小悪魔6



5スレ目>>775


「あ~ぁ。司書の仕事も楽じゃねぇなぁ……パチュリーもどこにいるものやら」
片方の手に紅茶セットの入ったバスケットを持ち、だだっぴろい図書館の中をパチュリーを探す。
紅茶持ってきてやったのにそんなときに限っていつもの場所にいないとは猫度アップだな。
   しかし果たしてパチュリーは猫だろうか?
      猫耳だけではきついな。眼鏡を足せば……うむ! 合格だ!
         じゃあ小悪魔に猫耳は……いや、悪魔羽と猫耳は共存しないなやはりそのままの君でいて
などと自分でもよく分からない妄想を垂れ流したまま広大な図書館を彷徨い歩く。

今日も平和だ。
主に俺の頭が。




やっと見つけたパチュリーは、図書館の端にある小さな部屋にいた。
部屋と言ってもたいした大きさではなく、ちょっとした調理が出来る台所と言った感じの部屋である。
薬か何かを作っているらしく、かまどに火が焚かれている。
そのおかげで薄寒く暗い図書館もこの部屋だけ紅明るく、ほのかに暖かい。
火にくべられてくつくつと煮える中華鍋の中からは、おそらく薬草か何かだろう、不思議な匂いが漂う。
……って、中華鍋? 中華鍋って、主に炒め物に使う道具じゃなかったろうか。
そもそも製薬中の魔女と言って中華鍋に向かう魔女を思い描く者はおるまい。
肉体言語魔法少女並に何か間違ってる。


「なに」
こちらの気配に気づいていたのだろう、背中越しに声をかけられる。
「魔女と中華鍋というミスマッチ具合が実にパチュリーらしいな」
ひとまず思ったことを口にするとぴたりと手が止まり、
いつもよりわずかに目を大きくして、しかしいつも通りめんどくさそうに振り返った。
「あら。あなただったの」
誰だと思ったのやら。
「てっきり小悪魔だと思ったわ。今気づいたけど、あなた達、色がよく似てるのね」
色? なんだそりゃ。

「五味はね、五行に繋がっているの。
 五味を統べるとも言える中華鍋は、七曜の魔女である私に最も似合っている調理道具だと思わない?」
「思わない」
あ、むくれた。即答しすぎたか。
いつも以上に不満憤懣たるやといったジト目で見られるが気にしない。
「悪いが俺は製薬理論を聴きに来たんじゃなく、紅茶を持ってきただけなんだ。ほれ、飲もうぜ」
テーブルにポットと三つカップを並べて紅茶を注ぎ、勝手に自分のを飲み始める。
パチュリーは仏頂面で頬を膨らませたまま、鍋に蓋をしてぺたぺたと近寄ってきた。


「カップ、一つ多いんだけど」
「ん。んん、あー。小悪魔も誘ったんでな。後で来るとさ」
「ふーん、そう」
ごくなにげない調子でパチュリーは続けた。

「あなた、あの子のこと好きよね」

「んぐっっ! げふっ、げほっ、えほっ………えへんえへん。ん゛ん゛っ、ん゛っ。
 フッ……何を言い出すかと思えば」
「紅茶噴いた顔でかっこつけ直しても遅いわよ、ほら、良いからちょっと耳貸しなさい」
顔を近づけあってぼそぼそと声をひそめる。
「(なぜ気が付いたッ!? 他人の色恋沙汰に気づけないほどは鈍感だと思っていたのにッッ)」
「(五月蝿いわね。咲夜から聞いたの。
 紅魔館のメイド長は世界一ィィィィィィィィィ! 知らん事などナァァァァァァァァイ! だそうよ)」
「(市はr……あー……うん、ごめん。謎の敗北感と共にすごい納得した)」
「(って、そんなことはどうでもいいわ。あなた、今のままで良いの? さっさとくっついちゃいなさいよ?)」
「(簡単に言ってくれるのな……そりゃ俺だって是非そうしたいが)」
「(私が近いうちにセッティングしてあげるから、そこで……! というのはどう?)」
「(マテマテマテ、そもそもなんでそんなに積極的なんだよ)」
「(楽しいから。)」
うむ。新しいおもちゃを目にした子供のような、実に期待に満ちた楽しそうな表情だ。腹立つほど。

「はぁ。それにしても意外だな。本にしか興味がないと思ってたのに」
「そうだったんだけどね。私も色々変わってきたのよ。主に人間の所為で」
妖怪は人間に比べて寿命が長く、それゆえ変わりにくい。
しかし、人間――魔理沙だとか、咲夜さんだとか、俺だとか――と接するようになったことで、変わってきた。
そういうことらしい。
確かに『楽しいから』なんて俺や魔理沙が言いそうなセリフである。光栄な話だ。

「あなたのことは……性格はかなり変だけど、買っているわ。
 あなたも、同じくらい本を愛してくれている。
 そして本と同じくらいお互いに好意を持っている。
 だから。あなたは二人で幸せになる義務があるわ」
そう言ってぬるくなりはじめた紅茶を啜る。

「……そこまで思われてたとは、心強い話だ。
 ご期待に添えるよう、努力する。やってみるぜ」
全く。
全く、実に心強い話だ。



さらにしばらくして、やっと小悪魔は来た。
「すみません、遅くなりました~、って、あれ? なんだか焦げ臭くないですか」
「「あ」」
パチュリーの製薬成功率がまた下がった。

BadEnd 01、火にかけた鍋からは離れないようにしよう!






