魔理沙8
うpろだ242
幻想郷に来て早数ヶ月。
こっちに来て一番最初に知り合った魔理沙の弟子(魔法使い的な意味で)になって、
そろそろ3ヶ月が過ぎようとしている。
魔理沙の修行はスパルタを通り越して無茶としか言いようがないもので、
「実践あるのみだぜ!」と、連日某紅い館に引きずられてる。
最初こそ何も出来ずボロボロになって引きずられるように魔理沙の家に帰っていたが、
最近になってようやく被弾率が下がってきて、
どうにか怪我も少なく五体満足無事に帰路につけるようになった。
――――これは、そんなある日のこと――――
「持ってくぜ」
「持ってかないでー」
魔理沙とパチュリーさんが毎度お決まりのやり取りをしている間、
俺はせっせと持ち帰る本を鞄やら風呂敷やら袋やらに詰め込んでいる。
(えーっと、この前持ち帰ったのがこれの上巻だったから……)
魔理沙は無秩序に本を持って帰っているように見えるが、
実は内容を関連付けて、その系統ごとにまとめて持って帰っているのだ。
どっちかと言うと、パチュリーさんの方が無秩序に本を読んでいる感がある。
「あ、そうそう、○○」
などと考えていると、本を持っていかれることを気にした風でもなく、
最早諦めた感が漂うパチュリーさんが声をかけてきた。
魔理沙は他の本を物色しに行ってるみたいだ。
「はい? 何ですか?
あ、心配しなくてもこの前持って帰った本はちゃんと後日……」
「あぁ、そっちの心配はしてないわ……この前の返事を聞きたいのだけど」
この前……あぁ、アレか。
「アレはちゃんとお断りしたはずですよ?」
「心変わりしてないかしら、と思ってね…」
「おい、何の話だ?」
あ、魔理沙が戻ってきた。って、また大量に持ってきたな……。
まぁ、別に良いか。これも修行の内、ってね。
「この前来たとき、図書館の司書にならないか、って誘われたんだよ」
あれは驚いたなぁ。本を詰め込んでるときに、
いきなり「あなた、ここの司書になりなさい」
だもんなぁ…まぁ、丁重に断ったけどさ。
「……へぇ?」
…あれ? 魔理沙、何か…怒ってる?
「どういう事だ? 私は聞いてないぜ」
「え? パチュリーさんが、
『魔理沙には話を通してある、本人がその気なら別に構わない』
って言ってたんだけど……?」
「ほほう……」
怖っ!? 魔理沙、目が据わってる!
「良い度胸じゃないか、パチュリー。
人の弟子に勝手に唾つけるのはいただけないぜ?」
「あら、言ってなかったかしら……ごめんなさい、勘違いしてたわ……」
――バチバチッ――
ひぃっ!? 火花が、二人の視線がぶつかり合って火花が!?
って言うかもうすぐ夏なのに寒っ!?
「ふん、まぁいいぜ。○○には断られたんだろ?
だったら素直に諦めるんだな」
「あら、人の心は移ろうものよ……明日には気が変わってもおかしくないわ……」
「埒が明かないぜ。○○、帰るぜ」
「え? あ、あぁ…」
「○○、私はいつでも歓迎するわ……」
「あー、その……さ、さようなら……」
――少女&青年帰宅中――
「ふぃー、重かった……」
「だらしがないぜ」
大量に持ち帰った本を適当に置いて……ふぅ、これでようやく一息つける。
「とりあえず、お茶の準備でもするか」
この前香霖堂で買った茶葉がまだあったはずだから………。
「おっと、ちょっと待った○○」
「ん?」
「話がある」
「話? 話って何の……ひっ!?」
振り向くとそこにはとても素敵な笑顔――ただし目は笑ってない――魔理沙さんがいました。
「まぁ、座れよ」
「い、いや……とりあえず、お茶を淹れたいなー、なんて……」
「座れ」
「はい…」
震える足に鞭を打ち、どうにかイスに座る。
視線は逸らせない。逸らそうとすると殺気が溢れてくる。無論、魔理沙の方から。
「で、だ。パチュリーから誘われたこと、なんで黙ってた?」
「いや、だって、パチュリーさんが魔理沙には言ってあるって……」
「な・ん・で・黙・っ・て・た」
「すんませんでしたぁっ!!」
土下座するしかなかった。それはもう、今までしてきた土下座を超える土下座を。
「……………」
あぁ、視線が痛いっ! やましい事はしてないのに何故だっ!?
