パチュリー6
5スレ目 >>108.111
今日も不健康だタバコがうまい。
などと考えつつ赤と白の庭でただボーっとしていた。もち、右手にタバコ、左手は携帯灰皿で。
「しっかし」
すう、と煙を肺に入れる。
「なんで彼女に惚れたんだろ……」
煙交じりのため息と共に呟いた。
彼女、とは俺の勤める地下図書館の主のこと。
詳しい話は省くとして、こういう経緯を経て俺は彼女を好きになった。
・館内周り→地下図書館
↓
・紫色の少女を見てズキュウゥゥゥゥン(否キス)
↓
・としょかんきんむ にしろ!おれは あいつの そばにいるんだ!
三番目でメイド長さんにどつきまわされたのはぜんぜんよくない思い出だが。
そして図書館勤務について少し経った頃、驚愕の事実が言い渡された。
「紫もやしは……喘息だったんだよ!」
「な、なんだってー!?」
よりによって喘息だなんて……ヘビーではないが愛煙家の俺にとってはかなりのショックだった。
そんな感じで一応司書のこぁさんにのみ喫煙者だと教え、たまに休憩を取らせてもらってる。
「……って う お っ あ ち っ !!!」
思考にふけったせいでタバコに火がついたままだということを忘れ、火傷しかけた。
「……何やってるの、貴方」
指をふーふーしていると後ろから声をかけられた。
て言うか今の声ってただの聞きまちが
いだよね幻聴だそうだよでもこれって
犯罪者の言い訳っぽいな「幻聴なんで
す!誰かがこうしろっていったんです!」って
「パパパパチェ萌え、じゃないパチュリー様ぁ!?」
「まったく……いつもいつもどこかに消えると思ったら……」
「いや、それはその……たまには外の空気が吸いたくて」
「それが『外の空気』?」
タバコを指差され、しまった!とすぐに後ろに隠したがもう遅い。
魔物に見つかった後にコインをくわえる様なものだ。
「
小悪魔から聞いたわ。喫煙者なんですってね」
「……はい」
ああ、もう駄目だ。よく考えればこぁさんは彼女に召喚された身。強制的にでも喋らせる事はできる。
「だったら、館の喫煙所を使いなさい。灰皿も完備されてるわ」
……へ?
「言っておくけどここは勤務が過酷なせいかタバコを吸うメイドも少なくないわ。
だから館内には喫煙所もあるしタバコの売店もある」
ああ、なるほど。……って
「じゃあいつもいつも庭に来てこっそりタバコ吸ってた俺の気遣いは……」
「無駄」
き、きっぱり言われた……
「無駄とか言わないでくださいよぉ……パチュリー様のためだったってのに……」
思わず小さく呟いてしまう。
「私のためって……」
「えあいやパチュリー様喘息だからというか絶対に本に臭いが付くだろうしそれに個人的な感情がほとんどですけど」
「……要約して話す」
ジト目が薄くなる。まずい。
「つまりっ、要はあなたが好きだから迷惑かけたくなかっただけです!」
全てを言うしかないだろう。後はなるようになれ、だ。
「……ふうん」
吉が出るか害が出るか……間違えた。凶が出るか、だ。
「タバコ、やめられる?」
「……無理っぽいです」
よし、振られフラグ確定。……だって、いまさらやめろったって……
「……なら、私の前では絶対に吸わないこと。それと……」
いったん言葉を切り、唇を重ねた。
「……こういうときに苦いから吸った後は口の中を洗っておくこと」
そんな俺はセブンレボパチュリーメンソール。
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5スレ目>>201-202
パチェなのにパチェじゃないと悩まされる。
つまり彼女は残留思念。
流行には乗り遅れてますよ。
「ごほっ、ごほっ!!」
紅魔館のある場所に響く苦しそうな咳。
「はぁ……」
その後に聞こえたなんとも物憂げな声。
彼は苦し紛れに漏らした。
「なんで俺が―――」
紅魔館の図書館、の途中の廊下。
俺は頭を抱えながら歩いていた。
「はぁ……」
何回ため息をついたかな。
ん?
頭を抱えている理由?
風邪引いたんだよ。
パチュリーが。
一応自他ともに認める病弱っ子だし、喘息持ちで引きこもりである。
しかし! しかしだ。
病弱っ子であるはずの奴は喘息以外の病気なんて滅多におこさないのだ。
しかも逆に調子がいいわーなんて言って俺にストレスというものを押しつけてくる。
そんなパチュリーが風邪を引いたんだ。1ミクロンほどだが驚いてやった。
ま、それだけだったのなら別になんともないし、俺は嬉々としてパチュリーが居ない平和なライフを過ごしていただろう。
看病なんて小悪魔がやってくれるだろうし、うるさい奴がいないからぐだぐだ言われないし。
数日間だけだとは思うがストレスが無い日が続くだろうなー。
なんて思っていた時期もありました。
何を思ったのかパチュリーは看病を俺に任せるなんて言いやがった。
勿論抗議したさ。
だがそんな声もパチュリーには火に油を注ぐ結果になってしまったようで、
「私が決めたの。あなたは黙って従いなさい」
って言われたら逆らえないし、これ以上言ったらなんかやられそうなので黙った。
そういうことで俺はパチュリーの看病をする羽目になってしまったのだ。
……なんで?
