咲夜10
11スレ目>>908
正月。
それは一年で最もおめでたい日。(幻想郷にもあるなんて驚いたけど)
1月1日を国民の休日とし、年が変わったことを祝う日だ。
今日は、ここ、僕を雇ってもらっている紅魔館で、新年会をする予定だ。
「執事長、これはどこに置けばいいですか?」
「あー、それは向こうかな」
ちなみに、僕が就いているのは執事長。
割と忙しい役職である。それだけ、お嬢様に気に入れられたってことなんだろうけど。
就いたからには、精一杯やってるつもりだ。
「執事長~!こっち手伝ってくださ~い!」
「ちょっと待ってくれ~!僕も忙しいんだ~!」
俺たちがさっきから何をやっているのかと言えば、無論、新年会の準備である。
それも、毎年やっているのとは違い、今年はレミリアお嬢様の意向でかなり大きいパーティーにするつもりらしい。
ゆえに、紅魔館はかなり忙しい状況になっている。
門番にも、図書館の司書にも手伝ってもらっているぐらいである。
ちなみに、メイド長は料理担当なので今は厨房にいる。
「○○さん、このテーブルはどこに配置するんですか?」
さすが、門番。
片手でテーブル運びとは。
「向こうから順に並べて」
「こっち終わりました~執事長」
「ご苦労さま。でも、まだこっちが終わってないからこっち手伝ってくれ~」
「この鬼執事~!」
「文句は終わってから言ってくれよ~」
いつもは静かな紅魔館も、このときばかりは騒がしい。
「おーい、来てやったぞ~」
こんなときに限って、来客である。
「ごめん魔理沙、今忙しいからまた後で来てくれよ」
「んー?何やってるんだ?」
イスなどをあちらこちらに並べる俺やメイド達を不思議そうに魔理沙は見ていた。
「いつものパーティーの準備。そろそろ魔理沙の家にも招待状が届いていると思うよ」
「そうか、じゃあまた後でくるぜ」
「・・・・・・・暇なら手伝ってくれよ」
「客に手伝わせる気か、○○は」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふー、これで全部かな?」
テーブルに、用意された料理を並べ終える。
某大食い幽霊も呼ぶ予定なので、かなりの量がある。
「全部ですよ。というか、全部であってほしいです」
「もう・・・・疲れて動けませんよ~」
「ははは。じゃ、各自パーティーまでゆっくり体を休めてくれ」
疲れで倒れているメイド達に号令をかける。
「じゃ、パーティーまで自由解散!」
パーティーの始まりは午後7時からだ。
今の時刻は午後6時。そろそろ、来客が集まってくる時間である。
「よし、ここも問題なし・・・」
僕は最後のチェックをしている。
具体的には、イスの数、料理の数などに漏れが無いか、である。
執事長として、全体を見直すのは当然である。
「ふむ、特に問題なし、と」
どうやら問題なく準備が出来たようだ。
「お勤めご苦労様、○○」
後ろから声を掛けられる。
この声で、もう誰か分かる。
なにせ、仕事の関係上、最も話す人だし。
「こちらこそ、お勤めご苦労様です、メイド長」
案の定、流石のメイド長も少し疲れた顔をしていた。
「これだけの料理、大変だったでしょうに」
「そうね。でも、お嬢様の意向には従わなければならないわ」
しかし、この人の忠誠心も見事である。
「それに、まだ終わってないわ。本当に忙しいのは、パーティー本番よ」
「それもそうですね」
「ん、どうやら準備ができたようだな」
噂をすればなんとやら。お嬢様の登場である。
「はい、特に問題は見当たりません。あとは、開始を待つだけです」
「ご苦労、○○、咲夜。開始までゆっくり部屋で休んでおけ。パーティーの途中で寝たりするんじゃないぞ」
「「承知しました」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マイクを片手に壇上に上り、ホールを見渡す。
・・・・・どうやらメンバーは揃ったようだ。
「・・・・・では、レミリアお嬢様よりご挨拶があります」
ざわついていたホールが静まり返る。
レミリア様が、壇上に上ってくる。
「・・・・コホン、皆さん、あけましておめでとう。
そして、紅魔館へようこそ。本日は、忙しい中、このように多くの人に・・・・」
「似合わないぞ~、レミリア~!」
下から魔理沙が野次を飛ばした。
ホール、爆笑の渦。
チラリとレミリア様を見る。
・・・・案の定、顔を赤くしていた。
「・・・・・・お望みどおり、堅苦しい挨拶は抜きにしよう。では、○○、乾杯の音頭を頼む」
「皆さん、用意はいいですか?」
グラスを掲げる。
それを合図に、次々と全員の手にグラスが握られる。
全員、準備はOKのようだ。
「では、新年を祝って・・・・・」
「かんぱ~い!!」
「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」
~パーティー中の全員の様子~
