チルノ4
うpろだ237
ここは紅魔館付近の大ガマが住むという湖。静寂そのものの湖は時折吹く風に揺られる小高い草以外動くものはない。
そんな俺は岸部に座りながら物思いに耽っていた。この世界に来てからはや3ヶ月か……、長いようで短いな……。
思い起こせば実家の倉を掃除してて何か土管があって
「デュンデュンデュン」なんていいながらイタリアの配管工の真似して土管に潜ったらここにいたんだよなぁ。
しかも同じことやっても帰れねぇし。ま、配管工の冒険じゃ当たり前だけどな。
その事を後に森近さんに言ったら「それは多分マジックアイテムの一種だったんじゃないかな?」と一言……。
クキィーーッ、チクショーッ!
そうそう、それからが大変だったな。とりあえず狭い土管を根城にして暮らしていこうとしたらいきなり訳分かんない奴らに襲われて……
(後々に妖怪と知る)逃げ惑ってたらアイツが助けてくれたんだっけ、
そのあと「これはアタイが見つけたんだからアタイのもんだ!」とか言って……。すごく頼もしかったし嬉しかった。
外見10くらいの少女(後に氷精と知る)に守って貰うという情けなさは除いて。
思えばその時が原因なんだろうな。でもそのあと凍らせようとしてくるのには驚いた、ハッキリ言って軽い裏切りだ。
まぁ、彼女の知恵の足りなさを利用して何とかその場を切り抜けたわけだがその後もアイツが気になってここに住んでる。
そのうち湖の真ん中にある赤い屋敷から人が飛んできて連行されたり……。その結果雇って貰ったり湖のほとりに小屋を建てたり……。
正直紅魔館の方々には最初見たときは殺されるかと思った。メイド服着てる人型が空飛んでくる時点で狂気の沙汰だ、
少なくとも元の世界の価値観からすれば。
で、拉致された後紅魔館で働かないかとメイド長の咲夜さんに勧誘され、二つ返事で了承した。
何でも湖付近に人が住んでると知って面白そうだから連れてきてみたらしい。
尚且つメイドで雇ってる妖精は数こそ多いが効率的とは言えない。
だから風変わりな貴方を呼んだのよと楽しそうに言った咲夜さんは美人だったな。
正直湖の周りでお金を貰ってもしょうがないので全部食べ物にしてくれと申し出たのだが
里に行って買い物をするかもしれないでしょうと咲夜さんにたしなめられてお金3の食べ物7で給金が決まり、
俺は週4で通うことにしたっけ。今にして思えばお金、結構必要でしたw
「住み込めば色々便利でしょうに」
と心配してくれる咲夜さんには
「湖に気になる事がありますから」
と気遣いを感謝しながら丁寧にお断りした。
「ふふっ、あの子がそんなに気になるのかしら?」
とからかわれたので慌てて否定したが咲夜さんにはバレバレだったんだろうなぁ、多分。
そんな事を思ってるとやっとアイツが飛んで来た。かれこれ一時間待ちか?
