レミリア5
7スレ目>>837
「申し訳ありません、直ぐに片付けます」
甲高い音を立てて飛び散ったワイングラスの破片を、男は慌てて拾い集める。
男はまだこの紅魔館に勤めて間もない身。それに加えて、過労のためか少々熱がある。
「――何時になったら慣れるのかしら。貴方が犯した粗相の数、覚えている?」
「申し訳ありません、レミリアお嬢様」
彼が仕える主人、
レミリア・スカーレットの冷たい声が男へと掛かる。
熱で頭がぼーっとしていたなど、この吸血鬼のお嬢様は聞き入れてくれないだろう。
周囲のメイドも気の毒そうに見ているが、これは彼が犯したミスだ。
「痛っ!」
挽回しようと慌てていたためか、男は迂闊にも指を破片で切ってしまう。
泣きっ面にはこの事だろうか。苦痛に顔を歪め、男は傷口を押さえる。どうにか止血しなければ、床を汚す事になりかねない。
「もういいわ。こっちに来なさい」
「はい。仰せの通りに」
それを見て呆れたのか、レミリアは呆れた様な表情で男を呼び寄せる。
男が近付くとレミリアは彼の手を取り、指先をそっと口に含んだ。
「――ん、少し熱っぽいみたいだけど、血の味は相変わらず悪くないわね。
それが貴方の生かされている理由でもあるのだから、体は大切にしなさい」
「分かっています。それだけが唯一の取り柄ですから」
男は自嘲する様に言うと、レミリアの唾液が付いた指をそっと反対の手で覆う。
血の味の良さは、メイドたちもよく知るところだ。飲まれる度に、こうして褒められているからだ。
もっとも、こうした場で褒められたのは、その事だけしかないのだが。
「自分を卑下するのは止めなさい。貴方はこのレミリア・スカーレットの従者なのよ。
自分を侮辱する事は、それは私を侮辱するのと同じ事。軽々しく口にして良い言葉ではないわ」
「申し訳ありませんでした、レミリアお嬢様」
眉を吊り上げたレミリアに、男は慌てて頭を下げる。
と、言うより下げないわけにはいかないだろう。周囲の目もあり、何よりご主人様の機嫌を損ねる。
「今日はもう下がっていいわよ。今の貴方が居ても邪魔にしかならないわ」
「はい。それでは失礼させていただきます」
溜息を吐きたいのをぐっと堪えながら、男は部屋を後にする。
せっかく気を遣ってもらったのだ。今日はゆっくり休む事にしよう。
○○が目を覚ますと、空には月が浮かんでいた。
少し寝るだけのつもりだったのだが、何時の間にか熟睡してしまったようだ。
だが丁度良い頃合だろう。そろそろ、待ち人がやってくる頃だ。
そのために、彼の部屋の窓は何時も開いているのだから。
「体の調子はどう?」
「平気さ、少し休めば良くなる」
そうして窓からやってきたのは、この紅魔館の主、レミリアだ。
こんな夜中に一使用人の部屋行くのを見られないために、彼女は蝙蝠へと変身して窓からやってくる。
「全く、昼間と同一人物とは思えないほどの変わりぶりね。それだけ元気なら、見舞う必要はなかったかしら」
「勘弁してくれ、今はプライベートな時間だからいいだろう? お嬢様」
おどけた様に自分をお嬢様と呼ぶ○○に対し、レミリアは僅かながらに頬を膨らませる。
こう呼ばれるのを彼女は嫌がると○○は知っている。だからこそわざとそう呼んだのだが。
「プライベートの時はレミィでいいって言ってるでしょ。他に聞いてる者もいない事だし」
「カリスマを保つのも大変だな」
「ええ、大変よ。間違っても、他人が見ているところでこんな事はできないわ」
レミリアは寝ている○○の首へと腕を回し、微かに紅潮した顔を近付けると、その首筋に唇を付けた。
そしてゆっくりと、彼の味を確かめる様に舌を這わす。
その様子を微笑ましそうに眺めながら、○○はレミリアの髪を優しく撫でる。
「貴方が誰から見ても私の従者として相応しいかったら、こんな目には合わせなかったのに」
それは暗に、従者として相応しいのなら眷族としている事を言っているのだろう。
そうすれば些細な事で怪我をする事もなくなり、病気の心配もなくなる。
