ルーミア5
新ろだ37
―人物紹介(という名の前提条件設定)―
○○:人間。おっさん。多分主人公。
寺子屋で教師をしており、また自警団にも所属している正義感の強い人間。一応幹部。少々自分に酔う傾向にある。
ある日のパトロール中、襲ってきた
ルーミアを返り討ちにしたが、怪我を負わせてしまう。
正義感と罪悪感により、家へ連れ帰り一晩、手当てをするなど世話をするとルーミアに懐かれてしまう。現在、成り行き上ルーミアと寝食を共にする。
実はルーミアのことは好きだが世間の風当たりが厳しい昨今、自重している。ロリコンではない。
世間からはルーミアの親代わり、という見解。
ルーミア:妖怪。何の妖怪かは知らない。多分ヒロイン。
パトロール中の○○を喰おうと襲うも返り討ちに遭い、怪我の手当てまでしてもらい、○○の強さと優しさに惚れる。が、○○にその気はない、と想い、半ばその想いを諦めている。
その代わりと言ってはなんだが、強さと優しさを兼ね揃えたヒーローみたいな○○を目標に自警団に入りたいと思っている。
入りたい、と思っているけど慧音が「まだ子供だから」という理由で入団させてない。早く一人前になりたいとも思っている。
また、○○とであったその日から人を喰ってない。ヒーローはそんなことはしないものだ。
寺子屋にも通っている。授業はまじめに受けてないが。
慧音:半妖。ワーハクタク。
寺子屋の教師。自警団副団長。
蛇足だけど慧音が文系教科で○○が理系教科。
妹紅:人間。不死身。
健康マニアの焼き鳥屋さん。自警団団長。
蛇足だけど妹紅がタレ派で○○が塩派。
―CAUTION!!―
以下の単語に嫌悪感を抱く方はお引取り願います。
- カニバリズム(喰人行為)
- ○○死亡
- 二次設定
- 三次設定
大丈夫だった方は本編へ。
―本編―
side:Rumia
―――――
目が覚める。
今日は寺子屋が休みだから○○と一日中遊ぶつもりだったけど……外が騒がしい。
いつもと違って隣に○○は寝ていなかった。
なんかあったのかな……?
わたしは寝ぼけ眼をこすりながら家の外に出る。
見知った自警団の人たちがせわしく働き回っているのを見て、何か里に起きたのだと分かった。
その中で、みんなに指示を出している男が一人、――○○だ。
「お、ルーミア、起きたのか。おはよう。」
他の自警団の人たちみんなに指示を出し終わると○○は話しかけてきた。
「おはよう。なんかあったのかー?」
「昨日の夜な、山賊が村を荒らしに来たんだ。」
里や道中、人々はたびたび山賊に襲われる。
大抵は物品を盗られるだけなのだが、ひどいときは人的被害も出たりする。
実際、寺子屋の友達は襲われかけたことがある。(そのときはもこー団長さんが助けてくれたらしいけど。)
人里では妖怪は襲ってこない分、実は山賊のほうが脅威だったりする。皮肉なものだ。
「……里のみんなは大丈夫ー?」
その質問を聞いて、右目をつぶって右手で頭をぼりぼり掻く。
ばつが悪いときの○○の癖だ。多分、被害が結構ひどいものなんだろう。
「あー……重症が一人……お前の友達の□□くんだ……」
□□くんは、寺子屋のクラスメイト。結構親しいほうだと思う。
なんで……? と、怒り、悲しみといった感情がこみ上げてくる。
「いや、命に別状はない!安心していい。」
急いで付け加える○○。わたしが泣きそうだったからか。
それにしても、本当に良かった。
「それでな、今珍しくDead or Aliveで山賊の捕獲命令が出ててな、自警団は大忙しだ。」
自警団は基本悪人であろうと人や妖怪を殺すまではめったにしない。
だから、Dead or Aliveが出るのはよほどのことがあったときだ。
よほど団長はお怒りなのだろう。それもそうだ、山賊が悪い、自業自得だ、あの世で裁かれろ。
「おーい、○○!行くぞー!!」
「ああ!今行く!!」
自警団の人が呼んでる。
「すまんが、そう言うわけで今日は一緒に遊んでやれない、ホントすまん!!」
「ううん、いい。お仕事がんばって。」
「ああ、行って来ます!」
○○は忙しそうに駆けて行った。
まあ仕方がない。○○は幹部だもん。もう慣れっこ。
さて、とりあえず、まずは着替えとご飯にすることにした。
―――――
「よし、片づけまでおわり、っと」
片づけまで終わると、いよいよ暇になる。
「何しようかなー?」
○○が居ないと暇で暇でしょうがない。
それもそうだ、外の世界と違って娯楽に乏しいからね。
ましてやわたしの外見は幼女そのもの、その少ない娯楽も限られる。
「ああ、暇……
……○○、今頃山賊見つけたかな……?