「……ま、断ったからよしとしておいてやるぜ」
「よ、よかった……」
いや、元々責められる謂れは無いんだけどね?
こう、うん、分かるでしょ?
「じゃ、じゃあ、とりあえずお茶の準備を……」
「ただし!」
「はいぃっ!!」
まだあるの!?
「……今後は、誰かにそういうことを言われたら真っ先に私に言うこと」
「へ?」
「分かったな!」
「あ、あぁ、うん、分かった……」
「なら、良い」
そこでようやく、魔理沙の視線が弱まった。
表情も、どこかほっとしたような……。
「…○○? どうした? 私の顔に何かついてるか?」
「ん、や、なんでもない」
…横顔に見惚れてた、なんて言えないよ…な?
「やれやれだぜ…」
お茶の準備をしてる○○を、何とはなしにぼーっと眺める。
このまったりとした時間が、私は気に入ってる。
「にしても、パチュリーのやつ……」
人の弟子を勝手に盗ろうとするなんて…。
だけどそこは私の弟子。しっかりと誘いを断るところはさすがだぜ。
……パチュリーに直接誘われた、ってところは、思うところが無いわけではないが。
「ま、いいさ。誰が相手でも、○○を渡す気は無いしな」
独占欲…なのかもしれない。だけど、それがどうした。
私は、魔法使いだ。一度捕らえた獲物は逃がさないぜ。
「とりあえず……」
当面の問題は、どうやって○○をその気にさせるか、だな。
フラン相手に弾幕ごっこするより、よっぽど大変だぜ……。
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うpろだ248
「あ゛ー、頭がガンガンするぜ」
「だろうな」
ゴホゴホ
「う゛ー、喉もひりひりするぜ」
「そりゃあな」
ゲホゲホ
「……お前なんか冷たくないか」
「どうかな」
梅雨もいよいよ盛りのある初夏の日のこと。
霧雨魔理沙はおでこに氷嚢を乗せながらベッドの上でダウンしていた。
そしてその傍らには椅子に座って林檎の皮を剥く○○が。
一目見ただけで何が起こったのか即座に理解できるシチュエーションだった。
魔理沙は急性鼻咽頭炎――平たく言えば風邪にかかっていた。
「こういう時は、互いの額を合わせて熱を測ったりだとかな。
もっとこう、病人に対して思い遣りってものを見せてほしいぜ」
「その病人とやらはわざわざ土砂降りの中を箒で飛び回った挙句、家の中までびしょ濡れにしてそのままぶっ倒れたんだ。
その事後処理に当たる羽目になった人間の事も考えてくれ」
「何だ、小さい事を気にする奴だな」
「もう看病してやらんぞ」
「ごめんなさい」
しとしとしとしとしとしと
「○○」
「体なら拭かんぞ」
「じゃあいい」
「……マジだったのか」
しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり
「○○」
「子守唄なら歌わんぞ」
「ごめん」
しゃりしゃ――
普段と違う調子の魔理沙の言葉に○○の手が止まる。
傍の机にナイフと剥きかけの林檎を置いて○○は魔理沙の方へ目を向けた。
「どうした」
「別に、何も無いぜ」
「本当か?」
「嘘だぜ」
しとしとしとしとしとしと
「お前な……」
「でも」
「あ?」
「話したくない」
「……そうか」
「そうだぜ」
しとしとしとしとしとしと
再び二人の間に大地を打つ雨の音だけが静かに響く。
魔理沙は天井を見上げ、○○は窓の外を眺めていた。
「そろそろ変えるか、それ」
「ん? あー、そうだな」
魔理沙のおでこの上の氷嚢を指して○○が言った。
見れば中の氷もほぼ溶けきっていて、肌との間に挟んだタオルも随分と結露を含んでいた。
氷の入った袋とタオルを退けて、新しいタオルで額とついでに顔を軽く拭う。
