衣玖4



新ろだ260


「今日は何日ですか?」

朝ごはんを食べていると突然衣玖が訪ねてきた
確か、今日は……

「睦月の九日……1月の9日だね」

なんかあったかなぁ今日?
とりあえず箸を進める俺

「そうです、1月の9日です。つまり」

つまりなんだろう……?
あ、この卵焼き美味しいな

「私の日です」

はぃ?
……とりあえず一呼吸、そんでもって箸を置いて

「どうして?」

「1月9日、1と9、いとくです。だから衣玖の日です」

うん、道理は合ってるんだが
なんというか……

「え~っと、それで俺はどうすればいいんですか?」

「私の日ですよ?なので○○さんが今日一日私の物です」

「つまり……一日一緒にいて欲しいと」

「そうです」

なんかいつもと変わらない気がするなぁ……
まぁいいか

「それじゃ、今日の予定は何ですか衣玖?」

「とりあえずデートしましょう」


仕事も今日はお休みだし、こんな日が一日はあってもいいかな

















朝ごはんも食べ終わり、衣玖と里に出かける準備をする
いつものようにコートを羽織り、手袋をする
そして玄関で衣玖の準備が終わるのを待つ

少し待つと衣玖が自室から出てきた
彼女にしては珍しく黒いコートを着ていた
普段に劣らず大人びて見える衣玖に内心ドキッっとしていた

「あのですね……」

「ああ、似合ってるよ衣玖」

「ありがとうございます○○さん」

玄関を出た俺たちは手を繋ぎながら里へ向かった




「寒くないですか?」

歩きながら衣玖が尋ねる

「あー、まぁ寒いけど、手繋いでるから大丈夫かな」

「私もですよ、こうしていれば暖かいですね」

顔から火が出そうとはこういうことを言うのかな
すげぇ恥ずかしいんだけど

「そういえば、初めて会ったときのことを覚えていますか?」

初めて会ったとき……
確か……







「あの地震の時だな」









幻想郷で地震が頻発していたころ、
衣玖が俺の家に地震が来ることを伝えに来てくれたのだ


「この辺りに地震が来ます。早く避難してください」

「はぁ、ところであんたは?」

「永江衣玖と申します。それでは次のところに伝えに行かなければいけませんので」

「あ、衣玖さん、ま、また会えますか?」

「……運がよければまた会えるでしょう。それではこれで」












そう言って飛んでいったんだよなぁ
そんで博麗の神社で宴会があるって聞いて、行って見たら衣玖がいるんだもんな
















「あ」

「こんばんわ」

「どうもこの間はありがとうございました。おかげで怪我もなかったです」

「そうですか、良かったです」

「その、隣いいですか?」

「ええ、どうぞ構いませんよ」

衣玖の隣に腰をかける俺
衣玖の顔を見るとほんのりと赤くなっている


「衣玖さんは今日はどのくらい飲みました?」

「今日はですね……総領主娘様と鬼と……様々な方と酌み交わした気がします」

「そうなんですか、いいですね衣玖さんは。多くの友達がおらっしゃって」

「そんなことありません。実のところ皆さんとは最近仲良くなったばかりなのですよ」

「へぇー」

「もちろん、あなたのことも友達ですよ?」

「お、俺もっすか!?」

「そうです、こうやって話しているだけでもあなたと私は友達なのですよ」

「な、なんか照れますね」

「? そうですか?」


宴会の時に友達って言われて嬉しかったなぁ
今は衣玖のおかげでけっこう友達多くなったし


「……もう宴会もお開きのようですね、それでは私もこれで」

「あ、あの!」

「なんでしょうか?」

「良かったらうちにも遊びに来てください。この間の御礼もしたいので!」

「……わかりました。必ず伺いましょう」

「あ、ありがとう!」


昔の話をしていると里に着いた
そこで続きの話は茶屋ですることにした
茶屋までの途中に、魔理沙やアリスといった衣玖のおかげで仲良くなった面々とも会った












茶屋に着き奥の座敷に座る
とりあえず、あんみつを二つ頼み、話の続きをすることにした


「あの日はああやって別れたけど、まさか次の日に訪ねてくるとは思ってもいなかったなぁ」

「そうなんですか? 必ず伺うと言いましたのでなるべく早くお伺いした方が良いと思ったのですが」

「うーん、おかげでアレを聞かれちゃったしなぁ……」
















衣玖が訪ねてくる少し前
俺は一つの考え事をしていた


「これは……一目惚れだよなぁ……」

地震の時から宴会の時を経てずっと頭から衣玖さんのことが離れないのだ
何かあるたびに彼女の顔を思い出す

「好き……なんだよな俺は衣玖さんのことが」

そしてどうするべきか悩んでいた
この気持ちを素直に告白するべきか否か

「っあー!もうっ!俺は衣玖のことが好きだああぁぁーーーー!!」

思いっきり叫んでみる





















「はい、私もあなたのことは好きですよ」






















一瞬、何が起こったのかわからなかった
振り向くと玄関には衣玖さんがいて
顔を真っ赤にしてうつむいていた
というか、聞かれてた? そしてOKもらった?

