レミリア1



1スレ目 >>60


「僕を、眷属にしてください」

夜の紅魔館の私室で、僕は彼女にそう言った。
吸血鬼の少女――レミリア=スカーレットは微かに考える仕草をして
こう言った。

「なぜ?」

それは当然の疑問だろう。 わざわざ、自分から眷属になりたい人間なんて
居るはずがない。 だが、僕には確固たる目的があった。

それは――

「僕は…レミリア様が好きです。 一生居たいと思ってます。だから
僕と一緒に居たいとお考えなら、僕を眷属にして下さい」

人間と吸血鬼の寿命は一と無限の差だ。
それを埋めるには、同じ不老不死の人外に成らざるを得ない。

「…ありがとう」

彼女はそう言って微笑みながら近づき、僕の首筋に唇を押さえる。
そして、ほんの少しの痛みと共に――僕の意識は急速になくなっていった。

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1スレ目 >>92


あなたの槍で僕の心は串刺しです。

もちろんこの後は僕はハートブレイクさっ!

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1スレ目 >>149


幽「あら、あなた新入りね。そんな若い身空でどうして死んだりしたの?」
俺「はい、それが……」

俺「ああお美しい吸血姫レミリア様、俺と結婚してください」
レ「そうね。咲夜に聞いてみて。咲夜がいいっていったら結婚してあげる」
咲「絶っっっっっ対に許しませんっ!お嬢様につく悪い虫はことごとく潰すのみです」
(メイド弾幕中・夜霧の幻影殺人鬼)

俺「ということだったんですよ(´・ω・`)」
幽「あらあら大変ね」

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1スレ目 >>244


「ついてないわね、あなた。
 たまたま急に血が必要になったときに、たまたま出くわすなんて。
 …何か、言い残すことはある?」

あるべき循環から離れた血液は、すでに致死量。
死の冷たさが蝕む身体は、既に痛みさえ伝達しない。
『吸血鬼』の強力な感染呪詛も、わずかばかりの延命でしかなく。

―――月が、こんなにも赤いから。

焦点の合わない視線の先には、白いドレスを血に染めた少女。
魔瞳に浮かぶは、弱者への軽蔑。…そして、わずかばかりの憐憫。
なぜか、伝え聞いた古の悪魔を連想した。

―――こんなにも、月が明(あか)いから。

呼吸は弱い。…言葉を紡ぐに、不自由するほど。
脈は微か。…盛られた毒に、時折跳ねる。
生命は、…あとどれだけ?

―――こんなにも、貴女が紅いから。

「そう。無いならそれでいいわ。
 さよなら。…永遠に」

笑みと皮肉と、僅かな無念。
嫌味と侮蔑と、大きな落胆。
無垢で邪悪な、子供の表情。



どこまでも赤い紅い緋い明い赫い―――



―――永遠を、見た。





「…時よ止まれ、貴女は美しい」

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1スレ目 >>338


白んできた夜空を見上げる。
「幻想郷で見る最後の空が朝日ってのも、おつなもんだよな」
紅魔館の裏庭、花で作られたミステリーサークルの側に俺はいる。
「外界へのスキマ、開けてあげるのは三日後。朝日の出る時間にここにいらっしゃい」
それから三日は楽しくも慌ただしい日々だった。
妹様は大泣きするし、パチュリー様は図書館を迷路化して出さないようにするし、美鈴はなにかとコッペパンくれるし……。
咲夜さんは表向き普段どおりだったけど、妹様を宥めてくれたり、図書館から出してくれたりと気を使ってくれた。
レミリアお嬢様は……。
いや、考えるのはもう止めよう。全部未練だ、未練。
今頃、魔理沙の企画したお別れ宴会で飲み潰れているはずだ。
やっぱり、いざという時に泣かれると心が揺らぐから。

「ふうん、本当に帰るんだな」
……!!
慌てて声の方向に振り向く。
「レミリアお嬢様……」
「でっきり皆を驚かす嘘だと思っていたんだが……」
「みんなを驚かすのに、こんな性質の悪い嘘はつきませんよ」
訪れる短い沈黙。
「……どうしても、か」
足元からこちらを見上げてくるレミリア様。
「……どうしても、です」
頷きたい衝動を無理矢理押さえつける。
「また……」
くるりと背を向け、
「ええ、きっと。何年何十年かかろうと、レミリア様に会いに戻ってきます」
「その言葉に嘘偽りはないな?」
「当たり前です。それと、戻ってきた時は、またレミリア様の側にいさせてもらえますか?」
「もちろんだとも。その時の為に私の隣の椅子は空けておくよ」
使用人としてではなく、隣の椅子に座る相手として。
それはとどのつまり、そういうわけで。
「そのかわり、待たせた年月は十倍二十倍で返してもらうぞ?」
「いいですよ。レミリア様の傍にいられるなら、その百倍千倍の年月がかかろうとも返済してみせますよ」
「ふふ……。期待しないで待っているとしよう」
そういって、紅い悪魔とは思えぬ笑顔で笑う。
天使のような笑顔で笑う。
その顔を再び見るために、必ず戻ってこよう。
時間も博麗大結界も越えて。
必ずここに。