そして○○は指で魔理沙の髪を分け、
「ちょっと目閉じてろ」
「え――――」
何で、と魔理沙が尋ねる前に自分の額を彼女のそれに当てた。
「……………」
「……………ふむ」
やがて○○の方から額を離す。
魔理沙はというと、明らかに風邪以外の要因で頬を緋に染めながら目を大きくしたまま口をぽかんと開けていた。
「多少は熱も下がったみたいだな。もうそれほど心配しなくてもいいだろ」
魔理沙が全く聞いていないのを知ってか知らずか、○○はそう言い残して部屋を出て行った。
因みにその後○○が新しい氷嚢を持って部屋に戻ってくるまで魔理沙は放心状態だった。
しと………しと…しと
「止んできたな」
「みたいだな」
「もうすっかり夜だな」
「そうだな。お前ももう寝たらどうだ」
「えー」
「喧しい。病人だったら早く寝ろ」
「じゃあ一緒に寝てくれ」
ぱら……ぱら………ぱら…
「寝言は寝て言え」
「じゃあ寝たぜ」
「お前は目を開けながら寝るのか」
「何だっていいじゃないか」
「良くない。大体んな事したら風邪がうつる――」
ぎゅっ
「………ね?」
「……」
「…………お願い」
「……反則だ」
「何だっていいじゃないか」
「良くない」
「大丈夫だ。もう熱も下がったって」
「……」
――――――ぎし
「……今日だけだ」
「そうはさせないぜ」
「勘弁しろ」
「私は目標の為には努力を惜しまない主義でな」
「それは秘密なんじゃないのか」
「お前だからいいんだよ」
「……それも反則」
この後○○はちゃんと風邪を引きました。
お粗末。
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うpろだ272・273
「○○! 大変だ! ちょっとドア開けてくれ!!」
いつになく切迫した魔理沙の声が家の外から響く。
魔理沙が『大変』と言ってくるときは、大体 厄介事を抱えているときだ。
魔法を失敗して幼女の姿になってたこともあれば
魔法の副作用で猫耳が生えていたこともある。
そして、そのたびに彼女を元に戻すために俺が迷惑こうむってたのも、また事実。
一度など、元の姿に戻るための実験で妙なキノコを食べさせられたら
どこぞの鬼もかくやというくらい巨大化してしまったこともあった。
正直、扉を開けたくはないけれど……
開けなければマスタースパークで家ごと吹っ飛ばされるんだよなぁ……
俺は仕方なしに家の扉を開けることにした。
「はいはい、なんだよ魔理沙。また魔法の実験失敗したのk――――」
パーフェクトフリーズでも喰らったかの様に俺の表情と体が凍りつく。
「○○……そ、その……」
魔理沙の姿はいつものままだった。
いつもの白黒の服に大きな黒帽子。
では何が問題なのかと言うと……それは魔理沙の抱きかかえている物体だ。
「あぅー……だぁ…」
それは、まっ白い布にくるまれた可愛らしい赤ん坊。
年は大体1歳に到達するかしないかといったところだろうか?
俺は冷静に状況を判断し、魔理沙に質問する。
「……OK、魔理沙……父親は誰だ? 俺じゃないことは確かだと思うが」
「それが、私にもわからないんだ……いや、と言うか、私の子供じゃないぞ!!」
むぅ、違うのか……いや、待てよ?
魔理沙の子供じゃない……ってことは――――
「魔理沙……お前なんてことを……」
「え?」
「今ならまだ間に合う! その子を御両親の元に戻して、潔く閻魔に自首しろ!
俺もついて行ってやるから!!」
「だから なんでそうなるんだよ! 違うって! 森の中で拾ったんだよ!!」
「へ? あ、ああ…ごめん。てっきりマジックアイテムの材料にするために
攫ってきたものかと……」
「OK、それは私にマスタースパークでふっ飛ばしてほしいってことだな?
