魔理沙7
6スレ目>>522
「年末には、酒だぜ」
「いきなり飛んできて何用だ?」
冬の夜中にここまで来るとは。
「寒くなかったか?」
「寒いぜ。もの凄くな」
「ごくろうさまだ」
「なんだつれない奴だな。飲み明かそうぜ」
魔理沙が家にやってきた。
「今年あった嫌なことを酒を飲んで忘れ、新年を迎える。良いことじゃないか」
ちなみに新年まではまだ数週間ある。
「ほんとうは?」
「眠れなくて暇だったんだ」
「ああそうかい」
どこまで本当なのか分からない。
魔理沙を中に案内し座らせる。蝋燭に火を灯した。
「おお。なんだかロマンチックってやつだな」
「安い酒と野菜の漬物くらいしかないんだけど」
「構わないぜ」
「すまんな」
酒瓶数本と漬物を持って魔理沙の前に座る。
茶碗に注いで軽く持ち上げた。魔理沙もそれに倣う。
「乾杯」
「二人の夜に……ってやつか」
「ああそうだ。君の瞳に乾杯」
「ははは」
何時間経ったのか。
俺も魔理沙も良い具合にできあがってきていた。
宴会の時は酔って騒ぐのが礼儀というものだが、今は二人だけだった。
神社の宴会の時の魔理沙はどのように振舞っているのだろうか。出席したことがないから分からない。
妖精悪魔幽霊妖怪が跋扈している神社の宴会になど恐ろしくていけない。
魔理沙は魔法使いで、かなりの実力があるらしい。前に本人が言っていた。
俺はただの一般人だ。
「魔理沙さぁ」
「なんだ?」
彼女とこうやって夜に呑み合うのはこれで十回目程度だろうか。
「夜に暇なんだったら他の奴のところに遊びにいけばいいんじゃないのか?」
「んんー」
こうやって二人でいるときは魔理沙が一方的に喋って俺がそれに答える。それをどちらかが潰れるまで続ける。
「なんで俺のところに来るんだ?」
「そうだな」
酒の席でつまらない質問だったが、魔理沙は気にしないようだった。
「なんで?」
「夜眠れなくて暇な日っていうのが、そんな多いと思うか?」
じっと魔理沙が見つめてくる。彼女のその言葉の意味するところがわからなかった。
「いや、おまえに限ってそんな日があるとは思えん」
「そうかい」
いつもは酔う前も酔った後もガンガン喋ってくるのだが、今日はどうしたことか。ずいぶんおとなしい。
「まあ普通は夜寝てるよな。起きてるのは妖怪とか悪魔とか」
「そうだぜ。だからおまえのところに来るんだ」
俺も寝てるんだよ。とは言わない。
「おまえが来るたびに家のお酒が無くなるんだよ」
「そりゃあ、二人で呑んでたらそのくらいは当然だぜ」
家の中は蝋燭の火だけで照らされている。魔理沙の顔くらいは見えた。
「今度から自分の酒は持参してほしいもんだ」
「肝に銘じておくぜ」
魔理沙は泣き上戸だったろうか。
「それは前にも数回聞いたぞ」
「安い酒なんだろう? ケチケチするな」
さっきから俺は何を考えているのか。支離滅裂だ。
俺も相当酔っているようだ。
「綺麗だな」
「蝋燭?」
魔理沙が突っ伏していた顔を起こしてポツリと。
もう潰れて寝たものだと思っていた。その寝顔を肴にして俺は呑んでいた。
「でも私はもっと派手なのがいいぜ。この三十倍はありそうなのが」
そんなでかいものはどっかの屋敷かお城とかにしかない。三十倍の大きさの蝋燭も無いだろうが。
「……」
じっと火を見つめている。瞳にそれが映って、魔理沙の顔がとても綺麗に思えた。
ゆらゆらと瞳が揺れる。
「どうした。らしくない」
「私にだってな……こんな日は存在するぜ。……一応な」
「まーそうだな。女の子だもんな魔理沙も」
「……そう、私も女だ。忘れちゃいけないぜ」
身体を起こしてこちらに顔を向ける。酔っ払いの顔だった。
その顔を正視できないのは俺も酔っ払っているからか。
茶碗を呷り顔を隠すようにした。
「女には憂鬱がつきものだぜ」
「そうらしいな」
「そして私は今憂鬱だ」
「みたいだな」
「私は女か?」
「そうだ。可愛い少女で魔法使いだ」
酔っ払いをまともに相手にできない。いつものように適当に相槌を打つ。
その態度が気に食わなかったのか、突然魔理沙が立ち上がった。
何事かと吃驚する間もなく、酒瓶を引ったくりそれを一気に呷った。腰に手を当てて。
「おいよせ」
立ち上がり強引に取り返した。安い酒だが、一気飲みなどするとどうなるか分からない。俺ならまだしも、魔理沙はまだ少女の年齢だ。
多少中身がこぼれてしまった。一杯程度か。もったいない。
舌打ちし文句を言ってやろうと魔理沙を睨む。
顔は前髪で隠れていた。
ということは俯いているということだ。
まさか…………泣いてる?