予定外の精製失敗のおかげで、パチュリーは早くも“セッティング”をその日の午後にもってきた。
俺と小悪魔に薬草の収集を命じ、魔法の森の近くにある花畑に向かわせたのだ。

ぽかぽかと陽気が漂う昼下がり。
それは、まぁ、確かに一日中カビ臭い薄暗い図書館にいては一生得られそうにない絶好のシチュエーションだった。

ああ、それにしても今日はいい天気だなぁ……やっぱ小悪魔綺麗だよなぁ……
何もかもが美しい、天使のような小悪魔。
瑪瑙のように煌めく瞳、柔らかそうにふくらんだ唇、
落ち着きと知性を漂わせる表情、ぱたぱたと動く羽。
しかし何と言っても少しウェーブのかかった、ふわっふわの紅く煌めく長い髪が素晴らしい。

こんな日に、踊るように花を摘む小悪魔に見とれないヤツなんているわけがないね。
そして事実俺は自分が摘むべき草も忘れて小悪魔に魅入られていた。


直前にパチュリーにつつかれていた所為も、場所のおかげもあったかもしれない。
けれどそんな綺麗な横顔を見ていると、俺の気持ちはごく自然に口をついて出ていた。
日々寝る前に顔から鳳翼天翔するくらいキザなセリフを練習していたのが嘘のようだった。

「小悪魔」
「はい?」
「好きだ。愛してる」
「はい。ありがt……ぇ? はれ? ほぁぇぇっ??」
元から大きめな瞳がさらに大きく見開かれ、頭と背中の羽も尻尾もピン!と直立し、
両手を口元に当てて驚いたままの表情で固まってしまった。
そしておずおずと両手を胸元あたりに降ろすと、うつむきかげんで視線を彷徨わせ始めた。
「あれ? ぇっと、本気…です、か? あ、ごめんなさい変なこと聞いちゃって。失礼ですよね」
「突然だったことは謝る、ごめん。でも、もちろん本気で言ってる」
ぱたぱた、ぶんぶんぶん
「そっかー、そですか……」
「うん」
ぱたぱたぱたぱた、ぶんぶんぶんぶんぶんぶん
「うーんと、えーっと、ぅーん……?」


音がするほどのあの尻尾と羽の振り様、顔の赤らみようなどから言って、小悪魔は喜んでくれていた。
誰より小悪魔を愛している俺が言うんだ間違いない。
しかし、同時に怒っているようにも見えたし、悲しんでいるようにも見えた。
しばらくそんな難しい顔をしたあと小悪魔が絞り出した答えは。

「あの……ごめんなさい、返事は……しばらく待ってもらってもよろしいですか?」






「おかえり、って……えーと……」
俺の渋い表情を見て良い結果でなかったことは悟ったのか、パチュリーが開きかけた口を噤む。
「まだわかんないけど…保留だってさ。どうかな、ダメなのかな」
パチュリーは眉間にしわを寄せて、何か言おうと口を開いては何も出てこずに口をへの字に曲げることを何度か繰り返した後、一言だけ、ありえないわ、と呟いた。
どうにも合点のいかない小悪魔の対応を訝しみながら、その日は足早に自分の部屋へと引き籠もった。


3日経った。
何も変わらなかった。


1週間経った。
何も変わらなかった。



10日経った。
何も変わらなかった。そう、何も変わらなかった。
毎日顔を合わせているが、何事もなかったかの様に接してくる小悪魔に覚えた感情は、苛立ちだったか、哀しさだったか、それとも感謝だったろうか。




そんなある日のこと。
いつものように図書の整理をしていた俺は、ぼーっとしていてうっかり、
「痛っ!」
「どうしたの?」
「本の金具で指切ったみたいだ。おーいてぇ」
血ぃ出てきたー、とぼやきながら切れた人差し指をパチュリーに見せる。
するとパチュリーは、

「あら、大丈夫? 痛くない?」
「ああ、ま、これくらないなら舐めてりゃ治るかな」
「ええっ!?
 あ、ああ、貴方が舐めるのね」
「おいおい、なんだと思ったんだ」
「な、なんでもないっ! なんでもないのっ!」
ツンと怒ったように顔を赤くして言うと、読んでいた本に顔を隠すかのように、ばっとうずめた。

