空1
19スレ目 >>548 旧うpろだ1425
空「今日もやってきたわよ○○!早速勝負よっ!!」
○○「はぁ……別にかまわないけど……」
空「よし!今からゲームの内容考えるから少し待っててね!」
最近空が遊びに来ているのだが、なぜか勝負を挑まれてしまうのだ
といってもさすがに空もわかっているらしく、弾幕勝負は挑んでこない
それでは空も一方的に終わってしまうのをわかっているのだろう
……ということで今日は何の勝負なんだろう?
空「うし、今日は暑さ我慢勝負ということで」
○○「待て待て、それって俺に勝ち目がないじゃん!」
空「なら私の不戦勝ね!それじゃあ罰ゲームは……」
こうして毎回罰ゲームがあるのもお約束だ
ちなみに俺が空にやらせてきたことは、
チルノとクイズ勝負をする、とか、カキ氷一気食いなど
空「ね、ねぇ、○○は地上から来たんでしょ?」
○○「ああ、そうだが」
空「そのさ、あの……」
○○「じれったいなぁ、早く言えよ」
空「こ、こここここここ」
○○「こ?」
空「こ、子供の作り方とか知ってるのかなぁ!」
○○「ぶほぉ!な、何を!」
空「だ、だからあなたとフュージョンしたいというかなんというかっ!」
○○「そ、それは罰ゲームでも無理だから!」
空「えっ……」
○○「まだ俺たち付き合ってもいないし、大体そんな軽はずみなこと……空?」
空「う、ううごめんね○○変な事言って」
○○「空……泣いてるのか?」
空「う、ううん、大丈夫だから。だから○○は今日は帰って」
○○「空……」
空「ほ、ほら、早くしないと私、○○のこと溶かしちゃうんだからぁ!」
○○「……悪い、それはできない」
空「なんでよぉ!どうしてなのよぉ!○○のこと好きなのにぃ……う、うわぁぁぁぁん……」
○○「ごめんな空、でもなお前が俺のことそう思ってくれていることはわかった。俺は空のことが好きだ」
空「ひっく、えっぐ、ほ、本当?」
○○「ああ、でも子供を作るとかまだ先の話だと思うんだ」
空「う、うん……」
○○「だからさ、今はこうやって……空を抱きしめることしか出来ないんだ。これで我慢してくれないか?」
空「う、うにゅ……○○好き……」
数ヵ月後
コンコン
○○「はーい、今開けますよっと……あの、どちら様でしょうか?」
さとり「こんにちは、私は古明地さとりと申します。以後お見知りおきを」
猫「にゃあー」
○○「は、はぁ。それでそのさとりさんは俺にどのようなご用件で?」
さとり「空とつきあっているそうですね」
○○「なっ!ど、どこでそれを!」
さとり「言わなくてもわかります。私は人の心を読む妖怪、失礼ながらあなたの心の中を読ませていただきました」
○○「そ、そうですか」
さとり「ふむ、お燐、この人間どう思いますか?」
お燐「うーん、見た目は普通だけど、いいんじゃないですか?空が認めたんだったらそれでいいですよあたいは」
○○「のわぁ!猫が人間に!」
お燐「あ、ご紹介が遅れましたねお兄さん。あたいは火焔猫 燐です。まぁあたいと空はさとり様のペットみたいなもんで、あたいは空とは古い友達といったところですかね。気軽にお燐と呼んでくださいな」
○○「は、はぁ、わかりました」
さとり「この人からは邪な心は見えないからきっと大丈夫よお燐」
お燐「空をよろしくねお義兄さん」
○○「わ、わかりました」
空「あー!さとり様にお燐!?なんでここに!」
お燐「あちゃー見つかっちゃいましたか」
さとり「みたいですね。それでは○○さん空をよろしくお願いします」
お燐「結婚式には呼んでね~」
○○「あ、う、わ、わかりました」
空「ほらほら二人とも早く帰って!」
空「まったくもう……」
○○「いいのか?追い返しちゃって」
空「だ、だって……」
○○「?」
空「お燐やさとり様に○○とられちゃいやだもん」
○○「ぷっ」
空「あー笑ったなー!」
○○「大丈夫だよ空、俺は空のそばにずっといるから」
空「なら……私とフュージョンしてくれる?」
○○「……ダメ」
空「えー」
○○「きちんと式を挙げてからな」
空「……うん!」
新ろだ544
夜、地霊殿に泊まることになった○○。
客間と思われる部屋を宛がわれ、就寝に向けてさとりから拝借した本を軽く読んでいる。