とりあえず現在、パチュリーの昼食となる粥を持って寝室へと向かっている。
寝室に入るのは初めてじゃないので緊張も何もせずに入る、のだが。
「遅かったわね」
「何言ってるんだ、昼食取りに行ってから一刻もたってないぞ」
上半身を起こして微熱気味な紅い頬をしているパチュリーは若干、いやかなり不機嫌そうだ。
……どうせ本が読めないとかそんな理由だろうと思うが。
足元の本を避けてベッドについた俺はパチュリーの膝へと粥を乗せた御盆を乗せた。
「食べ終わったら端に置いておいてくれ、後で取りに来るから」
そう言い残し寝室を出ようとした――のだが、パチュリーはとんでもないことを言ってきた。
「一人で食べろって言うの?」
「……へ?」
一人で食べないならどう食べろと。
「食べさせて」
「……な、なんだって?」
「食、べ、さ、せ、て」
何を言い出すんだコイツは。
自分で食べられるだろうに……俺に食べさせろだって?
うーん、これはもしや……。
「なにしてるの?」
「いや、パチュリーの頭のネジをな、探してるんだ」
ゴスッ!
「馬鹿言ってないでさっさと食べさせなさい」
むぅ……こうなったら覚悟を決めるしか無い様だ。
痛む後頭部を我慢しながら粥をパチュリーの所に持っていく。
それを食べるパチュリー。
スプーンを取ろうとして中々取れなかったり早すぎかったり。
そのたびになんかぐだぐだ言われた。
そんなこんなで長々とした時間が過ぎていく。
途中小悪魔と思われる人物が扉を開けてすぐ閉めたような気配がしたがキニシナイことにした。
よーやく食べ終わらせた俺は空っぽになったなべやかんを持って寝室を脱出した。
出る前、
「退屈だとは思うがちゃんと寝てろよ」
全力を出してパチュリーの様態を心配した言葉を投げかけたが、パチュリーは何も答えなかったのが凄まじく怪しかった。
まぁ、そんなことを言うのは結局俺の安泰のためなんだけど。
こんなのが三日四日なんて続いたら死ぬ。色んな意味で。
そんなことを思いつつ、なべやかんを食堂に返し変わりにリンゴなどが乗っかった皿を貰ってもう一度向かう。
病人の世話がこんなに面倒だったとはねー。
……いや、パチュリーだからかな。
寝室に帰還した俺だが、今度は寝ている可能性もあるので音も立てずに部屋に入り、
そして部屋に入って俺は呆れた。
パチュリーが無理してますよオーラ全開で本をうつ伏せになって読んでるじゃありませんか。
その状況に、流石に温厚な俺も頭の上あたりに十字交差点が浮かび上がるってもんだね。
いやいや、俺のせいじゃないさ。無理をしている紫もやしのせいなんだ。
俺は皿をゆっくりと置き、変わりにHARISENを持った。
そしてうつ伏せ状態でこちらに気付いていないパチュリーの背後に近づき……。
スパーン!!
いい音がしたので内心ガッツポーズ。
で、叩かれた本人はと言うと、
「なっ、にすんのよ!」
「これはお前が原因だ!」
「病人にHARISEN振り下ろしておいて何を言っているのよ!」
「やかましい! 口から咳垂れる前にむきゅーと言え!」
この後色々両者共々罵詈雑言を言い合ったが、パチュリーの身体的ギブアップにより終わった。
「覚えておきなさいよ……」
「……そんなに元気があるならもう看病しなくていいだろ」
「ああ……頭が……」
「嘘つけ」
まったくこの魔女は何をしたいんだろうか。
ってか元気じゃないのか?
……まあいいか。追求しても殺されるだけだろうし。
それよりもさっさと仕事を終わらせて平穏な時間を手に入れなければ。
そう思い、俺は置きっぱなしだった皿をパチュリーのところまで持っていき、
「後は自分で食べろよ! それか小悪魔に頼め!」
パチュリーに何も言わせずそれだけを言い残して扉を閉めた。
一応ああ言ってしまったので、小悪魔に手伝ってもらう事にする件を話すと、
「いいですよ」
と快く承諾してくれた。
「それにしても……」
「ん?」
「大変ですね、○○さんも」
こちらの心配もしてくれた小悪魔。
いい子だ。
「まったくだ……パチュリーもなんで俺を指名したんだ……」
「あれ? 分からないんですか?」
「へ?」
「ああいや、何でもありません」
そう言って小悪魔はそれじゃあと言って飛んで行った。
最後のほうの言葉はなんか引っかかるけど、何か考えことでもしてたのだろうか。
その後も色々な事があったのだが、翌日になるとパチュリーはケロリと治ってしまったそうだ。
で、俺はと言うと……。
風邪を移されてしまった。
そして小悪魔に看病されているわけだが。
「なんで俺がこんな目に……はぁ……」
仕事は休めると言っても、この状況じゃ休んだうちに入りません。
でも、パチュリーの呪縛からは一時的に解き放たれるけど。
「あ、私やる事があるので」
「ん? そうか、悪かったな。風邪なんか引いちまって」
「一応代わりを呼んでおきますね」
「頼むよ」
パチュリーとは大違いだ。泣けてくるね。
小悪魔が出て行くと、途端に部屋は静かになった。
久々の平穏にまったりとしていたら、突然部屋の空気が変わった気がした。
どちらかと言うと、危機の方に。
嫌な予感がした俺は、恐る恐る入り口のほうを見てみると……。
「パ、パチュリー……」
しかもなんか手に自然界では表現できない色の液体が!
