ルーミア3
うpろだ424
○○編
満月の夜に、僕は彼女と出会った。
里では見かけない子だから、里の外に住む変り者の子供なのだろう。 証拠に、里について彼女は無知すぎた。
可愛い真っ赤なリボンについて尋ねると、本当は護符で外せないものらしい。
納得だ。 里の外に暮らすなら弾幕や符の一枚持たなければ危ないだろう。
一月後、また彼女と出会った
彼女は里の話を聞きたがったので、知りうる限りのことを答えていった。
何を聞いても新鮮らしく
「そーなのかー」
と驚き、感心する姿はとても愛らしかった
僕は次の満月が待ち遠しかった。
彼女は、満月の日に逢えるという予感があったからだ
予感どおり、彼女は次の満月にあらわれた。
だが、今日は里ではなく健康面が心配らしい。
なるほど、いつも元気な彼女が、頬も赤いし様子も変だし風邪でも引いたのかもしれない。
だけど、違った。
思うだけで高鳴る胸、会えないだけで溺れてしまったような息苦しさ。
それは、非常に見に覚えのある病気だった。
だから、特効薬を使った
唇を重ね合うのだ
次の満月が楽しみだ。
なんでも、彼女は満月以外目が見えないそうだ
だから満月以外会えないのかと納得できたし、だからこそ次が楽しみなのだ
次の満月は、彼女が見る初めてのお祭りとなるだろう
彼女はいつもの一張羅でやってきた。 やはり祭りには浴衣だと思い、親戚のお下がりを借りてきておいたのだ
「一緒にお祭りにいこうよ!」
祭り、といっても色々ある
今回の昼間は、穣子さま主賓の収穫祭。 彼女と来たのは八坂とかいう、新しい神さまを祭るらしい。
どちらにせよ、飲めや歌えやの大騒ぎをするのに変わりはない。
今年の中月の名月は1日満月とずれているせいで、ずっと里は騒ぎっぱなし
彼女は……目を輝かせてごちそうに食らい付いている。
思ったより大食い……というか大人顔負け。すごいなぁ
彼女が食物に釘付けになっていると、神様の立てた柱に負けない角を生やした先生が僕のところにやってきた
妖怪? そんな馬鹿な!
「本当だよ。君が本気で彼女が好きでも、誰も変えられない事実だ」
先生は、嘘や冗談でこんなことは言わない。 つまり本当のことなんだろう
「わかったよ先生」
今はもう、満月の夜に逢うことはない
一緒に語り明かすことも、お祭りに行くこともない
彼女に食べられることで、彼女と一つになることを望んだからだ
ルーミア編 ↓
○○は、私に食べて欲しいみたい。
すごく、すごく嬉しい。 わたしは、○○からステキなお話やきれいな浴衣の思い出をもらったけど
わたしが、○○のお願いを聞いてあげられるなんて、思っていなかった。
○○、大好き! ぜんぶ、きれいに食べてあげるね。
次の満月、○○はいつもの場所に来なかった。
草だって、蟲だって、家畜だって、人間だって、次に来たらまたいるのに。
なんで○○はいないんだろう。 さびしいな。
次の満月も、またいない。 ひょっとして、わたしのことキライになっちゃったの?
そんなことないよね? だって、食べ終わるまでずっと○○は優しい笑顔だったもの。
――そうだ、○○のおうちにいこう! ○○の自慢のぱぱとままも見てみたいもん。
人間の里は、夏のセミみたいにがやがや、がやがや騒がしい。
呑み所、という看板の方からぷぅんとお鼻をくすぐられるようなにおいがする。
じつは、あのにおいは巫女っぽくて苦手。 神社からはいつもあのにおいがするから。
……あぁ、ここだ。○○はこの家の前で胸を張っていたっけ。
でも、白黒の垂れ幕に、両手一杯に広げても届かないほど大きな白黒の花。 こんなのあったかな?
とりあえず、中に入っちゃえ。 神社みたいに妙な結界もないみたいだし。
あ、人間のおとこの人だ。あれが○○のぱぱかな? うん、目元がそっくり。 ○○の言っていたとおりだね。
「○○のぱぱなのかー?」
――憎い。息子を殺した妖怪が。 あの祭りの日から、秘密結社に繋がりをもって妖怪の真の邪悪さを改めて知ることができた。
息子の魂の安らぎのために、愛する息子の悔いをなくすために。 一日も早く、幻想郷を人の手に取り戻さねばならない。
「○○のぱぱなのかー?」
どくり、と血が逆巻く。 体が、誰かに操られているみたいに勝手に動く。
俺を支配しているのは憎しみだ。 怒りだ。 のこのこと現れた息子の仇。
息子だけでは足らず、俺も食らいに来たか? かまいはしない。ならば道連れにしてやる!!
きゅうに、おとこの人が飛び掛ってきた。
とっさに横に避けようとしたけど、そこは壁。 避けきれず、おとこの人に押し倒されてしまった。
そのまま馬乗りになり、わたしのほっぺたに、固く握った手をなんどもなんども叩きつけてきた。
霊力も護符も使わないで、妖怪に傷を負わせるなんてできるわけないじゃない?
