パチュリー11
10スレ目>>300
「結婚おめでとうございます」
「大変なのはこれからだがな――ありがとう」
図書館の外れ、物置同然の部屋で、カップを鳴らす音が響く。
部屋には、乱雑に置かれた雑誌類、古ぼけたテーブルと草臥れた椅子、
そしてそこに座り、カップの中身を消費する二人の人影がある。
あたりに漂う香りは珈琲。
昼間から酒を飲む趣味は、この二人には無いらしい。
「しかし――お前が自分からご足労とはね――『留年皇』」
人影の片方――作業着と思しき革のツナギ姿の小柄な青年が、黒い霧を吹いた。
もう一方、着崩した司書服の男は「ぅわ汚な」と、トレーでそれを回避。自分と周囲の本を守った。
「その名で呼ばんといてくださいorz」
「はっはっは」
お互いの存在を知ったのは、互いの伴侶の邂逅と時を同じくする。
とはいえ、何か大事があったわけではない。
『留年皇』の伴侶は、この館の庭の花園と、上質の紅茶を目当てに、時折ここを訪れる。
その折に、館の主は勿論、七曜の魔女と会うこともある。
ならば、その傍らに連れ添う者同士に縁があるのも無理は無い、というだけの事。
ごほごほと咽ていた青年が、それは置いといて、と話題を変える。
「まあ、困った事があったら、何でも言ってください。
人外付き合いも、結婚生活も、こちらの方が先達なので」
「あー、その事なんだが、な」
早速、相談がある――。
そんな色がありありと現れた表情で、司書の男はしかし、言い淀んでしまう。
作業着姿の、まるで用務員のような青年は、それを茶化す事も急かす事もせず、ただカップの中身を継ぎ足し、言葉を待つ。
ややあって、言葉を選びながら、重々しく沈黙が解かれた。
「うちの奥さんさあ――嫉妬深いんだよ」
「まあ良くある話です。でもどんな風に?」
努めて軽く、しかし真剣に。
聞き上手の手本のような仕草で、意見を聞き出して行く。
「特にきついのが、視線の置き方でな?
ほら、黒いのとか人形師とか、色々客が来るだろ?」
成る程、と思案げに目線を天井へ向ける用務員。
「あの人たちも可愛いですからね」
「ああ。パチュリーが一番愛らしいがな」
「でも、パチュリーさんは、その気持ちを汲んでくれない、と」
話が早い。と諸手を上げ、司書は「降参」のジェスチャーを示した。
「元を辿れば、騒動の一因だからな。
そこが可愛い所でもあるんだが――あんま頻繁だと、お互いに宜しくない。
――単刀直入に言うが、良い知恵は無いか?」
上手く、場の空気を和らげられれば良い。
とは言っても、普段が比翼連理を地で行く間柄である。
どちらかが折れる、譲るというのは、互いの性分に合わない。
「――ふむ」
ひとつ、思い付きました、と。
作業着のポケットの一つから、何かを差し出す用務員。
「……グラサン?」
「ミラーシェイド、っていうとお洒落ですよ?」
縁が無く、蔓は鍵型ではなく棒状で、ただ骨格に適度な弾力でフィットし、保持されるタイプの色眼鏡。
職業柄、日向の苛烈な日差しから目を守る目的で、掛けているのだという。
司書は訝しげながらも手に取り、それで、と先を促す。
「目線を隠せます」
「あー?そりゃ尚の事失礼だと思うんだが」
だからですね、と。
用務員は、ある台詞を呟いた。
「……そりゃ、用法が違わないか?」
「いえ、だから、ちょっと捻った使い方を」
そうやって、青年のレクチャーは続いた。
最初は不審げだった司書の顔も、徐々に合点が言ったのか、頷きが深くなっていった。
「いやー、あのフラワーマスターを口説き落としただけはある」
「雑学が多いだけですよ」
「まあ確かにそんなに趣味人じゃあ、留年もするわな」
「……一言余計ですorz」
――そして、実践編と相成る。
先制から、司書の奇行は極まっていた。
「あ、あのー○○さん?」
「何だ?」
「し、室内でサングラスを何故?」