んな馬鹿な。
首を振って阿呆な妄想は消し去った。
あの魔理沙が泣くのだろうか。
少し屈んで高さを合わせた。魔理沙とは身長差がそれなりにあるのでこうしないといけない。
そうしてやっと見えた彼女の顔は無表情だった。ほら泣いてない。
こっそりと安堵の息を吐いて頭に手を置いてやる。
「ごめんな」
以前にもこうやって頭に手をやって撫でてやったら怒られた。
子供扱いするなと。
俺のほうが年上だ。
魔理沙を助けてやれるのは俺以外にもいるだろうが、今は俺しかいない。
自惚れだ。
「……なんで謝る」
やっとこちらを見てくれた。表情にも変化が見れた。不満そうだ。
そういえば意味も無く謝るなと怒られたこともあった。怒られてばっかだった。
「癖だ。俺は困ったら謝ってしまうんだ」
「その癖、直したほうがいいぜ。正直嫌だ」
そう言うと俺の手を頭からどかした。
俺も背筋を伸ばす。もう屈んでる必要はない。見上げてくる魔理沙が頭を下げた。
蚊の鳴くようなか細い声で
「すまん」
「なんで謝る」
「嫌な女だぜ、私」
「気にするほどじゃ無いな」
素っ気無く返した。冷たいかもしれないが、言ってしまっては仕方ない。
気まずい沈黙。
俺と魔理沙との会話は単純だ。
魔理沙がボールを投げて俺が受け取る。投げ返すことはあまりしない。
ただひたすら魔理沙の言葉をもらうのが基本だった。
矢印は魔理沙から俺へ向けられるが、俺から魔理沙へ向けられることは今まで滅多になかった。
ひたすら受身の俺は、魔理沙の一方的な調子が合っていたのだ。
まさか、その彼女といて重苦しく感じられるとは思わなかった。
悔しい。
「……今日は泊まっていくのか?」
一応、訊いておいた。
この雰囲気で再開してもしょうがない。今日はお開きだ。
稀にだが、魔理沙は泊まっていくことがある。だから一人暮らしの俺でも布団は二人分だ。
「いや、今日は帰るぜ。お邪魔さまだ」
「そうか。で」
帽子を被り箒を持つ、帰り支度をしている魔理沙に訊いた。
「次はいつ来るんだ?」
驚いた顔でこちらに振り向いた。
いつも通りの言葉だ。
これは挨拶のようなものだった。別れの挨拶だ。
何回も繰り返して、もう俺の中ではシステム化してしまったものなのだろう。頭に浮かべるより速く発した言葉。
それをこんなにも驚いている。不思議である。
考えてもどうせ分からないだろうし、構わず続ける。
「せめていつ頃来るのか教えてくれよ。酒無しでも構わないのならいいんだが」
「……そうだな。気が変わった」
帽子を脱いで箒をその場に立てかけている。
俺のには答えてくれなかったが。
「あ?」
「今日は泊まっていくぜ。酒が抜けてないのに空なんか飛んだら危ないしな」
少し笑ったように見えた。
なぜか魔理沙は泊まっていくようだ。
何を考えているのか分からん。酔っ払っているのだろう。
窓際のベッドには魔理沙が座っていた。その横に俺が布団を敷いて寝ている。
蝋燭を消した今は窓から差し込む月明かりだけが視力を助けている。
「今日は疲れたぜ」
「そうだなー。魔理沙もお疲れだ」
「女はたいへんなんだ」
「勉強になります」
「恋する乙女ってやつだ」
「なるほどね」
感慨深そうに言ってくる。
乙女は酒を酔うほど呑むのだろうか疑問だ。
「この場合、恋する乙女ってのは私のことだな」
「そうですかい」
「私は誰に恋してると思う?」
「俺か?」
「そうだ」
「ありがてぇな」
まだ酔っ払っているのか魔理沙は。ありえないことを口にしている。
その言葉に何も感じなかった俺も相当酔っているのか。
もっと喜んだらいいのに。
冗談を言っているように、笑いながら、魔理沙はぺらぺら喋る。
「出会ってから今まで、いつ惚れたのか、いつそれに気づいたのか分からないけど、私はおまえが好きなんだ。会うたびに微笑んでくれる、ご飯くれたり、
私の無茶な要望にも文句言っててもそれなりに叶えてくれたし、素っ気無かったり子ども扱いしたり、おまえといると楽しいんだぜ」
ベッドを叩きながら笑う。なにがそんなに可笑しいんだ。笑うところが見当たらない。
寝ていた体を起こす。無邪気にベッドに腰掛けている魔理沙を見上げた。
魔理沙の顔は逆光になって見えなかった。笑っているのか? そうでないのか? どちらでもいい。
ずっと訊きたいと思ってたを訊いた。
「おまえ酔っ払ってるのか?」
「さあな。どうおもう?」
質問を質問で返すか。
「分からないが、とりあえず告白されたからには答えなくては」
正座して向き直る。言っておくが、俺は酔っ払ってはいない。酔いは醒めた。
そう信じたい。酔っているのだとしたら最悪だ。
しっかりと彼女を見据え、言い切った。
「俺も好きだ。愛してる、魔理沙」
「……いつから?」
「一目惚れで、それに気づいたのがその次の日」
覚えている。初対面で大きな笑顔だった彼女を。空からやってきた魔理沙を。
魔理沙が微笑んだ。……気がした。
顔がすっと近づいてくる。
「嬉しいぜ。夢みたいだ」
「夢かもしれない」
「そうか。だったら、好きなようにしないと損だぜ」
「ああ」
近づいてくる彼女に合わせて俺も近づく。