あ、そもそもスペルカードの宣言だってこの人はしていない。 わたしだって、知ってることなのに……へんなひと。
なんだって、このひとはこんなにわめき散らしているんだろう? セミよりうるさいよ。
えっと……○○がいない? 返せ? 何のことだろう?
たとえバラバラになったって、放っておけばそのうち治るじゃない。 だってわたしはそうだもの。
……ひょっとして、人間は――○○は――そうじゃないの?
そうすると……もう○○に会えないの? わたしが会えなくしたの?
“真実”に気付いたわたしは、人間を振りほどいて夜の闇へ逃げ出した。
でも、闇はわたしになれるけど、○○になれるわけじゃない。 闇はただ冷たくて寂しかった。
○○と始めて会って、いろいろな事を聴いたあの場所から、わたしは動きたくなかった。
お昼に人間の討伐隊が来て、わたしをばらばらにしていった。
次の満月の夜に、わたしは何事もなかったみたいに復活した。
でも、それは身体だけ。 わたしは、あの場所でずっと座り続けた。
心地よい緑のクッションは、わたしの闇に負けてどろどろと腐ってしまった。
でも、わたしはその場所から動きたくなかった。
何も食べる気がしない。 あんなに心地よかった闇は優しくない。
どれくらい経ったか、もう解らない。 満月の日も闇を解かなくなったから。
そんなある日、背中に冷たい何かが触れた。 雪でも降ったのかもしれない。
雪はいい。 こんなにも冷たいけれど、きっとわたしよりはいい。
「そんなことはないよ。ルーミアの背中はあったかい」
○○君の声、あぁ幻か。 きっと○○ならそう声をかけてくれる。
「ルーミアの周りは暗いかもしれないけど、ルーミアの心は太陽みたいに眩しくって、そういうところ、好きなんだけどな」
○○が生きていたら、きっと言ってくれたんだろうな。 その機会はわたしが永遠に奪ってしまったけれど
「……って無視かよっ! よーし、そうくるなら…」
わたしのほほに、ひやりとしたものが触れる。 次の瞬間、わたしの唇は懐かしいあの感覚でふさがれた。
周囲の闇が、満月の月光に溶けてゆく。 凍りついたわたしの心が、眼を伝う涙と一緒に溶け出してゆく。
懐かしすぎる、あの感触。 二度とないと思っていた。
「ばかだなぁ、僕がルーミアを置いて成仏なんてしちゃうわけないだろう?」
○○は、ずっとわたしと共にいた。 亡骸をわたしの中に納めた亡霊として。
わたしがこの世界から消滅するその日まで、○○とずっと一緒にいられる。
「ル、ルーミアっ!そっちは巨木巨木っ!!右に避けて! そっちは左ぃ~!!」
「そーなのかー」
「ウェディングドレス汚れちゃうってっ! あーーーっ!!」
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『初めてのチュウ ルーミア受編』(10スレ目>>58)
「……キスしてもいい?」
目の前でふよふよと宙に浮かぶ闇の塊の中から、少女らしい少し高めの柔らかな声が聞こえる。
「いいよ、ルーミア」
そう言って青年は闇の中に足を踏み入れた。
とたん、青年の目に映る世界が一変する。
緑の木々に覆われた暖かな世界が、ひんやりとして何一つ見えない暗い闇に覆われた世界に変わったのだ。
何も見えなくとも、周囲の音が殊更ひどく大きく耳に響いてくる。
普通に考えるならば、人はその世界に恐怖しか覚えないだろう。
だが、青年は違った。
普通に考えるならば、人はその世界から抜け出したいと考えるだろう。
けれども、青年は違った。
なぜなら、青年は この狭く暗い世界の中心に愛する少女がいることを知っていたから。
青年が高鳴る胸を抑えながら、もう一歩踏み出した その時――――
「あ、頭はどこー?」
と、どこか慌てたようなルーミアの声が響く。
時折、身体に何か――――おそらくはルーミアの腕――――が掠めるが、彼女は青年を捕らえることができない。
ぶんぶん、と彼女が腕を振る音が青年の耳に届く。
おそらくは、青年を捕えようと躍起になっているのだろう。
「ねえ、どこなのー!?」
ルーミアの声は、既に涙交じりになっている。
その眼の端には涙を浮かべながら捕まらない青年を求める姿が、彼には容易に想像できた。
アタフタしている彼女に、青年は目を細め笑みを深める。
まるで見えないのは青年のほうも同じなので、青年は声を出しつつ腕を伸ばす。
「ここだよ、ルーミ――――」
ふにっ
「――――!?」
「きゃっ!」
何か柔らかい感触が青年の手に触れた、と同時にルーミアの短い悲鳴が響く。
未だ手に残る柔らかい感触と押し黙るルーミアの反応から、その柔らかい感触が何だったのか予測がついた。
――――この柔らかい感覚は
ドクン…………ドクン…………
――――ヒョットシテ禁忌ニ触レテシマッタカ?――――
