―それは、ある夏の日に、ある少年に起こった、不思議な出来事―
夏休みの中頃のある日、うだるような熱気に満ちた部屋から逃げたいのと
受験勉強の休憩と気晴らしをするため、俺は散歩がてら近くの竹林に向かっていた。
「にしても今日はやけに暑いな。これはあれか、地球温暖化のせいか。ちくしょう。」
ちなみにエアコンやらクーラーやらを使わないで竹林に向かう理由はただ一つ。
俺の家では節電という理由でよほどのことがない限りそれらは使えないのだ。
うちわ?ナンデスカソレ?
「しかし冷えた緑茶は美味いな。コンビニに寄った甲斐があるというものだ。」
とか言っている内に竹林に到着。
「やっぱり竹林の中は涼しいな。ん?
うぁ……また鼻血か……」
そう、まただ。
俺は生まれつき鼻の血管が弱く鼻血が出やすい。
とはいえ最近の、特にここ一週間の頻度と量は少しばかり異常だった。
「こんな時に限ってティッシュを忘れるとか不注意にもほどってもんが……やべっ……クラクラしてきた……」
貧血か。それとも別の何かか?
そう考えている内に俺は気を失っていた。
「これでおしまいっと。」
その頃、幻想郷の人里である妖怪の少女が仕事を終わらせていた。
「うぅ、ちょっと遅くなっちゃった。早く帰らないと。」
そう言って、彼女は帰路に着く。
彼女が住んでいる場所は永遠亭。
迷いやすい、というか迷わないとおかしいと評判の「迷いの竹林」の中にある屋敷である。
「あれ?誰かいる……?」
竹林を歩いていた彼女が見たのは鼻から血を流して倒れている○○だった。
「倒れてる……って血を流してる!?だ、大丈夫ですか!?
い、急いで師匠のところに連れてかなきゃ!!」
そう言って彼女は○○を背負い永遠亭に急いだ。
「ああ!窓に!窓に!……うわあああああああああああ!?」
はあ……はあ……な、なんだったんだ今の夢は……
「ん?ここどこだ……?」
気が付くと、知らない場所にいた。
周りを見回してみると
「……ものすごく和風な部屋だな。」
自分の家にはこんな部屋はないし、病院というわけでもない。
内装から備品まで何もかもが和風。
「それよりも何で俺こんなところにいんの?」
そう呟き部屋を見回していると、
ウサ耳の生えた少女が部屋に入ってきた。
「あれ?気が付いたんですか?」
「へ?あ、うん。」
「どこか痛むところとかありませんか?
他にも気分が悪いとかは?」
「ん~、大丈夫そう。」
「そうですか……良かったです。」
どうやら彼女が助けてくれたらしい。
「えっと、君が助けてくれたの?」
「あ、いえ、私はここまで連れて来ただけで、治療とかその他諸々は師匠がしてくれました。
だから貴方を助けたのは私じゃなくて師匠です。」
「でも君がここまで連れてきてくれたんだろ?ありがとう。君がいなかったら死んでたかもな。
まあ、鼻血じゃさすがに死なないだろうけどな。」
「いえ、そんな……私は連れてきただけですよ。
……あ、でももしかしたら死んでたかもしれないですよ?」
「……え?鼻血で?」
「いえ。妖怪に襲われて。」
「…………妖怪?」
「妖怪。」
「いやいやいやいやまてまてまてまて妖怪なんているわけないじゃないか。
俺はそんな嘘に騙されるほどこどもじゃないぜ?」
「いますよ。妖怪。私もですし。」
「…………エ?イマナンテイッタノ?」
「いえ、ですから、私も妖怪ですよ。さすがに人は襲いませんが。」
「じょ、冗談じゃ……よ、妖怪だっていう証拠があるのか?」
「ありますよ。この耳がそうです。」
「それ付け耳じゃないの?」
「付け耳じゃありませんよ。というか妖怪なんてそこらじゅうにいるじゃないですか。」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ妖怪なんて初めて見るぞ!?」
いったいどういうことか。
わけがわからない。
妖怪?妖怪ってあの?
実在すんの?
しかし目の前の少女は妖怪など珍しくもないという。
しかも自分も妖怪だと言っている。
どうなってんだ?
夢なら醒め
「あの……」
「ひっ!?お願いします食べないでください殺さないでください見逃してくださいなんでもしますから」
「おっ落ち着いてください!大丈夫です食べたりしませんし殺しもしませんから!」
「でもこんな可愛い女の子に食べられるならそれはそれでじゃなくてって……え?
食べないの?」
「はい。」
「殺さないの?」
「はい。」
どういうことだろうか。
この少女は自分は妖怪だといいながら俺を食べない殺さないと言う。
だがまて俺。冷静に考えろ。もしかすると騙して悪いがになるんじゃないか。
もしそうなったら。
………………ありだな。
じゃなくて俺はどうすればいいんだ。
「えっと、あの、その大丈夫ですか?」
「はっ!?あ、はい、大丈夫です。」
と、とりあえず現状把握するか。
うんそうしよう。
「じゃあまず名前を聞いてもいいですか?」
「ああ、そういえばまだ自己紹介してなかったね。
俺は○○。君は?」
「私は鈴仙です。」
「じゃあ、鈴仙。妖怪がそこらじゅうにいるってどういうことなの……?」
「ですから妖怪なんて別に……あっ。」
「え?何どうしたの?」
「あの、○○さんは妖怪を初めて見たんですよね。」
「う、うん。そうだけど。
それより俺のことは呼び捨てで良いよ。あと敬語もいらないよ。」
「良いの?」
「もちろん。俺も鈴仙のこと呼び捨てにしてるんだし。」
「それなら普通に話すわね。それじゃ話を戻しましょうか。
……多分○○は……外の世界の人間だと思う。」
「………………外の世界?」
なんだそれは。まるで今いる場所が異世界みたいな言い方じゃないか。
……まさか……な。
「あ、まだ説明してなかったわよね。ここは幻想郷。○○が住んでいた世界とは結界で隔絶された場所よ。」
ほんとに異世界だった。
なんということだ。俺はこれから勇者になってこの世界を救ったりするんだろうか。
いや無いな。これじゃ厨二病乙とか言われちまう。
「幻想郷?それが、ここの名前?」
「ええ。それでこのお屋敷が永遠亭、私達が暮らしている場所よ。」
「え、でも結界で隔絶されてんだろ?それなら何で俺がここにいるの?」
「結構多いのよ、外の世界から幻想郷に連れて来られる人。○○もその内の一人だと思うわ。」
「マジか……外の世界に帰る方法ってないの?」
「ありけど……まず無理ね。」
なんてこった。俺はこのまま幻想郷で暮らさなきゃいけないのか?
