天子6
Megalith 2011/10/28
物好きだ、と告げた。
「あら、私は物好き?」
物好きだろう、と、さらに言葉を重ねる。
非想非非想天の娘、比那名居天子は、そんなこちらを見つめて、くすくすと微笑っていた。
外は雲一つない夜空。部屋を照らすは、行灯の光だけ。
今、自分は何故か天界にいる。拉致されたと言うべきなのか、自分から来たというべきなのか。
総領娘が幾分か真面目になった、ということでの報酬というような形で、今ここにいる。
「何か、わからないことあれば教えるけど」
書見台の書を指されるが、そっと首を横に振った。わからないほどのものではない。
「私が暇なの。ちょっとは構ってよ」
そう言いながら、畳の上でころころと転がる。可愛らしいものだが、お嬢様としてそれはどうなのか。
「いいじゃない、貴方しかいないんだし」
そうか、とため息をついて、やっぱり物好きだ、と思う。こんな自分のどこが良かったのか、はてさて。
出会いは忘れられない。忘れられるものか。
妖に追われ、偶然出会った彼女が、符を使って追い返してくれたこと。
そのときの、緋想の色に染まった、彼女の姿を忘れることなど。
そのまま惚れるに惚れ込んで、だが格式高い天人相手にどうすることもできない、はずだった。
そのはずだったのに、気が付けば彼女が訪ねてくるようになり、さらに気が付けば、こんなところまで来てしまった。
「……ね」
不意に、ころん、と、隣に転がってきた彼女に、何だ、と問いかける。
「……ここにいるのは、退屈?」
少し考えて首を振る。少なくとも退屈ではない。
天子の我儘に振り回されて下界へ降りることもしばしばだが、退屈だとか嫌だとか思ったことはない。
「……本当?」
身体を起こした彼女に、どうしてそんなことを聞くのかと尋ねる。
少し迷ったような素振りの後、天子は口を開いた。
「……私が」
とん、と背中を預けて、天子はぽつり、ぽつりと言葉を紡いでいく。
「勝手に連れてきてさ。貴方は諾々と受け入れてて。修行とか勉強とか何とかさせてて」
声は小さくて、普段の彼女らしいとは思えない。
そんなことは気にしなくていい、と伝える。
自分は居たくて、ここにいるのだから。
傍にいたいから、ここにいるのだから。
「……だって、私だけみたいで」
ぼそぼそと天子は呟く。
「私だけが、貴方を好きみたいで」
書をめくる手が止まった。ぎゅっと、こちらの服の裾を握りしめて、彼女は続ける。
「初めて、貴方を見たときからずっと。ずっと」
知らなかった。彼女がここに自分を連れてきたのは、暇つぶしの気まぐれではなかったのか。
「……そんな風に思ってたの?」
すまない、と一言だけ。けれども、信じられなかったのもわかってほしかった。
文字通り、天の上の存在だから。
ずっと、ただの気紛れでここにいさせてもらえるのだと思ってたから。
だからこんなにも、必死だったのだと。
傍にいたいから。好きだから。
初めて見たときから、ずっと。
「……本当?」
本当だとも。そうでもなければ、ここにはいない。
だから、今必死なのだと。
ずっと貴女の傍にいるために。
卑小な人の身だけれども、何とか追いつけるように。
「……貴方は、何も言ってくれないもの」
言われて、気が付く。そういえば、想いをしっかりと、はっきりと、伝えてはいない気がして。
そうじゃないのだ、という自分に、天子は首を振った。
「……じゃあ、態度で示して」
甘えるような声で、膝に手をかけて。
「……今は誰も、いないもの」
だから、と、口唇に指を滑らせた天子に、くらりとするような色香を感じて。
「……貴方を、ください」
灯りに照らされた顔が、赤く染まるのを確認して。
自分の想いが向くままに、愛しい彼女を抱き寄せた。
天子といっしょ! プロローグ (Megalith 2012/03/09)
-----天子side-----
私は幼い時から友達が居なかった。
いや、一人だけいた・・・ 名前は、○○という名前だった気がする。
彼は別の世界から来たと言っていたが・・・ 紫につれて来られたのだろう。
彼も友達は居なかったらしい、だが、私にかまってくれるただ一人の人だった。