ドクン……ドクン……ドクン……
青年の心臓の鼓動が緩やかに加速しはじめる。
「あぅぅ……」
ルーミアは絞り出すように、可愛らしく唸った。
青年がした行為が、青年の想像どおりだったとしたら――――
きっと、彼女の頬は赤く染まり、大きくてパッチリとした紅い瞳の端に涙を浮かべているに違いなかった。
「……えっち」
呻くようにルーミアは呟いた。
どうやら、青年はルーミアの胸に触れてしまったようである。
ただし、彼女の声には非難や嫌悪といった負の感情はほとんど込められていない。
「……ごめんな、ルーミア」
ルーミアに謝りながら、青年は声がした位置を両の掌で挟むように手を伸ばした。
ほどなくして、掌に柔らかいものが当たる。
(すごく…柔らかい……)
先ほどとはやや違う柔らかさ。それはルーミアの頬なのだろう。
その証拠に、掌の内側の少し上に、小さく紅く光る2つの輝き――――ルーミアの瞳がある。
彼女の肌の感触を掌に感じ、抑えきれないほどの衝動が青年を襲う。
今すぐ抱きしめたい、今すぐその唇を貪りたい。
そんな欲望を必死で押さえながら、青年は彼女の顔に自分の顔を近づけて――――
「つかまえた」
と、一言。
「つ、つかまっちゃった……」
と、ルーミアも一言。
ルーミアの可愛らしさが凝縮された言葉を受け、青年の脳裏に 普段 冗談交じりに青年を食べようとするルーミアの姿がふと浮かんだ。
普段の彼女の姿と、今の彼女の姿……その二つの姿は あまりにもかけ離れすぎている。
けれども、そのギャップが青年にとってはたまらなく愛おしかった。
「するよ?」
ルーミアは、言葉を出さず――――
……コクリ
否、言葉を出せずに、おずおずとゆっくり首を縦に振る。
青年は首を少し傾け、唇をゆっくりと寄せてゆく。
「ん……」
ちゅっ……
青年の唇が、ルーミアの唇に僅かに触れる。
そのまま、青年は啄ばむように軽いキスを繰り返す。
その最中、青年は唇で触れているその感触に驚きを隠せなかった。
なんて――――柔らかさ
それは頬の柔らかさとは比較にならない。
少しでも乱暴にしてしまえば、すぐに壊れてしまいそうな程に柔らかい。
それでいて、ふにふにとした弾力があり、まるで熟れて食べ頃のサクランボのような瑞々しさがある。
「んっ……」
青年のリビドーが刺激され、胸の中にふつふつと情欲が湧き上がる。
強く、深く、だが優しくルーミアの唇に自分の唇を押しつけた。
上唇と下唇の境界に舌をゆっくりと這わせ、舐めしゃぶる。
それに飽きたら、上唇に軽く歯を立て、その柔らかい感触を楽しむ。
青年は、ルーミアの身体から次第に次第に力が抜けて行くのを感じ取っていた。
だから、青年は頬に添えていた左手を離し、ルーミアの腰に左手を回して その身体を支える。
ルーミアも、青年の唇を味わってはいるものの、あまり経験がないのか、その動きはどこかぎこちない。
されるがままに、求められるがままに、青年に唇を蹂躙されるしかなかった。
けれども、ルーミアはそれが嫌だとは感じていなかった。
ただただ、青年の唇と幸せに暴れる胸の鼓動に身を任せている。
いつしか、青年の理性には罅が入り、その行動もルーミアをいたわるものから、己の欲望を満足させようとするものに変貌する。
この柔らかい唇も頬も胸も、甘い匂いがする身体も、サラサラと絹のような手触りの髪も、全て全て自分のモノにしてしまいたい……
そんな情欲がただただ溢れ出し、青年は完全に自己を抑えられなくなってしまっていた。
そして、その情欲に従い彼女の唇を抉じ開け、強引に舌を侵入させた時――――
「やっ……!」
僅かに恐怖の混じったルーミアの小さな悲鳴が響いた。
とたん、色欲に染まりかかっていた青年の意識が正常な領域に引きずり戻される。
この時点になって、青年はルーミアの身体が僅かに震えていることにも気づいた。
―――― 怯えている……
氷水を浴びせかけられたように心が竦み、情欲の炎が一瞬で消えてゆく。
そして、かわりに溢れ出るのは後悔と自責、そして彼女への――――
「ご、ごめん! ルーミア!」
青年は、抱きしめていた彼女を解放し、一歩後ずさった。
そして、衝動に、情欲に突き動かされて彼女を傷つけてしまったことを詫びる。
しかし、青年の耳には何一つ聞こえてこない。
「本当にごめん、ルーミア……」
もう一度、青年は詫びる。
けれども、それでも彼女は声を出さない。
全ては闇の中……だから、ルーミアが怯えているのか、怒っているのか、青年にはそれすらも読み取れなかった。
「ふふ……」
不意に、ルーミアの笑い声が響く。
「……ルーミア?」
「もとの、優しい○○にもどった……」
それは、とても安心した声。
それは、とても嬉しそうな声。
青年の冷えた心が、次第に次第に暖かくなってゆく。
「だぁいすき~」
どんっ!
