霊夢18
うpろだ577
「にゃー」
縁側で日向ぼっこしていると、○○がゆっくりと歩いてきた
「どうしたの?」
にゃぁと短く鳴くと、私の膝の上で丸くなった
「ふふ、可愛い・・・ん?」
7本の尻尾がくねくねと動いている
日の光が気持ちいい、○○も暖かくて・・・眠くなってきた
うつらうつらと、眠りかけていると、頬をざらついた舌の感触が
「んっ・・・あ、ごめんね、眠りかけてたみたい」
ぺろぺろと頬や口を舐めて、くる
「ははっ、くすぐったいでしょー、あっ、そこは・・・ちょ、ちょっと!?んっ」
…
……
……ガバッ!
「・・・夢・・・いやな夢ね」
驚きで跳ねる様に起きた、息が荒くなっているのは夢のまま
「・・・夢の私はどうかしてるわ、○○は唯の猫じゃないのに「おい霊夢、朝飯が出来たぞ」
「ひゃぅうう!!?」
起きたときより驚いた、だってさっきまで夢に
「起きてるみたいだな、早く来てくれ、萃香も待ってる」
「う、うん、すぐに行くから、待ってて」
「・・・なぁ萃香、今日の霊夢は変じゃ無いか?」
「んー確かに変だけど、それがどうかした?」
「いや、避けられてる、気がしないでもない」
「そういう日もあるさ、主に月一ぐらいで」
「・・・そーなのかー」
「いやいや、冗談だよ?」
簡単に自己紹介をしよう、俺は猫又の○○だ!尾っぽは7本!
一行で紹介できてしまう、なんという俺
「・・・しょうがねぇ憑いていくか」
「お出かけ?」
「うむ、霊夢の後を追って里にな」
隣にいた大男の姿が霞み、次の瞬間には可愛らしい黒猫に姿を変えた
「○○、尻尾」
尻尾が七本のままなので一応注意しておく
「おお、かたじけない」
7本が一本になって、何処からどう見てもただの猫だ、何となく雰囲気が生意気な所を覗けば
「いってら~」
いちおう健闘を祈って、走り出す背中に手を振っておいた
「・・・」
あんなに目立つ格好なのに見付からない
匂いをかいでみるが人が多くてよく解らない
「にゃにゃにゃー!(おお、魚屋が安売りしてやがる!」
あー・・・どんこが食べたい・・・
「お、可愛い猫だな、ほら、これ食うか?」
「にゃーにゃにゃ(鰍!微妙に違うけどむしろオッケー!」
「おお、美味いか?はっはっは」
「にゃー!(おっさんありがとう!この恩はいつか必ずー」
霊夢がみつからないのでしょうがなく里をふらふらと歩いてみた
俺が普通の猫だった頃とはだいぶ違うな、近代化が進んでいるようだ
甘味処も有るのか、うーん、このカッコじゃ入れんなぁ
俺が甘味処に背を向けた瞬間
「・・・何やってるのかしら?」
凄まじい殺気が、背後からひしひしと伝わってきた
「にゃーにゃー(や、やぁ霊夢、これにはマリアナ海溝より深く南極のオゾンホールのようにでっかい理由が」
首をつかまれ、持ち上げられた
「勝手に里をうろうろするなって言ったでしょ?」
こういうときに何を言えばいいのか、誰かナイス言い訳を!俺に!