「ゆ・・・・幽々子様・・・・・」
「ん?どうひたの?」
「・・・・た、食べすぎじゃありませんか?」
妖夢が心配するのも当然である。
乾杯の音頭が取られた瞬間、幽々子は真っ先に料理に飛びつき、修羅のごとく食べていた。
「なにひってるの。こういうのは食べなひゃ損でしょ?」
話しながらも猛烈に食べていく幽々子。
そばには、何枚も重ねられた皿が積みあがっていた。
・・・・ちなみに、紅魔館側はこの事態を想定したのか、幽々子の周りにはメイドがたくさんいる。
(・・・・・・・あとで謝っておこうかな・・・・)
「人のこと心配してないで、妖夢も食べなさい」
「は、はい」
「見事なものね。この規模のパーティーも、久しぶりだわ」
「そうですね。姫様がこのようなパーティー自体に出席するのも久しぶりですね」
「・・・・・・いつもは引きこもってますしね」
「・・・・・・・何か言った?ウドンゲ。声が小さくて聞こえなかったわ」
「何でもありません」
「本日は、このようなパーティーにご出席いただき光栄です。どうぞ、ごゆっくりお過ごし下さい」
「ありがとう。○○、あなたも、あまり無理しないようにね」
「はは、お気になさらず。これも仕事ですから」
「・・・・・・姫様も○○さんを見習って少しは働いて下さいよ」
「そういえば、前の月の晩のときの霊夢のところで宴会したよね~」
「なんだか、ここにきたのが随分昔のように感じますね、師匠」
「・・・・・・それだけ、ここが住みやすい、ってことね」
「ま、過去を思い出してもしょうがないわ。それより、さっさと食べましょ」
「・・・・・・姫様、あまり食べ過ぎないようにして下さいよ。ただでさえ、運動しないんだから・・・」
・・・・・・・引きこもり相手には当然の心配である。
「なぁ、けーね。寺子屋のほうは大丈夫なのか?」
「心配ない。正月はどこの仕事も休みだ」
けーねは少しため息をつくと、
「・・・・・例外として、ここの執事やメイドは、まだ仕事のようだがな」
「大変だね、咲夜も○○も」
「・・・・手伝えるなら手伝いたいが、あの二人のことだ、拒否するだろう」
「ま、私達は客として来てるんだし、楽しんでいきましょ」
「・・・・・そうだな。じゃ、妹紅、あらためて乾杯だ」
「乾杯」
「・・・・・・なんだか良心が傷つきますね・・・・」
「・・・・・・どうしたの、急に」
パチュリーがワインを飲みながら聞いた。
美鈴がそう思うのも当然である。
自分達は食べているのに、○○や咲夜は、まだ料理や客の相手などに忙しいからだ。
「・・・・だって、咲夜さんや○○さんが」
「・・・・・仕方ないでしょ。私たちはただの手伝い。あの二人は企画者の従者。そこらへんは、任せましょう」
「・・・・・・」
「・・・・・・はぁ。あんたがそんなんじゃ、咲夜も○○も浮かばれないわ。あの二人分、楽しまないと」
「そうですよ!楽しみましょう!」←こぁ
「・・・・・・そうですね」
(あとで、差し入れぐらいは持っていってあげようかな・・・・・・)
「なにこれ、固まってるじゃないの!」
一匹のバカな妖精が、自分の冷気で固まった料理に怒っていた。
「チ、
チルノちゃん、冷気を抑えないと料理が凍っちゃうよ」
大ちゃんも、バカのお守ご苦労さんである。
「まったく、これだからチルノちゃんは~」
白岩さんも、お勤めご苦労様。
どうでもいいけど、ただでさえ太(ryだから、あまり食べ過ぎないように。
「そうなの?」
「そうだよ」
「そうなんだよ」
「・・・・・・・なーんてね、実は気づいてたんだから!!」
「・・・・・・(ジトー)」
「な、なによ、その目・・・」
「「クスクス・・・」」
三人のやり取りに、周りのメイドたちが優しく笑っていた。
「・・・・・(そわそわ)」
「どうしたの、みすちー?」
「・・・・・・リグルちゃん、私大丈夫だよね?食べられないよね?」
「・・・・・みすちーは食べられるのかー?」
「
ルーミアちゃん、食べちゃだめだよ」
「そーなのかー」
「・・・・・・・・(そわそわ)」
「・・・・・・みすちー、せっかく呼ばれたんだし、早く食べようよ」
「・・・・そ、そうだよね。私、客だもんね・・・」
「わはー」
「姉さん、ここでライブはやらないの?」
「リリカ、今日は演奏じゃなくて食べるために来た・・・」
「そうそう、今日は音楽は忘れて、さっさと食べようよ」
「こんにちは、三姉妹さん」
「あ、いつかのメイドさんだ・・・」
「何か用?」
「挨拶。それよりも、お嬢様があなた達の演奏を聴いてみたいって言ってるから、後で演奏お願いできるかしら?」
「「「お安い御用!」」」
「いや~、いっぱい人いますね~、ここ」
「そりゃあね。お嬢様に関わりを持ってる人はほとんど招待したから」
「これはいい記事が書けそうです!お招きいただきありがとうございます!」
「・・・・あまり悪い記事は書かないでくれよ」
「こーりん、早く食べようぜ!」
「魔理沙、こういうのは味わって食べるものだよ」