「うわっ」
青年が胸をなでおろしている最中に、彼の腹部に何かがぶつかってきた。
その衝撃に、青年は体勢を保つことができずに その場に尻餅をつくように倒れ込む。
そして、自分の腹部に何かがしがみついていることに気づく。
呆気にとられるものの、青年はすぐに腹部にしがみ付いているものの正体を悟った。
「ふふ……」
青年は、優しげな笑みを浮かべながら、未だ自身にしがみ付きながら甘えているルーミアの頭を撫でた。
サラサラとした髪が手触りが気持ちいい。
「えへへ……」
そうして、二人はしばし穏やかで甘い時間を過ごす。
「ねえ……」
「ん?」
「これが……大人のキス?」
「あ、ああ……」
ちょっとやり過ぎたけどね……と、青年は心の中で付け加える。
「へへっ、そーなのかー……」
相も変わらず すべては闇の中の出来事で、青年には何一つ見えない。
けれども一瞬だけ、青年の目には、頬を紅く染めながら照れくさそうに笑うルーミアが見えた。
「ねえ、○○……」
ふと、闇の中から恥じらいを含んだ声がおずおずと――――
「まだ……してほしいの……」
「まだ…って――――」
「……キス」
青年は、再び自身の熱い衝動が鎌首を擡げてゆくのを自覚した。
『初めてのチュウ ルーミア受編』end
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8スレ目 >>223
「待てー」
「のおおおおおおおお!!!」
ある晴れた日の夕方、俺は叫びながら森の中を必死で逃げていた。
何故逃げているのかって?
後ろから赤いリボン付けた黒い服の妖怪……ってか、ルーミアがふよふよ浮きながら追っかけてくるからさ。
親友のみすちーと楽しくお喋りしてたのに、いきなり「ごはんー!ヽ(^Д^)ノ」とか叫んで背後から出てきたときには心臓が止まるかと思った。
とにかく、なんとか みすちーだけでも逃がそうと 俺が囮になろうとした結果、この腹ペコ妖怪と命がけの追いかけっこをやっている、
まー、別にこんな感じの追っかけっこは初めてというわけでもない。
みすちーと喋ってると何故かよくコイツが現われては追いかけまわされているので、もう慣れた。
逃げるたびに足腰も鍛えられているので、たぶん『ルーミアから逃げ切れる程度の能力』は獲得できていると思う。
……どうせなら、もっとマシな能力が欲しいものだが。
「ごはんーー待ってーーーー」
待てるか阿呆。
のんきな声に悪態をつきながらひたすら走る。
正直、この付近はあまり土地勘がない上、森の木々が邪魔で視界が遮られるため あまりスピードが出せない。
「くそっ……このままじゃ捕まっちまう……!」
そのとき、森の木々の間に一瞬光が見えた。
勝機!!
視界の良い平地なら今の倍の速度は軽く出せる。
そう考えた俺は、光の方向へ向かい森を抜けた。
しかし。
「!!」
開けた場所に出たと思ったが……森を抜けた先は切り立った崖で行き止まりになっていた。
そして、崖のすぐ傍には流れが速そうな川がある。
川に逃げ込もうかとも思ったが、かなり流れが速い。
つ ー か 、 俺 泳 げ な い し
飛び込んだらデッドエンド確定だ。
焦る俺の背後から、のんきな声が響く。
「追いつめたー もう逃げられないよ」
振り向いたそこには、ルーミアが満面の笑みを浮かべてふよふよ浮いていた。
そこで問題だ! この絶体絶命なピンチの中でどうやって あの腹ペコ妖怪の貪欲な口をかわすか?