ベッドの上ではさとりのペットの空が、うつ伏せの状態でやはり読書をしている。
「なあ、空」
「・・・うん、なに?」
「空の翼ってのはずっと普通に付いてるんだよな?」
「む?そりゃそうだよ。私の体の一部だからね」
「そ、か・・・」
「?」
「ああ、悪い。空の翼って立派じゃん?」
「ほんと?・・・へへ、ありがと」
「だから寝る時とかどうしてるのかなって思ったんだよ」
「あー」
「・・・そだね、寝る時って結構烏の姿で寝てることが多いかな。
でも、この姿でだって眠ることはあるよ」
「その時翼は邪魔にならない?」
「うつ伏せで寝れば問題なし」
「あ、それもそうか」
「うん。というか、仰向け以外なら別に大変じゃないんだよ。
翼だって骨があるんだから・・・と、触っちゃダメだよ///」
「あら残念」
「もー・・・あ、ごめん。さとり様が呼んでるからちょっと行ってくるね」
「ん」
「たぶんすぐ戻ってくるから、先に寝ちゃダメだよ」
「ん・・・うん?」
「だってそういうことなんでしょ?」
「ちょっと回りくどかったのは減点。だけど今回は初めてだから特別」
「あ」
「次からはちゃんと言うように。『お空さんと一緒に寝たいですー』ってね」
「///」
「あはは、顔真っ赤。○○可愛い」
「ぅ」
「そんじゃ、また後でね」
ひらひらと手を振り、客間を後にする空。
後に残されたのは呆然とする○○だけだった。
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あとがき
拙作ですが最後までご覧いただきありがとうございました。
地の文とか上手く書ける作者の方々が羨ましい・・・
お空はあるベクトルで⑨なだけであって、そこそこは賢いというのがmy脳内設定。
それでなきゃ管理人とか任されてないだろうし。「うにゅ?」の台詞は好きです。
ご閲覧いただいた方にとって誰てめぇになってたらごめんなさい。
ああ、お空に抱き枕にされたい、抱き枕にしたい・・・
新ろだ761
旧地獄都市。略して旧都。
普段は非常に静かだが、夜になるとそれは浅草の如く提灯が舞い酒と喧嘩で賑やかな下町となる。
そんな旧都の一角の仮住まいに、がらくた集・・・廃品回収業をして俺は住んでいる。
外でやっていたものと同じだ。
世界が変わろうと廃材の価値や二次利用法は殆ど変わらない。
幻想郷に来てようやく、竿竹屋がいつまでも20年前のお値段だった理由を知った。
「・・・なぁ空。ちょっとどけてくれないか?半分でいいから」
俺の部屋のなけなしの安息の場、ベッドを希臘帝国のごとく占領しているのは、
可憐な地獄鴉、霊烏路空であった。
薄暗い部屋でみぞおちの辺りにある半球の仄かな赤い光がシーツに輻射する。
「いいじゃない今夜くらいー。」
その愛くるしい寝姿は、鴉というよりも黒羽の天子・・・否、天使のものだった。
だが、俺の唯一無二の楽園を占領する天使に俺は文句を垂れざるを得なかった。
「んー。そこでお前が寝てても構わないんだが、俺はこの物だらけの部屋のどこで寝りゃいいのさ。だから、3分の1でいいからどけてくれ」
「やだー」
俺は空の顔を覗き込み、わがままな天使に領土割譲を再度お願いする。
「たのむ。4分の1でいいから・・・」
「じゃあ・・・」
空が俺の目の前ではっきりとその大きな瞳を開けた。
「チューして」
「!」
「そしたら羽どかしてあげる」
「・・・わかった」
空の不意なお願いに、俺は戸惑いながらも彼女と唇を重ねる。
「・・・これでいいか?」
「うん」
すると空は約束どおり羽を持ち上げて俺の入るスペースを確保してくれた。
そこに俺が滑り込み、ベッドの淵ぎりぎりに寝転がった。
毛布を手繰り寄せようとする前に、俺の前方に影が覆いかぶさる。
「?」
「羽毛ぶとん。」
空の黒い艶やかな羽が俺の胴を覆う。
手触りはともかく空の温もりのお陰で保温性は至高だ。
ふと右を見ると、直ぐそこに空の顔があった。
「ねぇあともういっこ」
「何だよ」
「私を抱いて。」
その言葉で一気に、俺の脳のFPSが30まで低下した。
「・・・!?」
「ねぇ。抱いてよ。ぎゅーって」
