幽玄魔眼(レス)1
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今、俺はテーブルを挟んで女の子と座っている。
女の子?多分そうだろう。光の輪郭に包まれた薄いシルエットが、なんとなく女性的だ。
博麗神社で賽銭を奮発したら巫女本人が紹介してくれたんだが…
○○「…こんにちは」
幽幻魔眼「……」
さっきからこの調子だ。わかっているのは、巫女が教えてくれた幽幻魔眼という名前だけ。
会う前は何が魔眼なのかと思っていたが、遠くから見て一発で解った。
幽幻魔眼の体から光の糸みたいな物が伸びて、五つの巨大な目玉風の物を率いている。
しかもこの五つの眼、俺が動こうとすると気配で解るのか、一斉に見詰めて来る。
○○「…あのさ…あー…俺、何か変かな?」
幽幻魔眼「……!」
言いかけたものの、こっち見んな、等とも言えず。
お茶を濁すつもりで聞いた言葉に、幽幻魔眼はぶんぶん首を振った…んだと思う。
幽幻魔眼「……!」
○○「……」
眼は口ほどに物を言う、という言葉があるが、眼だけ、しかも五つで訴えられても困る。
…いや、幻想郷では相手の流儀に従う事も必要だろうか。
試しに、目玉は怖いので幽幻魔眼の薄い姿の…顔?の辺りをじっと見詰めてみる。
幽幻魔眼「……」
…なんか、後ろの目玉が三つほど恥ずかしげに閉じたんだが。
よし、じゃあ次はテーブルに置かれた手?を触ってみよう。
幽幻魔眼「……!」
予想していたが、ハッとなった感じで五つの目玉が見詰めて来る。正直怖い。
しかし手を放さないでいると、また一つ二つと目玉が恥じらいがちに閉じられる。
…うん、大丈夫、何とかなる。身体も一応あるっぽいし…。
○○「…じゃあ、天気もいいし、ボートでも乗る?」
幽幻魔眼「……」
頷いた、ように見えた。
俺は椅子から立ち上がると、掴んだ幽幻魔眼の手を引いて、湖の方へと歩き出す。
ボート沈まないよな?あの目玉、一応浮いてるし。
幽幻魔眼「……」
考え事をして足を止めてしまったらしく、幽幻魔眼が不安げな様子だ。
不安…うん、不安そうだ。慣れて来たのか、目玉と幽幻魔眼の仕草で何となく解る。
○○「行こう、幽幻魔眼」
幽幻魔眼「……♪」
眼は口ほどに物を言う。先人達の偉大な教訓を胸に、この子と付き合って行こう。
25スレ目 >>708
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最終更新:2011年03月27日 16:03