咲夜6



6スレ目>>121-124


121 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/12(日) 02:16:31 [ 3xLW6UFg ]
あーあ、抱いてもいいのよとか誘惑してきたさくよさんをただぎゅっと抱き締めて
ちょっとだけ困惑されつつもそっと抱き締め返されてそのままほんわかのんびりしたひと時を過ごしてーなぁー


122 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/12(日) 11:56:56 [ KTEsP7Cg ]
 >>121
さくよさんと申したか


123 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/12(日) 15:17:41 [ 7/c0..Vw ]
 >>121
さくよさん? 咲夜さんじゃないの?
ところで、スレちがいで申し訳ないが。
貴方に合うSSを探すスレで紹介している以外に、オリキャラ(ドーリム)小説がのったサイト誰かしらない?


124 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/12(日) 15:25:26 [ N6O1WR7U ]
 >>121を見て本の精を思い出した。
で、>>121の内容で本の精を書いてみる。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「〇〇、私を抱いてもいいのよ」
咲夜(さきよ)がいきなりそんな事を言って来た。
次の瞬間、俺と咲夜は自分の部屋に移動していた。

―― 恐らく時を止めたのだろう

俺は無言で咲夜に近づく。
「(……所詮は元人間か)」
咲夜は何かを呟いた。
その目に映っているモノ、それは失望。
俺はそれに気付かずに咲夜を抱きしめた。


―― 数十秒経過


「…〇〇 ?」
咲夜は抱きしめられたまま困惑したような声で俺の名前を呼ぶ。
「んー?」
俺は咲夜の温もりを感じながら、生返事を返した。

……やばい。なんか、眠たくなって来た。

「どうして ?」

何が【どうして】なのかよく解らない。半分寝ている頭をフル回転させて考える
が、全く解らない。

「俺は咲夜が抱いていいって、言ったから抱きしめたなんだけど……」

咲夜はキョトンとした後、笑いを堪えるように肩を震わせる。

その瞳から失望の影は消え、あるのは【呆れ】と少しの【喜び】だった。


そして、現在の情況に今気がついた様に赤くなり、おずおずと俺の身体を抱き返
した。


残り頁数

      ――????頁


6スレ目>>223-230


223 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 05:25:50 [ ZUVDTdVQ ]
「咲夜さん!! 俺、貴女の事が――ってか既にいないし! 消えたし!」


224 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 05:45:38 [ aB4sagP. ]
斬新な振られ方だw


225 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 06:41:19 [ JhUuo/D2 ]
そこは恥ずかしがって逃げたに90crn


226 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 14:03:24 [ x3eeEr8E ]
いやいや、幻想郷を出る日がかならずくるから故意に避けてるんだよ。


227 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 14:07:04 [ NwuH/ogg ]
良い方に解釈すれば廊下の影あたりで真っ赤っか……かな。


228 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 15:02:19 [ pYWeKQjI ]
そして、廊下の影から○○を見つめるようになる……かな。


229 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 21:38:16 [ QlRGW/MI ]
更に後ろの影からお嬢様が恨めしそうに見つめるように……かな。


230 名前:名前が無い程度の能力 投稿日: 2006/11/21(火) 21:45:10 [ jtJDY/4g ]
 で、その事をお嬢様に見られてさらに赤面……かな。


6スレ目>>570


歪んだ世界の中を歩いていく。数歩先に見えるのは鬼火。それ以外は出鱈目としか言いようのない空間。
鬼火は道標、この空間で迷わないためのもの。これが無ければ自分自身も出鱈目の一部になってしまう。
どれぐらい進んだだろうか。鬼火の火が広がり、空間の一部が穴になった。

――その先に見えるのは最近になってありつけた就職先。

穴をくぐり、地面に足を乗せ……られなかった。
「だぁっ!?」
急に足場が無くなり、思わず声を上げる。そのまま回転し、地面に一点倒立。
……要は着地に失敗して頭からまっ逆さまに落ちた。
「ぷっ、ぷくくく……」
「……っ、くくっ……」
周囲から笑いが漏れる。……よりによって門の近くで降ろしやがって。
「……警備のメイドさん達?頼むから根っこになった俺の頭を地面から抜いてやってほしいんだけれど」
俺の台詞を聞いた瞬間、門の向こうにいたメイド達が爆笑し……

突然、頭で立った。

この言い方は正確じゃない。詳しく説明すると『爆笑していたメイド達が次の瞬間杭のように逆さまになって地面に突き立ってた』、ということだ。
しかしスカートは裾を紐で縛ってあって捲れていない。……くそう。こういう場合はおふぁんつも丸見えだろうが。
「お帰りなさい、__。荷物はちゃんと紫に頼んだかしら」
そして背後に気配。……どうやったのか考えたくは無いがこの惨状(男的な意味で)の犯人であり、俺の上司でもある人。
「ええ、食料品は食堂の保管庫、消耗品は備品倉庫の方に頼みました。……というか抜いて下さい。これじゃあ生殺しですよ咲夜さん」
スカートの中身を見られたくないからという意外に乙女ッチーな理由で俺の後ろに立った咲夜さんが、思いっきり俺の頭を蹴り飛ばした。
「あだぁっ!」
首の骨に負担がかかり、ちょっと嫌な音が鳴った。
「ふざけていないで納品数のチェックをしなさい。特に食料品は見直しをちゃんとお願いね。場合によってはいろいろしなくちゃいけないから」
何をですか!?そう聞けないのがつらい。
「……わかりました」
痛む首を押さえ立ち上がる。しかし誰もいない。
「相変わらず多忙な人だな……」
ふと地面を見るとメッセージが。
『ポケット』
すぐに今着ている服のポケットを探す。すると紙片が出てきた。
そこに書かれていたメッセージを見て苦笑する。
「……まったく」
そして、地面のメッセージを靴で消して、自分の勤務に戻るために目の前の館……紅魔館へと走った。