と、
「あら何でもないんですか? 残念ですぅ」
「うおっ、小悪魔!? どっから現れた?」

いきなり背後から声をかけられびっくりする。この辺はさすがに紅魔館にいるだけあって神出鬼没だ。
後ろから肩口を覗きこむように抱きつかれ、ケガした指を両手で包み込んでくれる。
こんなに距離が近づいたのは実は初めてかもしれない。
というかなんかふっくらと当たってる。当てられてるのか!
……いやいやその前に。何がしたいんだ小悪魔。泣くぞ俺。
「ふふっ、パチュリー様がやらないのでしたら私が代わりにやっちゃいますよ?」
……小悪魔?
「別に良いわよ」
「あら残ね……」
けらけらとまんま小悪魔の様な笑いを上げかけて――あれ? とそのままの表情で固まった。

「あの。今なんておっしゃいました?」
「ダメって聞こえたかしら? 好きにしたら?」
「…………あれあれ?
 いいんですかパチュリー様? そんなこと言って。
 もらっちゃいますよ、○○さん」
「良いわよ。それで満足したら早く仕事に帰ってちょうだい」
「…………」
「MPが足りなかったかしら」
「いえ、あの。えと、ホントに良いんですか? 何があったか知りませんが些細なことで喧嘩しちゃダメですよ?
 後になってから『やっぱり○○のこと好きだったの』とか言ってももう譲りませんよ?」
「……?」
「あなた、何言ってるの?」
パチュリーが俺と顔を見合わせて不思議そうに首をかしげる。

「いや、だから…あれ? あの、パチュリー様。好きだったんじゃないんですか? ○○さん」
そんなことは初耳も良いところなんだが……そして謎はほぼ解けた。
パチュリーはパチュリーで、ふふぅん、と小馬鹿にしたような呆れ顔を浮かべて小悪魔を見やる。
「あなた何十年私の下で働いてるの? 私が本の知識以上に心惹かれるものなんかあると思って?」
いや、ありがたいことに本の知識以上には俺達のことは気にしてくれていたような気もするが。


「ほぇ……あ……れ……あの日だったか…パチュリー様告白してたじゃないですか……。
 そう、私、厨房のそばで聞いてたんですよ?」
「?? 何のこと?」
「そんなこと悪魔に誓って無かったわ」
「ありましたよ! だから私は告白してもらって嬉しかったけど、
それ以上に○○さんが二股かけるような人だと思ってすごく残念だったんですよ!」

パチュリーと二人で難しい顔をして記憶の糸をたぐり寄せる。……ん~?
「あっ。ねぇ、○○。そう言えば小部屋に二人でいたとき……」
「あー。ああ、なんだっけ。たしかに告白した時のセリフとも聞こえる会話だったような」


あ、小悪魔が真っ白になって、みょん侍のように半分魂が抜け出てる。
耳を澄ますとエクトプラズムと共に こ あ ぁ ぁ ぁ ぁ、とかいう苦悶の音をはき出している。


呆然とする小悪魔を尻目に、事件解決ね、後は任せたわ、と言ってパチュリーはすぅっと図書館から出て行こうとする。
その背中に向けて、慌てて小悪魔が我を取り戻して声をかける。
「ちょ、あの! ホントにホントに良いんですね!?
 私の勘違いだったことは50歩くらい譲って認めますけど、
 もっと後になってから『ホントは○○のこと好きだったの』とか言ってももう譲りませんよ!」
「それさっきも言ったわよ。好きになさい」
と、扉を開けたところでパチュリーが肩越しに振り返って口を開く。
「小悪魔。細かいことは言わないわ。今ここに、たった一つだけ私と契約しなさい。
 ――幸せになること。」
「え、あ、は、はい。はいっ!
 絶対幸せになります! ありがとうございます!」
それを聞いて満足そうに笑みを浮かべたパチュリーは、今度こそ扉の外へと姿を消した。



ばっ、と弾かれた様に俺に向き直る。
胸の前で手を組んで、眼を潤ませて
「○○さん……ごめんなさい、勝手に勘違いして、怒って、返事もせずにすみませんでした。
 今からでも許してもらえるなら、言います。好きです……。私も、好きです! 貴方を愛してます!」

その言葉を、その気持ちを。幾星霜待ち続けていただろうか。
「小悪魔っ…!」
ぎゅっと、抱きしめる。
もう離さない。ずっと、側にいてくれ。そう耳元で囁くと、胸の中でしっかり、はい、と返事をしてくれた。
「私、私……ごめんなさい……」
そう言ってすすり泣く。

