霊夢16



9スレ目 >>765


「霊夢!」
「・・・なによ○○」
「前に温泉を掘って小屋を作ったのを憶えていますか?」
少し前だったな、コイツが温泉を掘って、ヤラシイ考えで小屋まで作っちゃって・・・
「憶えてるけど・・・それがどうかした?」
「勢い余って温泉旅館を作りました!」
「ぶふぉっ!げほげほ」
飲んでたお茶を勢い良く噴出した、ついでに咽た
「そして大繁盛です、もうお金に困る事はありません」
「へぇ・・・よかったじゃ無い」
噂で聞いていた宿の主がコイツだったとは・・・良いなぁお金、お金
「俺はだいぶ裕福になったのです、なので生活に余裕が出来たのですよ」
「はぁ・・・それがどうかしたの?神社にゃ関係ないわよ、お賽銭を余計に入れてくれるの?」
いくらこいつが儲かろうが私には関係ないことだ、こいつがお賽銭を弾んでくれるなら話は別だが
「・・・生活に余裕が出来たので・・・結婚しようと思います」
「ふ~ん・・・・・・・えええええええ!!!??だだだ誰と!?」
「・・・霊夢、俺と・・・結婚してくれ」
「え、えわた、わたわわ私!?」
「俺は妖怪だし助平だし、性格も人格も駄目な奴だ、でも・・・それでも君を想う気持ちにだけは自信が有る!こんな俺でよければ!結婚してくれっ!」
「その・・・私でいいの?後で後悔したりしない?」
「俺は、お前じゃなきゃ嫌なんだ、お前と出会ってから、いつもお前の事ばかり考えてる、俺が助平なのも・・・お前限定だ」
いや、最後のは喜んでいいのか解らないけど、それでも私を選んでくれるのなら

霊夢は三つ指揃えて、深く頭を下げた
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「お、お願いされました」
つられて俺も深く頭を下げた
この瞬間俺達二人は夫婦になったのだ
どんな困難も、問題も、二人なら楽勝だ、不思議とそう思えた

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9スレ目 >>919-921


  妖怪旅館日記
  ◯月妖日
  妖怪の山に温泉が湧いてから丁度一月がたった。
  近くの小屋を旅館として運営するのはちょっと不安だったが
  うまい具合いに軌道に乗ってくれたみたいだ。
  ひとまず経営にも余裕ができてきたので日記を書いてみることにした。
  追伸 今日の被害 0

  ◯月中日ドラゴンズ
  今日は宿泊予約が入っている日。
  紅魔館の門番カップルだ。
  有休を取っての宿泊らしいがよくあのメイド長が許したな、と思う。
  まあそれも仕方がないのかもしれない。
  何故ってこの二人、こんな山奥まで噂が聞こえてくるほど有名なバカップルだからだ。
  いわく、仕事中にお姫様抱っこで散歩にいった。とか
  こちとら一人身で仕事をしてるのに良い御身分ですこと。

  追伸 その日偶然男湯と女湯の境目が壊れた。
  あのバカップルにはいいきみだがしばらくは混浴で経営しなければならなくなった。
  そのため代金を下げることになってしまった。不幸だ…

  ◯月永日
  今日は永遠亭御一行様の貸し切りとなっている。
  月一の宴会以外で大部屋が久しぶりに使われることになったので、
  旅館の大掃除をすることにした。
  一人では大変なので霊夢に手伝いを頼んだのだが、
  いかんせん渋るので俺が五十年ほど前に作っておいた秘蔵の古酒で手を打たせた。
  俺がこんなこと頼むのは霊夢だけなんだからいい加減俺の気持ちにも気付いてほしい。

  手伝ってくれた霊夢を送ったあとに御一行様を迎えた。
  姫と薬師と男二人、そして因幡が数十匹だ。(ブレザーを着た因幡は後に薬師の弟子と判明。どこのコスプレかとオモタ)
  食事は大部屋にてとってもらうのだが、それでもギリギリ入るくらいなので大掃除して正解だった。

  日が暮れたころに宴会となり、俺は初め料理を運ぶのに従事していたが
  いつのまにかいっしょになって騒いでいた。
  姫の恋人は噂通りの美男子であり、大人である。
  あの姫にトコトン尽くして気が利くまさに完璧超人。
  たしか姫による逆光源氏だとか
  薬師の伴侶は面白い人だった。
  永遠亭プロレスは爆笑ものだと明記しておく。
  (ちなみにカードはED男爵VSマスク・ザ・薬)
  追伸 今日は覗きが発生
  混浴なのに覗きが出るとは思わなかった。