……まあ受験から逃げられると思えばそんなに悪いもんでもないけど。
といっても受験から逃げるんなら幻想郷に骨埋めることになるな……
「はぁ……これからどうすればいいんだ……」
と俺が悩んでいると
「ねぇ、もし良かったらここに住まない?」
救いの手が差し伸べられた。
「え……?良いの?もしそうなら是非もなく住まわせて頂きたいんだが。」
「良いわよ。その代わり条件があるけど。」
「条件?何だ?出来る限りその条件を呑むつもりだが。というか呑まざるを得ないんだが。」
「簡単よ。私と一緒に師匠の手伝いをするだけです。永遠亭は男手が少ないから是非手伝って欲しいの。」
拍子抜けするほど簡単だった。
これなら俺にも出来る。
「わかった。喜んで手伝わせてもらうよ。それじゃあこれからよろしく、鈴仙。」
「こちらこそよろしくね。」
てーてれれれー
○○は すむばしょ を てにいれた
あの後、幻想郷についての説明をうけてから、既に永遠亭に住んでいる人達に挨拶することになった。
最初に会ったのは因幡てゐ。
「俺は○○。よろしくな。」
「私は因幡てゐ。よろしくね、○○。基本的にはイナバ達の管理をしてるわ。
ちなみにこれでも永遠亭の中じゃ2番目位に年上だよ。」
「なん……だと……?」
流石妖怪と言うべきか。どう見ても鈴仙より年下なのにその正反対ときた。
人間の理解が及ばない所にいるね。一体何歳なんだろうね。
リアルロリババァとか初めて見たよ。
「それよりもこれから鈴仙の師匠に会いに行くんでしょ?ね?鈴仙。」
「ええ、そうだけど。」
「なら気を付けてね○○。あの人怒らせると怖いから。」
「そうなのか?鈴仙。」
「え、ええ。だから失礼のない様にね。怒らせたらなにされるかわからないから。」
「そ、そうか……」
鈴仙の表情でどれ位恐ろしいかだいだいわかった。
……なにされたらあんな表情になるんだ……
次に会ったのは八意永琳。
この人が鈴仙の師匠らしい。それと俺を治療してくれた人もこの人らしい。
「はじめまして。○○です。」
「はじめまして、○○。といっても私は治療の時に貴方を見ているけどね。
私は八意永琳よ。」
「あの、一つ聞いていいですか?」
「あら、なにかしら?」
「俺、本当にここに住まわせてもらっていいんですか?」
「ああ、そのことね。どうせ部屋は余っているんだし、私としても手伝いが増えるのはうれしいしね。
だからそんなこと気にしなくていいのよ?」
「ありがとうございます。そう言ってもらえると助かります。」
「別にいいのよ。その代わり、しっかり働いてもらうわよ?」
「わかりました。精一杯働かせていただきます。」
それで話は終了。
部屋を出ると鈴仙が話しかけて来た。
そのまま話しながら次の部屋に行く。
「あ、終わった?」
「ああ。次は誰に挨拶に行けばいいんだ?」
「次は、姫様よ。」
「姫様?愛称かなにかか?」
「違うわよ。そのままの意味。」
「そのままの意味って……本物の姫様!?」
「うん。そうよ。まあ、会えばわかるわよ。」
「そ、そうか……」
「着いたわ。ここが姫様のお部屋よ。」
どうやら話している間に着いた様だ。
「そんなに怒りやすい方ではないけど、くれぐれも失礼の無い様にね。」
「わかった。気を付けるよ。」
そして最後に会ったのが先の会話にもでた姫様である。
名前は蓬莱山輝夜。なんと、かの有名な竹取物語のかぐや姫その人なのだ。
実在するとはな、ほんと世の中不思議が一杯だぜ。
「はじめまして。○○といいます。」
「はじめまして。貴方が○○ね?私は蓬莱山輝夜。
この屋敷の主人よ。」
なるほど。たしかに雰囲気や所作がいかにも姫様って感じだ。
「これからよろしくお願いします。」
「ええ、よろしくね。ところで○○、貴方外の世界から来たのよね?」
「は、はい。そうですけど。」
「それなら今度、外の世界がどうなっているか教えてくれるかしら?」
「はい。大丈夫です。いつ話せばいいですか?」
「時間が出来た時でいいわ。しばらくはこっちの生活に慣れてもらわないと。
話してくれるのはその後でいいわ。」
「わ、わかりました。それじゃこれで失礼します。」
「ええ、それじゃあまた今度ね。」
これで一応全員に挨拶できたな。
と、部屋を出た所で鈴仙が話しかけてきた。
「大丈夫だった?怒らせたりして無いよね?」
「ああ、大丈夫だよ。それと、今度外の世界の話をしてくれって頼まれたよ。」
「そう……良かった……」
なんか物凄い安堵してるんですけど!
え?何?怒らせるとそんなに怖いの!?
ま、まあそれは置いとくとして
「それじゃ改めて、これからよろしく、鈴仙。」
「うん、こちらこそよろしくね、○○。」
こうして俺の永遠亭生活が始まった。
それから数日は師匠に手伝いの内容を教わったり、屋敷内を鈴仙に案内してもらったりした。
―ちなみに鈴仙が師匠って呼んでるから俺も合わせることにした。
しかし、手伝いの内容がきついぜ。
朝の5時からなのは問題無い。今までも5時起きだったからな。
基本雑用ばかり。これも問題無い。雑用好きだしな。
でも……おつかいが、辛すぎる。
一人じゃ迷いの竹林抜けれないからさ、鈴仙に頼るしかないわけよ。情けない事に。
師匠と姫様に頼るわけにはいかないし、てゐはイナバ達の管理で忙しいし。
で、なんで辛いかと言うと、俺は思春期真っ只中の男の子だということに全ての原因がある。
いくら仕事とはいえあんな美少女と二人っきりで竹林を歩くのは辛い。
最初に起きた時は余裕が無かったから気にならなかったけど、余裕が出来てきた今はどうしても意識しちまう。
でも、まぁ基本的には問題なく出来ていたんだ。
そんな感じで一年が経ったある日のこと
「落ち着くんだ俺……いつどおり……いつもどおりで良いんだ……」
俺は鈴仙とおつかいに出ていた。
「○○?どうしたの?さっきからなにか呟いてるけど。」
「え?あ、いや、なんでもない!気にしないでくれ!」
「そ、そう?それなら良いけど。でも顔赤いわよ?熱でもあるんじゃない?」
そう言って鈴仙は自分の額を俺のにくっつけてきた……って
「ちょ、鈴仙何やってるの!?」
「何って、熱があるか確かめただけだけど?んー、熱は無いみたいね。」
う、うわ……顔近い……っていうか視界一杯に鈴仙の顔が!?