      ***   ***

少し前まではただのイチャスレ閲覧者だった自分が、まさか本当にこちら側へ来れるとは。
幻想郷に着いたとき、最初に思ったのがこの一言だった。
着いた当初はとりあえず村に住まわせてもらい、畑を耕したりしていたが、『ちょっと待て』と心の中で突っ込みを入れられた。
『畑仕事してないで少しは東方キャラと仲良くなろうぜ』
その一言から俺は鍬を放り投げ、受難の日々を送った。
語れば長い話を一気に省略し、現在は紅魔館の使用人として過ごしている。
というわけで、今俺はある部屋の前に立っている。服装は最初に着ていたよそ行きの服と違い、使用人としての制服を身に付けていた。
「メイド長、納品数の点検が終了いたしました」
公私で呼び方を変える性格なので、仕事中は名前ではなく役職で呼ぶ。
「そう、入って」
「失礼します」
中に入ると、咲夜さんが簡素な執務机に乗った書類に目を通していた。
「口頭で報告を頼める?」
「あ、はい。こちらに搬入された物資は搬入前から搬入後のマイナスはありませんでした。ただ……」
咲夜さんに言われ、点検の結果を報告する。
「ただ?」
「何者かがリストに書き込みを加えたようで、必要とは言えない代物まで購入させられましたが」
「……たとえば?」
声が低くなる。
「主に従業員の私物ですね。ゲーム、コミック……中には『おねがいレ○リア』というのもありました」
あえて伏字にしたのはうちの主の尊厳に関わるから、と言っておこう。
「まったく、困ったものね……」
さすがにあきれが行動に出たのか動いていた手が止まり、はあ、とため息をつく。
「いくら__が外の世界を行き来できるからって、呆れたものだわ」
ここで必要なものにはどうしても幻想郷には無い物資も存在する。だけに外の世界を知っている人間が必要だった。
最初のうちは咲夜さんが行っていたらしいのだが、メイド長としての事務もあるために時間が限られてしまう。
そういうわけで俺が来るまでの間はメイド達が交代で物資調達をしていたらしい。
しかし、たまに向こうの人間をいろいろな意味で食べてしまう不遜な者もいたらしく、博麗の巫女も正直頭を抱えていたようだ。
そこでつい最近まで外にいた俺が登場。身の安全と衣食住を保障され、めでたく買い出し要員としての地位を手に入れた。
「正直困りますよ。いつぞやなんて『セー○ームーン』全巻買って来いなんて指示もありましたし」
「馬鹿正直に買うあなたもあなただけれど、ね」
「まあ、セ○ムンについてはフランドール様の希望ですから」
メイドならともかく上司(?)、しかも能力が『すべてを破壊する程度』の妹様に逆らおうものなら残機がいくつあっても足りない。
むしろコンティニューすら出来ない。
「後はこれとか……ですね。メイド長、もとい咲夜さん」
俺が取り出したのは白い袋。
「何で名前で呼んだのかしら……って」
仕事中だというのにプライベートの呼び方を使った俺が気になり、こちらを向いた咲夜さん。
袋の中には一枚のチケットとそのおまけ。
「大丈夫です、他のメイドにも、ましてや紫さんにも気づかれてませんよ。……命がかかってますし」
実は買い出しに出る前に咲夜さんに一枚の紙と言伝を預かっていた。
『これの交換をお願いね』、と。
紙……引換票に書いてあった店名を見たら昔バイトしていたところだったり、咲夜さんってこういうのが好きなんだ、とか思ったり。
そんな感じで買い出し中に交換、彼女の即席スペル『ベクター○ラップ』で封印していた。
そして、冒頭に出てきた紙片にはこう書かれていた。『報告時にブツを持って来い』と。
「恥ずかしかったんですからね。ちょうど付き合いの長かった店長にレジやってもらって、その間ずっとからかわれっぱなしで……」
咲夜さんにブツ……劇場版プリキュア&デジモンのチケット+プリキュアポーチを渡した。
「それは悪かったわ。でも私自身が行こうにも時間も無いし、あなたに頼むしかなかったのよ」
「……役に立てて嬉しいです」
おそらくお嬢様と行くつもりなのだろう。咲夜さんの顔が微笑んでいた。
「報告の続きですが、先ほど言ったとおり余計な買い物をしたせいで少々金銭面でのマイナスがあります。
 赤字というほどではありませんが、それなりの節制は必要かと」
館の維持費やメイド達の食費、その他諸々。それをすべてやりくりしているのは咲夜さんだ。
「そう……今月も厳しそうね……」
「まあ、彼女らにもその辺は覚悟をさせておきましょう。以上で報告は終わりです」
そう言って部屋を出ようとした時。
「待ちなさい」
咲夜さんの声が俺に放たれた。
「何でしょうか、メイド長」
「あなたに頼みたい事があるの」

