パチュリー2



>>114


「何よ、また埋まったの?」


眠たそうな呆れたような目でその少女は言う。
そう、俺は埋まっていた。ちなみに、埋まる前は本の整理をしていた。
幻想郷広しと言えど、整理中の本の雪崩に巻き込まれるのなんて俺くらいのものだろう。
俺の名はやがて「雪崩に巻き込まれる程度の能力」の持ち主として幻想郷中に

「暫くそのままで良さそうね」
「はい下らない事考えてましたごめんなさい。 助けてパチュリー パチュリー助けて」

少女の名はパチュリー・ノーレッジ。外見こそ少女のそれだが、生粋の魔女にしてこの魔法図書館の主だ。
―俺は元々幻想郷の外の人間だったが、まあ色々あって、この図書館で雑用っぽい事をしている。

「何回目だっけ?」
「はい。今日だけで3回埋まってますがどう見てもドジです。本当に」
「ドジね」
「ありがとうございました。」

何事も無かったかのように俺に背を向けて歩き出すパチュリー。スルーかよ、ノってくれよ。

「おいてかないでー」

あ、こっち向いた。 …そんな目で見んでも。

「はぁ…」

ため息こそつかれたが、彼女は俺の前まで戻ってきてくれた。

「手、出せる?」
「なんとか…って、魔法使わんの?」
「貴方の周りの本、殆どが魔道書よ」
「オチが見えたので手で引っ張り出して下さい」
「ん」

白く小さな両手が本の山から生えた俺の手を取る。
暖かく柔らかい。…そういやパチュリーの手に触れたのは初めてな気がする。
悲しくも外の世界で女性経験に恵まれなかった俺は、こんな事でも思考がテンパってしまうのだ。

「あー、あんまり無理せんでも。 誰か呼んで来てくれるだけでも良いし」
喘息持ちの彼女に無理はさせられない。
けど引っ張られている手に意識がいってしまい、何だかぎこちない言い方になってしまった。

「んー」
パチュリーは特に気にした様子も無く、ぐい、ぐい、と彼女なりに力を込めて俺の手を引っ張る。
やがて、いくらか動かせる程度まで腕を出す事ができた。

「オッケー。後は自力で出られそ…うおッ!?」
「っ!」
本日4度目のドジ。自由になった腕を急に動かした所為で、新たな本の雪崩を以下略。
まあ要するに――どう見てもドジでした。

まあ、俺の周りの本が崩れたお陰で抜け出せるには抜け出せたんだが
まあその…前のめりに倒れこんだワケで、俺の目の前には彼女がいたワケで。

四つん這いになった俺の下に、彼女がいるワケだ。


「・・・」
普段はあまり表情を出さない彼女が、頬を染めて、僅かに潤んだその瞳を閉じ
――いや、今そんな表情されるとマズいから!色々と!

「どう見ても押し倒してます。本当にありがとうございました。」
…何とか誤魔化してみる。そうでもしないと気恥ずかしくて開花宣言しそうだった。


「そうね。どう見ても 押し倒してるわねえ」
頭上から聞こえる突然の声。 …頭上?

見上げてみる。




「ヤア!咲夜サン! こんな所で会うなんて奇遇ですネエ!」


アハハ 咲夜サン何て顔してんだよ それ人間がしていい表情じゃナイヨ咲夜サン咲夜サン咲夜s…



                 ――― その日は 俺が幻想郷に来て以来 最も辛く長い 一日となった

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>>122


「……こりゃ、下は相当な有様ですよ」
紅に染められた館に、振動が響き渡る。
肌に感じるのは、常識外れの魔力の奔流。
「そんなことっ…けほっ…言ってる場合じゃ…!」
「駄目ですパチュリー様!まだ身体も魔力もボロボロなんですから!」
ベッドから起き上がろうとしたパチュリーさんを、小悪魔さんが制止する。
その強い剣幕に、彼女はジト目で睨み返していたが、やがてベッドに沈み込んだ。