「あ・・・えーと。抱いてってのは・・・抱きしめて、でいいんだな?」
「え?うん。ぎゅーって。ぎゅー。」
どうやら本人もその気で言ったわけではなさそうで安堵した。
そして俺は空の羽を掛け布団に、体を抱き枕にして寝た。
彼女の体は思ったよりも小さく、滑らかな肌と、背中に回した手が触れる髪の感触と相俟って、いかな人間工学に基づいて設計された抱き枕よりも心地よかった。
「・・・あったかい?」
「・・・お前の体抱いてて寒いはずはないと思うが。」
「おやすみのちゅー」
「・・・お前そんなにチュー好きだっけ」
「いいの。○○とチューしたいの。」
「わかったよ」
そして、俺たちはゆっくり、とても長く、互いの唇を味わった。
朝。
湯たんぽWith抱き枕くらいの適温だった空が急に熱くなって俺は驚いて目を覚ました。
「熱っ!!あっつ!熱湯掛けられたかと思った!!」
まるで外のベテランお笑いトリオの一人のようなリアクションを取り、俺は楽園から滑り落ち(文字通り)地獄に頭をぶつけた。
もそりと空が顔を上げ笑顔で俺に挨拶をした。
「おはよう○○。寝心地どうだった?」
正直、空の寝顔や寝息、もぞもぞと悩ましく動くのを直に感じて寝れる筈がなかった。
「ああ・・・おはよう。お陰様でよく寝られたよ・・・」
と立ち上がり珈琲でも飲もうかと歩き出すと、背後から空が飛翔し肩を掴んだ。
鷹に狩られた兎の面持ちで突っ立つと、空が顔を此方に向け、頬にキスをした。
「これは宿代ね。」
どのキスが何なのか解らなくなり突っ込もうとしたがやめた。
新ろだ890
旧地獄都市。略して旧都。
普段は非常に静かだが、夜になるとそれは浅草の如く提灯が舞い酒と喧嘩で賑やかな下町となる。
そんな旧都の一角の仮住まいに、太陽の力を得た地獄鴉娘、霊烏路空と共に、光り物集・・・廃品回収業をして俺たちは住んでいる。
外でやっていたものとだいたい同じだ。
世界が変わろうと廃材の価値や二次利用法は殆ど変わらない。
幻想郷に来てようやく、竿竹屋がいつまでも20年前のお値段だった理由を知った。
…そして俺は、ここで二度目の幻想郷の冬を過ごすこととなった。
「いやーー然し、今日も一段と冷えますねぇ、姐さん」
「なら、こいつを一気に飲りな。ぐいっとね」
陶製の猪口に注がれた、蒸気だけで酔いそうな強烈な熱燗。
こいつは本当に日本酒だろうか・・・
……と、いつの間に馴染んだ一角の鬼、勇儀さんの屋台にて俺は化物酒と対決を強いられるのだった。
素の人間ということで弾幕は手加減を重ねざるを得ないことと、業者であるためあまり戦闘は申し立てられない。
その代わり、この鬼さまには時々、こういう化物じみた酒で勝負を持ちかけられるのだった。
「あ"あ"・・・・ッ・・・・」
「○○は弱いねぇ、弱い弱い。」
「そんな・・・・鬼に適うっ、訳ありませんよ・・・・っ。はは・・・は」
完全にアルコールに頭部を侵食され、視界も悪くなる。
たった一呷りで唇も痺れ、呂律が崩れ発音もおかしくなる。
カウンターに頭をぶつけつつ、俺はゆっくりと発音した。
「・・・なんか、つまみ・・・・くだせえ。」
「あいよっ、おでんでいいかね?」
「お、おねげぇしやす・・・」
「あー!○○だー!」
「ん・・・お、くう・・・?」
ぼうっとする視界の中には、可愛らしい紅い瞳を至近距離に近づけ、酒で紅潮した俺の顔を眺める空がいた。
「おう、空じゃないか。いらっしゃい。何か喰ってくかい?」
「うん!じゃぁアルデンテ頂戴」
「あ、あるで?・・・アルコールじゃだめかい?」
「・・・ああそれ、外の・・・食い物っすよ」
「外のつまみかい?」
―――彼女にとって食べ物は全てつまみなのか。
「あのー。えーと、小麦で作ぅた麺を・・・茹でてそんでー・・・」
「小麦の麺?支那そばならあるが。」
「支、那・・・ああ、ラーメンすね、あれたぁちぃと違うんすよ・・・かんすいを使わなくてええんですわぁ・・・上にも、最近流れてきて・・・あとおくう、アルデンッテってなぁ・・・イタリア語で「歯ごたえがある」っていうフランス語で、茹で具合ぃ・・・のことで、食べ物の、名前とちゃう・・・」
……とそこまで捲くし立てて俺はまた頭を落とした。