「にゃー(いやぁ、君が重い荷物を持たなくてもいいように荷物持ちが必要か様子を見に来たんだよ」
「・・・そ、そう・・・ありがと」
「にゃー(ところで、周りから見れば不気味な光景だと思うぞ」
猫の首を乱暴に掴んで持ち上げ、話しかけている・・・巫女
周囲の視線は、変人を見るそれだ
「・・・帰るわよ」
「にゃー」
人型に戻って夕食の準備を手伝っていると、ちゃぶ台に一枚の紙を見つけた
「あれ・・・おい霊夢、夕餉は二人分でいいらしい」
拾い上げた紙には
「今夜は紫のとこで飲むから晩ご飯はいりましぇーん、朝帰りフォー!」
と書いてあった、幻想になったネタを使うんじゃないよ
「・・・ふぅ、ごちそーさん」
「はい、おそまつさま」
神社に住み着いて日は浅いのだが、五月蝿いのが一人いないだけで随分寂しく感じる
「ん?」
萃香の置手紙を良く見てみると、小さい字で何か書いてある
「なに?どうかした?」
「いや、萃香の・・・手紙に・・・」
「何か書いてあった?」
ふ・・・ふたりきり・・・読み辛い
「二人きりだからって・・・(規制)は程々にね、女の子は初めが肝心・・・」
「・・・あ、アイツもしょうがない奴だ、なぁ霊m」
霊夢も手紙を覗き込んでおり、互いにとても、とても近い
「あ・・・○、○?」
「え、あ・・・ふ、風呂入って来い!そうだそれがいい!」
猫だけど脱兎の如く逃げ出した
風呂場から音がした、霊夢が入ってきたのだろう
「霊夢ー?湯加減はどうだ」
「ちょっと温いわ、もうちょっと熱くしても大丈夫よ」
薪を入れ、空気を送り込む
火は勢いを増し、ごうごうと燃えている
「んー丁度いいわ」
「・・・そうか」
壁一枚、正確に言えばそれ以下の隔たり
俺に邪な想像をさせるのに十分な情報が入り込んでくる
「俺の方が意識しちまってどうするんだよ・・・年中発情してるのは人と兎だけって紫姐さんも言ってたじゃ無いか」
そうだ、相手はまだ小さい少女じゃ無いか!俺は□リコンじゃないし!
「・・・ねぇ○○、背中流してあげようか」
「ブフォッ!げふげふ」
「冗談よ・・・スケベ、何想像したのよ」
「ちょ、おま」
何で俺はこんなに意識してしまってる!?年中発情してるのは(ry
「・・・明日、晴れるといいなぁ」
「ん?何でだ?出かけるのか?」
「・・・日向ぼっこしたい気分なのよ」
彼女はわからないことを言う、夜に明日日向ぼっこがしたいという人間はいないだろう
まぁ、変人らしげふんげふん、彼女らしいと思わんでもない
「・・・そうだな、晴れるといいな」
もし晴れたら俺も日向で寝ようか、彼女が膝でも貸してくれれば最高なんだが・・・
end
蛇足
「上手く行ってるかねぇ」
「なにが?」
「いや、明日帰ったら「昨夜はお楽しみでしたね」って言う予定」
「ますます解らないわ」
「うーん、私も気がきくなぁ」
「?」
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うpろだ581
「猫は家につき、犬は人につくと云うわ」
「・・・?」
「あの猫は博麗神社についている・・・」
「それが何か問題でもあるのかい?」
「うーん、人につかなければいいなぁ、ってね」
「霊夢と○○の事?私はくっ付いた方がいいなぁ」
「あら、幻想郷が揺れるわよ?」
「それはそれで、私も頑張っちゃうし」
「それはそれは――」
妖怪が出た、と言うことは珍しくもなんとも無い
唯今回は虎らしい
「化け猫か解りませんがあまりに大きかったので・・・危険が無いか確認をして欲しいのです」
「ふぅん・・・そうね、そろそろ山菜の時期よね・・・解ったわ」
老人は礼を言うと、神社から去って行った、あまり長く居たくないと言う感じだ
「化け猫ね・・・もしかして」
曰く、大きさはまさに虎、幻想郷の人間が虎を見た事があるかは別にしても相当大きいと思っていいだろう
色は夕暮れだったのではっきりとは解らないが黒っぽかったらしい
まぁどうせ化け猫でしょ
とりあえず最低限の武装、札を持ってその山へ行ってみることにした
「特に何も・・・無いわね」
魑魅魍魎、蟲や鳥の多い・・・特に妖気は感じないけど
見慣れない怪しげなきのこ、薇やタラの芽がちらほらと
「・・・見つけた」
うごめく黒い物体、相当大きいわね
地面を掘っているらしく下を向いてこちらには気付かない
「・・・虎縞・・・いや」
夕日と木の影で虎柄に見えるだけで基本色は黒みたいだ
「とりあえず一発ぶち当てて様子を見てやろうじゃ無いホーミング・・・アミュレット」
化け猫めがけて、木々を避けながら接近する弾
当たると思われたソレは、地面に大きな穴を作った
「え!?しまっ、何処に」
消えた、見失った!?