3択―ひとつだけ選びなさい
答え① ハンサムなオレは突如、逃走手段のアイデアがひらめく
答え② えーりんがきて助けてくれる
答え③ 喰われる。現実は非情である
To Be Contenued……
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8スレ目 >>640
ルーミア
「○○…私、○○のこと大好き!」
○○
「俺も…好きだぜ」
※このあと○○はルーミアが美味しく頂きました。
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11スレ目>>155
夕暮れの幻想郷、とある森の中。
二人(匹)の妖怪が寄り添って寝ている。
「なぁ、ルーミア」
ルーミアと呼ばれた妖怪は十進法を思わせるポーズで寝ている。
「どうしたの? ○○」
○○と呼ばれた妖怪はぼんやりと夕空を眺めている。
「……腹減ったなぁ」
「……そうだねー」
くぅ、とルーミアのお腹が鳴る。
ぐぐぎゅー、と○○の腹も鳴る。
「これで3日目か……」
「わたしは3日目だけど、○○は4日目だよね」
「気にすんな。俺は大丈夫だから」
ここ数日この二人は何も口にしていない。
ここ最近食料となる野生の動物が捕れない。
正確には3日前に魚を釣ったが、○○がルーミアにあげたので○○は4日目になる。
「なんかごめんね」
「いや、ルーミアが空腹で倒れるよりならマシだって」
言うのが遅れたがこの二人は仲がいい。所謂恋人という関係である。
「なにかしてあげたらいいんだけど」
「じゃルーミアでも食べるか。性的な意味で」
「え……わ、わたしはいいけど」
「まじでっ!?」
○○が飛び起きる。
「でも…お腹空くよ?」
「……そうだよな」
長い空白の後に○○が再び横になる。
性欲が食欲に負けた瞬間だった。
「はぁ……!」
また○○が起き上がる。
「なに?」
「……何か来る。 これは、食える匂いだ」
ぴくりとルーミアも反応する。
3日ぶりの食事にありつけるかも知れないこのチャンスに、二人は神経を研ぎ澄ませじっとその時を待つ。
「ちんちん♪ あ、ルーミアと○○」
「あ、みすちー」
「ちっ…」
「『ちっ』て聞こえた!」
二人の視界に現れたのは夜雀のミスティアだった。
これから店を開くのであろう、移動式屋台を運んでいる最中らしい。
「なんか二人とも頬がこけてるけど大丈夫?」
「うん、ここ最近何も食べてない」
「○○におなじー」
うわー、と同情するような目をするミスティア。
「え!? 八つ目を奢ってくれるって?」
「本当みすちー!?」
「そんなこと一言も言ってない!!」
「じゃあミスティアでも喰うか」
○○のこの一言で場の空気が変わった。
「……みすちーには悪いけど、そうするしかないね」
「ちょ、ルーミアも何言って」
「見ろルーミア、あのむしゃぶりつきたくなるあの脚。絶対美味いぞ」
「わたしはあの胸肉が食べたいなー」
ビクッとミスティアが寒気を覚え後ずさる。
「胸肉か、いいなぁ。もしかしたら手羽先も美味いかもな」
「タンもいけると思うよー」
じりじりと二人が距離を詰めてくる。
「「じゃあ、いただきます」」
「貞操より生命の危機!!」
二人の食欲が性欲に勝った瞬間である。
ミスティアが屋台ごと180度ターンして逃亡を図ろうと思ったが、すでに目の前にはルーミアのレーザー弾幕で通れなくなっている。
「くっ」
「残念こっちも通行止め」
振り返ると○○もレーザー弾幕で逃げ道を塞いでいた。
「○○もレーザー撃てたの!?」
「まぁね」
「みすちーつんだー」
幾重にも交錯するレーザーによりミスティアの退路は完全に断たれてしまった。
「安心しろ。屋台の調味料も使って美味しく調理してやるから」
「骨まで美味しく食べるからー」
「い……いやあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ふー、食った食った!」
「ごちそーさま! 美味しかったよみすちー」
「ふえぇぇ……今日の分の八つ目が全部……」
結局ミスティアは『好きなだけ八つ目を食べさせる』ことで難を逃れたのであった。
そのせいで今日の屋台は経営困難になってしまったが。
「まぁそう落ち込むなミスティア。今度屋台手伝ってやるから」
「割に合わないよ……」
「わはー」
半泣きの状態でミスティアが屋台を引きずり去っていった。
哀れ夜雀。
「さて、飯も食ったことだしこれからどうする?」
「巫女の所に遊びに行こー」
「今は深夜を回ったとこか。多分宴会でもやってるんだろうな」
「そうと決まったら突撃だー!」
「よし、行くか!」
○○とルーミアが地面を蹴る。
ぐんぐんと高度を上げ、森を抜けると居心地のいい闇夜が迎えてくれた。
遠くには小さな明かりが見える。目指す神社に向けて二人は手を繋ぎスピードを上げた。
おまけ
「やっと着いたな」
「れーむー」
「あ、○○にルーミア!!」
「どうした霊夢? そんな怖い顔して」
「あんた達がミスティアの八つ目食べたせいで私達が食べられなくなったじゃない!!!」
「ちょっ、いきなりスペカかよ!!」
「わたしは止めたんだよー。だけど○○が無理やりやらせたのだー」
「ルーミア貴様っ!?」
「覚悟しなさい○○!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!!」
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11スレ目>>494
今日は12月25日。楽しい楽しいクリスマス!
★その日○○くんがルーミアちゃんから貰ってたいそう嬉しかったものランキング(○○くんその晩の脳内調べ)★
第五位 世界の珍鳥図鑑
(概要):世界の珍しい鳥を一挙網羅!生態・主食・卵の模様・繁殖時期に至るまでムダに詳しく掲載だぞ!
珍しい鳥がいっぱい、という触れ込みだけど、あくまでマニア内の話なので一体何がそんなに珍しいのか一般の人には全然分からないぞ!
「すごいなこれ、こんなに詳しい図鑑は初めて見た。
解りやすいし、ホウロクシギの羽の配色の種類がこんなにたくさん・・・ああ、外の世界でやってた野鳥観察を思い出すなあ」
「これね、こないだ道端に落ちてたのをみすちーが拾ったんだよー」
「そっか、これも外から流れ着いてきたのか・・・って、ミスティアが?」
「鳥っておいしそーだなーって思ってみすちーの見てたら、これくれるって!
