正邪1
Megalith 2017/06/14
正「…でさー、あのATM野郎の○○ったら記念日だからってまーたこんなネックレス贈ってきやがったんですぜ!
もうネックレスは前の外界旅行の時に贈ってもらったっつーのに、これ以上来たってどうしろってんですよ!
アイツそこら辺がぜんっぜんダメダメの女心が分かってないアホタン野郎だわ!」
針「アーウンソウダネ。でも正邪さ、前のネックレスは大分ボロボロになってなかった?いつも着けてたし」
正「ハッ、それは着けてねーとアイツの機嫌が悪くなるからに決まってますよ。
悪女としちゃあちゃんとATMのゴキゲンは取っとかなきゃダメでしょ?」
針「ソッカーファム・ファタール(1891~1923)ダネ。」
針妙丸は激怒した。必ず、かの邪知暴虐の正邪を除かねばならぬと決意した。針妙丸には恋心がわからぬ。針妙丸は郷の乙女である。
親友の正邪が人里に住む○○と恋仲になったのはもう何年前であっただろうか。普通ここまで時間が経てば惚れた腫れたも落ち着く物である。
が、しかし彼女は未だに恋の熱病に浮かされており、上のようにちょくちょく針妙丸に旦那のキツい悪口と見せかけた惚れ話をぺちゃくってくるのである。
最初の頃は微笑ましい気持ちで聞き通せていたのではあるが、いかんせんその惚れ話は回数も期間も大すぎ&長すぎた。
一応旦那の悪口の体を採っているのでその罵詈雑言に針妙丸の精神は削られ、その中にあからさまに秘められた砂糖分に針妙丸の精神は溶かされて。
つまり一言で言うと。
針(んんんんんんんんんんn!!!111もう限界!もーぅ限界!!!恋人もいない私への当 て つ け か!!!!)
針妙丸はFrustratedってたのである。
針「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!1」
○「お、おう針ちゃんどうした…そんな鳥獣戯楽のデスボイスみたいな声あげて」
針妙丸はびっくらこいた。正邪も居なくなった事を確認してからストレス発散の奇声をあげてたのだが、いつの間にか○○が近くにやってきたのだ。
針「あ、ごめん。これは小人族に代々伝わる鍛錬法で見られたら…」
それぐらいまで彼女の感情が昂っていたからだろうか。その瞬間、彼女の脳内に正邪への悪趣味なイタズラ案が浮かんできたのだ。
針「……ねぇ、○○。ちょっとさ、付き合ってほしいイタズラがあるんだけど」
○「え、見たらどうなるの?…どうした針ちゃん」
○「…あー針ちゃん、そんな事したら正邪が」
針「いいでしょ!!!あなた達はお似合いのラブラブカップルなんだからさ、こんなの愛を再確認する事にしかならないわよ!!
ね!ね?!ほらさ、やってみましょ!!」
○「お、おう…分かったよ、そこまで言うなら…」(何か知らんがこのままだと爆発しそうだ…)
その日の夜。
正邪&○○宅の灯りはほんわりと点いていた。近くを通れば味噌汁や焼き魚の良い香りが漂ってきて、成程あの家の今日の夕飯の献立が窺えるという物だ。
そのなんとも郷愁を誘う我が家に近付けば、普通そこに住む者なら顔を綻ばせるだろう。しかし、その家の者である筈の○○は、今回は少しばかし事情が違っていた。
○「正邪、帰ったぞぉ…」
正「おーぅおかえ…
どうしたんだ、その顔」
正邪にしては珍しく茶化す事も無く純粋な疑問を投げかける。だがそれも仕方あるまい、○○の顔は何故か憔悴し切っており、陰が顔に掛かっていたからだ。
○「はは、色々あってね…」
正「色々って…テメェ、そんなんで納得できると思ってんのか。
何があったのか話せ。まず話はそっからだろ!」
○「…」
沈黙がその場に流れる。正邪は先ほどの言葉通り、まずは○○から事情を聞きだすまではその場を動こうとはしないようだった。
○○は少しの間視線をあちらこちらに向け逡巡していたのだが、観念したのかそれから口を割り始めた。
正「事業の失敗…?」
○「ああ、前に話したろ?これから新たな事業に取り組んでいくんだって。
それが今日コケた。それも、足にブースター付けてるぐらい勢いのあるコケ方だった。
その大ゴケに巻き込まれてさ、連鎖反応で今までのが全部パー確定になっちまったよ、ハハ」
正「ハハって、笑い事じゃねーぞ!!これから私たちどうすんだよ!
何かやり様はねーのか!?親族はどうだ。そういう時は親族に金の無心しろって相場は決まってんだよ、頭下げに行くぞ!