それに、二人の間の最大の障害である、寿命だって乗り越えられる。
少しだけ心配そうな表情を見せたレミリアに、○○は心臓を高鳴らせる。
だがそう簡単に行く事ではない。まだ紅魔館に来て間もなく、未熟な者を眷族とすれば不審に思う者も出るだろう。
できれば、それは避けたいのだ。
「努力はしてるさ。慣れない敬語みたいなの使ったり、結構大変なんだぞ」
「結果を出して欲しいわね。それも出来るだけ早くに」
「分かってる。まっ、来年までには何とか」
それに乗じて彼女の顔をこちらへ向かせ、○○は彼女の紅い唇を指でなぞる。
何時だったか遊びで決めたキスのサイン。了承ならばその指に口付けを、否定ならばその指に牙を突き立てる。
彼女は自分からは決して求めてこない。そのうえ○○が彼女の意図を汲み取り、キスを求めなければへそを曲げるという困ったさんだ。
だからこそ彼がこうして許しを請い、そっとサインを送る必要がある。
だが残念ながら、返ってきたのは彼女の甘噛み。○○は情けない顔で溜息を吐き、レミリアの顔色を伺う。
「半年よ。それ以上は待てないわ」
「随分と厳しいな。こっちは咲夜さんと違って普通の人間なんだぞ」
「これでも我慢してるんだから、早く誰もが認める良い男になりなさい」
執事など自分には向いてないと分かっているし、そもそも気配りなど○○には無縁な言葉。
もとがいい加減な人間のせいか、最近になって改めてメイド長の凄さを再確認しているところだ。
レミリアが真剣な顔をしていたので、○○の方もそれに合わせる。
何時もは昼間言った事を気にしているのか、それを取り返す様に甘えてくるのだが。
「今日はやけに積極的じゃないか。どうかしたのか?」
「……この前、貴方にフランが抱き付いたわ」
「なんだ嫉妬か。いや、結構嬉しいんだけどな、愛されてるって思えるし」
「違うわ」
「そこは否定しないで喜びに浸らせてくれよ」
説教ではない、嫉妬でもない。では何なんのか。
フランの名が上げられた時点で○○も薄々勘付いていたが、気付かない振りをして続きを促す。
レミリアの目が真剣なのは分かっていたし、その瞳が彼を心配そうに見ていたのにも気付いていたのだから。
「あの時、貴方は怪我をした。一歩間違えれば貴方は死んでたわ。人間は脆い、何時死んでしまうか分からない。だから、ね」
悲しげにレミリアが吐き出した言葉に、○○は息を呑む。
フランに抱き付かれた際に、そのまま勢い余って床に押し倒され、頭を強く打った事があった。
その他にも、骨折くらいなら日常茶飯事。そう考えると今生きているのは運が良かったからとしか言い様がない。
「……分かった、半年後な。約束する」
「ええ、期待してるわよ。さて、満足のできる返答をもらった事だし、私はもう行くわ」
「何もなしにか? せめてキスくらいは……どんな生殺しだよ」
何の力も才能も持たない彼が、吸血鬼たるレミリアと並んで立つ事は難しいだろう。何より、周囲が納得しない。
だから眷属とする事で寿命を高め、何れ誰もが納得する様な状況を作り出せばいい。
もっとも、今のままでは何年、いや、何十年先になるかは分かりはしないが。
だがレミリアの言っている事は理解できるし、二人が一緒になるには必要な事。
それくらいの苦労でレミリアと一緒に居られるのなら、○○は喜んでそれを背負うだろう。
情けない表情を浮かべる○○に、レミリアは優しく口付けをした。
彼女から○○へとしたのはそれが初めてだ。一瞬だけ目を大きく開いた後、○○は満足気に頷く。
そして二人は小指を絡め、約束を交わす。
わざわざ言葉に出す必要はないだろう。やるべき事は、分かっているのだから。
「続きは、半年後にね」
「……ああ。そうだな」
だが眷属にならない内にそこまで時間を掛ける事はできないので、専らの目標は執事として相応しい力を身に付ける事か。
満月を背後に微笑むレミリアの姿を目に焼き付けながら、○○は絡めていた指を離した。