  犯人はやっぱりED男爵
  覗きは男のロマンであり義務だとか。
  もちろん制裁をくらっていましたけどね
  ◯月霊日
  旅館が繁盛してきた。
  そろそろ霊夢に俺の気持ちをつたえても良いと思うんだ。
  つうかいままでそれっぽいことは何度かあったのに
  まったく気がつかないってどーよ?
  そんなわけで、明日の日記には成功の二文字を書けるようがんばりたい

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9スレ目 >>963


○○「よお、霊夢」
霊夢「あら、○○じゃない。どうしたの?」
○○「いやあ、貧困を極めて糞庶民以下の暮らしの楽園の哀れな巫女に施しを、と・・・」
霊夢「アンタ後で殺すわ。…って……何よこれ?」
○○「地域振興券だ。感謝しろ、恐らくそれが現存する最後の「イラネ('A`)」な、何をするだァー!!」

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11スレ目>>111


腹減ったなぁ……。
突然この幻想郷に放り出されて、もう数ヶ月になる。
俺は妖怪の山に迷い込み、何とか生き延びていた。
でもその間に……俺の身は人間から妖怪になっていた。
何度も死にそうになってその度に妖怪の死骸を食ったりして空腹を凌いでいた俺はどんどん人間から離れていったんだ。
気付いたら人里に降りられないような見た目になってて……肉を食うことに戸惑いや躊躇がなくなっていった。
そして身も心も妖怪になりそうになっていたその頃……俺の前にあいつが現れた。
里の人間に依頼されたらしいあいつは俺に襲い掛かってきた。
俺は必死に逃げ回り、時には攻撃したけど……あいつは圧倒的だった。
俺だってずっと妖怪の山で生きてきたんだ。
実力だって雑魚に比べれば強いし、多少は自信もあったけど……あいつには無力だった。
もうこの身が滅びそうになっていた時……あいつは問いかけた。
俺は……人間かと。

「良い?あんたは妖怪から人間に心を戻しなさい。そうしないと私はあんたを退治しなきゃならないの。でも面倒だから早く適度な人格を持ってくれない?」

あいつ……博麗霊夢はそう言って俺の前から去っていった。
それから数日後……俺は博麗神社の前を掃除していた。











「ほら手が止まってるわよ」

「はいはい……やりますよ」

「返事は一回で良い」

結局俺は妖怪の山を降りて霊夢の世話になっていた。
見た目は一応普通の人間にもなれる俺は普段は普通の姿で霊夢の家に住んでいる。
始めは久しぶりの人間の暮らしに戸惑ったけど……最近はだいぶ慣れたつもりだ。

「●●、今度はお茶を淹れて」

「……俺のお茶はまずいんじゃないのか?」

「良いから淹れて」

「……はいはい」

霊夢は本当に変な奴だ。
いつでも宙に浮かんでるような態度で俺の疑問を生ましていた。
でもまぁ……この幻想郷には変な奴しかいないけど。
この前宴会で来た、あの館の執事も変な奴だったなぁ……一応人間らしいけど。

「……まずい」

「だから言ったのによ……」

俺は人外な生活が長かったせいか、文化的な生活が致命的にダメになっていた。
お茶も淹れられないわ、今持ってる箒だって最近使えるようになっただけだしな。

「なんでレミリアの所の○○はあんなに有能なのに……」

「悪かったな無能な野蛮人で」

素でいじけたくなる気持ちになった俺は霊夢に背を向けた。
ちくしょう泣きたくなる気持ちは俺にだってあるんだからな。

「別にそんなこと言ってないわよ」

言ってなくても、そう聞こえるよちくしょう。
あぁ本気でいじけたくなる……。

「霊夢は苛めっ子だからなぁ!?」

「誰が苛めっ子だ」

「痛いぜ……」

いや魔理沙?普通その針は痛いじゃすまないから……俺前に滅茶苦茶食らって死にそうになったから。
っていうか今どっから現れたお前!?

