秘封倶楽部1



新ろだ2-262



唐突だが。
俺は今、タチの悪い酔っ払い女子大生2人に絡まれている。

右腕には浴衣姿の宇佐見蓮子。
秘封倶楽部の実質的部長であり、部員(部長含め全3名)を引っ張っていく女性だ。
普段はYシャツに赤ネクタイ、そして黒いスカートなのだが、今日は祭りなので、黒の中に白い蝶が舞っているような浴衣が実に似合っている。
酔っぱらって赤くなった肌が、そのはだけた浴衣から覗いて眼福……ではなく、目に毒だ。
そのくせこっちに抱きついてくるものだから、下手すれば胸の先のモノまで見えてしまう。
普段はそう言うことには顔を真っ赤にして怒る癖に、酒を飲むと無頓着になるのが余計タチが悪いと思ってしまう。

「あら、でもそれだけ貴方を信頼してるって事じゃないかしら?」
「何だそりゃ、俺なら襲わないってか?」
「もしくは貴方になら襲われてもいい、かしらね」

今返答したのが左腕のマエリベリー・ハーン
こちらも蓮子と同じく浴衣姿で、紫色の浴衣がそのミステリアスな雰囲気を引き立たせている。
長椅子に座って太ももをかなり露出しており、道を行く男の目を引いているであろう事が、容易に想像できる。
蓮子はもう思考すらまともなのか定かではないが、こちらは確実にまだ行ける口だろう。
何か企んでいる様な笑みを浮かべながら、組んでいる足を見せつけるようにしている事から、それは明らかだ。

「どうしてこうなった……」
「遅刻する方が悪いのよぉ」
「蓮子に同じく」

そう、俺が着替えるのに時間をかけている内に約束の刻限は過ぎてしまい。
待っても現れなかった俺を置いて2人は先に祭りを堪能したらしい。
約束した時刻から遅れること数十分後にはもう既に出来上がっていた2人が俺を待ちかまえていた。
それから約1時間ほどして、今に至ると言うわけだ。

「ほら、もうそろそろ祭りも終わりだ。帰るぞ」
「まだ全然行けるわよぉ」
「顔を真っ赤に染めて何を言ってるんだ」

そう言って立ち上がった瞬間、蓮子が背中に抱きついてきた。

「立てない~」
「飲み過ぎなんだよ、お前は」
「別に、ここからだと貴方の家の方が近いでしょ?」
「泊めろと言うか」
「蓮子は歩けないし、私は帰るのが面倒になったからね」
「布団は1つしか無いんだが?」
「3人で寝ればぁ、問題無しよぉ」
「ほら、2対1で決まりね」
「はぁ……、仕様がないな」

民主主義的に攻められればどうしようもない、が……。

「蓮子さんや」
「なにぃ?」
「何故俺は貴方を背負っているのでしょうか」
「歩けない!」
「男なんだから、蓮子1人分くらいは軽いものでしょう?」
「メリーは当たってるんだが」
「背中には蓮子、左腕には美女が抱きついてる」
「この状況の何処が不満なのかしら?」
「……それを言われるとぐぅの音も出ない」

そんな感じで家に帰った俺たちだが……。
寝る時、蓮子とメリーに抱き枕にされたりとか、2人の胸が見えて全然眠れなかったり、シャンプーの匂いがかすかに漂ってさらに寝付けなかったりだとか、
起きたときに生理現象のせいで酔いの覚めた蓮子が騒いだりしたのだが、それはまた別の話。



 ------------------あとがき------------------------
浴衣とか考えた奴は天才だと思う。
上半身のラインは隠し、下半身のラインは出す。
しかもはだけて肩口まで見えていると肩口が見えている服よりもエロイとかマジ天才。
蓮子もっとはだけろ。


Megalith 2010/11/28



十二月のある寒い日。
目の前を蓮子とメリーが並んで歩いている。
楽しそうに話す彼女たちが、何となく癪に障って無理矢理その間に割り込んでみる。

「ちょっと……○○!」

「いったい何なのよ……もぅ」

「…何となく、割り込んで見たくなっただけだ」

「なに訳の分からないことを…」

「もしかして、妬いちゃったのかしら、私と蓮子に」

その言葉に何も応えず、恥ずかしくなって歩きながらふと横を見る。
そこには、秘封倶楽部の2人に挟まれて歩いている自分がショーウィンドウに映っていた。
ガラスに映った自分自身だというのに、そいつに苛ついている自分に気付いて。