でも今日くりすますっていうなんかおめでたい行事みたいだから○○にあげるよ!」
「え?ルーミア、これお前が読みたかったんじゃないのか?こんな良いもの貰えるのはすごく嬉しいけど、お前が貰ったんなら」
「ううん、いいのいいの!○○のお家に置いててっ!
そしたらわたし、しょっちゅう読みにくるからー!いいよね?」
「・・・!」
★○○くんの嬉しかったポイント
そ、それってつまり、ルーミアがしょっちゅう俺の家遊びに来てくれるってことだろうか・・・!!
第四位 なんか人肉風味っぽい(あくまで風味)ハンバーグオムライス
(概要):とある青巫女さんに教わって作った外の食べ物。
日本の国旗も立ってます!
「○○、どう?これ、外の世界で食べてたものなんだよね?
・・・おいしくない?」
「すごく美味しい。・・・すごくおいしい」
「わはー二回も言わなくていいよ照れちゃうよー」
★○○くんの嬉しかったポイント
マジでどうしたらこの子と結婚できるだろう
第三位 クリスマスカラー(赤と緑)のキーホルダー&「○○が元気で毎日たのしくすごせますように!」と書いた絵馬
(概要):といってもあの小学生がじゃらじゃらランドセルにつけているようなものじゃなく純粋にキー(鍵を)ホルダー(使いやすいようにまとめる)だぞ!
クリスマスカラーがちょっとステキ!ズボンに引っ掛けることができるぞ!実はこーりんの所からかっさらってきたものだぞ!
絵馬の方は腋巫女(赤いほう)に偽札を渡したらすんなり書かせてくれたぞ!
「・・・、俺、女の子がなんで飾り物とかであんなにはしゃぐんだろうと不思議だったんだけどさ」
「うん?」
「きもち、わかった。・・・嬉しいな、プレゼントって・・・大事にするよ」
「あ、えと、そんなに言われたら照れちゃう、あ、あの○○の好みにあうか心配だったんだけど、使い道あるかなーとか」
「この絵馬もわざわざ書きに行ってくれたのか?すごいこと考えるよなルーミアって」
「霊夢がこれに一筆書いたらすごくご利益あるってべたぼめしてたからそれでね!
ほら絵馬だからはじっこに馬の絵かいたんだよ」
「そうか、そうか。馬の絵をかいたんだな」
「かいたんだよ!」
※黙ってルーミアちゃんの頭をなでなでする○○くん
★○○くんの嬉しかったポイント
バカな子ほど可愛いなぁ・・・可愛いよなぁ・・・
第二位 突然のサプライズ訪問
(概要):12月25日はクリスマスだとすっかり忘れて空を眺めながら「ルーミアのところ行って遊ぼうかな・・・」などと考えていた○○くん、
そんなとき家の扉が何者かによって突き破られる!
「・・・ルーミア?」
「○○めりーくりすますーーーーーーーーーー!!!」
「わっ、あ、えっ」
「○○っ、おはよー!今日、あのー、暇?あのね、用事がなかったら、その、わたしとめりーくりすますしてほしいんだけど・・・
あれ?お祝いのしかた、これでまちがってた、かな?」
「・・・・!!いっ、祝われたい、です・・・!」
むぎゅううううっ
「○○おめでとーおめでとー」
「ありがとう・・・」
「○○好き!」
「俺も、・・・ありがとうルーミア・・・」
※玄関だぞ、お前ら
★○○くんの嬉しかったポイント
あああああああああああうそマジで?うわあああああああ生まれてよかった俺えええええめりーくりすますうううううう
第一位 ルーミア
(概要):こっぱずかしいので割愛
「・・・ルーミア、あのさ、もしかして、この日のために何日も前から準備とかしてくれてた?」
「え!?だ、誰に聞いたの!?」
「あ、ほんとに、そうなのか?」
「そ、そーなのかー・・・・」
「そーなのかーで返すなよ」
「えへへ」
「まったく・・・」
「・・・えーと、外の世界ではこの日はくりすますっていうお祝いの日なんだってみんなから聞いて、それで○○と祝ったらたのしーのかなって、だから」
「で、やる気を出してみたわけか。プレゼント持ってきたりご飯作ってみたり」
「だって初めての○○のくりすますだよ?」
「俺はもう20回以上過ごしてるけどな」
「・・・わたしとするのは初めてでしょー」
「ああ、そうだな。・・・ごめん、俺プレゼントとか何も用意してなくて、ルーミアにあげられないんだけど、その」
「ううんいいんだよ、○○が喜んでくれればいいの!○○、うれしい?」
「ああ。こんなに嬉しいクリスマス、初めてだよ。俺、ほんとに嬉しい」
「え、えへへ、くりすますが?」
「ルーミアに会えて」
「・・・!!」
「照れた?」
「てっ てれ た・・・」
「俺も」
「ま ○○」
「ん、なんだ?」
「今日、わたし、おうち、帰らないから、いっぱい、ちゅう、して」
「・・・なっ」
★○○くんの嬉しかったポイント
わざわざ言わなくてもご理解いただけるかと思います。
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11スレ目>>731
○「ルーミア、あけましておめでとう!」
ル「わはー、あけましておめでとうー」
ルーミアを見かけたので、声をかけると、こちらも嬉しくなるくらい元気に返ってきた。
その後、色々と他愛も無い話の中で、実は話したかった事に入る。
○「実は、新年かくれんぼをやることになった」
ル「?」
○「でさ、他の子たち、結構めざといから、すぐに見つかっちゃうんだよな」
ル「そーなのかー」
○「だからさ、もし良かったら、良い隠れ場所とか隠れ方とか教えてくれない?」
ここでやっと意図が理解できたのだろう。
頼りにされている事が嬉しかったのか、ルーミアの笑みが満面の物に変わる。
ル「そういうことだったら、私の得意分野だよ! 任せて!」
○「おぉ、マジで? じゃあお願いします!」
ル「うんっ!」
そう言って、俺に腰に抱きつくようにピタリとくっついてくるルーミア。
――!?