唇が触れ合う。それだけ。
魔理沙が倒れ掛かってきた。座ったまま抱きとめる。
「……あったかいな、おまえは」
「魔理沙も」
抱きついてくる力が強まった。ぎゅっと、きつく。
吐息を体にかけられた。
胸に顔を埋めた魔理沙が吐いたものだった。長い長い、なにもかも吐き出すような息。
その息に紛れて言った言葉を聞き逃さない。
「あぁ……幸せだぜ」
「俺も」
「おまえも、好きなようにしたほうがいいぜ?」
「じゃあこうする」
抱いたまま頭を撫でてやった。魔理沙は嫌がらない。そのまま撫でてやる。
彼女の寝息を確認するまでずっと。
魔理沙が目を覚ました。
「おぅ……おはようございます」
「おはよう」
ベッドから身を起こす。もう朝だ。どちらかというと昼に近い。
俺は、あのまま寝た魔理沙をベッドに寝かしてやってからずっと起きていた。寝たら夢になってしまいそうで。
今この瞬間が夢でないという保証もない。なにしろ眠い。
自分の体を見下ろして、魔理沙がポツリと言った。
「あー……よし、襲われてないぜ」
「疑ってたのかよ」
魔理沙はニヤリと笑い
「こんな可愛い魔法少女だ。男なら誰でも据え膳だぜ」
「意味わからん」
彼女に帽子と箒を渡してやる。それを笑顔で受け取る彼女に訊いてみた。
「なあ、昨日のこと覚えてる?」
「昨日と言ったら、おまえが酔って裸踊りをしたところまでしか覚えてないぜ」
「してないが、そうか」
やっぱり魔理沙は酔っ払っていたのだろうか。それならそれでいい。良いことがあったことに変わりない。
いつかまた、今度は俺のほうから告白するのも悪くないと思えるようになった。
「おまえのほうこそ、昨日なにがあったか覚えてるのか?」
意地悪そうに訊いてくる。
「俺も、魔理沙が酔って俺に告白してキスしてきたとこまでしか覚えてないぜ」
「そうかそうかそうか」
魔理沙はいやらしい笑みを崩さず頷く。
グイッと両手を挙げて背筋を伸ばした。もう帰るのだろう。
帽子を手に取り被ろうとする魔理沙に、慌てて言った。なんとなく、今帰してしまうのは惜しいと感じた。
「あ、朝飯……とは言えないが、昼飯とも言えないんだが。なんか食べてく? 作るぞ?」
「おお。嬉しいぜ。ありがたく頂いていこう」
その笑顔がまぶしいと思った。
ただ単に陽光が差し込んできただけだったが。
魔理沙が帰ったらゆっくり寝よう。さすがに眠いから。
あの出来事を、寝たら忘れてしまうかもしれない。夢のようなあの夜が夢になってしまうかもしれない。
それも構わないだろう。
とりあえずは、これからも魔理沙と一緒にいられそうだ。
「作るのなら早くしてほしいぜ。腹ペコだ」
「はいはい」
────────────────────────────────────────────────
6スレ目>>584
今年のクリスマスも何もなかった。
恋人同士で過ごす聖夜なんていうのは、きっと都市伝説に違いない。
一人でぼんやり空を眺めていると、一筋の光が見えた。最初はただの流れ星だと思っていたのだが、どうやら違うようだ。
それ自体が星を撒き散らしながら、一直線にこちらへ向かってくるような星は僕は聞いたことがない。
「――――――!」
数秒後、それなりに片付いていた僕の部屋は廃墟と化していた。まさに嵐が過ぎた後のようだ。
もっとも、その嵐の元はここにいるのだが。
「よっ、メリークリスマスだぜ」
「……魔理沙か」
その少女、霧雨魔理沙は何事もなかったかのように僕に笑いかけてきた。
怒る気力も出ないので、精一杯の愛想笑いで応えてやる。
「なんだ、せっかくのイブの夜だってのにお前はまた一人身か?」
「ほっといてくれよ。……ところで、魔理沙は何の用なんだい?」
「そんなの決まってるだろ。ほら」
魔理沙は背中に担いでいた白い袋を高々と掲げた。
おそらくはサンタクロースを意識しているのだろうが、基本的に白黒の服装である彼女にはどうも似合っていなかった。
「ふーん。で、僕には何をくれるんだい?」
「わかってるなら話は早いぜ。これだ」
魔理沙が取り出したのは、鮮やかな装飾の施された箱であった。
「これは何かっていうとな……」
そう言うと、魔理沙はそのラッピングを解き始めた。即座に開けるのなら飾り付ける意味がないじゃないかと突っ込みたくなったが、とりあえず黙っておいた。
「クリスマスっていったらこれだろ? ケーキだぜ」
「へぇ……しかし変な形をしているな」
「し、仕方がないだろ! 初めて作ったんだから……あ」
お世辞にも整っているとは言い難いチョコレートケーキが、箱の中から姿を現した。
僕が少しコメントしてやると、魔理沙はまたあっさりと自滅した。
顔を赤くして下を向いている。
「魔理沙の手作りねぇ……」
「い、いいから早く食えよ!」
魔理沙が押し付けるようにしてケーキをさしだしてきた。
顔がチョコまみれになるのは嫌だったので、僕は近くの食器棚から皿とナイフを取り出した。
どうせ魔理沙も食べるだろうから、皿はニ枚持っていく。
「ほら、これに取り分ければいいさ」
「妙に用意がいいじゃないか」
「これぐらいは誰でも持ってるだろう」