「ミラーシェイドだ――格好良いだろう?」
薄暗い室内で、必要も無いのに色眼鏡を掛ける男。
幸か不幸か、精悍な顔立ちに、その鋭角なワンポイントは、意外なほど似合っていた。
だが、そんな彼の姿に、終始不機嫌な者が一名。
「目悪くなるぜー?」
「お気遣い有難う、魔理沙――おや、リボンの色を変えたのかい?お洒落だね」
「……お前、やっぱそれ外せよ」
黒白に楽しそうに世辞を吐き。
「アリスこんにちは。えーっと、今日連れているのは――上海?」
「違うわ」
「じゃあ蓬莱」
「オルレアンなんだけど」
アリスと漫才をしてみたりするが。
「……」
「ぱ、パチェ、目が怖いわ」
「あらレミィ、大丈夫よ?私は絶好調。
――今なら、ロイヤルフレア詠唱破棄出来そうな程度には」
よりにもよって、今日一日。
パチュリーの方は、一度も向いていないのだ。
魔女の機嫌は、見る見るうちに悪くなり――
べきり、と。
鈍い音を立てて、魔道書の鉄と革の装丁に、その細い指が突き立ち。
それを見たレミリアが、全速力で図書館から逃げ出した。
「どういうつもりよ!?」
「何を?」
「な――それを私に言わせる気!?」
「まあ怒鳴るなパチュリー、目が血走っているぞ」
「貴方のサングラスが赤いのよ!?」
「ミラーシェイドだ」
「どっちでも良いわよッ!!」
案の定、その日の暮れに、とうとう爆発。
夫婦喧嘩の時間と相成った。
ただこの光景もまた、いつもとは違っていた。
一方的に捲くし立てるパチュリーに対し、彼は反論するでもなく、ただ曖昧に応答するのみ。
口論というよりは、一方的な小言であった。
「……聞いているの?」
その態度に、息を整えて、しかし声のトーンを落として睨み付けるパチュリー。
もはや険悪な空気が渦巻いて見えるような状況で――
「聞いてない」
「――え?」
男が、意外な一言を放った。
男は漸くミラーシェイドを外し、目頭を揉みながら、あのな、と続ける。
「――『眼鏡の下は、別の女性を物色中』って台詞、知ってるか」
「……ええ、身分を偽る影武者の女王に対して、側近の男が吐いた台詞ね」
『眼鏡の上からは、仕えるべき人として。眼鏡の下では、愛しき女として』。
そんな意味の込められた、この上なく芝居がかった台詞。
「って説明に――」
「違う。俺の場合は、そんなに捻った使い方はしてない」
訝しがるパチュリーの目の前で、「あー目が痛え」と呟いた彼の瞼が、漸く開き、
真剣そのものの視線が、パチュリーの瞳を射抜く。
それまでの態度から一転した彼の様子に、先程までの剣幕は何処へやら、
パチュリーの瞳は、戸惑いと、一抹の不安さえ見せていた。
それを、静かに見つめて、さて、と一息。
「じゃ、パチュリーはずーっと俺を見ていたわけだ?」
「……ええ、見ていたわ」
「なら答えられるな――問題です」
その一言と共に。
「!?」
彼が一息に踏み込み、パチュリーに詰め寄る。
背後の本棚に両手を置き、彼女の左右を塞ぐ様に詰め寄った。
互いの吐息を、鼻先に感じるほどの、至近距離。
あまりの強引且つ脈絡無いその展開に、魔女はとうとう怯えの色さえ見せ始めた。
しかし、彼はその強引な態度と裏腹に――
「今日一日、俺がパチュリーの顔を、どんだけ向いていたっけ?」
努めて、優しい声で、呟いた。
「……」
何を言われたのか、解らない。
そんなパチュリーの表情が、数秒ほど続き――
「!!」
一転。
普段血色の悪いその容貌が、紅一色に染め上げられる。
そう。
彼は一度も、パチュリーを見ていないのだ――眼鏡の上からは。
「……以上、説明終わり」
その姿に、してやったりな笑みを浮かべる。
あんだすたんど?と回答を求める彼に、蕩けた表情のまま、彼女は辛うじて頷いて見せた。
「さて、じゃ――埋め合わせだ」
その彼女との距離が、零になる。
「ん――!?」