……山賊?」
わたしはあることを思いついた。
「そうだ!山賊を見つけよう!」
これはなかなかのアイデアだと思う。
□□くんの仇討ちにもなるし、○○のお手伝いにもなるし。一石二鳥だ。
Dead or Ariveもでてるし、手加減もしなくていいし。……大してわたしが強いわけでもないけど。
それにあわよくばけーね先生も認めてくれるかもしれないしw
「そうと決まれば……」
思い立ったら吉日。なんといい言葉でしょう?
わたしも山賊を探すことにしたのだった。
side:○○
―――――
うー、山賊山賊。
今、山賊を探して全力捜索している俺は自警団に所属しているごく一般的な教師。
強いて違うところをあげるとすれば、妖怪と二人暮らしをしているってとこかナ……
名前は○○。
さて、くそみそネタをかましてみたはいいが山賊が見当たらない。
畜生、何所行きやがった……
……□□の仇を……か。団長ちょー怒ってたな……あ、今の駄洒落な。
―――――
「おい!?大丈夫なのか!?」
被害者が出た、と団長から連絡があり、駆けつけた俺は顔見知りの医者――八意永琳に話しかける。
「命に別状はないわ。傷口はしっかりふさいだし、もう心配はないわ。……出血が酷かったから今はぐったりしているけど。」
「ああ、よかった……」
大丈夫、その一言を聞き安堵する。
が、ベッドに横たわる包帯ぐるぐる巻きの□□、左肩から右わき腹にかけてついたその傷口は、一箇所とはいえ小さい、といえる大きさではない。
これほどの傷を治療した永琳の腕はすごいのだと再確認した。
「ん…○○先生……?」
「ん、起こしてしまったか。すまんな。大丈夫か?」
□□は、こくんとうなずいた。
ああ、良かった。
少々、声が大きかった、と反省する。
……事の経緯はこうだ。
家屋に侵入してきた山賊がその子のお母さんを襲おうとした。山賊は太刀を一振り、そのお母さんを守るために身を挺して□□は守った。山賊は少年を見て怯み、そして逃げ帰った。
その話をけーねから聞いて、俺は山賊に対し、言いようのない怒りを覚えた。いや、いつも怒りは感じているのだけど。
「ねえ、先生。」
「あ?なんだ?」
「僕……お母さんを……守ったよ……」
「良く守ったな、偉いぞ、傷に障る、ゆっくり寝な。」
へへ、と□□は笑うと、安心したかのように寝だした。
そして、更なる憎悪がこみ上げてきた。
どうしてこんな子供が。どうして罪のない人々が。どうして身勝手な奴らのせいで。
考えるとキリがない。
絶対に、許さない。今度こそは逃がさない。
俺は、そう思うのみだった。
―――――
翌朝のこと。まだ日も出てないうちに自警団は召集される。
俺たち団員が並ぶ先に立つは団長、藤原妹紅。その横に立つは副団長、上白沢慧音。
団長の表情は険しかった。
「勇敢なる同士諸君。」
その一言から、もこの演説が始まる。
「我らにとって、□□はかけがえのない里の一員だった。鎮魂の灯明は我々こそが灯すべきもの、亡き村民の魂で、われらの弾幕は復讐の女神となる!! ヤマザナドゥの裁きの下、ラストワードで、奴らの顎を喰いちぎれ!!」
※対訳。
「自警団の皆さん。昨晩の山賊の襲撃により、□□くんが大きな怪我を負いました。今日こそは許しておきません。今まで亡くなってきた村民の方々のためにも。Dead or Alive、生死は問いません、なんとしても、奴らを捕まえましょう!!」
※対訳終わり。
俺は元ネタを知ってるし、別に□□も死んではいない。だけどこりゃあ言える雰囲気じゃあない。みんなうなずき、同意してる。
しかし、姐さんの、いやいや違った。団長の怒りは、恐らくどんな鈍感な奴でも感じられるほどだった。なんつうか居心地悪いくらい。アレは怒り通り越して殺気に近かった。
あのあと、ブラクラについて話しかけようと思ったが、近づくだけで殺されそうな気がしたからやめといた。
ここだけの話、□□はもこのお気に入りだったからな……結構親しかったし。
――さて、俺も動かなきゃな、っと。
―――――
……ルーミアに家に居とけ、って言い忘れてたのが唯一の心配だな。
ルーミアは友達思いのとこあるから、□□の仇討ちじゃー!!って感じで山賊を探し出して……カニバリズム……
いやいや、流石にないかな。
にしても本当に居ないな……まあ、昨晩のことだし……と。
………居た。
いかにも、な山賊の格好をした奴が、ひい、ふう、みい、よ、いつ……五人。
目撃情報も五人。背中に食料や金品の入った袋を背負ってるのが見える。ビンゴだな、間違いないだろう。
「『見、奇』っと。送信。」
俺はまず団長に連絡。
しかし、この「携帯電話」って奴は便利だな。
……奴らは五人。一人で戦うには少々、きつい。だが俺に気づいては居ない。奇襲を仕掛ければ……
「お、おい、あれ!」
奴らの仲間のうちの一人がそう言った。
気づかれたか!?