私だって何だってしてやるから!お前が真っ先に諦めてどうすんだ!!」
○「…悪い評判の立ってるお前と付き合う際に親族との縁はもう大分切れちまったよ。
それについては後悔はしてないさ。お前とはお互いに好き合ってここまで来たんだしさ。でも、だから親族は無理だ」
正「だから諦めんなって…!」
○「正邪。多分、これからはオレの周りには借金取りやらが常にうろついてくると思う。
そいつらは目的の為なら手段は択ばない人種だろう。だから……」
正「だから、何だよ。安全のためにこれからは別々に生きようってか?これを機に別れましょうってか?
…」
○「あ、えっと…その…せーじゃ……」
正「…ざけんな。クソボケカスのノータリン野郎。誰がテメーの事なんか聞いてやるもんか。
私がテメーを手に入れるのにどんだけ苦労したと思ってんだ。天邪鬼のタチに反逆してまで毟り取ったんだぞ。
汚ぇ手だって使った。他人やお前の親族を蹴落としてでもやってやったんだ。全部。
…ぜんぶ。お前のことが好きだからなのに。今更…いま、さら…わか、っ、れろなんて…」
○○の恋人の正邪。彼女は今、みっともなく涙を流していた。普段の折れない反逆心からは考えも付かないその泣きように、○○は心の奥の奥まで揺さぶられた。
○「…っ!」
○○は無意識の内に目の前でしゃくり上げる彼女を抱きしめていた。そうしないと、彼女が完全に壊れてしまう気がしたからだ。
正「うっ、ぅぐっ、…ひっ、ふぐ……やだよ、ぉ、離れたくない…」
○「…」
○○は激しい自己嫌悪の念に襲われていたが、しかし今の彼には何もする権利が無かった。
今彼が持ち合わせているのは、目の前の少女が壊れないように泣き止むまで抱きしめている義務だけ。それだけは最後まで何としてでも守りきった。
正「ぐすっ、…すんっ……」
○「…正邪、ごめん。本当にごめん。お前がここまでオレの事を好いてくれてるだなんて、思ってなかったんだ」
正「…るっせーよ、バカ。謝んなくったって、テメーがそうお望みならこっちから離れてやるよ。
せーせーするだろ、このクソ野郎…」
○「違うんだ、そうじゃないんだ……そのな、今までの話、全部ウソなんだ」
正「は?」
それからちょっとして。
今現在の○○宅の中では、顔を真っ赤に腫らして見事な正座スタイルを決め込む○○と、これまた顔を真っ赤に腫らして鬼の形相で○○を睨む正邪の姿があった。
正「へーぇ↑?要するにコケたとか別れようとか今までの話は全部針妙丸と共謀のウソ、理由は正邪のリアクションを見てみたかったから
そーゆースキマババァの能力みてーにフッざけた訳でいいんだな?あ?」
○「はい…おっしゃる通りです…本当にすんませんです…」
正「ケッ。あのチビクソ姫もミソッカスだが、○○、テメーもットーに最低だな。
こんなん他の連中なら百年の恋も醒めました案件で私のイタズラ管轄内だったぞ?あ?」
○「はい…本当に、正邪の気持ちを軽視して酷い事をしてしまいました…許されるなら何だってしたいです…」
正「ったく、謝るのだけは調子が良いよなぁ。でだ、何でもするんだな?」
○「…はい。どんな事でもやり遂げます。少しでも正邪への謝罪の気持ちを表したいんです」
正「おーおー威勢がいい…なら、これでどうだ」
そういうと正邪は○○の眼前へ何かの紙を突き出してきた。○○は歯を食いしばり、何が書かれているのかとその紙を見てみれば…
○「人里大通り甘味博覧会? あ、開催日今週末だ…」その紙は人里うんぬん博覧会のチラシであった。
正「そ、所謂美味しい物祭りだな。
…でだ、テメーが破産しただのなんだのほざくんなら。今度はこっちから破産させてやるよ!!
この博覧会でテメーは私が頼むモンを何でも自分の金で払うんだ、祭りの間ずっとだぞ!どうだ!」
…つまりは一種の食べ歩きデートのお誘いであった。費用は全額男持ちという貧乏な奴には厳しいコンディションではあるが。
○「…正邪。自分で言うのも何だが、オレは本当に許されない事をしたんだ。お前の気持ちを裏切ってあんな事して…
それが、これで許されていいものとはオレにはとても」
正「…○○さ。私が泣いてる時にさ、何も言わずに私の事抱きしめてくれたよな。
少しだけ嬉しかったんだぜ、アレ。この人はここまで行っても私の事を抱きしめてくれる人なんだって…何言ってんだろ。バカか私。
とにかくだ!それに免じて、今回のお仕置きはこれぐらいで済ませてやろうってんだよ!分かったか!」
○「…はは、そっか。ありがとな、正邪」
昔からずっと、彼女には最初から最後までリードされっぱなしである。本当に自分には勿体ない程良い女房であると、○○は深く噛み締めた。
○「あれ正邪。このチラシ、いつも行ってる侘寂堂が載ってないぞ?」
正「は? うわ、マジだ。コイツ博覧会とか銘打ってるのに甘味屋コンプしてねーのかよ、大した反逆心じゃねーの。
…お、○○。こっちにはホラ…」
○「おお、こりゃすごい……」
……
正「そういやさ、結局演技だったとしても最初のあの消耗しきった顔は何だったんだ?
