霊夢1


1スレ目 >>7


霊夢へ
「博麗流陰陽術を、俺に継がせてくれ!!」

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1スレ目 >>76


そうだ霊夢。
僕の体は完璧だけど一つだけ出来過ぎている部分がある。
それを君の足りない部分に合わせようじゃないか。

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1スレ目 >>107-110


   セミの声がだいぶ少なくなった夏の終わり。
   僕は博麗神社の境内に足を運んでいた。
   今年の夏は本当に忙しかった。
   紅魔館経営の海の家でチャーハンや焼きそばを美鈴さんと作るかたわらで、海水浴の監視員も兼業していた。
   体が二つあっても足りないくらいのてんやわんや。
   となりの角の生えた女の子は酒ばっかり飲んでいてちっとも仕事をしない視姦員と化していて、おぼれたり流されたりした人を助けるのは全部僕の役目だった。
   夜雀の子を助けたこともあったし、迷子の式の主を一緒に探してあげたこともあった。
   本当に忙しかった。でも、ばっちり働いたかいはあった。
   ポケットをなでると、ぎっしりと詰まった財布の感触。
   レミリアお嬢様の機嫌もよくて、咲夜さんからボーナスまでもらったからだ。予想以上の報酬に心なしか足取りも軽くなる。
   風鈴の鳴る鳥居をくぐると、懐かしい紅白が目に飛び込んできた。
   「あら、帰ってきてたの」
   竹箒片手に出迎えてくれたのは、この神社の巫女、博麗霊夢だった。
   「ついさっきね。霊夢は? この夏はどうしてた?」
   「私はずっとここにいたわ。巫女が神社を留守にしていられないもの。よほどの異変がない限りはね」
   「そうなんだ。海はきれいだったよ。人もすごく多かったし」
   「そうかもね。あなた、日に焼けて真っ黒よ。見違えるくらい」
   何がおかしいのか、霊夢はくすくす笑いながら竹箒を使って境内を掃いていく。ゆっくりゆっくり、丁寧に丁寧に。
   僕の前を通って、神社の向こうへと歩きながら掃いていく。
   夏の終わりという季節がそうさせたのか、そんな彼女を見て一抹の寂しさを感じた。
   「つまらなくない? ずっと神社にいて」
   春夏秋冬変わらずにずっと博麗の巫女であり続ける霊夢。何をするわけでもなく、ただ変わらずにそこにあり続ける少女。僕のように幻想郷の外から来た人間からすれば、気の遠くなりそうな生き方だ。
   「別に。そういうこと、あまり考えたこともないし」
   霊夢は竹箒を動かす手を休めることなく、そう答える。声からは、霊夢が何を考えているのか分からない。達観しているのか、どうでもいいのか。
   「夏だけでも休みを取ったら。魔理沙やアリスと一緒にどこかに出かけてもいいのに」
   「魔理沙は魔法の研究。アリスは人形作り。二人ともやることがいっぱいよ。そういうの、あまり誘うものじゃないわ」
   そんなものだろうか。
   ふと、霊夢がこちらを見た。
   「それにね。秋になればお月見よ。また宴会で忙しくなるわ。主に片付けでね」
   ああ、そうだ。この神社ほど、月が綺麗に見える場所はないものだ。
   「そのときはまた手伝うよ。洗い物なら、実家が食堂だったから慣れてるし」
   「はぁ、ほんと、あなたみたいな心がけの人が少しくらい妖怪の中にもいればいいのに。みんな騒いだら騒ぎっぱなし。散らかしたら散らかしっぱなしだもの」
   「仕方ないさ。妖怪ってのは戯れるものだからね」
   「ええ、だから私たち人間が苦労するのよ」
   「まったくだね」
   そんな他愛もない会話に興じているうちに、やがてミンミンゼミは鳴くのをやめ、ひぐらしのなく頃になっていた。
   「それで、今日はどういう用事だったの?」
   竹箒を片付け、神社の脇にある手水鉢で手を洗いながら霊夢が尋ねる。
   「ん~? 参拝、かな」
   わざと、気のない返事をしてみせる。案の定、
   「そう、なら、素敵な――――」
   「お賽銭箱はここよってことだろ。分かってるって」
   僕は余裕たっぷりにポケットから財布を取り出し左右に振ってみせる。