というわけで、へたれ警報真っ只中のレミリア様BAD?
レミリア様は甘々よりかっこよくいきたいなぁ

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1スレ目 >>362


 ひぃひぃ言いながら自転車で夜中の海岸沿いの坂道を昇っている。

「遅いわ。もうちょっと機敏にこげないものか」

 ごつんと後頭部に鈍痛。傘でぶっ叩かれたのだ。日傘。なんと頑丈な傘だろうか。
 なお機敏にこげと言うが無理と言うものだと言う事を言いたい。
 何しろ坂道で後部座席にお嬢様が乗っているのだから。
 なんでこんな事になっているのかを深く語ると言うことはしない。あまり
意味がないから。
 一先ず、今はこの坂道を乗り切ることが重要なのだ。

「早くしなさい。何の為に着いてきたのか解らなくなるわ」

 坂を上る。自転車で。流石は紅い悪魔。後部座席に直立不動で立っているとは。
 夜の空。紫色に変化し始めた所で、後部座席から傘の開く音。

 レミリアお嬢様が唐突に朝日を見たいといったのだ。もちろん咲夜さんは全面不許可。
 その他、紅魔舘全ての住人も勿論不許可だった。
 たしか自分も不許可した筈だったが何故にこんな事になっているのか。
 それはきっと、多分だけど。

 坂の頂上から海を見ている。オレンジを通り越えた壮絶な光。
 傘の下に居る限り、レミリアお嬢様に日光は通じない。
 それを知ってはいるが、やはり緊張の瞬間だろう。

「美しいな。これが朝日。まるで弾幕を一点に集めたかのような壮絶さね」

 お嬢様らしい喩えと思う。自分は弾幕はするほうではなく見守る方だ。
 応援しては流れ弾に当たっているから間違えない。
 そろそろ帰らねば、咲夜さん方が大騒ぎする頃だろうと思い、踵を返そうとした時。
 視線の端に、お嬢様が傘の端から手を出しているのに気付いた。

 赤い霧。曰く、日の光に当たった彼女の霧を吸い込むと永遠の命を得れるという。
 その赤い霧になってしまった指先が、ゆっくり、こっちへと差し出された。

「吸いなさい。それだけで、貴方は完全に私のもの。白玉楼へ行く事もなくなる」

 赤い霧が鼻先に触れる。吸い込むだけで、共にお嬢様と歩んでいける。
 そう思うと迷いなど無い様にも感じた。
 一生一緒。そんな事を紅魔舘でいったら大笑いされた事を思い出す。
 でも、まぁ。

「帰りましょうか」

 笑って言って、その手をとって、傘の中へ戻した。
 直ぐに元通りになる白い肌の手。お嬢様の顔は、何時もどおりの不敵な笑み。

「――そう。時間はたっぷりあるわ。咲夜のお陰でね」

 自転車の後部座席に腰掛けて、お嬢様は早く帰るように促す。
 応じてこぎ出す。風が心地よい朝。最愛の人、いや、最愛の方を背中に、行く。
 何故吸わなかったのか。何時か後悔するだろうか。
 彼女より、彼女たちより早く死んでいくこの体を。
 でも、ソレでいいと思う。
 限りがあるから愛せたと思うから。
 終わりがあるから、その終わりに向けていけると思ったから。

 たとえ、何時かは終わっていくだけの命だったとしても。
 長く長く、彼女を愛せたのなら、それ以上の事はないと思いたいから――




 追伸
 紅魔舘に帰ったら一週間門番と、一ヶ月図書館整理を咲夜さんから言い渡されました




 れみりゃ様と誰かですよ。
 一生一緒もいいけど、つかの間の一緒の方が貴重なような気がするんですが、如何なもんでしょ(滝汗
 と言うか、プロポーズじゃないしorz

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1スレ目 >>797


獣道を書き分けて進む。
草や枝を鉈で切り落とす。
人里を離れて二日。ひたすら山を越えてきた。
目的地はもうすぐのはずだった。
目指す場所は博麗神社。人界と幻想郷、両方に存在する場所。


あの日、俺は幻想郷から戻ってきた。
そのまま居ついてもよかったのだが、家族や色々な事が気になり戻ってきたのだ。
家族にはどこへ行っていたのかと問い詰められた。が、記憶喪失で押し通し、最後には神隠しということで落ち着いた。
ほとぼりが冷めると、俺はすぐに幻想郷に行く方法を探し始めた。
古文書や口伝でしか伝わっていない伝承。行方不明者の足取りまで追った。
「幻想郷に戻ってこれるわ。あなたの頑張り次第で、ね」
幻想郷からの帰り際、スキマ妖怪の言ったその言葉だけが頼りだった。
そして、やっと博麗神社と思わしき伝承を探り当てたのだ。