「……かもな」

と、返答する。

「…ふふっ、相変わらずおかしな人ね、○○は」

「私たちの何に嫉妬したのよ?」

「仲の良さ……だな」

口に出して改めて気付く。
さっきの蓮子達には、自分なんて要らないんじゃないかと思ったことに。

「あらあらぁ?○○は私たちに嫉妬してるんですってよ?メリーさん」

「本当、おかしな人ねぇ。蓮子さん」

2人とも、わざわざ口調を変えてまでからかってくる。

「仕方ないだろう、俺は強欲なんだから」
「蓮子とメリー、どっちも好きなのに俺を無視して仲良く歩いていて」
「その事に嫉妬しただけだ」

「まぁ、確かに」

「私と蓮子、どちらを恋人にするのかと聞かれて『俺には2人とも同じぐらい好きで、愛してる』とか言った○○だしね」

「ホント、あの時はどうしてやろうかと思ったわよ」

…何ヶ月か前、確かに俺は蓮子とメリーにそんな事を聞かれた。
詳しく話を聞いてみると、どうやら2人とも俺の事が好きになっていたらしい。
俺が忙しくてサークルに顔を出せなかったときに、2人とも「次に俺に会ったら告白をする」という条件下で、決着を付ける事にしたらしい。
幸か不幸か、俺が暇を見つけてサークルに顔を出したときがどうやらそんな事を約束した次の日らしくて。
その時に2人から、「私かメリー(蓮子)か!どっちが好きなのよ!」という究極の問をぶつけられた。
そこで俺は、メリーが言った様な解答を提示したと言うわけだ。
2人ともあのときは文句を言いながらも受け入れてくれた訳だが……。

そんな事を思い出していたら、両腕に圧力がかかる。
見てみると、蓮子とメリーが腕にもたれかかっていた。

「まぁ、その言葉通りに私たちを愛してくれたから」

「今の私たちに嫉妬したってわけね」

「話が早くて助かる」



…十二月の夜が更ける。
両腕には安心した様子で体重を預けつつ歩く女性が2人。
夜の男が羨むような状況で、冬の街を過ごしていく……。






2人とも好きだけど2人共に嫉妬するから、秘封倶楽部の百合は好きじゃないです。
こういう場合嫉妬しても自分に返ってくるからおお、こわいこわい。


避難所>>518-519


△△「◯◯氏、イチャス通りに新しいラーメン屋できたんでござるがあそこめちゃ美味しかったでござるよ」
◯◯「ほほう」

◯◯(今日の晩御飯は…ラーメンで決まりだな…)
メリー「あ、◯◯くん!一緒に帰ろ!」
◯◯「メリーさん」
メリー「よかったら晩御飯一緒に食べない?」
◯◯「いいよ」
メリー「どこいこっか?」
◯◯「…」

◯◯(……しまった胃袋はもうラーメン祭りの準備を始めているのに…)

◯◯(だがメリーさん連れてラーメンは…なんかやめたほうがいいかもしれない…!)

◯◯「喫茶店とか、どうかな…最近美味しいとこ見つけてさ…」
メリー「うん!!」


数日後

◯◯(急に寿司食いたくなってきたな…今日はくらぴ寿司行くか…)
蓮子「あ、◯」
◯◯「ん」(蓮ちゃん)
蓮子「晩飯」(晩飯どこか食べにいかない?)
◯◯「んー」(いいよ俺も外食するつもりだったし)
蓮子「どこ?」(どこに食べにいく?)

◯◯(…経験則からすると蓮ちゃんから飯誘ってくる時は高確率で俺に奢らせようとしている時…回転寿司は危険だ…)

◯◯(ちょうどいい、この前行けなかったラーメン屋行こう)

◯◯「ラーメン」
蓮子「……喫茶」
◯◯「え?」
蓮子「メリー」(この前メリーと喫茶店行ったらしいじゃん。そこにしようよ)
◯◯「この前」(いや俺ついこのあいだ行ったし…)
蓮子「嫌なん?」(私とは行けないってワケ?)
◯◯「言ってない」(そんなこと言ってないじゃん)

◯◯(…なんで不機嫌なの…?)

