もここまでくると可愛いものね。でも……躾のなってない狗と烏には少し教育が必要かしら?」
頬に手を当て、たおやかに微笑むえーりんさん。その笑顔が今は怖い。なんか目だけ笑ってないし。二人に挑発交じりの殺気をビンッビンに飛ばしてます。これが永遠亭のドンのカリスマ……!
でも一瞬だけそんな彼女にゾクゾクしてなじられたい、とか思ったのは俺だけの秘密だ。人として色々大切なものを失いかねん。
(死人が出ませんように……。いや、えーりんさんは蓬莱人だから死なないけど)
――キィィィィィン!!
瞬間、圧倒的な霊力が大気を圧迫し、空を、大地を切り裂く弾幕音がここまで聞こえてくる。
つまり、始まるのは毎度おなじみ弾幕ごっこ。……これで“ごっこ”?
いやいや妖夢。俺的にそれはない。
そして(俺的)神々の黄昏が始まって数分後。
――ガラッ。
また誰か来た。今度は玄関の反対側に位置する窓から。
「お、お邪魔しまーす」
これもまた見知った顔の一人、ミスティアだった。
実の所、俺は彼女の店の常連だったりする。
「どうした? やっぱミスティアも新聞読んだのか?」
「うん。それに少ない常連さんだから……」
そう言って八つ目鰻をくれた。かなり美味そうだ。
「悪いね。しかし何ゆえ窓から」
「最初は玄関から入ろうとしたんだけど、なんか凄い事になってて……」
そこまで言ってじわり、と涙を浮かべる。
……ああ。あの中に突っ込めば妖怪でも下手すりゃ死ねるわな。
だが俺にあれを止める勇気は無い。命は惜しいのだ。
今もなお聞こえてくる怒号と弾幕音をどこか遠くで聞きながら、涙目で震えるミスティアの頭をクシャっと撫でる。深い理由は無い。なんとなくだ。乾いた心に潤いが欲しかったのは否定しない。
「じゃ、今後ともご贔屓にー♪ お誕生日おめでとー♪」
それで気を良くしたのか恐怖を忘れたのかは知らないが、ミスティアははにかみながら歌うように窓から去っていった。可愛い奴だ。
――これで終わり。覚悟はいいかしら!
――それはこっちの台詞です!
――オーラスね。……悪いけど少し本気を出すわ!
「…………」
――幻世「ザ・ワールド」! WRYYYY! 無駄無駄(以下略)ァ!
――疾風「風神少女」! 全ては我が戯言也!
――天呪「アポロ13」! ……私の後ろに立つな!
聞こえない。聞こえるけど今迄で一番大きい力の奔流と爆音なんて聞こえない。聞きたくない。
つーか何でこんな所でそんな高レベルスペカぶっ放すかね。家が吹っ飛んだらどうしてくれる。
この年で家無き子とかマジ勘弁。恥ずかしすぎ。
執行を待つ犯罪者のような心情でひたすら祈る。
――しーん。
物音が聞こえなくなった。
どうやら終わったらしい。さっきのが最後の一撃か。
――シーン。
「……?」
音が無い。誰も入ってこない。
恐る恐る外に出てみる。
「……地獄?」
簡単に言ってそんな感じ。
大地は抉られ、木々は根こそぎ持っていかれて、ナイフがそこら中に刺さり、何かよくわからない薬品で溶かされた後がある。
当然周囲に生き物の気配は無い。でも俺の家は無傷。シュールな光景だなオイ。
で、お三方は……。
――死ーん(×3)。
「……トリプルKO。死屍累々ってか」
現実逃避気味に呟く。が、そうも言ってられない。現実は過酷なのだ。
先の選択を後悔しようにも時間は決して巻き戻る事はなく、ただ愚直に進み続けるのみ。
故に今を生きる俺に決して停滞は許されない。撤退は死を意味する。無力な俺に幸在れ。
……さて、どうでもいい事を考えるのも止めにして、そろそろマジで現実を直視しよう。本当にどうする?
――コマンド?