      ***   ***

「…………言いだしっぺが遅いのもなんだかな……」
現在俺がいるのは幻想郷の外。横○駅地下のトイレの前にいる。
紫さんが無駄に気を利かせてスキマをこのトイレに繋げたのだ。
で。俺が待っている人はもちろん咲夜さんだ。頼みたい事……『一緒に映画を見に行きましょう』という言葉に同意し、こうして外の世界に来た。
咲夜さんはなぜか張り切って二日分の仕事をこなし、後はメイドさん達でも出来る仕事だけを残していた。
しかし、遅い。時間を守らないなんて珍しい事だ。……大方紫さんが軽くからかってるんだろう。
「お待たせ」
「遅いですよ咲……っ」
後ろを向いた瞬間さまざまな感情が俺の中にわきあがった。
……主に大きかったのが『驚愕』、そして『笑い』。
何しろ、小さいのだ。咲夜さんが。全体的に。
大体で小学校高学年、大きく見積もっても中学生くらいにしか見えない外見。
普段の咲夜さんからは考えられないほどの可愛らしい子供服。
そして……肩に下げられてる特典のプリキュアポーチ。
思わず床に突っ伏していた。バンバン叩きながら笑っていた。
「ちょwwwwwww咲夜さんwwwwwwww」
無論直後にナイフを突きつけられたわけだが。
「今の状態だったらあなたを殺しても少しの罰で済むわよね?」
「ごめんなさい」
ナイフを収め、チケットを取り出した。
「仕方ないでしょ?このチケット親子ペアなんだから」
見てみれば、確かに『大人1名様と小人(3歳~中学生)の1名様』と書いてある。
「でも律儀にポーチを持って歩くだなんて……」
「いいじゃないの別に。子供の姿に戻ったんだからそれぐらい許してよ」
「まあ、ギャップがおかしすぎていいんですけど……って、『戻った』?」
咲夜さんの言葉に疑問を感じた。何故『なった』じゃなくて『戻った』なんだ?
「この姿が私の本当の姿。あっちでは他の連中に見下されない為と作業がこなせるだけの体が必要だったから大人の姿になっていたの」
「……なるほど」
確かにこの姿じゃあ、実力を抜きにしても少し前の俺みたく爆笑してしまいそうだ。……主にギャップで。
「それにね」
咲夜さんが続ける。
「いつも甘えられてばっかりだったから、たまには甘えたいな……とか思ったりしたわけで」
顔がほんのりと赤くなる。
……あれ?今すごく可愛くなってませんか咲夜さん?
「驚いたかしら?私、中身はまだ子供だから……甘えたい時だって、あるのよ」
あー、うん。これなんて最終兵器侍女長?体格差でどうしてもなってしまう上目遣いとかその指先を弄るしぐさとか……
「……驚きましたよ。ええ、真面目な咲夜さんにこんなにも可愛い一面があるなんて思いもしませんでした」
「かっ……」
おお、真っ赤になった。お約束すぎますよ咲夜さん。
「……こんな俺でよかったら、思う存分甘えてください。というか俺にだけ甘えてください」
微笑みながら咲夜さんへ言葉を渡す。
「本当に、いいの?」
「ええ」
顔を上げ、年齢相応の笑みを浮かべる。
「ありがとう、__」
思わず頭を撫でようとする手を理性で止め、俺も笑顔で返した。
「それだったら、私の呼び方を変えてほしいな」
「呼び方、ですか?」
「ええ。今の姿でだけ、咲夜、って呼んでほしいの。あと敬語も抜きにして」
一応は年上なんだし、と思っていたが、本人がいいのであれば。
「わ、わかったよ。咲夜……」
つい出そうになる『さん』をこらえていると咲夜さんが吹き出す。
「それでいいの」
笑いながら俺の手を引く。
「ほら!早く行きましょう!」
「あ、ああ」