「霊夢が苛めるのは愛情の裏返しなんだぜー。だから●●もそう落ち込まなくて良いんだぜ?」

「な!?何を勝手なこと言ってるのよ魔理沙!?」

「真実だぜ」

「……コロス」

あ~また霊夢と魔理沙の弾幕ごっこが始まったよ。
はぁ後が大変なんだよなぁ……。
って今、魔理沙が凄いこと言ってたような……。

「え、えぇぇぇ!?霊夢が俺のこと好き!?」

「●●が叫んでるじゃないのよ!わ、私が好きなんて言ってないでしょ!」

「わざわざ妖怪を霊夢が世話してる時点で似たようなもんだぜ!」

「す、萃香とかだってそうじゃない!」

「あいつは勝手に住み着いたんじゃないのか?」

「●●だってそうよ!」

俺の目の前でかなり失礼なことを叫ぶ霊夢。
でも何か顔が少し赤いし……もしかして本当に……。

「い、いや考えすぎだなうん」

自惚れは良くない。
そう思った俺は、これ以上危険な言葉が聞こえる前に家の中へと入っていった……。
……でも実際どうなんだろ?

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10スレ目>>163


「それじゃあちょっと出かけてくるけど神社から出ちゃ駄目よ」
「分かってるって、大体外に出れないって
 ほら、妖怪退治行かなくていいのか?」
「なるべく早く帰ってくるから」
「ああ、行ってらっしゃい」
「それじゃあ、行ってきます」


そう言うと霊夢は空を飛び麓の方に飛んで行った


「んじゃあ掃除でもして待ってるか」


そして俺は境内の掃き掃除を始めた



ザッザッザッザ
「やっほー○○、ご機嫌いかが~♪」


掃除を初めて暫らくすると萃香がやってきた
やけに上機嫌だがどうせ酒でも飲んで酔っ払ってるんだろう
と、言うか萃香が素面のところを俺は見たことがない


「最初に言っておく、真昼間から酒は飲まんし、俺は酒が弱いから飲めんぞ」


以前宴会で無理やり飲まされぶっ倒れたのを俺は思い出した
俺は酒に弱く大体ビールの缶一本分でダウンしてしまう


「分かってるって、無理に飲ませてまた霊夢に吹っ飛ばされたくないしさ」


俺は倒れて知らなかったがが萃香が俺に酒を飲ませて倒れさせた時
霊夢が怒って凄かったそうだ(そういえば起きた時霊夢の巫女服が妙に赤かった)


「じゃあ何の用だ?」

「ちょっと○○の様子を見にね
 …………神社から出れなくて窮屈じゃない」

「どうしたんだよ薮から棒に」

「文字通りの意味、○○は神社から出ることが出来ない
 言わば牢獄に閉じ込められてるようなものだよ、その事に不満とかないの?」

「無いよ、俺は霊夢と一緒にいられればいいし
 閉じ込められてるのも霊夢が俺のことを心配してくれてる証拠だからな」


こんな事態になったそもそもの原因は俺だ、大した力も無いのに外を出歩いたために妖怪に襲われた
霊夢が助けてくれたが、色々な部分が食われていていつ死んでもおかしくない状況だったそうだ
目を覚ました後は頬を叩かれわんわん泣かれた
それからだ霊夢が神社周辺に特別な結界を貼ったのは
この結界は俺という存在が外に出るのを防いだり俺に対して敵意を持つものを締め出すという効果を持つ
更に存在が外に出るのを防ぐため例え死んだとしても俺の魂は博麗神社に留まり続けることになる


「後悔も無いわけ?」

「ないよ、それだけ霊夢が俺のことを想ってくれているってことだし、俺だって霊夢のことが好きだ」

「そう、それならいいけど」

「ん?帰るのか?茶ぐらい飲んでいったらどうだ?」

「私はお茶よりお酒のほうが好きだし
 霊夢が帰ってきたとき嫉妬されちゃったら困るからね」


そう言うと萃香は霧になってどこかへ消えていった


「さて、俺も掃除の続きをするか」
ザッザッザッザ


そして境内には俺の掃除する音だけが響いていた

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10スレ目>>213


「おぅるあぁぁ!もういたらん事すんなよ!」
里で買い物をしていると威勢のいい声が聞こえてきた
人だかりが出来ていたが騒動は終わったらしく人も散っていった
「やっぱりあんただったのね」
残ったのは顔見知りの莫迦
「おお霊夢、買い物か?」
何事もなかったように話しかけてくる、何が有ったかは知らないが
「今度は何やってたのよ、どうせまた喧嘩だろうけど」
この男、○○というのだが喧嘩っ早くて、乱暴者でがさつで、ちょっと優しい莫迦である
「畑荒らしをとっちめて、投げたら逃げられた」
嗚呼、やっぱり莫迦だった
「まぁここでお前と会えてよかった」
「えっ!?な、なんで?」
いきなり湧け解らない事を言い出すので少しドキッと、してしまった
「ん?いや神社に行こうと思ったからすれ違いにならなくて良かったなーってな」
「ああ、丁度良かったわね、茶葉を買いに来たのよ」
「なるほどなるほど、軽いだろうが荷物もちをしようではないか」
「ふふ、ありがと」
気分が良かったのでいつもより少し高いのを買った、ついでにドラ焼きを買った