そして、今草を掻き分け博麗神社へと向かっている。
「はぁ…はぁ…さすがに…きつい…なぁ。」
二日も山を越えてきたのだ。疲れないはずはない。
しかし、幻想郷への想いが体を動かした。

急に視界がひらけた。
だだっぴろい草原。しかし、その場所には見覚えがあった。
「これは…、確か慧音さんが住んでた村…。」
家や田んぼ、道がなくてもわかる。
紅い屋敷のメイドに連れられ、何度も買出しに行かされた。
そのまま置いて行かれ、歩いて屋敷まで戻ったのも良い思い出だ。
「となると、博麗神社はあっちの方向か。」
ここにきて、急に現実味を帯びてくる。
行動に移したとはいえ、正直半信半疑ではあったのだ。
だが、覚えのある景色に出会ったことで信憑性が増してきたのだ。
「ここからなら、夜までには着けるか。」
疲労困憊の体に鞭打ち、歩き出す。
この気持ちが折れないうちにたどり着かねば。



そして、それは本当にそこにあった。
石段とかすかに判別できる階段を上り、へし折れた鳥居をくぐったその先に。
「……。」
喜びのあたり、言葉はでなかった。
草は伸び放題、本堂の屋根からは木が生え、びっしりと苔に覆われた石畳。
それでも、そこが博麗神社だとわかった。


あれから三日
本堂の中、今にも抜けそうな床に座り込んでいる。
持ってきた食料はとうに底を尽いていた。
「参ったなぁ……。」
そう都合よく行かないとは思っていたが……。
「やっぱあんなうさんくさいスキマ妖怪を最後の希望にしたのが間違いだったかなぁ……。」
博麗神社からどうやって幻想郷へ行くのか。
結界の要石とかないのか、どこかに結界の綻びはないかと探し回ったのだが見つからない。
ここに来るまでに三日。食料はもうない。
今から戻っても遭難するのは確実だろう。
山登りが堪えたのだろう。リウマチの発作が起こってきた。
「ここで死んだら、白玉楼へ行けるかな……。あー、でもそうすると紅魔館へはいけないよなぁ。」
そんなことを考えつつ、意識は薄れていった。








「玲夢ー。本堂の掃除はどうしたのよ!」
「おばあちゃんの馬鹿ー!そんな面倒くさいことやってらんないわよ!」
そういってレミリアの後ろに隠れるのは十四代目博麗の巫女。
「レミリアおねえちゃん!やっつけちゃって!」
生まれた時から一緒なせいか、どうも年上に対して敬意というものが足りない。
容姿が変わらないからかしらね、とレミリアは思う。
「おばあちゃんの言うことは聞かなきゃだめよ?老い先短いんだから。」
「そこ、一言多いわよ。」
老いてもいまだ壮健なりし、博麗 霊夢
「仕方ないわね。本堂は私が掃除してきてあげるわ。」
「あら、いいの?っていうか、あなたも丸くなったわね。」
「肝心の容姿は変わらないからいいのよ。それよりも、娘の躾はちゃんとしときなさい。」
「うわーん!レミリアお姉ちゃんに売られたー!」
喧騒を聞き流し、日傘をまわしながら予感を胸に本堂へ向かう。
能力で未来がわかっていても、楽しみなものは楽しみなのだ。








「ほら、起きなさいな。人間はちゃんと朝には起きるんでしょ?」
なんだ、幻聴かこれは。
「この私が直々に起こしてるんだから、起きなさい。」
ゆっくりと目を開けると、あの頃からまったく変わらない愛しい人の顔。
「レミリア様……?」
「随分しわくちゃになって……。苦労したみたいね。」
優しく微笑みながら頬をさすってくれる。
「ええ……、ほんとに苦労しました……。」
そのまま軽く抱きしめてくれるレミリア様。
「紅魔館は随分散らかってしまったわ。これからはもっと苦労するわよ?」
「レミリア様といられるならそれもいいですね……。」
首筋に軽い痛み。自分の体が変質していく違和感。
「もう、嫌だといっても逃げられないわよ。」
そんなつもりは毛頭ない。
やっと再び会うことが出来たんだ。これからは会えなかった分の隙間を埋めていこう。
時間はたっぷりできたのだから。

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th2_0218.txtより


「親愛なるレミリア・スカーレット様。
 貴女様にとってわたくしが親愛に値する相手であるかどうかを、死ぬ前に知りたいと、筆を執りながら思います。
 いいえ、存じております。わたくしは翼折られた籠の鳥。貴女様の無聊を慰めるためにのみ生かされておりました。
 それを踏まえた上で、どうかこれから記す事を信じてください。わたくしは、この生涯に満足しております。