いやちょい待て何事だ俺何かしたっけいやしてないしそもそもかくれんぼについてあばばばばばばば
○「ちょ、ルーミア、何を」
ル「じっとしてー」
どうやら彼女は大真面目なようだ。
ならば、あまりじたばたしているのも彼女に悪い。
ここは、ぐっと我慢する事にした。
ル「わはー」
○「…………」
ル「○○いい匂いがするー」
前言撤回。この子ふざけてる。
○「る、ルーミアっ!」
ル「ご、ごめん、ちゃ、ちゃんとやるー」
どうやら落ち着いてくれたようだ。
少しだけ、抱きしめられる力が強くなる。
ル「いくよー」
○「い、いいよ」
ル「せーの」
瞬間、目の前が暗闇に包まれた。
何か異世界にでも転移したのかと思ったが、彼女の能力を思い出して、それは違うと理解した。
ルーミアが暗闇を展開したらしい。
だから、外から見たらどんな感じか大体把握できる。
景色の中に、黒くて丸い球体が一つ。
○「ルーミア、ストップ!」
ル「?」
暗闇が晴れる。
ルーミアを見ると、依然抱きついたまま、期待に満ちた眼でこちらを見ている。
確かにルーミアらしい。これは彼女にしかできない事だ。
でも、明らかに怪しいから、ルーミアとかくれんぼやったら一発でばれてしまう。
○「いや、あのね、確かに凄いと思うよ」
ル「!」
○「でも、これだと逆にばれる気がするんだ」
ル「……そーなのかー」
ルーミアの表情が明らかに沈んでいく。
やばい、落ち込ませるつもりで言ったわけじゃないのに。
○「だけど、嬉しかったよ。ありがとう」
ル「……ごめんねー」
○「いや、いいよいいよ。そういう方法があるってだけでも嬉しかったから。最終手段として使わせてもらおうかな」
そう言いながら頭を撫でてあげると、ルーミアははにかんだような笑顔でこちらを見ている。
○「そういや、お礼がまだだったなぁ」
ル「?」
○「いや、教えてくれたしさ。やっぱり、礼をしておかないとさ」
ル「! じゃ、じゃあ!」
○「ん?」
ルーミアがぎゅっと抱きついている腕に力を込める。
ル「しばらく、このままでいたい」
○「……いいよ、でも」
ルーミアを一度引き離す。
それでルーミアが泣きそうになってしまったけど、腰をかがめて、こちらから抱きしめる。
○「こっちの方が、いいかな」
ル「……うんっ」
ルーミアの手が俺の背中に回される。
そして、ぎゅっと力が込められた。
お礼と言っておきながら、全くお礼じゃないな、と心の中で笑う。
ル「○○、いい匂いがするー」
○「……あ、ありがとう?」
ル「わはー」
ル「お腹すいたー」
○「それじゃ、そろそろ離れようか」
ル「ダメーこのままー」
○「あ、あはは……」
新年早々、命を危機を感じた。
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11スレ目>>163>>170
幻想入りするに当たって、ゆかりんが適当な能力を付けてくれるらしい。
色々案を出してみたが弾幕能力が出せそうだと駄目ならしく、
弾幕喰らっても死なない程度なら良いという事で、
「壊れない程度の能力」を手に入れた。
これでフラン様専属の執事として死なない様に仕えたり、
ゆうかりんとお花畑で殺し合い(一方的な)の末に愛情が芽生えたりと、
俺も多くの○○の様な生活が送れるのか・・・!
と思ったが、
それはゆかりんの巧妙な罠だった。
という訳でゆかりんのおかげで能力手に入れたぞー!
すごいぞー!かっこいいぞー!
「そーなのかー?」
て、うお、ルーミアだ。
まあ紅魔館に向かってるんだから遭遇するんだ、きっと。
「ところであなたは食べられる人類?」
「いや、食べられないよ。毒があるから」
「そーなのかー?」
「そーなんだー」
「なんで毒があるのー?」
う、痛い所をついてくる・・・
バカルテットなんて言う人もいるが流石に疑われるか。
「そ、そりゃあれだ。
人間の脳には病気があってそれを食べたら馬鹿になって死ぬんだよ?」
「そーなのかー?」
「そーなんだー」
かぷり。
ルーミアが俺の腕に食いついた。
あまりに急だったので痛みを感じるまで一瞬の間があったが、
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
「頭を・・・うむ・・食べなきゃ・・むぐ・・・大丈夫なのかー?」
ち、違っ・・・
「・・・お肉、なくならない?」
気付かれた!?