確か、ある日のこと・・・
地子「ねぇ」
○○「ん?どうしたんだ、地子?」
地「貴方は、私のこと嫌じゃないの?」
○「ううん、全然。 どうしてそんなこと聞くんだ?」
地「だって。私、わがままだし、皆は親の七光りだとか言ってくるし・・・」
○「大丈夫だよ、俺は、その、えーっと・・・」
地「?」
○「地子のことが、好き・・・だから。」
地「あ・・・」
○「・・・嫌だったか?」
地「ううん・・・ありがとう。」
嬉しかった、とても。だけど―――――
私はその後すぐに、天人に、天子になった。
天界に行くことを、○○には言わなかった。悲しいから、言いたくなかったから。
天界に行けば、友達も出来ると思っていたけど、友達は出来なかった。
だから私は、あの異変を起こしたのだ。その結果、霊夢や魔理沙などいろいろな奴と知り合えた。
だけど、心の中にはまだ何かが残っていた。
○○に会いたい、そう思っていた。
だが、私が天子になってから、もう20年近く経っていた。彼は私を覚えていないかもしれない、いや―――
妖怪に食われたのかもしれない――――
いくら探しても、彼には会えなかった・・・
本当に、死んでしまったのかもしれない。
そう考えると、涙が出てきた。だけど、そんなのは嫌だったから、もう忘れようとしていた・・・
それから、2週間ほど経っただろうか―――――
天子「はぁ・・・はぁ・・・」
私は、とある森の中で妖怪に囲まれていた。
天人である私は不老不死なので、妖怪と戦えば普通に勝てる。
だが、妖怪の不意打ちを喰らい、崖から落ちて、足が動かなかった。
肝心の緋想の剣も、それにより遠くに落ちてある、手を伸ばしても、届きそうにない。
妖怪は長い爪で私を引き裂こうとしている。死ななくても、痛みはあるから、きっととても辛いことになりそうだと思った。
衣玖を呼ぼうとしても、怖くて声が出なかった。
天「嫌・・・助けて・・・」
妖怪が爪を振り上げた、このままなら腹を2つに裂かれるだろう。
天「嫌・・・いやだよ・・・」
もう駄目だ――― そう観念して目を瞑った。
そして・・・
肉を切り裂く嫌な音が、目の前で聞こえて、体に大量の血が付いた。
だが、痛みはなかった。
天「あれ・・・?」
目を開けて体を確かめる、そして気づいた。
これは私の血じゃない、妖怪の血だ。
天「ど、どうして・・・?」
上を見てみると、一人の男がいた。西洋風の控えめな鎧を身に付け、両手には剣が握られている、確か、双剣というものだったはずだ。
彼が近づいてくる、私を助けてくれるようだ。だが、返り血のぬっとりとした感触が気持ち悪くて、意識が遠のいていった。
男「おい・・・大丈夫か?」
そう聞こえた、だが返事をする気力もなかった。意識が遠のき、視界が暗くなっていった・・・
だが、何故だろう。
胸が波打っているのは、何故なのだろう――――
そんなことを考えながら、意識は完全に闇へ落ちていった。
---○○side---
俺は幼い時、そう、6歳ぐらいのときだっただろうか。
何故か解らないが、俺は普通の世界から突然、この幻想郷に飛ばされた。
親とも離れ、だれも知り合いは居なかった。
当たり前だが、友達も居なかった・・・
いや、一人いた。名前は、地子という子だった。
元々人をほおっておけない性格だった俺は、同じく一人だった地子をほおっておけなかった。
だから、地子と遊ぶようになった。
そんなある日のことだった。
地子「ねぇ」
地子が突然、俺に話し始めた。
○○「ん?どうしたんだ、地子?」
地「貴方は、私のこと嫌じゃないの?」
驚いた、もしかしたら、地子は自分は渋々遊んでいるとでも思っていたのかもしれない。
だが、そんなつもりは微塵もなかった。いや、このときから、俺は地子のことを好きになっていた。
○「ううん、全然。 どうしてそんなこと聞くんだ?」
地「だって。私、わがままだし、皆は親の七光りだとか言ってくるし・・・」
○「大丈夫だよ、俺は、その、えーっと・・・」
上手く言えなかったが、言ってみた。
地「?」
○「地子のことが、好き・・・だから。」