上が暗くなった、そう感じたときには既に其処を離れた
ざくっ
はさみで紙を切るような軽い音
先ほどまで私がいた場所の木が、2本ほどまとめて輪切りになった
「っ!?冗談じゃ、ないわよっ!!」
久しぶりのスペルカードルールでない、戦闘
明らかに武器が足りない、軽装で来るんじゃなかった―
「あ?なんだ、霊夢か」
「え?・・・○○?」
よく見れば尻尾が七本、黒、そしてこの声
「・・・ええっ!?あんた猫・・・あれ??」
確かこいつの猫型は普通の猫サイズだったはずだ
しかし今は猫と言うより虎だ、サイズどころか若干姿も違う
「大猫にもなれて、小猫にもなれる、人型にだってなれる・・・RXのように三段変身だ!!」
「・・・何やってたのよ」
「いや・・・探し物を」
「帰るわよ」
「はい、帰ります」
「ね、ねぇ・・・お願いがあるんだけど・・・いい?」
「暖かい~ふさふさ~楽ちーん」
「・・・」
背中に乗せて、と言う要望を聞き入れ、霊夢を背中に乗せてるんだが・・・
飛んだ方が早いと思うのだが、彼女はソレを聞き入れない
「まぁ、お前が喜ぶのなら悪くも無い」
「・・・手綱と鞍が欲しいわね」
「止めれ」
「西瓜は紫姐さんのところか・・・俺も久しく行きたいなぁ」
また置手紙「○○と霊夢の関係が進展しないのはなんでだろ~なんでだろ~」
そろそろうぜぇ、古いネタをふるなよ
「泥だらけだから先にお風呂に入りましょ」
「ああ、そうだな」
何か台詞に違和感を感じたが、一瞬考え違和感を拭った
「・・・ちょいっと・・・熱かったな」
流石に熱くしすぎたな、換気が出来ん、湯気で視界が悪すぎる
「転ばんように気をつけなきゃな」
「ほら、背中流すからこっちきてよ」
「ああ、ありが・・・と、う?・・・・・・・・ぎゃあああああああ!!!!?」
「な、なによ五月蝿いわね」
「ちょ、お前なんで一緒に入ってあqwせdrt」
「前に言ったじゃ無い、背中流してあげるって」
○○は混乱している
○○はなにもできない!
○○の混乱がとけた!
「・・・すぐに出ろ」
「・・・なんで?」
「男女が二人で風呂など、よろしくない」
「私は別に構わないから」
「俺の精神衛生上悪い、この上なく悪い」
「・・・それって、私に欲情しちゃうって事でいいのかしら?」
「・・・獣に理性を求めるなかれ」
「そう・・・良かった、私でもちゃんとそういう気分になってくれるのね」
湯気で見えないのが最後の障壁だったのに、彼女のその台詞に、やられた
「・・・初めてが風呂場でいいのか?」
「場所より相手・・・彼方は、私でいいの?私がいいの?」
「こんなことになるとは、微塵も思わなかったな・・・先代様、娘さんを貰っちゃいます」
湯気の関係ないぐらい、近くに
火照っているのは熱い風呂のせいか、彼女のせいか
「霊夢・・・お前が欲しい」
「うん・・・私もあn「浴場だけに欲情?そらないぜブラザー」
格子の向こうから、聞き慣れた飲んだくれの声がした
糞くだらないギャグで、一気に冷えた
変わりに燃え上がる一つの感情
「霊夢・・・また後でな」
「ええ・・・私の分もよろしくね」
「これはお預けを食らった俺の分!そしてこれは霊夢の分!これはぶち壊された空気の分!そして(ry」
「ちょ、ちょっとした冗談じゃ無いか!あの状況であのギャグを言わずにはいられなかったんだよ!!」
「問答無用!何故帰ってきた!何故マヨヒガでじっとしてなかった!」
「ちょ、うわ、くそぅ、ミッシング巨大化!!」
「なにを、変身!ver虎!!」
「・・・まぁ、焦らなくてもいいのかも・・・まだゆっくり、ゆっくり」
裏の森で暴れる二人を見ながら、おもわず笑みがこぼれた
こうやってギリギリで笑っていられる間が一番幸せなのかもしれないなんて、思ってしまった
「我関せずの貴女が・・・どういう風の吹き回し?」
「別に、唯あの二人が大好きなだけだよ」
「・・・巫女と妖怪でも?」
「解ってないね、そんなのは関係ないんだよ、恋愛に、恋に、結婚・・・条件は一つ」
「・・・」
「地位も種族も関係ない、互いに愛しあっている、それが唯一つの条件でしょ?」