まさか、それを飲ませる気か!?
「勿論」
とかいいながら近づいてくるパチュリー。なんか怖い。
「頑張って作ったのよ」
努力があってもその色の液体は飲みたく無いぞ。
そもそも飲んで治るのか、それ。
「大丈夫、成功したらすぐ治るから」
成功したらってなんだ、失敗するのか?
「八割くらいで失敗するわね」
高っ! 失敗する確立高っ!
俺はそんなのに賭けんぞ!
「うるさいわねぇ」
そう言いながら近づいてきてもうパチュリーとの距離があと少しになってきて、
「くそっ、これじゃあ前と変わらないじゃないか! 誰だ呼んだの、出てこいコノヤロー!」
呪縛からはやっぱり解き放たれてないみたいだった。
そして同日某所。
「輝け!第十八回パチュリー様と○○さんをくっつけよう大作戦会議 in レミリア様の部屋!」
『いえー!!』ドンドンパフパフ!
「司会進行は私、小悪魔が勤めさせていただきます!」
『いえー!!』
「さて、今回は私達○○さんの食事に風邪になる薬を入れる程度しかしてませんが」
「それでも少し進展したんじゃないかしら?(咲夜さん)」
「でもですね、○○さんは全然分かってないみたいです」
「それじゃあ意味ないわね……(レミリア様)」
「それで、次どうします?」
「そろそろ夏が終わりそうだし、今のうちに湖で泳ぐとかどうでしょう?(中国さん)」
「それでいいんじゃないかしら。私は無理そうだけど(レミリア様)」
「じゃあ決定で宜しいでしょうか?」
『いえー!!』
「じゃあ次はどうするか考えましょうか」
これを、彼女と彼は知らない。
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5スレ目>>490
ハートZUN軍曹のお言葉に、
誰からともなく住人へ
とありますが、こういうのはいいのでしょうか。
先日、東方ストライク入手したときに、
隣に積んであった本から伝言を頼まれたので、こちらに書いておきます。
パチュリーが可哀想なので。
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Dear 貴方様
ご無沙汰しております。
卒爾ながら、今日はお願いがあって参上いたしました。
え、誰てめぇ、ですか?
これは申し遅れました。
私は、先日まで貴方様がヴワル魔法図書館で読んでいた本でございます。
何の用だ、ですか?
これはこれは、単刀直入ですね。
では、私も単刀直入に。
お願いします。ヴワル魔法図書館にもう一度来ていただけませんでしょうか?
単なる本の身で、このようなお願いをする無礼は百も承知です。
ですが、パチュリー様のために筋違いながらお願いする次第です。
先日、貴方様が私を読み終わられて、図書館に来なくなってから、
パチュリー様はすっかり沈んでしまわれました。
知ってらっしゃいましたか?
パチュリー様は、貴方様といると本当に笑顔が絶えないのです。
本を読みながらも、貴方様をちらちら見ていたのです。
最近写された魔道書には、全部の本のページの右隅に、貴方様の似顔絵があるのですよ。
感じてらっしゃいましたか?
パチュリー様は、貴方様がいらっしゃる日には、朝からずっとそわそわしているのです。
朝早く起き、まず3時の紅茶の茶葉を確かめ、
スコーンを味見して、それに合うブレンドを作るのです。
アッサム、ダージリン、アールグレイをベースに、
少し胡椒を効かせたスコーンにはアップルティーを多めに、
甘いスコーンにはタイムなどのハーブを入れたブレンドで。
気づいてらっしゃいましたか?
貴方様がいらっしゃるときには、パチュリー様、うっすらとお化粧をしていたのですよ。
そして、貴方様が来る予定のぎりぎりの時間まで、
クローゼットの服を鏡の前で体に当てて、その日の勝負服を決めていたのです。
水色のリボンの時には、ピンク系を中心にまとめ、
赤いリボンには、エメラルドグリーンの服にイエローのアクセントをつけて。
そして、貴方様がいらっしゃるとイの一番に入り口へ行っていたのです。
覚えてらっしゃいますか?