涙は似合わない、そう言おうと思って頬の涙を掬った指をふっとさらわれ。
気が付くと俺の指は――好きな人の口の中に吸い込まれていた。
「んっ……ちゅ……れろ…」
「こっっっっこここここここあっくま?」
わたわたと焦る俺の指がぬるりと解放され、つぅと糸を引く。
「血が出ていました、舐めていれば治りますよね」
えへへ、と目尻を赤くしたまま悪戯っぽく笑って、再び指をちゅっと吸い込む。
吸われている部分からぞくぞくとした快感が伝播してくる。
「う、ぁ……」
くすぐったさと恥ずかしさに思わず、手首を握っていた小悪魔の手を取り、同じようにその人差し指に吸い付く。
「ふ、ぁ……ぅん……」
少し驚いて指を一瞬口から離した小悪魔だったが、すぐにとろけるような表情に戻り、指を舐め合う。
ほっそりと白く長い小悪魔の指は、少しだけ本の黴くさい匂いがしたが、ほんのりと甘かった。
口の中で時たまぴくぴくと蠢くものから温もりを受け取り、温もりを与える。
とろとろと熔けそうになる指先からは甘い波が伝わり続け、じんじんと意識までも融かしてゆく。

いつしか、どちらが誘ったか。
お互いの手と手が少しずつ近づいてゆき、自然、ふっと微かに唇が触れ合って――すぐに離れる。

「え、えへへへへへへへへへへへへへへへ」
顔を真っ赤に染め上げてはにかむ俺の恋人。
でも、自分も同じくらい顔が紅く火照って頬がゆるんでいるのを感じる。
お互い恥ずかしくって、二人照れあって、一緒に何か言わなきゃ、と思ってわたわたして。
そして、二人とも同じくらい間抜けなことをしていることに気付いて、ぷっ、と同時に吹き出す。

「「あはははははははははっっ」」

二人でいられる。二人で想っている。二人で感じ合っている。
そんな些細なこと、されどそんな奇跡が幸せで、笑いが止まらない。

ひとしきり笑いあって落ち着いたころ、小悪魔に惚れてからこのかた、長い間夢だった願いを口にする。
「ねぇ。小悪魔。笑ってほしい。ずっとずっと、こうして俺の隣で笑っていてほしい。
 俺のためだけに笑っていてほしい。
 君の太陽の様な笑顔が、大好きなんだ」
「はい……はい!
 ずっと、ずっと貴方の傍にいさせて下さい。そうすれば、私は貴方のおかげでずっと笑顔でいられます」
夕立のあとに輝く太陽のように晴れやかな笑顔で応えてくれる。
俺だけに向けられている、向日葵のような笑顔。
もう二度とその笑顔を離さないよう、ぎゅっと強く抱きしめる。

――ああ、俺は、小悪魔を好きになって、心底良かった。







「あぁ、もったいない。行動に多少問題はあったけど優秀だった司書を、一気に二人も解雇しちゃったわ」
「あいつら勝手に住み着いただけで、元から雇ってないし解雇してもいないじゃん?
 それに、大丈夫よ。
 すぐ三人に増えるわ。ああ、もっと増えるかもね。きっと賑やかになるわ」
「――そう。レミィが言うのならきっとそうなのね」

咲夜が来て、レミィは変わった。
霊夢が来て、レミィはまた変わった
魔理沙が来て、妹様は変わった。私も変わった。
○○が来て、あの子は変わった。
人間が来るたび、新しい風が吹き込み、紅魔館は変わっていく。

今度来る人間は、きっと悪魔と人間のハーフ。多分。
そして、また新しい風が生まれ、何かが変わっていくのだろう。


この世に生を受けて、はや1世紀が経つパチュリー。
こんなにもめまぐるしく変わってゆく世界は初めての経験だった。
人間という種族からは、どんな本から得る知識も敵わない量の生きた知識を得ることが出来る。
そのことに気付かせてくれた人間達に感謝しつつ、パチュリーは、
その知識を得られることを思って、早くも期待に胸を躍らせるのだった。