「……あ……」
バタン
「え?ち、ちょっと○○!?大丈夫!?○○!?」
「あれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だ
あれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だ
あれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だ
あれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だあれは墨汁だ……はっ!?」
「あ、○○、起きた?」
「あ、あれ、俺、いたいどうなて。」
「大丈夫?すごいうなされてたけど。」
「あ、ああ。いや、ちょっと悪夢を見ていただけだ。」
「ちょっとどころじゃないほどうなされてたけど、本当に大丈夫?」
「大丈夫だって。ちょっとSAN値直葬されただけだから。」
「SAN値直葬?まあ大丈夫ならいいけど。」
「ところで俺はなんで永遠亭にいるんだ?おつかいの途中じゃなかったか?」
「○○が途中で倒れたんでしょ。」
「倒れた?……ああ、確かに倒れたっけな。」
「あの時どうしたの?顔が真っ赤になったと思ったら倒れてびっくりしたのよ?」
う……思い出しちまった。
「また顔が赤くなってるけど、本当に大丈夫なの?」
「だ、大丈夫。」
「それなら良いけど。」
「と、ところでおつかいは?」
「○○が気を失っている間に行ってきたわ。だから心配しなくても大丈夫よ。」
「そ、そうか……ごめん、迷惑かけちゃったな。」
「気にしなくても良いわよ。辛そうだったしね。
それよりもう少し休んだ方が良いんじゃない?まだ顔が赤いし。」
「うん、そうさせてもらうよ。」
「それじゃ私は師匠の手伝いしにいくわね。お大事に、○○。」
「ありがと。手伝い頑張ってな。すぐ体調整えて手伝うから。」
「わかったわ。でも無理だけはしないでね。」
「わかった。」
そして鈴仙は部屋から出て行った。
「はぁ。実際は顔近づけられて恥ずかしかっただけなんだけどな。」
まさかあんな事されるとは思わなかったな。
「とりあえずこれ以上は心配かけたくないしな。……寝るか。」
う……本当に体調が悪いのかな。体が妙に重いぞ。
早く寝た方が良さそうだな。
「○○。起きてー。○○ー。おーきーてー。」
「うぅ……うぁ?」
「起きた?」
「ん、おはようてゐ。」
「おはようじゃないよ。もう日は沈んでるよ?」
「ああ、そういえば体調悪くて昼ごろに寝たんだっけな。それで何のようだ、てゐ?」
「んー?お風呂が空いたからそれを伝えに来ただけ。」
「そっか。ありがとな。」
「どーいたしましてー。入るなら早くね。夕飯の時間まであと一時間位だから。」
「ん。わかった。」
「ちゃんと伝えたからね。じゃあね。」
さて、風呂か。体調も良くなったみたいだし、熱もないし、入るかな。
「えーっと、着替えはっと。」
ここの風呂は結構広いから体をのばせられて気持ちいいんだよな。
「しっかし、本当に永遠亭は広いな。いまにも迷いそうだ。」
とか言っている内に無事浴場に到着。
「早く風呂に入る為に急いで服を脱がなきゃ………………」
「…………………………………………………………………………」
「…………………………………………………………………………」
あるぇー?なんで鈴仙がいるのー?しかも着替えてる最中の。
「きゃ……」
「きゃ?」
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
「ごごごごごめんなさい!!すいません!!覗くつもりなんてなかったんです!!
ほんとにすませんでしたあああああああああああああああ!!」
「うぅ、ぐすっ。」
「ほんとにすいませんでした。」
「もう……良いわよ……てゐのせいだし……○○は悪くないわよ……」
「いやでも……」
「良いの!あんまり謝られても、思い出しちゃうし。」
「そ、そうか。ごめん。」
「もう、謝らないでっていってるそばから謝らないでよ。」
「う、うん。」
「それに……○○になら見られても良いと言うか……」
ん?今凄い発言が聞こえた気が……
「え?それってどういう……」
「そ、そのままの意味よ……」
ど、どういうことだ?外の世界じゃ女の子には相手にもされていなかった俺が、まさか、そんな。
いや、でも、これはそうとしか……いや!早まるな俺。これで勘違いだったりしたら……いやしかし!
俺は鈴仙の事が好きだ。優しいし、気配りも出来るし、いつも一生懸命だし。
だから。だからこそ、今が告白のチャンスでは?
それに、ここまで言わせておいて自分は何も言わないのは駄目だろう。
……よし。覚悟は決めた。後は告白するだけだ。
「れ、鈴仙。よく聞いて欲しい。」
「な、何?」
「俺は鈴仙が好きだ。大好きだ。」
「え……あ……うう……」
「だから、もし鈴仙が良いのなら……俺と付き合って欲しい。」
「あう……うう……うっ……ぐす……う……」
「れ、鈴仙!?な、泣くほど嫌だったか?」
「う、ううん。違うの。嬉しくて、嬉しすぎて……ひくっ……涙が勝手に出てくるの……」
「じ、じゃあ……」
「うん。私も○○の事が好き。大好き。……だから、こんな私で良ければ、ずっと一緒にいて。」
俺は思わず鈴仙を抱きしめた。
「うん。こんな俺で良ければ、喜んで。」
「こちらこそ、喜んで。」
そして……俺達は、初めて、キスをした。
「おお!キスしてる!いや~良かった良かった。やっと二人がくっついたね。」
そう言いながら興味津々といった様子で二人を見ている影があった。
「ええ、そうね。やっとよ。二人とも奥手なんだから。こうでもしないとくっつかないわよ。」
その影の言葉に答えるもう一つの影。
「ほんとにね~。私達が手を出さなかったら、後半年は進展してなかったんじゃないの?」
さらに答える三つ目の影。
「確かにね~。でも手を出さなくても良かったんじゃない?そっちの方が見てる分には面白いし。ね?永琳。」
「あら、そういうてゐだって前々から何度も機会を作ってあげてたじゃない。」
「あちゃ~、ばれてたか~。でも姫様もやってましたよね?」
「ええ。大切な家族の為ですもの。それに楽しそうだったしね。」
「さ、話はおしまい。邪魔にならない内に退散しましょ。」
「「はーい。」」
「ん……なんか物音がしなかった?」
「ん……ふぁ、気のせいじゃない?それよりもっとキスしましょ?」
「ん、了解。」
その後、夕食が出来たとてゐが言いに来るまでずっとキスしていたのだった。
───────────────────────────────────────────────────────────
鈴仙と付き合い始めて一週間。
今まで女性と話すのが苦手だった俺も人並みに話せる様になっていた。
そして今、俺は、いまさら過ぎる疑問を持っていた。
「ねー、鈴仙。」
「なに?○○。」
「何で俺の事好きになったの?」
「え!?そ、それは……その……」
おー。顔真っ赤。相変わらず可愛いなあ。
「教えてよー。俺も教えるからさー。」
「ほ、ほんとに?」
「ほんとに。約束する。」
「ぜ、絶対よ?」
「嘘はつかない。絶対にだ。」
「うぅ、わかったわよ。」
耳まで真っ赤になってる。ほんとに可愛いなあ。
「最初に気になりだしたのは一緒に住み始めてから一ヶ月経った時。
いきなり知らない世界に来たのに、現実から逃げ出さずに頑張る○○が昔の私とは正反対で、○○の事を凄いと思ってた。」
「昔の鈴仙?」
そういえば付き合っているのに鈴仙の過去はほとんど知らないままだ。
「よければ、鈴仙の過去を教えてくれないかな。」
「……うん。私が月の兎だって事は話したわよね。」
「ああ。」
「実はね、私は月から逃げてきたの。」
「逃げてきた?一体何があったんだ?」
「当時は、地球と戦争が起こるかもしれないって月では言われてたの。
その時は私は一人の兵士だったの。でも、臆病な私は戦争が怖くて、始まってもいないのに仲間を捨てて。
それでこの永遠亭に逃げてきたの。」
「そうだったのか……」
意外な鈴仙の過去。
だからたまに月を見て辛そうにしてたのか。
「この話を聞いて私の事見損なった?嫌いになった?」
「そんなわけ無いだろ。俺だってそんな事になったら逃げるさ。
それに、俺だってこっちに来たのを良い事に向こうの世界の嫌な事から逃げてるんだ。
後、鈴仙が逃げてこなかったら会えなかっただろ?