だったら、望みどおりに――――」
魔理沙が八卦炉を取り出す。
「ごめんなさい すいません、謝るからマスタースパークは勘弁してくれお願い」
危ない危ない、少し言いすぎたか。
「ぐすっ……ふぇっ……」
「げ……まずい……」
魔理沙の怒声に 子供は怯えて泣き始めてしまった。
「ふぇぇぇーーーーーーん!」
「ああっ、またか!」
泣き出した子供に対する魔理沙の反応から
彼女が ここに来るまでさんざん苦労して赤ん坊を泣きやませたことを理解した。
「ああ、もう泣きやんでくれよ~……なあ○○、助けてくれ!」
「助けてくれと言われてもなぁ……」
自慢じゃないが、俺は子供の相手は結構 得意なほうだ。
実際に、里の人間に子供の御守を頼まれることは少なくない。
まあ、それだけ暇な人間と思われているのだが。
だから、魔理沙の抱きかかえている赤ん坊を泣きやませることは、そう難しくはない。
だが、こんな姿を見せる魔理沙は初めてなので俺はしばらく彼女を眺めておくことにした。
「ふぇーーん!」
「泣きやんでくれよ~…いい子だから……」
「ふぇぇーーーーん!」
「ほーら、べろべろ ばぁ~」
「びぇぇぇーーーーーん!」
「ああ……もう、どうすりゃいいんだよ…」
どうしていいかわからず赤ん坊を抱きかかえながら、あたふた オロオロする魔理沙。
そんな彼女のことをちょっと可愛いと思ったのは秘密だ。
「ほーら、高い高い~」
「いや、ちょっと待て魔理沙! そんな乱暴にするなって!!」
何を思ったか赤ん坊を一人キャッチボールし始めた魔理沙を止める。
ってか、お前ここに来るまでそうやって泣きやませてきたのかよ……
「貸してみな、こうやって抱くんだよ」
しかし……
「ふぇぇぇーーーーーーん!」
「って、全然泣きやまないじゃないか!!」
おかしい
この赤ん坊マスター(自称)の俺にあやせない子供がいるなんて……
さてはこの赤ん坊、ただの赤ん坊と見せかけて新手のスペカ使い……って、あ
「……ひょっとしてオムツ交換か?」
赤ん坊を家の中に連れて入り、ベッドの上に乗せて確認する。
が違う、なら消去法で――――
「たぶん腹減ってるんだな……魔理沙」
「なんだ?」
「無い胸出せ」
「は?」
しばし沈黙
そして直後に魔理沙の怒り&恥じらいゲージが一気にMAXまで上昇し――――
「ファイナルスパ――――!!」
―――― 極悪『赤子結界』!!
フフフ……抱きかかえている赤ん坊を自分の盾にしてやったぜ!!
撃てるか? 魔理沙!!
ま さ に 外 道
「な…お前、子供を盾に……」
うん、俺もひどいと思う。
赤ん坊も俺のあまりの非道さに、泣きわめいている。
「ぐっ…覚えてろよ……」
その後、赤ん坊はミルクを与えたら眠ってしまった。
俺はとりあえず赤ん坊をベッドに寝かせたのだが……
赤ん坊を手放すや否や、さっきの失言と外道な行為をしっかり覚えていた魔理沙に
ファイナルスパークを5発も喰らったことは、俺は生涯忘れないだろう。
マジで死ぬかと思った。
2日後――――
赤ん坊のほうは、捨て子の可能性もあったが一応里に伝えは出しておいた。
そして、魔理沙はここ2日俺の家に足繁く通っている。
なんでも
「赤ん坊の世話でもお前に負けるつもりはないぜ!」
……らしい。
さすが負けず嫌い。
最初は、赤ん坊のあやし方もまともにできなかった魔理沙も、人並み程度の子供のあやし方
そして、ミルクやおしめの交換くらいはできるようになった。
「ほ~ら、いい子だな~」
「あぶぅ……あぅ~」
赤ん坊はすごく心地よさげに魔理沙に抱きかかえられている。
そして俺は、そんな彼女の姿に
……なんていうか、ものすごく母親らしさを感じて、不覚にもドキドキしてしまっている。
あの魔理沙にこんな一面があったなんて。
「ま…ま……まま~……」
「ははっ、私のこと母親と思ってるみたいだな」
「魔理沙が母親か……世も末と言うかなんというか」
「まま~……だぁー……」
「あははっ、ママだぞ~……あと○○ー お前 後でファイナルスパーク10連発だぞー」
「……ごめんなさい許してお願い…ってか、そんなにこやかに言うな 余計怖いわ」
その時、赤ん坊が俺に向かって手を伸ばして
「あぅ~…ぱぱ~」
と一言。
「「………」」
えーと、魔理沙がママで、俺がパパってことは……
魔理沙 + 俺 = 夫婦
「わ、私たち……夫婦に思われてるみたいだな…?」
「……あ、ああ…」
夫婦っていうか、両親と思われてるんだけどな……
いや、そんなことよりも……なんだこの雰囲気は。
えっと……これって一般的によく言われてる『いいむーど』ってやつっすかダンナ?