魔理沙の言葉を軽く受け流しながら、ケーキにナイフを入れた。
二つに切り分けると、その物体はいよいよ原形を留めなくなってきたが、食べられれば問題はないだろう。
「じゃ……いただくよ」
僕は箸でケーキをつまんで口に運んだ。あいにくフォークなどという素敵なものは持ち合わせていなかったのだ。
チョコの味が口の中に広がる。決してしつこくなく、ちょうどいい甘さだった。
「なかなか美味しいじゃないか。食べ物は見た目によらないんだな」
「あー、だからそれはもういいだろ」
それからしばらくの間、そのケーキを堪能していた。
僕は自分の分を半分ほど食べ終えたところで、魔理沙の分が全然減っていないことに気がついた。
「どうした、食べないのか?」
「いや、そうしたいのは山々なんだけどな……」
見ると、魔理沙の皿の上で箸が奇妙なダンスを踊っていた。どうやら、魔理沙は箸をうまく扱えないらしい。
「なぁ○○、フォークとかないのか?」
「あれば使ってるさ」
「そうか。うーん…………じゃあ○○、これ」
「うん?」
魔理沙は僕に箸を渡すと、大きく口を開いて静止した。
その意図がわからず、僕のほうも動きが止まってしまう。
「…………」
「……何やってるんだ?」
「いやだからさ、食べさせてくれよ。それ使えるのお前しかいないんだから」
「ああ」
ようやく合点がいった。僕は箸でケーキをつまむと、魔理沙の口の中へ放り込んだ。
「ん…………おお、これは美味いじゃないか」
ものを美味しそうに食べることに関しては彼女の右に出るものはいないだろう。
そんなどうでもいいことを考えながら、僕は満足そうに口を動かす魔理沙の顔を見つめていた。
「……ありがとな」
魔理沙の顔が、なぜか少し赤くなっていた。部屋の暖房が強すぎたのだろうか。
「なぁ○○」
「なんだい?」
「…………きだぜ」
「え?」
僕は窓を開けながら、背中で魔理沙の話を聞いていたため、その言葉の一部しか聞き取れていなかった。
今一度、魔理沙に聞き返す。
「ごめん、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないか?」
「……なんでもない」
「?」
魔理沙はまた下を向いてしまった。心配になり、その顔を下から覗き込む。
「どうしたんだい? どこか具合でも……」
「いや、だ、大丈夫だぜ! それより!」
「ん?」
「今日はここに泊まってもいいか?」
「別に構わないけど」
「サンキュ」
そう言うか早いか、魔理沙はすぐに横になってしまった。
布団を敷くから待てと言ったが、彼女はそれきり起きてこなかった。仕方なくそのままにして、毛布をかけておいてやる。
僕は再び窓の外を眺めた。
「メリークリスマス、か」
見上げた夜空には、ちらほらと雪が降り始めていた。
こうして僕のクリスマスは、それなりに楽しく過ぎていったのだった。
────────────────────────────────────────────────
6スレ目>>585
今日はいわゆるクリスマスというやつだ。
もう幻想郷にいる僕にはあまり関係ないのかもしれないけど。
そんなことを魔理沙に話してみたわけだ。
「ふーん。おまえの世界だと、クリスマスってのが今日になるわけだ」
「うん」
「めでたいのか?」
「えーと、みんなで騒いで美味しいもの食べる」
「こっちの宴会と変わらないじゃないか」
「そう言われてしまうと」
「しかもこっちは年に何回もやる。私たちの勝ちだぜ」
「勝ち負けがあるのね……あ、クリスマスには、プレゼントがもらえるんだよ」
「なに? おまえ、そういうことは早く言わないとダメだぜ」
「ごめん。って、その手はなに?」
「プレゼントだ。欲しいぜ」
「魔理沙……残念だけど」
肩に両手を置いてかぶりを振る。
諭すように言ってあげた。
「クリスマスプレゼントは、良い子にしてた子供しかもらえないんだ」
「なに?」
眉を顰めて驚く魔理沙。心外だと言わんばかりに
「私は子供だぜ。しかも良い子だぜ」
「なんでそう当然そうに言えるんだろう……」
「ひどいぜ」
「わかったよ……で、魔理沙は何がほしいの?」
「おまえ」
「はい?」
「おまえが欲しいぜ。身も心も。……ダメか?」
いつもどおりの口調だが、顔は真っ赤だった。ついでに瞳も潤んでいる。
いきなりだったので、僕は返す言葉が出てこなかった。
「や、やっぱりいい。忘れてくれ。バカなことを言っちまったぜ」
帽子を深く被って顔を隠す魔理沙。そっぽを向かれてしまった。
……ちょっと泣き顔だった。
そんな魔理沙を優しく包み込んであげる。
ちょっと照れくさくて、苦笑してしまった。
「バカだな魔理沙は」
「う、うるさい。なんだよ急に」
「とっくに、僕は魔理沙のものだよ。知らなかった?」
「そっ……そいつは、知らなかったぜ。なんだ。えへへ」
帽子で隠れて見えないが、きっと魔理沙は耳まで真っ赤なはずだ。それととびっきりの笑顔。
くるりとこちらを向いてきた。
やっぱり笑顔だ。
魔理沙がキスをしてきた。不意打ちだったから、一秒と触れることはなかった。
それでも魔理沙は笑っている。