地「あ・・・」
○「・・・嫌だったか?」
地「ううん・・・ありがとう。」
嬉しかった、地子が俺のことを受け入れてくれたのだと、そう思っていた。 だが――――
それからまもなくして、地子は里から去った。否、いなくなった。
俺は必死に探したが、二度と地子に会うことはなかった。
もしかしたら、妖怪に食われたのかもしれない・・・
そう考えると、涙が出てきた。 だから、もう考えるのをやめて、忘れようとした。
それからしばらくして、スペルカードルールというのが誕生して、俺もそれに乗って、スペルとやらを手に入れた。
この時、俺は妖怪から人を守る、いわばハンターになっていた。
並みの妖怪なら余裕で倒せる実力を身につけ、里での評判も良かった。
それと同時に、地子の記憶も、薄れていった―――
そして、23歳になった、ある日のこと。
○○「・・・ふぅ、今日の仕事は終わりだな。帰るとするか・・・」
いつものように妖怪を討伐し、もうすっかり日も暮れたから家に帰ろうとしていた、そのときだった・・・
「嫌・・・いやだよ・・・」
○○「・・・なんだ? まさか、襲われてる奴がいるのか!?」
俺は真っ先にそこへ向かった、そこでは複数の妖怪が女を殺そうとしていたところだった。
妖怪は3体、倒せない相手ではない―――――
俺は後ろから一気に倒すことにした。だが妖怪は爪を振り上げる、まずい、間に合うか・・・?
俺は双剣を握り締め、妖怪に向かって走り出した、そして剣を振り上げ、呟いた。
「迅符『疾風残殺』―――――」
そして、妖怪を一瞬で切り刻んだ、よかった、間に合った・・・
だが女には返り血が大量についている、気絶してしまうかもしれない。
女は綺麗な衣装を身に付け、長い青髪が綺麗だ。貴族か何かだろうか?
○○「おい、大丈夫か・・・?」
女に手を差し伸べる、だが、女は意識が遠のいていた。そして、そのまま目を閉じてしまった。無理も無い、こんなに返り血が付いているのだから。
仕方が無い、女を抱き上げ、とりあえず自宅に連れて行くことにした。
ふと、右に目をやると、なにやら怪しげな光る剣があった。もしかして、彼女のものかもしれない。
ついでにもって行くことにした。
だが、何故だ?
胸が波打っているのは、何故なのだろう・・・
そう思いながら、俺は自宅へと向かっていった。
─────
次回からイチャつく要素が一気に増えます。
あくまでこれはプロローグなので今後このような話は一切無いです。
どうか温かい目で見守っていただければありがたいです。
天子といっしょ! プロローグその2 (Megalith 2012/03/11)
---天子side---
天「う・・・ん・・・?」
まだ意識が朦朧としていたが、体を動かすことができた。
ここは・・・?
どうやらさっき意識が途切れる前に見た男の家らしい。
彼は誰なのだろう、そしてなぜ胸が波打つのだろう・・・?
そのとき、彼が部屋に来た。どうやら心配してくれているらしい。
男「お、気がついたみたいだな、大丈夫か?」
天「うん・・・もう大丈夫よ、ありがとう」
男「無理するなよ?足を怪我してるんだしな」
天「大丈夫よ、私を誰だと思っているの?」
男「さぁ?知らないな・・・ 貴族か何かなのか?」
彼は私のことを知らないようだ。あの異変の後人里に時々顔を出していたから、たぶん知っていると思ったのけど・・・
天「はぁ・・・ まぁいいわ、ところで、貴方の名前は?教えなさいよ」
男「おいおい、普通は助けられたそっちが先に言うものじゃないのか?」
随分生意気な奴だな、と思いながらも、彼が助けてくれなければ酷い目にあっていたのも事実・・・
仕方がない、教えるとしよう。そして口を開いた。
天「私の名前は――――」
名前を言ったそのときだった、確かに彼が固まったのがわかった、そして驚いた様子で目を見開いている。
天「なによ、そんなに驚く必要がある?」
男「す、すまないが、もう一度ゆっくり言ってくれないか?」
天「はぁ・・・何なのよ・・・?」
天「私は天子。比那名居 天子よ。」
さらに男は目を見開いた。いったいどうしたというのだろう・・・?