いつもパチュリー様が、自ら貴方様を書架まで案内していたことを。
しかも、しっかりと手を繋いで、頬を染めながら。
貴方様がいらっしゃる日には、パチュリー様はいつも小悪魔様に用事を言いつけておりました。
貴方様と2人きりになりたいという、乙女心だったのですよ。
その時には、貴方様が不快に感じられないように、でも意識してくれるようにと、
柑橘系の香水を軽く、振りかけていらしたのです。
顔を赤くして貴方様を待つパチュリー様は、本当に恋する乙女でした。
しかし、貴方様がいらっしゃらなくなって、パチュリー様の至福の時間も終わってしまいました。
しばらくの間は、私を抱きしめながら、
「何で、いるうちに告白しなかったのかしら」
と、ふさぎこんでいました。
最近は、私を読むとも無くめくりながら、壁を眺めているばかりです。
昨日届いた、パチュリー様が貴方様のためにと買われた可愛い服も、
小包から出さないままになっています。
図書館のドアが開くたびに、入ってくる人物を凝視しては、
小悪魔様だと知って嘆息をする、そんなパチュリー様は見るに耐えません。
わが友人の『パチュリーの日記』氏によれば、
パチュリー様の日記には、いつも貴方様のことが書いてあるそうです。
いらっしゃった日はいわずもがな、いらっしゃらなかった日も、
「今日は来なかった」で始まるとのことです。
貴方様が図書館に用事が無いのは知っています。
でも、もし一片の慈悲があるならば、
図書館に来て、パチュリー様に会ってあげてくださいませんか。
よろしくお願いします。
おっと、もうこんな時間ですか。
私がいないと、パチュリー様が大騒ぎしますので、帰らねばなりません。
「この本は、私とあの人を繋ぐたった一つの絆だから……」
とのことですが。
どうか、早く来てください。
僭越ながら、お願い申し上げます。
From ヴワル魔法図書館の一書籍
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5スレ目>>729
その日も図書館で本を読んでいた。
絨毯は厚く埃も多く、喘息持ちでなくても咳き込んでしまいそうになる。
「……
一冊読み終わり、無言で首を回す。ここの管理人はとかく煩くするのを嫌う。
次の本を持ってこようと席を立つと、対面に座っていたその管理人が、
つ、と少し顔を上げ、右側に積んであった本の山を少し差し出すとまた顔を下ろした。
(この量を戻してきてくれってのか…
げんなりする程の量が積まれていたが、覚悟を決めて山に手をかける。
何冊かを束にして持ち上げようとすると、ぺしぺしと机を叩く音が聞こえた。
(私の分も追加の本を持ってきてくれ、か
彼女は基本的に乱読するので、どの本を持っていこうかと悩まないですむのはありがたい。
とはいえ、一応今読んでいる本の題名を確認し、同じような系統の本を選ぼうと考える。
(どれ、なんて本かねえ
としゃがむと、ついと本を伏せられた。
なんだろうかと思うが、まあいろいろな種類の本を読みたい気分なんだろうと気にしないことにする。
いや、単なる悪戯か?
いくらか本を抱え、のたのたと机に向かう。厚い本は重いし持ちにくくて困る。
上に乗っけた2冊を自分の座っていた場所に置き、残りを向かいの席に運ぶ。
音を立てないように慎重に彼女の左側に置き、ぐしゃぐしゃと頭を撫でる。
驚いたのか本から目を離し、す、と頭を上げこちらを見る。
これは好機とここぞとばかりに頬を撫でると、気持ちよさそうに目を細める。
満足したので自分の椅子に戻ろうとすると、袖を捉まれ、くいくいと引っ張られる。
されるがままに腰をかがめると、胸に顔を押し付けてくる。
愛い奴めと思っていると、さらにぐしぐしと顔を横に振る。
顔を拭きたかっただけかい。それとも眠いのか?