 我が永遠にして唯一の主、レミリア・スカーレット様。
 貴女様に手折られたあの夜こそ我が婚儀。貴女様が牢獄と呼ぶこの部屋こそ、わたくしの愛の巣。
 わたくしの首筋には今も牙の痕。姿見に映すと、わたくしの目には婚儀の指輪のようにも見えるのです。

 この期に及んでこのような手紙を遺すのは、心残り故ではない事をどうか心得てくださいませ。
 わたくしは、この生涯に満足して逝くのです。天国でも地獄でもなく、他ならぬ貴女様の血となる事を願って。

 わたくしも存じております。最後の数ヶ月、貴女様はわたくしをあまり伽に呼ばなくなりました。
 たまにおいでくださる時も、どこか憂いだお顔をなされていた事を、わたくしはずっと心配しておりました。
 存じております。貴女様はもはや醜く老いさらばえた卑俗なわたくしの姿など、もはや見たくないのですね。
 どうかお許しくださいませ、我が主。悪魔ならぬ身のこの私には、貴女様の慰みになるにも限度があったのです。

 いつでしたでしょうか、レミリア様。貴女様は閨の場でわたくしに問われた事がありました。
 『お前もやがて、老いて死んでいくのだな』と。わたくしが慄然とした事を覚えておりますでしょうか。
 人の生に絶望が横たわる事を、わたくしはその言葉によって初めて知ったのです。
 存じております。存じておりました。わたくしもやがて、何の慰みにもならぬ腐った血袋になる夜を迎える事を。
 それが今夜である事を、わたくしは今夜になって悟りました。真実から目を背ける臆病者にどうか御慈悲を。

 許されるならば、わたくしは貴女様に血を吸われて死にたい。
 それが叶わぬならば、せめてこの牢で先任達が零した血のように、床の染みになりたい。
 あるいは亡霊となって貴女様の傍らに控え、永遠に仕え続ける事ができたならどれほど良い事か。
 寵愛の豊かなりし頃、貴女様はよく職人に作らせた贈り物を届けてくださいましたが、
 失礼を承知で言わせていただけば、わたくしは貴女様の事さえ考えられば他になにも必要でなかったのです。
 今も思い出のよすがに品々を眺めています。この陶製の茶器など、眺めてばかりで未だ湯も入れておりません。

 レミリア様。わたくしは今気付きましたが、なぜかこの期に及んで心穏やかです。
 心の臓は高鳴って止まぬというのに、心は頭上の赤い月のように隠然として凪のよう。
 希望を見つけたのです。本当にご迷惑でしょうけれど、わたくしは貴女様に添い遂げる事ができる。

 わたくしが死んだ後も永遠に、吸血鬼幻想の終わる夜まで、貴女様は夜を渡り続けるでしょう。
 ですがどうかご記憶に留めてください。私の血も、我が主と同じくして、翼を広げ永遠を歩むのです。

 貴女様に献上したこの肢体には、命の液体が流れています。何度も夕餉に饗したあの血潮です。
 それは確かに貴女様と源を同じくする命。貴女様がご存命であられる限り、永劫に夜を生きる希望なのです。

                                  全ての誠実さと愛を、高鳴る心の臓から血に込めて」




そう書かれた遺書を、側仕えの従者が主の私室で戯れていて偶然から見つけた。
その従者は無礼を承知でそれを読み進め、少しだけ黙祷して思いを馳せ、元に戻した。
表情と言わず全身が、羞恥と、悔恨と、呆れに彩られていた。嘲笑にも見えるだろう。
しかしよく見れば、その奥に、彼女の持ち得る全ての誠実さと愛を読み取れただろう。

「あら、それを見たのね」
「……お嬢様? いえ、その。失礼いたしました」
「いいのよ。お前は見るべきだと思う」

レミリアはどこか寂しげに笑って、言った。

「彼女の遺言どおり、血は、命なのよ。そして命は運命なの。
 彼女の運命の全てを、私が受け容れた。何も喪われてはいないわ」

従者は問うた。この遺書を書いた娘は幸せに死ねたのでしょうか、と。吸血鬼は答えた。

「お前は答えを知っているはずよ、私の血から産まれたサーヴァント・フライヤー。
 お前を構成する血には―――全ての誠実さと愛が、確かに受け継がれているのだから」

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1スレ目 >>930


……辺りは暗く、その中で今見えるのは炎。それと、人影。

――やめろ。

二つの人影のうち、一つは倒れ、地に伏している。最後の一つ、それは……子供。
暗銀の髪は炎に照らされ、赤く染まっている。

――やめろ!