紅魔館の地下には、レミリアさんの妹がいる。
全てを破壊しつくすと言われている吸血鬼、フランドール・スカーレット
地下で続けられている激闘は、その妹さんが満月の影響で暴走したことに端を発する。

「レミィ……魔理沙……咲夜……」
シーツを握り締め、小さく漏らすパチュリーさん。
地下に向かったのは姉のレミリアさん、俺の師匠の魔理沙さん、メイド長の咲夜さん。
どう見積もっても、やり過ぎじゃないかと思ったこのメンバーが、小一時間も闘っている。
妹さんと俺はまだ面識はないが……パチュリーさんまで行こうとした以上、相当な相手なんだろう。
(……策はある。咲夜さんが無事なら…まだ)
闘いが長引くにつれて、不安が強くなっていく。
敗北の2文字なんて、どうしても当て嵌まらない3人でも、負けることがあるのだろうか……?
ズゥゥゥン……。
一際大きい地響き。
それが、決着だったのだろうか。先程までの痛いくらいの魔力の波が、うっすらと引いた。
「うそ……」
「そ、そんな…」
2人もその変化を感じたのだろう。
様子からすると、負けたのは……。
「小悪魔さん。夜明けまで…いえ、月が沈むまで、あとどのくらいありますか?」
「え!?あ、そうですね…4時間といった所でしょうか」
4時間……か。まともに闘える時間じゃない。少なくとも、俺の主観時間では。
「……咲夜に地下室全体の時間をある程度止めてもらって、月が沈むまでの時間を稼ぐ。
地下室と外の時間の流れをずらし、少ない戦闘時間で持ちこたえる……といった所かしら?」
「パチュリーさん…気付いてたんですか?」
「けほけほっ…残ってる戦力は、私達と美鈴。
貴方が行く計画なら、全部読めてたことになるわね」
貴方が考えそうなことね、とも付け加えられた。
「しょ、正気ですか?」
「いやまぁ、俺に正気も狂気もあってないようなもんですけど」
驚く小悪魔さんに、軽口で返す。
幻想郷に来る前の自分だったら、絶対に自分から行こうだなんて思わなかった。
だから、狂ったと言われても仕方ないけど……変われたと信じたい。
「半人前の魔法使いに、妹様の相手が務まると思ってるの?」
床に伏せっているとはいえ、パチュリーさんの言葉には力がある。
知っているが故の、説得力。
「半人前って……これでも、4分の3くらいまでは行ってると思うんですけど。
小悪魔さん、探してほしい魔導書があるんですが……」
小悪魔さんにタイトルを伝えると、彼女は足早に図書館の方へと消えていった。
「4分の3でも、1人前には届かないわよ。
それに、無知は剣にはなっても盾にはならない。貴方は妹様を知らな過ぎる」
「盾なんて最初から持ってませんよ。俺は剣しか持ってませんし。やってみなけりゃ解りませんよ」
腰に下げた剣を見せて、笑いかける。彼女は呆れたのか、深々と溜息を漏らした。
「はぁ……何を言っても無駄みたいね。魔理沙以上に無茶するとは思わなかったわ」
「一点だけでも魔理沙さんを越えてるなら満足ですよ」
「……他には、図書館でのマナーくらいは褒めてあげるわ」
「そりゃ光栄ですね」
そこまで言うと、彼女は黙り込んで、そっぽを向いてしまった。
……横になっている彼女の側には、大低小悪魔さんが付き添っている。
それが今はいない。俺が頼んだ訳だけど。
2人っきりでの――――沈黙。
本を読んでる時はそうでもないけど、互いに黙ってると……気まずい。
「……怒ってますか?」
「呆れてるだけ。
……そういえばその剣、何処から持って来たのよ」
「魔理沙さんのコレクションからです。俺、接近戦の方が得意なんで。
バレたらマスタースパークで消し炭にされそうなんで、内緒にしてくださいね」
瞬間、彼女は物凄い勢いで向き直った。……直後に咳込んだけど。
「貴方ねぇ…壊したりしたら、本気でやりかねないわよ」
「…マジですか?」
「貴方の師匠なんでしょう。想像力が足りないわよ」
……想像してみよう。
魔理沙さんが真っ正面から…いや正面に限らず、俺を狙ってあの魔砲をぶっ放して来たら……?