7スレ目913


 本棚を見上げる。天井は薄暗くて見えない程、遠い。

 壁が本で造られていると言える程、本棚が列を成している。上を見れば崖と思わせ、左
右を見れば迷宮と惑わせ、下を見れば整理されていない海。全ての角度から見ようと、全
てが本。活字嫌いが幽閉されようものなら、数時間で精神障害を起こすのではないかと危
惧さえしてしまう。
 と、感慨深く思った所で……要するに片付いてないだけ。
「えっとこの本は……うげ。これ南西端側の棚じゃないか。なんでここまで持ってくる必
要があるんだ」
 図書館内といっても、今自分がいる位置から該当する本棚へはかなりの距離がある。そ
のぐらいこの"仕事場"は広大すぎる。歩いて何分かかるだろうか。
 付近に放置されていた書籍類の本棚は見事にバラバラで、東奔西走南船北馬と口に言え
ば軽いが、距離を換算したら気が滅入る結果になる。
 しかし、雇われてしっかり図書館の主から貰う物貰ってる以上、やらざるを得ない。主
人曰く、ぎぶあんどてーくの精神らしい。
 とはいっても、支給元は紅魔館当主からなのだが。
「さて、どこから突っ込んでいくかな」
 回収した本の基本位置情報を一つ一つ脳内の図書館見取り図と照らし合わせ、ルートを
弾き出す。だが、結局行って帰っての応酬で時間短縮は見込めそうにない。
「……はぁ」
 無意識に重い息が出た。そんな自分に気分が苦くなったが、耳に入って来た小さな声が
苦味をかき消した。
 柔らかに笑う、音。
「お疲れのようですね」
「それなりに、かな」
 踵を返し、空中を漂う主人の従者に答える。俺に微笑みかけるその優しい表情は、大人
の色香を持ってはいるが、案外茶目っ気があったりドジ踏んだりおっちょこちょいだった
りして、保護欲をかきたてられてしまう。"リトル"という名も、性格から鑑みて頷けるい
い名前に思えた。
「私の作業は終わりましたから、遠くの本は持って行きます」
 両手を差し出して本を受け取ろうとするリトルに、「大丈夫」と俺は軽く手を振って否
定の意を表した。
「構わず休んでてくれ、主人と茶でも飲みながらさ。後で行くから」
「ダメですよっ」
 振っていた手をガシッと両手で握られ、リトルの真剣な眼差しにたじろぐ。
「休憩ぐらいご一緒しましょうよ。それに……パチュリー様は今し方気分が優れないとお
部屋に戻られました。私一人で寂しく紅茶を啜れと仰いますか……?」
「言ってない、そこまで言ってないから」
 真剣かと思えば、瞳を潤ませ上目遣いで懇願されると、さすがに意思が折れる。ここま
でされて拒否を続けられる程、サディズムなんてない。
 しかし、ずるい業だ。理解していようとも、従ってしまう。
「でしたら、お手伝いさせて下さい」
「む……そこまで言うなら。これと、これが南西方面なんだ。悪いけど、頼めるか?」
「はい、お任せ下さい。ぱぱーっと片付けてきますからっ」
 嬉々として本を受け取り、颯爽と飛んでいく。そんな姿が好ましく、重労働である図書
館の作業も続けられるというもの。
 確かに、我が雇い主も妖艶かつ蟲惑的な空気を持ちつつ容姿は少女というなんともミス
マッチなお方だが。両手に華なんてお門違いもいい所だが、恵まれてると実感する。
 最近、というより数ヶ月も好調のようだった主人が急に体調不良とは少々驚いた。加え
て妙に元気というか気合の入ったリトルの姿にも違和感があるのだが。
 とかく、後々主人の見舞いでもさせてもらおう。
「よし、さっさと終わらせよう」
 拳に力を入れ、数冊の本を抱えて歩き出す。本来あるべき地へ納める為に──
「先ほどの終わりました。次はどこのでしょうか」
「──速すぎだろ常識的に考えて」

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/谷・)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/