「そういえばさ」
お茶を飲みながら、気になったことを口にしてみた
「龍とか虎とか好きなの?」
彼の服には龍か虎か睡蓮の華みたいなのがうねうねとしているのだ
「あー・・・趣味・・・・うむ趣味だな、職業柄でもあるが」
職業、恐らく外の世界にいたときの事だろう、はっきりとは教えてくれないが「はねっかえりをまとめる仕事」だそうだ
「向こうにいたときにな、上のひとがそういうデザインの服ばっかりくれたからな・・・自然と好きになったんだろうなぁ」
嬉しそうに服を見せびらかす、里にいる時はこんな顔をしない、もっと怒ってるような表情ばかりしている
私の隣にいるときは気を許してくれているのかと思うと、正直嬉しかった
「・・・コッチの生活はどう?」
今更そんなことを聞いてみる、外の話をする彼が、少し怖くなって
「あ?ああ、釣りして喧嘩してふらふらしてるだけで生きていけるしなぁ・・・むこうとは比べようがないさ」
「・・・帰りたい、とは思わない?」
「何だよいきなり変な質問ばっかり・・・」
彼女があまりにも、寂しそうな顔をしていたから、真剣な表情だったから
「帰りたい、か・・・そうだな来て直ぐはどうやって帰ろうか考えてたなぁ・・・でも今は帰りたくない」
「な、なんで?何で帰りたくないの?」
私は博麗の巫女だ、迷い込んだ人間をむこうに帰したりもする、たいていは妖怪に食われるか、なじめずに帰るか
彼もいつかは帰ってしまうのだろうと、思っていた
其れでも彼はここにいるという、それは嬉しい、でも幻想郷になじんでいるとは言い難い彼が此処に残る
その理由を知りたいと思った
「うーん、言っちまっていいもんか・・・」
俺は少し躊躇した、出来れば霊夢の方から言わせたかったからだ、それにもうちっとムードを考えてだな・・・
「・・・」
此方を待っている霊夢、言わざるを得ないので、しょうがない
「お前が・・・幻想郷にお前がいるから、そんな理由じゃ駄目か?」
「それって・・・どういう」
震える声での問い返し、わざわざ説明させるなんて羞恥プレイですか?
「お前と離れたくない、ってこった」
「ッ!その言葉を、ずっと待ってた」
「そうか・・・待たせたな」
いつの間にか彼女は泣いていた、だから俺は彼女を抱きしめた
抱きしめる意外にふさわしい行為を見つけられなかったからだ


そしてまた噂が増えた
博麗神社は妖怪がいっぱいいると
博麗神社には最近おっかない人間が住み着いて一日中ベタベタしていると―
~終~

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11スレ目>>486



カチャカチャカチャ

パクパクパク

「ごちそうさま!!それじゃあ行ってくるな霊夢」

「……今日も遅くなるの?」

「そうだな、だから夕飯もいらないよ」

「うん、行ってらっしゃい」


最近○○とあまり話せてない
普通に喋ったのはどれぐらい前だろう、少なくとも2週間はまともに話せてない
朝はこうして朝ごはんを一緒に食べているけど
食べた後は紅魔館の図書館や香霖堂に行って夜遅くまで帰ってこないのがざらだ
そして夜帰ってきたらお風呂に入ってすぐに寝てしまうから話が出来ない
話も出来ないのだから肌を重ねることもキスだって最近は全然してない




ザッザッザッザ

「○○は私のこと嫌いになったのかな……」


一人境内を掃除しながら考える
確かに私は胸が貧相だしお世辞にも可愛らしい性格をしているとは言えない


「……はぁ、もう少し胸が大きかったらな……」

ニョキッ

「なに辛気臭い顔してるの?」

「きゃあ!?紫!突然出てこないでよ!!」


胸を見ながらため息をついてると突然紫が出てきた
いつもなら大して気にならない胸が今はみるからに「男を誘ってますあんたみたいな貧乳はお呼びじゃないです」
って感じでむかつく