眠いなら寝かせよう。しかし彼女はなかなかベッドに行かない。
体が弱いくせに本を読みながら机に突っ伏して寝る、ので、風邪をひいては大変と毛布を持ってこようとすると、
腕を腰に回され、グイグイと引っ張られる。
どうしたものかと顔を上げて、なんとなく辺りを見回してみる。
よく見ると椅子の後ろが少し空いて、人が入れるようになっている。
ああそういうことか、と合点してスペースに体を滑り込ませようとするとあっさり腕がほどける。
後ろに回り彼女を膝の上に乗せて腕を腹に回し、そのまま顔を肩に乗せた。
5分後、痺れたので足を開いて落としてみた。喜ばれた。
いくつかSSとか書いててわかったんだが、俺文章固いな
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5スレ目>>898
私がこの幻想郷に来てしまってから長い時間がたった。
今では体も昔のように思い道理には動かなくなってしまった。
若い頃は、危ないと分かってても物珍しさから随分とムチャをしたものなんだが…
氷精をからかって怒らせたり、魔法の森を探索しに行って迷ったり、花畑に突貫しに行ったり…
いつもボロボロになってヒーヒー言っていたな。ハハッ
本当に懐かしい、あの頃は珍しいことを聞けばすぐに行動していた。
その度に、館の人達には迷惑を掛け、メイド長には長い説教を聞かされ
…ナイフが飛んでくる事もあったな。
それでも、めげずに何回もムチャをやって、何度も怒鳴られて、最後には呆れられて、それが日常となって
笑いながらバカな土産話をするようになって。
だが、そんなバカばかりやっていた頃でも出来ないことが唯一つだけあった。
いや、ちがうな…
出来なかったんじゃない、やろうとしなかったんだ。
ただ、怖かった。
この気持ちを貴女に伝える事が、この日常が変わってしまう事が
『断られたらもうこんなバカな毎日が続けられなくなる…』
そんな本当に愚かで馬鹿なことを本気で考えて、いつもは強気なくせに どうしようもなく憶病で
でも、こんな馬鹿な私ですが、この思いだけは誇りたいと思う。
貴方を思ったあの日から、人として長い今までの時間、決して色あせる事の無かったこの思いだけは…
老い先短い私がこの思いを貴女に伝えることはもう無いでしょう
文にしたためる事ももう無いでしょう。
この思いは誰にも伝えず、誰にも悟らせず、私が墓場まで持って行きましょう。
貴女が私のことをどう思っているかはわかりません。
しかし、だからといって怖いわけではありません。
貴女の人生はまだ長い、そこにもう命の短い人間の思いなど背負わせたくはないのです。
貴女は その冷静な考えからよく冷たく見られます。
けれども、私は良く知っています。
貴女が感情表現が苦手なだけで、本当はとても優しい事を
貴女が本を見ているときは、とても表情豊かになることを
貴女は無関心なように見えても誰よりも周りをよく見ていることを
だからこそ、貴女がどんな答えを持っていても、貴女は必ず迷うでしょう
そして私が死んでしまった後、必ず後悔し悲しんでしまうでしょう。
これは私の我が侭です。
馬鹿で愚かな人間の身勝手な我が侭なんです。
だから、私は誰にも言わずただ一人思います。
あの時からこれまでの時間、そして 死が近いこれからの時間
ただ貴女一人だけに、伝えぬ 弱く、されど 強い思いを
『パチュリー、貴女を 愛しています』
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6スレ目>>338
紅魔館でクリスマスパーティーをする予定だからとメイド長に
強制的に連れ去られ馬車馬のごとく扱き使われた24時間・・・
よく考えれば、まだまだ時間があるんじゃないかと抗議したいが
・・・した瞬間、間違いなくナイフが飛んでくるんだろうな。
まあ、ひとまず一区切り付いたのでヴワル図書館なら静かかつ比較的安全に休めるだろうと
思い来てみたんだが・・・
「寒っ!メチャクチャ寒っ!?」
扉の向こうは雪国だった・・・
「てっ違うだろ!しかも、それはトンネルの向こうだ!!」
「うるさいわよ、いきなり何を叫んでいるの」
図書館の管理者が現れた。
「てっそれも違うな。・・・いや、意味は合ってるか」
「だから何なのよ・・・」
「いや、すまない。何か変な思考が少し」
「クリスマスの準備疲れかしら?」
「ああ・・・それは否定できないな・・・マジで」
「そっそう。・・・・・・薬でも飲む?」
「いや、遠慮しとく 永眠しそうだし」
「魔理沙じゃあるまいし、そんな危険なもの作らないわ」
「うっすまん」
いつものジト目がさらに細くなっている。
「フゥ、まあいいわ。それで何しに来たの」
「少しの間、休ませてもらおうと思って来たんだけど・・・」
「騒がなければ好きなだけ居ていいわよ」
「いや、メチャクチャ寒いんですけどココ」
「ああ、日の光が入らないから室温が上がらないのよ」
「いや、上がらないのよって、寒くないのか?」
「・・・・・・私が何か忘れたのかしら?」
さっき戻ったジト目が また細くなっていく
心なしか部屋の温度が下がった気さえする
「何かって?パチュリーだろ」
「そうじゃなくって」
目を伏せ小さくため息を吐く
「? ああ、魔女だってことか!」