あまりに唐突で、強引なキス。
パチュリーの目が一瞬、驚きに見開く。
「――」
だが、彼は止めない。
優しく、だが硬く彼女の身を抱き寄せ、その唇を音を立てて味わう。
「――ん――む――」
彼女もまた、身体の力を徐々に抜き、彼の背に手を置き、身を預けていった。
「――は」
彼女の無呼吸記録を軽く塗り替える時間を置いて、二人の唇が離れる。
恍惚に震える彼女は、残滓を取り払うのももどかしく、
「……○○……○○……」
熱に浮かされた声で、愛しい人の名前を呼ぶ。
「……二人っきりの時は」
その声に答えるように、彼は、想いの丈を言葉に乗せた。
――ずっと、君だけを見ているから。
彼女は、涙さえ流して、彼の瞳を見つめ返し――
「見るだけじゃ……嫌」
自分より背の高い彼を、抱き寄せる。
彼の身体は、軽いはずの彼女の重みに負けて、次第に下がり――
「――確かめて。確かめさせて」
かしゃん、と。
彼が手に持っていた色眼鏡の落ちる音がして。
ランプに照らされた、二人の影が、重なった――。
「おう留年皇!やったぞ!」
「それはそれは――って留年皇言うな!?」
「しっかし、よく思いつくな!?あんな臭い言い回し」
「あー、あのですね」
「ん?」
「実は、試したんですよ」
「あの、花のお嬢さんにか」
「結果、どうなったと思います?」
「さあ?」
――色眼鏡で私を見るたあ良い度胸ね!!
――え?いや、これは色々と事情gあー
O)))) _/L
「見事に首が飛びましたよ。
問答無用、前座の仕込みも出来ませんでした。
いやー、見事に残機、減りましたねぇ」 ←※現在、蓬莱人
「そ ん な も ん を 俺 に 勧 め た の か ッ !!?」
「まあ貴方ですから。
ほら、本読んでいるから、語彙とハッタリでどうにでも――あ、待ってください、椅子はヤバイd」
「そ の 首 貰 い 受 け る ッ」
(豪快に何かが飛び散る音がしました)
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7スレ目865
〇〇「いきなりだが魔法を教えてほしい」
パチュ「本当にいきなりね」
〇〇「頼む!」
パチュ「却下」
〇〇「うう。……いいよ、アリスに頼むから」
パチュ「―― 待ちなさい」
〇〇「なに?」
パチュ「魔法は明日から教えてあげる。だから、アリスの所には行かないで」
〇〇「ん、わかった。今日はパチェで遊んでる」
パチェ「……好きなだけ遊びなさい」
どうやって遊ぶのかは内緒
というか思い付かぬ
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7スレ目868
「…で、パチェで遊ぶと決めたわけだが! ……何しようか」
「その前に、『で』じゃなくて『と』でしょ」
「んにゃ、『で』が正しい」
「妖しい響きね……。それで、具体的には?」
「とりあえず乳繰り合おうか」(ワキワキ)
「え……何その手!? ちょっ、待って、心の準備が……」(後ずさり)
「問答無用っ!」(こちょこちょ)
「ぁ……ダメっ・・・…そんなとこ…触られたらっ…!」(頬を染め)
「へっへっへ、可愛い声出すじゃねぇか嬢ちゃんよ」(興奮してきたお)
「んっ! だめ……だって、ふぁ……」(口が半開きになって)
「へっへっへ、観念しなっ」(やめられないお)
「ふぁ…………ふぁ……………………ふああああああっくしょん!」
「……………………パチェ」
「ななななに!? ○○が悪いのよ! あんなとこ触るから!」
「だからってくしゃみは無いと思うぞ」
「うるさいわね! とにかく、謝りなさい!」
「何で俺が…………」
「うるさいうるさいうるさい! あやまれ~~~~!」(じたばた)
「はいはい、すみませんでした」
「むきゅ~~!! 誠意が感じられないっ、もう一回!」(じたばた!)