――① 当然三人とも家まで送ってあげる。
――② ここで叩き起こす。
――③ …………紳士らしくお持ち帰り。
①はちょっと無理。一番近い紅魔館も徒歩だと小一時間はかかる。永遠亭は当然それ以上。文の家は知らん。仕事道具はこの暗さと周囲の惨状では使えない。却下。
②は起こす際に俺が死ぬ可能性があるので激しく却下。つーか完全に伸びてて、揺すっても叩いても起きそうにない。皆ハッスルしすぎ。
③は……どうやら精神的に疲れた今の俺の頭はかなり膿んでいるらしい。寧ろ腐りきってる。が、現実的にこれが一番楽な選択肢だろう。はい決定。
「つまり、三人とも俺の家に泊まるのか……。今日は野宿だな。俺の家狭いし」
何が悲しくて自分の家のまん前で野宿なぞせにゃならんのだ。
ここは俺の家だぞ。しかも忘れていたとはいえ、誕生日。
しかしこの天国のような地獄の環境で俺の理性が保つとも思えない。溜息をつきながら天を仰ぐ。
(m9(^Д^)プギャー!! 男一人で寂しく野宿テラワロスwwヘタレ乙wwwwうぇうぇww)
――星が、月が、俺を嗤っていた。ジーザス。海苔巻さん家のアラレちゃんに砕かれろ。
……ネタが浮かんだら続くかも。
4スレ目 >>296
「ねぇ~こないだの宴会で一緒に飲もうって約束したでしょ~?ね~」
「違うわよ!あたいが先に弾幕ごっこで勝負するって約束したのよ!」
「遊んでくれるって約束したよね?ね。 何 と か 言 い な さ い」
まずいことになった。先日神社の近くをフラフラ歩いてたら唐突に宴会に引き込まれたのだが、
ついつい勢いで飲みすぎて約束を全く同時にトリプルブッキングさせてしまったらしい。
ここは一つ上手いこと受け流して一人ずつ対処しようとも思ったのだが我の強い三人。
歩く百鬼夜行こと
伊吹 萃香
幻想郷の愛されし⑨
チルノ
生きる核弾頭 フランドール
…うん。まずい。チルノならなんとか口先三寸でなんとかできるが萃香は酒が入ると
理屈なんぞ蹂躙してナンボになるし、フランに至っては口答えした時点で死亡フラグが
成立する。さてどうしたものか・・・
「え・・・と、な。せっかくまたこう大人数で集まれたしここは一つみんなd」
眼前で手首まで地面にめり込んだ萃香の拳。
髪を焦がしているレーヴァテイン。
場の展開の速さについていけないチルノ。
「「なんか言った?」」
「いえ・・・」
まずい。まずいの三乗だ。この二人目がすわっちゃってるよ。
どうにか・・・どうにか平和的かつ死亡フラグの立たない解決法を・・・
「ねぇ二人とも○○が困ってるじゃない。せっかく遊んでもらうんだかられーぎを
わきまえないと駄目よ!」
おぉ!いいぞチルノ!まさかこの面子でそんな常識的な言葉を聞けるとは!もう⑨
なんて言わないよ!
「誰が○○と遊ぶか弾幕ごっこで決めましょ!あたいってば天才ね!」
前言撤回。この馬鹿自分で地雷を起爆させやがった。⑨にも程がある。
次の瞬間フランがレーヴァテインを萃香に向かって振り下ろし、萃香は手に集めた超高密度の
鬼火で受け止めた。二つの超高温の力が熱波を生み
チルノが蒸発した。
「チ、チルノーーーーーー!!」
「「そんなの放っときなさい!」」
「お、お前ら鬼だ!悪魔だ!人間じゃねぇ!」
「鬼よ!」
「悪魔よ!」
「「人間じゃないわ!」」
さてどうしよう。このままいくとここら一帯焦土になりかねん。どちらか片一方にブッ飛ばされる覚悟で
A・萃香と飲ま飲まイェイ
B・フランちゃんとウフフ
C・チルノを復元すべく頑張ってみる
D・パチェ萌え
4スレ目 >>448-449
「・・・というわけなんだ。なんとか頼めないか魔理沙。」
場所は魔法の森霧雨亭。妖怪退治の依頼中である。
「ん~まぁお前の頼みと来れば・・・そう無下に断るわけにもいかないぜ」
「すまん。助かる。この礼はいつか必ず。」
「いつかなんて言わずに明日にでも蒐集に付き合ってもらうぜ」
「・・・ハイ」
魔理沙の蒐集と来ると半ば強奪まがいのことにもなりかねないので正直
気が進まない。しかし今は村の危機なのだ。個人的感情で皆を巻き添えには出来ない。
「ちょっと・・・その蒐集ってどこに行くつもりよ?」
玄関から声をかけてきたのは動かない大図書館ことパチュリー・ノーリッジ。
何度か宴会でも顔を突き合わせているし、何度か蒐集という名の強奪の被害者
になっていただいたこともある。話していてもすぐに真っ赤になって俯いてしまうく
らいに病弱のようでなんとも不憫なことである。
「人の家に勝手に入るのはよくないぜ。」
「無理やり入るのもよくないわ。っていうか誤魔化さない。」
「お察しの通り真っ赤な館の大図書館までな」
「そうは行かないわ・・・そこのあなた。今回の妖怪退治は私が請け負うわ。