傍から見れば兄の手を妹が引っ張っているように見えるだろう。
それでも俺は幸せだった。……ようやく見つけることが出来たから。

      ***   ***

「ずいぶん幸せそうじゃない」
「あ、顔に出ていましたか?」
「ええ。まったく、私は熱いのが苦手なのよ」
「すみません。すぐに室温を……」
「そっちじゃないわ」
「……はい?」
「あなたよあ・な・た。まったく、その立場だからこそ平然としていられるようなものだけど他のメイド達はもう怒り心頭よ」
「はあ……」
「で、彼に返事は?」
「……すいません、仰る意味がよくわからないのですが」
「……呆れた。仕事ばかりに集中するからそうなるのよ」
「すいません」
「話すと彼がかわいそうだけど、あなたのような鈍な者には言わなきゃわからないみたいだから教えてあげる。
 前にあなたが彼をキネマに誘った時の『俺にだけ甘えてください』っていう言葉、覚えてるかしら?」
「み、見ていたんですか!?」
「その辺の言及は後にして。アレ、彼からあなたへの告白よ。『君の素顔を俺だけに見せてくれ』……って所かしらね」
「え?」
「ああもうまったくダメだわこの大馬鹿者!しかもその後に『呼び捨てにしてほしいの』だなんて気があるみたいな言い方しちゃって!」
「…………」
「極めつけはその後もたまに仕事を先に終わらせて休んでは外の世界に行ってるそうじゃないの?
 これで今更『あなたの気持ちに気づいていませんでした』とか言うつもり!?」
「…………」
「……咲夜?って気絶してるし。あーもうこの超絶鈍感娘!……__!__はどこにいるの!?この馬鹿ひっぱたいて起こしてやりなさい!」

      ***   ***

さーくやおねえさまぁぁぁぁ(ナイフ

失礼しました。
現在(2006/12)公開中の映画「ふたりはプリキュアS☆S チクタク危機一髪」は時がテーマらしいので「咲夜さんに見せたいな」とか思ってたらこんな事に。

誰かふたりはアリマリB☆S歌ってくれる勇者はいないのか?



6スレ目>>579


今日は、クリスマス・イブ。
そして、幻想郷の住人が紅魔館に集まっている。
外界ではクリスマスを恋人と過ごしているが幻想郷には男が殆ど居ない。
だから、恋愛沙汰は(女同士でない限り)あるはずが無い。
だから、イブは皆が広い紅魔館の大広間に集まって宴会をするのだ。

「お~い、○○も飲もうよ。ノリ悪いな~」
 と、萃香が背中から覆いかぶさってきた。
 てか、酒ぐらいってレベルじゃねぇぞ! 一体、どれだけ飲んだ!?
 しかし、周りを見ると確かに他の連中はかなりの量を飲んでいる。
 スキマ妖怪と亡霊の姫様は文字通り浴びるほど酒を飲みながら料理を食べている。
 ……まぁ、あの人達は別格だから気にしないでおこう。

 そもそも、俺はこの幻想郷に来て数ヶ月しか居ない。
 ある日、イキナリこの幻想郷に迷い込み途方にくれていた。
 そこを、紅魔館の美鈴さんが助けてくれ色々あって今は、この紅魔館で執事をしている。
 執事と言っても紅魔館のレミリアお嬢様のお世話では無く、その他、雑用が殆どだが……
 その時、この紅魔館のメイドである十六夜 咲夜さんにもお世話になった。
 力のチの字にも満たない俺に体術やナイフの投げ方を教わった。
 時には、紅魔館のパチュリー様にも頼み込んで魔法を教わらしてくれたこともあった。
 本人曰く、
「弱い人間は紅魔館には要らない。だから、強くなってくれないと困る」
 だそうだが、俺はそんな一生懸命に教えてくれた咲夜さんに、いつしか淡い恋心が芽生えていた。

「てか、俺は執事だから酔えるほど飲めないんだよ。仕事もあるし」
 と、俺は後ろに抱きついている萃香に言った。
 萃香は目を丸くしていたが我に返って言った。
「エー、○○ってまだ仕事あるの? ……まぁ良いや。飲めー!!」
「だから、飲まないって言ってるだろうが、この酒乱!」
 と、俺は萃香に綺麗な背負い投げを決めた後、大広間から出て行った。
 頭が少し、クラクラする。
 どうも、酒の匂いに酔ったみたいだからテラスに移動することにした。

 俺がテラスに行くと、其処には咲夜さんが一人で空を見ていた。
 そういえば、大広間には居なかったな。
 こんな所に居たのかと思い、俺は咲夜さんに声を掛けた。
「咲夜さん。なんでここに? 大広間には行かなくてもいいんですか?」
「あぁ、○○。どうも酔いすぎたみたいだからここで休憩してるの」
「咲夜さんもですか。まぁ、俺は酒の匂いで酔ったみたいですけどね」
 と、軽く会話を交わしながら俺は咲夜さんの隣に並んで空を見た。
 冬の空は視界が澄んでいて星が良く見える。
「匂いで酔うなんて、○○ってそんなにお酒苦手だったの?」
「いえ、アルコールには強いと思うんですけど、どうもあそこの空気は苦手だった見たいで」
「まぁ、あれだけ酒気と妖気に包まれてたら並の人間はそうなるわね」
 と、咲夜さんと俺は笑いながら話している。
「そうだ。さっき大広間から出て来るときに持ってきたんだけど○○も一緒に飲む?」
 と、咲夜さんが俺にワインを見せてきた。
「頂きます」
「そう。ハイ、グラス。注いであげるわよ」
 と、咲夜さんが俺にグラスを渡してそれにワインを入れてくる。
 真っ赤な色のワインだ。この紅魔館に良く似合う。
 咲夜さんも自分のグラスにワインを注いでいる。
「乾杯」
「乾杯」
 と、俺と咲夜さんは二人だけの乾杯をし、ワインを飲んだ。
 ワインの味はとても口当たりの良い素晴らしいものだ。
 素人の俺が分かる位なのだからさぞかし高い物なんだろう。