「あいつ、俺らの仲間を喰ったやつじゃねえか?」
「ああ、そうだ!」
「おい、破魔矢いくつある? もってこい、しとめる。仇討ちだ。」
「一本しかないぞ? 一本でしとめな。」
なんだ、俺のことじゃないのか……よかった。
一瞬ひやりとした。
……まあ、妖怪をしとめてもいいが、次の瞬間、しとめられるのはお前らのほうだけどなw
そんなことを考えていると……最悪な言葉が聞こえてきた。
「あの、憎き闇の妖怪め……」
………え?
一瞬、俺の思考がストップする。
おい、「闇の妖怪」って誰だよ。
おい、その矢の向いてる先にいるのは誰だよ。
……紛れもない、ルーミアだった。
「へへ、喰らいな……」
山賊はルーミアに照準をあわせ、満を持した。
俺はというと、ルーミアの方へ駆けていた。
畜生、今日に限って、言い忘れてたせいで……!!
間に合え!!
その一心だった。
そして、矢が放たれたのだった。
「ちくしょおおおおおおおおおお!!るうううううううみあああああああああああああああああ!!!!!!」
side:Rumia
―――――
山賊を探す。さて、何所いるのかな……?
全くさっぱり皆目見当もつかない。
村の人に尋ねたら、五人組みだった、くらいしか情報が入ってこなかったしなあ……
とりあえず……森の道を行こうかな……
……それにしても……□□くん……
畜生、わたし、手加減しないぞ……
友達がやられて、誰が黙っているもんですか!!
ああ、むかむかする!
―――――
しばらく歩いた。
……結局見当たらないけどね。
日が結構高くなった。もうすぐ昼、ってとこだ。
山賊はもう見つからないかもしれない、襲ったのは未明らしいし。
もうちょっと先を歩いたら、帰ろうか、そんなことを思っていると、
「ちくしょおおおおおおおおおお!!るうううううううみあああああああああああああああああ!!!!!!」
不意に、叫び声に近い○○の声が聞こえた。
○○の声。
いつも聴いてる○○の声。
大好きな、○○の声。
普段、絶対に聞くことのない○○の叫びを聞いて、何事かと思って声のするほうを向いた刹那、○○が抱きついてきた。
そして、ものすごい速さで、岩陰に隠れる。
いきなりのことで最初は何が起きたのか分からなかったけど、○○の背に刺さった矢を見ると、それはわたしのことを庇ったのだということは容易に理解できた。
「……うそ……でしょ……?」
現実逃避気味に言ってみる。
が、それは紛れもない現実。
「○○? …○○!!? そうだ!!矢を抜かなきゃ……!!」
当たり所は悪かったみたいだ。
矢は胸元を貫通。○○の口から血が出ている。
「ルーミア…ゲホッ……無事……か……? 良かった……」
「しゃべらないで! 今……きゃっ!!」
今抜く、そう言って矢を抜こうとしたのだけど……
その矢は破魔矢。わたしでは抜くことができない。
「諦める……もんかあ……!!」
熱いのを我慢しても力が入らず、ただ、わたしの手のひらを焦がすだけだった。
「もういい……ルーミア……」
「でも!! でも!!」
わたしのせいで、わたしを庇ったせいで……
わたしが勝手な行動をとったせいで……
「はは、さっき、お前に何か恨みがあるのか、お前を殺そうとしているのが聞こえて…な……」
「そんな……わたしの……せいで……○○の手伝いをしようと思ったせいで………」
「はは、俺も悪いさ……お前にちゃんと家に居るようにいってなかったからな、保護者失格だ、これでおあいこ、ってことよ……いいな?」
わたしはこくりとうなずいた。
○○はよかった、と言いたげに笑っていた。
「いいか、奴らは一本しか破魔矢をもって居なかったみたいだ……そこで、だ。逃げろ、ルーミア。もうじきやつらが来るだろうが、必ず逃げ切れるはずだ……」
わたしは首を横に振った。
「○○を……おいていけないよ……」
「なんだ……逃げないのか? 我侭な子だ……」
そう言って、くしゃり、とわたしの頭を撫でる。
ああ、おっきな手だなあ……
「ルーミア……手伝いに……げほっ……着たのに…俺に助けられちゃあ……せわぁねえな……」
「○…○……」
○○の声はだんだん弱くなっていく……
そんな、嘘だと言ってよ。
その刹那、○○はぎゅっと強く、わたしを抱きしめて、そしてわたしの唇を奪った。
初めてのキスは、わたしの涙と、○○の血の味だった。
「…………なん…で……?」
「ははは、 がはっ、ごほっ……へへっ、ようやく、唇奪ってやったぞ……ッ 好きだ、ルーミア……」
なんで今このタイミングで言うの……?