男「あ・・・、あぁ・・・?」
天「さっきから何なの?人の名前を聞いてそこまで驚く?」
男「なぁ・・・、お前。」
天「ん?」
男「地子って奴を、知っていないか―――――?」
天「え・・・?」
私も目を見開き、固まった。まさか・・・?
天「あ、貴方の名前は・・・?」
男「あぁ、俺か・・・」
その名前を聞いた瞬間、
男「俺は・・・」
私は、
男「○○っていうんだ―――――」
涙が溢れるのを感じた―――――。
やっと、やっと会うことが出来た―――――。
----○○side----
○「さて・・・どうしたものかな。」
彼女を家に連れていったのはいいが、どうすればいいのかまったく分からない。
とりあえず返り血を拭き、寝室に寝かせておく。
ふと、足の怪我を確かめる、が・・・
○「傷は・・・? 思っていたより深いな?」
その怪我は普通の人間なら致命傷になりうる傷だった。
○「驚いたな・・・、どういうことだ?」
俺はしばらく考えた、が。あまり深く考えるのは止めておくかと考えて、なんとなく彼女の顔を見てみた。
○「ふむ・・・結構、いや、すごく可愛いな・・・ しかし、何故かな。地子を思い出すな。」
○「地子も、こんな感じだったな。 はぁ、結局地子は何処行ってしまったんだろうな・・・」
○「もしかしたら・・・ いや、考えるのは止めるか。」
そうして、寝室に彼女を寝かせ、自分は居間で昔を思い出していた。
そうして30分ぐらい経っただろうか?
様子を見に寝室へと向かった、すると、彼女は意識を取り戻していた。
女「う・・・うーん・・・」
○「お・・・気がついたらしいな?」
女「うん・・・もう大丈夫よ、ありがとう」
○「無理するなよ?足を怪我してるんだしな」
女「大丈夫よ、私を誰だと思っているの?」
○「さぁ?知らないな・・・ 貴族か何かなのか?」
どうやら彼女はやはり偉い何からしい。話し方で大体想像できる。
助けられた身にしては、随分生意気だと思ったが・・・
何故だろうか、地子になんだか似ている気がする、こういうわがままな所が、だ。
とりあえず名前を聞いてみるか?と思ったそのときだった。
女「はぁ・・・ まぁいいわ、ところで、貴方の名前は?教えなさいよ」
○「おいおい、普通は助けられたそっちが先に言うものじゃないのか?」
やはり、生意気だと思った。とりあえず、名前を確認して、人里で相談すれば大丈夫だろうと考えていた、その時だった。
女「私の名前は―――――よ。」
一瞬、心臓が波打った。まさか・・・?いや、聞き間違いか・・・?
○「すまない、もう一度いってくれないか?」
女「何よ・・・?仕方ないわね」
女「私は天子。比那名居 天子っていうの」
比那名居・・・ 地子と同じ苗字だ・・・!?まさか・・・
○「あ・・・、あぁ・・・?」
女「さっきから何なの?人の名前を聞いてそこまで驚く?」
○「なぁ・・・、お前。」
確かめなければ・・・
女「ん?」
○「地子って奴を、知っていないか―――――?」
女「え・・・?」
彼女も固まっている、どういうことだ・・・?
女「貴方の、名前は・・・?」
まさか、いや、そんな筈は・・・?
とにかく名前を教えよう。そして
○「俺の名前は・・・ ○○っていうんだ――――」
それを聞いた彼女も固まって目を見開いている・・・ 間違い・・・ないのか?