 そして、飲みながら話すこと数十分。ワインも空になっていた。
 しかし、一本のワインを二人で飲んだのに全然、酔いはしなかった。
「さて、じゃあそろそろ戻ろうかしら」
「そうですね。……あぁ、そうだ。咲夜さんに渡したいものがあったんだ」
「私に?」
 俺は自分の服の内ポケットから小さな箱を取り出した。
 俺に色々なことを教えてくれた咲夜さんにささやかなプレゼントだ。
 そして、俺は咲夜さんにプレゼントを渡した。
 咲夜さんが箱を開ける。中には懐中時計が入ってあった。
 俺が咲夜さんに気に入ってもらおうと香霖堂の店主に頼み込んで貰った物だ。
「気に入ってもらえるといいんですが……」
「……ありがとう、○○。じゃあ、私からもプレゼントよ」
 と、イキナリ俺と咲夜さんの周りがテラスでなく紅魔館の屋上になっていた。
 これが、咲夜さんの時間を操る程度の能力なのだろう。
 紅魔館の屋上は明かりも無く星や月が先ほどよりも明るく見える。
「私からのクリスマスプレゼントよ。気に入ってもらえた?」
「凄い。幻想郷の景色とはこれほど素晴しいものだったんですね。とても気に入りましたよ」
「良かった。じゃあ、もう一つ言いたいことがあるの」
「なんですか?」
 俺が聞くと咲夜さんは顔を少し朱に染めていった。
「私は貴方のことが好きになったみたい。良かったら付き合ってもらえるかしら」
 今度は、俺の頭の中の時間が止まった。咲夜さんが俺の事が好き?
 それって、俺も咲夜さんが好きだから両思いって事ですか。
 咲夜さんは俺の方を見ている。 だから、俺もその期待に応える。
「俺も……俺も、咲夜さんのことが大好きですよ、喜んでお付き合いさせてください」
 そして、咲夜さんに近づき口付けをする。
 これほど、このまま一生、時が止まればいいと思った事は後にも先にも無いだろう。




「今よ! そのまま押し倒して!」
「何やってるの○○! もっと咲夜さんを抱きしめて!」
「咲夜さん……お幸せに」
「咲夜、○○。私の了承も無しに恋人とは……まぁ、いいだろう。今日は特別ね」
と、スキマ妖怪のスキマ実況で下の大広間にいる人達全員がこの二人を見ていたのは別の問題。




――――後書き――――

皆さん、メリークリスマス・イブ。
今回は、クリスマス・イブということで長編にしてみました。
まだ、至らない点もあると思いますがこれからも頑張って生きたいと思います。
では、最後までご覧くださって有難うございます。
皆様も残り数日を健康にお過ごしてください。
メリークリスマス。



7スレ目>>668


―――メイドの仕事、一人じゃ大変でしょう? 俺でよければ、お手伝いさせてくれないかな?


うpろだ267


事の起こりは数日前……夜雀が俺の家に来てから


『きっといいコンサートになるから来てね!!
 あ、あと、あなたの恋人も絶対連れてくること! 絶対よ!!』


と、何故かニヤニヤしながら言ったことからだった。


 ・

 ・

 ・


「ふぅん……いい音色ね、騒霊と夜雀もやるじゃない」

「ふふ、喜んでもらえて何より」


そして今、俺は恋人の咲夜と一緒に夜雀&騒霊のコンサートに来ていた。

咲夜が褒めるだけあり、彼女たちの奏でる音色は素晴らしいものだった。

俺たち以外の全観客が惚れ惚れとして聴き入っているのがその証拠だ。


曲のジャンルがロック、ポップ、クラシックだの

バラバラなのも彼女達らしいといえば彼女達らしい。

そして、やけにハプニングが多いのも幻想郷ならではだろうか?


例えば……確か3曲目「魔理沙はとんでもないものを盗んでいきました」を歌っている最中

妙な服を着た謎の5人組が「すぐに呼びましょ陰陽師! Let's GO!」と歌いながら乱入。

さらに、なぜか永遠亭の面々が乱入して「えーマジ初月? キモーイ」だの

「患部で止まってすぐ溶けて高熱などの症状を緩和します」だの歌っており

某混沌教授以上にカオスだったのは忘れられない。


ああ、乱入といえば数曲前

スウェディッシュポップというおしゃれでポップな曲を演奏していたときに

突如として悪魔のような3人組が

「SATSUGAIせよ! SATSUGAIせよ!」

と乱入してきたのはビックリした。

その3人のうち、一番危なそうな奴が

「バイオリン、トランペット、キーボードなど、まとめてレ○プしてくれるわー!!」

と叫んだとたん、キレた騒霊三姉妹の「大霊車 コンチェルト・グロッソ」が発動。

ただ、そいつはマトリックスのような動きで全弾回避してしまった。

スゲェ……

彼らは、一体何者だったのだろうか?