「よし……ようやく……言えた……ゲホッ……言えたのに……なあ……?」
そんな、いやだよ。
「ははっ、 泣くなよう、ルーミア……お前、手伝いに来たんだろ……?逃げないなら、あいつらをやっつけろ……
そんで、俺を喰えよう…… 俺を喰って……一緒にやっつけようぜ……?」
ねえ、ねえ、○○、ねえ。
「いや、嫌だ……」
「愛してたぜ……るー…みあ……」
ふっと○○の力が抜け、わたしに体重を任せる形になる。
「わたしも……愛してたのに……!好きだったのに……!」
今まで何度と見てきた人間の死。
でもそれとはなにか違う死。
「う、う、うわぁああぁあああああああああああああぁぁぁぁあああああああ!!!」
わたしは、もう、なくしかなかった。
「あ~あ、やっぱりしとめてなかったか。」
わたしが咽び泣いていると、山賊が来た。
「まあ、いいさ。自警団のお邪魔虫も排除できたことだしな。災い転じて福となす、ってやつだ。」
お邪魔虫? 誰のこと?
……○○?
……□□くんを傷つけて、○○を殺して、それだけじゃなく○○を虫呼ばわり!!!
許せない!許せない!
「許せないよ、あいつら、ねえ、○○、イッショニ、ヤッツケヨウヨ。」
がぶり、
わたしは○○の左腕にかぶりついた。
「ひええ、こ、こいつ、お、恩人を喰ってやがるよお!!」
「うええ、気持ちわりい……」
ばりっ くちゃくちゃ
山賊が口々にわたしを罵ってくるけど気にしない。
ああ、おいしい。おいしいよ、○○。今まで喰った人間の中で一番おいしいよ。
「所詮、妖怪は妖怪だ。仕方がない。こんなちび、すぐにでも殺せるが好きにさせとけ。どうせすぐにその虫けらの横に……」
「いま、なんていった?」
ぐしゃり
わたしが左腕を食べ終わったころ、わたしがその質問をすると同時に、○○を虫けら呼ばわりした山賊は下半身を残して吹き飛んだ。
「虫けら? ○○を虫けらと言ったな? この人を! 虫けらと言ったな!!?」
とてつもない力が湧いてくる。
「許さない!許さない!許さない!!許さない!!!」
手には黒い大きな剣を持っていた。
背中には黒い大きな翼が生えてきた。
この力はなんだろう?この力はなんなんだろう?
「征こう、○○ 征こう!征こう!! 一緒にあいつらをやっつけよう!!!!」
「ひ、ひえええええ!!お、俺たちも喰う気だああ!!!!」
どしゃ
そう言った山賊は肉塊となった。
「お前らの肉など!! 一粒一片1μgも喰ってやるものかああああああああああああああああ!!!」
side:Moko
―――――
Go, if you come up against a hurdle ~♪
おっと、メール……
『from:○○ 件:non title 本文:見、奇』…「見つけた、奇襲を仕掛ける」、か。
畜生、わたしより早く見つけやがって。
わたしが山賊を見つけたら思いつく限りの方法で痛めつけてやろうと思ったのに……
にしても携帯電話って便利だな。
「けーね、○○が見つけたってさ。撤収だ。」
「ああ、分かった。支援しに行かなくていいのか?」
「んー、いいんじゃない? あいつは自警団の中でも指折りの……」
「ちくしょおおおおおおおおおお!!るうううううううみあああああああああああああああああ!!!!!!」
実力者だ、そう言おうとしたら、○○の叫びにかき消された。
「な!? い、今の……」
「○○の叫び声……だよな……?」
「何が起きたか分からんが……」
「前言撤回、ただ事じゃなさそうだ、行くぞ!けーね!!」
「ああ!」
いやな……予感がする……
私たちは声のした方へ向かった。
―――――
そこは酷い惨状だった。
岩に寄りかかったまま、動く気配と左腕のない○○。
森に居るはずなのに紅魔館に来たのではないかと錯覚を起こすくらい血に染まって赤くなった大地。
ところどころに飛び散ってる、それがなんだったか分からないくらいくちゃぐちゃな肉片。
そして、そこに立つ、見知らぬ翼と剣を持った、見知った顔の少女。
「ルーミア!!」
「……えぐっ、ぐすっ……けーね先生……もこー団長……」
咽び泣くルーミア。
「わた…し……○○の…仇とった……よ……」
そう言うと、ルーミアは力尽きたので、私と慧音は支えてあげる。
ルーミアが力尽きて翼も剣も消えた。どうやら、あの翼と剣はルーミアの能力依存だったらしい。
しかし……この力は……
side:Rumia
―――――
目が覚めると、わたしは自警団の詰め所に居た。
○○が死んだせいか、能力を使いすぎたせいか、ぼうっとしてやる気が起きない。
「おお、起きたか。」
けーね先生だ。
「どうだ?調子は。」
「ぼうっとするー。」
「そうか、しっかり休めよ。」
「お、起きたか、ルーミア。」
もこー団長も来た。
「お前、すごい力持ってるんだなw」
「…!! そうだ!○○は……!!?」
「私と慧音が埋めといた。後で、拝んどいてやりな。それより、だ。」
そう言って、もこーは一呼吸おく。
「お前の今の力は強大すぎる。強大すぎるがゆえに、お前の小さな体では耐え切れん。今でこそ、使い切ったからか無事なんだが……また回復したときお前は……どうなるか分かるな?風船みたいに、な?w」
冗談を交えたつもりなんだろうが、全然笑えない。怖いだろ!!