「根本は・・・そうなのかもね、でも」
「皆難しく考えすぎなんだよ、互いに好き、愛してる、単純で一番難しい・・・それだけだよ、博麗の巫女だろうが妖怪だろうが」
「・・・本音は霊夢が幸せならそれでいい、でも私は幻想郷の為に、二人を離そうするわよ」
「それなら紫とは敵同士だね」
「貴女達三人で勝てるとでも?私だけじゃ無いのよ?藍だって幽々子だって・・・?帰るの?」
「うん、あの子達がいちゃついてるだろうから・・・紫」
「なあに?」
「これほど負ける気がしない戦いも、初めてだよ」
鬼は、心底嬉しそうに、不敵に笑った
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うpろだ590・12スレ目>>129
「だからな、アイツがな・・・」
「もうノロケ話は聞き飽きたわ、いいかげんに・・・」
神社には二人の人影・・・普通の少女だな、妖怪の類ではない
黒っぽい服装の少女・・・さっきからずっとニコニコしている、陽気で頭がいかれたか?
もう一人の・・・巫女服のほうがターゲットだ、邪魔はされんだろう・・・積年の恨み、今晴らすときがきた!!
「博麗!尋常に勝負しろっ!!」
「ん?」
「え?」
鳥居から飛び出してきた男は、勝負を挑んできた
まぁそれはどうでもいい、私が気になるのはその格好だ
「・・・アンタ何者?」
「俺は・・・博麗に挑戦し続ける猫又・・・○○だっ!!」
バーンッ!と言う効果音と共にへんなポーズをとった○○という男
猫又か・・・見れば解るが認めたくはない
想像して欲しい、2mぐらいあるガタイのいい強面の男が、黒服に身を包みサングラスをかけ・・・そこまではまぁありえなくはない
もんだいなのは7本に分かれた尻尾と、猫耳だ、おかしいだろ、気持ち悪いぐらいあってない、猫耳が似合わない、いや・・・キチ○イだ
「霊夢、お前の知り合いは変人ばかりだな」
「知り合い?とりあえず初見だと思うけど・・・変人の知り合いはあなたも含まれると思うわ」
後ろの方で魔理沙が五月蝿いが、まぁ放っって置こう
ぐにぐにと尻尾が可愛らしく動いている、それがまた似合わない
猫耳がピクッと動いたりする、可愛く・・・むしろ怖い
「・・・まぁとりあえずお茶でも飲みなさいな」
「む、かたじけない」
差し出されたお茶を普通に飲んでる・・・近くに来るとやっぱりでかい、湯飲みがとても小さく見える
「それで・・・なんで博麗に挑戦?」
「・・・私は幻想郷が出来たときはただの猫だった、そして初代に飼われていたのだ」
「ふむふむ、飼い猫だったんだな、それでなんで妖怪になったんだ?」
「うむ、初代様と行動を共にしているうちに妖気に中てられたらしい」
「・・・それが何で挑戦になるのよ」
「私は妖怪になってしまったからな、人間から文句を言われぬように神社を離れたわけだ」
「いやだからなんで」
「2代目様も優しいお方だった・・・別れ際の酒の味、いまだに覚えています・・・」
「だから、何でそれが」
「まぁ待て、それで私は2代目さまに会いたいとき、どうすればいいか考えた・・・そして「妖怪として博麗の巫女を倒しにいく」というこじ付けで会いに行ったのだ」
「へぇ・・・」
「そして何度目か挑戦をした時、ムキになった2代目様に半殺しにされた・・・」
「はっはっは、乱暴者は遺伝らしいな霊夢」
「魔理沙五月蝿い」
「ぐぅ」
あんまり魔理沙が五月蝿いので札で口を塞いでおいた、鼻も塞いだような気がするが気のせいだろう
「そして俺はそれが悔しかった・・・そしていつの間にか博麗に挑戦するのが楽しくなって・・・先代にも挑戦してるんだぞ」
「・・・つまりまぁ・・・日課?見たいなものって事?」
「イエス、そして今まで一度も勝った事がないので・・・今回は勝ちを狙いに来ました」
そう言って、○○は跳んだ
縁側には彼が飲んでいたお茶が残っている
そう、私は視認できなかった
「・・・スペルカードルールでいいのかしら?」
「俺はそれがよく解らない、俺は俺の好きなようにやる」
「そう・・・じゃあ私も好きなようにやるわ」
戦闘シーンをスキップしますか?