「…………(なんでツンデレ仕様なんだ)」
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7スレ目871
〇〇「……仕方ないなぁ」
ぎゅっ
パチェ「ひゃっ!いきなりなによ」
〇〇「ごめんね、パチェ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」
パチェ「わ、分かればいいのよ」
〇〇「ありがとう」
パチェ「何で礼を言うの」
〇〇「? パチェが許してくれたからだよ」
パチェ「そう」
〇〇「さて、改めてパチェで遊ぼ「却下」えー」
パチェ「『と』ならいいけど『で』はダメ」
〇〇「そっか。……たまには無理矢理もいいよね?」
パチェ「無理矢理って―― ちょっと、本を取らないで」
〇〇「駄目。今日はパチェには抱き枕になってもらうから」
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7スレ目962
○「パチュリー」
パ「…………」
○「ぱっちゅさーん」
パ「…………」
○「パチェー」
パ「…………」
○「紫もやしー」
パ「…………」
○「……反応無しですか」
スゥーーーーーー
○「パチュリーーーーーーーーー!!!」
パ「不下うwさmさえふぃh&7dふぇえw8!!??」
○「ああ、やっと気づいたか」
パ「ま、○○?なによいきなり大声出して」
○「何って何度呼んでもパチュリーが返事をしないから大声出して呼んだだけだ」
パ「……悪かったわよ」
○「で、なに読んでるんだ?」
パ「○○には関係ないことよ」
○「ふ、お前のことで俺に関係ないことなんて一つもないんだよ」
パ「…………馬鹿」
○「と、言うわけでパチュリーが読んでる本GET」
パ「あ……」
○「結婚雑誌?」
パ「な、なによ悪い?」
○「いや悪いなんてことはないけど……パチュリーって結構結婚願望あるんだなーって思ってさ」
パ「べ、別に結婚願望があるわけじゃないわ、ただ……」
○「ただ?」
パ「ま、○○と結婚したいと思っただけよ////」
○「うおぉーーーーーー!!パチェーーー!!好きだーーー!結婚しよーーー!!」
だきっ!
パ「むきゅー!?」
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うpろだ547
「……ふぅ」
手が届かない。どうしたものか。
目当ての書籍を前にして、悩んでいると
影が私を覆った。
「はい、どうぞ。パチュリー様」
「あ、ありがとう、○○」
(いつのまに後ろに……?)
「そこの本棚に用事があったのですよ。苦戦しているパチュリー様が見えましたので、そのついでです」
尋ねてもいないのに答えが返ってくる。
(顔に出ていたのかしら……それよりも)
"苦戦している"、ということはとどのつまり。
ジャンプやら背伸びまでして取ろうとしていた姿を
(見られてた――!?)