『お前の飛び方は丁寧過ぎて退屈だぜっ。
ま、その分狙いやすいんだがな。
恋符「マスタースパーク」!』


「何笑ってるのよ」
「あ~……今から会う妹さんより、魔理沙さんの方がよっぽど恐いだけです」
妖怪と弾幕りあったことはある。弾幕がどんなものかも、大体解る。
ただ、魔理沙さんの本気の弾幕だけは、見たことがない。
「原型…残ればいいなぁ」
「妹様には楽観的なのに、魔理沙には悲観的なのね」
「師匠なんで…はは、まいったな。
だったらいっそのこと、パチュリーさんの弟子にしてもらえませんか?」
苦笑いしながら、口に出してみる。帰って来た答えは…概ね予想通り。
「私が消し炭にされそうだし、お断りするわ。でも……」
「パチュリーさん…?」
そっと手が触れられた。少し冷たくて、白くて、綺麗な手。
「美鈴や咲夜に話を通してちゃんと入って来るなら、図書館に来るのは構わないわ」
彼女は、いつも本を読んでいる横顔からは想像出来ない、優しい表情で微笑んでいた。
「え、あ、そのっ……」
「貴方の言葉なら、魔理沙も本持ってくのを自重するかもしれないし。
……何で赤くなってるのよ」

俺には……言えない。

側にいるだけで、触れ合えるだけで、満たされてしまうから。

この幸福を、俺の欲張りで壊したくないから。

「……何でも、ないですよ」

だから、その手を握り返すことで答える。

俺が出来るのは、きっとこれが精一杯……。

「あ、あの、お二人とも……」
「こ、小悪魔!?あなたいつから……っ!」
「いいい今先程来たばかりで何も見てません聞いてませんっ!!
わわわわわ賢者の石なんか持ち出さないで下さい~!
ごめんなさいお二人がいい雰囲気だったのでとても間に入れなくて……。
ってパチュリー様本気ですか私謝ったじゃないですかぁぁぁ~っ!?」
「問答無用!
火水木金土符『賢者の石』!」
「いやぁぁぁ~~っ!?」
あ~~……うん。
本気の弾幕って、このくらい苛烈なんだな。
避けられるように、俺も精進しないと。
「きゃぅっ!」
あ、小悪魔さん、また被弾してる。
この密度じゃ無理もないか。
 ・
 ・
 ・
「ごほごほっ……」
「ううぅ……私はただ、パチュリー様の笑顔が見ていたかっただけですのに……」
「じゃ、そろそろ妹さん止めてきますけど……大丈夫ですか?」
俺から見れば、2人とも大丈夫そうには見えない。
被弾しまくった小悪魔さんは、さながら咲夜さんにお仕置きされた美鈴さんみたいにボロボロ。
加害者のパチュリーさんも、元々体調を崩してた所でスペルカードを使ったためか、一層具合を悪くしている。
加えるなら、屋内でスペルカードを使ったためか、図書館の方まで結構な被害が行ってる。
小悪魔さん、結構逃げ回ってたからなぁ……。
「そうね……けほっ…。今更止めても行くんでしょ?」
「今なら、俺が時間稼ぎにならなくても、まだ美鈴さんがいますから」
こんな状態じゃなければ、看病していたかったけど、そうも言ってられない。
魔理沙さん達が先発なら、俺は中継ぎ、抑えは美鈴さん、ってトコか。
妹さんがとんでもない弾幕張ってたら、中継ぎどころか捨て石にもならないかもしれないけど。
「小悪魔さん、パチュリーさんを看てて下さいね。
……後で、図書館の整理手伝いますから、元気出して下さい」
「……はい」
しょげている小悪魔さんを慰めると、俺は本を手に取り地下室に行くために立ち上が―――
「ちょっと待って…」
――ろうとして、袖を掴まれた。パチュリーさんだ。