「まあ、そこで、お前に選択肢を与える。」
一つは、けーねの能力で「強大な能力を持った」と言う歴史を消し去ること。
もう一つは、わたし自身に札などで制御封印を施すことだった。
前者は能力は前の状態に戻るけど○○との記憶も失うかもしれない。
後者は○○の記憶は失わないけどふとした瞬間、封印が解けてしまうかもしれない、とのこと。
わたしは……後者を選ぶことにした。
○○との記憶は無くしたくない。せっかく両思いだったんだ。忘れたくない。
そう伝えると、もこは「そうか……w」と言ってちょっと笑ってた。
そして、能力の制御封印が行われた。方法は簡単。もこーにもらった赤いリボン、それが札代わりとなる。わたしは当然触れない。
しばらくして、わたしは村から出て行くことにした。
なぜか、って言うと、なんでかは分からない。
でも、○○がそうしろって言った気がするから。
わたしは今森で暮らしている。
友達だってできたよ、
チルノやミスティ、リグル、だいちゃん。みんないい人(?)だよ。
ねえ、○○、最愛の人よ。そっちは、どうですか?
元気にしてますか?わたしは元気だよ?
―――――
おしまい。
―以下、あとがき(という名の言い訳)―
お疲れ様でした。いかがでしたか? 楽しんでもらえたら良しとしよう。
シリアスが書きたいのかギャグが書きたいのか、優柔不断すぎたので変な文章になりました。すまん。
まあ、そこは愛嬌、ってことで。
HELLSING読んでたら電波受信して、ついついこんなもん書いちゃいました。ベルドナットたいちょおお!!
ルーミアの二次設定、EXルーミアになるエピソード的なものをば妄想。
よくよく読んでみると矛盾点とかいろいろ出てきますが、そこらへんは二百由旬へぶっ飛ばした。
ぶっちゃけイチャ分が少ないんじゃないか、そこらへんどうよ?兄弟たちよ。
まあ、そういうわけで、パ・アラムノシ
受験がんばりつつ今度はまともなの書く様努力するよ(´・ω・`)
―おまけ(という名の大蛇足)―
side:Moko
―――――
「「わたしは○○との記憶は無くしたくない。せっかく両思いだったんだ。忘れたくない。」だってよ、はは、かわいいねww」
焼き鳥を肴に酒を飲みながら、私は茶化すように言った。
「え? どうよ? ロリコン○○w」
○○に対して。
「うるせえな、いいだろ、別に……ってロリじゃねえ!!」
「まあまあ、そう怒るな、ってw
にしても………、まさか、お前が仙人だったとはね……」
「隠すつもりは、なかったンだけどなw」
―――――
ルーミアが倒れたすぐ後のことだった。
「もこー…これ…破魔矢抜いたほうがいいのかな?」
「ああ、頼む。」
「いや、私半妖だから……」
「ああ、すまんなっと。」
矢を抜いた、瞬間だった。
「ぐわああああああ!いてえええええ!!ひだりうでええええええええええ!!!」
○○が起きた。
慧音も私も、目を丸くして驚く。
○○の説明によるとこうだ。
破魔矢、って言うのは魔力なり妖力なり幻想の力を熱エネルギーに換えて発散させるものなんだが……
当然、破魔矢の刺さった○○は仙術で肉体を維持できなくなる。
そこで仮死状態にし、生き延びたのだ。
また、仮死になる間際に「喰え」と言ったのは人間たちと暮らし、人間を食べなくなったことによりルーミアが妖怪としての力を保てなくなりそうだったから、自らの肉を喰わせ、力を持たせた、との事。
持たせすぎたと反省はしているようだ。
―――――
「いやあ、左腕だけですんでよかったw」
「ほんと……全部喰われたらどうするつもりだったんだ?」
「考えてなかったw」
まあ、結果オーライだと。前から思ってたが、変なやつ……あ、これが仙人たるゆえんか。
「さて、そろそろ修行に戻るかな。ここじゃ、欲を出しすぎた。」
「……やっぱりいくのか。片腕で大丈夫なのか?」
「こんくらいハンデだよ、ハンデ。仙術使えば生やせないこともないしなw」
「……ルーミアはどうするんだ?折角両想いだったのに……」
「……欲を出しすぎたんだよ、ここじゃ。それじゃあ天人にはなれないからな……もし、天人になったら、下界へ来てルーミアを暮らしたいと思うんだ。あ、これも欲か。」
「……そうか、じゃあな、がんばれよw」
「ああ、また会う日までw」
―――――
――数百年後……里で「片腕の天人」と「人間好きの闇妖怪」のカップルが暮らし始めるのは、また別のお話。
―――――
今度こそおしまい。
───────────────────────────────────────────────────────────
うpろだ1220
暑い。
クソ暑い。
…はっ!暑さのあまり下品な言葉を使ってしまった。
訂正。汚物暑い。
「…暑い」
ああ、暑い言うたら余計暑くなると言う法則に則り「暑い」は頭の中にしておいたのに、思わず声に出てしまう。
「朝から何回目よ、そのセリフ」
すかさず後ろでうだってる巫女から暑そうな声が聞こえてくる。
「暑いモンは暑い」
「新聞によればこの暑さで湖近くの氷精が溶けたそうよ。…これ、誰の起こした異変だと思う?」
「黒幕がいるならとっくにのしてるよ。…暑いが、日本の夏はこんなもんだ」
蚊・あせも・腐り物といった敵と戦いつつ、秋という名の援軍を待つ。それが日本の夏である。
「…でも、アレがいれば少しは涼しくなるかもね」
あれ?