「……で、何しに来たのよ
 私は今掃除中で忙しいの、用が無いなら邪魔だからさっさと帰って冬眠でもしなさい」

「あら怖い、それじゃあ巫女さんが怖いから退散しようかしらね」


何しに来たんだろうまさか本当に私の邪魔でもしに来たんだろうか
……紫ならありえるわね


「あ、そうそう恋に悩む巫女さんに一つアドバイス
 ○○が好きなんでしょ?それなら信じてあげなさい」

「っ!!!分かってるわよ!!!」

「それじゃあまた来年ね」

スゥ

そういうと紫はスキマの向こうに消えて行った


「○○を信じろ…か、そんなこと言われなくても分かってるわよ
 私は○○彼女なんだから……」


そうよ、私が○○のこと信じなくて一体誰が信じるのよ
そう考えるとなんだか心が軽くなってきた


「今度来た時はおいしいお茶でも入れてあげようかな」


紫に少しだけ感謝しながら私は掃除を続けた

ホーホーホー

「○○、まだ帰ってこないかな」


夜も更けて闇はその色を濃くしていた
いつもならそろそろ○○が帰ってくるはずだ


ガラッ

「ただいま霊夢」

「お帰り!○○!!」

「良かった、起きててくれたんだ」

「晩御飯は一緒に食べれてないけど○○にお帰りって言いたかったから……」

「そっか…そういや最近まともに話できなかったよな、ごめん」

「いいわよ、寂しかったけどこうして○○が一緒にいてくれるんだし」

「そのお詫びといってはなんだけどこれ…」


そう言うと○○がポケットから取り出したのは


「指…輪?」


綺麗なルビーが付いた指輪だった


「○○、これは?」

「今日はほら、クリスマスだろ?それでクリスマスプレゼントにって思ってさ」


そうだ、最近○○のことばかり考えてたから気づいてなかったけど
今日は確かにクリスマスだ


「俺全然霊夢の役に立ててないから
 せめてプレゼントは想いを込めた自作のものを送りたいって思ったんだ
 それでパチュリーさんから想いを込める魔法を習ったり、霖之助さんから錬金術や加工技術を習ったんだ」

「だから朝から出かけて夜遅く帰ってきたの?」

「ああ、時間が無かったし、どうしてもこの日に間に合わせたかったからな
 でもその所為で霊夢に寂しい思いさせちゃったけどな」

「そんな事無い!!本当に、本当に嬉しい」


○○は本当に私のことを想って、どれだけ愛してるか指輪を通して伝わってくる
それなのに私は○○のことを疑って……


「あ、私プレゼント用意してない……」


そうだ、○○はこんなに素敵なプレゼントを用意してくれたのに私だけ何も用意できてない


「いいよ別に」

「でも私だけ貰っても……」

「俺が欲しいのは一つだけ霊夢と一緒の未来だ」

「それって……」

「愛してるよ、霊夢」

「っ!私も!!!」


そして私は○○に抱きつき久しぶりに○○と口付けをした
これから先の未来を連想させるような甘く幸せな口付けを





~おまけ劇場~

協力者達の酒宴



「今晩はお二人さん」

「やあ、そろそろ来る頃だと思ってたよ」

「その調子だとあの二人、上手くいったようね」

「ええ、貴方達のおかげよ
 それにしても少し意外ね」

「何がだい?」

「霖之助さんもパチュリーもこんなことに協力するような性格じゃないじゃない」

「失礼なことをいうな、まあ自分でもガラじゃないとは思ってるけど
 霊夢は娘みたいなものだからね、娘の恋路を応援するのは親として当たり前だろ?」

「それはどちらかと言うと母親の役目じゃないかしら?」

「どっちでもいいじゃない、それにしても今回は疲れたわ
 神社に行こうとするレミィを止める為にロイヤルフレア撃った後
 妹様のいる地下室に入れて入り口を封印したり、おかげでしばらく紅魔館には帰れないわね」

「お疲れ様、でもどうして手伝う気になったの?」

「別に…ただ、昔を思い出しただけよ」

「そう、それじゃあ折角だし乾杯でもする?」

「何に乾杯するんだい?」

「そうね……幸多き恋人達とその協力者達に」

「「「乾杯」」」

チンッ

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11スレ目>>520


そのひとはお前が一番傷つかない方法で俺たち別れよう、と言った。なので私は一生懸命に考えてみた。私が一番傷つかない方法?