「え、あ、い、衣玖さん? いつからそこに……?」

「その……「っあー!」のところからすでに……何度も御呼びしたのですが聞こえてないようでしたので」

ああっ!何と言うことだ
よりによって本人に告白を聞かれてしまうとは

「う……」

「わ、私もですね……初めて会ったときからこの胸の高まりが鳴り止まなくてそれで……ずっとあなたのことが気になってて……」

衣玖さんが少しずつ語り始める

「それで総領主娘様に相談してみたところ、「衣玖!それはきっと恋よ!」と言われました」

「それで気づきました、私はあなたに恋しているのだと」

衣玖さんが顔を上げてこちらを見る
俺はたまらなく恥ずかしくなって思わず目を逸らしてしまった

「私は……あなたのことが好きです」

もう一度告白された

俺は……俺は……











「俺も衣玖さんのことが好きだ」














「なんか話してると恥ずかしくなってきますね」

あんみつを頬張りながら、向かいに座った衣玖が言う
実際そうなのだ。俺も話しながら顔から火が出そうだ

「でもさ、あの時衣玖が告白聞いてなかったら今みたいな関係はなかったかもしれないでしょ?」

「そうですね……そこは空気を読める私ですから」

自分で言わないで欲しいと内心思いつつ、衣玖があんみつを食べ終わるのを待った
日は高く上り、日差しが舞い込む





「ごちそうさまでした」

「んじゃ、これからどうする?」

「とりあえず、お夕飯の買い物を済ませましょう」

「了解、あ、衣玖は先に店を出てて。お勘定は俺が払っておくから」

「ごちになります」

「どこでそんな言葉覚えたんだよ」

あんみつ二つといってもそこまで高いものではない
手早くお勘定を済ませ、外にいる衣玖の所へ向かう



















「あれ?衣玖?」

店の外には衣玖の姿はなかった
辺りを見渡すと、小物店の前にしゃがむ衣玖の姿があった


いらっしゃい、と店主が言う
そこには色とりどりのあざやかな小物が並んでいた

「あ、○○さん」

ようやく俺の姿に気づいたのか、衣玖が立ち上がる

「なんか欲しいものでもあったのか?」

「いえ、特に大丈夫です」

すこしその言葉に気がかりを覚えたが、その店を後にした







衣玖と買い物をしている間に気がかりが頭から離れなかった
なぜ衣玖は小物店でしゃがんでいたのか
大丈夫ですと言ったが、本当は欲しいものがあるのではないか?


衣玖に見つからないように店からそっと抜け出し、先ほどの小物店に向かった



店主がお店をしまう直前のところに間に合った
おお、さっきの彼女の連れかい?と店主が聞いてくる

「さっき彼女が何を見ていたか教えて欲しいんだが」

店主がごそごそと商品の中をあさる
そして俺に見せてきたのは

「指輪……?」

ええ、今ならこの値段でどうでしょうと、値段を見ると少しばかり高値であった

「もう少し……もう少しなんとかならないか?」

そういうと思ってましたよ、店主が頷く、そしてだまってその指輪を俺の前に差し出す
サービスだよ、あんな可愛い彼女を手放すなよ。と言って俺の背中を叩いてくる いてぇ

「ありがとうございます」

お礼を告げ、衣玖の元へ走り出す俺


















「まったく、どこに行ってたんですか?」

衣玖が怒りながら責め立てる

「いや~、さっきの茶屋に忘れ物しちゃって」

「それならそうと言ってください! 私、心配したんですから」

少し泣きそうな顔になる衣玖
思わず抱きしめてしまった

「きゃっ」

少し力を入れていたようで、腕の中で衣玖が少し動く
少し力を弱めると、衣玖が顔を覗き込んでくる

「……本当はこれを買いに行ってきたんだ」

衣玖に指輪を見せるとすぐに驚いた顔になった

「これ……さっきの小物店ので、よくこれがわかりましたね」

「店主に聞いたら、衣玖がこれを見てたって教えてくれてさ」

衣玖に指輪を渡す

「これは……こういうことでいいんですね」

迷わず左手の薬指に指輪をはめる

「ああ、でもな俺としてはちゃんとした指輪を買ってやりたいんだがな」

「もちろんそれまで待ってますよ……あなたの隣で」

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新ろだ299


本日も晴天なり。博麗神社では巫女が掃除をしていた。その境内でくつろいで
いる一組の男女。竜宮の使いである永江衣玖と外来人である○○という男。
そんな--○○はくつろぐというより完全に寝ているが--二人がくつろいで
いると、霊夢が何か思い出したように手を叩いて、