子供の両の腕も赤く染まっていて、まるで手袋をはめたようだ。
そして、こちらを向いて……にやりと笑う。唇から牙が覗いていた。

「……やめろぉぉっ!!」
ガバリと跳ね起きる。息が荒く、心臓の音もうるさい。
周りを見渡し、もう一度ベッドに倒れた。
「また、あの夢か……」
あの時から大人になるまでずっと見つづけてきた悪夢。
――あいつは、絶対に許せない。
自分からすべてを奪ったあの悪魔を……
「レミリア=スカーレット……ッ!」


少年だったころの悪夢。己の父、母を殺された事。
その少年は愕然とし、そして殺した者に復習を誓った。
成長した今の自分をなおも苦しめる存在の名は、『レミリア』。
人の姿をした魔物……吸血鬼。
その悪夢を壊すため、親の敵を打つために、方々を探し回りようやく見つけた。
……そこは、あまりにも空気が柔らかかった。ただ立っているだけで安らぎを感じる。
こここそが幻想郷。……これから自分の成し遂げる事が似合わない位に穏やかだ。

だが、やらねばならない。それが自分の存在意義だから。

一歩踏み出す。体が軽かった。まずはどこにいるかを知らないと。
まずは町や村へといき、レミリアの存在を確かめる。
思った以上に反応は良く、簡単に聞きだすことが出来た。
「大きな湖の真ん中、ぽつんとある島の上の館。そこが紅魔館、スカーレットの住む館。」
大きな湖。それを目印に進み、ようやく見つけた。そして、ここからはどうするか。
まあ、そんなこともあろうかと用意はしてある。ただずっと呆けてただけじゃない。
荷物から一枚の大きな革布を取り出し、それを地面に敷く。それの上に乗り、短い呪を口ずさむ。
そうすれば革布が浮き上がり、移動を開始する。
水面などを移動するための簡易『魔法のじゅうたん』。これはレミリアを倒すために鍛えていたときに見つけたものだ。
……そう。己を鍛え、奴の喉を食い破る牙や爪を磨いていたのだ。
だから、絶対に勝たなければいけない。
島に到着してからは慎重に行動しなければいけなかった。まず、門番らしき女性を眠らせ、中へ入る。
なるべく戦闘を避けながら進み、速やかにレミリアを倒……
「あら、侵入者ね。」
言葉とともにナイフが目の前に現れた。紙一重でかわしたが、どこから放たれたのか……
「まったく、あの門番は役立たずね……後でお仕置きしないと。」
二度目のナイフ。一度目とは違う方向から放たれている。
ちっ。こうなったら次が勝負か。……いや、違う。直感がそう告げた。次に来るのは……
今度のナイフは切りつけるように動いた。その動きの根元……ナイフの本体だろうそこを狙って拳を一撃。
手ごたえはあった。……だが、そこには誰もいない。
しまった!そう思ったときにはもう遅かった。全身がナイフで貫かれてしまう。
「……ふう。ネズミにしては良くやるほうだったわ。白黒ほどじゃないけど、ね。」
かつ、かつ、靴の音が響く。姿を現したのは……メイド。
右手にはナイフを持っている。これは全て彼女がやったらしい。
まったく、人間離れしてるよな。……同じ人間なのに。
「さて。掃除掃除っと。」
こちらに近寄り、ナイフを抜き取っている。……貧乏性か?
そして、ナイフを全て抜き取った瞬間、すばやく後ろに回り込んだ。
「な……っ!」
ドゴッ、と音を立て床に頭をめり込ませる。……軽く頭蓋骨にヒビ入っただろうが、許してくれ。
……脈確認。……よし、生きてる。さすがに目標以外を殺すのは寝覚めが悪い。
廊下の隅に横たえ、また詮索をはじめた。……しかし、あまりいい方法でもないな。
なぜあれだけやられて死んでないのか種明かしをすると。体と心に一度だけ死んでも生き返れる呪術を施してあったのだ。
実際にはレミリア戦まで取っておくつもりだったが……今からもう一度術をかけられるほど時間も設備も無い。
本番一発勝負。それしか道は無かった。
詮索を再開してから少し経って、ようやくそれらしき場所を見つけた。
いかにも敵役が好みそうな大広間。扉をまっすぐ進んだ先に、あいつはいた。
「あら、人間のお客様。こちらにどのようなご用件でいらっしゃったのかしら?」
「ふたりで話をしようと思ってな。……久しぶりだな、レミリア=スカーレット。」
レミリアに言葉を返す。その声を聞き、羽がピクリと動いた。
「貴方は……もしかして……」
「覚えていたのか。俺は、あのときに出会った子供だ。」