「○○~ッ!何でアンタこんなに早くいるんだよ~ッ!?」
とその氷精チルノは自分が遅刻したことに気付かずに?マークを頭の上にいくつか並べていた。
うん、大丈夫。?マークが10個未満だな、まだ爆発しない。あんまり理解不能だと爆発するか認知しないからな……。
冗談混じりにチルノの頭をワシワシと撫でてやる。基本子供扱いしたりすると怒るのだがこの時だけは目を瞑って
気持ちよさそうに頭を預けてくる。正直ここまで来るのは大変だったがその辺の話をすると長くなるので
キング・クリムゾンで吹っ飛ばし、結果だけを語ろう。そうしてひとしきり頭を撫でてやった後チルノに向かい宣言する。
「よし、そんな訳で今日も特訓だッ!」
「え~ッ!?もっと頭撫でろよ~ッ!そんなことより遊ぼーよぉ~」
とチルノが駄々をコネる。正直そうしていたいのは山々だが時間は有限なのでそうもいかない。
「チルノが最初言ったんだろッ!特訓して霊夢にどうしても勝ちたいって俺に言ったのは他ならぬチルノだろ?」
「大丈夫ッ!アタイ最強だから」
と無い胸をふんぞり返ってドンと叩く。頼りない、この上なく頼りない。
大体そう言ってそれを信じた結果ボロ負けした上に霊夢に説教喰らって本堂の雑巾掛けを正しい雑巾掛けスタイルで
やらされる羽目になっただろ……。しかも保護者同伴って事で俺までやらされる事になった。
そんな事の後では霊夢に伊達や酔狂で弾幕ごっこを仕掛けるのは無謀と共にお仕置きが待っている。
そんな事を反芻したら泣けてきたので改めてチルノに向き直り決意を新たにする
「チルノ、霊夢に勝ちたいかッ!?」
「うんッ!」
短く意志がハッキリしている返事を聞き俺は満足した。この子は頭の働きが良くないがいい子だ、きっとやってくれるに違いない。
「チルノ、人の『成長』は未熟な過去に打ち勝つことだ、…解るか?」
「う、うん…なんとなく」
チルノは暫く困ったような顔をしながら何故か指で計算をし始めていた……。
ま、そこがかわいいところでもあるが今は確実にネックになっている。
「つまり、チルノはこの間霊夢に負けちゃったろ?でも特訓を頑張ったチルノなら勝てる。そう言うことだよ」
「なーんだ、そんなこと解ってるよぉ」
ケラケラと目の前で笑う氷精に目眩を覚えたがカッコ良く決めたかった俺の見栄っ張りに原因があると思われ反省する。
「つまりだ、今から俺の言うことをやってみてくれ」
「うんッ!わかった」
ホントに返事だけは一等賞をあげたい素直さだ。
「で、何をやるのさ」
とチルノが聞いてくるので俺はチルノに出来るだけ優しく説明してあげた。
「これは俺の考えなんだが弾幕ごっこのルールの弱点を突いたチルノの新技ってところだな」
チルノが頬を綻ばせながら勿体ぶる俺を急かしてくる。
「まぁ、慌てるな。まずは分かりやすいように湖の水面付近に行くか」
とチルノと一緒に湖の水面上にくる。ちなみに俺は飛ぶ技術を習ったがあんまり速く飛べないので気を操れる美鈴さんに
「パウッ!」とやって貰ったところ目論見通り波紋が練れるようになった。そういうわけで今は水上に立っている。
「じゃあ、早速やってみてくれ」
「アタイの集中力をばかにすんなよ~ッ!えいッ!」
俺がチルノに指示したのは空気中の水分を絶対零度まで下げて空気中の水分を凍らせる防御技だ。
当たればアウトという弾幕ごっこのまさに盲点。水上に着たのは実際チルノの冷気が
そこまで達するかどうか一番の判断基準になるかと思ったからだ。
すると予想通りチルノを中心に湖が急速に凍りだす。
そこで俺はあらかじめ用意していたリンゴをチルノに投げると同時に防御の構えを取った。
「俺の理論が正しければリンゴでも跳ね返るはずだからな」
しかし悲しいかなリンゴは一度軌道が逸れただけで湖に落ちた。
チルノは喜びながら俺に抱きついてくる。
「すごーいッ!これアタイがやったのッ!?○○って天才だな、そしてこれでアタイは最強だなッ!」
しかし俺としては氷の練度が低いという事実が残った。
まずは空気中の水分を凍らせる所までいったのは上々だった、初っ端から出来るとは思ってなかったし。
しかしリンゴは何回も跳ね返らず落ちた、即ち周囲を制止空間に出来るほどの凍気ではなかった。
こうなったら特訓在るのみである。元々一回で成功するなんて思ってなかった。
そしてチルノの頭を撫でながら俺は今一度鬼になろうと思う。
「チルノ……、これじゃ駄目なんだ。これじゃリンゴは防げても弾幕は厳しい。」
「え?○○何言ってるの?アタイよくわからないんだけど」
キョトンとしてるチルノに言う。崖っぷちに追い込むと同時に覚悟を決めてもらう。
「今から俺と一週間ぶっ通しで修行しよう、勿論俺も修行する。やることは違うけど一緒かそれ以上の苦しみは負うから……」
「え~ッ!なんでさ~ッ!アタイの新技で霊夢をギタギタに出来るのにィイイッ!」
とチルノは顔を真っ赤にさせ思いっ切り癇癪を起こし出す。
いつもなら俺が譲歩したり
大妖精さんがチルノをたしなめてくれたりしてくれたが今日はそういうわけにはいかない。
俺は今からする事を心の中から悔いる、それと同様に心からチルノの成長を希求する……
バシィッ!