→YES!
NO!
十円ハゲのようになった森の一部
半壊した神社(生活スペース
夢中になって気づかなかったが、結構まぁ・・・酷いことになってしまった
「はっはっは、自分の家まで壊すことは無いだろうに」
「魔理沙五月蝿い」
「ふがっ」
手足を縛って口を札で塞いでおいた
「なぁ、同じ服何着持ってるんだ?」
私の横で寝転がっている莫迦が、くだらない質問をした
森は生活に関係ないからいいけど、神社の生活空間を壊してしまったのは・・・はぁ
「森は私だけど、此処を壊したのはあんたでしょ!あーもー!腹立つ!!どうにかしなさいよ!」
「ギャーギャーと五月蝿い小娘だな、何日かで直すから待ってろ」
「え?」
○○は自らの言った通りに数日で半壊していた神社を直してしまった
以前とまったく同じように治っている神社、新しくなったわけではなく、元に戻った感じだ
妖術の類か、でも普通に土木作業していた風にしか見えなかったが・・・
「これは・・・驚きね」
外で萃香と遊んでる猫を見る、とてもそうは思えない
「ぎゃー!鰯を食べるなー!」
「五月蝿い鬼だな!マイワシは駄目なのか!?カタクチかウルメならいいのか!!?」
「ばーろぅ!そういうことじゃないやぃ!」
- アホだ、鬼も猫も、なんで神社に住み着くのはこんな妖怪ばかりなのか、類は友を呼ぶのか
「はぁ・・・二人ともー!晩御飯よー!」
「おお、やっと飯の時間だ」
「アンタ今鰯喰ってたでしょ!?まだ食べるの?」
「人型ならまだ入るぞ」
新入りを歓迎しようと思った矢先、食費が心配になったが、とりあえず忘れることにしておこう
end
「どうしても許してくれないんですね?」
目の前に対峙するは巨大な存在の塊、妖力の暴走
「・・・面倒ごとは嫌なのよね、あなたが消えれば私が面倒事抱えなくて済むのよ」
「・・・」
これ相手に何が出来るかわからない、それでも、背を向けて逃げるよりは生存率はあるだろう
「さて、欄の時間稼ぎもいつまで持つかわからないし・・・萃香が来る前に終わらせてあげる」
悪いな霊夢、もう帰れそうに無い
ああ、もう一回アイツの膝の上で日向ぼっこしたかったなあ
「人間と妖怪の境界」
「・・・え?」
自慢の耳と尻尾、鋭い爪、一瞬で消えた
まるで初めからそんな機能がなかったように
「短い間ならこんなことも出来るのよ~凄いでしょ?それじゃあ・・・さよなら」
いつもならあんな弾幕ぐらいへでもない
だがどうやら俺は一時的に人間になっちまったみたいで目で追えないし反応もついてこない
命はまだある、それでさえ奇跡、そして、結果は変わらず
「・・・頑張るのね」
「はっ、当たり前だろ・・・俺には愛する女と、縁側の陽だまりが待ってるんだッ!」
もうまともに動くのは喉ぐらいだ、木にもたれかかってやっと立ってるような状況だ
さぁ、家に帰るにはどうする?