正直、互いに互いを妙に意識してしまって居たたまれないんすけど。
「すぅー……すぅー……」
しかも、赤ん坊はいつの間にか
『さあ、イチャイチャの時間だよ、ベイビー』
と言わんばかりに眠っちまったし。
ええい、このラブキューピッドさんめ!
お前も魔理沙もぶっちゃけ大好きだ!!
さりげなく心の中で魔理沙への想いも暴露する。
よし、ここからだ!
今までインポッシブルだったミッションを今日こそ――――
コンコン
「「!!」」
家の扉がノックされる。
……ああ、憎しみで人を殺せたら!
「すまない、私だ。慧音だが」
よし、慧音か。
てめーは俺を怒らせた……
貴様は魔理沙Loveな俺の魂を舐めたッ!!
絶対に許さんッ!!
でも、お前を敵に回して caved は御免だ!
だ、だから、別に許してあげないこともないんだからねっ! バカッ!!
一人脳内コントを繰り広げながら、俺は家の扉を開けた。
ガチャ!
「オウ、イラッシャイ。ドウシタヨ?」
「あ、ああ…えらく機嫌が悪そうだが、何かあったのか?」
「イーヤ、別ニ」
あからさまに帰れオーラを出している俺に、慧音は若干引いていた。
が、家の中にいる魔理沙の姿を確認すると。
「……なるほど、私はお邪魔虫だったようだな。すまない。」
「な、何を言いやがりますか――――
あ、一応言っておくがその赤ん坊は俺たちの子供じゃ――――」
「――――わかっている。それにしても、やはり間違いないようだな」
「え?」
「実は、魔理沙の抱きかかえている その赤子のことなのだが――――」
そして、慧音の話によると事の顛末はこうだった
この赤ん坊の母親が子供を連れて森の中を歩いていたら、数匹の妖怪が出現
⇒ このままでは確実に喰われると判断した母親は子供を隠し、自分が囮になって子供から妖怪を引き離す
⇒ その子供を魔理沙が見つけて拾い、俺のところに連れてくる
⇒ 慧音が子供の話を聞き、連れ帰りに来る (← 今ここ)
⇒ 紆余曲折あってイチャイチャする
⇒ ギシアン突入
なお、最後の二行は俺の妄想だ。
「その子の母親は、襲われた時に怪我をしてしまってな。
命に別条はなかったのだが、ここに来ることはできなかったんだ」
「なるほど、それで慧音が引き取りにきたわけだ……あれ、父親は?」
「ああ、その子の父親は母親の看病をさせている。この辺りもあまり安全ではない。
連れて来るのは危険だったのでな」
「なるほどなー」
「あぅー……」
「じゃあな……バイバイ……」
「あぶぅ~……ぅぅー……」
慧音に連れられて行く名残惜しそうに見つめ……彼女は一言、呟く。
「また、一人になっちまったな……」
「……魔理沙?」
……どうしたんだ?
いつもの彼女と雰囲気が違う。
別にあの赤ん坊と会えなくなるわけではない。
会おうと思えばいつでも会えるはずなのに……
「お前も……私をおいて行くのかな……?」
俺に背を向けたまま、魔理沙は、寂しそうにぽつりと呟いた。
「魔理沙…どうしたんだ?」
「ひっく、えぐっ……」
「―――――!」
本当に予想外だった。
まさか泣かれるとは……
『お前に迷惑かけるのが生きがいだぜ』と言わんばかりのあの魔理沙が?