---天子&○○side---
二人は固まっていた、もしかしたら、いや、まさか―――― そのような考えが二人の頭に存在していたからだ。
そして長い沈黙の後、天子は口を開いた。
天「貴方、○○なの・・・?」
○「あぁ、じゃあ、お前は・・・?」
天「地子・・・よ・・・。 今は天子だけど・・・」
再び、互いに目を見開き、固まっていた。二人の目には涙が溢れていた。
長い沈黙の後、二人は笑い始めた。こんな形で再開するとは思っていなかった上に、久しぶりの再開が嬉しかったのだろう。
しばらく笑いあった後、こんどは○○が口を開いた。
○「いやー・・・久しぶりだな、地子。」
天「ちょっと、今の私は天子よ?さっき言ったじゃない?」
○「あぁ、そうだったな、天子」
天「うん・・・でも、本当に久しぶり、○○」
○「そうだな、さて・・・、天子。あの時、なんで居なくなったのか説明できるか?」
天「えぇ、説明するわ。」
少女説明中・・・
○「なるほど、そんな事が・・・」
天「うん・・・。ごめんね・・・?突然居なくなったりして・・・。」
○「大丈夫だ、それに、また会えたからいいじゃないか?」
天「うん・・・ ありがとう」
そうして天子は○○に寄りかかった、○○は躊躇わず、天子を優しく抱きしめた
○「ん、どうだ?」
天「うん・・・暖かい・・・」
○「こうやるのも、20年ぶりか?」
天「うん、そうだね・・・ ね、もっと強くギュッて、して?」
○「あぁ。」
ぎゅっ
天「私さ、ずっと寂しかったの。」
○「天子・・・」
天「地子の時も友達いなくて、天子になっても天界で友達作れなかったからさ、あなたにまた会えて、本当に嬉しいの。」
○「あぁ、俺も嬉しいよ、天子。」
天「うん・・・ ありがとう、○○・・・。」
○「ははは、こういうところは、昔と変わらないな。」
天「?」
○「いつもは強気だけど、寂しがりやなところがさ。 あと・・・ えーっと・・・」
天「なによ?」
○○は天子の体を見て言った。
○「胸m」
完全に言い切る前に天子は○○から離れ、○○が置いておいた緋想の剣を手にとった、
○「あ、やっぱりそれ天子のだったk」
そして、また言い切る前に○○に振り下ろした。
○「うおお!? いきなり何をするんだ!?」
天「うるさい!うるさーい! 貴方、一番気にしてることを!」
○「あ、やっぱり気になってたんd」
またまた言い切る前に剣を頭に振り下ろした、○○は間一髪でかわした。
天「うがー!」
○「オーケーオーケーw まずは落ち着け、天s」
またまたまた言い切る前に、なぜか扉が開いた。誰だと思って二人が見ると。
衣玖「ここから総領娘様の声が!?」
天「あ、衣玖・・・」
○「ん? 天子の知り合いか?」
恐らく、衣玖から見れば、この状態は○○に天子が誘拐され、天子が抵抗しているように見えるのであろう。
衣玖は怒っているのだろうか・・・? 体に電気が纏っているのが分かる。
○「なぁ・・・ 天子・・・」
天「うん・・・」
○「逃げたほうが、いいかな?」
天「うん、たぶん無理。」
○「え、ちょ、おま」
衣「貴方、総領娘様に何をしているのですか!」
と、同時に電撃が家を包んだ。
天&○「アッーーーーーー!?」
衣「・・・本当に申し訳ありませんでした、まさか総領娘様の幼馴染だとは・・・」
○「いや、いいですよ、ハハハ・・・」
結果、電撃によって家は丸焦げになり、とても住める状態では無くなっていた。
さぁ、どうしたものか。
天「家、黒焦げになっちゃったわね・・・」
○「あぁ、どうしたものか・・・。」
衣「どうしましょう・・・。そうだ!、○○さん、天界に住んでみるというのはどうでしょうか?」
○「はあ!?」
衣「それなりの部屋はお貸しします、いかがでしょうか?」
○「さすがに無理があるような・・・ なぁ、天子?」
天「いいじゃない!早速そうしましょう!」