最初から見ていたのならすぐに手伝いなさい、と叫ぼうと後ろを振り向いた時には既に遅く。
彼は遠い本棚の隙間へと消えていた。
彼が、どうして此処へ来たのか、私は知らない。
この館の主である吸血鬼のレミリアにどういうわけかいたく気に入られ、
身の回りの世話はメイド長がしているということで図書館の司書に、ということだった。
人間にしては細かい所まで目が行き、司書としての働きは悪くない。
何しろ乱雑に並んでいるだけだったこの図書館の膨大な書籍を
彼は一月足らずで分類別、かつアルファベット順に並び替えるという所業をやってのけたのだ。
それは知識を得ることが容易になったということでもあり
私にとっては、とてもありがたいことでもあった。
司書として優秀なのは上述した通り、なのだが
彼は一切の素性を伏せている。
「別にいいじゃないですか、そんな事」
といって、何度尋ねても笑って誤魔化す。
そもそも、レミリアに何の段取りもなく謁見したということは、あの門番を倒してきたということで。
(……ただの人間に、役立たずとはいえあの門番が倒せるのかしら)
只者ではないということは確かである。
「よし……と」
今日の仕事も滞り無く終わった。
魔理沙という魔法使いの少女が、「読み終わったから返すぜ」と
3ケタになろうかという本を持ち寄った時にはさすがに面食らったけれど。
いつものようにパチュリー様は本を読み耽っている。
本当に知識欲が旺盛な方だ。
件の本の山もようやく棚に戻し終え、帰りに苦戦するパチュリー様を手伝い、今に至る。
「さて、やることが無くなりましたね……どうしましょうか」
家事に関しては一般人程度にはできるものの、この館のメイド長には遠く及ばない。
手伝おうかとも思ったけれど、また「私の仕事までやらなくてもいいのよ」とやんわり拒絶されそうだ。
(お茶を淹れるくらいなら問題は無いでしょう……さて、キッチンはどこでしたっけ)
廊下を歩いているメイド(妖精)の誰かに尋ねれば分かるかな。
パチュリーの反応楽しみにしつつ、鼻歌交じりで廊下へ続くドアを開けた。
「あら、○○。仕事はどうしたの?」
廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おや、咲夜様。本日の仕事でしたら、全て滞り無く終わりましたよ」
「途中で魔理沙が本を返しに来たはずだけど、それも含めて?」
「ええ、勿論」
「まだ夕刻には程遠いのに……凄いわね」
感心するように溜息をつく咲夜様。
「それ程の事でもございませんよ。図書館という、小さな空間での事ですから……それよりも、昨夜様?」
貴方に言いつけてある仕事の量なら、夜までかかるはずなのだけれど、と呟いていたメイド長に、尋ねる。
「あ、ええ……何かしら?」
「キッチンは、どこでしょうか?」
「さて、こんなものでしょうか」
咲夜にキッチンの場所、ポット、茶葉、ティーカップの在処を尋ねた後、別れてからキッチンに辿り着くまでおよそ15分。
(想像以上に広いですねぇ、この館は……)
妖怪の類や、人間のハズなのに飛べるメイド長からしたら短いのかも知れないけど、徒歩ではいささかキツい。
「保温ポットが確かここに……ああ、ありました」
時間を考えると淹れてからそのまま図書館に戻るようでは冷めてしまう。
淹れたお茶を保温ポットに移しなおし、腕に抱えて歩き出す。
(喜んでくれるといいのですが)
「パチュリー様? ああ、そちらにいらしたんですね」
「○○? どうしたの?」
「いえ、喉が渇いたかと思いまして。お茶をお持ち致しました」
壁の時計を見やる。丁度アフタヌーンティーくらいには丁度いい。
要不要の声も聞かずにポットからカップへお茶を注ぐ○○。
ただし、そのお茶は暗がりで見てもやや青い。
「……何ソレ、毒?」
今まで見たことがない色のお茶であったため、少々警戒を抱く。
「まさか、とんでもない。私も飲むのに毒を入れるわけが無いじゃないですか」
そうして淡々と二つのカップにお茶(?)を淹れ終わり、私に一つ差し出す。
「では、ご賞味くださいませ」
「本日のお茶はマロウブルーティーです。ちょっとしたハーブティーですよ」
喘息持ちの彼女の為に、直接的ではないが、喉へ良いと書かれていたお茶を差し出す。