その代わり報酬として魔理沙から魔道書の奪還を手伝ってもらう。いいわね?」
「ぞっとしない話だぜ。・・・で、どっちに頼むんだ?」
「え、と・・・。先に頼んだのは魔理沙だけど心情的にはパチュリーにというか・・・」
「煮え切らないわね。」
「煮え切らないぜ。よし。こうしよう。今から全員で村まで下りる。そこで妖怪を待って
仕留めたほうがこいつを一日自由にできる。」
「乗ったわ。」
…成功報酬が悪化してる。ともあれこうして三人で村まで行くことになったのである。
「で、あれが村の存亡を脅かす妖怪ってわけか?」
「アレ・・・うちの館の前の湖にいる氷精よね?」
「そうだけど・・・」
今の季節は農作物の収穫時だし、稲の成長期である。そんな時期に氷を降らされたり
気温を急激に下げられたりしたら最早死活問題である。氷精にしてみれば遊んでいる
つもりかもしれない。現に何やら妙に楽しそうである。
「まぁ普通の人間には荷が重いわね。」
「普通の魔法使いには丁度いい相手だぜ。」
「先手!」
「必勝!」
二人の手に急速に魔力が集まり高まっていくのが素人目にもわかる。やはりこの二人
普通じゃない。
「ロイヤルフレア!」
「マスターァァァァァ!スパァァァァァァァクゥ!」
目をくらまさんばかりの閃光が巻き起こり、気付くと氷精は消えていた。
「さて。」
「どっちの勝ちかしら?」
じっとこちらを見る二人。見えてるわけねぇだろあんな光の中。
「ごめん。さっぱり見えなかった。」
「やっぱりか・・・まぁいきなりあんな大技出したし仕方ないといえば仕方ないぜ」
「じゃあどうするの?」
「ま、ノーゲームが妥当だろ。ロイヤルフレアなんか撃ったんだから体調も良くないだろ?
そんな中蒐集に行くのも気が引けるしな。」
「まさかお前からそんな台詞が聞けるとはな・・・愛してるぜ魔理沙」
「お前・・・その台詞アリスにも吐いたろ?」
「いいだろ?挨拶みたいなもんだ。」
くいくいと服の裾を引っ張られる。振り向くとパチュリーがこちらを・・・睨んでる?
「どうしたパチュリー。自分の顔なんか指差して」
「ん」
「・・・別に何も付いてないよ?」
「ん!」
「顔色も悪くないし・・・っていうかいつもよりいいくらい」
ごきり。と足を踏まれた。それもかなり思い切り。
「あたしもう帰るわ!さよなら!」
「???」
突然に怒り出したパチュリーとは対照的に魔理沙は妙にいい顔である。・・・よくわからん。
途中で休憩にネコソギラジカル読んだのがいけなかった。
展開の薄っぺらさをどうにかしたいな。
4スレ目 >>518>>521
姉さん大変ですぼくの家では今とんでもない修羅場に見舞われています
それはもう地獄の閻魔も裸足で魔界のアホ毛の元へと身投げせんばかりの殺気殺気殺気で
ぼくだって逃げ出したいけどこの二人の女の子が一心不乱に紅魔館のキッチンでチャーハンを
炒めに炒めているのを逃げるなんてそれはさすがに逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ
「いくら門番だからって、チャーハンの腕でなら私に勝てると思って?」
「負けないわよ。恋もチャーハンも!」
それにしても炒めてる量が半端ではありません茶碗にしてそれは13杯は堅いでしょう
いためてしまうのは米でなくそれはおそらくぼくの胃でしょう
「あ、あの…俺もうお腹一杯」
「「なんか言った?」」
「い、いえ…」
ねえさんぼくは大変です胃とか貞操とか財布の中身とか
たった今匂いを嗅ぎつけた博麗の巫女とか
ルーミアとか@がもの凄い勢いでこちらに向かっています
かゆ うま
「さぁ!」
「どっちが!」
「「美味しいの!?」」
頼んでない頼んでないよぼくそんな修羅場たのんでないよ
喉から出そうなその悲鳴をぐっと堪え目の前の二つの山脈を睨みつけますが涙で見えません
これは嬉し涙と愛しさと切なさと糸井重里くじけそうな心をぐっと慰めあらためて涙を拭くと
そこには「ダバダー」でおなじみのアルピニスト・野口健すらも泣いて許しを請うほどの超高層チャーハン
明らかにもう喫茶マウンテンのメニューなんて敵じゃない二人の熱意にぼくはもう声も出ません
「人形使いごとき、チャーハンでは私の腕に敵うわけないですよ? アンタもそう思うわね?」
「あんたの作ったチャーハンを食べるくらいなら、バーミヤンの冷凍チャーハンでも食べたほうがマシよ!」
「ムカッ……、言ったわね!?ほらアンタ!早く完食して甲乙つけて頂戴!」
「さっさと食べなさい!さあ!さあ!!さあ!!!」
ずいずいと顔を寄せてくる二人の怒り顔もまた可愛くて僕はおもわず……
その頬に一度ずつフレンチに口付けをするのですがそれが大きな間違いだったことにたすけてえーりん!