かつて、俺は良家の子供だった。両親も一人息子の俺をしっかり育て、家は安泰にすごせるはずだった。
あの親子が来るまでは。
突然家に訪問してきた母親と娘。彼女らはスカーレットと名乗り、少しの間この家に匿ってほしいと申し出た。
両親は二つ返事で承諾し、彼女達を受け入れた。
その後、数ヶ月が経って最初の異変は起こった。
我が家の近くに住む人達が少しずつ、少しずつ減っていき、数年経つころにはもう誰もいなくなっていた。
そして、数年後のあの日の夜に事件が起こった。
まだ幼かった俺が両親を探していると、スカーレットの娘に会った。
一緒に両親を探してくれと頼み、歩き回っていると、ようやく父に会えた。
……そう思った瞬間。何が起こったのかは覚えていない。
覚えているのはその後、父が倒れていて、スカーレットの娘がその前に立っていた事。
彼女の両腕は血に塗れていて、父の腹部辺りからは赤い水たまりができていた。
父は、殺された。その後、どうやら俺は逃げたらしいが記憶が抜け落ちている。
あの時から、ずっと俺の頭の中にはあの場面が残っていた。


「おまえを探して、ようやくここまで来たんだ。逃げるなんて真似はしないでくれよ。」
言葉を終わらせる直前に懐からあるものを引き抜き、それを向けた。
それは、幾何学模様が刻まれた小型グレネードランチャー。そのトリガーを引く。
魔力弾が発射され、レミリアに当た……らなかった。
「不意射ちだなんて、ひどい人。今のは危なかったわ。」
「フン、ほざいてろ!」
立て続けに魔力弾を発射するが、そのことごとくを空を飛んでかわし、着地する。
その後、こちらに視線を向けてこうつぶやいた。
「……悪いけど、今の貴方には私は殺せないわ。おとなしく下がりなさい。」
その一言は、俺の怒りを爆発させるには十分なものだった。
「……ふっ、ざけんなぁぁぁ!」
ホールド(持ち方)をシングルからダブルへ。レミリアに照準を会わせ固定。
向こうは平気だと思っているのかまったく動かない。
「マナ、エクシード(魔力充填)……レヴ・ファイブ!ブラスト(発射)!」
膨大な魔力を込め、魔力弾……いや、魔力塊を放つ。まだ動かない。
やがて放たれた魔力塊がレミリアに当たりそうになったとき。次の言葉を唱える。
「ブレイケンシリア(弾けて捕らえろ)!」
それを合図に魔力塊は分裂し、レミリアを封じる。
それでも封印を振り解こうとはしない。ただじっと立つのみ。
「ようやく、ようやく父の敵が討てるんだ。」
ランチャーをブレイクオープンし、唯一の弾を込める。内部に銀の粒弾を詰め込んだ特製弾だ。
これをレミリアに撃てば、悪夢が終わる。
「これで終わりだ。……あばよ。」
固定されたレミリアの胸元にマズルを押し付け、トリガーを、
『この、悪魔が!』
引いた。

…………これで、終わったはずなのに。
「な、なぜだ?」
後はトリガーを引くだけなのに。
「何で、何で……」
引くだけなのに……
「なんで、指が動かないんだ……!?」
指はトリガーにかかったまま。動くことはない。……違う。
指を動かせないのだ。

――この、悪魔が!

もう一度、さっきの言葉が繰り返され……
違う。この声は俺じゃない。この声は……
「やっぱり、あの時の記憶を失っていたのね。全ての記憶を……」
レミリアの顔に表情が浮かぶ。悲しみ、そして……
その顔を見た瞬間、意識が吹っ飛んだ。


――どこだ?ここはどこなんだ?
真っ暗闇の中、俺は佇んでいた。周りに何も無い、暗闇の中。
情景が浮かぶ。それは、在りし日の俺。それと……レミリア。
――ああ、あの時の光景か。
レミリアと一緒に父を探していた時。……そして、あの事件が起こったとき。
「お父さん見つからないねぇ……」
「……ねえ、こっちじゃないかしら?」

ふたりが行く先には確かに父が見える。……あれ?

「あ、お父さん。探し――」
「早く、その娘から離れろ!」

……ああ。そうだ。だんだん思い出してきた。

「え、何で……?」
「いいから。はやく離れなさい!」

――あの時の全てを。

「……いいの。もう隠せないことだしね。」
「隠せない……?」

「――ごめんなさい。」

あの時も、レミリアは悲しげな顔をした。そして……
「村の人間を食い荒らしたのはお前達だな!?」
「ええ、でもそれは……」
「『仕方ないこと』、で済むと思うか!あの女もそう言っていたぞ!」
「……母を殺したのね。」
「ああ。お前も神の名の下に地獄へ落ちろ!」

「……この、悪魔が!」

そうか、そうだったのか。俺は……景色が血に染まる。レミリアが父の命を奪った。
「……ごめんなさい。私、人間じゃないの。」
「……あ、あああ……」
「人の命を糧にする化け物。だから、定期的に人間の血を吸わなければいけない。」
「ああああああああああああ……」
「貴方だけにはばれてほしくなかった。……でも、仕方ないよね。」
彼女は……笑った。涙を流して、引きつった笑みを。
「私達は、相容れないもの達なんだから……」
俺は……昔の俺は叫んだ。声にならない慟哭。そして、彼女の言葉による悲しみを。