「アールグレイとジャワがご用意できますが、どちらがよろしいですか?」
「アールグレイ、お願いできる?」
 リトルは笑って頷くと、茶葉の入ったポットに熱湯を注ぎ始めた。色々と工夫をしているみたいだが、詳しくはわからない。多分、本格的な淹れ方なのだろう。
 数刻前は残骸の山に見て取れたテーブルの周囲も、今ではすっきり爽やかさんくm……
失礼。綺麗に清掃されている。
「少々お待ち下さいね、もうすぐ良い香りになりますので。あ、よろしければ先にお茶菓
子をどうぞ。頑張って作ってみたんですよ」
「お、リトルが作ったのか。……ん? 見たことないな、コレ」
 テーブルには、主人と三人で休憩を楽しむ際によく見るクッキーやドーナツの他に、全
く知識に存在しない細い棒の束があった。全体的に黒く、先端が白い。
「最近また、新しい雑誌が来まして。その中に書かれていました。ポッキーって言う名前
のお菓子です」
 ぽっきー。確かに、見た目通り簡単に折れそうな名前だ。
「へぇ、ちょっと一本。……ぉ、チョコレートとビスケットってやつか」
「大体そのような感じですね」
 リトルの作った新作に感嘆しつつ、淹れ立ての紅茶がテーブルに置かれた。
 アールグレイは薫り高く、ドーナツはふっくらと、クッキーは芳ばしく、ポッキーの小
気味良い音が俺とリトルの雑談に花を添えてくれる。主人はおらず、本日の作業は全て終
わっている。止め処ない語りは、時間の流れを意識させなかった。
「それでまぁ、あれは臭いったらありゃしないよ本当に」
「ですよねぇ、臭いですよねぇ~」
 一段落ついでに何かしら菓子を取ろうとして……手元がスカる。テーブルを見れば、あ
るのはポッキリいくのが一本のみ。
「あ、悪い。結構食っちまったか」
「いえ、お構いなく。美味しく召し上がって頂けたようで、嬉しいです」
 満面の笑みが目に焼きついて、急速に気分が高揚してくる。この笑顔で三倍飯だ。
 彼女が魔族である事は知っている。ただ、魔族と思える節が全く見えない。笑顔で人を
救ってしまえるのではと思う程、魔族とかけ離れている。
「じゃあ、最後のこれはリトルが食べてくれ。俺は貰いすぎたよ」
「そうですか……? あの、でっ、でしたら、半分ずつにしましょう」
 急に挙動がおかしくなった気がしたが、そのままリトルが手にしたポッキーが半分に割
れて渡されるのを待った。
 が、折らずに咥え、テーブルから身体を乗り出してきた。
「ん?」
 リトルが、ポッキーの先端を咥えたままお戯けた笑いを向けてくる。
「──へ?」
「ふふ、わかりませんか?」
 唇で挟みながらも器用に喋るリトル。
 意図がわからず、呆ける。しばらくして、ハッと脳内が鮮明になった。
 ま、さ、か……
「は、はんぶん?」
「はやくして下さいよ。私の方、濡れて折れちゃいます」
 目が細まり、からかいの意が伝わる。これを食べろ、と言いたいらしい。
 一回だけ里で聞いた事がある。外来人が開いた集団お見合いみたいな集まりで、男女一
組で一本のうどんを互いに両端から食べて度胸試しみたいな事をしたと。
 リトルもその意味を理解してやっている様子で、目や口元は『どうしたんですか? 食
べないんですか~?』と挑発しているが、頬は夕暮時を越える紅色。
 つまり。俺は試されている。男としての度胸を試されている。と、思う。
「一応聞くけど……手で半分に折ったら?」
「怒ります。大弾を妖夢さんの未来永劫斬並の剛速球で投げます」
「イタダキマス」
 とは言ったものの、緊張で身体が強張る。しかも、リトルは目を瞑ってる。しかし、躊
躇して時間を経てれば経てる程状況は宜しくなくなってしまう。
 意識を高める。我は獣、目の前の糧を喰らうのみ。
 ポッキーの半分を口に入れ、乾いた音が耳に届く。折れた合図に心で頷き──
 リトル側の半分がテーブルに落ちるのを最後まで見てしまった。
「……」
 身体が止まる。頭も、首も、腕も、足も。四肢の骨が鉄の棒にすり換えられた。
 逆に、内部は灼熱が迸る。鉄は炉で熱されたばかりの真紅に染まり、肉が煙を立てて焼
け焦げる。
 どれほど接触していたか。柔らかく、肉厚な桃色のそれが自分から離れていった。呆然
とした俺の口から、折った棒が落ちて転がった。
「り、リトル? 今、俺に何をしたかわか──」
「わ、わかってますっ」
 うつむいていて、表情は窺い知れない。きっと、鬼灯の赤だろう。きっと、俺も。
「おぉ、俺はうれしっ、いややや。別にいいけどさっ、い、いいのか、リトルは」
「……他の男の人とは、絶対しません」
 脳天直撃。これは酷い、いや。これはやばい。
「あ、新しい茶葉取って来ますねっ」
 言うが早いか、視界からリトルの姿が消えた。
「これは、これはいいのか? 本当に? ど、どうすんのよ! どうすんのよ俺ぇ!?」
 明らかにリトルからの積極的な意思表示なのは分かっているが、脳内の整理がつかず、
眩暈に似た感覚に侵食される。驚きと、喜びと、欲が沸いて混じっては押し殺す。思考が
混沌に満ちている。
 テーブルに頭を打ちつけ、痛みと時間で熱が収まるのを促そうとした。結果は、頭痛が
酷くなって額から血が滲み出てきただけだった。
「いでぇ……」
 愚の骨頂って言葉は、今の自分に適しているかもしれない。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/皿゚)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/