噂によると、隙間がどこからか呼び寄せたらしいが 定かではない。


なお、咲夜は「SATSUGAIせよ!」の歌に

ウットリしてたような気がしたが、気のせいと言うことにしておこう。

と言うか、気のせいであってほしい。


「SATSUGAIせよ……ふふふ」


マジ気のせいであってほしい。





……そんなこんなでコンサートももう終盤。

俺と咲夜は寄り添うようにして心地よい音色と歌声に耳を傾ける。

そして、演奏されていた曲が終わり――――


「みんな、今日はありがとう! 本当に……本当に名残惜しいけれど、次の曲が最後になるわ!!」


観客の間に「えーー」という落胆の声が広がる。

もっと、聴いていたかったのだろう。


「残念だな……あと一曲か」

「そうね、私ももっと聴いていたかったわ」


かくいう俺も……そして、咲夜もやはり名残惜しかった。


「これから歌う最後の曲は、このコンサートに来てくれている、あるカップルに捧げます……ふふふ」


へー、カップルかぁ……誰だろうな。

上白沢先生とその彼氏かな?

それとも、ドールマスターアリスと●●のコンビか?

こないだ、決闘したとか聞いたが……●●が勝って、うまく結ばれあったんだっけか。

あの二人は曲のネタになりそうだしなーーーあっはっはw


「幻想郷初公開! 曲名は――――――――――よ!!」

「「――――は?」」


曲名を聞いた瞬間、俺と咲夜は同時に間の抜けた声を上げた。

そして、俺の頭の中で全てが繋がる。

なぜ、ミスティアは俺をコンサートに誘う時、あんなにニヤニヤしていたのか。

なぜ、ミスティアは必ず咲夜も連れてくるように言っていたのか。


「なお、スペシャルサンクスは文々。新聞記者の射命丸 文さん!!
 彼女の情報をもとに、この歌を作ったわ!!」


あいつは――――

ミスティアと騒霊達は――――




「紅魔館のメイド長 十六夜咲夜 と 異邦人 ○○の愛の軌跡……たっぷり聴いていきなさい!」




俺たちのことを歌にしやがった!!




「ラストナンバー……『十六夜咲夜が倒せない』!!」



うpろだ269



『十六夜咲夜が倒せない』



―――――― 気がついたら いつもレミリアを狙い そしていつも同じ場所で負けて ――――――



○○「今日もまた、立ちふさがるか……俺の愛の前に」

咲夜「今日もまた、立ち向かうのね……弱いくせに」

○○「やかましい! 今日こそ、お前を倒してレミリア様に俺の想いを聞いてもらうんだ!!」

咲夜「懲りないわね…時間も押してるし、30秒で始末してあげる」



―――――― あきらめずに 殺人ドールに 挑戦するけど すぐに 地に倒れるよ ――――――



○○「ぐぅっ……あ、諦めて……たまる…か!!」

咲夜「なかなか頑張るわね……なら、もう一発喰らいなさい。幻符「殺人ドール」!!」

○○「ぎにゃああああああああ!!」



―――――― 弾幕スペカがあれば ラクに レミリアの部屋に 着くのに ――――――



○○「ち…くしょ……弾幕やスペルカードさえ…あれば……」

咲夜「まだ喋る元気があるの? なら、もう一発」

○○「え? いや ちょっと……もういっぱいいっぱいなんですけどってNOOOOOOO!!」



―――――― 何回やっても 何回やっても 十六夜 咲夜がたおせないよ あのナイフは何回やっても よけれない ――――――



○○「い、痛い 痛い! ってか、マジ刺さってるんですけど!!」

咲夜「刺してるのよ……そろそろ、終わりにするわ――――」



―――――― 必死にかわして 逃げ回っても いずれは時間止められる ――――――



○○「て、てめえ また時間止めるつもりか!? 卑怯ナリよ その能力!! 」

咲夜「黙りなさい侵入者! 幻世『ザ・ワールド』!!」

○○「……(青年硬直中)」

咲夜「時は止まる……はい、ジャスト30秒でチェックメイトね」

………

……




―――――― 裏口侵入 試してみたけど 完璧メイドにゃ 通じない! ――――――



○○「くくく……前は失敗したが、ここから侵入すればあの殺人メイドに見つからずに―――――」

咲夜「―――― ネズミが一匹」

○○「!!??」

咲夜「こんなところで何をしてるのかしら?」



―――――― だけど 次は 絶対会うために 僕は あいつに勝って 最後に笑ってやる ――――――



(少女(が)ネズミ駆除中)

○○「おーーーぼえーーーーてろーーーーー!!」

咲夜「まったく……しつこいんだから」
  (それにしても、あそこまで、強く想い…想われるって……どんなものなのかしら…?)