そして彼女が窓際から飛び立つ事を確認すると、静かに瞼を閉じる。
どうやら、明日から忙しくなりそうだ。唇に残る感触を噛み締めながら、○○は眠りに落ちていった。
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7スレ目>>638-639
ある日の文々。新聞
「紅魔館に異常事態
吸血鬼異変、紅霧異変に続く大事件!?」
紅魔館がおかしい
そんな噂が幻想郷中を駆け巡った
事実、紅魔館の周囲から人間の気配が消えた
以前から悪魔の住む危険な場所と認識されてはいたが、人の行き来はあった
それが今はない
人間たちにとってそこは理由は分からないが留まりたくはない場所になっていたのだ
内部の面々にも変化があった
妖精たちが消えた
門番がいない
悪魔の妹と七曜の魔女は失せた
残ったのは完全で瀟洒なメイドと悪魔と客が一人
人気の失せた館の中は寂れていった
どれだけ手間をかけて掃除をしても、人のいない建物は廃れていく
紅魔館は今や、死に体となっていた
紅魔館の崩壊は幻想郷のパワーバランスの崩壊をも意味していた
かつて紅い悪魔の持つ存在感は霧の湖周辺に生息する妖怪たちに多大な重圧をもたらしていた
それがなくなった結果、湖は妖怪の跋扈する危険地帯に変わった
その影響はまわりまわって里にまで及び、妖怪側の自主的な働き掛けがなければ
長らく保たれていた人と妖怪の力関係にまで重大な変化を与えかねない状況だった
ひとまず危険は去ったが、この仕事に貢献した八雲紫、風見幽香両名はそもそもの原因である紅魔館には一切かかわろうとはしなかった
そしてついに博麗の巫女が動きだす
今回の異変は今までのものとは違う
そう判断した巫女は途中で白黒と合流してから館のほうへと向かった
相協力して進む彼女らを阻むものはいない
二人の頭の中は長らく紅魔館に滞在している男のことでいっぱいになっていた
易々と館に忍び込んだところを迎えたのは少しやつれた頬をしたメイドだった
すわ敵襲かと身構えた二人を白けた顔で見つめた彼女はプイと背を向けついてくるよう言った
紅白と白黒は拍子抜けした表情で彼女を追った
背後からではメイドの顔に浮かんだ嘲笑が見えなかったのだ
長い廊下を抜け、一際大きな扉を開けた瞬間、ひどい悪臭が室内から吐き出された
血と肉の匂い
そこで二人が目にしたものは淫らに交わりながら互いの血をすすり合う悪魔と人間の男の姿だった
あまりの衝撃に思わず体を折り曲げて泣き出してしまう魔理沙の横で霊夢はひどく乾いた表情をして立っていた
彼女は部屋に踏み込むと同時に事の顛末をすべて把握してしまったのだ
自分の想い人がすでに遠くに行ってしまったという事実に何の感慨も持てずにいる霊夢は
何とはなしにあのメイドもこんな気分だったのだろうなとあたりをつけた
と、同時に横で感情をあらわにして泣きじゃくる友人にほんの少し、ほんの少しだけ憎しみを覚えた
ここはもう終わっている
あいつが彼を毒牙にかけたその日から
ここで新たな事件が起こる可能性は皆無だ
永久機関という単語が不意に脳裏に浮かび、霊夢は彼女にはひどく似合わない皮肉な笑みを浮かべた
そして、いまだ泣きやまぬ友の肩を抱き去って行った
その後、紅魔館を訪れた者はいない
誰もあえてそのことについて話そうとはしなかったのでいつの間にか忘れられ、気がつくとかつて館のあった場所は平らな土地になってしまった
人間たちの記憶からは永遠に失われてしまったのだ
だが、何かの拍子に古参の妖怪が集まると、誰とはなしにそのことについて密やかに話し合われる
それによれば、彼女と彼はいまでも一緒にいて、誰に邪魔されるということもなく二人きりの時間を謳歌しているのだとさ
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7スレ目>>671
「私はお嬢様のお役に立ててますか? お嬢様のお傍にいる事が出来ますか?