だから気にしないよ。」
「……ありがと。やっぱり○○は優しくて強いね。」
「そんな事は無いよ。さ、これ以上暗くなっても仕方ないし、続き話してよ。」
「うん。わかったわ。
えっと、○○が私とは正反対で、○○は強いんだなって思って。
それからかな、○○が気になり始めたのは。」
「ほうほう、それで?」
「気になるが好きに変わったのは、それから一ヶ月も掛からなかったわ。
いつも自然と○○の事を目で追っちゃって。そしたら○○の優しいところとか、頼れるところとかがわかって。
いつの間にか好きになってたの。」
「俺が優しい?」
「優しいわよ。例えば……」
あれは○○がここに暮らすようになってから二週間くらいだったかな。
私が師匠に頼まれて荷物を運んでた時の事。
「あ、鈴仙。どうしたの、そんな重そうな物持って。」
「あ、○○。師匠に頼まれて荷物を運んでるところよ。」
「かなり重そうだけど大丈夫?俺が持とうか?」
「大丈夫。そんなに重くないし。」
「いや、でも……」
「平気よ、これ位。私はこれでも妖怪よ?」
「いいから。」
「あっ、ち、ちょっと○○!?」
「これは男である俺が、俺が為すべきことなのだ!」
「そ、そう。それじゃお願いするね。ありがと。」
「とか。」
「ああ、あの時の事。普通の事したとしか思ってなかったけどな。」
「そんな事ないわよ。少なくとも、あそこまで頑なに手伝おうとするのは普通じゃないわ。
大抵は、大丈夫って答えたら引き下がるしね。○○のはとりあえずじゃない、本当の気遣いだもの。
優しくない訳ないわ。」
「そんなもんか。」
「後は、私がてゐの掘った落とし穴に落ちた時に……」
「っつ~!……こら!てゐ!また悪戯!?何度言ったらやめるの!
…………てゐ!?え!?放置!?せめて穴から出るのを手伝いなさい!」
「…………どうしたの、鈴仙?大丈夫?穴から出るの手伝おうか?」
「え?○○?」
(ど、どうしよう……○○にこんな格好見られるなんて……てゐ、許さない。絶対によ。)
「ほら、掴まって。」
「あ、うん。」
「よいしょっと。大丈夫?怪我は無い?」
「え、ええ。大丈夫。ありがとう、○○。」
「ほんとに?……ちょっとごめん。足見せて。……やっぱり怪我してる。
すり傷でも怪我は怪我なんだから、誤魔化しちゃだめでしょ。
すぐに手当てしないと……ちょっと待ってて。救急箱取ってくるから。」
「あ、ちょっと○○!?……もう、ただのすり傷なのに……
でも、心配してくれてるんだよね。そう考えれば悪くないかな。」
「その後、すぐに○○が戻ってきて治療してくれたでしょ?
すごく丁寧に手当てしてくれて……ちょっと嬉しかったかな。」
「ああ、あれね。」
「他にもいろいろあるけど全部聞く?」
「いや、いいよ。なんで俺の事が好きなのかわかったし。
残りの話は、また今度してくれ。」
「うん。それじゃ、○○の話を聞かせてもらうわよ。」
「んー、俺が鈴仙を好きになった理由ねぇ……
強いて言うなら、一目惚れだな。」
「一目惚れ?それって、ようするに私の見た目が好きって事?」
「ち、違うって、違うから睨まないで。」
「違うって何が違うの?」
「そりゃ最初は、なんて可愛いんだろう、って思って好きになったよ?
でもそれだけじゃここまで好きになんてなってないって。」
「じゃあ何で?」
「最初に会って、一目惚れして、それ以来鈴仙の事を無意識に目で追ってたんだ。
そしたらどんどん鈴仙の良いとこがわかって。
優しいところ、気配りが出来るところ、照れ屋なところ、いつも一生懸命なところ。
他にもいろいろ。それで気が付いたら鈴仙に夢中になってた。
自分でもびっくりした。人をここまで好きなるのは初めてだったし。」
全部本当の事だ。初めて人をここまで好きになった。
「俺が鈴仙の事が好きな理由はこれが全部。
これでも納得できない?」
「う……あう……ううううううう…………」
真っ赤になってる。そこまで言ったかな。
「ううううう…………わかった。」
「それなら良かった。鈴仙は笑ってる顔が一番可愛いから。
ずっと不機嫌そうな顔してるとこっちまで辛くなっちゃうよ。
だから笑ってよ。ね?」
「……うう……○○ずるい。」
「へ?ずるいって……んむ!?」
「ん……ふぁ……」
「なにするのさ、鈴仙。」
「えへへ、仕返し。」
「仕返しって……」
「……○○、大好き。」
……ずるいってこういう事か。
確かにずるいな。
あんな可愛い照れたような笑顔で大好きなんて、
「ち、ちょっと○○!?また鼻血!?」
興奮して鼻血出ちまうって。
「おうおう、相変わらずのイチャつき具合ですな、永琳。」
「まったくね。……まあ、○○が来てからうどんげの笑顔を見る事が多くなったし、付き合い始めてからはさらに増えたしね。
良い事じゃないかしら。」
「ん~、そうだね。鈴仙よく笑うようになったしね~。前も笑う事はあったけど、今はそれよりもよく笑うしね~。」
「そうでしょ?だから今はそっとしてあげましょ。からかうのは明日でも出来るんだしね。」
「そうだね。それじゃ、明日思いっきりからかおっと。」
「私も協力しましょうか?」
「うん。それじゃ二人でからかおっか。」
そして、自分達がてゐと永琳に散々からかわれて二人揃って顔を真っ赤にする事に気付けるはずもない二人であった。
今日も明日も永遠亭は平和です。
───────────────────────────────────────────────────────────
ある日の昼下がり。
俺と鈴仙は師匠の手伝いをしていた。
「今日は師匠の実験の補助か。……失敗だけはしないようにしよう。」
「そうね。もし失敗したら……」
「やめてくれ鈴仙。考えるだけで恐ろしいんだから。」
「え、ええ。やめておきましょう。」
何度やっても慣れないな。
失敗したら何をされるかわかったもんじゃない。
この前失敗した時はお仕置きという名目で新薬の実験台にされて大変だった。
とにかく失敗だけはしないようにしよう。
「二人ともお疲れ様。今日の仕事はこれで終わりよ。」
よし、失敗せずに終わらせられた。
だから、俺と鈴仙は部屋に戻ろうとしたんだ。
でも、
「ああ、そうだ○○。ちょっと頼みたいことがあるから残ってくれる?
うどんげは先に戻って休んでなさい。○○はすぐに返すから。」
「「……え?」」
ば、馬鹿な!失敗はしていないはず!
なぜ!?