「・・・・あれ・・・?」
気がついたらいつもの廃材だらけの家にいた。
「おはよう○○。気分はどう?」
添い寝してくれていたらしい空の声に顔を向ける。
「・・・あ、俺」
「勇儀さんの屋台でつぶれちゃったのよ。」
「おくうが運んできてくれたのか・・・?」
「いや、勇儀さんが。」
「そうか・・・後でお礼を・・・」
「あ。そうだ、アルデンテ食べたい!アルデンテ作って!」
とおくうは羽をバタバタと羽ばたかせながらはしゃぐ。
「ん、ああ、解ったよ」
布団から出ると、この季節にしてはなぜか家が暖かい。
と、おくうの熱によってほどよく部屋が暖まっていることに気づく。
去年は・・・
―――「おくう、部屋寒いから、ちょっと暖めてくれない?」
―――「うん!お安い御用だよ!でもその代わり、何か美味しいもの作って!」
―――「解った。じゃぁ、さっき里で買ったパスタでアルデンテのトマトソーススパゲティを作ってやる」
―――「ほんと!やったぁ!!」
…って2回、いや3回位家燃やしたっけ・・・。
その時はおくうを咎めてパスタはおあずけだったけど、
まぁ、家が燃えた程度で良かったか(良くない)・・・
だが今期は制御の練習でもしたのか、心地いい温度になっている。
「ああ、今年もおくうから離れられないなぁ。」
「・・・え!?」
おくうの顔が次第に紅潮していく。
「ん?」
「・・・そ、そんな突然、言われて・・・私その・・・っ!」
「何だよ、いきなり」
不意に放った俺の言葉に、おくうは困惑しているようだった。
「んーもう、えいっ!!」
すると空は突然、俺の胸に飛び込み抱きついてきた。
「私も離れられないよ、○○。だって・・・・だっ、大好きだもん!」
「おくう・・・」
感情が昂ぶったのか、空の出力が上がり火傷しそうになる、
「熱っ!!あつい!」
「うわぁごめん!」
空は慌てて俺の脇腹に激突していた制御棒を格納する。
「・・・本当、お前は熱かい悩むなぁ・・・ははは。」
「だ、大丈夫・・・?」
「ああ、大丈夫だ。」
脇腹のほうが痛かったのには後で気づいた。
―――暫く抱き合ったまま見つめあう空と俺。
「じゃ・・・じゃあさ、別の方法であっためていい?」
「別の方法って・・・・!?」
突如唇を重ねる空・・・
それに応える俺。
金属を溶かし込むようにキスを楽しむ二人。
「・・・ぷはぁ。ちょっとは暖まったでしょ?約束のアルデンテちょうだい?」
「解った、約束だからな」
やっと叶えられる約束のパスタ。
俺は満足げに竈に火をくべた。
新ろだ905
旧地獄都市。略して旧都。
普段は非常に静かだが、夜になるとそれは浅草の如く提灯が舞い酒と喧嘩で賑やかな下町となる。
そんな旧都の一角の仮住まいに、太陽の力を得た可憐な地獄鴉娘、霊烏路空と共に、ジャンク屋・・・廃品回収業をして俺たちは住んでいる。
外でやっていたものとだいたい同じだ。
世界が変わろうと廃材の価値や二次利用法は殆ど変わらない。
幻想郷に来てようやく、竿竹屋がいつまでも20年前のお値段だった理由を知った。
地霊殿キッチンにて、俺は自分の好物でもあるカルボナーラを実演製作していた。
上ではパスタは少量ながら存在するが、地下では見ない代物だそうだ。
おくうが食べたパスタを(本人はアルデンテという食べ物だと思っているが)、さとりさんが心を読み、美味しそうと思って俺に作ってくれるよう依頼してきたのだ。
勿論俺は快諾し、さらに代償として地霊殿にある廃材を大量に戴ける事になった。
この報酬には十分満足いった。
「んで、ここで塩を少し入れるといいんです」
「何故ですか?」
「えーと、何でだったかな?覚えてないです。」
「ふふふ。」
地霊殿の主、さとりさんは俺の心を読みながらパスタの作り方を覚えていく。
心を読んでいるのに何故話しているかというと、口での説明もないと教えている気になれないのと、会話があったほうが料理は楽しいからだ。
―――まぁ、俺は外では一人で料理などしていたものだが。
「へぇ、幻想郷のほうが賑やかですか。」
「・・・え、ええ。そうですね。いろんな生き物がいますし」
「私も、生きた人間とお話ができるなんて楽しいですわ」