「じゃあ、さっきのプレゼント無しにしてくれ」
「あ……まだそれ引っ張るんだ」
「そうだな。じゃあおまえとの子どもが欲しいぜ」
「ちょ、それは」
「いやか?」
「いやじゃないしむしろ嬉しいんだけど……魔理沙はまだ子どもだから、さ」
「愛に年齢差は関係ないぜ。それにおまえもほとんど同じくらいじゃないか」
「あ~……じゃあ、予約。うん予約にしとこう」
「それでもいいか。私とおまえとの子どもだ。予約しとくぜ」
「何年後のクリスマスだろうね」
「私はいつでもいいんだぜ。おまえさえよけりゃ」
────────────────────────────────────────────────
6スレ目>>770
里のはずれの目的地。男が一人ぽつんと焚き火をしているのが目に入った。
上空の私に気がついて、露骨に首をたれる。
思わずニヤリとしながら男の傍まで降りていく。
「珍しい奴が珍しい所で珍しい事してるな」
「騒々しい奴が騒々しく現れて騒々しく近づいてくるな」
「そんなに褒めるなよ。照れるじゃないか」
「褒めてねえよ、魔理沙」
いつのも挨拶を済ませて、私は焚き火から突き出ている一本の枝に目をとめた。
「で、まだ焼けないのか?」
その先に突き刺さっているであろう物体の事を聞くまでもない。
間違いなく焼き芋だ。
「一応言っておくが、一つしかない」
「私のために焼いておいてくれたんだろう? 愛されてるな」
そういって焚き火に近寄り手をかざすと、後から聞こえよがしなため息が聞こえた。
いつもの諦めた合図。今日も私の勝ちだ。
「どれ、もういいか?」
「あぁ、もういいぞ」
そう言って男は焚き火から枝を引っこ抜く。その先には芋の形をした新聞紙。
私はそれを受け取って新聞紙をはがしていく。
「お、美味そうだな。ていうか、新聞をこんなふうに使ったら、文が怒るんじゃないか?」
「古新聞の有効活用だ。むしろ褒めてくれるさ」
「そうかね?」
まぁ、むしろ気にしたりしないのかもしれない。
「おお。美味そうだな。
よし、お前にも半分やるぜ。バレンタインだ」
一日遅れだけどな。とは口に出すまでもなかった。
「一日遅れの上に元々俺のだよ」
「まぁいいじゃないか」
「いいけどな」
半分に割った焼き芋を手渡し二人でかぶりついた。
「それにしても美味いな」
「あぁ。美味いな」
「風情があるからかね」
「お前と一緒だからな」
…………
「照れるなよ」
「いや、無理だろ。照れるぜ。というか恥ずかしい奴だな。それにキザだぜ」
「焼き芋うまいなぁ」
「お前も照れてるんじゃないか?」
「ま、な」
────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>90
「茸狩りに行こうぜ」
霧雨魔理沙が自由奔放、且つその場の気分に合わせて行動をしていることに加え、彼女の使用する魔法に魔法の森の茸が必要不可欠である事を考えれば
このような発言が出てくることも至極当然、そうでないのがおかしいとも言える。
それでも彼女の傍らについている男――○○が頭を抱えるのは仕方が無かった。
なぜなら………
「だからと言って人が気持ち良くまどろんでいる時にわざわざ起こしにくるんじゃなぃ……」
そう、今は深夜なのだ。
もう少し詳しく言うなら、草木も眠るような時間帯であるということぐらいか。
「全くお前はいつもいつも突然というか何と言う、っくあぁぁ……」
注意の声も語尾には覇気が無くなっている。
彼が浮かべた欠伸の数はついに二桁に突入し、目尻に浮かんでいる涙もその眠気を存分に表現していた。
「別に普通だぜ?」
だがそんな事でかの霧雨魔理沙が反省、まして罪悪感を感じるわけも無く、夜中であっても白昼と変わらぬ姿を見せている。
寧ろ二割ほど元気が増している様にさえ感じるのは、きっと隣の人物と相対的に見ているからなのであろう。
「そう思うのはお前だけだろうよ。…ったく、何で俺がこんな事……」
一方の○○はさっさと事を済ませて再び心地よい夢の世界にダイヴを決め込みたかったので、眠たげながらも手をせかせかと動かした。
寝ている彼を叩き起こす魔理沙も魔理沙だが、それに付き合ってわざわざこうして苦労している彼も大概である。
というのも彼には彼女の申し出を断れない理由があるわけで。
「当たり前だろう。恩義ってのは返すためにあるんだぜ?」
ここに訪れた当初身寄りの無かった○○に雨風凌げる家屋と一日三食の食事を提供しているのは、何を隠そう第一発見者の霧雨魔理沙なのだ。
その対価として何かを支払うのは人道的にも道徳的にも当然であるのだが、
「だからってこれは過剰労働じゃないのか…」
やっぱり彼は納得がいかなかった。
それもその筈、魔理沙の要望はどれも度を越えたものばかり。
初めの内は納得していたものだがそれが次第に無理やりになり、果てには自分に言い聞かせるのも諦める。
そりゃ愚痴もこぼれるし胃も痛むってもんである。
「それはお前の考えすぎだ。物事は客観的に捉えなくちゃいけないぜ?」
「誰がどう見ても世論は俺に味方すると思うんだが」