   心地よい重みが手に伝わってくる。
   「今年はがんばって働いたかいがあってね。かなり懐が潤っているんだ」
   財布のお札を入れるとこに手を入れると、霊夢がぐぐっと身を乗り出してきた。
   なんだ、まさかそんなに困窮していたのかな?
   「だからね、今回は大盤振る舞いってやつさ。ほら」
   中から取り出したのは一万円札。これを賽銭箱に入れるような奇特な人はめったにおるまい。
   驚け巫女よ! 僕の信心に驚くのだ。
   「えっ…………!」
   とたん、霊夢の顔色が変わった。あれ、思っていたのと違う驚き方だ。
   「そ、そんなにたくさん…………なの?」
   「そうだけど。あっ、賽銭の上限って決まっていたっけ?」
   「そんなことないけど……」
   おかしいな。当初の予定だと、それだけあれば一ヶ月は食べていけるわよ、という喜びで満ちた驚きで迎えられるはずだった。
   でも、目の前の霊夢の反応は違う。
   なんだろう。困っているような、どぎまぎしているような、よく分からない。
   「とにかく。はい、奉納」
   「あっ…………」
   僕が指を離すと、一万円札はひらひらと賽銭箱の隙間に吸い込まれていった。
   一部始終を食い入るように見つめている霊夢。
   顔はなぜか、お酒を飲んだときのように赤くなっていた。
   それなぜなのか、今の僕には分からなかった。
   「おーい霊夢。スイカが手に入ったからおすそわけー」
   次の日の夜。僕はもう一度博麗神社を訪れていた。
   今回は参拝じゃなくておすそわけだ。神社の裏手に回って玄関で霊夢を呼ぶ。
   「こんばんはー。おすそわけだぞー」
   返事はない。出かけてしまったんだろうか。
   「おーい。いるかー」
   「…………いるわよ」
   何回目かでようやく返事があった。消え入るように小さな声でかすかに。
   「スイカだよスイカ。妖夢がくれたんだ~」
   「……あがって…………」
   また、かすかに聞こえる霊夢の声。どうしたんだろう。出てこられないのかな。
   風邪を引いたとか。
   「じゃ、失礼して」
   言われたとおりに靴を脱いで家の中へ。台所とかをのぞいたけれども、霊夢の姿はない。
   「霊夢―、どこにいるんだよー」
   「…………こっち」
   声のするほうにとりあえず進んでみる。縁側を通って和室の前で足を止めた。
   どうやら、ここにいるらしい。ああ、こりゃ本当に風邪を引いたんだな。
   大丈夫だろうか。
   「ほら霊夢、夏の終わりでもまだスイカが…………」
   何気なくあけたふすまの先に見えた光景。
   その意外さに、一瞬僕の体は凍った。持っていたスイカを床に落としそうになる。
   和室の中央に敷かれたのは、誰も横になっていない布団。
   なぜに、枕が二つ並んでいるんでしょうね?
   そして、なぜに枕元にティッシュの箱があるんでしょうね?
   掛け軸に書かれた「御無体」って何?
   そして何よりも…………
   「遅かったじゃ……ないのよ」
   布団のすぐ横に、寝巻き姿で正座しているのは、
   「霊夢……これは、いったい何事…………?」
   どこから見ても、正真正銘博麗の巫女である博麗霊夢だった。
   なぜ? どうして?
   そんな疑問が、顔を真っ赤にしてもじもじしている霊夢を前にして浮かんでは消えていく。
   「おさいせん…………」
   「は?」
   「だから、あなたが納めたお賽銭…………」
   「ああ、一万円。それが何?」
   「だから、神社の変な決まりなの。その……一万円だと…………これ」
   もじもじしたまま、視線だけを横に向ける霊夢。
   そこにあるのは、紛れもない二人用に敷かれた布団。
   これ……といわれても思いつくのは一つしかないけれど、まさか添い寝ってことじゃなくてこれはそのまさかで…………
   「ええと…………ふ、ふつつかだけれども、よ、よろしく…………お願い」
   その、恥ずかしげに発せられた言葉。
   普段一度も見たこととのない霊夢の照れた寝巻き姿。
   吸い寄せられるようにして、僕は部屋の中へと一歩を踏み出していた。