私は・・・・・・私が貴女の記憶に残ることを許してもらえますか」
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初めてのチュウ レミリア攻編(うpろだ422)
「うわっ!」
青年よりも頭2つ分ほども背の低い幼い少女が、彼をベッドに押し倒した。
少女は青年の腹の上に馬乗りになり、妖しい笑みを浮かべながら青年を見下ろしている。
「それじゃあ、いただくわね」
「い、いやレミリア様ちょっと待っ――――」
青年の懇願などどこ吹く風と言わんばかりに、少女――――レミリアは青年の首に幼いながらも可愛らしい顔を近づける。
そのまま、はむっ と咥えるように青年の首筋に唇を当てた。
そして、青年の首の一部を、唇で食んだままチロチロと首筋に舌を這わせる。
僅かな掻痒感に青年は身をよじらせるが、レミリアはその細く陶器のように白い両腕を、青年の肩と頭にかけた。
未だ、僅かな抵抗の色を見せる青年を 逃がすものか、と抑えつけるために。
続いて、レミリアの鋭く尖った八重歯が青年の首筋に軽く立てられる。
「………ッ!」
青年が、身を竦める。
もう幾度となく、この状況を味わってきていたが未だに慣れることはできない。
本能的な恐怖にを感じ、身を僅かに震わせながら固く眼を閉じた。
レミリアの八重歯が徐々徐々に強く押し当てられてくる。
そして――――
「……ぅ…ぁ……!」
青年は情けない声を上げて、その身体がビクッ、と痙攣する。
レミリアの八重歯に皮膚を突き破られたのだ。
そして、その下に流れる熱い命の液体を、彼女に吸われてゆく。
青年は呼吸をすることも忘れ、眼を見開き身体を小刻みに震わせた。
血液を略奪されるとともに、身体を覆う倦怠感が次第に次第に大きくなってゆく。
否、吸い取られているのは血だけでは無いのかもしれない。
まるで、魂までもを吸い取られていると思わせるような脱力感が青年を苛み、意識が緩やかに掠れてくる。
「ふぅ……」
レミリアが青年の首筋から、口を離してゆっくりと息をついた。
青年の首筋には小さく穿たれた2つの穴がある。
彼女の口元からはポタポタと紅い血の滴が滴り落ち、青年の胸元を紅い水玉模様が汚した。
「はぁ……は…ぁ……」
青年は、ようやく終わったのか、と胸をなでおろす。
だが、その予想はあまりにも甘過ぎるものであった。
再びレミリアが青年に覆いかぶさって来たのを目の当たりにし、青年は 僅かに血色の悪くなっている顔を更に青白く染める。
そして、再度 首筋から広がる脱力感と倦怠感。
しかも青年が感じているそれらは先程の比では無かった。
あたかも先程の食事は前菜だとでも言わんばかりに激しく求められ、奪われる。
どうにかなってしまいそうな恐怖から、青年は自身に覆いかぶさっている吸血鬼の肩に手を置き、その幼い肢体を押しのけようとする。
だが、その腕には力がまるで入らずに、彼女の身体を押しのけることはできなかった。
もっとも、彼の体調が万全であったとしても、この紅い吸血鬼を押しのけることなどできはしないのだが。
「邪魔ね」
首から口を離し、そっけなく呟くとレミリアは自分の肩に置かれた――――未だに足掻く疎ましい手首を――――己の腕で掴む。
そして、そのまま青年の両腕をベッドに押し付ける。
両腕を抑えつけられ、青年は少女に抵抗する術を無くした。
レミリアはふと、その幼いながらも愛らしい顔を青年の顔に近づけた。
青年の身体の匂いが呼吸とともに鼻をくすぐり、よりレミリアを興奮させる。
一方、青年は荒い息をつきながら、霞んだ眼でレミリアを見上げることしかできなかった。
その虚ろな眼には「もう、やめてくれ」という怯えと哀願が込められている。
しかし、その瞳に――――青年自身は気付いてはいないが――――どこか喜びと期待が込められていることをレミリアは見逃さない。
ああ、この表情こそが最高の料理を彩る最高のスパイスだ、とレミリアは背筋をゾクゾクと震わせながら笑みを浮かべた。
そして、青年の首元に 三度レミリアは顔を埋める。
青年は僅かに体を痙攣させるものの、もう声を上げることすらもできなかった。
・
・
・
「ふぅ……美味しかったわ」
青年にとっては永遠とも思える長い時間の後、ようやくレミリアが青年の首と手を解放する。
彼の手首には青い痣ができており、首筋には6つの穴が穿たれていた。
「は……ぁ……は…ぁ………」
ひどく満足そうに笑みを浮かべるレミリアとは裏腹に、青年は荒い息をついて酸素を貪ってゆく。
その顔色は青白く、典型的な貧血に陥ってしまっていた。
「さい…ですか」
呼吸を整えて辛うじて返事を返すものの、それが精一杯と言わんばかりに青年は眼を閉じる。
力なく返事を返し、弱々しい姿を露にする青年の姿を目の当たりにして、レミリアの心中に危険な情欲が湧きあがってゆく。
もっと血を吸うと言ったらこの青年はどんな表情を見せてくれるのだろうか、と。
泣き叫んで……けれども力なく許してくれと哀願してくるだろうか?