「……○○。」
「な、なんだ、鈴仙?」
「……部屋で待ってるわね。」
「あ、ち、ちょっと鈴仙!?ま、まって!助けて!」
「大丈夫。○○なら平気よ。きっと。」
「きっと!?そ、そんな!見捨てないでくれ!」
「信じてるわ、○○。」
そう言って鈴仙は部屋から出て行った。
「れ、鈴仙!?れいせぇぇぇぇん!」
恋人に見捨てられ絶望している俺に追撃が加えられる。
「さて、それじゃいいかしら、○○?」
「は、はい……」
「じゃあこの薬を飲んでくれるかしら?」
その瞬間、俺の体が意思に反して勝手に震え始めた。
「どうしたの、○○?」
「え?な、何でも無いです。」
く、薬。あの事を思い出してしまう。
あの、精神が幼児化してしまう薬の事を……
あれのせいで俺は治るまで鈴仙が一緒にいないと泣き出すし、
鈴仙はそのせいで困り果てて涙目になるし、
そのネタで一ヶ月からかわれるしで酷い目にあった。
ただ一つの収穫は困った時の鈴仙が可愛かった事だ。
「そう。ならこの薬を飲めるわよね?大丈夫。この前みたいな事にはならないから。」
す、すごく嘘くさい!嘘くさいよこの薬師!
でもここで飲まないともっと酷い事に、最悪、鈴仙に魔の手が伸びるかもしれない。
ここで男を見せずにどこで見せるんだ!
最後の一歩を踏み出すんだ俺!
「わ、わかりました。」
そして、俺は薬を飲んだ。
その後の事は思い出したくも無い。
「うどんげ~○○連れて来たわよ~。」
「え!?本当ですか!?○○無事だったんですか!?」
「うどんげ……貴方は自分の師匠をなんだと思っているの……?」
「あ、すみません、師匠。それで○○はどこですか?」
や、やめて!鈴仙!俺を探さないで!こんな姿見られたら恥ずかしくて死んじゃう!
「○○ならここにいるわよ。ほら、○○、うどんげの部屋に着いたわよ。」
ちょ、おま!く、抵抗できないだと!こんな体じゃなければ!
「え?……○○……?」
「それじゃ、私は戻るわね。」
あ、師匠!せめてこの体を治してから……ってもういねぇ!?
「…………」
「ね、ねえ。ほんとに、○○、なの?」
ああ、やめて。そんな信じられないようなものを見るような表情しないで。
俺も信じられないんだから。
「……うん。」
「……か」
「か?」
猛烈に嫌な予感がする!
「可愛いいいいいいい!」
「え?あ、ちょ、むぐ!?」
「○○がちっちゃくなってる!可愛い!」
「んぐ……むぐ……んむう……」
く、苦しい!胸に、顔が埋まって、苦しい……
あ、やばい、死ぬ。ああ、でも鈴仙の胸柔らかいし大きいし気持ちいい……
って何考えてるんだ俺は!
「れ、鈴仙……苦し……」
「え?○○!?ご、ごめん!」
あ、危なかった……
「ごほっ、げほっ」
「ごめんね、○○。大丈夫?」
「な、なんとか。」
「でも、どうしてちっちゃくなってるの?」
「それは……師匠の薬で……」
そう。今の俺は体が小さくなっているのだ。
俗にいうショタ化というやつだ。
「ああ、師匠の。」
「うっ……ぐす……なんで……ひぐっ……こんな目に……」
前より酷くないかこれは。
「○、○○、泣かないで。治してもらえるよう師匠にお願いするから。ね?」
「……わかった。」
「それじゃ、師匠にお願いしてくるから○○はここにいてね。」
「ん。」
さて、どうするか。正直服がぶかぶかでいろいろまずいんだよな。
子供用の男の服があるとは思えないし。
どうするか。
「○○~ちゃんと待ってた~?」
「あ、鈴仙。どうだった?」
「治療薬作るのに時間がかかるから後一週間は我慢してだって。」
「なん……だと……?」
「それと着るものが無いだろうからって服もらってきたわよ。」
「ほんとに?ありがとう。着る服がないからって悩んでたところなんだよ。
どういう服?見せて。」
「これ。」
そう言って出されたいくつかの服。
サイズは合っている。が
「なんで女ものばっかなの!?」
「だって師匠が、今の○○に合う大きさの服はこれ位しかないって。」
「じゃあ、俺、後一週間女装するの?」
「そういうことになるわね。でも大丈夫。○○は可愛いから女装しても違和感無いわよ。
というわけで。早速着替えましょうか○○。
大丈夫。女の子の服の構造はわからないだろうから着替えさせてあげる。」
「いや、そういう問題じゃってちょ、ま、いや!やめっ
いやああああああああああああああああああああああ!!」
「う……うう……もうお婿にいけない……」
「だ、大丈夫よ、○○。よく似合ってるわよ。すごく可愛い。」
「こんな……こんなフリフリの服……もうやだ……」
しかも、よりにもよってゴスロリって……
「なんでこんな服持ってるんだよ……師匠は……」
「香霖堂にあったのを交渉して譲り受けたっていってたわよ。」
なぜこんなのがあるんだ。香霖堂。
「……鈴仙。俺は体が治るまで部屋から出ない。」
「駄目よ。ご飯とかお風呂とか部屋から出ないとでしょ?」
「ご飯は部屋でも食べられる。お風呂は皆が寝てから一人で入る。」
「ご飯は皆で食べたほうが美味しいし、お風呂もその体で一人で入るのは大変でしょ?
体洗う時とか。」
「うぐ。」
「それじゃ、夕食の時間だから皆のところに行かなくちゃね。」
「ぐぅ、わかったよ……」
「あれ?鈴仙、○○は?」
「そういえばいないわね。イナバ、どこにいるか知らない?」
ああ、めっちゃ楽しそうに笑ってるよ皆。
絶対これ師匠が伝えてあるよ。
またからかわれるのか。
「○○ならここにいますよ。」
「「「…………」」」
あ、あれ?皆からかわないのか?
「「「か」」」
あれ?なんか似たような事があったような……
「「「可愛いいいいい!!」」」
「ひ!?ち、ちょっま、
い、嫌ああああああああああああああああああああああああ!!」
あの後は散々な目にあった。
てゐや姫様、果ては師匠まで撫で回してきた。
他にも因幡たちまで一緒になって撫でてくるし。
鈴仙は味方だと思ってたら加わってるし。
しかも、
「ねえ、鈴仙。」
「何、○○?」
「ほんとに一緒に入るの?」
「一人じゃ体洗うのも辛そうだから、手伝うのは恋人として当然のことでしょ?」
「こ、恋人って……確かにそうだけど、面をあわせて言われると恥ずかしいな……」
鈴仙と一緒にお風呂に入る事になっていた。
恋人同士とはいえやはり恥ずかしい。
しかもこの体だからなおさらだ。
「はい。服脱げたわよ。」
しかも着ていた服の仕組みがわからないから脱がされる事になってるし。
「それじゃ入りましょ。」
うう、バスタオルで隠しているとはいえ、体のラインがくっきりと見えてる……
やばいって。
「お湯かけから目、瞑っててね。」
「う、うん。」
お湯が暖かい。
それ以外はなにも感じない。感じないんだ。
「体も洗ったし、お風呂に入ろ、○○。」
「あ、うん。」
「もう。さっきから生返事しかしてないじゃない。
ちゃんと返事してよ。」
「ご、ごめん。」
うああ、近い!後ろ向いてるけど近いのがわかる!