「ねぇ衣玖、○○さんに二日後の宴会で手伝い頼める?」

と、言った。
衣玖は「またか……」という顔をして、

「なぜ、私に言うんですか?直接言えば……」

と、聞くと

「だって、あんたが言ったら大抵のことはやってくれるじゃない」

と、答えた。

○○。半年ほど前に外からやってきた。多少無愛想ながらも、手先が器用で力
もあり、物覚えもいいので里のほうで重宝されている人間である。
そしてどういう訳が、この隣にいる衣玖の言うことは大抵……いや、ほとんど
聞いている。大分無茶な要求でも彼女を通してなら--けっこう渋々ではある
が--聞くのであった。


霊夢が宴会の準備を依頼するのはもう何度目だろうか。確かに今まで一人、多
くても二人でやってきたのだ。その片方は酒ばかり要求して「いないよりマシ」
というものであったが、○○は「ありがたい手伝い」なのである。霊夢として
は頼まないほうがおかしい。
それもわかっており、なお且つ自身が手伝う気がない衣玖は○○に伝えるため
に彼を起こすことにした。

「○○さん?起きてください。」

現在が冬とはいえ、日向であれば絶好の昼寝日和といえよう。その上○○は昼寝
好きである。別にダメ人間という訳ではないが、本当によく寝ている。そのせい
か、『寝る子は育つ』とはよく言ったものでけっこうな長身である。その身体を
狭い--彼にとってはだが--境内で器用に折りたたんで寝ている○○をゆすっ
て起こそうとする衣玖。
少し不機嫌そうな呻き声を上げながらむくりと起き上がる。頭をぽりぽり掻きな
がら、とろんとした目で衣玖を見て呟くように、

「どうしたの衣玖?」

と、言った。若干ぼーっとしているが、意識ははっきりしているようだ。

「霊夢さんが二日後の宴会の手伝いを頼みたいそうです」
「んー……了解」

特段何も考えずに返答をする○○。それでいいのかと衣玖は思ったが、突っ込む
のがめんどくさいのでやめた。


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二日後。博麗神社。現在宴会準備中。

「○○さん、それはこっちのほうによろしく」
「んー」

生返事ではあるが、ちゃんと理解しているため問題はない。
黙々と作業しているため、終了も早いのは当然のこと。料理も酒も準備満タンで
ある。大食らいと酒豪が多い幻想郷では、宴会も一苦労である。

「おつかれさま。いつもありがとね」
「んー。で、片付けもいる?」
「できればね」
「了解」

宴会まで時間もあるため、とりあえず霊夢の出してくれたお茶を啜っていた。
本来なら彼はコーヒー派であるが、お茶も好きであるため、問題はない。ただ
単に一番がコーヒーというだけだ。

「ねぇ、○○さん。ひとつ聞いてもいいかしら?」

特に会話もなく、ゆったりとお茶を啜っていた二人であったが、突然霊夢が話
を切り出した。別に沈黙に耐えかねた訳ではない。話題もなく、互いがお喋り
ではないから黙っていただけである。

「なに?」
「頼みを聞いてくれるのはいいことなんだけど、衣玖の口からだと大抵聞いて
くれるよね?」
「・ ・ ・ 。そう?」

……どうやら自覚無しだったようだ。ならば根本の質問は無意味だろう。
霊夢は「なぜ衣玖の言うことなら何でも聞くのか」と聞こうとしていたのだが
当人がコレなのだから意味がない。
そう聞こうとしたことを○○に説明すると、考えごとをしているような顔にな
った。といっても、普通の人にはその表情の変化に気づかないだろう。

それからは特に会話もなく、宴会の時間となった。


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食えや飲めやの馬鹿騒ぎ。それがここでの宴会のマナーでありルールである。
最近は外来人も増えてきたため、話題も肴も中々に豊富であった。主には色恋
の話である。
人妖問わず、彼女らも乙女である。甘い物と話は大好物の一つだ。その話題が
切り出されたのは、

「ところで○○、一つ聞いてもいいかしら?」

妖怪の賢者、八雲紫の一言だった。
衣玖と飲んでいた○○だったが、いつの間にか近くにいた紫に話しかけられ、
紫のほうを顔だけ向ける。
若干のデジャブを感じながら続きを待つ。

「貴方はなぜ、竜宮の使いの言うことならなんでも聞くのかしら?」

デジャブどころではなかった。この質問は、宴会の準備が終わった後に霊夢に
聞かれようとしたことと、まったく同じだったのだから。
確かに、衣玖から--間接的にとはいえ--頼まれたことは全部聞いている。
月の頭脳、八意永琳からの依頼では、「山二つ離れた所にある薬草をうどんげ
と取ってきてほしい」というのも、二つ返事で承諾し、里の守護者、上白沢慧
音からの「寺子屋の手伝いをしたほしい」というのも、快く承諾した。
他にも、随分無茶な要求をされているのだが、衣玖の頼みなら全部聞いている
のだ。