それとも、力の籠らない腕で自分を押しのけようと無駄な足掻きを見せてくれるだろうか?
目の前の青年を――――もっと――――もっと――――苛めたい。
そんな衝動にレミリアは駆られていた。
(ただ、これ以上吸ったらさすがに危ないわね……)
ならば、とレミリアは妖しい笑みを浮かべて――――
「そうね、じゃあ最後に甘い甘いデザートを」
「――――ッ!?」
レミリアの意図通り、青年の掠れた目にこの上ない恐怖の色が浮かんだ。
彼女が青年の首のあたりに顔を近づけると、青年はビクッと身体を竦ませる。
そして、一切の余裕のない必死な表情を浮かべ、欠伸が出るような速度でレミリアに手を伸ばす。
「もう……やめ……」
青年はレミリアの肩に震える手をかけて、彼女を押し戻そうとする。
「あら、どうしてかしら?」
レミリアは、青年の哀願を嘲笑うかのような表情でその手を払いのけ、抑えつけた。
もちろん、レミリアには青年がの哀願の理由はわかっている。
知っている上で、敢えてからかうように尋ねているのだ。
「お願い…ですから……」
「ダメよ……覚悟なさい」
青年の瞳が絶望に見開かれる。
自由の利かない肢体を精いっぱい捩り、必死にレミリアから逃げようとする。
しかし、レミリアが青年の腹に馬乗りになっており、なおかつ両腕を抑えつけられていては、逃げることなど到底叶わない。
それでもなお、無駄な足掻きを繰り返しレミリアを引き離そうとする。
ゾクゾクゾクゾクッ……!!
レミリアの全身を、彼女が耐えられないほどのゾクゾクした情欲が包む。
ああ、なんて愛らしいんだろう、なんて愛おしいんだろう。
この恐怖にひきつった顔。
力なく紡がれる声。
無駄な足掻きを見せてくれる脆弱な身体。
そして、これほどに虐げてもなお ――――本人は気付いてはいないが――――彼の胸の中に隠されている、私に対する愛情。
それらは全て愛おしいこの男のものだからこそ、ここまで私を狂わせ欲情させる。
やはりこの男は――――私の肉体的な食事としても精神的な食事としても――――最高の御馳走だ……
コップから水が溢れるように、レミリアは自身の欲望を抑えることができなくなってしまう。
それほどに、目の前の青年はレミリアの理性を狂わせてしまっていた。
「いただきます」
レミリアのその言葉が耳に届くとともに、青年は覚悟して目を閉じた。
自分が逃げられないことを確信し、諦めてしまったから。
しかし、いつまでたっても首筋に歯を立てられる感触がない。
かわりに唇に何か柔らかいものが当たる。
青年が目を見開くと、僅か2センチほどの距離にレミリアの瞳があり、目と目が合った。
「!?!?」
この時点になって、青年はようやく自分の唇が、レミリアに奪われていることに気づいた。
しかし、青年の身体は動かない。動かせない。
血は足りないし、腕は抑えつけられているし、体はレミリアにマウントポジションを取られている。
ここから逃げることなど、どう考えても不可能であろう。
そんな身動きの取れない青年の閉じられた唇を、暴虐の限りにレミリアは貪ってゆく。
まず、青年の上唇を軽く咥えて舌で舐めしゃぶり、それに飽きたら下唇も同様に蹂躙する。
閉じられた唇を優しくこじ開けて、レミリアは自らの舌を口腔内に侵入させてゆく。
青年の口の中に苦い鉄の味が広がったと思ったら、青年の舌はいつの間にかレミリアの口の中に引きずり出されていた。
レミリアの口の中で青年の舌はなすがままに蹂躙され、ねぶりまわされる。
そしてその度に、青年の肢体が僅かに痙攣していく。
先程まで青白かった青年の顔は、紅く上気しきっていた。
脳髄が蕩ける様な甘い快楽の蟻地獄に嵌り、抜け出すことができない。
見た目幼い少女に好きなように弄ばれて悦んでいる、という倒錯的な快楽に飲まれてしまっていた。
そうして、たっぷり10分も経った頃――――
「あら?」
青年の舌が全く動かなくなったことに気づいたレミリアが、素っ頓狂な声を上げる。
血液が足りなかったことも原因の一つだとは思うが――――