 ・

 ・

 ・ 



―――――― 気がついたら ライフもう 少ししかない そしていつも そこでリポDつかう ――――――



○○「くそ……あの中華門番、てこずらせやがって……ファイト 一発! 諦めてたまるかよ!!」



―――――― あきらめずに 咲夜さんまで たどり着くけれど すぐに少女処刑中 ――――――



咲夜「最近、レミリア様を狙う あなたを見てると不愉快になってくるわ……」
  (私、最近おかしい……この男を見ていると…胸がもやもやして…落ち着かない。)


○○「え? ひょっとして今日機嫌悪いのかってミギャアアアアアアアアアア!!」



―――――― 紅色マジック あれば ラクに 咲夜さんは たおせるけど ――――――



○○「くそぅ……マジ許さん この殺人メイドめ……だが! 今日の文々。新聞の記事から得た情報によると――――」


『紅色マジック : レミリアを倒せば入手できる。咲夜の弱点武器。』

(5面記事『ティウンティウンな同人ゲーム『メガマリ』最強攻略』より抜粋)


○○「――――つまり、レミリアを倒せば おまえは楽に倒せるってことだったんだよ!!」

咲夜「……大馬鹿ね」

○○「グスン……」
  (『な、なんだってー!!』って返してほしかったのに……)



―――――― 何回やっても 何回やっても レミリアまで 辿り着けないよ デフレワールド 何回やってもよけれない ――――――



○○「いてて……あーーーもーーーー! レミリアから武器ゲットする以前に 辿り着けねぇよ!!」

咲夜「お嬢様には近寄らせないって言ったでしょう? だいたい……レミリア様を倒すって、本末転倒じゃないの?」
  (信じられない……私の最高のスペカ『デフレーションワールド』を無傷とはいえないまでも死なずに切りぬけるなんて……)

○○「いーんだよ! まずはお前を倒せればそれでいい!! ギャフンと言わせてやる!!」

咲夜「………」


―――――― デレかけている お茶目なメイドが 素直になれずに SATUGAI ――――――



咲夜「ぎ…ぎゃふん……(////⊿//)」

○○「……」

咲夜「……」

○○「……そ、それはひょっとしてギャグで――――」

咲夜「――――ッ! 『デフレーションワールド』!!」
  (な……何、言ってるのよ私ーーーー!!)

○○「どうみても、実はお茶目な性格です!! 本当にありがとうござい ひでぶッ!!」



―――――― 風呂から侵入 試してみたけど あいつが入ってちゃ 意味がない! ――――――



○○「げ……」

咲夜「あ…あなた……なんで、お風呂場に……」

○○「い…いや、ここから侵入してレミリアを倒しに行こうと…」

咲夜「~~~~~~~ッ!!」


(少女滅殺中)


咲夜「こ、今度やったら 殺人ドール100連発よ!!」
  (み、見られちゃった……この人に…私の裸……)

○○「は…はひ……」
  (こ、こいつの身体……すごくキレイだったな……)



―――――― だけど 次は絶対勝つために 僕の 変わる想いに 白黒つけてやる ――――――



○○「……レミリア一筋だったはずなのに……なんで俺は――――」

咲夜「……あの男は、ただの侵入者のはずなのに……どうして私は――――」

「「―――― 気がついたら、あの女(男)のことばかり考えてるんだろう?」」



 ・

 ・

 ・



―――――― 弾幕スペカがあれば ラクに 貴方の元まで つくけど ――――――



○○「ハー…ハー……くそ、弾幕やスペルカードさえあれば、あいつのところまで楽に行けるんだがな……」

咲夜「き、今日も来たのね……いいかげん諦めたらいいのに」

○○「ハハ……諦めの悪いのが俺の持ち味なんでね……」



―――――― 何回やっても 何回やっても 愛しい咲夜がたおせないよ あのナイフは 何回やっても よけれない ―――――― 



○○「……く…そぅ……」
  (ここに来るまでの体力の消耗がマジで痛い……かわしきれねぇ……)

咲夜「あ、あんまり無理しないほうがいいわよ……あなた、普通の人間なんだから」
  (どうして、ここまでやるの……? ただ、私に勝つためだけのために、どうしてここまで?)

○○「うるさい……普通の人間だからって無礼るな!!」
  (咲夜に勝って……彼女に俺の想いを聞いてもらうんだ!!)



―――――― 必死にかわして 逃げ回っても いずれは時間止められる ――――――



咲夜「幻世『ザ・ワールド』!! 時は止まる」

○○「………(青年硬直中?)」
  (あれ? 時間止まってるのになんで見えてるんだ?)

咲夜「……(///σ//)ちゅっ………」
  (……じ、時間が止まってるから…大丈夫よね…)

○○「!!!???」
  (な……なにイイィィィ!!)

咲夜「と、時は動き出す……」

○○「お、おま……今、キス……」

咲夜「!!?? な…なんで、時は止まっていたはずなのに……」



―――――― 時を止めてのキス見えたけれど 『忘れなさい』とか ありえない!! ――――――



○○「い、いや……時間止まってたけど見えていたぞ。動けなかったし。」

咲夜「……ッ! ま、まさか……」


(少女照れ隠し(もとい殺人)中)


○○「ちょ! タイム! タイム! タイム! それ以上は死ぬって!!」

咲夜「同じタイプの能力を持っていたなんて……さ、さっき私がしたこと、今すぐ忘れなさい!!」

○○「そ、そんな御無体な!!」

咲夜「いいえ! 忘れさせてあげるわ!!」



―――――― だから 次は絶対勝つために 僕の この愛だけは 最後まで取っておく ――――――



○○「や、やだ! 好きな人にキスされたこと、絶対忘れたくない!!」

咲夜「え?」

○○「あ……」
  (……言っちまったよ、俺……)

咲夜「……嘘?」
  (え? え? ……○○も……好き……?)