「それこそが自己中心的な思考ってやつだ」
魔理沙が屈み込んで茸の採取に勤しむ○○の顔を覗き込んで意地の悪い笑みを浮かべる。
ああ言えばこう言う。屁理屈はその弾幕の如き力技で押し通す。
それが霧雨魔理沙、其の人となり。
だから堂々と在りもしない胸を張って泥棒家業などという悪行を罪の意識など感じずに続けられるのだろう。
単に、神経が図太い。
いい加減自分の反論も徒労にしか成らない事を彼は徐々に認識し始め、大きな溜息で会話を締め括った。
―――もう籠も一杯だ。
「もう十分だろ、帰るぞ」
一言だけ吐き捨て、○○は魔理沙からの返答も待たずに一方的に歩き出す。
少々ぶっきら棒と言われればそうかもしれないが、眠気と疲労がピークに達している彼にとってはその対応はまだ穏便なものであった。
が、
「まあ待て」
突如魔理沙にがっしと腕を掴まれる。
当然の如く、○○の足はその場で止まった。
「……何だ」
「今日はそんなクレームだらけのお前を、この私が直々に労ってやろうと思ってな。さあ喜べ」
「明日で結構だ」
ぐいっ
「明日って今さ」
「いや、お前何言ってる」
「女性からの申し出を断るなんて失礼な奴だ」
「真夜中に枕元で魔砲をぶっ放して人を起こす様な輩を世間一般はレディーとは呼ばん」
「まあいいさ。どの道お前に拒否権は無いからな」
「それは労いじゃ無いだrって、うおおおおおぉぉぉぉ---!?」
あっという間に100km/hの世界へご招待。
○○の意見など聞く耳持たず、魔理沙は腕を掴んだまま箒で空へと滑空した。
「ちょ、おま、寒い!スピード落とせっ、こら!!」
「あー、良く聞こえんな?」
「こんの野郎おおおぉぉぉ!!」
「野郎じゃなくてアマ、だ。言葉は正しくな」
「ばっちり聴こえてるじゃねぇかああああぁぁぁぁ……―――!」
その日の夜は曇りなのに、一筋の流れ星がやけにはっきり北の空に流れたそうな。
「着いたぜ」
「……まさかあの世じゃなかろうな」
「残念、森の外れだ」
たっぷり10分ほど夜の空中散歩を楽しんだ後、箒は漸く目的地に降り立った。
○○の頭には少々白髪が浮かんでいる。まあ霜なのだが。
「これで大した事無い持て成しだったらその暁には……」
既に心情は怒りを通り越していて、次の呆れの更に先にある絶望に達していた。
だがやっぱり魔理沙はそんな事を気にも留めていない。
「ま、苦言を吐くのはこいつを見てからにしてくれ」
ん、と○○が垂れていた頭を上げる。
果たしてその目に映ったものは…………
「こいつは……」
「な、言っただけのことはあるだろ?」
勝ち誇ったように魔理沙が口を吊り上げる。
事実○○は言葉を返すことが出来なかったのだから、今回の勝者は彼女なのだろう。
顔を上げたその先にあったのは、満開に咲き誇る一本の桜。
何処か幽玄に見えるのは周りの鬱蒼と茂った樹木とのコントラストの所為か。
今が盛りとばかりにその手を一杯に広げて自身の存在を存分に主張していた。
「偶然ここに流れ着いたんだろうな。私しか知らない特等席だぜ?」
今は魔理沙の解説も○○の耳には入ってこない。
それほどに目の前の光景は、彼の心を、目を奪い、虜にするほど素晴らしかった。
「で……あの…、その、………どうだ?」
どれだけの時間見惚れていただろう。
ふいに聴こえてきた魔理沙の声で○○は我に返り、声のする方に目を向ける。
そこには紅くなった顔を背け、ちらちらと横目で彼の顔色を伺うような魔理沙の姿が。
今の桜と同程度とまでは行かないが、その見慣れない彼女の仕草に幾らか○○は驚いた。
そして今が好機、とばかりに急に開き直ってみる。
「んー、そうだな」
「や、やっぱり、迷惑だったか?その、無理やり連れて来て……」
いつも通りならここで「何を今更」と返していることだろうが、それでは勿体無い。
日ごろの仕返しという事でもう少し焦らしてみよう、という考えが○○の頭に浮かんだ。
「確かに、寒かった」
「……ああ」
「俺の言葉も無視して勝手に飛んでいくしな」
「うぅ……」
「普通だったら怒って当然の事だ」
「…………」
途端にしおらしくなり、項垂れる魔理沙。
いつも見てる傍若無人な彼女とはまるで180度違う。まるで別人の様だ。
「でもな」
しかし、その一言で俯いていた魔理沙の顔が上を向く。
「この桜だったらそれぐらいの目にあっても見に来たいと思う」
これは嘘偽りでない、○○の本心だった。
その言葉を聞いた途端、彼女の表情に見る見る光が戻って来る。
「……ああ、何せ私が見つけたんだからな!」
そして先ほどまでの悲しみに濡れた顔は何処へかと消え去り、いつも通り、否、それ以上の微笑みを浮かべる霧雨魔理沙が、そこにはいた。
……○○が密かにチクショウ、こいつ中々可愛いところあるじゃないか、とか思ったのは永遠の秘密である。
「……しかし、何でまた?」
数刻後、さっきから気になっていた率直な疑問を○○が尋ねた。
「おいおい、私が一番最初に言った台詞を覚えてないのか?」
すっかり調子も戻り、普段見かける通りになった彼女がいそいそと何かを取り出す。
「私はお前を労ってやるって言ったんだぜ?