ゆかりんから能力のお陰で、
ルーミアに喰われた身体的な欠損は瞬く間に治癒してしまう。
…喰われた痛みだけを残して。
「・・・そーなのかー」
自己解決した様だ。
彼女は傷口に舌を突き立て、中をほじくりながら血を啜り始めた。
体を動かすのに問題な程に血液が不足すると即座に血液が体内に戻ってしまう。
「う・・・あぁ・・・うう・・・」
痛い。
体が痛みに慣れない。
痛みに慣れるのは精神が壊れる事とでも言いたいのか。
それから5分程腕を食べ続けたルーミアは、
酔った様な眼で俺を見上げた。
「大好き・・・だよぉ?」
「っ・・・!」
きっとそれは眼前の食料に対して言ったのだろう。
別にルーミアが特別好きだった訳では無かったが、
不覚にも心が揺らいでしまった。
そして辺りは暗闇に包まれていく。
何で腕の一本を捨てて逃げなかったのだろう。
どうせすぐ生えてくるのに。
「お、俺も・・・」
もう全て遅い。
彼女は闇を操る以外に、獲物を魅了する程度の能力を持っていたのだろうから。
「ルーミアの事、好きだから」
これから与えられる痛みが、愉しくて堪らない。
ついに月が隠れて漆黒の闇、
紅い口が三日月に歪んだ。
DEAD END
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12スレ目>>294 うpろだ806
宵闇の妖怪、ルーミア。
幻想郷では意外と少ない「人食い妖怪」である。
故に彼女は巫女の仕事の絶好の的。
見つかればとりあえず攻撃される為、他を巻き添えにしないようにと
留まる事なくふわふわと漂っている事が多かった。
その為、彼女には親しい友人があまりいない。
…よく弾幕勝負を仕掛けてくる⑨や、「非常食」の夜雀は別だが。
そんな彼女だが、最近、よく話す友人ができたという。
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え?あいつとの出会い?えーっと………あ、一ヶ月ぐらい前だったかしら。
私がいつものように森の中をふわふわしてたら、闇の中に一人、人間が掛かったのよ。
その時のあいつの対応、結構早かったわー。
その場からとっとと逃げ出した…は、いいんだけど…あいつの走った方向って、出口じゃなくて闇の中心部。つまり私のところだったんだよねー。
あいつったら必死にこっちへ走ってくるんだもん、もうその姿が可愛くて思わず笑っちゃったわー。
走って、走って、走って…ふと前を見ると、そこに自分を食べる妖怪がいた。
そんな時のあいつの表情ったら…もう、あんたにも見せてあげたかったわ。
慌てて方向を変え、そのまま走り去ろうとするあいつ。
けど私だって妖怪の端くれ。あいつが石に躓いたのをきっかけに一気に組み伏せたのよー。
そのままあいつを頭からかじってやろうって時、あいつが──
「…死ぬ前に、一言話させてくれないかな?」
その口調がやけに冷静だったもんだから、私も一瞬動きを止めちゃったわ。
「遺言でも残したいのー?」
捕食を止めてくれた事に、あいつは驚きと安堵が入り混じった顔を見せた。
…今だに私の口は貴方の頭をくわえているって言うのにねー。
「遺言残せるような相手がいればそれもいいか…って、そうじゃなくて、本当にただの話だよ」
「貴方、自分の立場わかってる?」
聞くだけ無駄だったと思ったわ。私は彼の頭に歯を立てようと──
「…俺が、別世界の人間だとしても?」
再び、私は動きを止めた。
「…貴方は──外の世界の人類なの?」
「人類っていうか…ま、俺もよく分かんないんだけどね。少なくとも俺のいた所は──天狗はいなかった。」
そう言って空を見上げたあいつの真上を、ちょうどあんたが飛んでったの。
結構重要な場面にいたのよ?あんた。
彼の頭から口を離し、とりあえず向かい合って座ったわ。
「お、食うの止めてくれたの?」
「…貴方の話に興味が出てきたわー。つまんなかったら食べちゃうわよ?」
「そりゃ怖い。…じゃ、まあ、何から話すかな──」
どんな事を聞いたって?…ふふ、秘密ー。
だって…彼はもう私の物。だったら、彼から聞いた話も私だけの物なのよ。
…あいつ?うん、今も生きてるわ。だって面白い話を聞かせてくれるんだもの。そう簡単に食べちゃもったいないでしょ?
弾幕も…スペルカードはさすがに持ってないけど、そこらへんの妖怪から身を守るくらいは覚えたしねー。
今はきっと、あの森のあそこらへんで昼寝でもしてるんじゃないかしら。
…終わり?そう。じゃーね、新聞屋さん。
……さて、○○に会いに行こうーっと。
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最終更新:2010年05月15日 01:30