「早く味わって食べようぜ!」
「そういう問題じゃないんだが・・・」
「どういう問題だぜ?」
「そういう問題」
「二人とも、変な漫才はいいから、さっさと食べなさいよ」
「霊夢こそ、まだ食べてないじゃないか」
「あんた達がうるさいからよ・・・・」
「そうそう、うるさくって気が散るじゃない」
「何でアリスがここに座ってるんだぜ?」
「そんなの、私の勝手でしょ」
「うるさいなら、向こう行けばいいじゃないか」
「うるさいわね。私の勝手でしょ」
「それよりも、もっと酒もってこ~い!」
「萃香、少しは遠慮しなさいよ」
萃香の周りのメイド達も大変だ。
「だが断る」
「あ~!あんた、私の酒取ったわね!」
「何のことでしょう~?」
「やれやれ・・」
「はは、霖之助さん、苦労してますね」
「・・・・・○○か。いつもありがとう。まともな客は君だけだよ」
「ただ、お金払って買い物してるだけなんですけどね」
「それすら出来ないやつらが、ここにいるんでね」
「失礼な。いつかちゃんと払うわよ」
「そうだぜ?いつか必ず払うさ」
これには霖之助と○○も、苦笑せざるを得なかった。
「ホワイト、あたしたち、場違いじゃない?」
「どうして~?ブラック。もうすぐ春だから伝えにきたのよ~♪」
「そんな雰囲気じゃない気がするけど・・・・」
「あら、こんなところに料理があるわ~」
「食べていいの?」
「いいんじゃない?」
「しかし、あたいたちが来てもよかったんですかね?映姫様」
「今日は仕事の休みをもらいました。招待状も来ていたし、何も問題はありません」
「そうかなー」
「ようこそ、紅魔館へ」
「あ、あのときのメイドだ」
「・・・・・・あのときはお世話になりましたね、お互い」
「・・・・・今日は新年会。過去のことは忘れて、ゆっくり楽しんでいってくださいな」
「言われなくても、そのつもりですよ」
「・・・・・・本当かな。映姫様、根に持つ性格だし・・・・」
「何か言いましたか?小町」
「何でもないです!」
「盛り上がっているようね」
「盛り上がってる!盛り上がってる!」
「こら、フラン。今日は特別に出してあげたんだから、問題を起こしちゃダメよ?」
「わかってるって」
「これはこれは、お嬢様に妹様。こんなところに何のようですか?」
こんなところとは、厨房のことである。
某大食い幽霊やその他のおかげで、厨房は地獄絵図となっている。
「様子を見にきただけよ」
「そうそう!」
「そうですか。こっちなら多分大丈夫ですから、まだ向こうで楽しんでいても大丈夫ですよ?」
「そう?じゃ、咲夜、あまり無理はしないようにね。○○にも言っておいて」
「承知しました」
「これおいしいよ~藍しゃま」
「こら、食べながら話すんじゃない」
「は~い」
「今日は遠いところから来ていただき、ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ私たちを招いてくれてありがとう、○○」
「礼ならレミリアお嬢様にお願いしますね。お嬢様が企画したのですから」
「そうか。あとで礼を言っておく」
○○は次の仕事のため立ち去ろうとした・・・・が
「あら、○○。あなたは食べていかないのかしら?」
「はは、生憎ですけど、仕事がまだ残ってまして」
「ゆ、紫様・・・・・」
「・・・・・ダメよ。今は仕事を忘れなさい」
そうして、紫は○○の背中に抱きついた。
「離して~仕事が残ってるんです~」
「ゆ、紫様?何してるんですか?」
「あら、藍、あなたもしたいの?」
「違いますよ!」
「○○ったら、つれないんだもん。
私と仕事、どっちが大事?」
「仕事」
「・・・・・・・・・罰として今日はもう離さないわ」
「えー!!!」
「何をやってるの、○○。早くこっちを手伝いなさい」
「・・・・すみません、ちょっと絡まれてしまいまして」
「・・・・・?まぁいいわ。こっち、頼むわね」
「わかりました」
・・・・その後
食事が終わり、プリズムリバー三姉妹による演奏が終わり、色々盛り上がった。
王様ゲームやら、イス取りゲームやら・・・・
まるでみんな小学生だったな。
壇上に上がりマイクを持つ。
「・・・・・今日はわざわざ遠いところからお越しいただき、ありがとうございました。
新年会はこれにて終了となりますが、このままお茶会や、遊びを続行しても構いません。
帰る方は気をつけてお帰り下さい。外はもう真っ暗ですので・・・・
部屋は空いているので、ここに泊まっていくつもりの方は事前にお知らせ下さい。
・・・・・・それでは、本日はお疲れ様でした!」
「「「「「「お疲れさまでしたー!!」」」」」」」
終わったのはちょうど午前0時。
正直、クタクタである。
案の定、控え室でメイドたちが行き倒れのように熟睡していた。
「みんな、お疲れ様・・・・だな」
レミリアお嬢様はまだ向こうで客の相手をしているようだ。
さて、俺はどうしようか。このままメイド達と寝るか・・・?