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1スレ目 >>387


ある日の晩、○○は神社の縁側に腰掛け、星を見上げては呆けていた。
霊夢は入浴中、彼女の長風呂は幻想郷でも有名なほどの長さだ。入浴待ちってのもあるが、
この退屈な時間を活用してそろそろやっておかなければならないことがある。

そして子の刻になる頃、西から東からアリス、魔理沙、パチュリーの3人がやって来た。
○「やあ、本当に時間通りに来てくれたね」
ア「何?今日はあなたが宴会の幹事になるのかしら?」
パ「そういえば霊夢は?」
○「霊夢は入浴中。宴会も悪くないが今日はもっと大事な用件だからパスだ。
  実は…その、これから付き合いたい人を決めようと思ってね」
それを聞き3人の目の色が変わる。
○「たった今から椅子取りゲームの要領で僕の膝の上を占領できた子と付き合おうと思う」
パ「思ったより簡単なのね」
○「あぁ手っ取り早くて分かりやすいだろ。さぁもう勝負は始まってる、かかってこい」
○○がひときわ強く声を上げると合図されたかのように彼の元に突っ込んでいく3人。
○「おー、こりゃ魔理沙が一番早いか…っておい待てちょっとそれ軌道がおかしくnプギャ!」

魔「…あのなぁ、なんだよこの決め方。私は何となくむかついたぜ」
○「ムギュ・・・」
魔理沙のヒップアタックをもろに受け仰向けに倒れた○○の顔の上を一人占領し毒づく魔理沙。

魔「…あとお前らももうちょっと怒れよこいつに」
顔を上げると膝の上でおしくらまんじゅうしてるアリパチェ。

霊「あー、襖壊したわね!○○さん後で体で弁償ね」
○「ムグ…モゴコラどけ魔理沙…あぁ霊夢、実はお前が好きだ付き合ってくれないk」
魔「但し魔砲は尻から出るスパーク!!!」

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1スレ目 >>527-529


527 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/12(水) 17:40:29 [ ulkobMvM ]
  霊夢に殴られたい

528 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/12(水) 18:27:59 [ Njbym132 ]

  /\/ i
 「` ´:::::::::ヽ
  i :::ノ_,ル,_:::〉
  !:::l:!‘д‘ノリ  パーン
   ⊂彡☆))Д´)←>>527


529 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/10/13(木) 01:46:51 [ 4avbXSBY ]
  >>527
  いいなぁ…

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1スレ目 >>640



目を覚ますと、倉庫のような場所に居た。
古びれた旧時代の倉庫のようだ。そこは薄暗く、辺りには
この倉庫の持ち主の、私物らしきものが置かれている。
風鈴や、団扇、過ぎし夏を思い出させるものばかりだ。

「…ここ、何処だ?」
まず最初に思った事はそれだった。
別に、この倉庫は俺が知っている場所のはずはない。
あの場所から俺は逃げていた。
逃げて逃げ続けて、どこかを通った覚えがある。
まぁ、そんな瑣末な事はどうでもいいだろう…。
とにかく、俺は逃げたのだ。
「出るか…」
いつまでもこんな倉庫に居てもしょうがない。
閉めきった倉庫は埃だらけで、息をするのも億劫だった。

「…っ」
思い切って戸を開けた。
開けた途端、さんさんと出ている日光を身体に浴びる。
天気は晴れ、山や森、川が見える。
「さて、どう言う事なんだろうな」
今あることは疑問しかないが、何となく、すぐに解決できるような予感がした。

周囲を見渡しても、何かあるわけではない。
いや…何も無いからこそ、おかしかった。
俺が今まで居た場所はビルがあり、車があり、無意味に多い人々が辺りを歩き回っている。
そんな場所だったはずだ。
ところが、ここはどうだろう?
まるでどこかの片田舎のように、山に囲まれて、川があり、見たことのない自然が
繁栄している。
「…何だ、あれは?」
もう、驚きたくもなかった。
遠くを、見たことのない生物が飛んでいた。
生物というよりは、妖怪といった感じだが。
再び周囲を見回してみると、赤い鳥居に目が行った。
…どうやらここは、一応神社らしい。


「はぁ…」
神社の境内に回ってみると、縁側でお茶を飲む巫女が居た。
その巫女装束は、普通の神社とはまた違うものだった。
「すいません」
「はい?」
思い切って訪ねることにした。
ここが何処なのか、何故俺はここに居るのか。
他にも色々。
まぁ一人の巫女にわかるようなら苦労はないんだけど…。
「ここは、どこですか?」
「あぁ、あなた迷い人ね? ここは幻想郷の博麗神社」
いきなり訳の分からない単語を言われた。幻想郷?博麗神社?
「あんたは…?」
「私は博麗神社の巫女、博麗霊夢」
霊夢、その言葉に奇妙な感じを覚える。
「まぁ、迷い人なら、ここから外に出せばいいのよね。結界の修復は面倒だけど
仕方ないか」
呆れ気味に言う巫女――霊夢は俺の手を取ろうとしたが、俺は無意識の内に
手を引っ込めていた。
「…どうしたの?」
「あ、いや…」
そうだ。
俺は逃げていたんだ。
だから、誰の目の当たらなそうな場所に居るしかない。
ここは、そういう意味でも絶好の逃げ場所だろう。



「…とまぁ、そういう訳なんだけど、分かった?」
俺は一通りこの幻想郷についての説明を受けていた。
ここは隔離した世界とでも言うらしい。
妖怪が居る世界という説明で何となく納得できた。
「一つ質問があるんだけど」
「なに?」
「俺がここから出て行ったら、もうここには来れないのか?」
「結界の修復をするしねぇ、無理とは言わないけど、難しくなると思うわ」
…嫌だな。
せっかく、見つけたんだ。あんな世界には戻りたくない。
虚構に彩られた世界。
何が正しくて、何が正しくないのか、そんな曖昧な世界には…戻りたくない。
それに…彼女――霊夢の事も妙に気になっていた。
何故気になるのかも分からない。しかし、気になるのだ。

「あー、倉庫でよければ貸すけど?」
「あぁ、借りるよ」
ここに知り合いなんて居るはずもない。
塒があるだけでもありがたい。
今の俺には、ここを調べるという事だけが、一番重要なことだった。
人間の手が入っていない、素晴らしくも物足りない世界。
方向感覚にだけは自信があるので、夜まで俺は歩き続ける事にした。