「本はちゃんと返してよね。その……貴方自身の手で」

……言葉に詰まった。
伝えたい気持ちが、一気に強くなっていく。
剣を握る勇気はあっても…………それでも俺は、その境界を超えることは出来なかった。

「ありがとう……ございます」

だからせめて、それ以上自分の気持ちに嘘はつかないように、大事な人の手をぎゅっと握り返した。

「な、何がよ…?」
「何とか、最後まで戦えそうってコトですよ」
困惑している彼女の手を離し、笑いかけると、俺は図書館を後にした。

―――図書館から出た俺は、辺りに誰もいないことを確認して、目を閉じてみた。
あの笑顔も、手の温もりも、彼女への想いも、ちゃんと心の中にある。
伝えることも叶わない想いでも、心の中にちゃんとあるなら、それはきっと力になるはず。

だからきっと、負けたって立ち上がれる。そんな気がする。
生を諦めかけた自分が、幻想郷での生活で立ち直れたみたいに。

「じゃ、行きますか」
目を開き、自分に対して呟く。

甘い時間はもう終わり。
ここから先は、勝負の時間。
4分の3の魔法使いが、お相手しましょう……。




「ごほごほっ…小悪魔。明日からでいいんだけど、探して欲しい薬があるの」
「あれ……喘息の薬、もう切れてましたか?」
「人の話は最後まで聞く。
見つかりづらいと思うから、永遠亭の薬師に話を聞いた方がいいかもね」
「はぁ。それで、何の薬を探せばよろしいんですか?」
「その………バカにつける薬」
「………あの、パチュリー様?誰が使うんですかそんなの」
「い、いいじゃないのそんなこと……あ、レミィ達には秘密でね」






ちょみっとだけ後書き……っていうかむしろ懺悔

一部始終をゆかりんが見てそうだw
まさに、「スキマ様が見てる」

今回の話、そーとー前から妄想だけはあったんですが、スレ見つけるまではただの妄想で終わってました。
しかしスレ見つけて、書こうとしたらさあ大変。

書きたいことが多すぎる(妄想が過ぎます)。
全部書こうとしたら量がとんでもなくなる(文章能力的に許容量オーバー)。
そもそも全部書いてたらいつまでかかるか分からない(遅筆なんです)。
少なからずともパチュが泣く展開に(自分パチュ萌えなんです)。

とまあそんなこんなでレティが文になるくらい(失礼)内容削減。
結局こんなんなりました。合唱。

削減前の大筋は、
1.この後魔法剣でレーヴァテインとチャンバラ。
2.相打ち(魔力使いすぎが死因)で、三途の川へ。
3.色々と小町に諭されたり弄られたりで彼岸へ。
4.えーき様からお説教、色々あって白玉楼へ。
5.ゆゆ様に引っ張られてもう一度紅魔館へ……。

うん、絶対書ききれない。書かなくてよかった。自分じゃ質が保てない。
いや保つほどの質もないけど悪化しないよりはマシです。

プロポとは違いますし告白もありません。イチャついてもいません。
キスもなけりゃ抱擁もないです。きっと雰囲気違いますね、すみません。
ココアの甘さよりは、微糖のコーヒーみたいな。切なく苦いけど暖かい、みたいな。
手を繋いだだけの幸せでも大事なことを……あーもー言葉に出来ません。
本当にバカにつける薬が欲しいです。対象はもちろん自分自身。

もうこのまま長々と続きそうなんでここいらで止めときます。
1週間全力投球で書ききれただけで満足ですもん。

それでは読んで下さった皆様、
このスレを設け、盛り上げた全ての皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。

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>>186


 紅魔館の厨房の片隅で、包丁の音がリズミカルに響く。
パチュリーさんに料理を教えて欲しいと頼まれたのはつい先日の事だ。
図書館の雑用として配属された筈の俺だが、みょんなことで作ったパチュリーさんへ
の食事を気に入られてしまってから、彼女専用のコックへと昇進(押し付け)と相成ったのだ。
まずは基本的な料理の作り方と食材の切り方等から教えていく。
千切り・微塵切り・短冊切り・十文字切り・天空剣Vの字切り──
何か間違っているような気もするが気にしない事にした。