「アレよ。最近アンタに懐いてる──」
霊夢が言い終えた途端、目を閉じてもいないのに俺の視界が真っ黒になった。
世の中電気を消して夜になれば暗くなるのが道理だがこれはそういうものではない、本当に光が何もないのだ。
目の前に人差し指を突き出したが、それすらも見えなかった。
このパターンはもう五~六回になるため、流石に慣れた。ルーミアだ。
「○○ー。遊びに来たよー」
気配を必死に感じ取ろうとするが、その前に背後の暗闇からふわっと抱きつかれた。
必然的にルーミアの意外とあるモノが二つ、背中に当たる事になる。
こっ恥ずかしいので撤去。小柄な体をひょいと持ち上げ、俺の隣の縁側と思われる所にのっける。
「…………」
俺の行動に続きがあると思ったか、数秒じっとしていた。
続きがないとわかると、再び今度は横からタックルをかましてきた。
意外と強い力で押されたので、俺は無抵抗に縁側に押し倒される。
数秒見つめ合って(闇で相手の目も見えなかったが)それから俺の耳にルーミアの唇の感触が───
スココーン
小気味いい音と共に、俺の頭に札が刺さる。
音が二発で札一枚という事は、もう一枚はルーミアに当たったのだろう。
「もー、なにすんのさー」
ダメージのせいで闇が弱まり「薄暗い」状態になる。
すると心なしか、いや心ありか怖さ3割増の霊夢が札構えて立っているのが見えた。
「人間を襲う妖怪は巫女に退治されるものなの」
俺にも当たったけど。
「あら、手が滑ったわ」
嘘だ、絶対嘘だ。
ルーミアはそれを聞くと、どこぞの性悪ウサギのような悪戯っ子のような顔をして、
「…ふうん、なんか私情が入ってる気がするけどー?」
と、俺の胡座の中に割り込んだ。
…なんか、霊夢の怖さオーラがすごく増大した気がするけど。
「……今すぐそこどかないと退治(シメ)るわよ?」
「やれるものならー」
「…いい度胸ね」
怖い霊夢は目を閉じ、経のようなものを唱え始めた。…これは夢想封印だ。
いやるーみあなんもしてないしたいじしたらやみつかえなくてあついままだ
しここでつかったらじんじゃめちゃくちゃになるしてかこのきょりだと──
おれもくらうんですけど。
状況把握。
目の前に怖霊夢。夢想封印まで二秒弱。
胡座の俺と、中にルーミア。
目の前に森、逃げるのならあそこ。そして気温は暑く、闇は涼しい。
…気が付いたら、ルーミアの手を引っ張って森の中をものすごい勢いで走ってました。
そしてかつてない威力の夢想封印が神社に炸裂した後。
神社、神社はそう、ものすごい事になっていました。
夢想封印で縁側付近はめちゃくちゃ、そこに仁王立ちする巫女がまたすさまじい殺気を放っており、
その殺気といったらもう、ちょっとカリスマのない人なら即座に土下座で許しを乞う事でしょう。
「…………そう…○○……そんなに…あの妖怪がいいの…
……○○の…○○のバカーーーーーーっ!!もう帰ってくるなーーーーっ!!」
クルナー…
ルナー…
ナー…
「…ん?」
「どーしたのー?」
「いや、なんか「ルナー!」って声が聞こえたような気がして…」
「ふーん…ねえ○○、この後どうするの?」
「え?いや、どうするって…ほとぼりが冷めたあと、普通に帰るだけだけど?」
「……それ、無理だと思うよ」
「そうなのか?」
「そーなのよー。」
「……何故?」
「さあねー♪…それより鰻食べに行こうよ。そろそろお昼だし、お腹すいちゃった」
「あ…ああ、そうだな」
それから鰻屋台で飲んだくれていた巫女とまた一波乱あるのだが、それは別の話である。
───────────────────────────────────────────────────────────
うpろだ1453
ある日僕は夜遅く家への帰り道を急いでいた。
夜中は妖怪の活動時間のためいつ襲われてもおかしくない。
多少危険でも近道の湖を通ることにした。
途中、月明かりが眩しい中、僕は湖の中心で踊る人影を見た。
金色の長い髪が光を反射し、水面の満月の上で目を瞑り踊る女性はとても幻想的で僕は心を奪われた。
「こんばんわ。いい月夜ね」
急に目の前で鈴を転がしたような声がして我に返ると、柔らかく微笑むあの姫君がそこにいた。
宝石のような紅眼に見つめられ、頭の芯からつま先まで痺れてしまった。
「こんな夜更けに出歩いていると妖怪に食べられても仕方がないわよ?」
「あ、いや、その、ちょっと用事があって……帰りが遅くなってしまって」
そう、こんな夜中に起きているのは妖怪くらい。ならば彼女もアヤカシの類なのだろう。
それでも僕は目の前の姫君から目を離せなかった。
「そう。それじゃちょっと話し相手になってくれない?」