「え……?なんで?」
「いいかッ!俺が怒ってるのはお前の『心の弱さ』だ、わかるか?え?」
「……ぶった、○○が、○○がアタイのことぶった……。うっ、ううッ、あふっ、えぐっ……」
チルノは突然の事に頭が付いて来れなかったようだが、頬に残る痛みに気づき次第に
顔をぐしゃぐしゃにして嗚咽と共に涙を目に浮かべ始めた。
無理もない、自分は完璧なのに難癖をつけられ信頼を寄せた人間に叩かれる。
俺は見ていられなくなりチルノを抱き寄せおでこをコツンとくっつけ目を見て優しく諭す。
正直チルノが抱き寄せた直後にビクッと体を震わせ弱々しく俺の瞳を上目遣いで見た時かなり心が痛んだが。
「チルノチルノチルノチルノよぉ~~ッ!俺はお前のことを信頼してるんだぜ?俺がさっきお前を怒った事なら『自信をもて』
お前の能力はその気になりゃー誰にも負けない能力なんだ。『成長』しろ、チルノッ!さもなきゃ俺たちに『栄光』はねぇッ!」
チルノは焦点の定まらないまま呆然と聞いていたがやがてスクっと立ち上がった。
またその目はすわっておりまさしく覚悟を持った乙女の目になっていた。
「○○の言葉が『頭』じゃわからないけど『心』でわかったッ!○○はアタイを想ってぶったんだッ!」
俺は多分無意識のうちに泣いていたのだろう。頬を伝う涙がチルノとの絆が深まった事を教えてくれた
「よしッ!なら今から紅魔館に強化合宿だ。
こんなこともあろうかすでにパチュリーさんに冷気がなんたるかなどの実戦稽古をお願いしてあるッ!」
「うんッ!わかった、アタイ○○の期待に応えてみせるからッ!」
こうして湖の真ん中に浮かぶ紅魔館へと俺達は向かったのだった。
(ここからは台詞だけのダイジェストでお楽しみ下さい)
「……そうよ、チルノ。貴女の冷気(コスモ)を極限まで高めれば私の木符『グリーンストーム』も破れるハズ……」
「アイシクルフォールッ!easyッ!!」
「あ……」
……
………
「この三ヶ月の荒行、よく耐えられましたね。これより『周天の法門』という修行に入りますが・・・。
もう一度言います、このまま修行をしますと貴方のその運命からは抜け出れなくなりますよ?」
「詳しく読んでください美鈴さん、俺の生命の波長を……」
……
………
「もとよりラストワードは……教わるものじゃないの、体で覚えるものよ」
「さぁ、私のサイレントセレナを貴女の技で破ってみなさい。覚悟はできている?私はできてるわ」
……
………
そしてそれから一週間後の博麗神社……
そこにはボロボロながらも凛と立つチルノと○○の姿が!