彼女の可愛らしいエプロン姿──
真剣なジト目──
つまりはパチェ萌(ry


一月も経過する頃には、彼女の奇行は紅魔館中の噂になっていた。
三度の食事や風呂より読書…であった以前からすると奇行と考えられるのも無理は無い。
「……パチュリーさん」
「何?」
「どうして、急に料理を学ぼうなんて気になったんです?」
ぎこちなさの残る彼女の手を制止させ、包丁の手本を見せる。
「……わからない?」少しの沈黙の後、声を小さく、だがはっきりと告げる。
「あなたが……好きだからよ」
刹那、左手に激痛が走る。
「うあっ!」思わず包丁を放り出す。
思いもかけない告白に動揺してしまったか、指に包丁がざっくりと入ってしまった。
反射的に水桶に手を入れる。水が瞬く間に紅に染まる。
「…! ちょっと待ってて…薬とか探してくるわ」

──あなたが……好きだからよ

彼女が戻ってくるまでの間、その言葉が頭から離れなかった。
今まで女の子と縁など無かった。それなのに…。

 ほどなくして彼女は薬やら包帯やらを持って戻ってくる。
青い色の液体が入った小瓶──これが究極幻想のボーションなる代物だろうか。宝箱の鍵を開けたりする薬ではなさそうだ。
「…手、見せて」
水から手を出す。激痛に思わず声を上げたくなる。
「止血の、魔法よ」
彼女はそう言うと、顔を近づけて俺の指をその小さな口に含む。
「ちゅ……ん……んぐっ」
顔を紅潮させながら指を柔らかく吸い、患部をそっと舐め上げる。ごくんと喉を鳴らして血を飲み込む。
「さっきの返事…してなかったな」
彼女の細い身体を引き寄せ、抱き締める。
「ん……」紅く汚れた小さい唇を塞ぐ。
初めて愛した女性の唇は、薬と血の味がした。


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176を見てパチェに指パチュ…指チュパさせたくなった

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>>196


「フゥ…ようやく半分読み終えたか…」
「○○、独り言を声に出さないで」
「あ、すみません」

僕は今、紅魔館の図書館で読書をしている。
たまには本を読むのもいいかな?と思ってココに来てみたのだが…
ちょっと声を出すたびにココの住人であるパチュリーに注意されてしまうのだ。
…まぁ、確かに図書館内では静かにしないといけないのが常識なのだが…

「○○?あなたの持っているその本…」
「ん?これがどうかした?」
「ああ、やっぱり。それって私の読みたかった本よ。返しなさい」
「え…でも今読んでる途中だしパチュリーも今違う本を…」
「いいから返しなさい」
「…ハイハイ」

まぁ、こんな感じで僕の持ってきた本は何故かパチュリーの読みたかった本であることが多く、奪われてしまうのだ。

「…さてと、ちょっと休憩」
「○○、休憩するなら紅茶を淹れて来て頂戴」
「ん、分かりました」
「それと、適当に本を持ってきて。あなたが選ぶ本は何故か私の読みたい本であることが多いから」
「ハイハイ…かしこまりました」

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「淹れて来ましたよ。オレンジペコーですけどいいですか?」
「ええ、分かってるじゃない○○」
「ハハ…なんとなくですよ。で、いくつか本を持ってきましたが…」
「…あら、全部私の読みたかった本…」
「え…?ハハハ、なんつうかそのすごいですね…」

ちなみに僕の持ってきた本は10冊である
…パチュリー、そんなに読みたい本があるのか…

「ねぇ…いくらなんでもおかしくない?」
「ん?何がですか?」
「何であなたは私の好みとか読みたい本が分かるのかしら?」
「え?いや、何ででしょうね?僕はただその場その場で決めてるだけですけど…」
「…研究の必要がありそうね」
「ハイ?」