「・・・そんなに霊夢が好き?」
「おいおい、それは獅子に肉好き?って聞くようなもんだろ・・・俺が霊夢を好きなんじゃなくて霊夢を好きだから俺なんだ」
いまだ紫は一歩も、正確に言うと空中からミリ単位ですら動いてない
いくら戯言を紡ごうが彼女は不変のまま
「あなたのことを好きだからこその霊夢・・・なるほど、そういう捉え方もあるわ」
「・・・はい?」
「私が守りたいのは幻想郷、そして霊夢・・・貴方を消しても残るのは霊夢ではないと・・・そうか」
何を思いついたか知らんがブツブツと独り言を呟いている、ニヤケ顔で
「お?おお!?」
「・・・やっぱり長い時間は無理ね」
俺のキュートな尻尾と猫耳が戻ってきた、術・・・というより紫の能力が切れたのだろう
四肢の傷も、見失いかけた勝機も全てが回復した
さぁ、反撃の時間だ
- かっこつけては見たものの気合や何やでこの化物に勝てるわけはない・・・
やっとこさで与えたダメージは肩の服を破いたのと傘の骨を一本折ったぐらいで
「・・・もう、終わりかしら?」
接近しての攻撃は隙間か結界で、飛び道具も同様
ただ紫が反応できない速度の攻撃、または視界に入らない完全な奇襲ならば、ダメージを与える事が出来る・・・る?
「・・・ねぇ○○」
「・・・なん、です?」
「もし私の式になってくれれば命を助けてあげるといったらどうする?」
「ふん、断るッ!猫は人を好くが人に憑くわけでは無い、それに・・・俺の家はあの神社だけだ」
「ふぅん・・・そう、じゃあ見逃してあげるわ」
「・・・・・・・・は?」
コイツハナニヲイッテルンダ?自分の役割がうんぬん、幻想郷という箱庭の~とか言ってたくせに・・・はい?
「だから、見逃してあげるっていってるのよ・・・ほら、私の気が変わらないうちに神社に帰りなさい」
まさか帰ろうとして後ろからグサッとかないよな?
「・・・そんなに疑わないでよ、私だって霊夢の事を考えての最大の譲歩なんだから」
「それなら最初からそうしてくれりゃいいのに」
「そうもいかないでしょ、一応戦ったという事実は必要なんだから・・・」
戦った後ねぇ、この穴ぼこになった元森林をみれば、まぁたしかに・・・
「ほら、さっさと帰りなさい・・・霊夢が待ってるわよ」
「・・・紫様」
「なによ」
「ありがとうございました」
感情が多すぎて、一言に詰め込むしかなかった
それ以上適切な礼を思い浮かばなかったから
「・・・早く行ってよ、気が変わっちゃいそうだわ」
俺は紫様に背を向けて走り出した、家で待っている人が居る、おかえりを言ってくれる奴が待ってくれてる
「霊夢!帰ったぞッッ!」
「あ、お帰りなさい・・・お風呂沸いてるから入ってきなさい」
「あ、ああ・・・あのー霊夢さん?無事帰ってきたんですけど・・・?」
「泥だらけだから、お風呂に入りなさい」
「はい」
かぽーん
「・・・反応が薄すぎる」
奇跡の生還を果たした恋人に対する反応では・・・
「霊夢、あのな」
「ほら、ご飯冷めるわよ」
「お、おお」
もぐもぐ、ぱくぱく
なんだこれ、会話らしい会話もない、というか霊夢怒ってない?
「あの・・・霊夢?」
「なに?」
「いや、あの・・・なんか怒ってないですか?」
「私が?別に・・・○○が五体満足で帰ってきたから紫に私と別れるように説得されて生き延びたなんて全然思ってないわよ」
いやいやいや
けどまぁ俺が生き残れる方法なんてそれぐらいだよねぇ
ぶっちゃけ紫様の気まぐれと萃香の後ろ盾があってのようなもんだし
「あのなぁ・・・」
「紫がどう言おうが、あんたがどう言おうが・・・絶対離さないんだから、何なら紫とやりあってもいいわ」
なんて物騒な女だ、世が違えばアクティブでデンジャラスなストーカーになっていたに違いない
「あのなぁ霊夢、何を壮絶に勘違いしてるんだ」
「・・・何よ、紫に勝てるわけ無いじゃない」
「・・・まぁ勝てないが・・・それに霊夢と離れるぐらいなら紫様に特攻かけて死んだほうがましだな」
俺を見くびってもらっては困る、猫はしつこいんだぞ、どれぐらいかといえばきっとお前ぐらい
「・・・じゃあ・・・今までどおり?一緒に居てくれるの?」
「ああ、ずっと一緒に居られる」
「○、○○っ!」
感極まってか、霊夢は立ち上がって俺に抱きついt
「へぶらっ!??」
違う、殴られた