皆も気になっていたのだろう、聞き耳を立てていた。当人は何かしらの返答を
考えているようだ。
当人である衣玖も無論気になる。無愛想ではあるが、優しくてどこか抜けてい
る彼に、何時の間にか心奪われていた。そんな彼が自分の言うことは聞いてく
れるのだ。本来なら衣玖が聞くべきことのような気もする。

「んー……そうだな……」

返答であろう次の一言にさらに聞き耳を立てる。やがて口を開いた○○から、
とんでもない爆弾が投下された。

「惚れた弱み……かな?」

吹き出す衣玖。騒ぐ野次馬。ニヤつく紫。爆笑している鬼もいれば、若干呆れ
ている魔女もいる。中にはショックを受けている者もいるようだ。

「そっ、そんなことを今ここで言わないでください!」

真っ赤になって抗議する衣玖。その顔はトマトもびっくりな赤さである。
まぁ、衣玖の抗議ももっともである。こんなところでこんなことを言っては冷
やかしくらいしか受けないのである。当然肴になっている。バカがアホみたい
に騒いでいる。

「聞いた聞いたー」「惚れた弱みですってー」「見て真っ赤よ」「対照的に彼
は無表情ね」「甘甘ですわー」

好き勝手騒ぐ。最早やりたい放題である。そんな中でことの発端である○○は
キョトンとしている。「何故騒いでいるんだ?」と言った顔をしている。

「そんな顔しないでください……」
「別に騒がれるようなことは言ってないが?」
「言いました。というかそれを無表情で言わないでください。真っ赤な私が間
抜けみたいです……」

聞かれたことを答えただけであり、言った本人はそんなつもりで言った訳では
ない。対象は紫な訳なのだから。
対象が違うのなら、本命に変えればいい。無表情から一遍、朗らかに無邪気に
微笑み、

「衣玖の事が好きだから」

と、あっけからんと言ってのけた。更に真っ赤になる衣玖。見たことのない○
○の表情に黙り見とれる野次馬ども。それほどに無垢で真摯な気持ちが表れて
いた。
ポヘーとしている衣玖に対して返答を言うように肘で求める紫。我に返る衣玖。
赤みが増しながらも、蚊の鳴くような声で、

「私もです///」

と答えた。
そこからは、爆発したように騒ぐ皆々。肴が美味いのだから酒も進むだろう。
弄られる○○と衣玖ではあるが、互いに微笑んでいる。
そんな中で突然衣玖を引き寄せる。何事かと思わせるより早く、衣玖の唇を奪
った。事が飲み込め引き離そうそするも、甘い痺れが思考回路を鈍らせ、その
身を○○に任せた。やがて舌が入り、ピチャピチャと淫らな水音が響く。
あらあらといった様子でニヤニヤしながら見つめる大人チームと、顔を真っ赤
にしながら目を手で蔽うも、隙間全開で見ているお子様チームに分かれた。
そのどちらでもない霊夢は「片付けの手伝いは無理ね」と考えながら二人の行
く末を思っていた。

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新ろだ311


冬とはいえ動けば汗はかく。激しく動くなら尚更だ。
ここ最近運動不足だったため、久々にキツイ仕事をしていた○○は、溜息混じり
ながらも清々しい顔をして家路についていた。

「ふー……疲れた疲れた。いい汗かいたし、帰ったら風呂にするか」

そう考えていたらすでに家の前についていた。鍵を取り出して開けようとすると……

「ん……開いてる……」

鍵が既に開いていたのだ。
こんなボロ屋に盗人が入るわけがないとは思いつつ、とりあえず南京錠を掛けて
いたのだが、それが外されていた。

「…………壊されていたのでなく……か……」

そう、壊されているのならここの妖怪ならお茶の子さいさいだろう。しかし『外
されて』いたのである。つまり……

「鍵を持っている奴が入ってるという訳か……」

誰だか用意に分かる……まったく……
そう考えながら家に入る。入って向かいたいのは風呂。向かうのは自室。そこに
は案の定……

「衣玖……起きろ……」

スヤスヤと可愛らしい寝息を立てて俺のベットで寝ている竜宮の使い、永江衣玖だ
った。
彼女と知り合ったのは一年ほど前。ここ幻想郷に来た時の第一発見者が彼女だった。
そこから色々あって……まぁ、一応恋人という仲になっている。
それからというもの時たまこうして俺の部屋のベットで寝ていたりする。