例えば彼が私の細かいところ全部が鼻について一緒にいるのも嫌でなんかもう気持ち悪い気分悪い生活に支障をきたすもうホント無理なんで別れよう、となる。


「あのな俺はお前にこんな事言うのはすごく心苦しいんだけど、ある時期を境に俺は霊夢のやることなすこと全てが”不快だ”としか感じられなくなってしまったんだよ。
 お前がアイスを食べるときスプーンを何度もぺろぺろと舐める仕草が気に食わないし歯磨き粉の蓋を開けたまま放置する癖にも本当に嫌気が差す。
 おかしいだろどうして開けたものを閉じることが出来ないんだ?元あったものを元に戻す努力をしないで放置したままその場を去れるのか?
 お前がやっていることはほんの些細だが確かに大いなる破壊だ。
 元あったものを元に戻すことが出来ない、それはただただ世界の中で破壊なんだ。お前は破壊者だ。
 理由はそれだけじゃないからな霊夢。
 こんなことを別れる男に告げられるのはお前だって気分が悪いだろうが俺はこれまでこの何十倍もの不快な気持ちを腹の中にためこんで日々を過ごしてきたんだ。
 なあ霊夢俺は我慢が出来ないんだよ。
 どうしてお前はスプーンを舐める?歯磨き粉の蓋を閉じられない?電気をつけっぱなしで眠る?俺の上着を勝手に着る?
 下着と靴下は混ぜて置くなと何度だって言ったのにどうしてお前はそんな簡単な俺の要求を聞き入れてはくれなかったんだ?
 下着と靴下を共に入れておかなければならない重大な訳がお前にはあったのか?あったとしたら何故お前は俺にそのことを教えてくれなかったんだ?
 俺たちは今までなんだって一緒に共有して過ごしてきたじゃないか。
 俺は何度だってお前にスプーンを舐めないように歯磨き粉の蓋は閉めるように電気は寝るときは消すように、
 上着は何曜日にそれを着るか俺は決めて生活してるからそのリズムを崩さないように出来るだけ触れないで欲しい、ほら理由だって伝えたじゃないか!
 それなのにお前は何故俺の月曜の青い上着を金曜に勝手に羽織った?霊夢には自分の服があるはずなのに。
 俺は分からないんだ。だから不快なんだ。
 だってお前は俺の頼みなんかこれっぽっちも聞いてくれないじゃないか。何故聞いてくれないのかも教えてくれないじゃないか。
 お前は俺をこんな遠くまで引っ張ってきて開けっ放しにして放置しているんだよ。
 お前は俺を破壊してるんだよ。俺はもう耐え切れない。霊夢と一緒に生活していくのは無理だ。
 俺には過去確かにお前が必要だったよ。
 俺はお前がいつか俺の願いを聞き入れて、
 スプーンを舐めないでいてくれると歯磨き粉の蓋を閉めてくれると、
 電気を消して俺の隣でぐっすり眠ってくれると上着をそのままにしていてくれると靴下と下着を別々の引き出しに入れてくれると信じてた。
 でももう時間切れだ。
 俺たち潮時だったんだよ。お前だってそう思っていたんだろう?
 俺たち、おしまいなんだ。
 霊夢、さよなら。俺はこれから幸せになるよ。歯磨き粉の蓋は永遠に閉じたままだ。
 破壊者は消える」



最後の『破壊者は消える』というのが如何にも○○っぽいかっこつけで、
全てでっちあげで思いつきで考えてみた○○の台詞の割にはなかなか素敵だと私は思った。
これなら私は傷つかずに○○とおさらばできるかもしれない。
そしてついでに○○が実際それが嫌だったか私は知らないけど、
スプーンをぺろぺろ舐めてしまう癖とか歯磨き粉の蓋を開けっ放しにしてしまう癖とか電気とか上着とか下着と靴下などなどの下らない癖も直せるかもしれない。

だけどいつかそれが直って、幾らかきちんとした女に成長した私はあの昔の男(それはつまり今の○○だ)と、
今の私なら理解しあえたかもしれないのに、私はもう彼にとって破壊者ではないのに、などと
アイスを食べるたび歯磨き粉の蓋を閉めるたび電気を消して布団に潜るたび寝巻きに着替えるたび下着と靴下を分けて引き出しに仕舞う度思い出して苦しくなる・・・
そんな大変な目にあってしまいそうなのでこの案は却下した。
第一○○が口うるさいおばさんのようだ。
○○はそんな些細なことであんなにヒステリックに文句を言ったりしない。
彼は繊細な見た目とは裏腹に器の大きな男だったのだ。