「そういうことは先に言いなさいよバカッ!!○○と最後の夜とか思ったじゃ無い!!バカッ!バカ・・・・・ばか」
ぽろぽろと、大粒の涙が、零れ落ちた
いつもいつも、心配しかかけてない気がするなぁ
ああでも、やっぱりここに帰ってきて・・・良かったなぁ
この腕の中にある小さな彼女と、その温もり
「霊夢・・・ただいま」
「うん・・・おかえり○○」
「はっ、はっ・・・流石は鬼、紫様の友人だ」
「ふぅ、ふぅ、そういう貴方も、流石は九尾といった所かしらね」
巨大な妖気と妖気のぶつかり合い
ここが結界の中でなければ幻想郷が崩れていたかもしれない
そう思わせる迫力があった
「悪いけど次こそ、決めさせてもらうよっ!」
「はっ!また受け止めて差し上げよう」
萃香は攻める戦い、打ち倒し先に進まねばならない
対して藍は先に進ませなければいいのだ、攻撃を避け、受ける、攻撃に力を注がずに
「あら、まだやってたの~」
「「え?」」
空間の裂け目から現れたのは、八雲紫
藍は厳しい戦闘も終わった、と思った
萃香は○○がもうやられてしまったのかと、驚愕した
「ゆ。紫ッ!あんた○○を!?」
「○○?もうとっくに神社に帰ったわよ」
ちなみに○○はとっくに帰って霊夢とイチャイチャしてます
○○にも霊夢にも、ついでに紫にも忘れらていたのだ
ことの顛末を説明された萃香は当然怒ったけど喜んだし、藍は紫らしくない回り道のような結果に戸惑っていた
まぁつまり、珍しく遠回りしたけども、なるようにしかならなかったというわけで
「まったく、せめて一言ぐらい文句を言わなきゃ私の腹の虫が・・・」
神社の階段を登ってゆく
時間は昼過ぎ、朝から来なかったのは・・・まぁ私なりの・・・配慮という事で
玄関から入るが家の中には誰も居ないようだ
居間にも台所にも寝室にも居ない
「・・・オカシイなぁ」
うろうろしていると、縁側で座っている霊夢を見つけた
「あ、れい・・・む」
暖かな日差しのせいか、それともいつも通りの日常へと戻る事が出来た安心感か、ぐっすりと眠っている
膝の上には黒い猫が体を丸めて同じように、眠っている
「・・・ま、ここれにちょっかいを出すのは野暮でしょ、それに・・・見てて恥ずかしいね」
なんと言うか、完成された光景?見ていて暖かくなるような。でも傍に居づらい感じ、そう!お邪魔蟲
霊夢は眠っている、でもその表情は確かに笑っていた
- 霊夢のこういう顔がこれからも見れる、そう思うと、とても嬉しかった
でも膝の上でのんきに寝てるこいつは、もっと嬉しかったに違いない
「私を忘れてた事、一時は根に持ってやるからな」
そう言い残して私は神社を去った、しばらくはマヨヒガにお世話になろうか
もし私が神社に住むことを望んでくれたら、もう少しこの二人の幸せを見守っていたいなんて、思ったりした
さぁ、今夜は飲もう、祝いの酒だ
久しぶりに一人でいるのも、悪くはないさ
end
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12スレ目>>145(12スレ目>>129別Ver.)
「どうしても許してくれないんですね?」
目の前に対峙するは巨大な存在の塊、妖力の暴走
「・・・面倒ごとは嫌なのよね、あなたが消えれば私が面倒事抱えなくて済むのよ」
「・・・」
これ相手に何が出来るかわからない、それでも、背を向けて逃げるよりは生存率はあるだろう
「さて、欄の時間稼ぎもいつまで持つかわからないし・・・萃香が来る前に終わらせてあげる」
悪いな霊夢、もう帰れそうに無い
ああ、もう一回アイツの膝の上で日向ぼっこしたかったなあ
「人間と妖怪の境界」
「・・・え?」
自慢の耳と尻尾、鋭い爪、一瞬で消えた
まるで初めからそんな機能がなかったように
「短い間ならこんなことも出来るのよ~凄いでしょ?それじゃあ・・・さよなら」
いつもならあんな弾幕ぐらいへでもない
だがどうやら俺は一時的に人間になっちまったみたいで目で追えないし反応もついてこない
命はまだある、それでさえ奇跡、そして、結果は変わらず
「・・・頑張るのね」
「はっ、当たり前だろ・・・俺には愛する女と、縁側の陽だまりが待ってるんだッ!」
もうまともに動くのは喉ぐらいだ、木にもたれかかってやっと立ってるような状況だ
さぁ、家に帰るにはどうする?