霊夢は変な奴だ。
…変な奴とまで言うと語弊があるが、ともかく俺のであった人間の中では
比較的変わった奴の部類に入る。
だが、どことなく懐かしい気がするのも事実だ。
もしかしたら、何処かで会ったのかもしれない。

「それはないな…」
霊夢はこの幻想郷に居るのだ。
彼女が向こうに行ったなんてことはありえない。
「あら、それはどうかしら?」
夕闇に染まり始めた時、その声は響いた。
目の前に現れたのは、一人の女性。
傘を手に持つ姿は、一見して見惚れるくらい美しかった。
だがその女性が放っている奇妙な空気、とでも呼ぶべきか
それだけは人間にあるまじき気配だった。
「もしかしたら会った事があるのかもしれないし、ないのかもしれない」
「いつの間に…それよりも…どういうことだ!?」
「まぁそんな事はどうでもいいわ。あなたは気付いていない」
俺が…一体何に気付いていないと言うんだ?
女性は軽く頭を振ると、俺に向かって微笑する。
「輪廻する想いは別れ、巡り、そして再び出会うの…霊夢とあなたもそんな
切れることのない縁で結ばれている」
「あんたは…一体何なんだ?」
問いに対して、女性は何も答えない。
漆黒に彩られた夜が降りて、森に住まう妖怪達がざわめき立つ。
「…いない?」
ほんの少し目を逸らした隙に、女性は居なくなっていた。
彼女は…一体何者なんだろう?


「あぁ、それ紫よ」
「…紫?」
霊夢の話によると、強力な妖怪らしい。
普段からあんな風に掴み所がなく、言う事が大体、胡散臭いらしい。
「真に受けちゃダメよ」
「…あぁ」
もっとも、あまり意味が分からなかったけど…


その日、倉庫で見た夢は暗い夢だった。
一人の男が居る、女性が居る。
感覚的に何故かはっきりと分かる。
あの男は…恐らく『俺』で女性の方はきっと『霊夢』なんだと。
『もうすぐ、お別れね』
『そうなるな。…お前は一緒に来ないのか?』
『私には…幻想郷に居るっていう義務があるから』
そんな義務…捨ててしまえ。
男は人間の住まう世界に帰らなければならなかった。
最愛の博麗の巫女を置いて。
『だが、再び会える日がくる』
『それは何時かしらね?』
『例え、俺が死んだとしても、お前とは…必ず会える…再び…会える事を
――俺は願う』

ブツン

まるで、出来の悪い映像が切れたような音が鳴った。
起きてみると、寝汗しかかいていない。
今のは、きっと前世の記憶とかいう感じの夢だろう。
まだ日も出ているわけではない。
頭が痛い。
魂から沸き起こるような奇妙な想い。
前世の俺が叶えることができなかった博麗の巫女への想い。
「…しょうがないな。伝えてやるよ」
まだ寝かけている頭を無理に覚醒させながら、俺は起き上がり
現在の博麗の巫女の元へ向かった。


「…起きているか?博麗の巫女」
境内の方にに向かってみると月下に佇む一人の巫女が居た。
その雰囲気は日の出ていた時の霊夢とは、また違った雰囲気をもっていた。
『待っていたわ』
はっきりと夜に響く声で彼女は言った。
「…伝えなければならないことがある」
俺の言葉じゃない。
『あの男』の言葉だ。何が起きても、もう不思議とは思えない。
今はただ、『この男』に『俺』という器を貸してやるということだけだ。

『私も伝えなければならないことがある』
「それは互いに奇遇だな」

本当はわかっているのだろう。
不敵な笑みが自然とこぼれる。

『会って言わなければならなかった』
「…俺もだ。だが、生きて会うことは出来なかった」

だから、輪廻なんていうものに頼ってしまった。
会える保障なんてないはずなのに、それに頼る。
それだけの想いが…あったのだろう。
博麗の巫女はくすくすと笑いながら、呟く。

『会えて、良かった』
「また…共に――」
自然と抱き合うような形になっていた。
彼女の想いと、温もりが俺の方にも感覚的に伝わってくる。
すぅっ、と体が一瞬だけ、軽くなった。


「…で、離れないの?」
「気付いてたなら、言えば良いだろ」
『男』と『博麗の巫女』の想いが離れて行っても、俺達は
抱き合ったままだった。
もしかしたら、こういうのが自然だったのかもしれない。
「…薄々とは気付いてたの。色々とね」
「俺は、夢に見て気付いた」
「輪廻してからの、この想いも…未だあなたに向けられているのね」
「それは、俺が想われているって事か?」
霊夢は顔を赤くしながら、黙ってそっぽを向く。
月光に照らされた顔は、夢に見たものとも、先ほどの彼女の顔とも
違っていた。