「んっ……あぁ……おかえりなさい○○さん……」
「ただいま。また?」
「……えぇ。落ち着くし好きなんで」

彼女がこうしている理由。それは『俺の匂いが好きだから』ということらしい。別
に匂いフェチという訳ではない。そのまんまの意味だ。

「まぁ、悪い気はしないがね……ところで風呂沸かしてる?」
「準備だけは。あとは焚くだけです」
「りょーかい。入ってくる」

そう言って風呂のほうに向おうとすると、後ろから抱きつかれた。まったく……

「汗そうとう掻いてんだが……」
「どうせまた掻きます」
「ベタベタしてんだが……」
「気にしません」

そう言いつつベットのほうに向かうように仕向けた。まったく……こりゃ二人風呂
はでだな……


追伸。第五ラウンド引き分け


新ろだ700



目を開ける。日の光が見えるので朝だというのがよくわかる
目も覚めたので布団から出ようとするが
「寒っ」
9月の半ばになれば段々と寒くなる。今感じてる暖かさを捨てるわけにいかない
そして今、状況は布団の中。どんなやつでも布団の誘惑には勝てないと思う
だから俺は
「……寝よう」
寝た

―――

今、私は○○さんの家の前にいる。詳しく言えば扉の前に立っている
なぜここにいるかですって?
今日は○○さんと人里に遊びに行く約束した日だ
だからいつもより早めに起きて、身だしなみを整えてやってきたのはいいのだが
「○○さん?」
扉を叩いてもまったく反応がない。さっきから何回も呼びかけてみるが応答はない
まさか○○さんの身に何か起こっているのではないかと心配になり扉に手をかける
鍵はかかっていなかった。無用心なと思ったが今はそれどころではない
「○○さん!」
扉を開けすぐに家の中を確認する。見たところ異常はない
異常があるといえば約束を交わした人が眠っているくらいだ
心配が無くなると同時にため息が出てきた。よく○○さんから幸せが逃げるよと言われるがもう一種の癖のようなものなので治しようがなかった
それに○○さんと一緒に居られればどんな時でも幸せです……なんてことは言えない
私たちは別にそんな特別な関係でもないのでそんなことは恥ずかしくて言えなかった
勇気を振り絞れば言えるんだろうけど、その後をどうしようか考えてしまうと言えなかった
私は、恋に臆病なのである。だからこんな友達以上恋人未満な状態がいつまでも続いてしまっている
さすがにこのままじゃいけないと思い、頑張って勇気を振り絞っていわゆる「デート」に誘ってみた
結果はOK。この時、私は内心叫びたかった。それほどまでに嬉しかった
感謝の言葉を言うと○○さんが「……なんで泣いてるの?」と指摘してきた。驚いて確認してみると本当に泣いていた
一気に顔が真っ赤になるのが実感でき、気がつくとその場から逃げ出していた
その後声を殺しながらちょっぴり泣いたのは内緒です
などとちょっと昔のことを思い出しながら○○さんのほうへ近づく
ふと、近くにあった鏡を見ると顔が赤くなっていた。もう思い出すのはやめよう
「○○さん、起きてください」
肩に手をおき少し揺らしてみる。起きない
強く揺すってもなかなか起きない
どうしようか考えているうちにむくむくといたずらをしてみようかと考え付いた
さっそく実行に移してみようと思う
「ふぅー」
まずは耳に息を吹きかけてみる。反応無し
なんとなくムッときたので舐めてみた。反応無し
さらにムッときたので耳たぶを口の中に含んでみた
「うーん……」
反応はあったが起きる気配なし
お目覚めのキスでもしてやろうかと考えていると自分の顔が赤くなるのがわかる。我ながら単純なことだ
さすがに唇はいけないと思うので頬にする。私もさすがにファーストキスは大事にしたいものだ
「あなた、起きてください」
台詞もかえてみた。反応無し……さすがに酷い
よく観察すると布団に人一人が入れるようなスペースがあることに気づく。すぐに行動に移した
「○○さん失礼します」
布団をめくり中に入る。するとすぐに○○さんの温もりを感じることができた。それだけで幸せな気分になれる
次に腕を移動させ、腕枕の状態にする。完璧だ
などと行動を起こしていると
「うぅ……ん」
○○さんが寝返りを打ち向こう側にあった腕がこちらに覆いかぶさった。つまり抱きしめられている
顔が一瞬にして赤くなる。もう逃げ道はなくなった。もうこうなったら流れに身を任せるしかない
なので
「……おやすみなさい。○○さん」
寝ました
願わくばこれで距離がさらに縮むことを祈りながら

―――

次に目が覚めるとなんか変な感触があった。でも暖かいのでより抱きしめを強くしてみた。胸板に気持ちいい二つの感触が伝わる
そうすると
「んっ……」
変な声が出てきた。なんか変だと思ったので手を動かしてみた。下のほうに手を動かしてみるとやわらかかった。なんとなくさすった
「あっ……」
また声が出てきた。しかも、なんかエロい。手を上に動かしてみるとさらさらした感触が伝わってきた。気持ちいい
「♪……」
なんか上機嫌だ。どう考えても人だ。大きさ的にも、良い匂い的にも。興奮してきた
……変なことを考えてる場合じゃないな。覚悟を決めて目を開ける
目の前に衣玖さんの顔があった
「あの……衣玖さんどうしてここに?」
「いちゃいけませんか?」
嬉しそうな顔で返答してきました
「だって、○○さん全然起きてくださらないんですもん」
笑いながら喋る。その顔にドキッとする。この人はたまにとんでもない行動をするから困る
「顔が赤いですよ○○さん」
「そういう衣玖さんだって」
そして、笑いあう。なんだか二人で幸せを共感している気分だ
「○○さん」
「何?」
「今日あなたに言うべき事があります」
「……なんでしょう?」
相手の答えを待っていると
「んっ」
キスされた
「私は、あなたのことが好きです。愛しています」
とても清楚で、可憐で、美しい笑顔だった
俺の返答は決まっていた。だから行動で示した
「……ふぅ」
「俺も衣玖さんのことが好きだ。愛してる」
そう答えると衣玖さんはさらにキスを求めてきた。だからより深いものをプレゼントした