まさか茶葉の棚にハーブティーまであるとは予想もしていなかった。
普通の紅茶を淹れようと思っていたのだが、目的のハーブを見つけたのでそれを淹れることにした。
「効果は?」
「さて。"知識"の名を冠す貴女なのだからもうご存知だと思っていたのですが」
「もったいぶらずに教えなさいよ」
「万病の予防になると言われています。喉や声に特によく効くのだとか」
素っ気無く言い、そのまま自分の分に口をつける。うん、苦い。
彼女の分には砂糖を一応つけておいたのだが、自分のを用意するのを忘れるとは……不覚。
「それなりに苦いですから、砂糖をつけることをオススメしますよ」
ちょっと顔をしかめつつ、笑顔で忠告をくれる○○。
なんでこうも気がよく回るのだろう。
なんでここまで優しいのだろう。
何故、色んなことを知っているのだろう。
私でも知らないことが、あるのに。
「パチュリー様?」
呆けてしまっていたらしい。私としたことが。
「え、ええ……わかったわ。ご忠告ありがとう」
「どういたしまして。残りはここに置いていきますね。保温ポットですからしばらくは持つはずです」
「貴方はどうするの?」
「明日の仕事になりそうな事をあらかじめ片付けておきます。
カップ等を下げたくなったらお呼び下さい。すぐに参ります」
それだけ言って自分のカップを手に踵を返す○○。
「ねえ、○○」
ふと、口から零れてしまった。
「どうかしましたか?」
「これからは、私のことは呼び捨てでいいわよ。何ならパチェ、でもいいわ」
彼の事が、もっと知りたい。
私の中の知識欲に、小さな火が灯る。
「しかし、貴女は私の主の御友人。そうそう無礼をはたらくわけには」
「良い、と言っているのよ。わからないなら命令よ、コレは」
「……承知致しました。パチュリー。…これでよろしいですか?」
「ええ。下がってもいいわ」
「御意に」
彼の姿が見えなくなってから、自分の顔を抑える。
(言っちゃった…言っちゃった…!)
今、顔はきっと火のように赤いのだろう。
でも、それはそれで良かったような気もする。
これから、少しずつ仲良くなればいいのだから。
少しずつ、知っていけばいいのだから。
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8スレ目 >>562
「あら○○、お茶の時間かしら」
「はいパチュリー様、レミリア様が呼ばれていますよ」
「ありがと・・・どう?紅魔館にはなれたかしら?」
「・・・まぁ、まぁと言った所です」
少し言いよどんで眼を背けた
その様子からまだなじめないでいるのは解かる
「・・・人間と言うのは慣れるイキモノよ、人間だった貴方も例外ではないわ」
「そう・・・だといいんですが」
「慣れるわ、人間は人殺しすら慣れてしまうもの」
そう言って彼女は可笑しそうに笑った
俺を残して彼女はお茶を飲みに行った、俺はとんでもないところに来たと再認識した
「あら・・・何をやってるの?」
「あ、パチュリー様、少々散らかっていたので本の整理を・・・埃も溜まっていますよ、喘息にはよくありません」
「・・・あ、ありがと」
そのまま片づけを再開した、埃が立つので数冊の本を持って出て行ってもらった
「何か片付けが楽しくなってきた・・・」
「おいパチュリー!本を借りに来たぜ!」
ドアを乱暴に開け放ち白黒が登場した
「出たな白黒!この図書館は清掃中だ!貴様の好きにはさせん!!」
「おのれ○○!またしても私の邪魔をするか!」
なんとノリのいい魔法使いだ、絶対特撮見てやがる
「と、言うわけで清掃中だ、悪いが今日は帰れ」
「ああ、邪魔して悪かったな、仕事がんばれよー」
立った数分で退場、白黒の出番は基本的に少ないらしい
ふいてはわいて、本を整理して、一段落したので開けている窓を閉めようと
「え?」
うっすらとだが空が白み始めている
「・・・徹夜か・・・パチュリー様怒ってるかな」
「怒ってないから安心しなさい」
「そっかーそれなら・・・!?パチュリー様!」
「おはよう○○、もう6時ぐらいかしらね」
図書館を見て回るパチュリー、それをびびりながら見る○○
「綺麗になったわね・・・ありがとう○○この図書館も喜んでると思うわ」
「い、いえもったいないお言葉です、はい」
「ふふふ・・・いい子ね、使い魔にしたいぐらい・・・レミィ怒るかしら」