「ちゃんとこっち向いてよ、○○。」
「わ、わかった。」
「む~~。えいっ。」
「ち、ちょっと鈴仙!?」
「な~に?○○はくっつくの嫌?」
「い、嫌じゃないけど、その、そんなにくっついたら……」
「くっついたら、なに?」
「う、それは、その……」
う、胸が当たって……
このままじゃまた鼻血が……
「○○?……また鼻血出てる。大丈夫?そろそろ出ようか?」
「う、うん。出よう。」
鼻血出てきたよ。
これじゃ嫌な予感が的中しちゃう。
「○○、鼻血が出てたら体も頭も拭けないでしょ。
だから拭いてあげるね。」
その楽しそうな笑顔はなんですか。
「あ、ありがと……」
まさか体拭くってあそこも……?
い、いや、まさか。そこは流石に自分で拭いてって言われるだろ。
「うふふ。じっとしててね、○○。」
そんな事はなかったああああ!?
この世に神はいないのか!?
というか、うふふって何!?
やけに楽しそうですね、鈴仙!
「ん……あ……あう……く、くすぐったいよ、鈴仙。」
「我慢してね。もうちょっとだから。」
もうちょっとってどのくらいだ……
時間の流れが遅く感じる。
ま、まだか……
「はい。拭き終わったよ。それじゃあ着替えましょうね~。」
「は、はい……」
ふぅ、やっと終わりか。
「こんどは別の服にしましょうね。何がいい?」
「え、え~っと……」
何がいいって、それ以前に選択肢が鬼畜過ぎる!
ワンピースとネグリジェと今まで着ていたやつと色違いのゴスロリってなに!?
この中から選べってこと!?
くっ、一番まともなのは
「このワンピースがいい……」
「わかったわ。それじゃ早速着ましょうね。」
うう、俺は男なのに、ちっちゃくなったからってこれはあんまりだ……
しかもこのワンピース、一番まともとはいえピンクだし……
泣くぞ。わんわん声を上げて泣くぞ。ぐすん。
「それじゃ部屋に戻ろっか、○○。」
「うん……」
というわけで部屋に到着。
うう、こんな格好で鈴仙と寝る事になるなんて……
「それじゃおやすみなさい、○○。んむ……」
「む……むぐぅ……っふぁ……おやすみ、鈴仙。」
はあ、キス一回でどうでもよくなるなんて、俺って単純だな。
鈴仙が楽しいんならしばらくはこのままでもいっか。
その後、文に写真を撮られていて、新聞を読んだ幻想郷の人妖が○○のもとに押し寄せた。
しかもその際に巫女服やメイド服、学生服にチャイナドレスなど様々な服がプレゼントされ、
鈴仙にいろいろ着せ替えられる事を、今の彼は知らない。
───────────────────────────────────────────────────────────
先日のショタ化騒動から二週間。
今、俺は人里に薬を売りにいった帰りだった。
「ちょっと遅くなっちゃったな。」
いつもは鈴仙と一緒だけど、今日は鈴仙は別の手伝いを師匠に頼まれたみたいで一人で来ていた
最近になって迷いの竹林を一人で通れるようになったから、一人でも大丈夫だと師匠は思ったんだろう。
俺も鈴仙と二人で来れないのは寂しいが手伝いなら仕方ない、と承諾した。
……今思えば、それが間違いだったんだろう。
「あ。」
「え?」
やせいの ようかいが とびだしてきた!
「……お前、外来人か?」
「あ、はい。」
「そうか……」
あ、あれ?襲い掛かってこない?
も、もしかして友好的な妖怪なのかな。
「なら、いただきますだ!外来人!」
「え、えええええええええええ!?」
ちがったあああああああああ!!
「ちょ、ま、俺は美味しくないから!!不味いから!!」
「食わなければわからないだろ!」
「い、いや、やめ……」
「まだ抵抗するか!身持ちが固いなあ、少年!」
「身持ちが固いとかそういう問題じゃ……」
「ええい!いい加減諦めろ!安心しろ!悪いようにはせん!ただちょっと食べるだけだ!」
「じ、冗談じゃ……」
俺、このまま死ぬのかな……死にたくないな……
「ギャアアアム!」
「……え?」
「○○!大丈夫!?」
「あ、うん……ありがとう、鈴仙。」
「そう……よかったあ……」
「でも、なんで鈴仙がここに?師匠の手伝いは?」
「手伝いが早く終わったから、○○を迎えに来たの。」
「そうだったんだ……ごめんね、鈴仙。
いつも助けられてばっかりで、鈴仙に何もしてあげられなくて……」
そう謝ると、鈴仙が俺を抱きしめた。
優しく、母親のように。
「いいのよ、そんな事。私は○○が側にいてくれればそれでいいの。
それに、○○は私にいろいろしてくれてるじゃない。」
「でも……」
「いいの!はい、これでこの話はお終い!帰りましょ、○○?」
「……わかったよ。」
……やっぱり、鈴仙は優しいな。
でも、いつまでもその優しさに甘えてるわけにもいかない。
「……決めた。」
あの後、永遠亭に戻った俺は、数日間悩んでいた。
自分が、鈴仙の為に何が出来るか。その為には何をすべきか。
そして、決めた。
「弾幕ごっこが出来るようになろう。」
とにかく、自分の身を自分で守れるようにして、鈴仙にかかる負担を減らそう。
そう思ったのだ。
以前みたいに妖怪に襲われることが今後無いとは限らない。
もし、鈴仙の知らないところで妖怪にでも殺されたら、鈴仙は悲しむだろう。
俺は鈴仙を悲しませたくない。
だから、鈴仙に頼んででも弾幕ごっこが出来るようにならないと、と思った。
「善は急げだ。早速鈴仙に頼んでこよう。」
「え?弾幕ごっこを教えてほしい?」
「うん。お願い。」
「理由によるわ。」
「この前、俺が妖怪に襲われたでしょ?だから、自分の身は自分で守れるようにしたいな、って。」
「それなら良いけど……」
「けど?」
「スペルカードを使えるようになるまでは少し大変よ?それでも良いの?」
「うん。大丈夫。」
「なら、明日から特訓を始めるって事で良い?」
「ぜんぜん構わないよ。」
「それじゃ明日ね。」
「わかった。」
翌日の朝。
約束どおり俺は鈴仙に弾幕ごっこを教わっていた。
「それじゃ始めるわよ。」
「はい、鈴仙先生。」
「せ、先生って……普通に鈴仙で良いのに。」
「わかった、鈴仙。」
「じゃあまずは弾の出し方から……」
その後、師匠の手伝いが始まる前や後の時間を使って、一週間特訓すると、弾を出せるようになった。
「○○飲み込み早いわね。この調子ならあと一ヶ月でスペルカードを使えるようになるかもね。」
「ほんとに?」
「うん。ほんと。」
「よっし!頑張るぞ!」
「あ、そうだ。弾が出せるようになったからご褒美あげる。……ん」
「んん!?……んむ……あむ……」
「んん……ふぁ……それじゃ明日からはスペルカードの練習ね。」
「あ、うん。」
ご褒美……だと……?