○○「うっ、嘘なんて言うか! ……ほ、本当だよ(ボソッ)」


「「………」」


咲夜「……~~~~~~~!!!」
  (ああ……ど、どうしよう……!)

○○「ど、どうした?」

咲夜「げ、幻世『ザ・ワールド』!!」
  (と、とにかくいったん距離を置かなきゃ! ドキドキが止まらなくて、考えがまとまらない!!)



―――――― 倒せないよ……(いないから)――――――



○○「……逃げられた……
   えーと…不戦勝?
   …
   ……
   ………
   納得できるかこんな『勝ち方』! ってか 逃がすかぁーーーー!!
   むぁーーーーてぇええええええい!! さぁーーくぅーーーやぁーーーーーー!!」

咲夜(ッ!? お願いだから、追って来ないで! こんな真っ赤な顔してる私、見られたくないから――――!!)



 ・

 ・

 ・ 



「なお、二人はこの後、紅魔館の中を12時間ほど鬼ごっこした揚句、ようやくくっつきましたとさ……ひゅーひゅー!!」


「「(////⊿//)」」


ひゅーひゅー!!


「あはは! 二人とも、これからも仲良くね――――!!」


……こうして、大喝采のうちに夜雀と騒霊のコンサートは幕を閉じた。


余談だが、数日後……咲夜さんは時間を止めて


「――――何回やっても 何回やっても 愛しい咲夜がたおせないよ」


と頬を染めながら歌っていた。

そして、それを偶然見てしまった俺は

またもや照れ隠しがわりにSATSUGAIされてしまった。


The End

曲の元ネタ『ttp://www.youtube.com/watch?v=KLbFctG3tw0』


うpろだ341


「咲夜」
「何ですか○○さん」
「いや・・・君は今夜も綺麗だな、と思ってさ」
ぼっ、と音がしたかのように真っ赤になった
相変わらず彼女は可愛い
「なななななにをおっしゃてるんですか!?」
「はっはっは、赤くなっても可愛いな君は、家のメイドにならないか?」
「○○、吸血鬼は独占欲が強くてよ?」
おおっと、レミリア嬢から目をつけられてはこまったこまった
「おいおいレミリア嬢、そんなに睨むな、か弱い私はにらまれただけで震えあがってしまうよ」
わざとらしく恐がって見せる
「・・・」
やはり怒らせてしまう訳だが
「紫との交渉を任せたい」
「私が交渉役!?冗談じゃ無い!あんな化物となぜ俺が対峙せねばならんのだ」
「・・・其処を何とか頼みたいのよ、お願い」
「・・・代償は高いぜ?俺の命がかかってるからなぁ」
この馬鹿なお嬢様が何かやらかしたらしく、面と向かって対峙する訳にも行かないので俺というクッションが必要ならしい
結局断れないんだけどねぇ・・・
用件は聞いたので席を立つ
「食事は?」
「結構、用件も聞いたし帰らせてもらうよ」
「そう・・・咲夜、玄関まで送りなさい」
「はい」
席を立ち、玄関へ歩き出す
その後を彼女がついててきている
玄関まであと少しだ
「あの・・・今回のお仕事は大丈夫なんでしょうか?」
「安心しなさい、私が責任を持って遂行しよう」
「いえ、その・・・○○さんが・・・」
ああそうか、心配してくれているのか
なんといじらしい、乙女だ
「ありがとう咲夜、心配は無用だ・・・逃げ足だけは一級品だからね」
視界から消えてみせる
脚にだけは自信がある、人間の視界から姿を消す事は容易だ
突然の出来事に驚いている咲夜を―
壁に押し付けるように、両腕を拘束する
「きゃっ!?な、なにを」
「君の肌は実に美しい、その細い首筋、ぞっとするほど、だ」
そう、まるで磔のイエスのような
「一人の男としても、人狼という種としても、君が欲しくなってしまうよ」
細い首筋に、ざらついた舌を蛞蝓のように這わせる
「あっ、ん、ふ、ぁあっ」
「このまま、薔薇のような、珠のような、血を」
「はぁっ・・・○○さん?」
「ふふ、安心しなさい、そんなことをしたらレミリア嬢に殺されてしまうよ」
ぱっと、身を離す、何事もなかったつもりで
彼女は乱れた服を調え、私を見る
「なぁ咲夜、俺の事は・・・好きか?」
「あ・・・は、はい!」
「そうかそうか、じゃあレミリア嬢に伝えておいてくれ、今回の貸しは十六夜咲夜を貰う、とな」
「はい!そう伝えておきます」
「それじゃあ、御休み、咲夜」
「おやすみなさい○○さん」
大掛かりな門が閉じる、彼女との小さな小さな壁
さて、死なない程度にがんばってこようかな、彼女の、いや俺のために


最終更新:2010年05月15日 23:33