○「おいい!?」
衣「では行きましょう、しっかりお摑まりくださいね?」
天「あ、衣玖ずるい!」
○「いや、まずちょっと俺の話を聞いてくれないk」
もう何回目だろうか、○○が言い切る前に衣玖と天子は急上昇し、天界へ向かっていった。
○「のおおおおおおおおおおおおおおお!?」
高速で上昇していく中、○○は、とんでもないことになったと思っていた。
○「まず天子、聞きたいことがある。」
天「・・・うん。」
○「なぜ俺は天子の部屋にいるんだ?」
天「し、知らないわよ! 衣玖に聞いてよ!」
○「衣玖さん、とんでもないことをしてくれやがったな・・・」
そう、衣玖の言ったそれなりの部屋とは、天子の部屋のことであった。
確かに綺麗ではあるし、そこそこ広い、だがベッドは一つしかない上に風呂ももちろん1つだ。
いくら幼馴染で仲良しとはいえ、いきなり2人で同じ部屋で過ごすのはハードルが高すぎる。
○「と、とりあえず風呂入って寝ようか。」
天「え!? あ、うん、分かったわ・・・ でもどうするの?風呂一つしかないわよ?」
○「あ、じゃあ先に入っていいか? そっちのほうが気が楽だろ?」
天「分かったわ・・・ じゃあ待ってるから。」
○「おう。」
風呂にて
○「なんか、とんでもないことになったな・・・ これから、どうなるんだ?」
○「まぁ、いいか。」
ちょ、ええんかい。
○「よし、次入っていいぞ、」
天「ん、分かったわ」
少女入浴中・・・
○「天子、ずいぶん遅いな?、いや 俺が早すぎるのか?」
天「ん、おまたせ」
○「おう、さて、寝るわけなんだが・・・」
○○はベッドを見つめて困ったような顔をした。さすがに二人で寝るのはまだ恥ずかしいらしい。
○「とりあえず、天子はベッドで寝てくれ、俺はソファーで寝るから。」
天「うん、ごめんね?」
○「ああ、気にするな。」
それから二人は寝巻きに着替え、そのまま寝ることになった。が
○(落ち着かない・・・こんな状態で落ち着けるか・・・! あぁ!天子の寝息聞こえるんですけど! やべぇ! 耐えろ俺!)
と、暫くしてからのことであった。
天子がうなされている事に気づいた。
天「ん・・・うぅ・・・」
悪夢でも見ているのだろうか・・・ 天子は苦しそうな顔で毛布を握り締め、震えていた。
○○は心配そうに天子の手を握ってあげた、すると暫くして、表情が元に戻り、再び安らかな表情に変わっていった。
○「おやすみ、天子」
そういって○○は天子の髪を撫でて、再びソファーに横になり、そのまま眠りについた・・・
朝。
少し早く目が覚めた天子は、昨日の夢を思い出していた。
最近天子はよく悪夢を見ていた、皆が天子を軽蔑し、離れて行き、虐められる、とても悲しい夢を。
だが今日は違った。なぜか途中で光のようなものが現れたのだ、その光は天子を抱きしめ、そこで悪夢は終わった。
こんなことは初めてなのだ。
天「なんだったのかしら、アレ・・・。 とても優しくて、暖かかったな・・・」
ふとソファーを見てみる、そこでは○○が寝ている。
ふと、自分の髪が少し乱れているのに気づく、寝癖ではなく、誰かに撫でられたような跡だ。
きっと、○○が撫でてくれたのだろう、そしてあの夢の光の正体は、○○だったのだろう。
そう思うと、嬉しい気持ちになってきた。
そして少し目を細め、ソファーで寝ている○○のところへ近づく。
そして○○の髪を優しく撫でた。
天「ありがとね、○○。」
そして、二人の共同生活の1日目が始まるのであった。
続く!
─────
うp主「やーっとイチャつかせることが出来たかな?」
天子「まだじゃないの? これってイチャついてるって言うのかしら・・・。」
うp主「うぐぐ、まぁ次回からが本編だから、気にしないでくれ。これはプロローグなんだからな。二人が再開するまでの。」
天子「ふーん・・・」
最終更新:2012年03月16日 23:40