正直アレがあったからオメーのふざけた話も信じちまったんだぞ」
○「あーアレね…針ちゃんとの作戦会議後にさ、演技指導って事で酒飲まされて野原をヘビーなシャトルランさせられたんだよ…」
正「…そりゃそうなるわな。私もキツく問い詰めるわ、お前も疲れの中で正常な判断できないだろうわで…
…ホント、あの一寸姫の奴…時々幻想郷イチの悪女になるっつーかなんつーか」
本当にその通りである。それが彼女の意図する物なのかは知らないが、○○と正邪2人の性格も組み込まれてこのイタズラはここまで来てしまったのだからたまげる他ない。
正「アイツにはひっさびさにキッツいお仕置き喰らわせてやんねーとな…今から楽しみになってくるぜ」
○「あー、正邪…針ちゃんも本当の悪意を込めてやったんじゃないと思うからさ、どうか少しはお手柔らかに…」
正「ケッ、どーだか」
作戦会議の中で、針妙丸があれだけ怒り狂っていた理由を何となく察した○○にとって、これ以上は何とも言えなかったのであった。
週末。
今日はあの日の約束通り正邪との人里買い歩きツアー(全額○○負担!)の日である。
待ち合わせ時刻の10分前に待ち合わせ場所に行ってみれば、そこには少し前に別れてた正邪が既にいた。隣には針妙丸もおり、どうやら彼女も一緒に着いてくるようである。
正「やっと来たか○○、待ちくたびれたぞー」
○「あーごめんごめ、って、…」
と、思ったのだが何だか針妙丸の様子がおかしかった。彼女の表情は正しく絶望のどん底に落ち込んでおり、それに加えてしかも…
…うん。首輪であった。彼女にはまるで犬に掛けるような小型の首輪が付けられており、ついでにそこから伸びたリードを正邪が握っていたのであった。
○「…まぁなんか予想は付くけどさ、どうしてそうなった」
正「この性悪ヒメへのお仕置きだよお仕置き。これでも○○に免じて大分温情は掛けてやったんだからな?」グイッ
針「あだだだ!正邪ぁ、反省してるからあまり引っ張らないでよぉ」
正邪と針妙丸との大きな体格差、そのアンモラル感漂う首輪とリードのお蔭(?)で今の彼女たちはまるでペットと飼い主である。
つまりだ。針妙丸への今回のお仕置きはどうやら『ペット丸を連れ歩きながら○○との買い歩きを楽しむ!』のようであった。
その効果の程は針妙丸が時折呟いている「ひひ、私はペット私はペット…」の言葉で十分…コレなんかトラウマスイッチ押してない?大丈夫?
○「まー針ちゃん、聞いたかもしんないが今日はお仕置きとして全部オレの奢りだ。
針ちゃんにも美味しい物とか行きわたると思うからさ、あんまり気を落とさないでくれ」
正「おいコラ、これはお仕置きだぞ?反省してもらわねーと困るんだよ!
…でもまぁ、折角○○と買い歩きだってのにチビ姫が不貞腐れてちゃたまらんしな。
ちょっとは姫にも美味しいモン回しておきますよ」
針「ううう…正邪に○○、本当にごめん。私ったら本当にダメだめで…」
正「はいストップ。違ーでしょ姫サマ、そういう時は奢りゴチなりまーす!でいいんすよ。分かりますかぁ?
ホラ、今日は甘々屋の一番高いパフェに挑戦しましょうよ!○○っ、ゴチなりまーす!!」
針「…ふふ。ごめんなさい……ゴチなりまーーーす!!!!」
○「ちょっ、最初から全速球…」
何だかんだ、最終的には3人とも笑顔なのである。何時までもこうしていられたらな、と○○は願わざるを得ないのであった。
正邪はいます。
35スレ目 >>359~>>369
359: 名前が無い程度の能力 :2015/01/24(土) 22:35:30 ID:zhv317/sO
正邪から「大好き」って言われたら、素直に受け止めてもいいのだろうか?