「…仲良いじゃない」
「「うわっ!?」」
急にかけられた声に俺達は一瞬で離れた。
妖怪さん――八雲紫が何処からともなく現れたのだ。
「あんた、一体どこから来るのよ!」
「そこの異次元から」
霊夢の言葉にあっけらかんと答える紫さん。
「まぁ、一部始終は見させてもらったわ」
「…紫、もしかしてあんた知ってたの?」
「知らなかったら、そこの子に教えないわよ」
そう言って俺を指差す。
どうやら、最初からお見通しだったというわけらしい。
俺が輪廻した者だという事。博麗の巫女の想いを受け取るべき
存在を、身に宿す者という事を。
「ま、とりあえず、一件落着でしょう。貴方達、この際だから許嫁にでもなったら?」
「許嫁!?」
「って、何でそこまで話が飛躍するの!?」

「言ったでしょう。想いは別れ、巡り…そして再び出会う。
別れる事となって後悔したくないなら、早い内にくっついた方がいいのよ」

確かに正論ではある。
だが、それはお互い想い合っていればの話だ。
今日出会ったばかりの俺と霊夢に言うのは無理がある。
「…別に、いいんだけど」
「は?」
俺は耳を疑った。霊夢がそんなことを?
「博麗の巫女の想いは…未だ残っているの。あなたを想う気持ちが…」
それはつまり…
「あら、貴方は感じないのかしら?あの男が残した『想い』を」

…目を閉じると、暗闇の向こうに、一人の少女が立っていた。
俺は、彼女――霊夢が愛しいと想う。
出会った時や時間なんて関係ないものだ。
前世の『俺』が言う。
「あぁ…俺って、霊夢が好きなのか」
過去の二人が巡った時間、それを俺達は引き継いだ。
互いをこんなにも想っている。

「…一応、前世の想いなんてのがあるけどさ…
俺はお前が好きだ」

月光に照らされる少女の髪が、ふわりと揺れた。





後書きという遺書。


訳ワカメでした。

ノリに任せて書いていたら、いつの間にか妖精さんが書いてくれました。
冗談ですが。

えっと、前世ネタなんで、感覚で愛を感じろ…でしょうか?
ギャグは一切無しで頑張ったんですけどね…

とりあえず、リクエストしてくれた方には本気で申し訳ないくらいです。
この場で、588の方に全力で謝罪しておきます。
ごめんなさい。俺はあんたの期待を裏切った。
…いや、期待されていないかもしれませんが。

ひとまず、期待してくれた方には感謝を、そして俺は地獄行く。

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1スレ目 856



 降り始めた雪は、朝になる頃には一面の雪景色を予感させた
「ご馳走様。…随分暖かくなった」
「こういう日はこれが一番よ」
霊夢が作ってくれた夕食は、野菜を煮た汁に酒粕を溶いたものだった
「ふー。腹一杯だ…」
「寒いからって食べ過ぎじゃないの」
「腹ごなしでもすっか。外行こうぜ」
「…はぁ?」



 雪で白みつつある神社の階段を静かに降りる
身を切るような寒さだが、冬の冷たい空気は何とも心地よい
「なぁ霊夢、冬の夜って特別な気がしないか?」
「寒いから嫌よ」


   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:弾 ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄

終わっちゃうだろそれじゃ…



き、気を取り直して続きだ



 冬の夜が好きだと、霊夢に話してみるが上手く表現出来ないものだ
霊夢はマフラーで口を覆い、更に両手で抑える
俺との身長差から、上目遣いになる。なんとも言えず可愛い
「あなた、私には見えない何かが見えてるのかしら」
「そうか?」
「でもわかるわ。特別に感じる季節があるのは自然の事よね」
少しの間、沈黙が続く
「実は、この散歩は口実に過ぎなかったんだ」
「え…?」霊夢は訝しげにこちらを見る
今日という日を選んだのも、冬が特別なものなのだから


 霊夢の肩を引き寄せ、背中に腕を回し、その小さな身体を抱いた
「あ……」驚いたようだが、抵抗は無い
「好きだよ、霊夢…」
返答は無かったが、霊夢も腕を背中に回してくる。
それだけで十分すぎる返事だ
例え言葉が無くても、受け入れられたという満足感で旨が一杯になる
寒さで乾いた唇を湿らせ、優しくゆっくりと唇を重ねる
彼女の小さな唇も乾いてはいなかった
びょう、と風が吹くと互いを抱く力は強くなった。寒いはずなのにかえって暖かい



冷たい空気も、降りしきる雪も、今では心地よい祝福の言葉



備考:絵板2342の霊夢かわいいよ!