「は、ははは……は……」
父は殺された。でも、それはレミリアが自分を守るため。
レミリアは笑った。でも、それは悲しみをごまかすため。
「そっか。そうだったのか……」
俺はどうすればいい。生きるための目的をなくした俺はどうすればいい?
全て俺の勘違い。笑えるじゃないか。こんな阿呆を生かしておくのか?
答えは、NO。――ランチャーをこめかみに当てる。
「悪かったな。お前を殺すとか言って。……じゃあ、な。」
もう生きることは無い。簡単さ。トリガーを引いて……

その瞬間は訪れなかった。

封印とランチャーは弾き飛ばされ、俺はレミリアに殴られていた。
「冗談じゃないわ……あれだけ悲しませておいて死んでしまうなんて。そんなの絶対に許さない。」
「そうは言ってもな、俺にはもう生きる意味は無い。……素直に死なせてくれ。」
また、殴られる。
「もう一度言ってみなさい、貴方を……」
「殺してくれよ。あの時みたいにさ。」
父を殺した時みたいに、その手で俺の心臓を……
「……そんな事、出来るわけ無いじゃない……ッ!」
こちらを睨むレミリアは、泣いていた。
「貴方は私を殺せない。私も貴方を殺せないのよ。だって……」
俺のほうに近づき、そして……

「貴方がずっと、好きだったんだから……」
俺の胸に倒れこんだ。

そうだ。ようやくあの時の涙の理由がわかった。
俺に自分の事を打ち明けるのが辛くて、悲しかったんだ。それほどに俺を好きだったんだ。
でも俺は……どうなんだ?今まで憎むべき対象だったレミリアを好きになれるのか?
……昔の記憶をたぐる。今だったら全てのことが話せる気がしたから。


最初の頃は客人ということで気を使っていたけれど、何週間もするうちに打ち解けていった。
相手は女の子だというのに気が利かず、いっつも彼女を振り回していた。
大抵は俺が馬鹿をやってそれに巻き込まれたり、たまに彼女自身にいたずらを仕掛けたり。
……その辺は過去の嫌な部分なのでたぐるのをやめた。
でも、それはやっぱり。


「俺も、どうやら好きだったらしいな。」
「えっ?」
「今はわからないけど、昔の俺はお前に惚れていたみたいだ。」
異性に触れる機会はめったに無く、だからこそレミリアに惹かれていった。
……だからこそ、あの時の叫びにあったのだろう。……失恋の悲しみが。
「……ねえ?貴方、生きる意味が無いって言ったわよね。」
「そりゃな。結局無駄な苦労で終わったから……」
突然のレミリアの言葉。
「なら、私が貴方の『生きる意味』になるわ。……いえ、『一生の伴侶』、かしらね。」
俺は唖然とし、少し経ってからようやく言葉を出せた。
「それ、実際には男が言う台詞……」
殴られた。……真剣なときのより痛い。
「だったらっ、貴方が言いなさい貴方が!」
「……はいはいわかったよ。」

「――レミリア、出来ることなら一生を俺とともに歩んでくれ。」

   ***   ***   ***

何か無理矢理まとめた感あり。(ぇー

小型グレネードランチャーに関しては某エルフィンナイツさんの「27mmG・L・S」を参考にしていただければ。
(もしくはカンプピストルでも)

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2スレ目 >>141-142


ここは幻想郷の湖のほとりの紅魔館。
外の世界から迷い込んできた俺は、妖怪に襲われそうになった所を
たまたま通りがかった中国風妖怪に保護――拉致とも言う――され、それ以来この館で働いています。
職種は『おやつ』です。ありえねえよぅちくしょう、人権無視も甚だしい。とメイド長の咲夜さんにつらつらと
話してみた所、

「あら、本来だったらここで働いている妖怪達の晩御飯になるはずだったんだから、自分の幸運に感謝しなさい。
 それに、血を提供するだけで身の安全を保障できるのだからそう悪くは無いでしょう?と言うか何貴方あんな
 羨ましい境遇に置かれているくせに何か文句があるの?刺していいかしら?ああ、お嬢様の破滅的でいろいろ
 浄化されそうなほどに可愛らしい顔がその首にその首にその首にぃぃぃうぎぎぎぎぎ」

「咲夜さんそれ極意っ!!デフレ世界は俺には無理だからっ!!無理なのっ!!しかもどう見ても博麗さんに
 使ってた時より弾幕濃いよなにやってんの!!ぎゃあああああナイフ迫ってきたああああ!?」