それにこんな花の下でやる事と言ったら、一つしかないだろう」
ドン、と○○の目の前に現れたのは、『水道水』と書かれたラベルの貼られている大き目の瓶だった。
桜の花の満開の下、舞い落ちる花弁を肴に二人は盃を交わす。
「ふむ、花見で一杯、か」
「悪くないだろ? おまけに絶世の美少女まで付いて言う事無しだな」
「自分で言うと格が下がるって知らないのか?」
「ところがどっこい、奇妙な事に私が言っても大丈夫なんだな」
「そりゃあ森田も吃驚だ」
いつもと同じ遣り取りも、この時ばかりは言葉が弾む。
「……綺麗だな」
「ん? 私の事か?」
「魔理沙がそうだと思った方」
「そうか、そうか」
「……本当に、綺麗だ」
「当たり前だな」
通い合うのは言葉と心、重ね合うのは思いと掌。
「……好きだぜ」
「桜がか?」
「○○がそうだと思った方」
「ふーん」
「お、もう空だな。注いでやろうか?」
「知ってる、俺もだ」
「……音速が遅いぜ」
「っと、お代わり足してくれ」
そんな二人の仲睦まじい様子を、桜だけが静かに見守っていた。
「こ、これは特ダネです! まさかこんな所で逢引きの現場に出くわすとはぎゃああああぁぁあぁ!!」
「お前容赦無いのな」
「人の恋路を何とやらってヤツだ」
訂正。桜+αが密かに垣間見ていた。
▽▽▽▽
あとがきんちょ
桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になります。
最近連投気味でディ・モールトごめんなさい。
とりあえず、あと残す所はフランちゃんとウフフぐらいか。
▽▽▽▽
────────────────────────────────────────────────
里のはずれの目的地。男が一人ぽつんと焚き火をしているのが目に入った。
上空の私に気がついて、露骨に首をたれる。
思わずニヤリとしながら男の傍まで降りていく。
「珍しい奴が珍しい所で珍しい事してるな」
「騒々しい奴が騒々しく現れて騒々しく近づいてくるな」
「そんなに褒めるなよ。照れるじゃないか」
「褒めてねえよ、魔理沙」
いつのも挨拶を済ませて、私は焚き火から突き出ている一本の枝に目をとめた。
「で、まだ焼けないのか?」
その先に突き刺さっているであろう物体の事を聞くまでもない。
間違いなく焼き芋だ。
「一応言っておくが、一つしかない」
「私のために焼いておいてくれたんだろう? 愛されてるな」
そういって焚き火に近寄り手をかざすと、後から聞こえよがしなため息が聞こえた。
いつもの諦めた合図。今日も私の勝ちだ。
「どれ、もういいか?」
「あぁ、もういいぞ」
そう言って男は焚き火から枝を引っこ抜く。その先には芋の形をした新聞紙。
私はそれを受け取って新聞紙をはがしていく。
「お、美味そうだな。ていうか、新聞をこんなふうに使ったら、文が怒るんじゃないか?」
「古新聞の有効活用だ。むしろ褒めてくれるさ」
「そうかね?」
まぁ、むしろ気にしたりしないのかもしれない。
「おお。美味そうだな。
よし、お前にも半分やるぜ。バレンタインだ」
一日遅れだけどな。とは口に出すまでもなかった。
「一日遅れの上に元々俺のだよ」
「まぁいいじゃないか」
「いいけどな」
半分に割った焼き芋を手渡し二人でかぶりついた。
「それにしても美味いな」
「あぁ。美味いな」
「風情があるからかね」
「お前と一緒だからな」
…………
「照れるなよ」
「いや、無理だろ。照れるぜ。というか恥ずかしい奴だな。それにキザだぜ」
「焼き芋うまいなぁ」
「お前も照れてるんじゃないか?」
「ま、な」
6スレ目>>770
────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>307
日も落ちて、家でぼーっとしていると魔理沙がやってきた。
どうも霊夢と勝負して負けたらしく、不機嫌そうな顔で不満や愚痴を零し続ける。
「なあ、やっぱりお前も弾幕ごっこの強い女がいいのか?」
「あんまり気にした事はないけど、魔理沙が強かったら最高だな」
「じゃあ今の私はよろしくないのか」
そう呟くと、そのまま魔理沙は帰っていった。
翌日、家でぼーっとしてたら扉を吹っ飛ばして魔理沙が飛び込んできた。
「霊夢に勝ったぜ! どうだ、これなら最高だろ!」
ああ玄関の修理必要だけどそれ以上に魔理沙かわいいよ魔理沙
────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>314