何十分かすると口の周りが誰の唾液かもわからないほど汚れていた
「……ふふ、ありがとうございます」
「ありがとうはこっちかな」
口を離すと銀のアーチができた。どれだけしていたかわかる
「○○さん」
「何?」
「……愛しています」
「俺も、愛してるよ」
また俺たちはキスをした
「……は……ぁ……」
彼女の口から悩ましい声が出てくる。かまわず彼女の唇を貪る
「○○……さん」
彼女の目から何かを求めているのを感じ取る。だから答えてあげよう。彼女の笑顔のために

そして、俺たちは夜まで深く愛し合った



新ろだ731



 しとしと、しとしと。

 雨が降る。
 台風の様に強いわけではないが、外に出るのは躊躇われる、曖昧ながらも確かなそれ。

 昨日の内はバカみたいに輝いてデカい顔をしていたのに、あいにくの天気にヘソを曲げたのか、太陽は雲のカーテンで顔を隠していた。

 おかげで、昼間だと言うのに薄暗い。
 雨音しか響かない室内に居たら、気分も暗くなってしまいそうだ。

 気が乗らない、と、窓から外の様子を眺めていた彼は溜め息をついた。

 もういい歳をこいてるから、晴れだったら外でサッカーを楽しんだり、草野球に励んだりするわけじゃないが、雨だとどうにも盛り下がる。

 ジメジメとしたこの湿気と、それに伴う不快感、家から出ることが出来ない束縛感が、彼には面白くない。

 子供ではないから、そんなことで駄々をこねたり、あからさまに不機嫌になるわけではないが、
 ハイテンションになるのは流石に難しい。

 まぁ、晴れていたらいつでもハッピー、なんてわけでもないのだが。
 そこまで考えて、彼は本日二度目の溜め息と共に、椅子の背もたれに体を預けた。

「せめて晴れてればよかったんだが」
「あら、そうですか? 雨も中々、いいものですよ」

 不意に、彼の後ろから声がかかった。
 椅子に座ったまま振り返れば、そこに居たのは一人の女性。

 海の様な、深い青色の髪。
 瞳が宿すのは、赤い赤い、夕暮れの様に鮮やかな緋色。

 すらりと引き締まった体ながら、出るところは出ているその体躯は、少女と言うより女性と表現するのが正しいだろう。

 彼の後ろに立っていたのは、竜宮の使い――――永江 衣玖だった。

 竜宮の使い。
 龍と人間の世界に棲むと言われる妖怪。
 龍の言葉を理解し、それを人妖に伝えるのが役目らしい。

 本来は雲の中で泳いで暮らしているらしいが、彼女は彼と共に生活している。
 理由を話せば、それはまた長くなりそうなので割愛させて頂こう。

 話を戻して。

 そうかい? と、彼は返答する。
 彼女は雨や雷と深い関わりがある妖怪だから、多少の雨風なんてへでもないのかもしれない。

 ええ、と彼女は柔らかい笑みを浮かべて返す。

「そりゃまた、どうして?」
「何故って――――」

 彼が問うと、衣玖は笑顔を浮かべたまま、彼の背に回って、

「一日中、あなたと一緒に居られますから」

 そう言って、彼を背中から抱きしめる。
 突然のそれに驚いたのか、彼は小さく声をあげてから、衣玖の腕に自らの手を添える。



 確かに、雨も悪くないかもしれない。
 何故って、一日中愛する人と一緒に居られるのだから。



新ろだ1020



「ほんっとに、厄介な病にかかっちまったなぁ…」
衣玖「そうですね…善人もひどい目に会うんですねぇ…」
布団に和え向けに寝る一人の男と、特徴的な帽子と羽衣を今は外した永江衣玖
「まさか、今日という日までずっとかかってるとは思わなかった…それはそうと俺は善人じゃない」
衣玖「五十年前に患ったんでしたっけ…?それはそうと、あなたは少なくとも私にとっては善人ですよ」
くすくすと二人の笑い声の響く和室、しかしその部屋には何か、悲しい雰囲気が流れていた
「幻想郷には不思議な病があるもんだな、姿かたちが変わらなくなる病って…二十歳あたりでかかったからもう俺は70歳か…」
衣玖「おかげでいつまでも若々しいと褒められて、満更じゃなかったでしょう?ま、私はあなたが年老いた姿になっても関係なかったんですけど」
「…うれしいこというなぁ…このやり取りも何回目かな?」