「・・・どうして忘れられるのかとても疑問に思うわ」
「いや~俺にとってパチュリーはパチュリーだし」
「っ///」
パチュリーの顔が一気に赤くなる。帽子で見えないが耳まで赤いことだろう
どうやら、不意打ちに弱いようだ・・・
「どうしたんだ?」
「なっなんでもないわ!」
どうやら彼は、鈍感のようだ・・・
「しかし、魔女か・・・なるほど魔法か」
「ええ、自分の周りを常温にしているのよ」
「へー 便利だな~」
「・・・何で近づいてくるのかしら?」
「気にしない、気にしない。」
「気になるわよ」
「そうか?ところでちょっとだけ椅子から立ってもらえないか?」
「 ? べつにいいけど」
言われたとおりにその場に立つパチュリー
すかさず俺は椅子とパチュリーの間に体を入れ、パチュリーの体の前に手を回し
そのまま椅子に座る
「キャッ///」
「あっ本当だ。あったけ~」
「ち、ちょっと何しているのよ!」
「後ろからパチュリーを抱きしめています♪」
「・・・・・・可愛くないわよ」
「・・・・・・自分もやって後悔した」
「それで何で私を・・・その・・・抱きしめているのかしら?///」
「ん~暖を取るため?」
「そう#」
「いやいや、ウソですウソ!」
「まあ、率直に言えば・・・抱き締めたかったからかな」
「・・・まあ、許しとくわ」
「間が気になるけど、ありがとうございます」
それからしばらく経ち、本をめくる音だけが図書館に響いていた
「・・・静かだな」
「・・・そうね」
「でも・・・暖かいな」
「ええ・・・そうね」
「・・・パチュリー」
「・・・なに」
「大好きだ」
「・・・・・・」
私も、大好き・・・よ
(省略されました・・・。続きは明日発売の文々。新聞「幻想郷の甘~い!特集」をお買い上げ下さい)
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6スレ目>>365
図書館の屋根の上で夜空を見ながら煙草を一服。
それが俺のここでの数少ない楽しみの1つだ。
思えば俺がこの幻想郷に迷い込み、紅魔館に拾われて
人手の足りないという図書館で働くようになってから結構経つ。
元々本が好きなせいもあってか、仕事は大して苦にならない。
それに図書館には彼女がいる・・・
と、物思いに耽っていると
「こんな所にいたの」
「ん?」
振り返ると俺にとっての幻想郷での最大の楽しみ
パチュリー・ノーレッジが俺を見下ろしていた。
俺は慌てて携帯灰皿に煙草を放り込む。
喘息もちの彼女には煙草の煙は猛毒も同じだろう。
「どうした?外に出てくるなんて珍しいじゃないか。」
「ただ何となく、貴方と話がしたかったから・・・」
そう言うと彼女は俺の隣に腰を下ろした。
何故だろう?いつも持っているはずの物を今は持っていない。
「本は?」
そう尋ねると彼女は
「今は必要ないと思ったから。」
と、これまた珍しい事を言った。
俺はあまり深くは訊かない事にした。
それにしてもこの時期に外でその服装は・・・見ているこっちが寒くなる。
まあ魔女だから魔法でも使って暖はとれるのだろうが
「夜は冷えるぞ」
そう言って、コートを脱いでかけてやる。
「大丈夫よ」
「いいから、見てるこっちが寒い」
そういうと彼女は素直に従った。
何故だか少し微笑んでいるように見える。
それから――2人で他愛もない話をした。
本当にどうでも良いような話。
彼女が時折浮かべる笑顔に俺はドキドキした。
話のネタも尽きてきて、沈黙が流れる・・・
その沈黙の中で彼女の横顔を見ながら思った。
今言わないと2度と言えない気がする。
俺は厄介事は嫌いだ。
だが、今俺は自分からとんでもない厄介事に飛び込もうとしている。
迷いはない。
「パチュリー、俺は君の事が――」
「止めて・・・」
彼女は俺の告白を途中で遮り、俯いた。
「貴方が言おうとしている事は分かってる。
だけど、言わないで・・・
私と貴方じゃ種族が違う、寿命も・・・私はこれからも数百年生きるけど、貴方は数十年で死ぬ
私は、貴方がさっき言おうとした言葉を聞いたら、たぶん貴方が死ぬ時に耐えられない・・・だから言わないで」
彼女はそう言って悲しそうに笑った
それでも俺は――
「パチュリー、君の事が好きだ!!種族の違いなんか関係ない!!俺は残りの人生を君と過ごしたい!!」
彼女は驚きの表情を浮かべたあと
「勝手な人ね・・・」
そう言って涙を流した
俺は彼女を抱き寄せて、そっと唇を重ねた
唇を放すと彼女は微笑を浮かべて
俺の肩に頭を預けてきた
満月が2人を照らした
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6スレ目>>408
今さ、布団の脇にノート置いて書き込んでるんだけど
毎晩パッチュリが布団に潜り込んで来て困っちゃうよね
さすがにあんなにくっつかれたら冬でもあっついよね
あっ こら、また勝手に入ってきてー そんなくっつくなって
え、いや、まあ、迷惑って事でもないっつーか、うん
うん……うん、 俺も、大好きだよ
じゃ、おやすみ……
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6スレ目>>577
図書館の一画。
目当ての本を見つけた俺はパチュリーの隣に座り、本を開いた。