「はは、そういやここは灼熱地獄でしたもんね。生きた人間なんて滅多に・・・」
「○○ー!さとりさまー!」
籠を持って飛んできたのは空であった。
「おお、おくう、どうした?」
「温泉卵食べようよ!」
と持ってきた卵は恐らくば地獄鴉の卵であろう
「○○にはおっきいのあげるね!」
「おお、ありがと。」
鶏卵よりいくらも大きな卵を取ると、温かみが手を伝った。
「・・・・」
「ん?」
さとりさんがちょっと浮ついた表情で逡巡して俺の方を見たが、何も気にせず俺は温泉卵にだし汁をかけて頂くというシンプルかつ美味の食べ方を思い浮かべた。
「あ。そっ、そうですよね!やっぱり、温泉卵はだし汁が一番ですよね!?」
と、何故か慌てて繕うように思考に割り込んださとりさん。
「え、そうですね。やっぱ素材のうまみを・・・おっと、そろそろ茹で上がりますよ」
…と、数人前のパスタが出来上がった。
温泉卵は、パスタに乗せる手もあったが、やはり、別の器にだし汁を掛けてシンプルに。
「いただきます」
「いただきまーす」
「流石だねお兄さん、こんな食べ物を作れるなんて!」
灼熱地獄の運搬者、お燐は満足げにスパゲティをほおばる。
「有難う。」
「お礼といっては難だけど、あの廃材持っていくの手伝うよ。」
「本当?助かるなぁ。」
「次からは、私も作れるようになるわ」
「本当ですかさとり様!あたい更に頑張れるってもんだね!」
夢中で食べる空に俺は話しかける。
「おくう、どうだい?」
「・・・うん!!すっごくおいしい!」
「そりゃよかった。」
「ねぇ○○、卵も食べてよ!」
「ああ、勿論。おくうの持ってきた卵だからね」
俺は器を取り、箸で卵を掬った。
ゼリー状の白身に半固体の黄身の片が明るいコントラストを作る。
だし汁のみでシンプルに味付けされたそれを俺はそっと口に含む。
美味。
普通の卵にない絶佳な味わいが口の中に広がる。
「美味いよこの卵!美味い!」
「本当!!よかった!」
おくうが明るい表情になり満面の笑顔を向けてくれた。
幻想郷に来てこれが出来て、本当に嬉しい。
その夜、俺は地霊殿に泊まることとなった。
「へぇ、これがおくうが使ってた部屋か」
「うん。いいでしょ。」
やや殺風景ではあるが清潔で住みやすい場所だった。
俺の仮住まいとは大違いだ。
そこで俺たちは一晩を過ごすことになり、俺たちは手を繋ぎながら、ベッドの淵に座った。
「・・・あのさ」
「ん?」
「アルデンテ、美味しかったよ」
「だから、アルデンテって茹で方のことで・・・」
「でさ、温泉卵なんだけど・・・」
「ああ、前代未聞の美味しさだったよ。いい卵持ってきてくれてありがとう、おくう。」
と俺はおくうの艶々な黒髪を撫でてやる。
「う、うん。あのね、あの卵、実は・・・」
「ん?」
「あの卵、私が・・・・産んだ卵なの」
「は、はぁ!?」
―――おくうが産んだ卵・・・!?
正直もうおくうが鴉だってこと忘れかけていて俺は驚愕した。
「わ、私の卵、美味しかった・・・でしょ?」
「・・・!ああ、最高の味だったぜ・・・!」
おくうの肩を抱き寄せた俺はそのままベッドに押し倒し唇を・・・・・・
……
その時まで、俺は好きな人に卵を食べさせるという行為が、
どういう意味を持っていたのか、知る由も無かった・・・・・
ーーーーーーーーーー
あ、あとがきです。
こんな拙い文を読んで戴き有難うございます。
おくうは可愛いのに変わりはありませんが、それだけに誠に恐縮で在ります
それで今回(と前回)、主人公はパスタを作ったのですが、
おくうはアルデンテという食べ物だと思ってしまいます
実はこれ、「リターナー」という邦画で使われたギャグなのですが、
通じる人がいるか否かは不安です
それだけ言いたくてあとがきました。
その監督が10年位前「鵺」というVFX映画を作りたいという構想をインタビューで話していたのですが今になって凄く気になります(星蓮船的な意味で)。
作らないかなぁ。
…と、余談は此処までと致しましょう。
とりあえず、次回もご用意する予定ですので拙作ではありますが、次回もお読み戴いて、おくうちゃんを愛でてくださると幸せです。
では、去らば
最終更新:2010年08月06日 22:04