「○○、今度こそ本当にお疲れ様」
また後ろから声を掛けられた。
「・・・・・メイド長、大変でしたね。本当に」
「そうね。でも、やり遂げた感はあるわ」
「・・・・・・そうだ」
「・・・・どうしたの?」
「メイド長、もとい咲夜さん、一杯、飲みませんか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・で、今部屋で二人きりで、飲んでいるわけである。
「ふう、ちょっと酔っちゃったわね」
「寝てもかまいませんよ?」
「変なことしない?」
「度胸があれば、ですけどね」
「・・・・・冗談よ」
ちょっと残念そうに見えたのは思い上がりだろう。
「・・・・・それに、まだ片づけが残っているわ」
「それもそうですね」
会話が途切れる。
でも、不思議と気まずいという感じはしなかった。
俗にいう、いい雰囲気、ってやつだろうか。
「・・・・さて、それじゃ、ちょうどいいし、ちょっと向こうの様子でも見てきますね」
「あ・・・・」
見た。
今僕は確かに見たぞ。
咲夜さんが、少し悲しそうな顔をしたのを。
「・・・・・・やっぱりや~めた」
「え・・・・・?」
「もうすこし、咲夜さんといることにします」
「・・・・・・そう」
そして、また静かな時が流れる。
心なしか、咲夜さん、さっきより顔が赤くなってるような気がする。
せっかくなので、咲夜さんの顔を見つめることにした。
「・・・・・・・・(ジー)」
「・・・・・・・」
咲夜さん、横向いて本読んでるけど視線がさっきから定まってない。
「・・・・・・それにしても、安心しましたよ」
「・・・・・・何を?」
「咲夜さん、ちゃんと女の子だったんだなって」
「・・・・!」
咲夜さん、顔真っ赤。いいもの見させてもらいました。
「最初は不安だったんですよ?なんだか、とっつきにくい印象だったし」
そう、最初はなにか距離を取られている様な感があった。
感情もあまり表に出さなかったし。
「でも・・・・最近の咲夜さん、女の子の顔してますよ。正直、惚れそうなぐらい」
嘘ではない。
最近の咲夜さんはどこか抜けている。いい意味で。
なんというか、天然?天才みたいな。
「・・・・・・誰のせいだと思う?」
「・・・・・ん?」
どういう意味だろう。
「こうなったのは、だれのせいだと思う?」
突然咲夜さんが立ち上がった。
そして、こっちに歩み寄ってきたかと思うと・・・・・
消えた。
口びるに感触を残していって。
「・・・・・・へぇ、咲夜さんもなかなかやるようになってきましたねえ」
自分の顔が赤くなっているのは否定しない。ただ、本人はもっと赤くなっているだろうな。
・・・さて、次はどんな顔で咲夜さんに会えばいいかなと考えながら、俺はホールの様子を見に行くことにした。
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11レ目>>966
完璧 なんて
実際のところ存在しないのだろう。○○はそんな結論に達した。
こくりと一口喉を通した紅茶はなるほどとても美味しかった。
ゴールデンルール(少し楽しそうに手順を語っていたその顔をよく覚えている)で淹れられたそれは味も香りも極上であったとしても
その実どうしたって好みの問題、というものが完璧なんて言葉を揺さぶるのだろう。結局のところ。
だからそんな紅茶を淹れた彼女にだって遠慮や引け目を感じることもないのだ。
『咲夜さんってさ、綺麗だし、仕事も完璧だし。凛々しくて本当に上等のイイ女だよね。』
そんな風に彼女に憧れ、惹かれながらも遠目に見るだけで満足していた。
神の気まぐれか何故か彼女に選ばれて、不釣合いだと恥じて素直になれなかった頃の自分を○○は笑いたい気分だった。
完璧に見えるけれど実際はかわいいところがたくさんある、
例えば、想定外のことに弱かったりするところとか。
○○の対面で、仕込んであった罠(メッセージカード)に気づいたのだろう、目を丸くして固まった咲夜を見やる。
「…意地が悪いわね」
赤らめた顔をそらして言い放つ様は、とても完璧とは言い難かった。鼻をくすぐる紅茶の香りは完璧だとしても。
『でも仮に咲夜が文句無しな完璧さんだったら、とてもとてもここまで愛する事もなかったんじゃないだろうか。』
「愛してる、咲夜」
○○が言って咲夜が俯く。嬉しそうに弧を描く口元と一向に収まることのない耳の赤さが相まって、○○は思わず少しだけ噴出した。
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10スレ目>>994
咲夜さん、俺の時間を貴女だけのものにしてください
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11スレ目>>183
俺「あの人、今日も来るかな」
最近お店をよく利用してくれる客ができた、なんでもあの紅魔館のお手伝いさんらしい。
ちょっと珍しいけど可愛らしい格好、きらりと輝く銀の髪、気品漂う中にも覗かせる普通の女の子の姿。
きっと自分は心惹かれている。
俺「あ、いらっしゃいませ!今日はなにを?」
咲夜「ど、どうも。今日は、えっと…」
俺「今日は?」
咲夜「今日は…りんご…?」