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1スレ目 >>896


「お待たせ。もう準備は済んだのかしら?」
ぽっかりと空間に穴が空き、スキマ妖怪こと─八雲紫がにゅっと顔を出す。全く心臓に悪いものだ
俺が幻想郷を去るにあたり、外界との境を隔てている結界の破壊や修復が可能な彼女の力は必要不可欠だ
「ああ、全部済んでいる」
「最後にもう一度だけ…後悔しないわね?」紫はじっと俺の方を見る
「ああ」一瞬だけ、俺の心に何かが引っかかるような感じがした
「…そう。わかったわ」
最後の決断。もう後戻りはできない
その時、霊夢が何かを抱えながら廊下を歩いてきた
「…これ、後で食べて」
霊夢が差し出したのはどう見ても弁当らしき代物。
「…人里までどれぐらいあるのかわからないし、途中で疲れても知らないわよ」
「霊夢…」霊夢の心づかいに、ドキっと心臓が鳴る
 ──この世界に流れ着き、いきなり妖怪に襲撃を受けた時も
 ──大怪我をした俺に、神社の部屋を貸してくれたのも
 ──怪我が治るまで何もすることが出来ない俺の面倒を見てくれたのも
楽園の素敵な巫女こと博麗霊夢。彼女はいつだって、俺のそばにいた…
そして俺は、何一つ報いることが出来無かった
「本当に俺…何て言ったらいいか」
「…何回言わせるのかしら。私のことなんて気にしなくていいの」少々素っ気無い返事
「本当に…ありがとう。霊夢」霊夢に向かって深く頭を下げる。この程度の礼もできないようでは恥としかいいようがない
「…ううん、どういたしまして」霊夢は小さく頷いた
「元気でね」
「君こそ」
別れの挨拶としては、余りにも簡単なものだった


(…霊夢)
(何よ)
(いつものあなたはどこに行っちゃったのかしら?)
(…)
(あなたはいつだって、思い立てばすぐに行動してたのに)
(…これは私の都合だけじゃないでしょ)
(夢と伝統を保守する巫女。あなたはいつだって正しいのだから)
(…)
(…ありがと、紫)



 神社の鳥居をくぐると、奇妙な感覚が俺を包んだ。これが結界を抜けるといことなのだろうか
後は振り返らずに、俺はどんどん歩みを進める。
辺鄙な山奥とはいえ、ここは元の世界なのだ。もう振り向いたって仕方が無い
「…待って」少しだけ聞こえた、聞こえるはずの無い声
俺は驚き、思わず後ろを振り返る
「…霊夢! どうして」
霊夢は何も言わずに、俺に抱きついてくる
突然のことで思わずもんどりうって盛大に尻餅をつく
霊夢は俺に覆い被さるようにしたまま、顔を近づけると唇を重ねてきた
その時見てしまった。霊夢の頬が涙で濡れているのを─
「私…あなたと一緒に…いたい…」泣き声になりながらも、はっきりと告げてくる
「引き止めちゃ…いけないのに…でも…好きなの…離れたく…ないの」
俺は立ち上がると、霊夢の細い身体をしっかりと抱く。今度は俺から優しくキスをする
「戻ろうか」
霊夢はこくりと頷いた


夢と伝統を保守する巫女は、伝統を捨てて夢を追った
夢を捨てかけた俺は、現実を捨てて夢を取り戻した


これからは、どんな夢が待っているのだろうか
人は、夢を見ることができる。夢を手に入れることもできる
最早恋と言う夢では無く、愛という現実のものなのだ

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2スレ目 >>8


「霊夢、君の心を俺という金で売ってくれないか?」

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2スレ目 >>17


俺「あー……熱いお茶がしみるなあ」
霊「んー……熱いお茶がしみるわね」

ずず……。

俺「なあ」
霊「なに」

ずずず。

俺「結婚してくれ」
霊「ああいいわよ」

ずずずず……。

俺「そっか。んじゃそういうことで」
霊「ん。 ……お煎餅、食べる?」
俺「貰う」
霊「ほら。口開けなさい」
俺「あーん?」

ぱりっ。

霊「湿気てない?」
俺「お前のお肌くらいには張りがあるよ」
霊「そ。私も食べよ」
俺「食え食え」

ぱりぱり。

霊「……んー。これからもよろしくね」
俺「……んー? ああ。よろしくな」



霊夢はこれくらいまったりと適当にするのが似合うと思った、晩秋の日。
あ、石投げないで!

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2スレ目 >>65


珍しく紫さんが神社に遊びにきた。
紫さんはおそらく幻想郷一なんじゃないかと思うほど美しい。
その美しさについ見とれてしまう。ドカッ
そのたびに霊夢にぶん殴られるが、それでも(ドスッ

結局その日は10回くらい殴られてしまった。
…全く、橙と遊んでやってるときも殴ってくるから教育に悪いんじゃないかと思ってしまうが。
(「おねぇちゃん、○○痛そうだよ?」「橙、気にしなくてもいいのようふふ」「ヒィィ」)