「魔理沙、今から言うのは閂の話だ。ところで紅魔館の図書館に行くんだが俺と付き合ってくれないか?」
────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>436
魔「はあー○○の作るご飯は本当にうまいな」
○「そうか?まあ、それが俺の能力だしな」
魔「謙遜するなって」
○「まあこんな料理でよかったら毎日作ってやるよ」
魔「ま、毎日って・・・・・////」
○「ん?なんか変なこと言ったか?」
魔「い、言ってないぜ、そうか毎日か・・・・」
───────────────────────────────────────────────────────────
7スレ目>>686
最近魔理沙の様子がおかしい、毎日のように遊びに来るのだ
まあ別にそれはかまわない。
むしろ暇だからちょうどいい、だが来るときの格好が奇妙だ
3日前は俺がもといた世界の学生服のようなものを着ていた
「どうだ?○○」と感想を聞かれたので
「それは男物だったはずだが」といったら
その後のことは何も覚えていない、なんか世界が真っ白になった
一昨日今度はうどんげのようなウサギの耳を生やしていた
「これはどうだ?」
また聞かれたので俺は
「変なきのこでも食べてはえてきたのか?」と聞いた
そしたら口に変なきのこをぶち込まれて気を失った
きのこはうまかったから味噌汁の具にした
昨日今度は巫女の格好をしていた、霊夢が着ているような
変形したものではなく、普通の神社のものだった
例によって感想を聞かれたので
「霊夢が着ているやつのほうがかわいいよな」
って言ったらマスタースパークが……
そして今日は来なかったで
とりあえず最近のマリサの奇行について何か知らないか
パチュリーに尋ねようと紅魔館の図書館に来た
門番は誰かに襲われたのか気絶していた
「あなた気づかなかったの?」
用件をを話すとパチュリーは驚いたように言った
「何がだ?」
そういうと彼女はため息をついて一冊の本を取り出した
「その原因はこれよ」
その本はどうも俺の世界のファッション誌のようだ
しかし中身はかなり濃いというかコスプレとかが中心だった
「魔理沙はこれの真似を?」
「そうよ、『○○の気を引く方法はないか?』って聞かれて
『○○の世界の格好でもすればいいんじゃない』って見せてあげたのよ」
「しかしまたマニアックなものを……」
俺は本のページをめくりつつ言って気づいた
「俺の気を引く?」
「そうよ、あなたの鈍感は知ってたけどこれほどとはね」
パチュリーは呆れたように言った
「知らなかったな、てっきりちょうどいい遊び相手程度に思われてると……」
確かに俺は鈍感かもしれない
するとパチュリーは本に目を落としながら
「まああなたのその反応を見る限り意味はなかったようね」
と言った
「これは……ちょっとな」
マニアックすぎるというかなんというか
「俺は今のままが一番いいと思うんだが」
「全く、それは魔理沙に言ってあげなさいよ」
「そうだな、もう感想答えるのもめんどくさいしな」
そういって俺は倒れていた門番を思い出した
「そういえば魔理沙きたのか?」
「ええ、その本はあなたに効果がないからって新しい本を借りていったわ」
「新しい本?」
「ええ、あなたの世界の本でタイトルはたしか……」
俺はその本のタイトルを聞き挨拶もそこそこに図書館を飛び出た
そのままの勢いで魔理沙の家に急いだ
「魔理沙入るぞ!」
ノックもせず魔理沙の家のドアを開けた
「○○!?」
魔理沙の手にはいろいろな化粧品が握られていた
「魔理沙、一回しか言わないからな」
俺は大きく息を吸い
「俺は今のままのお前が好きだ、だからそういうことしないでくれ」
と一気に言った
「○○……」
魔理沙は化粧品を机に置いた
「本当か?信じていいんだな」
「ああ、俺は今の魔理沙が好きだ」
そう言って俺は彼女を抱き寄せた
そして落ち着いてから二人して自分たちの行動にお互い
テレながら一緒にすごしていると
魔理沙が
「でもなんでこんなにいきなりなんだ?
今まで全然だったのに」
「いやそれは魔理沙が持っていった本がさ……」
俺は机の上の本に目をやった
そこには顔を黒く塗り、唇を白くした山姥の様な女性が写っていた
───────────────────────────────────────────────────────────
最終更新:2010年05月14日 23:59