「仕事をサボって何を読んでるのかしら?」
言われて顔を上げると、パチュリーが本を少し下げてジトリと俺を睨んでいる。
「アガサ・クリスティーのクリスマス・プディングの冒険、
しかし本当にこの図書館は何でも揃ってるな~・・・。
少しくらい良いだろ? 本の整理は終わったし、もう特にする事も無い
大体クリスマスイヴだってのに、休みもくれないお前が悪い
今日に限って図書館に来るような物好きなんてそんなに居やしないよ。
あとの雑務は小悪魔にでもやってもらえば良い」
そう長々と答えるとまた睨まれた。
「私と過ごせるなら何処だって良い。 なんて言ったのは誰だったかしら?」
「それを言われると ぐうの音も出ない・・・」
一拍、間を置いて2人で苦笑。
お互いに視線を本に戻す。
静かに時間だけが流れる・・・。
華やかではないがこんなイヴも良いかもしれない・・・。
「なあパチュリー、部屋に戻ったら今夜はワインでも開けようか?」
俺がそういうと彼女はクスリと笑って、
「そうね」
と、一言だけ言った。
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6スレ目>>620
パッチェさんが風邪を引いた。と言うわけで見舞いに行く。
見舞いと言うからには何か持っていったほうがいいだろうから、
とりあえず紅魔館の食堂から適当にりんごでも持って行くことにした。
ちなみに食堂の食べ物がなくなると門番の食事が減らされると言う噂がある。
明らかに内部犯だろうに外にいる者の食事が減らされるというのはどうかと思うが、まあどうでもいい。
一応勝手に持っていくわけで、カウンターに身を隠しながら、置いてあるりんごに近づきすろすろと手を伸ばす。
丸い形と重さを確かめ、2,3個抱え込むように持っていく。
と、不意に声をかけられる。
「りんご持っていくんなら、ナイフはいりませんか?」
「手持ちがあるからいいや。それよりすりおろすやつおくれ」
「はいどうぞ」
「はい、ありがとう」
計 画 通 り。
パチュリー私室は、毎度黴臭い図書館内の閲覧個室の改装されたものとなっている。いや図書館自体が私室といえばそうか。
ノックをしても返事はない。いつもない。声が届かないらしい。風邪を引いているなら尚更か。
返事が無いので勝手に入る。待っていたらいつまでも入室できんぞなもし。
入って見渡すと、ベッドの上がもぞもぞと動いている。どうやら寝ているらしい。
……と思ったら寝そべりながら本を読んでいた。
予 想 通 り。
いや、予想が当たったからと喜んでいる場合じゃない。どうにかせにゃならん。
いくら本読み魔女と言ってもゲロ吐きながら読むものじゃない。
なので、横から本を取り上げる。
なーなー言っていたが、何を言おうとしていたのか分らないので無視していすに座り、
本を体と椅子の背もたれの間に挟みこんで取れないようにする。ついでにりんごを机に置く。
「なに……するのよ」
咳き込みながら文句を吐く。
「風邪引いてるときに本を読むものじゃないだろ」
「魔女が本を読まないでどうするのよ」
「病人が寝ていないでどうするんだよ」
「む、じゃあ代わりにその本読んで頂戴」
「風邪引いてるのにこんな難しい本読むもんじゃないよ」
言いながら本を抱えてドアに向かう。
「その本がいいのよ」
無視してドアを出る。ラテン語なんか読めるか。
難しい本を戻し代わりの易しい本を持って部屋に戻ると、パチュリーはうつ伏せのまま寝入っていた。
息がし辛そうなので横向きに直してしばし寝顔を観察する。
しかし、ずっと観ているわけにもいかないので、本を持って退室する。
が、司書連中に運悪しくつかまり書庫整理の手伝いなどをやらされる。
盗難本のリストアップらしいが、照会に時間がかかり正直暇だ。というか俺いらんだろ。
捉まってから1時間ばかりたった。
仕事を10分ぐらい、後は皆で駄弁っていた。どうせまた盗られるんだし、リスト作っても無駄よね、と言うことだ。
駄弁った結論として、女って怖いなあ、と言うことが再確認された。
不意に子供の泣き声が響く。何かの魔道書かと思い音のする方へ駆けると、パッチェさんの自室だった。
訝みながらドアを開けると、パチュリーが突っ伏して泣いていた。
これはアレか、病気のときに誰もいないで不安で泣くというやつか、愛い奴め、と思いながら近づくと、
ほんーほんーわたしのほんー、と言って泣いていた。
本かよ。俺じゃないのかよ。
がっくりしながら話しかける。
「起きたかね。じゃあ、作るからすりおろしりんごでも食べなさい」
「それよりも本はどこ?」
「とりあえずりんご食え。あと水飲んで寝れ」
「寝かしつけないで頂戴。で、本はどこ」
「りんご食べたら持って来るからりんご食え」
「わかったわよ……」
同意を得たところで皮を剥き、種を取り、すりおろして器に盛る。
多少血が入った気がするが問題ないだろう。
器と匙を渡すともそもそと食べ始める。
少し寝たからなのか心なしかさっきより血色も声色も良いように思える。
食べている間に見繕っておいた本を取ってくる。
「食べ終わったわよ。で、本は?」
「ん、あるよ」
「妙に薄いわね…というかそれ絵本じゃない」
「うん? 風邪引きにはちょうどいいだろう」