俺「聞かれましても」
咲夜「あ、り、りんご。それと色々…?」
彼女は決まって「りんごと色々」を買っていく。
なにかこれといったものではなく、その場の思い付きで買っているような。
自分に会いに来てくれている、と言うのはおめでたい発想か。
レジが少し混み始めた頃、彼女はなにを探すわけでもなくうろうろ、ちょっと不審者…
ちらりとこちらを伺う様はレジに並んでいる人数を気にしているようにも見える。
ふと気付いたら彼女がそわそわしながらレジに並んでいた。
次ぐらいかなと思っていた矢先、隣のレジから「こちらのレジへどうぞ」と声をかけられていた。
彼女はまるでお預けされた子犬のようにしょげながら移動していた。
その姿を見て心が動いた、自分の勘違いなのかなとも思うし、今以上の発展はないかもしれない、けれど…
俺「あの、そちらのお客様は俺がやりますよ。こちらお願いします」
…言ってしまった、勢いって恐ろしい。そして恥ずかしい。
咲夜「あ、その、ありがとうございます…」
なぜお礼を言われたのかはわからないが、彼女の紅潮した照れ笑いがとても素敵で
鏡もないのに自分も同じように紅潮して照れ笑いしてるのがわかった。
彼女が来るようになってから、彼女の笑顔が見れるなら、ずっとここで働くのも悪くないと思った。
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11スレ目>>201
○「ねえ咲夜おねえちゃん。ボクもお姉ちゃんのお手伝いしなきゃいけないんだよね?」
咲「そうよ。紅魔館にいる以上は、働かざるもの食うべからず。わかった?」
○「うん! でも……」
咲「どうしたの? 分からないことがあったら教えるわよ?」
○「何でボクもメイドさんといっしょの服なの?」
咲「それは……それが紅魔館で働く人の正装だからよ」
○「でも…。ボク男の子だよ? …それでもいいの?」
咲「ぶ……(鼻血)。わかったわ、タキシードの着方教えてあげるから、後で私の部屋にいらっしゃい」
○「うん。――ねえ、お姉ちゃんはボクがこのかっこしてるとうれしい?」
咲「可愛いと思うわよ。メイド仲間もみんな“かわいい”って言ってるし。でも、今度からはタキシードにするんでしょ?」
○「う~……。おねえちゃんおねえちゃん、ボクやっぱりもうちょっとこの服着る!」
咲「(よしっ、狙い通り!)そう? じゃあ、タキシードは仕舞って置きましょうか」
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11スレ目>>232-233
「○○、お買い物頼んでもいいかしら。これ、メモね。これに全部書いてあるから」
「うん! えーと、うなぎ、カレーパン、ぱ……ぱっ…………ど…?」
「しーっ! 誰にもばれちゃダメよ。私と○○だけの秘密なんだから」
「うん、わかった! お金足りるかなぁ…」
「大丈夫。香霖堂のお兄さんは優しいから、『お願い』ってしたらきっと安くしてくれるわ」
「『お願い』ってこうやって……お胸の前で手を握って、お願いするんだよね」
「そうそう。○○は上手ね。教え込んだ甲斐があるわ」
「おねーちゃん顔赤いよ? だいじょうぶ?」
「大丈夫大丈夫。さ、いってらっしゃい」
「うん! いってきまーす!」
233 :名前が無い程度の能力:2007/12/12(水) 21:19:42 ID:SHwpy3Dg0
意気揚々とゲームパッド買ってきたものの、咲夜さんの表情を見て失敗したと悟って
涙目になる○○に慌てつつも鼻血寸前になってる咲夜さん
ここまで幻視した
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11スレ目>>496
「ねえ、何で今日お休みにしたの?」
「・・・」
「年末の稼ぎ時なんでしょ?月の最初に忙しくなるから頑張ろうって言ったでしょ?」
「・・・せっかくのクリスマスだ、こんなときに店を開ける気にはならん」
24,25ぐらい休みでいいじゃ無いか
「もー、しょうがないひとね」
せっかくのクリスマス、周りの連中が愛を語らい乳繰り合うと言うなら、俺もそうしたいしせざるをえない
「咲夜、倉庫に白い箱があるから持ってきてくれないか?」
「?わかったわ」
外に出た
雪はちらほら降っている、結構寒い
この寒さだ、皆家に引きこもっているのだろう・・・ささやかなパーティ、二人きりで熱燗
ワインなんて気のきいたものはいらない、二人で過ごすからそれに意味があるのだろう
「・・・気を利かせたのかしら?」
神社では宴会をしているらしい、何かと理由をつけて酒を飲もうとする連中ばかりだから
「これね・・・そんなに重くないわね」
倉庫の一番手前においてあった白い箱
中は何が入ってるのか、コトコトと中で音がする
「○○ー持って来たわよ」
「お、ありがと・・・それは君のものだ」
「はい?」
「箱の中身はあげる、ぷれぜんとふぉーゆー」
どうやら中身はクリスマスプレゼント、らしい
恐る恐る中を覗いてみると
「・・・メイド服?」
ナイフ投擲よーい
「まて、落ち着け、よく見ろ、待て待てナイフをしまえ」
よく見てみる・・・スカートがロング?
「違う違う、箱の中のほう」
…ワイン?