衣玖「きっと貴方が四十を過ぎてから十日に一回のペースですね」
「…よく覚えてるな…俺は五十すぎたあたりからしか覚えてねェや…そういえばさ、衣玖」
ふと男は何かを思い出したように衣玖に問いかける
「今日って確か、バレンタインデーだったよな?」
衣玖「ええ、もちろん私はチョコを用意してますよ」
「ははは、しっかり者のお前に催促はいらなかったな…衣玖、俺、お前のチョコ今食べたいな」
衣玖「せっかちですねぇ…私も気合入れて作りましたから…とってきますからちょっと待っててくださいね」
そう言っていくは立ち上がって、部屋を出て行った
「おう、楽しみに待ってるぜ」

天子「あ、衣玖…」
衣玖「総領娘さま、いらっしゃったのですか…」
天子「あ、うん…○○は…」
衣玖「ああ、今からチョコを届けに行くんですが…ご一緒しますか?」
天子「あ…うん…チョコ?」
衣玖「今日はバレンタインデーですからね…」

衣玖「○○さん、持ってきましたよ」
「おう、速いな…とはいっても台所あたりにおいてただろうから、そんなに時間はかからないだろうけどな」
天子「…えーっと…」
「あれ?天子ちゃんじゃん、いらっしゃい」
天子「あー…私邪魔かしら?」
衣玖「構いません、総領娘さま、さ、○○さんチョコです」
「ああ、ありがとうな…これまたうまそうだ」
差し出されたチョコに、しわ一つない若者の手をゆっくりと伸ばして受け取った○○
「…うん、甘いな…うまい…すっごく美味しいな…」
衣玖「そうですか、ありがとう…ねぇ、○○さん…」
「ん?なんだ?衣玖」
衣玖「また、あえますよね?」
「ああもちろんだ、たとえ高さ五千メートル横幅無限の壁が立ちはだかったとしてもな」
天子「…え?衣玖、今の日本語に訳せる?ていうか…また会えますかって、○○どっか行くの?」
「ああ、ちょっと遠くにな、まったく、こんな綺麗な嫁さんおいてどっかいく俺はやっぱ善人じゃねぇなぁ…?」
衣玖「さっきも言ったでしょう、あなたは私にとっては善人です…ああ、あなた、最後に一言」
「最後じゃないだろ、ある意味だと最後だけどな」
衣玖「意地はって…じゃあ一言、ホワイトデーのおかえし、楽しみにしていますからね」
「まったく…空気読みやがって…じゃあ、ちょっと行ってくるわ、あと俺は、フラグを回収する男だからな」
ニヤリと不敵に笑って、そして○○は目を閉じた
そしてそれっきり誰もしゃべらなくなった

天子「…?意味がわからない…ねぇ○○、どこ行くのよ?」
○○は目をつぶったっきり 衣玖は○○の顔を見て微笑むっきり
衣玖「総領娘さま、葬式には、参加しますよね?」
天子「そうしきって…だれの葬式よ…」
天子は意味を理解していたのか、していなかったのか、少しだけ声が震えていた
衣玖「…○○さんの、葬式です」

○○は死んだ、老衰だった
病にかかっていたせいで外見は変わらないが、時間は確実に彼の命を削っていった
彼の妻衣玖は葬式で涙ひとつみせず、ただそれを毎日の作業のように淡々とこなした
天子はおお泣きしていた
あまりに不思議に思ったのか、参列した○○の知り合いの竹林の医者は、衣玖に悲しくないのかと聞いた
衣玖「悲しいですよ、でも、きっと○○さんは私が生きているうちにまた会えます、妖怪は寿命が長いですしね」
医者は彼女が頭を打ったのかと思った 

衣玖「…んー…いい朝ですね」
衣玖は朝早くから起きた まったくいつもの日常が始まった
いつものように仕事を始めいつものように仕事を終える
若干にリズムの崩れはあるものの、天子がギャーギャー騒いでいるのを風の噂で聞きながら
いつものように彼女は過ごした

「や、やっと着いた…心臓から口が出るかと思った・・」
天人「まてー!けがれた地上人が天に昇ろうなど図々しいぞー!」
衣玖「おや…?」
ふと大騒ぎが聞こえた、まさか地上人がこの雷雲の中まで来たのだろうか
「ん…?心臓から口…?口から心臓だろ!馬鹿か俺は!」
天人「独り言を言ってないでさっさと…ああ待て!」
衣玖「口ぶりからして、徒歩で来たのでしょうか…にわかには信じられませんね…」
そう言う郁は声のほうへと歩いて行った 彼女の心中に、ちょっとだけ期待感が生まれた