360: 名前が無い程度の能力 :2015/01/25(日) 01:38:38 ID:k4YehdPA0
長い付き合いなら真意がわかるよ!
361: 名前が無い程度の能力 :2015/01/25(日) 07:47:59 ID:ceRJ4nT60
言葉の字面から伝わるメッセージは1割もないってけーねが言ってた。
照れ照れのデレデレかどうか急いで確かめるんだ。
362: 名前が無い程度の能力 :2015/01/25(日) 17:29:32 ID:rrRSevH2O
顔はそっぽ向いているけど、目線はチラチラとこっちを見ている。そして頬を僅かに赤らめながら小さく「大好き」と一言。 その後、秋の夕暮れのように顔を赤く染めていく正邪。
365: 名前が無い程度の能力 :2015/01/25(日) 23:58:00 ID:Nx704JZQ0
正邪「一回しか言わねーからよく聞けよ!」
正邪「だっ」
正邪「大…好き…」
正邪「///」
○○「そうかそんなに俺のこと嫌いだったのか」
正邪「!?」
○○「残念だよ…じゃあな…」
正邪「ちょっちょっと待てよ!!なんでそうなっ…はっ!?」
そ、そうか私は天邪鬼で今までいつも反対にしゃべってたから…!?
正邪「違っ誤解っなぁ!聞いてよ!なぁ!なぁ!」
○○「お前のこと好きだったのにな…」
正邪「私っ私っもお前のが…」
○○「…」
正邪「す、捨てんなよ…優しくしといてそりゃねーだろ!!」グスッグスッ
○○「ンフッw…フッw……だって…お前に『大好き』なんて言われたら」
正邪「私を惚れさせたんだぞっ!ちゃんと責任とってテメーのオンナにしてくれよ!!おい!おいってばぁ!もおっ!もぉー!」
○○「プークスクスwww…フーッ…ほんと、俺のこと嫌いなんだな…」
○○「じゃあな…幸せに暮らせよ…正邪…w…」
正邪「うわぁぁぁぁぁ!!いくなっいくなよぉーっ!!うわぁぁぁぁぁん!!あっぁぁぁぁっ」
○○「ω・)」
正邪「うぁっ…あぁっ…」
パシャッパシャッ
正邪「あっ…うぅっ…グスッ…あ…あ?」
○○「正邪の泣き顔頂きました、ごっつぁんです」
正邪「は?」
○○「おー撮れてる撮れてるw」
正邪「…」
正邪「おい」
○○「いやー惚れた女の絶望した泣き顔はたまんねぇなおいこれだから正邪いじめはやめらんねぇんだよ」
正邪「画像消せよ!!」
○○「画像だけでいいのw?」
正邪「は?あ…おまそれ…テープレコーダー…」
○○「寝る前に聞かせてもらうわw」
正邪「クズ!!」
○○「wwwお前に惚れる男がクズじゃないわけないだろ常考w」
366: 名前が無い程度の能力 :2015/01/26(月) 12:22:26 ID:e8FEsm4Y0
>>365
ひでぇけど個人的には好き
367: 名前が無い程度の能力 :2015/01/26(月) 20:27:32 ID:HZm1yxG60
>>365
すばらしい。
○○も何だかんだ言って正邪のこと好きなんだろ
どっちが天邪鬼だか
368: 名前が無い程度の能力 :2015/01/26(月) 20:44:03 ID:Qh9/iKR20
>>365
「悪かったよ許してくれよ~」って抱きついて「お前がいなくなったら生きていけねぇよ正邪…愛してるよ~」
って囁いたら
「しょ、しょうがねぇな…///つ、次やったら容赦しねぇからな///」
ってチョr…簡単に許してくれそう
まぁ正邪は性格が性格だからなぁ
はたしてまともな男とお付き合いが成立するかと問われればちょいと疑問だが
こういう「一枚上手のクズ」みたいなのがなんとなくしっくりする気がするのは俺だけだろうか
壁ドンに弱そう
369: 名前が無い程度の能力 :2015/01/26(月) 21:18:07 ID:iYKjwP2A0
>>365
この先〇〇と正邪の関係がどう発展していくのかが気になるところだな。
素直じゃない正邪とそれを利用していじめる〇〇
進展するのかも疑問だが
避難所>>22
正邪「七夕ねぇ……はっ、お前の顔見るのなんざ一年に一日でも多いぐらいだ」
○○「ひどい言われ様だ……」
正邪「――でもお前、私が傍にいないと寂しがるだろうからな。
仕方ないから付きまとってやるとするか」
○○(そういえばこの間用事で家を数日出てたときは
帰ってからずいぶんひっついてきてたな……)
最終更新:2024年07月24日 00:25