「紅魔館の年代物には適わないが・・・まぁ分相応ということで」
「・・・なんでメイド服?」
「いや・・・スカート丈が短かったから・・・眼のやり場に困るし、ひ、冷えないように!」
「ふふ、ありがと」
グラスに注がれる真っ赤な液体
昔は血みたいにみえたのに、今は
「き、君の瞳に・・・乾杯」
「・・・恥ずかしくない?」
「う、五月蝿い、ちょっと言ってみたかっただけだ」
赤くなってるのは彼だけじゃなくて
二人して赤面してしまってるのがなんだか可笑しくて
「そうだ、後で神社に行きましょ」
「宴会してるんだろ?何しに行くんだ」
「えっとね・・・幸せ自慢かな」
end
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12スレ目>>487 うpろだ836
「じゃまするぜー」
「いらっしゃー・・・げぇっ魔理沙っ!」
「よう咲夜、ちゃんと嫁さんしてるじゃ無いか」
よりによって私が店番をしているときに、どう考えても冷やかしの客が現れた
魔理沙はニヤニヤしながら私をじろじろと眺めて、またニヤニヤとした
「・・・なによ」
「いやぁ、お前さんは可愛いお嫁さん、何て柄じゃ無いと思ってたら・・・一番乗りとはなぁ」
随分失礼なことを言ってくれる、昔の私だって人並みに恋してみたかったし、そういう年頃だったのだ
将来の夢が可愛いお嫁さんでもいいじゃ無いか
「・・・冷やかしなら帰りなさい」
「お客様だぜ?酷い店だな」
軽口叩きながら商品を物色する魔理沙、お金持ってるのだろうか?
「これとー、これーこれーうーん、これもか」
まだまだ時間が掛かりそうなので、魔理沙を眺めながら、○○の帰宅を待つことしよう
「ただいまー」
「お、○○じゃ無いか」
「よお魔理沙、買い物か?金払っていけよ」
「あー・・・安心してくれ、ダイジョブ」
「なんだ今の間は」
そういえば咲夜は、そう思って店内を見回すが姿は見えない
彼女に出迎えてもらえなかった故ちょっと落ち込んだ俺
「咲夜ならお茶を入れるとか言ってたぜ」
ああ、と言う事は台所か、たぶん窓を開けてるだろうから気付いてないな
魔理沙の篭の中を覗くと日用品sが詰め込まれている
「・・・いっつも買い溜めていくのな」
「小まめの買うのは面倒だからな」
コイツは相変わらずだ、少しは咲夜の小まめな所を見習うべきではなかろうか?
「あ、○○さん、おかえりなさい」
ぱたぱたと駆け寄ってきてHagHagはぐ
「寒かったでしょ?今お茶入れたところだから」
それを見て魔理沙ぽかーん
今起こったことをありのままとか何とか呟いてたが気にしない
「今起こったことを(略)メイド長がナイス若奥さん乙女400%になっ(略)ヘロインとかハルシオンそんな(ry」
気にしない、聞こえないあーあーあー
「ええと・・・全部で8450円になります」
魔理沙にしては随分思い切り買うわね
そう思いながら電卓を見つめた
「おーけー、7000円でいいか」
「駄目、何を勝手に値引いてるのよ、刺すわよ?」
腰からナイフを抜いてチラつかせる
しかし魔理沙は鼻で笑うと
「随分腕が鈍ってるんじゃないか?平和ボケした技量じゃ私は落せないぜ?」
随分と痛い所をつかれたな、確かに紅魔館にいた頃とは比べ物にならないほど平和な生活を送っている
「ま、こんないい生活をしてるのにお堅い所は変わらないんだな、頭も、胸も」
胸も、むねもムネも(エコー
「ふ、ふふ、ふふふふふふ・・・そうね、昔の私ならその言葉にすぐ熱くなってしまっていたわね」
挑発に乗らない咲夜に動揺を隠せない魔理沙
以前とは何かか違う、スカートの丈ではない、技術ではない
それは、何だ?
「以前の私はあなたより胸が小さかったかもしれない、それは認めるわ・・・でも今は、違うわよ」
咲夜は以前とは若干、失礼、たわわに実った二つの果実を誇張するように胸を張った
「なっ、ど、どうせパッドだろ?それぐらい」
「ふふふ、毎晩のようにあれだけ彼に揉みしだk「わーわーわーぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
店の置くから大声でヘッドスライディングしながら現れた○○、冷や汗かいてます
「咲夜っ!?ななななんてことを口にしとるんだね!?俺がアグニシャインでロイヤルフレアでサイレントセレナされますよ!?」
こんなところで店ごと人生を終わらせつもりはない
ぶーぶー文句を言ってる咲夜を黙らせなければッ!
「咲夜っ!!」
ズギュ~ン
「へ?んぅっ!?んちゅ、んんーぁんっ、ぷぁっ」
息を荒げ、頬を染め、咲夜はその場にがくりと、膝を付いた
そしてそれを魔理沙は真っ赤になってぽかーん、と眺めていた
「魔理沙、8400円だ異論は認めない」
魔理沙は口を金魚みたいににパクパクさせて、お金を置いて帰っていった
ロボットのようにカクカクと動いていたが無事に帰ることはできただろうか?