「霊夢~ッ!アタイがアンタをぶっ倒してやるから出てこ~いッ!」
「悪いな霊夢、リベンジさせて貰うぜッ!」
そこでビッと決めたつもりなのだが霊夢が出て来ないのでチルノが名乗りを上げて続けていると
(霊夢にとってはきっとギャンギャン騒いでるだけだろうが)
霊夢が神社の縁側からドスドス地響きを響かせながらイライラ気味の霊夢が向かって来た。
「あぁ~ッ、もうッ!アンタら黙って聞いてれば何時までもうだうだうるさいッ!」
どうやら怒らせてしまったみたいだがリベンジすると聞いたら更に怒るだろうな、きっと……
「ヘイ、霊夢ッ!アタイはアンタに決闘をつけに来たわ」
と霊夢にビッと人差し指を突きつけるチルノ
「て、アンタ負けたじゃない」
霊夢の鋭いツッコミ。うわぁ……、それ言ったらおしまいだよ。チルノオワタ\(^0^)/
しかしチルノも負けていない。
「ハンッ!アンタなんざ印度鮪といっしょに冷凍してやるよ」
「言うじゃない……。アンタを何回負かしたか覚えてないけどもうそんな気が怒らないようにしてあげるわ……、保護者共々ねッ!」
「俺もッスかッ!?」
「その弾幕ごっこ、合意と見なして良いのかしら?」
いつの間にか紫さんがそばに立っていた。ニヤニヤしながら隙間から上半身出してるのをみると今来たっぽい。順応性高ぇ
チルノと霊夢が頷く、紫さんが合図を出す
「それではぁーーー弾幕ファイトッ!レディーーーッ!ゴォーーーッ!!」
わかった、わかったからアンタはもう帰ってくれ。キッとチルノを見る。
「チルノッ!勝つんだッ!俺達に引き分けはないッ!」
「勝つわッ!アタイはこの為に全てを賭けてるんだからッ!だから○○はアタイを見守っててッ!」
「随分余裕じゃない?なら最初から鼻っ柱へし折らせて貰おうかしら?」
霊夢は無数の霊符と共に弾幕を放ってきた。それに対してチルノは氷柱ミサイルで撃ち落とす。
「アンタ……、チルノでしょ?信じらんない位に力つけたわね……」
霊夢としてはチルノを軽くいなすくらいの弾幕だったのだろう。少しばかり動揺が見られる。
「違うね、アタイは超チルノだ!!」
と調子に乗るチルノ
「やるわね、あの氷精……」
紫さんも少し驚いたようにフウッと息を吐く。その緊迫した空気を先に打ち破ったのはチルノだった。
「今度はアタイのスペルカードを喰らえッ!半径34尺パーフェクトフリーズッ!」
恐らくチルノのラストワードの副産物だろう。確かに戦闘の素人が見てもコレは凄いッ、霊夢の360度を氷塊が乱れ飛ぶ。
どうでもいいけどチルノが尺貫法わかってて使っているかどうだか気になる範囲だ
「かっ、勝ったかッ!?」
俺は思わず手に汗を握りチルノの方に目をやる。
「いいえ、まだ終わらなそうよ」
と紫さんが間髪入れずに言う。依然として霊夢は紙一重で避けていた。服やスカートに少し掠れど被弾はしていない
否ッ!直撃コースは全て陰陽弾で弾き出していた。俺は思わず息を飲んだ、流石は博麗の巫女……。
しかも弾き出した氷塊は別の氷塊を弾き同時に防御に繋がる。
――○○とチルノが博麗神社に来てから約300秒程しか経っていなかった。
しかしこの勝負はそれから半分の時間もかからずにつくだろう、「運命」だけはどんな能力でもとめられないのだから……――
「まさかアンタにここまで手こずるなんてね、少しだけショックよ」
と不敵な笑みを浮かべる霊夢は少し怖かった。
「だからチルノ、アンタさ……、寝ちまいなッ!」
と同時に霊夢がスペカを取り出し間髪入れずに印を切る。
「夢符ッ!夢想封印・瞬ッ!!」
その次の瞬間俺が感じたのは絶望でもなく、諦めでもなかった。そして心から叫ぶ、今こそ俺に魅せてくれと……ッ!