「へ、運動不足の天人におれを捕まえられると思うなよ!今の俺は愛に燃えるハイパーノーマルなんだ!」
意味のわからないことを喚きながら男が幾人もの天人に追い回されている
「お、いたいたー!衣玖ー!」
と、私を見つけたのか男が走り寄ってきた
私の中の期待感が一気に膨れ上がる
「三年ぶりか?いやー相変わらずきれいだなー!て言うか待て!天人!くうきよめ!今は待て!」
天人「黙れ!侵入者風情が!」
ワイワイガヤガヤと騒ぎながら彼がここを登ってきたときの再現のようだ
天人「おとなしく捕まっ…ぎゃあ!!」
と、いきなり大規模な雷が天人に直撃し、全員がグニャア…と伸びた
「たすかったぜ」
衣玖「…三年ぶりですが、全然変わってませんね、相変わらずの善人のようですねぇ…」
「天界の侵入者だから善人じゃないだろうけどなあ…あ、そうそう、はい衣玖」
と言って男が差し出してきたのはラッピングされた板状のもの
衣玖「…ふふ…約束、覚えててくれたんです…ね…」
「おう、男○○、ああいまは●●だけど、約束は必ず果たすからな、約束通りお返しのチョコだ」
衣玖「…うれしいです…」
私は、三年ぶりに泣いた 三年間たまった分の涙を全部うれし涙にして泣いた
「待たせちゃったな…衣玖…」
そう言って男は…○○は衣玖をギュッと抱き締めた

衣玖「…はっぴーホワイトデー?」
「語呂が悪いかもな、あと岩の陰からみてるてんこ」
天子「てんこいうな!…は!なぜばれた!」
「いや、御影石の陰に隠れてたらそりゃ見つかるだろ」

happyend…?


新ろだ2-092




「紫様。いい知らせと悪い知らせがあります」
「へぇ……」
「まずは前者から。幻想郷は今日も今日とて平和です」
「巫女は茶をすすり、魔法使いは借り物を。紅魔館ではお嬢のわがままに、白玉楼では友人がのんびりと……
けっこうなことだわ。退屈で死にそう」
「そして後者を……随分厄介そうな外来人が来ました。名を○○」
「ほぅ……ふむふむ……コレは面白そうね……」
「いかがなさいますか?」
「しばらくは放置でいい。気が向いたら私が行くわ」
「承知」
「ところで藍……出だしのはどういう?」
「貴女がジョークを効かせろと言ったからですよ」



―――――――――――――――――――――――――――――


見渡す限りの大平原。そこには人工的な物は何一つなく、完全に自然で成り立っていた。
緑のカーペットは風に揺られ、ここで寝るとさぞかし気持ちいいだろう。

ただし、

「・・・。どこだここ?」

非常事態の時にはどうにも受け付けられない提案であろうが。

「あーっと……オーライ、落ち着け俺……確か宿から出でいつも通りにテキトーにブラブラしてて……んで気
がついたらここにいたと……無理だろ。居たのは都会のど真ん中だぜ?こんな平原余ってたら速攻ビル計画が
持ち上がるっての……」

こんな感じで青年が混乱していると、突然影が彼を覆った。しかし他の所には影はなく、ピンポイントで彼だ
けが覆われている。
更に混乱して上を見上げると……

「マジかよ………………ジ○リやD○C3じゃないんだから…………」

人っぽい何かがこちらに落下してきていた。ここまでくると混乱ぶち抜いて呆れてくる。

「あーアレ人受け止める場合でも使えるのかな……」

四の五の言っても始まらないと気持ちを切り替えて受け止める準備をする。どこから落ちてきたかは知らない
が、あんな高さから落ちてきたのでは即死は免れまい。ただでさえ身動き一つしていないのだから。

「気絶してたほうが楽だけど………………そら来た!!っ!!!!!」

受け止めた瞬間思いっきり回転するような感覚で仰け反る。あとは五点着地の要領で転がり、勢いを殺すため
に五、六回回転する。

「……………………痛い…………すげー痛い」

それでも人を受け止めるためのものではない。本来の用途はパラシュートでの着地や、高いところから飛び降
りても大丈夫なようにする為などにあるのだから。

「とりあえず……平気かな……」

とりあえず落ちてきたおてんば娘の顔を拝む。かなり整った顔立ち。着ている服はゆったりしているようで、
幾分ピッチリしている。

「脈は正常かな……出血も無いみたいだし……つーかなんでまた空から」

見上げて見ても上には雲一つない。

「妙な天気って訳でもないんだがな……親方に報告しようにも居ないって話……」

とりあえずこの人が起きるのを待つことにした青年であった。






~~~~~~~~~~~~~~~~あとがきという名の言い訳~~~~~~~~~~~~~~~~

一応プロットはつくっていたけど、紛失してしまったため、導入編ということで
続きは時間ができたときに

シリーズ物にしたい。ほのぼの進行で


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最終更新:2011年02月26日 22:10