紫さんが帰った後、二人で石段に腰掛ける。これもいつものことだ。

「ねぇ」
「ん?」
「私のこと、本当に好きなの?」
「ああ」
「貴方の紫に対する視線からすると、どうもそのようには見えないけど」
「いや、あれは違うんだ・・・。美しいものにはつい目が逝ってしまうんだ。だから、sの、あれd
「結局、紫の方がいいんでしょ?」
「いや、俺は霊夢、お前が好きだぜ」
「信用しにくいんだけど」
「いいか、紫さんなんてな、ただ美人なだけなんだ。
 内面は腹黒いし、式をこき使う冷酷な奴だし、
 年増だし、無駄に睡眠取ってるし、足は臭いし・・・(やべ言い過ぎt(ry

「そうなの?」
「そうさ。お前の方が良いに決まってる」
「本当に本当なの?」
「ああ」
「良かった~。」
そういうと霊夢は俺に抱きついてきた。
よし、今だ、この際にキスを・・・。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


    |┃三     , -.―――--.、
    |┃三    ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
    |┃    .i;}'       "ミ;;;;:}
    |┃    |} ,,..、_、  , _,,,..|;;;:|
    |┃ ≡  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|
    |┃    |  ー' | ` -     ト'{
    |┃   .「|   イ_i _ >、     }〉}     _________
    |┃三  `{| _;;iill|||;|||llii;;,>、 .!-'  /話は聞かせてもらったぞ!
    |┃     |    ='"     |    <貴様ら二人ともスキマ送りだ!
    |┃      i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {     \
    |┃    丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ     \
    |┃ ≡'" ̄ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃     ヽ、oヽ/ \  /o/  |   

ちょちょちょ、ま、待て、やめ、助けt、うぎゃぁぁぁぁぁぁっぁ


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博麗霊夢と○○、八雲紫に宣戦布告
――スキマ妖怪、二人に過酷な報復措置――
(3面に関連記事)

○日、博麗霊夢と○○はスキマ妖怪の八雲紫に対し、宣戦布告を行った。
八雲紫は式を伴って博麗神社を訪れ、博麗霊夢、○○と遊んでいたが、
夕方、帰った後に事件は発生した模様。
八雲紫は変える振りをして二人の様子を探っていたが、
○○と巫女はそれに気づかず雑談を始め、
逆鱗に触れるようなことを逝ってしまったらしい。
その内容は具体的には「足が臭い」とか「足が臭い」とか「足が臭い」といった
八雲紫に対する悪口が主である。
このスキマ妖怪の足が臭いのは周知の事実であるが、
事実であるがゆえに逆鱗に触れた模様だ。
マヨヒガ在住のRさんは「足が臭くて臭くて・・・。とても寝れたもんではない。
私だけなら我慢するが、橙の教育に悪いのではないかと思っている」と語る。
重ねて言うが、このスキマ妖怪の足が臭いのは周知の事実である。
が、タブーであるようだ。
実際のところ、これを書いている筆者の背後にも殺意が感じらr・・・


「文。」ビクッ
「あなたもスキマ送りにした方がよさそうね。事実なら書いてもいいって訳ではないのよ」
ひぇぇぇぇぇ

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ゆかりん☆しんぶん
危険分子を派手に始末
――ゆかりん、スキマ送りの刑で秩序の回復を検討――

次の日、配られたのはそんな見出しの新聞だった。


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 あとがき
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いつもはプロポスレを読むだけで楽しんでいたのですが、
妄想は止められず、今回初めてSSを書いてみました。

始めは、
霊夢との愛を確認→その際に紫を悪く言ってしまい、スキマ送り
という感じで書くつもりでいたのですが、
次第に尾ひれがつき、結局訳の分からん話になってしまいました。
書きたいものを書きたいように書くというのは難しいと改めて実感。
人に見せられるレベルのSSを書けるようになるまでは精進あるのみですね。

つまらない物でしたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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2スレ目 >>502


霊夢の上手な口説き方

まず、札束を二組用意する。
金額は多いほど、成功率が高いぞ。
次に、いつものように掃除を怠けている霊夢が挨拶してくる前に、その札束を見せる。
呆然としている霊夢の前を悠々と歩き、素敵なお賽銭箱の前へ。
「こっちの札束は、賽銭だ」
そういいながら、片方の札束をお賽銭箱へ投下。
札束は吸い込まれるようにお賽銭箱の中へ。
そして、そのまま霊夢の元へ行き、彼女の目を見つめる。
「そして、こっちは俺と霊夢の結婚資金だ」