やる気がみなぎってきましたよ。
今の俺は誰にも止められない。
「あ、○○。また鼻血出てる。」
「うお、ほんとだ。」
でも鼻血だけは勘弁な!
そして俺は、ご褒美欲しさに、二週間でスペルカードを会得した。
「やった!やったよ鈴仙!スペルカードが二つ出来たよ!」
「やったね、○○!」
「それじゃ、早速試し撃ちしたいんだけど手伝ってもらって良い?」
「もちろん、良いわよ。」
「それじゃ行くよ。俺の幻想郷CQC一式!
鈍符『名状しがたいバールのようなもの』!」
俺がそう宣言すると同時に、俺の周りに次々とバールのようなものが現れ相手を追い詰めるように飛んで行く。
時に右から、時に左から。正面から行く事もあれば上下からも。
ちなみに今回作ったスペルカードは、初めてというのもあって外の世界にいた頃に読んだ小説を参考にしている。
「よっ、ほっ、たぁっ。」
だけど相手は鈴仙。そんな簡単には当たらない。
「それなら次だ!俺の幻想郷CQC二式!
爆符『冒涜的な手榴弾』!」
そう言って俺はもう一つのスペルカードを発動する。
これは作るのにかなり苦労した。
一度手榴弾型の弾を出して、その弾が何かに触れると爆発。
さらに爆発と同時に周囲に粒弾をばら撒くスペルカードだ。
とはいえ、まだ慣れてないから爆風は小規模だし、粒弾の量も少ないけど。
「はっ、たぁっ、とうっ。」
結局全部避けられた。
そもそも、特別な能力を持ってないから複雑なスペルカードは作れないからな。
今回の二つみたいな単調なものがただの人間の限界だ。
「やっぱり駄目か~。一発位当たるかな、って思ったんだけど。」
「残念でした。でも、始めて三週間でスペルカードが使えるようになるなんて凄いわよ。」
「そう言ってもらえると頑張った甲斐があるけどさ。」
でも、これじゃ駄目だ。自分の身を守るなら、せめて鈴仙に一発は当てられないと。
「それじゃ今日の練習は終了。お疲れ様、○○。」
「お疲れ様、鈴仙。いつもありがとう。」
「いいのよ。大切な○○の為なんだから。」
「うぐ、そんな事を面と向かって言いますか鈴仙は。
……まあ、とりあえずもうちょっと練習したいから鈴仙は先に戻ってていいよ。」
「じゃあ、そこで見てるわね。」
「見てるって……まあいいや。」
それじゃ、自主練を始めますか。
「うどんげー、○○ー、夕飯が出来たわよー。」
「あ、はーい。わかりましたー。今行きまーす。
○○ー。夕飯が出来たってー。」
ああ、夕飯出来たんだ。
今日は何だろうなー。楽しみだなー。
「わかったー。すぐ行くー。」
ああ、楽しみだ。
……あれ?
「ねえ、鈴仙。」
「何、○○?」
「鈴仙はずっとここで俺の自主練見てたよね。」
「うん。そうだけど。」
「それって、ようするに……鈴仙の手料理じゃない!?
にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!
はぁああああああん!!鈴仙の手料理ぃいいいい!!」
「○、○○!?落ち着いて!私の手料理を楽しみにしてくれるのは嬉しいけど!」
「だって、だって!!俺の練習に付き合わせたから鈴仙の手料理が、手料理が……っ!」
「いつも作ってるでしょ?」
「でも、今日の夕飯は鈴仙の手料理じゃないんでしょ!?」
「後で好きなだけ作ってあげるから!落ち着いて!ね?」
「ほんと!?作ってくれるの!?」
「ええ!作ってあげるから!作ってあげるから夕飯を食べに行きましょう?」
「わかった!」
やった!鈴仙の手料理を後でたくさん食べられるぞ!
「ご馳走様。」
ふー。食った食った。
でも、なんか足りないなー。
師匠の料理も美味しいんだけど、こう、なにかが足りない気がする。
「ご馳走様。じゃあ、○○。部屋に戻ろう。」
「んー。わかった。」
「それじゃあ、失礼します、師匠、姫様。」
「ええ、○○と仲良くね、うどんげ。」
「それじゃ、また明日ね、イナバ。」
「ねぇ、○○ー。これから鈴仙とお楽しみー?」
「ち、違う!断じて違う!」
「そ、そうよ!へ、変な事言わないでよ、てゐ!」
てゐは何を言い出すんだ。そ、そりゃ、俺だって思春期の男の子だ。
そ、そういうことに興味はあるが……
「あれー?でも二人は恋人だよねー?そういうことしてもいいんじゃない?」
「な……!?」
「あう……。」
「おやおや、二人とも顔が真っ赤だよ?ねぇ、永琳。」
「そうね、二人とも真っ赤ね、てゐ。輝夜もそう思うでしょ?」
「ほんとに。二人とも初心ね。もしかしてまだなのかしら?」
「うう、皆ひどい……。」
なんて羞恥プレイなんだ……
鈴仙なんて顔真っ赤にして俯いてなにも喋れなくなってるじゃないか。
「はいはい、からかうのはこの辺にしましょうか。それじゃ二人とも、部屋に戻りなさい。
お風呂が空いたら因幡に伝えに行かせるから。」
「あ、はい、わかりました。鈴仙、部屋に行こう。」
「あ……あう……」
ああ、駄目だ、鈴仙が壊れた。
「鈴仙?大丈夫?」
「へ!?……あ、うん。大丈夫。」
「そう。じゃあ部屋に行こうか。」
「あ、うん。」
そして部屋に戻った。
「いや~、それにしてもあの二人は食事中もイチャイチャしてるね~。」
「そうね。見てるこっちが恥ずかしくなるわ。」
「まったくだわ。私達がいるのに食べさせ合いを始めた時は目を疑ったわ。」
「あれはすごかったね~。しかも二人ともすごい幸せそうな顔するんだもん。
止められないよ。」
「ほんとに。からかわないとやってられないわ。」
「あーあ。私もあんな事する相手が欲しいわね。」
「ああ、まったくひどい羞恥プレイを体験した。」
「え、ええ。そうね。」
「まあ、恥ずかしがってる鈴仙が可愛かったからいいか。」
「○、○○!?」
「あ、また見れた。眼福眼福。」
「~~!」
「いつもは俺が恥ずかしい思いしてるからね。たまには鈴仙に恥ずかしがってもらわないと。」
「○○、覚悟は出来てる?」
「へ?覚悟って、なん……の……」
なぜ鈴仙は弾幕を展開してるの?
え?どういうこと?