「読んでくれるなら向こうの棚に入ってる本がいいんだけど」
「だから難しい本はだめだって」
アラビア語も読めんがな。
枕元の椅子に腰掛けて絵本のページをめくる。
ゆっくりとしたペースで読んでいると、パチェさんが端ににじり寄ってくる。
「うん? 遅い?」
「絵が見えない。絵本なんだから絵も見せて頂戴」
どうやら絵本が存外に気に入ったらしい。
ベッドに深く腰掛けて、腿に頭を載させるようにして読もうとするが、
「見辛い。あと首いたい」
仕方がないので、寝かせて顔の上に本を持ってくるが、今度は自分が読めない。しかも、
「いたいいたい。紙が当たってるわ」
ページをめくる時に顔に当たったり手から抜けたりするようになった。どうにも目測がつけ難い。
どうしようかねえ、と考えていると、パチュリーが枕元をぱんぱんと叩いている。
こっち来いって…ああ、そういうことか。
結局枕を退けて自分が枕代わり、と言うか座椅子になった。
背中がベッドの宮に当たっるので、邪魔な枕と布団を背中に置く。
それでも痛いのと布団の重みで体が少し丸まる。
パチュリーは頭を首筋にもたれかけ、毛布を巻いている。
なので各々が肩に頭を持っていくような格好になる。
「読むのは結構上手いわね。でも少し早いかしら」
「そうかねえ? まあもう寝て早く治してしまいなさいな」
「そうね」
そういってごそごそと動くが、
「なんで胸の上で寝ようとするの?」
「おやすみ」
「それじゃ寝にくいでしょうに」
「うーん」
不満げな声を上げる。これは動きそうにも無い。
しょうがなしに少しずつ体をずらしてベッドに横になる。
肩にかぶっていた布団を掛け、枕を頭の下に敷いてやってから抜け出そうとする。
「あら」
思わず声が出る。
服の端がしっかと握られていた。これでは出るに出られない。
無理してはずす事もできるだろうが、そうすれば起きてしまうかもしれない。
「まあ……役得かねえ」
そういって横顔を見ながら自分もゆっくり目を閉じた。
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6スレ目>>721
いつも通り本の整理をしていると急に視界がぐらついた。
疲れてるのかな? そう思った矢先
図書館の床が目の前に迫り、意識が消失した。
気がつくと俺はベッドに横になっていた。
どうやら気を失っていたらしい。
上半身だけ起こすと濡れタオルが額から落ちてきた。
「あっ!!」
声のした方を見ると椅子に座っていたらしい小悪魔が立ち上がり
「今パチュリー様を呼んできます」
と言うと駆け出していった。
しばらくするとまた走る足音が聞こえてパチュリーが部屋に入ってきた。
彼女はホッとした様子で
「良かった」と言った。
「心配させちゃったみたいだな・・・すまん」
「いいわよ、別に。 薬作ってきたから飲んで安静にしてて。
一応試しに飲んでみたけど副作用もないし、安心して飲んで」
そう言うと半透明の液体が入ったグラスを渡してきた。
色は悪くないが・・・一応覚悟して一息に飲み干す。
味も思ったほど悪くない、というかむしろ良い方だ・・・が。
このグラスの底に残ってる虫の足みたいなのは何だ?
「な、なあパチュリー。 この薬って原材料はなんだ?」
「どうしてもって言うなら教えてあげるけど、聞かない方が良いと思うわよ」
彼女がそういうなら本当に俺が知らない方が良い材料で構成されているんだろう。
知らぬが仏、俺は訊かない事にした。
「なんか、普段と立場が完全に逆だな。
いつもなら俺が看病する方なのに・・・面目ない」
「気にしなくていいわよ、とにかく大事じゃなくて良かった」
微かに賑やかな音が聞こえる
「今夜もレミリアさんの気紛れパーティーか」
「皆大騒ぎしてる、まったく人の気も知らないで」
本当に心配かけちまったな・・・
「今後はもう少し健康管理に気をつけるよ。
そんな顔するなって、美人が台無しだぞ?」
そういって笑いかけると彼女も笑みを浮かべた。
「それよりお前は大騒ぎに参加しなくて良いのか?」
「今日はいいわよ、毎回参加してたら身がもたないし、貴方の看病もあるし、何処でもやる事は変わらないしね」
そう言うと脇に抱えていた分厚い本を見せた。
「そうか、じゃあ俺は大人しく横になってるから心配しないで読書してくれ。」
「必要な物があったら言って、すぐに用意するから」
そういうとベッドのそばの椅子に座って本を読み始めた。
しかし読み始めてすぐ「あ」と思い出したように声を上げると本から顔を上げて
少し迷うようにしてから
「添い寝、してあげましょうか?」などと言ってきた。
「おいおい、風邪だったらどうするんだよ」
「たぶんただの疲労だと思うから大丈夫」
「確かに咳も喉の痛みも無いが、本読むんじゃなかったのか?」
「寝ながらでも本は読めるし、問題ないわ」
そう言うと彼女はベッドに潜り込んできてうつ伏せになって本を読み始めた。
思わず抱き寄せる。
「ちょっと、 本が読めないんだけど」
「いや、つい。 もう少しこのままでいさせてくれないか?」
「別に・・・良いけど・・・」
遠く聞こえる喧騒の中で、ささやかな幸せを抱き締める
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最終更新:2010年05月16日 21:27