「そ、それは」
「その気になったらいつでも言いなさい、すぐに僕にしてあげるわ」
「は、はい考えておきます、それでは」
彼女の読書を邪魔すまいと思い図書館を去ろうとしたとき
「○○・・・本当に色々と、ありがとう」
今世紀最高(当社比)の笑顔をくれた、朝日をバックにした彼女の笑顔は最高だった
「眼がー眼がー!!灰にー」
日の光を浴びる莫迦な吸血鬼、色々台無し
終
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9スレ目 >>269
あー、パチュリーに言われてお届け物だ。
中身はクッキーだったかな。
「本に書いてある通りに作ってみた。甘い方がいいだろうから砂糖は大目よ」
だとさ。横で作るの見てたんだが、一掴みくらい入れてたか、砂糖。
まあ、いいだろ? 恋は甘い方がいいに決まってる。お菓子だってそれさ。
受け取ってくれよ
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9スレ目 >>442-443
霧に煙る朝の湖。
こんな日くらい、湖岸の散歩を楽しんでも良いじゃないか。
そう自分に言い聞かせる。
単にパチェに貰った飛翔の呪符の更新を怠って、
他に手段が無いという切実な現実はあえて忘れよう。
借りている薄めの一冊の本の他、大した荷物もないし、
それにもう間もなく着くはずだ。彼女の住む館へ。
「あ、○○さん。おはようございます。珍しいですね、歩いてこられるなんて。」
「おはようございます。美鈴さん。朝から大変ですね。」
紅魔館の門番、紅美鈴さん。始めてきた時に、パチェが図書館を始めたという話を
聞いてなかったらしく、通す通さないで散々揉めたのを思い出す。
そういえば、図書館を始めたという話は誰に聞いたんだったか……。
解決しない思考を振り払って館に入ろうとすると、
「あ、ちょっと待ってください。」
呼び止められた。
近くに来て真面目な表情でじっと見つめられる。
「んー、やっぱりいよいよですか。頑張ってくださいね。」
にやり、と笑って門へと戻っていく。
良く解らない人だ。悪い人ではないのだが。
大図書館の大きな扉の前。そこで意外な人が待っていた。
紅魔館の主
レミリア・スカーレット嬢、朝方とはいえ、
日が出てる間に活動してるのを見るのは稀だ。
「まったく、なんでこんな奴が……。」
小声でそう呟くのを聞いた時、突然思い出した。
パチェが図書館を始めたのを伝えにきたのはこの人だった。
そのときも「まったくなんでこんな奴が……」と呟き、そして手書きの
チラシを1枚渡して帰って行ったんだ。
「あの……。」
なんと言おうか考えてるうちにレミリア嬢はふい、とそっぽを向いて霧になって消えた。
何が言いたかったんだろう。微かに苛立ちを覚えないではないが、相手が悪すぎる。
大図書館、いつもの場所でパチェは本を読んでいた。
とりあえず、本を返し、新しく一冊の本を借り、
本を読むパチェの隣で読み終わるのを待つ。
パタンと本を閉じ、次の本を取ろうとするパチェの手を掴み、
意を決し今日来た一番の目的を告げる。
「パチェ……。」
振り返るその顔を正面から見つめ、言う。
「パチェのことが好きだ。」
しかし、パチェはスッと目を細め、そして何事も無かったかのように
本を手に取り読み始める。
色々な反応を予想してはいたが、これはまったく予想外の展開だ。
「えっと……「それで。」
言いかけたのを遮ってパチェが言う。
「○○は、それでどうしたいの?」
本から顔を上げずに続ける。
「人が人に好きだというのは大きく分けて二つの意味があるわね。
一つは相手への揺さぶり。その発言によって相手に動揺をもたらし、
釣り橋効果で自分への好意を引き出そうとする利己的な物。
もう一つは宣言。自分は相手が好きだと宣言した以上、相手に対する行為は
その宣言のもとに許されるという傲慢。いずれにしても美しい物ではないわ。
大体、あなたは人間、私は魔女。魔女の存在は人の隣にありながら常に妖怪を指向する。
けして交わる事の無い平行線。死する運命を持つ物に永遠は理解できない。」
早口で言い、そして更に続けようとするパチェを制して言う。
「解った。ごめん。」
それだけ言い残し、大図書館を去る。