「○○、私が歯磨き粉の蓋をいつも閉め忘れることに対して何か不満を持ったことはある?」
「いや別に。俺もお前のすぐ後で歯磨きしてたから開ける手間が省けて逆に好都合だったよ」



やっぱり却下だ。

それでは次を考えていこう。では○○に新しく好きな女が出来たというパターン。


「霊夢、どうか悲しまないで聞いてくれ。
 いや、お前は悲しむだろうな。俺は本当に、お前に対して酷いことをしてしまった。
 これは、ただ、ただ・・・何を言い訳しても許されない。
 何を言ったって結果は、俺がお前を裏切ったという醜い結末にしかならないんだ。
 霊夢、俺はお前のことが嫌いになったとか、お前のどこが悪かったとか、そんなことは全然ない。
 お前は聡明で美しいし、それに俺たち相性だってよかった。
 俺たち二人は愛し合っていたよな。二人で一緒に暮らすようになってからも、俺はお前に対して不満なんかなかったし、お前はとても好ましかった。
 今だって俺はお前を好ましいと思ってる。本当だ。
 本当なんだ、・・・だけど。
 俺は、出会って、しまったんだ。わからない、うまく言えないけど、俺は、その人を、愛してしまった。
 病気みたいに、運命みたいに。彼女しか見えなくなってしまったんだ。
 本当に、本当に・・・ごめん、霊夢・・・。
 何故、彼女なのか、彼女だったのか、わからない。けど、俺にはどうしても彼女なんだ。だから、こんな結果になって・・・。 
 霊夢、どうか俺のことを、殴ってくれ。嫌ってくれ。
 最低最悪の男だったと思って、言いふらしてくれたって構わない。
 霊夢、俺はお前が好きだった。だから、お前をこんなに傷つけてしまう自分が、憎いよ。
 でも、駄目だ。ごめん、・・・ごめん、霊夢。
 俺のことを、忘れてくれ。俺の幸せは祈らなくて、いい。死んでしまえと思ってくれて、いいんだ。
 だけど、ただ、俺はお前に幸せになってほしいと、心から思ってる。
 だって、霊夢、俺はお前を好きだったんだ。
 俺が、悪い。俺がいけなかった。霊夢。本当に、ごめん。・・・霊夢。
 お前をしあわせにできなくてごめんな」



自分で考えて泣きそうになってしまった。○○、かっこいいなぁ・・・。
まるでどこかの物語のラストシーンのように、美しい瞳から涙をぽつりと零す彼の姿が脳裏に浮かぶ。
すごい、これならあまりの綺麗さに胸打たれて私あんまり傷つかないで済むかもしれない。

が、しかし。
やっぱり浮気の末捨てられるのって後味悪いものだ。
なんか私の方が相手より劣ってました!と公言してしまうようなものじゃない。
いやそれは別に事実だったらそれでもいいんだけど、私が一番傷つかない方法を模索してるのに微妙に自分を貶めちゃうってどうなのよ。
すごく嫌。じゃあこれも却下。
というか○○が私と何年も一緒に暮らしてて不愉快な気持ちを抱いたことなかったかどうかなんて私には分からない。
実はすっごく不愉快だったかもしれないじゃない。それじゃあまた最初の「歯磨き粉の蓋~」に戻っちゃうんだけどね。



「○○って正直私と付き合ってる間浮気とかしたことあるの?最後だし教えなさいよ」
「浮気は無いな。他の女に目を奪われそうになったことは多々あるけど」
「ええ、それ浮気じゃないの?○○にとっては違うのかしら」
「だってそれ容姿とか体だけだろ?俺どうしてもこの人じゃないといけない、って思ったのは後にも先にも霊夢だけだよ」