こうして、感極まった霊夢が抱きついてきたらプロポーズ成功。
夢想封印が飛んできたら失p(夢想封印

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2スレ目 >>811


今日もここ博麗神社では何時ものように宴会が繰り広げられていた。
夕日が己が赤で境内を染めていたころ開かれていたこの会も、今では満月が幻想郷全体を照らすがごとく、天蓋の頂点に位置している。
「―…綺麗ね」
「ん?」
騒ぐ皆を尻目にポツリと零すように、僕の傍らで座っている霊夢は呟いた。
彼女が指しているのが月の光眩い夜空か、
それとも、囲炉裏の火が本日の宴会の客人たちをまるで影絵のように照らしている様なのかは僕には解らない。
「今日、みんなに私達のことを全部話すのね…」
僕と霊夢が宴会に直接参加していないで、片隅で寄せ合って座っているのは、
今日の宴会の真の目的たる、ここに居る全員に二人の関係を告白する為の心の準備でもあったから。
すると、霊夢は僕に身を預けてきたので、手をぎゅっと握り締めてあげたら、
彼女は全信頼を預けるかのように身を完全にもたらせてくれた。
「…もう少し……このまま…ね?」
言った彼女の表情までは見て取れなかったが、その声には若干の怯えが在ったのかも知れない。
博麗の巫女を奪うことが幻想郷のバランスをいかほど崩すかは僕の知り得た事ではないけれど、
胸の中の愛しい人を守るためなら、僕はこの命までも投げ出そうと心に誓った。

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>>111


散歩から戻ってきた俺を待っていたのは、目に涙を浮かべた霊夢だった。
彼女の手には、ぼろいルーズリーフのノート。
「霊……夢?」
縁側に座って俯いていた彼女は、俺の方を向いた。

「ごめん……この日記、読んだ」

突然この幻想郷に迷い込み、妖怪に襲われて死にかけていた、
そんな俺を助けてくれたのが霊夢だった。
それだけでなく、元の世界に戻れるまでこの博麗神社に泊めてくれている。
霊夢には、どれだけ感謝してもお礼をしても足りない。

元々武術も習っていないし運動音痴な俺に、
この幻想郷で出来る事は少なかった。
掃除や洗濯等の家事を手伝っているが、
それでも一日の大半は時間を持て余していた。

そんな日常の中で、数少ない楽しみが日記だった。
(見た限り)平和な日々の中の、些細な変化を書き留めるのが楽しかった。
白黒の魔砲使いとの会話。
時々天狗の娘が運んでくる新聞。
幻想郷で迎えた新年。
毎日の出来事を、事細かに書き記していた。

そんな日記が、毎日内容が同じようなものになっている。
霊夢。
俺の命の恩人。
いつからか、俺は彼女に恋心を覚えていた。
日々募る彼女への想い。
今では、寝ても醒めても彼女の事が頭から離れなかった。
そして、日記もここ1、2週間は彼女一色だった。

「えっと……もしかして全部?」
こくりと頷く霊夢。

昨日の夕方に書いた日記。
告白の台詞の候補を書き連ね、
あれがいいこれがいいと考えを巡らせ、
いつ告白したらいいかと考え、
そんな事をしているうちに日が暮れて。
そんな内容の日記。

そこまでも全部、霊夢に読まれてしまった。
独り言だからこそ成り立っていた日記。
それを全部、盗み聞きされてしまい。

――王様の耳はロバの耳――


「……私の事、あんな風に思ってくれてたんだ」
霊夢が若干上ずった声で言う。

――ロバの耳の王様は、
最後には笑われる覚悟で耳を民に晒した――

「今更遠回しな台詞なんてもういいな。
 霊夢…………君が好きだ」

――しかし、民は王様を笑う事無く――

「元の世界に……戻りたくないの?」
「それは、多少は戻りたいとは思う。
 突然いなくなって、親も心配してるだろうし。
 でも、今は君が何より大事だ」

――逆に、勇気を出して欠点を打ち明けた王様を称えた――


「……あなたって、本当に親不孝者ね。
 でも、あなたに好きって言われて……嬉しかった」
霊夢の目から涙が零れ落ちる。
「春になったら、元の世界に戻りなさい。
 親を悲しませたら、駄目。
 ……でも、必ず戻ってきて」
「わかった、ありがとう……霊夢」
俺は、霊夢を強く抱きしめた――





霊夢に告白してから数週間。
春妖精が遠くの空を飛び回っている。
今日、俺は元の世界に戻る。
目の前には、スキマ妖怪の紫と、顔を伏せた霊夢がいる。

「それじゃ、元の世界への道を開くわ」
そう言って紫は目の前の空間に裂け目を作った。
「……………………」
霊夢は俯いて黙ったままだ。
「それじゃ……また」
俺は霊夢の前に立って、静かに言う。
すると、霊夢は顔を上げて俺の方を向き、



ちゅっ



「……………………」
「早く…………戻ってきてよ」
「……わかった」
そして、俺は空間の裂け目へと入っていった……

「ふふっ、お熱いこと」
その様子を、横から紫が微笑みながら見ていた。















彼が自分の世界へ戻ってから、丁度5年。
今日は、いつもの春と何か違う。
おそらく、きっと――――



「ただいま」



声の方を向くと、そこには私の望んだ人がいた。



「遅いわよ」





終わり





――後書き――

えー、初SSです。
思いついたままに書いたら、こんな感じになりました。
話の展開が出鱈目だし。
持ち出した設定、全部使えてないし。

えーと、お目汚し失礼しました。

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最終更新:2010年05月12日 23:09