咲夜はいまだに膝をついて身悶えている
快楽秘孔(口内)の一つを突いた、一歩でも動いたら・・・ボン、だ
と言う台詞を言いたくてしょうがなかったが我慢した
しょうがないので店を閉めて晩飯の用意でもしよう
ああ、今日も平和な一日だった・・・
end
───────────────────────────────────────────────────────────
12スレ目>>534 うpろだ845(うpろだ836の続き)
「困った・・・」
私は今凄く困っている
まずは大体の一日の流れを説明しよう
起床→朝食作って○○さんを起こす→お店の準備をする→お店は○○さん、私は炊事洗濯その他色々
お昼ご飯を作る→夕食の買い物へ→夕方、○○さんと店番を交替
夕食を作る→【ギシ】規制【アン】→お風呂→寝る
何を困っているのか、そう、チョコを作る暇がない
こっそりと作る暇がない、洋菓子の本を読む隙もありゃしない
○○さんと離れる隙がない、まぁ嬉しいことなんだけど、今は困る
「どうしようかしら・・・」
実に困った、たぶん誰かに相談したら羨ましい悩みだなチクショウとか言われてしまうに違いない
「そうか、里帰りすればいいんだわ」
一日二日ぐらい紅魔館で過ごせばいいか
図書館なら関連書籍もあるだろうし
きっと他の誰かも作っているだろうから、丁度いいはずだ
紅魔館の様子も気になるし
そうと決まれば荷造りだ
ええと、着替えと・・・
「あ・・・」
ここに来た時よりも、自分の荷物が増えていた事に気づいた
ふえたもののほとんどは、○○さんに貰ったもの
その事実に気付いたからこそ、私は頑張ってチョコを作ろうと思った
「こうなったら、今日から・・・よしっ」
「お、咲夜ー今夜のおかずなんだがな、さっきいい魚を・・・え?」
咲夜はなんか荷造りしてました
「あ、○○さん丁度良かった」
何が丁度いいんですか?ぶっちゃけ混乱しまくってます、家出ですか?愛想尽かしましたか?
いや、ただの模様替えだ、うん、そうだ
そういえば、なんていえばいいんだろう?紅魔館に行くにしてもなんか理由がないと怪しいかしら
チョコを作りに帰ります、なんて言うのは⑨だ
ええと、ええと・・・・ああ、パチュリー様が読んでた本に良い言い訳があった
「実家に帰らせてもらいます」
確かこの一言で何の説明も要らないらしい
○○さんもぴたりと固まって、動かなくなった
待っててくださいね!必ず至高で究極なチョコレートを完成させてきますからッ!
「・・・・な、なんじゃそるぁぁぁぁぁ」
咲夜が出て行って数分後、やっと思考がまともに動き出し、最初に発せた言葉がそれだった
「な、何故!?俺が何した!?ねぇ、咲夜!?さくやさーん!?」
俺の叫びは、虚しく里に響き渡る
何がいけなかったのか?
何も・・・何も、何もなかったから・・・そうか!紅魔館で何か起きたんだ、そうだそうだ
きっと咲夜の助けが必要なんだ、そうに違いない
解決次第すぐに帰ってくるさ・・・そうだそうだ
「咲夜・・・はぁ」
その日は食事も喉を通らず、しょうがないから寝た
久しく一人で寝ると、なんだかとても寒くて、虚しかった
「・・・日向・・・暖かい・・・ふぁぁぁぁ・・・zzzzzz」
「あら、そんなことで門番が務まるのかしら?」
「ぁぃ、大丈夫ですよー・・・・・・・・・・・あるぇー?」
まったく弛んでいる、私がいないとここは機能しないのか?
「さ、咲夜さん!?」
美鈴の顔から血の気が引いていく、サボっていたわけではないとかなんとか言い訳を始めたので
「えい」
ナイフを一本ほど投げておいた
さくっ
帽子を狙ったつもりだったのに、でこに刺さった
「・・・ぎゃぁぁぁぁああああ」
中国だし、大丈夫でしょ
ギャグキャラと蓬莱人は死なない、これ常識
館内に入ると妖精メイドsが驚いていたがまぁ気にしない、いちいちリアクションとってたらきりがないわ
お嬢様の部屋の前までやってきた
とりあえず物音がするので居るのだろう
「お嬢様、失礼します」
入って真っ先に目が行ったのは、ベットに寝転がるお嬢様だった、そして目が合った
「ですからッ!ベットに寝転がってお菓子を食べないでくださいとッ!あれほど注意したにも拘らずッ!」
「さささささ咲夜!?な、何で貴女が!??」
「お嬢様ッ!」
「な、なにかしら?」
「4~5日お世話になりますッ!」
「・・・・・・はい?」
咲夜の話を要約すると
チョコを作りにきたらしい
ついでに紅魔館の様子見
「・・・よく○○が許したわね、いや、アレは咲夜には甘いんだったわね」
「いえ、○○さんには秘密で来ました、こっそり作って驚かせたいので」
「ええっ!?じゃあ何も言わずに勝手に出てきたの!?」
「大丈夫です、ちゃんと実家に帰らせてもらいます、って言っときました」
それは、凄く誤解を生む発言ではなかろうか?