 仕事は既に、終わっている。
 自分の住居はここではない。独り身とはいえ、家はある。導き出される、次に取るべき
行動は、"帰路につく"こと。
「……」
「……」
 図書館の出入口へ向かう、二人。俺の後ろを俯いたままついてくるリトル。少し振り向
いて、声を掛けようとして、喉がつまり……また歩く。
 あれから、会話していない。俺もリトルも。何を話せばいいのかわからない。いや、違
う。リトルの顔を見てしまうと、あの映像が蘇り、全ての言葉が忘却の彼方、だ。
 扉が見えた。外に出れば、この重さから解放される。そして同時に、何かが砕け、終わ
るとも。
 伝える必要があった。
「リトル」
「……はい」
 仔猫を思わせる小さな声。背中を向けたまま彼女を見ずに、言を続ける。
「さっきは取り乱して悪かった」
「いえ、あの。私こそあんな、はしたない事をしまして……でも」
「ぁぁ、大丈夫。はしたないとか思ってないし、厭でもないし。寧ろ、踊りたくなる程こ
う……なんつーか……あぁ!」
 自分の気持ちが言葉にならず、頭を掻き毟る。自分の莫迦さに反吐が出る。
 至る所、簡潔かつ直球なものしか選べなかった。
「嬉しかった。初、ってやつだったんだけどさ、俺。相手がリトルなら問題なし。もう癖
になって毎日一回はしてもらわないと気が済まなくなりそうだよハハハハハハッ!」
 自分で言って、自分で身体を爆破させたい程、莫迦で下らない。乾いた笑い声が図書館
に響き、虚しさとして耳に戻ってくる。
 背中にぶつかる音は、無い。今振り向けば、呆れ顔のリトルが見れるかもしれない。
 扉の取っ手を掴み、「お大事にって、主人に伝えておいて」と捨て台詞。
 開けば、"おわる"──

 ──おわらせていいわけ、ないだろう。

 扉を開けたいと焦る逃亡の意。踏みとどまれと足を重くする打破の意。頭の中で白い小
人と黒い小人が言い争うなんて喩えがあるが、まさにそんな気分だ。
「ひとつ、聞いていいかな」
 また、背中で語る。
「はい」
 また、小さな声が背中に刺さる。
「さっきのキスって、俺だから、だよな。だとしたら……俺も同じ考えだ」
「……」
 刺さらない。空虚が纏わりつく。
 音もなく、腕を捕まれ身体が動かされた。
 リトルの手が腕を掴み、自分の身体が半回転し終えた時には、俺達は密着していた。両
手を腰に絡めて離そうとせず、顔は胸元にうずくまっている。
「リトル……」
「あなた以外の方とは、したくないです」
 腰を覆った腕の力が少し強くなった。俺の手も、軽くリトルの柔らかな髪を撫でると、
軽い喜びの音と共に身じろぎした。
「俺も、リトル以外は願い下げだ」
 顔を上げたリトルと視線があい、笑う。互いの鼻先が触れ、息が二人の熱を共有する。
 ただ、後悔はあった。
「しかし、情けないな俺も。自分から切り出すつもりが、リトルに言わせてしまうとは」
 切り出す気があっても、逃げ腰だったのが現実。
「雑誌の受け売りですけど……女の子って、想いが強ければ強い程、男の人よりずっと大
きくなれるんですよ」
「確かに、今のリトルは俺の何倍も大きくみえるよ。いいのか? ヘタレな俺で」
 わざとらしく、自分を謙らせて悪戯めいた笑いに頬が少し膨れる。ただ、その上目遣い
はすぐに、惚けて潤み、蕩ける。
「私には……あなたしかいません。見えません。存在しません」
「ぅ……」
 熱視線に気おされる。が、それが悪戯返しだとニヤけた表情に切り替わって理解した。
してやられたと、眉間に皺が寄る。
「そう言われたら、どうします?」
「押し倒して、今夜は寝させないぞ。まである」
「期待してます」
 緊張感が無くなり、異常に負担をかけていた膝から力が抜ける。本棚に寄りかかって座
ると、リトルも俺に乗りかかる形で座った。優艶さ漂う吐息が、一寸先は俺の首と、暖か
にくすぐってくる。
「私は……魔族です。正真正銘の悪魔です」
「知ってる」
 知っているが、俺にとっては関係の無い事。魔族でも悪魔でも。
「でも、それ以前に女の子なんです」
「わかってる」
 わかっているからこそ、種族なんて意識せず、俺は接してきた。
「女の子は、大好きな人の事を想うと──溶けちゃうんです。溶けて……大好きな人と同
じ色になっちゃうんです。わかって、頂けますか?」
「……俺の色はかなり酷いぞ。後悔するなよ」
「はい──」
 顔を引き寄せ、今度は自分から押し付ける。リトルは拒まず、受け入れてくれた。微か
に涙ぐんだ瞳で求めてくる目の前の女の子に激情をかられ、手が柔軟な肌の感触を欲し始
めて震えだす。
 理性が本能に蝕まれていく。これが男の"さが"というものなのか──