あ、なんだか嫌な予感が…

「あ、その…僕帰ります」
「(ガシッ)逃がさないわよ…」
「え、ちょっとタンマ…」
「フフフ…しばらくココに泊まっていきなさい」
「い、いや…そんな迷惑ですよ…」
「あら、ココの図書館は少なくとも私が管理してるのよ。あなたが泊まるぐらいわけないわ」
「…まぢすか」
「フフフ…楽しみね…」

ああ母さん…たった今僕は人間から研究対象に格下げされました…

「…って、何で人の服脱がしているんですか!」
「研究するのに衣服はジャマなの。我慢しなさい」
「うう…恥ずかしい…」
「…どうでもいいけど立派ね」
「そんなに見ないでくださいよ!」
「研究するのに研究対象を観察しなくてどうするの?」
「ううう…なんでこんな目に…」

…パチュリーって一体…

「…って何やってんですか」
「何って…体温を測っているんだけど」
「いや、何で体温を測るのに抱きつかないといけないんですか!」
「体温計が無いのよ」
「…なんでそういう日常で必要なものが無いんですか…というかどうやって抱きついて体温測るんですか!?」
「人肌」
「…いや、そんな一言で言われましても…もう、好きにしてください…」

…五体満足で帰れるかな…
というか、本当に家に帰れるかな…

「ってパチュリー、顔が近いんだが」
「よーく見る必要性があるのよ」
「いや、だからと言って近すぎ…んむっ!?」

え…なんでキスされてんの?

「ぷはぁっ…な、何をしてるんだよ!」
「唾液の採集」
「いや、だからそんな一言で片付けるなよ…ってかキスする必要性あるのか!?」
「人間の唾液を採取するにはこれが一番いいのよ」
「ウソダドンドコドーン」
「他にも方法はあるけど…面倒くさいのよね…」
「出来ればその方法でやって欲しかったよ…(ファーストキスだったんだぞ…)←小声」
「何か言ったかしら?」
「いいや、何も」

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「さて次は…」
「まだあるのかよ…」
「ネタばらしね」
「は?」
「実は…今までの検査って何の意味も無いのよ」
「…えっ」
「研究するのには服を脱がす必要はないし、体温計はちゃんとある。そして唾液なんて最初から採集する必要性が無い」
「…嘘だろ…じゃあ…じゃあなんでこんなことをしたんだよ!」

パチュリーはいきなりそっぽを向いて言った

「あなたが…好きだから…」
「…はい?」
「あなたを愛してるから…だからこんなことをしたの」
「……」
「もう…逃がさないわよ」

そういうとパチュリーはいきなり呪文を唱え始めた
すると図書館の戸の鍵が閉められていた。

「もう、私以外開けることは出来ない…」
「…そんな態度で示さなくても…良かったのに」
「いいのよ。これが私なりの愛情表現なの」
「やれやれ…」
「…ねぇ、あなたは私のことどう思ってるの?」
「どうって…好きじゃなかったらこんなことには付き合わないよ。…って言っても無理やりつき合わされたっぽかったけどね」
「…嬉しい」
「さてと、パチュリー?これからどうするんだい?」
「そうね…とりあえずは…」

そういってパチュリーは僕にキスをした。
先ほどとは違い、求めるような大人のキス。
僕もそれに精一杯答えた。
そして…

「パチュリー様ぁ…図書館から出れなくなって…」
「「あ…」」
「……」
「……ハハハ…よぉ、リトル」

小悪魔がいるのを忘れてた…
ちなみに今はパチュリーが僕を押し倒し、僕はパチュリーの胸を触っている状態である…

「…し、失礼しました…ごゆっくり…」
「リトル…後で司書室に来なさい…」
「…パチュリー?何をする気だ?」
「決まっているでしょ、お仕置きよ」
「パ、パチュリー様!?」
「あなた、私たちの楽しみをジャマしたんだから当たり前よね…」
「い、いやぁ…」
「…ハハハ…こりゃまた……はぁ…」


はい、どう見てもネチョまで後一歩です。ありがとうございました。
なんつうかその…すみませんでした

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最終更新:2010年05月16日 20:57