「チルノォォオオッ!」
チルノにドガドガと無数の陰陽弾が当たる音がして見えなくなった。
「全く、氷精如きが主人公の私に勝とうなんて10年早いわね」
と言うなり霊夢は縁側に歩いて戻り始めていた。もう勝負はついたのだ、確かに霊夢がここにいる必要はない。勝っているのなら……
「全く甘いわね」
「あら紫、アンタもそう思う?」
「ええ、霊夢。貴女がね……」
「何ィッ!?……グエッ!?」(ドグシャァッ!)
……
………
吐き気を催しながら見てみると私のどてっ腹に氷塊が直撃していた。くッ、まだそんな体力があったってわけ?くそッ、完全に油断した。
しかしグワングワン揺れる頭と視界で見た世界に広がるのはチルノに放った無数の陰陽球だった……。
自惚れてた、チルノなんかに負けるわけがないって……。
フン、今日だけはアンタの氷でやられるのがアンタの能力に対する礼儀ってヤツね……。
「ヤッダアアバァァァッ!!」
と霊夢は断末魔と共にきりもみ回転しながら賽銭箱に突っ込んだ。それと同時に賽銭箱が木っ端微塵になり大量の埃がもうもうと上がる。
「これがアタイのラストワード、ジェントリーウィープス(静かにすすり泣く)ッ!」
ドォオ ̄ ̄ ̄Z__ンッ!!
博麗霊夢 楽園の素敵な巫女さん
能力名 空を飛ぶ程度の能力
―再起不能― ←TO BE CONTINUED...
そうッ!俺は知っているッ!これは実弾である限り(魔理沙のレーザーとかは無理そうだな)空気中の氷の盾が身を守り跳ね返す必殺技ッ!
完成したはしたが俺も一度も見てはいなかった。
「勝ったッ!第三部完ッ!」
と俺はノリで言ってしまった。いや、何かここまで来たら言わないといけない気がして
「あなたが来た意味はあったの○○?」
「貴女に言われたくないですよ、ブローノ・ユカリティー」
「あら、わたくしジッパーよりスゴいですわよ?」
「やっぱわかるんだ」
「外の世界(ネカフェ)で全巻読破してその勢いでSBR、死刑執行、偏屈列伝、アゴまで全部集めたわ。
藍にちょっぴり怒られちゃったわ、手屁っ☆」
あぁ……、この隙間妖怪絶対金払ってないな、手屁じゃあねえよ。それにしてもこの妖怪外の世界にハマり過ぎである
「○○~ッ!やったよ、やったよッ!遂に霊夢をコテンパンにしたよぉ!」
とチルノは喜びの余りで俺に抱きついてきた。つい俺も反射的にチルノを抱きしめてしまったが照れくさい事この上ない。
「あ、あぁ…、よくやったな。チルノ……」
とぎこちないであろうが返事を返す。チルノが結構静かなので見てみるといつもの通りに頭をスッと差し出しウズウズしている
上目遣いで。
コレはつまりあれか、抱いて頭を撫でてくれって事か……。おいおい、俺はお前の事が好きなんだぜ、コンチクショウッ!