「なななな! なにすんのよぉおおお!」
「ちょ!?い……キヤァァァーーー!!」
頬を染めているのは照れか怒りかもうぼくにはわからないけどおっきしたちんちんが裁かれた
5スレ目 >>86
幽々子の恋心の真偽クエストフラグ その1
眠りというのは生物にとって重要な行為であり快楽さえ伴うものである。
故に寝ることを趣味とするものも少なくない、俺がその例である。
他にもスキマの埃くせぇ女とかもかなり寝まくってる。
だからだろうか、あの女とは初対面からかなり気が合った。
ともかく、布団の中で意識を落とすというのは俺にとって唯一の趣味なのである。
そんな幸福なる惰眠を貪りつくす予定であった俺は、いつも通り危機に直面している。
「ん……くー……んぅ……」
いつの間にか幽々子が布団の中に入って寝ています。
ここで問題なのは涎をだらしなく垂らしていることではありません。
えぇ、もちろん複数形で揺れる何かが無地の薄い浴衣から自己主張激しくこんにちはしていることであって。
あぁ、見えそうで見えねぇ。だがそれがいいってけーねとかが言ってた、たぶん。
もちろんコレを目にして寝付けるわけもなく。俺は貴重な惰眠の時間を失ってしまうわけです。
これで寝れるなんていう奴はいるわけがありません。見つけた瞬間に俺が殺しますから。
ともかく重要なのは抱き枕にされているとか寝言で俺の名前呼んでて可愛いなって所ではなく。
とても絶妙なタイミングで遭遇する愛しき妖夢なのである。
「……こ、来ない……な?」
「くー……すー……」
いつもならお約束のように飛び込んでくる彼女が今日は来ない。
俺はとりあえず息をつくとゆっくりと身を起した。
あぁ妖夢、俺が早くも言い訳と事後の機嫌を悪くしたお前への対応をシュミレートしたというのに。
いや、来ないなら来ないで凄く助かるけどね。
「……さて、どうしたものか」
このまま放置して別の部屋で寝てもいいのだが幽々子の手がしっかりと腕を掴んでらっしゃるので不可。
しかし、無防備に眠る姿を見ると寝るのが好きな俺にはどうも起すのが躊躇われた。
当然、俺が取る行動に選択肢は無いのだった。
掴まれていない方の手で幽々子の綺麗な髪を撫でる。
幽々子は眠りながら、ほんの少しだけ嬉しそうに寝息をたてている。
その無防備な寝姿は普段の優しい微笑みにも、時折見せる聡明さにも負けぬ程に魅力を感じさせた。
俺は知らぬうちに微笑みながら、落書きでもしてやろうかと子供のようなことを考えていた。
それも、何だか気分が良いので勘弁してやる。
俺はもう一度布団に転がると幽々子の隣で眠りへと落ちていく。
堕ちる意識の端で、唇に柔らかな感触が当ったような気がした。
◇
「……仲が、好いのですね」
低く唸るような、死を感じさせる声が目覚ましだった。
嫌に冴えた目で捉えるのは俺の愛しい妖夢さん。
あぁ、何故そんなに手入れの行き届いた刃物を抜身で持ってらっしゃるのさ。
何故そんなに素敵な風切音を鳴り響かせてらっしゃるのさ。
そして幽々子よ、あんたは何で着物の意味が無いほどに寝乱れてながらも俺を掴んでいるのさ。
あぁ、ごめんなさい、違うんです、俺は悪くないんです、きっとあれだアホ毛の神様が悪いんだよ全部。
「……貴方が私に云った“好き”とは、どうも私が捉えていた意味とは違うものだったのですね」
妖夢は呟きながら、俯く。表情は俺からは見えない。
ただ殺傷力の高そうな刃物を達人を感じさせる構えでこちらに向けている。
「ちが……誤解……だびゅっ!」
あぁ、なんて素敵な……ニチジョウ。
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【ヒント:パスワードは幽々子の今日の下着の色】
最終更新:2010年06月06日 20:38