ちょこんと座りこんでしまった彼女の横に僕も腰を下ろす。
そして何の変哲もない世間話を始めた。
僕の話にころころと表情を変えてくれて、それが嬉しくて時間が経つのも忘れていた。
「そろそろ帰った方がいいわ。これ以上長居すると流石に危険よ」
姫君は立ちあがると後ろを振り返りまるで月の移し身と思わざるをえない笑顔を浮かべた。
「またいつか縁があったら会えるわ。それまで生きていてね。貴方は私だけが食べていい人類なのだから」
どこか聞き覚えのある言葉を残して、瞬きをした瞬間彼女は消えていた。
後には虫の音しかしなかった……
それからしばらく僕は何も手に付かなかった。
妖気にあてられたのだろうと皆が心配してくれたのだがそれが理由じゃないことは僕自身が分かっていた。
「○○ーおはよーなのだー」
久しぶりに聞く元気な声。
宵闇の妖怪、ルーミアだ。
以前けがをしているところを助けてから仲良くなりよくうちに遊びに来てくれる。
でも最近は何か用事でもあったのか姿を見かけなかった。
「どーしたの? ○○元気ないよ?」
ルーミアには話してもいいかなという気持ちになり、月夜の晩、月の水面で遊ぶ姫君のことを話した。
未だに鮮明に思い出せる。長い絹糸のような髪、幾年を重ねた紅玉のような瞳、闇よりも暗い漆黒のドレス……
どうやらかなり真剣に話しこんでしまったようだ。
ルーミアを見ると彼女らしくないすごく真剣な顔で僕に問いかけてきた。
「……○○はその人のことが好きなのかー?」
僕の答えは決まっていた――
「……うん、一目ぼれなんだと思う。会えるならまた月の晩、湖で」
じっと、時が過ぎるのも忘れ彼女を見つめていたい――
「……そーなのかー」
ふとルーミアに悲しげな表情が浮かんだ気がするが、すぐにいつもの笑顔に戻ると
「また、会えるといいね」
可愛らしい笑顔を見せてくれた。
何故かルーミアの笑顔が彼女の笑顔の面影があることに僕は気が付いた――
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うpろだ1463
ガサガサッガサガサッ
うーん、すっかり迷ってしまったようだな。
月があっちだから、こっちが来た方向だと思ったんだが…
ガサガサッガサガサッ
「あー、だめだな、これ以上は動かない方が良さそうだ」
口に出して見て初めてくる現実感。
幸いリュックに食料はたんまりある。まあ、1週間くらいは持つだろう。
そうと決まれば、キャンプする場所を探さないと、だな。
ガサガサッガサガサッ
「ここが開けてて丁度よさそうだ」
開けた場所の中央に荷物を降ろし、ふと空を見上げる。
「ここの月は、なんだかでっかく見えるな」
親父のカメラが押入れから出てきた事を機に、田舎の山登って写真を撮ろうと、息巻いてきた結果がこれだよ!
「――ま、景色は綺麗だから、目的は達成できたかな」
とりあえず、この幻想的な月を写真に収めようと、ファインダーを覗く
(……あれ、誰かいる?)
金色の髪、黒い服、赤いリボン、小柄な体型。このあたりの村の子かな? それはともかく……
(これは絵になる!)
気づかれないように、抜き足差し足忍び足で近づく……
(おお、我ながら芸術的な配置!)
ベストポジションに着き、月と女の子の美しさに感動した。
……だが、それがいけなかった。
「ヒュゥ♪」
「……え?」
思わず口笛を吹いてしまっていた。
気がついた女の子が振り返る。
だが、シャッターはすでに押し始めていて……
カシャ!!
「わきゃ!」
「――うきゅ~………」
「うわ、ごめん! 大丈夫かい?」
どうやらフラッシュの光に驚いて気を失ってしまったらしい、あれか、ポ○○ンフラッシュ現象か!?
このままって訳にはいかないよな…
とりあえず、あっちに寝かせておこう。
「…うわ、軽」
抱きかかえると予想しているよりも軽かった。ちゃんと食べてるんだろうか…
「――も~、食べれないのだ~……」
食べているようだ。
「…ん~む~……ん……お……おー?」
まぶたをこすりつつ、ぼーっとこっちを見上げてくる。
「気がついたかい? さっきは驚かせてしまってごめんね」
「…おじさん、だれ?」
「がーん! お、おじさんは酷いな…まだ一応20代なんだけどな…
ま、まあいいか、僕は○○! フリーのカメラマンさ!」
……ちょっと言ってみたかっただけなんだが、
ものすごい死亡フラグが立った気がするのは気のせいか? 気のせいだろう。
「いやまあその、本当はただのかんこう…」
「ふーん、で、○○は食べれる人間?」
流された…ってなにか聞き捨てなら無い単語が…? 聞き違いか?