「・・・そんなに霊夢が好き?」
「おいおい、それは獅子に肉好き?って聞くようなもんだろ・・・俺が霊夢を好きなんじゃなくて霊夢を好きだから俺なんだ」
いまだ紫は一歩も、正確に言うと空中からミリ単位ですら動いてない
いくら戯言を紡ごうが彼女は不変のまま
「あなたのことを好きだからこその霊夢・・・なるほど、そういう捉え方もあるわ」
「・・・はい?」
「私が守りたいのは幻想郷、そして霊夢・・・貴方を消しても残るのは霊夢ではないと・・・そうか」
何を思いついたか知らんがブツブツと独り言を呟いている、ニヤケ顔で
「お?おお!?」
「・・・やっぱり長い時間は無理ね」
俺のキュートな尻尾と猫耳が戻ってきた、術・・・というより紫の能力が切れたのだろう
四肢の傷も、見失いかけた勝機も全てが回復した
さぁ、反撃の時間だ
- かっこつけては見たものの気合や何やでこの化物に勝てるわけはない・・・
やっとこさで与えたダメージは肩の服を破いたのと傘の骨を一本折ったぐらいで
「・・・もう、終わりかしら?」
接近しての攻撃は隙間か結界で、飛び道具も同様
ただ紫が反応できない速度の攻撃、または視界に入らない完全な奇襲ならば、ダメージを与える事が出来る・・・る?
「・・・ねぇ○○」
「・・・なん、です?」
「もし私の式になってくれれば命を助けてあげるといったらどうする?」
「ふん、断るッ!猫は人を好くが人に憑くわけでは無い、それに・・・俺の家はあの神社だけだ」
「あらあら、もっと賢い答えを期待してたのに、残念だわ」
「たとえ馬鹿でもこれが俺にとっても正解だ」
「はぁ・・・今まで楽しかったわよ、さよなら」
紫が振りかざした手、俺は何かが起こったと見届ける前に絶命した
「ッ!?」
頭痛がした、そして脇腹を鈍い痛みが
「・・・○○?」
嫌な予感がした、だが何処かでやはり、と思った
「馬鹿・・・さっさと逃げるなりすればよかったのに」
きっと彼はもう生きていない、やけに冷静に思考が働いてくれた
でも流れる涙だけは、どうやっても止める事が出来なかった
「おかーさまー」
「あら、どうしたの?」
「もうお昼も過ぎてます、お腹がすきました」
「もうそんな時間なのね・・・じゃあお昼ご飯にしましょうか」
「おかあさま?もしかしてこれは・・・お墓ですか?」
少女は墓とも呼べない積み上げられた石を指差して、そういった
「・・・そうよ、お墓なの」
彼が亡くなって十年
あまりにも時の流れは速い
「・・・かあさまの大事な人なのですか?」
「そう、ね・・・人じゃなかったけど、とても・・・とても大切な・・・」
私の膝の上で寝ていた黒い猫
私を愛してくれた一人の、妖怪
博麗を見続けていた古猫
「・・・真っ黒な、毛並みのいい猫だったわ」
「ネコさんだったんですか・・・決めました、お花を摘んできます!」
「お腹がすいたんじゃないの?」
「すいてますけど後回しです!」
そういうとしゃがみこんで小さな花を、摘み始めた
どうやらわっかにするつもりらしい
「だから、かあさまがそんなに好きだったネコさんの話を・・・聞かせてもらいたいです」
いつの間にか私は泣いていたらしい
とっくの昔に諦めがついたと思っていたのに、まだ私は引き摺っているのか
そしてそれをわが子にまで心配されてしまうとは、親として失格か
「・・・そうね、ご飯を食べたら、彼の思い出を・・・話してあげましょう」
私の愛した愛しい黒猫の、ちょっとした昔話を
end
少し↑の別ver.
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最終更新:2010年05月13日 23:45