深夜、パチュリーは紅魔館の主のもとを一人、訪れる。
「レミィ、私……。」
「それ以上言う必要は無いわ。」
夜の王は言い放つ。
「何が起きたのかも何を思っているのかもこれからどうなるのかも、
すべて知っているけど私の言うべき事は一つね。
貴女が思い感じたとおりに行動しなさい。運命は人の意思が作るべきもの。」
「うん…………。」
パチュリーの去った部屋でレミリアは一人呟く。
「まったく、なんで私が恋愛相談なんかに……。」
「嫉妬ですか?」
咲夜の声が答える。
「貴女、何時からそこに居たのよ。」
「最初から控えておりました。」
「まぁいいわ。それにしても私なんて500年も生きているのに、
パチェはまだ100年かそこらのひよっ子じゃない。なんか悔しいわね。」
「あら、この場合年は関係ないかと思います。それに……。」
「それに何よ。」
苛立った声でレミリアは問いただす。
「レミリア様には私が居ますわ。永遠に。そういう運命ですもの。」
「咲夜、運命という言葉を軽々しく使うのは」
「人の意思の作るもの、そうでございましょう?」
「ふん」
馬鹿にしたように、しかし何処か嬉しそうにレミリアは笑った。
翌日、昨日借りた本を結局持ってきてしまったことに気付く。
気は進まないが、返さないわけには行かないだろう……。
義務感から紅魔館を訪れるが、門番の姿はおろか妖精メイド一人すら見かけない。
多少不気味ではあるが、しかし誰にも顔をあわせずに済むなら寧ろその方が好都合か。
そっと図書館に本を返し、帰ろうとしたその時、
「○○っ。」
パチェの声がしたように思った。おそらく幻聴だろう。
まったく未練がましい自分が嫌になる。
振り返るのも癪なのでそのまま帰ろうとしたら、今度は袖を掴まれた。
「待って、○○。」
必死の形相で引き止めるパチェを胡乱げに見つめる。
「あの……私○○に酷い事を。あの時私、嬉しくて、恥ずかしくて、どんなキモチで
○○が言ってくれたのか解ってたのに、私……卑怯だ。もう、○○はこんな私のこと
嫌いかもしれないけど、それでもこれだけは言わせて。私、○○の事が好きだった。
ずっと前から好きだったの。」
そう言うパチェの肩に手を置いて、答える。
「―――――――――――」
一羽の蝙蝠が、音も無くその場を離れていった。
───────────────────────────────────────────────────────────
9スレ目 >>490
「・・・」
「・・・」
2人きりの空間に2人がページをめくる音だけが響く。
「・・・」
「○○。 本取って来て頂戴。 ××の棚の△△っていうタイトルの」
「分かった。 ちょっと待ってろ」
奥に本を取りに行く。
「これで良いんだよな?」
「ありがとう」
再び2人、それぞれの本のページをめくる。
「失礼します」
咲夜さんが入ってくる。
「パチュリー様、お茶を御持ちしました」
「悪いわね」
「咲夜さん、お疲れ様です」
咲夜さんが退室した後、お茶を飲みながら、再び静かに時が過ぎて行く。
紅茶に落とした角砂糖が溶けるように、ゆっくり、ゆっくりとした、
それでいて甘い時を過ごす。
2人に言葉は必要ない。
お互いにそこにいるだけで良い。
今日も紅魔館の一室に、甘く静かな時が流れる。
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9スレ目 >>561
最近心が不安定になっている
本を読んでも内容が入ってこないし
魔導書を書こうと思っても思うように書けない
理由は分かってる
彼と……○○と出会ってから私は不安定になってきている
最初に会ったのは魔理沙が何時もの様に
本を借りると言う名の強奪をしに来た時だ
なんでも外の世界から来た魔法使いだそうで
魔理沙の話を聞いてここに興味を持ったらしい
まるで子供のような顔をしてきょろきょろと図書館を見るその姿を見て
呆れるよりも何故か微笑ましく思った
思えば一目ぼれだったのかもしれない
だから今は言えないけど近い将来私は必ず貴方に伝えるわ
「○○、私は貴方のことを愛している」って
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最終更新:2011年02月26日 12:10