「へ? 何、お腹すいたの?」
「うん、おじさん、おいしそうだし」
こ、これはあれか、よくある廃村とかで何らかの呪いのせいで村人同士で食べあうとか、
それとも、なんらかの国家機密的な実験で、カニバリズムを標準化させてるとか、そんなんか!?
「いやいや、俺なんて食べてもおいしくないぞ」
「えー、そーかなぁ?」
じーーーっ、と俺の身体を見つめてくる。なんとか逸らさないと…。
「それに今日は歩きづめだったから、乳酸が溜まっててすっぱいぞ、たぶん」
「あー、すっぱいのはいやぁ~」
うーっ、と眉をしかめてすっぱそうにしてる、すっぱいの苦手なのか。
「でしょ、ほら、このカップ麺作ってあげるから」
「かっぷめん? なにそれ、おいしい?」
身を乗り出して顔を近づけてくる。
「おいしいぞー、こういう山とかで食べると、またこれがうまいんだ」
「おおー、食べたい食べたい!」
ふう、なんとか逸らせたな。食料の消費は痛いが。
がさごそとリュックからカップ麺を取り出すと、
「それがかっぷめん?」
不思議そうにカップ麺を見つめてる。食べたこと無いのかな、やっぱり。
「うん、ちょっと待っててね、すぐ出来るから」
ミニコンロと小さいやかんを取り出し…
「いただきまーす♪」
「……え?」
ごりっ
「……硬いよー…まずいよー…」
いや、そんな泣きながら訴えられても…
「待て待て、中にお湯を入れて、やわらかくしてから食べるもんなんだ」
「………そーなのかー?」
小首を傾げて聞いてくる。あ、かわいい。
「本当だって、ちょっとおとなしく待ってるんだぞ」
「はーい」
片手を上まで上げて、大きな返事。落ち着きはないけど、結構素直な子だな。
「よし、お湯を入れたから、あと3分待ってね」
「あと3分!」
――――30秒後――――
「ねー、まだー?」
「まだまだ」
――――1分後――――
「もう3分経ったよね!?」
「いや、ぜんぜん」
――――1分半後――――
「今度こそ3分経ったよね!!?」
「…いいから、少し落ち着くんだ」
カップ麺を目の前に立ったり座ったりで危ない。ので、手を取り、
「…ほえ?」
ぐいっと引き寄せ、膝の上に座らせる。
「ほら、この針が1週したら3分だよ」
「おー…」
じーっと時計の針を見てる。わくわく、って音が聞こえてきそうだな。
――――3分経過――――
「できたのかー!?」
きらきらした瞳でこちらを見上げてくる。
「うん、これで完成。はい、箸はここに…」
「いただきま~す♪」
がぶっ
「あちちちちちちちち!」
「…やれやれ」
「はい、あ~ん」
「あ~ん♪…むぐむぐ…おいしいのだー♪」
箸は渡したのだが、麺がつかめず断念。
結果、俺の膝の上で食べさせることに。
「けふぅ、満腹なーのだー♪」
実にご満悦のようだ、だらーっと体重をかけて寄りかかってくる。
俺はといえば、この子の満足そうな笑顔を見ながら、のびきったカッ○ヌー○ルカリーを食べているところだ。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったな」
「ルーミア」
やっぱり日本人じゃないのか、えらい流暢な日本語だけど。
「かわいい名前だな」
「そーかな?」
「そーですよ」
「…えへへ」
はにかんだ笑顔は、とてもかわいかった。
腹も満たされ、ぼーっとでっかい月を二人で眺めていた。
なんとはなしに、ルーミアの頭を撫でていたが、気持ちよさそうにしてたのでいいだろう。
相変わらず膝の上から離れようとしないが、こっちも温かいのでよしとした。
「ルーミアはこの辺に住んでるのか?」
「うん」
「でも、そろそろ帰らないとパパもママも心配するぞ?」
「パパ? ママ? そんなのいないよ~?」
はっ、ひょっとしてこの子は外界から隔離された施設に引き取られたとか
小さいころに捨てられ、このあたりの村に拾われた子だったとか…!?
「…ごめん、ルーミア、気が回らなくて」
謝罪と共に、また頭を撫でてやった。
「?…ふあぁ~あ」
ルーミアはよくわからなそうに首をかしげた後、大きなあくびをした。
「…ねぇ、○○… パパって、なーに?」
けだるそうな声で尋ねてくる。眠くなってきたのかな?
「んー? そうだなぁ。遊んでくれて… 守ってくれて… いろいろなことを教えてくれて…
一緒にいて安心できる… そんな人のことかな」
話してる間にも、ルーミアの目がとろんとしてきた。
「…そーなの…かー……」
程なく、静かな寝息が聞こえてきた。
「…やれやれ、おやすみ、ルーミア」
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最終更新:2010年05月15日 01:39