 首筋が、冷えた。とても、金属質な冷たさ。
「業務時間は過ぎました……が、何をしてるんでしょうか?」
 紅魔館のメイド長がいた。

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 一ヶ月待った、と聞かされた。
 俺もリトルも、互いに意識はしていたものの、主人の存在が壁になっていた。加えて持
病の喘息がここぞとばかりに表に出ず、好調だった。本来ならば喜ぶべき話だが、なんと
も複雑な期間になってしまっていた。
 更には、主人は俺の事を気に入ってくれていたようで、お陰で長期の図書館内業務を受
ける事ができた。そんな主人の俺に対する感情が、リトルにとっては焦燥感そのものだっ
たらしい。そして主人の急な体調不良が引き金になった。なんとも、愛らしい話だ。
「──女性のいる前で、他の子を想い耽ってると嫌われるわよ?」
「むぉっ!? これは失礼しました」
 館を、木々を、萌える若草を照らす太陽。涼しい風と穏やかな雲の流れ。外に足を向け
るには絶好の日和。
「とりあえず、まだ準備に時間かかるようなので、ここで待ちます。メイド長はここにい
て大丈夫なんですか?」
「あなた達二人を見送るのも仕事よ。一通りの人員管理も私の役目ですから」
 紅魔館の正門前。外出を許されたリトルを待つ俺……と、メイド長。館の上層部が来て
るとあってか、普段ボーっとしている門番も胸を張って仁王立ちしている。
「色々とやる事多くて大変ですね。お疲れ様です」
「そう思うなら、厄介事は増やさないでね」
 笑顔だが、語気が強い。実直に頭を縦に振った。
「本来、職場恋愛は厳罰なんですから。お嬢様に毎日の感謝をお忘れなきよう」
「わかってますよ、命の恩人ですし」
「一言余計です」
「失礼」
 メイド長に発見された後──
 問答無用で蹴り飛ばされた俺は意識が吹っ飛び、そのまま無数のナイフに刺されて三途
の川に直行だったはずだが、リトルが本気で大弾投げて騒然となったらしい。翌日、俺の
意識が戻った後、メイド長に連行されて紅魔館当主から処罰を言い渡されたのだが、『そ
の程度、目くじら立てる程ではないでしょう、好きになさい』と放任発言。さすがのメイ
ド長も豆鉄砲を食らっていた。
 そして、公にリトルの"お相手"として認められてはや数日。
 図書館の主人は一向に調子が良くならず、今し方長い銀髪の女性が有名な薬剤師のもと
へ連れて行くと、背負っていった。
 俺とリトルも同行しようとしたのだが、『あんたら分の送迎が面倒だよ』と一蹴されて
しまった。要するに、"ひま"が出てしまった。
「まぁ、たまの休みだから羽を延ばしていらっしゃい。お役目も忘れないようにね」
「了解しました」
 当主直々から『お遊びついでに、リトルに館外の知識を見せて来なさい』と命令? を
受けて今に至る。『霧雨と博麗という女には近づかないように。いらぬ無駄知識しか増え
ないわ。百害あって一利なし、よ』と釘も刺された。
 大きく背伸びをして……見れば、はにかむ笑顔。
「お待たせしました。あの……変じゃ、ないですよね?」
「何言ってんだ。似合いすぎて言葉が見つからないぞ」
 喜び、笑うリトル。外の眩しい日差しは、彼女の輝きと同化する。
 黒き翼に純白のワンピース。白と黒のモノトーン調というのは、格好良くもあり、綺麗
でもあり、可愛くもある。語ろうとして語りきれるものではないだろう。
「行ってらっしゃい。道中、気をつけなさいよ」
「わかりました」
 深々と頭を下げて一礼し、メイド長が館の奥へ消えていく。ここからは、二人の時間が
始まるんだと、手を差し伸べた。
「行こうか。丸々一日、遊び倒すぞ」
「はいっ」
 勢い良く抱きついてきたリトルを回転しながら抱え上げ、大きく一歩を踏み出す。
 遠くに見える木々が風でなびく。俺とリトルの出発に手を振って送ってくれた。


 ──想うんだ、俺は。
       黒い翼の天使がいてもいいんじゃないかと。なんつってな──


7スレ目>>564


小悪魔「はい、これが私との契約書です♪」
○○ 「おう。」
小悪魔「本当に?本当に私が主側の契約でいいの?」
○○ 「君はすでにパチェの従者だ…君と絆を作るには、
    俺が君の従者になるしかない。」
小悪魔「う、嬉しい…」
(にこ…)
○○ 「で、何処にサインすればいいんだ?」
小悪魔「サインではなく…○○さん自身の血で血判を押してください。
    ココに…レミリア様の認可印がありますね、その脇です。」
○○ 「ここだな。」
俺はこのとき、契約書をよく読みもせずに、指を軽く噛み、自分の血をにじませて、
小悪魔のいわれるがままに血判を押してしまう。
(ぺたっ)
小悪魔「できたー♪」
これでめでたく、俺と小悪魔の主従関係契約が成立…したはずなのだが…
○○ 「おかしいな…何も変わった感じしないぞ…」
小悪魔「はい、だってこれ婚姻届ですから♪」
○○ 「ぶっ」
小悪魔「悪魔との契約に期限も解約もありませんからねっ!幸せにしてくださいね!」


最終更新:2010年06月03日 22:34