俺はそういう事で照れ隠しやイライラムラムラ湧き上がる衝動を押し殺すように遠慮なくチルノの頭をクシャクシャと荒く撫でてやった。
チルノは気持ち良さそうに俺に体ごと頭を預けてくる、それと一緒にいい匂いがした。
何故か紫さんも俺の横にチョコンと座り頭を差し出しチラチラと上目遣いで見ていたが俺は完全に見ないフリをした。
「あのね、○○……」
「何だ?」
「アタイ、○○が頭撫でてくれるのすっごい好きなんだ」
「なんだいきなり藪から棒に」
チルノが俺に寄っ掛かりながら続ける。
「○○の手って温かいんだよ、いつもアタイを見守ってくれてるみたいでおっきくて」
「なんだなんだ?照れるじゃないか、誉めても何も出ないぞ」
俺は照れ笑いしながら一層強く頭を撫でてやる。なんか紫さんがこっちに飽きたらしく
霊夢のサルベージをしてるのを微笑ましく思いながらレミリアお嬢様が直に見てたらなんて反応するか気になった。
「だから最初○○に叩かれた時すっごく悲しかった、アタイの心に『絶望』が植え付けられた。○○はアタイが嫌いなんだ、
もう頭も撫でてくれないんだ、『安心』がなくなるんだって」
「……」
「○○ってアタイに優しかったしそれまではアタイをどんなに怒っても叩かなかった。だからそう思ったんだ、でも違ったんだよね。
○○の顔、アタイを思いっ切り怒ってると思ってた。でも泣いてた、しかも○○の方が辛そうに……」
「俺は……、お前が大切だからな」
ごめん、二割くらい兄貴のマネがしたかったってのもあったハズ
「だからアタイも泣くのをやめた。『成長』して○○と一緒に『栄光』が欲しかったから、○○を悲しませたくなかったから」
「霊夢を倒すのを○○と一緒にやったらきっと繋がると思った、きっと心が通い逢うんだって……」
そしてチルノはしばらく間を空けた。ただ静かに吹くそよ風だけが俺達の間を吹き抜けていった。
沈黙っていうのもなかなかどうして悪くないもんだ、特に大切な人と一緒なら……
「○○、アタイの事好き?愛してる?」
はい、氷精さんいきなり時をブッ飛ばしてきました。
「あぁ…、愛してる。お前の事はいつだって大切に思ってた」
俺はチルノをぐっと抱き寄せて軽いキスをした。
ズキュ ̄ ̄Z__ンッ!
俺もいきなりキング・クリムゾン。過程を飛ばし結果だけ残すッ!
「やっ、やったッ!流石○○ッ!私達に出来ないことを平然とやってのけるッ!」
ちょwwwそこwww隙間といつの間にか再起可能になってる巫女www
「チルノ、これからもずっと一緒だな♪」
「……うんッ!」
とチルノがお返しとばかりにキスをしてくる。拙く軽いキスだけど今の俺達にはそれくらいがちょうどいい。
……
………
「やるわねぇ……私も好きになっちゃいそう」
「やめときなさいよ、紫。アンタ只でさえロクな事しないんだから。さてと……」
「あら、霊夢どうしたの?」
「ん?あぁ…、オペラは歌で終わるけどこのロマンスは私による賽銭箱の敵討ちで終わらす事になってるのよ」
「OH MY GOD……」
……
………
「さてお二人さん、ラブラブなのは結構だけどよくも私とよりによって大切な賽銭箱を破壊してくれたわね」
霊夢の異様なまでに膨らんだオーラ力が俺とチルノを包み込みガクブル状態だった。やっぱ、本気出してなかったんだ……。
俺はもとよりチルノに関しても戦意喪失してるのは見て取れる。ダメもとで命乞いと洒落込むか
「れ、霊夢さん、許して……」
「許すかどうか私の目を見て判断してみなさいよ」
NO!NO!NO!
「な、なにさッ!ひと思いに針でやりなさいよッ!」
NO!NO!NO!
「ん?それとも…座布団なのか……?」
NO!NO!NO!
「「も、もしかして両方ですか~ッ!?」」
NO!NO!NO!
「「ラストワードですか~ッ!?」」
YES!YES!YES!
「「ギニャーーッ!」」
――こうしてチルノと○○はめでたく結ばれたけどダシにされた霊夢によって二人仲良く永遠亭にかつぎ込まれてしまいました。
でもくじけちゃだめだよ○○、チルノ、人生そういうものだからね――
○○ 吃驚功夫使い 能力名 波紋を練る程度の能力
チルノ 湖上の氷精 能力名 冷気を操る程度の能力
―共に再起不能―
後に永遠亭の治療で復帰
TO BE CONTINUED...⇒
○○の奇妙な恋愛 戦闘超⑨
―完―
最終更新:2010年06月01日 23:01