喫茶店『旧地獄QZ』

蓮子「ふーんオシャレじゃん」
パルスィ「ご注文どうぞ」
蓮子「どれがおすすめ?」
◯◯「このパスタ」
蓮子「じゃあこのバジルクリームソースハンバーグと生ハムサラダ、食後にイチゴパフェとカフェオレ」
◯◯「聞いてた?」
パルスィ(この男この前と別の女連れてきてやがる…)


◯◯(うぅめっちゃ頼みやがって…財布が痛いぞこれは…)
蓮子「はい」(これアタシが頼んだ分のお金)
◯◯「えっ?」
蓮子「なに?」
◯◯「いや…てっきり」(俺に払わせるもんだと…)
蓮子「彼氏面」(彼氏面しないでくれる?)
◯◯「してない」(してないでしょ!!)
◯◯「てか!!」(てかお金全然足りないじゃねーか!)

蓮子「メリー」(メリーとよくこういうとこくるんだ?)
◯◯「ラーメン」(そらラーメンとか誘えないでしょ)
蓮子「ふーん」(アタシはラーメンに誘えるくせにメリーは誘わないんだ?)
◯◯「なに」
蓮子「ふ━━━━━━━━ん?」(メリーとは喫茶店来るくせにアタシと行くときは渋るんだ?)
◯◯「なに」(なんなの)


Vol2


◯◯(肉体がラーメンを欲する!!)
蓮子「飯」(ご飯どうする?)
◯◯「ラーメン!!!!!」
蓮子「オシャレッティ」(オシャレな店いかない?)
◯◯「ラーメン!!!!!!!!!!!!」
蓮子「う、うん」

ラーメン屋『休業日』
蓮子「閉まってる」
◯◯「」


次の日


◯◯(今日こそラーメンを摂取しないとヤバイ!!)
メリー「◯◯くん」
◯◯「!!!!!」
メリー「ご飯行こ?」ニコッ
◯◯(だ、駄目だ…メリーさんをラーメンには連れていけない…!!)グニャァ
メリー「……」

メリー「ラーメンとか…どうかな?」
◯◯「!?!?」

◯◯(え?らーめん?メリーさん?らーめん?え?そんなところにメリーさんを?そんなことしたら俺は逮捕されるんじゃないか??)
メリー「…駄目…かな?」
◯◯「……!!」


ラーメン屋『紅魔軒』

メリー「私ラーメンってあんまり食べたことないからオススメとかあるかな?」
◯◯「…俺はこの赤ねぎラーメン頼もうかなって…」
メリー「じゃあ私も同じのにしようかな」
小悪魔「赤ふたつですね、あっさりですかこってりですか?」
◯◯「こっt…あっさりで」
メリー「じゃあ私もあっさりで。◯◯くんお餃子も食べる?」
◯◯「えっ!?あっ、うん!た、食べるよ!」
メリー「じゃあこのお餃子と…この小チャーハンってどれぐらいですか?」
小悪魔「100gです」
メリー「◯◯くんどうする?」
◯◯「たっ…頼もうかな」
メリー「普通のチャーハン2つお願いします」
◯◯「普通のほう??」
メリー「あとからあげもお願いします」
◯◯「!?」

◯◯(美味かった…)
メリー「蓮子とは」
◯◯「!」
メリー「普段どういうお店で食べてるの?」
◯◯「…まぁ、その今日みたいにラーメンとか…定食屋さんとか……」
メリー「ふぅん…」
◯◯(なんか怖い)

メリー「◯◯くん今度からは…『普段蓮子と行ってるお店』とかにも連れてって欲しいな」
◯◯「えっ」
メリー「…駄目…?」
◯◯「……!」

◯◯「もんじゃとかお好み焼きとか?」
メリー「……」
◯◯「コーリンモールのフードコートとか?」
メリー「……」
◯◯「うどんとかハンバーガーとか?」
メリー「……、………」
◯◯「串カツとか海鮮丼とか?」
メリー「め゛っ゛ち゛ゃ゛い゛っ゛て゛る゛し゛ゃ゛ん゛!!!」デュクシ
◯◯「!?」


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最終更新:2024年08月25日 22:32