恥ずかしくなってきたので却下。

じゃー、次。これいってみよう。私が浮気。


「その男が好きなのか?霊夢。なあ、俺よりその男が?
 俺よりその男と一緒にいたいとお前は思うわけか。俺ではお前を幸福にするのは無理というわけか。
 俺との抱擁はもう何の意味もないと。俺とのキスはお前の愛する人への罪悪感と恋情を募らせるだけだと。
 ・・・ごめん。俺は、怒ってるわけじゃない・・・いや、怒ってる、な。やっぱり。
 だって俺はお前がとても大切だったから。
 ・・・その人じゃなきゃ、もう駄目なのか?お前が、こんなことを言い出すってことは、・・・そういうこと、なんだよな。
 じゃあ、俺の出番は、もう、お終いだ。
 霊夢、俺は、お前を憎む。お前を想う。
 霊夢、好きだった。とてもとても。もう嫌いだ。霊夢。霊夢霊夢霊夢霊夢。
 ・・・これで最後にしよう。俺たちはもう知らない人間同士になるんだ。
 霊夢、今までありがとう。俺はお前が大嫌いだ。霊夢。お願いだから俺の前からいなくなってくれ。
 俺はお前がまだ恋しいんだ。手を伸ばしてしまう、・・・だからはやく」


あ、あ、これ、いいー!
胸がときめいた。
私の想像の○○の台詞、さっきから良い線ばっかりついてくるなぁ。
だけど、こんないいこと言われちゃって、手を伸ばしてしまうとか、言われちゃって、結局別れられないじゃない。
そもそも私は浮気なんかしてなくて他に好きな男がいるどころか現在進行形で○○が好きなんだから本当の別れの場面でこんなこと言われても駄目だ。
○○への愛と未練が募るばっかりで全然、駄目。
つまり、傷つくのよ。
他の考えよ。



「霊夢、何か思いついたか?」
「うーん、もう少し。あとちょっと」



却下、と。

あ、じゃあこれならどうかしら。激しく罵られる。


「あ・の・な、俺はお前なんか最初から大っ嫌いだったんだよ。
 そりゃあ一瞬可愛いかな?と思った時期もあったけど、そんなわけあるかと自分に突っ込みたいくらいだよ。
 よく俺お前なんかと恋人やってられたよなぁ?
 ちょっと優しくしてやっただけですぐ勘違いして赤くなるしどこの生娘だよこれ、空気読めない巫女だな!って勢いだったし、
 料理は下手だ掃除は出来ないダラダラしすぎ腰が弱い体力もあんまりない風邪を引いたら三割増でワガママ泣き顔もまたぜんっぜん萌えないしな。
 萌えるって何か知ってるか?お前と全く逆の女に贈られる言葉だよ!
 お前に入った生殖器なんて可能なことなら切り落として新しく穢れないものを再生してもらいたいよ。公衆便器が!
 とにかくもうお前の顔なんか見るの真っ平御免だね。気分が悪くなる。吐きすぎて吐きすぎて胃液しか出なくなる。
 さようなら。さようならさようならさようなら霊夢さん!!
 さっさとこの部屋から出て行けよ、そして小汚い男に優しくしてもらって喜べばいいだろう?
 塵一つ残さず消えてしまえ。お前が嫌いだ!
 殺さなかっただけ有難いと思ってくれよ。お前の血なんて見たら俺は本当に気持ちが悪くて失神しちまうから。
 綺麗で一人でお死になさい。さ・よ・う・な・ら!!」



なんか○○じゃない人みたいになってしまった。
○○はもっと知的に他人を罵ると思う。
やっぱり考えているのが私だから本当の○○の台詞になんかならないのだ。
そして私は結局どれでも傷ついてしまうと思う、弱いのね。
鋼の心臓を手に入れられるようにもっと修行しないと。
これから受ける傷が癒えたら考えよう。もし癒えなかったら、ああ私は一生弱いまま○○を思ったまま憎んだまま嫌ったまま愛したまま生きていこう。



私は、○○の顔をもう一度じっと見て、今日が最後なのだと改めて思った。
涙は多分これから遅れて流れ出す。



「○○」
「ああ」
「○○が今一番私に言いたいことを言って」



○○は私を見て困ったように微笑んで、冷たい手のひらで私の額を撫でた。
唇をちろりとピンク色の舌で舐め、○○が声を出す。



「霊夢、俺はお前を愛してる。今も、これからも」



じゃあどうして?だからこそなんだよ。
もう何十回も繰り返した会話がもう一度再現されそうだったので私は口をつぐんで、やっぱり○○の顔を見ていた。
私はもしかして、一番自分に傷をつける方法を選んでしまったのかもしれなかった。
○○がゆっくりと私から離れていく。



「お前を愛してる」








却下。は聞き入れられなかった。この部屋に私がひとり。涙はまだ流れず。遅いわよ声だけが先走って涙を孕む

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最終更新:2011年02月26日 23:30