「○○の……ばかあああああああ!!」
「え、ちょ、やめ、うわあああああああああああ!!」
その後、因幡がお風呂空いたよーと言いに来るまで、鈴仙にお仕置きされることになった。
「で、なんで鈴仙もここにいるの?」
「そ、それはその……」
「昨日まで別々だったのにどういう事なの?」
「ご、ご褒美?」
「いや、そんな聞かれても。」
「ほ、ほら!今日スペルカードが完成したじゃない!だ、だからそのご褒美!」
照れ隠しで声が大きくなってますよ。
とは思うものの言ったらまたお仕置きだからいわない。
「そ、そうか。」
「そ、そうよ。」
「じゃ、じゃあ入るか。」
「そ、そうね、入りましょう。」
「…………」
「…………」
なんか喋りましょうぜ、鈴仙!
いや、なに?なんなのこの空気!
気まずっ!すごい気まずいよこれ!
ああ、なんでそんな恥ずかしそうにするの?
この前のショタ化の時は平気だったじゃない!
あれか!俺が見た目子供になってたから平気だったのか!
ぐうう、俺だって恥ずかしいよ!
「○、○○、背中流してあげようか?」
「う、うん。お願い。」
背中流しイベント発生!
素直に喜ぶ余裕がない!
「お湯かけるね。」
「う、うん。」
「熱くない?」
「大丈夫。ちょうどいい感じ。」
「そう、よかった。」
「あ、じゃあ、お返しに俺が鈴仙の背中流すよ。」
「え!?べ、別にいいわよ!そんなことしなくても!」
「いいから、いいから。減るもんじゃあるまいし。」
「で、でも……!」
「問答無用!」
ごめんね鈴仙。こうでもしないと空気が回復しそうになかったんだよ……
「それじゃ、お湯かけるぞ。」
「え、ええ。いいわよ。」
「熱くないか?」
「あ、うん、ちょうどいい。」
「そっか。それはよかった。」
同じ会話を立場変えてしてるだけじゃねこれ?
「……お風呂、入ろう?」
「あ、ああ。入ろう。」
少し空気が回復したな。
よかったよかった。
「……○○。」
「何、鈴仙?」
「えっと、その、あの……」
「どうしたの、鈴仙。顔が真っ赤だけど。」
「そ、それは○○もでしょ。……えと、あの……」
「のぼせちゃったみたいだね。そろそろ出ようか?」
「え?あ、うん。」
そうして俺達はお風呂を出て着替えて部屋に戻った。
部屋に戻って紫さんに外の世界から仕入れてもらった本を読んでいると、鈴仙が部屋に来た。
「ね、ねぇ、今日から一緒に寝てもいい?」
…………え?
今すごい嬉しい言葉が聞こえたような……
「えっと、よく聞こえなかったからもう一回言って。」
「だ、だから、今日から一緒に寝てもいい?」
……これは夢か?
頬をつねってみる。痛い。
つまり夢じゃない?
「も、もちろんさ!むしろこっちからお願いするよ!」
「そ、そう?よかった。じゃあ、早速。お邪魔します。」
そう言うと鈴仙は布団にもぐってきた。
お、おお。近い。すごい近い。後すごいいいにおいがする。
鈴仙の髪さらさらだ。
「ん、もうちょっとくっついてもいい?」
「う、うん。いいよ。」
「それじゃあ、んっと。」
あんまり意識してなかったけど鈴仙の体柔らかいな。
それにしても……
「鈴仙、今日はどうしたの?やけに甘えてくるけど。特に夕飯の後。」
「えう!?そ、それは、その、あうう……」
爆発音がするくらい一気に顔が赤くなった。
まさか、もしかして、
「ねえ、鈴仙。もしかして、だけど、てゐの言ってたような事、期待してた?」
「ふぇ!?そ、そんなこと、な、なな、ないよ!」
なんてわかりやすいんだ。
「期待してるんでしょ。」
「うう……だって……○○はぜんぜんそういう事しそうにないし……
○○のものって証が欲しいし……」
「はぁ……」
期待してくれるって事は嬉しいけど……
「鈴仙。その気持ちは嬉しい。俺もしたい。
けど、俺はそういう事は結婚してから、って決めてるんだ。だから今はまだ出来ない。」
「え……?それって……」
あれ?なんでそんな嬉しそうに顔真っ赤にして……
…………ん?今のって結婚してくれ、って意味になるんじゃ……
……こ、これは……覚悟を決める必要がある……
「だから、鈴仙、俺と結婚して欲しい。」
言っちまったよ。
「……え……あ、あう……」
ああ、告白した時と同じだ。
また、鈴仙は泣いている。
好きな人を泣かせたくないのにな。
でも、泣いてしまったのなら、それが嬉し泣きである事を信じよう。
「……はい。喜んで。」
俺の気持ちは受け入れられ、鈴仙の気持ちも受け入れた。
そして、俺達はずっと抱き合っていた。
「それで、式はどうする?神前式にする?それとも教会式?」
「○○はどっちがいい?」
「ん~、悩むな。白無垢姿の鈴仙も見たいしウェディングドレス姿の鈴仙も見たいからな。
鈴仙はどっちを着たい?」
「そうね……○○の好きなほうがいい。」
「そうは言ってもな。俺はどっちも見たいし。」
「なら両方にする?」
「ああ、その手があったな。うん。そうだな、そうしよう。」
「じゃあ、式はいつ挙げる?」
「そうだな、正直、明日にでも挙げたいけどそういうわけにもいかないしな。」
「なら、式の準備が終わったらにする?」
「うん。そうしようか。じゃあ、明日にでも師匠達に報告しないとな。」
「ええ、そうね。」
後日、神前式と教会式の両方を挙げた。
最初に神前式を挙げた。
「○○、どう?白無垢似合ってる?」
「…………!」
「○○?どうしたの?」
「いや、すごい綺麗だなって。すごい似合ってるよ。」
「ほ、本当?」
「本当だよ。」
「えへへ、ありがと、○○。」
「それじゃいこうか。」
「ええ。」
あの後、式に招待した皆に祝福されたり、からかわれたり、鴉天狗に取材されたりと大変だった。
でも、嬉しかったな。鈴仙も恥ずかしがりながらも嬉しそうにしていた。
その次は教会式を挙げた。
「鈴仙。着替え終わった?」
「もうちょっと待って。」
「わかった。」
そのまましばらく待つと
「お待たせ、○○。」
「……………………!」
「また固まってる、○○。」
そう言って、鈴仙は笑った。
「いや、だって、すごい綺麗で、びっくりして。」
「そういう○○も似合ってるわよ。すごいかっこいい。」
「そ、そうか?」
「うん。」
そうこうしている内に時間が来たようだ。
「それじゃ、鈴仙、先行ってるね。」
「ええ。緊張して失敗しないでね。旦那様。」
「ははは、気を付けるよ。なにしろ、俺のお嫁さんはこんなに綺麗だからな。
失敗なんか出来ないよ。」
「ふふ、その調子なら大丈夫ね。」
「うん。じゃあ待ってるよ。」
「わかったわ。」
そうして、師匠にエスコートされ、鈴仙が来た。
その後、誓いの言葉やキスをした。
「これからもよろしくね、私の旦那様。」
「こちらこそよろしく、俺のお嫁さん。」
そう言って笑いあった。
この日の事は、一生忘れないだろう。
なにしろ、鈴仙と結婚した日なんだからな。
新ろだ2-120,2-122,2-125,2-129
───────────────────────────────────────────────────────────
最終更新:2010年10月16日 00:27