何故……?
「嫌だ……私を、一人に…しないでくれ……」
「……」
なるほど、そういうことか……
初めて見る彼女の心と姿。
宴会好きなのも、寂しがり屋な性格の裏返しだったのだろう。
「……本当に、ここ数日でお前の新しい面をいろいろ見れたと思うよ」
「……ぐすっ……え…?」
彼女を背後から優しく抱きしめた。
「え…? ちょ、○○!? 何を……」
「とりあえず、お前が安心するまで こうしとく……」
「………」
「あとさ、俺は、いなくならないよ……約束する」
彼女の緊張が急速に弛緩していくのを感じていた。
「……ありがとう………なあ、○○……」
「なんだ?」
「私さ……あの子のような、かわいい子供が欲しいぜ……」
「はは、焦らなくても、いずれできるよ」
「い、いや……そうじゃなくてだな……」
「?」
「その……だから……ああ、もう! わかるだろ! これ以上言わなくても!!」
……?
――――!
もしかして、もしかすると……
「わからないな…言ってくれ」
「うう……もう、恥ずかしすぎて言えない……」
真っ赤になってしまっている顔に、黒帽子をかぶせて見られまいとする魔理沙。
その仕草が、殺人的に可愛い。
魔理沙可愛いよ、かわいいよまりさ。
もっと苛めたいよ、イジメたいよもっと。
「言え」
有無を言わせぬ口調で命令する。
「……っ、お前……サドだぞ……」
「言ってくれ」
「だから……その……私は、お前との……子供が欲しいんだ……」
感 無 量 ! !
御馳走様でした。
本当に御馳走様でした。
さて、この上ない感無量を味わったところで真面目モードに戻るか。
「お前さ、いい母親になれると思うよ」
「え?」
「お前、自分の子供でもないのにちゃんと優しく接して世話してあげてたろ?
正直、見直したよ」
「○○……」
「いや、惚れなおした……って言ったほうがいいかな」
「惚れなおし……って、え? ええ?」
そこで一旦言葉を切って。
魔理沙の目を見つめて。
万感の想いをこめて彼女に言った。
「愛してるよ、魔理沙」
しばらくパチクリしていたが
唐突にボソッと呟く。
「……嘘だろ?」
「いいや、大マジさ」
そうして、未だ現実を信じ切れていない彼女の唇を優しく奪った。
そうまでして、ようやく彼女は俺の心が彼女のものだということを理解したようだ。
「私も……お前のことが好き…大好きだぜ……」
再び、キスを交わす。
今度は唇を啄ばむようなキスから
深く熱い口づけを交わしあっていく。
そうして しばらく、深い口づけを交わしあった後
俺は彼女をすぐ傍にあったベッドに押し倒した。
「うわぁっ! ○○…何を…!?」
「じゃあ、早速カワイイ子供をつくるとするか?」
「え? ちょ、そんな……私にだって、心の準備が……」
「……そうか、そうだよな……残念だ」
いや、実はここで終ってしまったらマジで自殺モノのショックなんだが
あえて、魔理沙が拒絶しているという風に受け取ったフリをする。
なんて策士なんだ 俺。
「ち、ちょっと待てって! …だ……ダメってわけじゃないんだよ……」
「……」
「そ……そうじゃなくてだな……」
震えてる。
いつもの強気な彼女からは想像もつかない姿。
「そ…その……わ、私は……初めてだから、できれば優しく…してほしいんだ……」
ヤバい、元から抑えるつもりなどあまりなかったが
これ以上、理性を抑えられそうにない。
そんな俺の心情を知ってか知らずか――――
「お、お願いだ……」
上目づかいで、不安げな涙目で
頬を紅く染めて、僅かに身体を震わせている魔理沙。
これに耐えられる男がいるだろうか!?
いいや! いはしまい!
そして、俺は魔理沙の
(省略されました 詳しい描写は省きますがこの後、魔理沙は○○がおいしくいただきました。)
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最終更新:2010年05月15日 00:03