…まあつまる所はそんなとこだ。食料として運ばれてきた俺は、ここの主であり吸血鬼であるレミリアお嬢様の
気まぐれで血を味見されたのだ。テイスティングの結果、俺の血はお嬢様の好みド真ん中だったらしい。
なんでも蕩けそうなほど甘いのだとか。まさかあれか、外の世界で甘党だった俺の血は既に血糖値がやばい値に
なってたりするのだろうか。糖尿病(未遂)に命を救われる俺。笑えねー。それ救われて裏切られるし。
そんな訳でここでの生活も既に一月。実際血を吸われる以外は待遇もよく、図書館に足を向けたり、メイドたち
を手伝ったり、お嬢様にお茶会に呼ばれたり、俺の首筋に噛み付くお嬢様の横の咲夜さんに凄まじい貌(かお)
で睨まれたりしている内に俺もすっかり馴染んだ。人間って凄いや。





と、言う訳で。図書館で本を読んでいると、突然お呼びがかかるのもいつもの日課という事で。

「○○、お嬢様が呼んでるわ。来なさい」

呼びに来たのはメイド長たる咲夜さん。今日も胸には違和感が無い。
完璧な着こなし、いや、着けこなしは実に瀟洒だ。香霖堂から仕入れていると噂される品物自体もかなり
精巧に作られているに違「何考えてるのかしら?」目が赤くて恐いですごめんなさい。
普段は人当たりの良い咲夜さんだが、お嬢様か胸が絡むと修羅と化す。

お嬢様の自室の前に着く。

「お嬢様、○○をお連れしました」

「入りなさい」

ドアを開けるとお嬢様が微笑んで立っていた。そしてそのままとことこと寄ってくる。
パタパタ動く羽を見るに、どうやら機嫌が良さそうだ。

「遅かったのね、○○。待ちくたびれたわ」

「そうですか?普段通りだと思いますけど」

「貴方もこの幻想郷で生きていくのならせめて飛ぶ術くらいは覚えておいた方が良いわよ」

そのままとりとめも無く雑談する。外の世界の事や、幻想郷の中の事。館のメイド達の勤務態度等々。
ほぼ毎日三時頃――ちなみに今は深夜――に顔を会わせてればそりゃあそれなりに親しくもなる。
ただまあ、時間も時間なので小一時間も話すとそろそろ眠くなってきた。

「お嬢様、そろそろ眠いっす。今日は血はいらないんですか?」

「もう眠るの?だらしないわね」

「人間は夜行性じゃないですから」

お嬢様は不満そうだったがやがて納得したのか、しぶしぶといった顔で。

「分かったわ。じゃあ指を出しなさい」

「指?」

「首は血が止まり難くて困ると言ったのは貴方じゃない」

そういえば昨日そんな事も言ったような。こちらとしても願ったり叶ったりなので素直に右人差し指を差し出す。
お嬢様がそれを口に含むと、指先に微かな痛みが刺さる。

「ん……ちゅ………ちゅる……ん…」

お嬢様が満足げな顔で俺の血を啜っている。普段は白く透き通った顔が今はほんのり赤い。きっと俺も赤面
している事だろう。あとお嬢様の後ろで鼻血を噴出させながら息を乱している咲夜さん。その何を想像したか
分かりやすすぎる瀟洒な想像力には戦慄を禁じ得ない。
と、俺の動揺が伝わったのか、お嬢様が上目遣いでこちらを伺ってくる。

「ん……どうかしたの?」

「うひゃあ可愛いなあもうっ!!」

「は?」

いかんいかん、思わず本音がエクスプロージョンした。
なんとか平静を取り繕って誤魔化していると、お嬢様が俺の指を解放した。

「ふう、今日も美味しかったわ。ご馳走様」

お粗末様でした、と俺は重くなった目蓋を擦ろうとして人差し指が目に映った。
解放されたばかりの指はまだ血が止まっていない。そういえば実際自分の血を味わってみた事はなかった。
お嬢様は美味しいと言うが、自分が飲んでも美味しいのだろうか。味覚に違いがあるわけではなさそうだけど。
と、とりとめのない思考をしながらその指を口に含んでみた。…うわまず。
するとそれを見たお嬢様の顔がきょとんとした表情のままどんどん赤くなっていく。
あ、臨界突破。

「なっ、あ、貴方、何してるのよ!?」

「へ? いや、お嬢様があんまり美味しそうに舐めるもんだから、つい」

「ぅ、うー、だって、それ、かんせつ……」

「?」

そっぽを向いて言われた最後の言葉は良く聞き取れなかった。

「…良いわ。おやすみなさい、○○」

「あ、はい。おやすみなさいお嬢様。それと、また明日」

お嬢様はそのまま俺が出て行くまでそっぽを向いたままだったけど。
ちらりと見えた顔が耳まで真っ赤だったのと、羽が忙しなくパタパタ動いていたのが印象的だった。




懺悔室
お目汚しでごめんなさい、長くなってごめんなさい、咲夜さんごめんなさい、
なんとなく卑猥でごめんなさい、プロポーズしてなくてごめんなさいorz

俺の願いは一つだけだったんです。ただ、
 お 嬢 様 に 指 チ ュ パ さ れ た い
はははははー首吊ってくるぜー

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最終更新:2010年05月23日 01:17