今頃○○は咲夜が出て行った理由を自問自答してオーヴァーロードでフリーズに違いない
咲夜が帰ってきて嬉しいと思いもしたが、何か面倒な事になりそうな予感がする
それと○○は大丈夫かが心配だ、別にあんな男どうでもいいがまぁ咲夜の旦那さまなので一応心配しておくだけ、深い意味はないわ
はぁ、結婚して落ち着いたかと思ったが、相変わらず面倒なカップルだ
そう思って、私は溜息を吐いた
「そういえば咲夜、メイド服のスカートがロングになってるわね」
「ええ、あの人の趣味です」
「・・・なるほど、これはこれで」
・・・To be continued・・・
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12スレ目>>499 うpろだ838
――言葉がない。
これはなんだろう。どっきりなのか? そのうちプラカード持った妹様か美鈴が出てくるんじゃないのか?
だって俺の胸に顔をうずめて寝ている咲夜さんなんてどっきり以外考えられないんだけど……
昨日ベットに入った時点では特に問題はなかったはずだ。
しかし目を覚ましてみて、異変に気がついた。
それは布団の端から出ているホワイドブリムとさわりごごちのよさそうな銀髪だった。
最初はこっちも寝ぼけていたためゆっくりと頭を撫でていたのだが意識がはっきりしてくるとありえない状況に驚愕した。
布団を持ち上げてみるとメイド服のままで服をつかんですやすやと眠る咲夜さんが見えた。
「ん~、やあぁっ……」
急に布団を持ち上げたため、冷たい空気が入って寒いのか俺に抱きついて胸に頬擦りしたあと再び幸せそうな微笑みをうかべてまた眠ってしまった。
うーん、普段凛々しい顔しかみたことがないため、こうほにゃっと幸せそうな顔している咲夜さんがギャップがあってかなりかわいい。
しかし、いつまでもこの状況でいるわけにもいかず、まず咲夜さんを起こしてどうして俺のベットにいるのか問いたださねば。
「咲夜さん、咲夜さん起きてください」
「うーん、もうちょっとこのままで……」
そう言って抱きしめる力を強くして胸に頬を摺り寄せてくる。
「そうもいってられませんから。ほら早く起きてください」
「あら……。おはよう○○……」
ようやく目を覚ましてくれたが、まだぼんやりしているみたいでぽえ~んとした顔で俺に挨拶をしてきた。
「おはようございます。ところで何で俺のベットで眠っていた訳を話してほしいんですけど」
「え……? ベット? あれ、まさかここって!?」
ようやく意識がはっきりしてきたのかわたわたと慌てだす咲夜さん。
と、一瞬で姿が消えてしまったので時を止めて移動したのだとわかり周囲を見渡すとドア付近の壁に張り付いている咲夜さんをみつけた。
「あの、よろしければ理由を教えていただけると嬉しいんですが……」
すると咲夜さんは顔を赤らめて
「あ、あのね? 深い意味はないのよ? 昨日あなたの部屋の前を通りかかったとき、たまたまドアに隙間が開いていたから
のぞいて見たらもう寝ていたから、ちょっと寝顔を見ようと思って部屋に入っていって
ああ、○○の寝顔ってかわいいって思ってしばらく見つめてたんだけど、そのうち添い寝するくらいならいいわねって思って
布団に入ったんだけど、うっかりそのまま寝入っちゃって……ってああもう、私何言ってるんだろう……。あうあう……」
軽くテンパりながらしどろもどろに説明をしてくれたのだがあまりにおかしくて笑ってしまった。
「……何がおかしいのかしら?○○」
精いっぱいの威厳をみせて咲夜さんが俺に聞いてきた。
「いえ、いつもの咲夜さんとあまりに違うのでつい笑ってしまいました。でもそんな咲夜さんも俺好きですよ」
そう答えたら顔をトマトよりも真っ赤にして目じりには涙が浮かんできた。
そして時を止めることも忘れて、ドアを開けて飛び出してしまった。
その後日談なのだが、俺の部屋から泣きながら飛び出していった所をメイドがみていたようで
レミリア様に呼び出され、咲夜さんにいったい何をしたのかと聞かれたのでことの顛末を話したところ
大爆笑され、屋敷中にその話を広めてしまったのでしばらくの間そのことでからかわれまくったそうだ。
しかし、咲夜さんもそれで吹っ切れたようで今では寝る時間になると俺の部屋にきて堂々とベットの中に入ってくるようになった。
でも咲夜さん、そのかわいらしい子犬柄のパジャマと俺の胸に頬擦りするのはやめてもらえませんか?
一応俺も健全な男子。普段とかなりギャップのあるかわいい格好としぐさ。それを毎日やられては俺もいつ間違いを起こすかわからないですから……。
「もう……。口に出さなければわからない? 私はしぐさで解ってほしいのだけれど」
ふむ。ちょうど今夜は満月。お望みとあらばあなたを食べちゃう悪いオオカミになってさしあげましょう。
(省略されました。続きが読みたければ咲夜のお気に入りワンコパジャマを3つ探し出してきて下さい)
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最終更新:2010年05月16日 00:14