それ以上に、青年はあまりの快楽と――――やはり本人は気付いてはいないが――――喜びのあまりに、意識を失ってしまっていた。
「ま、いいわ……」
レミリアは、やや残念そうな表情を浮かべため息をつくも、その声に負の感情はこめられていない。
青年の身体を少し浮かして腕を通し、青年の身体にしがみつく。
「……あなたは…私に血を吸われて……私に抱かれるためにいるの」
レミリアの声が甘えたようにゆっくりと紡がれてゆく。
腹が膨れたために眠くなったのだろうか、その紅い瞳は半分ほど瞼で覆われていた
――――抱き枕ですか、俺は……
以前、今と同じように青年を抱いて眠ったときに、青年に苦笑されたことを思い出していた。
「おやすみなさい……最愛の抱き枕…」
レミリアはそう呟き、再びまどろみの中に意識を沈めていった。
『初めてのチュウ レミリア攻編』end
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うpろだ487
何もとりえの無い唯の普通の人間の俺が幻想郷に迷い込んでから2ヶ月が過ぎた。(曖昧だが)
迷い込んだ初日早々に化け物に襲われて死に掛けた俺だがそこに偶然通りかかったメイドさん(のちに名前が十六夜咲夜だと知る)が俺を助けてくれた。
それ以降恩返しになればと紅魔館と呼ばれる館で働かせてもらっている。
だが最近この仕事が辛い。
理由は簡単だ。この館の主である吸血鬼レミリア・スカーレット様を好きになってしまったからだ。
勿論新参者で力の無い唯の人間がお嬢様に釣り合うはずも無く、この気持ちはあきらめるしかないものだと理解している。
しかしお嬢様は俺のことを気に入ってくれたらしく、よく声をかけていただいている。
それが一番辛い。
もう俺は決断した。
今夜、咲夜さんとお嬢様にこのことをお伝えして潔くこの館を去ろう。たとえ無事でなかったとしても。
今晩は昼間にお嬢様に「深夜、私の寝室にくるように」と言付けられているので丁度いい。
そして深夜。
俺はドアの前で深呼吸をし、心を落ち着けてからノックをした。
「こんばんは、○○です。言いつけ通り参りました。」
「ようやく来たか。鍵は開いている、さっさと入れ。」
「失礼致します。」
初めて入るお嬢様の寝室は予想通りの豪華さとほんの少しの寂しさを感じさせた。
「して、お嬢様。今宵は何用で自分を此処へ?」
「お前に聞きたい事がある。」
「自分に、ですか?」
「ああ、そうだ。包み隠さず全て話せ。」
なにかいけないことをしてしまったのであろうか。
お嬢様はいつに無く不機嫌だ。
「お前、私に対して何か言うことは無いか?」
言うことは勿論ある。ならば未練の残らないうちに先ほどの話をしてここを去ろう。
「自分は・・」
言い終わる前にお嬢様が割り込んでくる。
「お前は私に対して特別な感情を抱いているのだろう?」
正直、驚いたが何とか表情に出さずに済んだ。
「正直に答えろ。何故それを隠す?」
「自分は臆病者です。失うのを恐れ、本当に欲しいものに手が出せない。それに貴方は美しく、気高い。
そんな自分では手が届かないような遥か遠くの存在を求められるほど自分は強くありません。
それに、失う怖さも知っているつもりです。もし、貴方に告白し、受け入れてもらえなければ
本当に辛い。その様な思いをするくらいなら伝えないほうが良いに決まって・・」
「ほう、それは私には失うものよりも価値がないと遠まわしに言っているのか?」
「そういうわけでは・・」
「それにお前は臆病者ではない。事実、吸血鬼の館に自ら志願して働く人間などそうは居るまい。」
「それは咲夜様の恩に報いるためです。」
「では咲夜の主、紅魔館の主として、吸血鬼レミリア・スカーレットとして命ずる。私のものになれ。」
「は・・・?」
今なんと言ったか聞き取れなかった。そして返事ができないうちにものすごい力でベットに押し倒された。
「お前があくまで隠し続けるというのなら、私がおまえ自身を奪ってやる。」
「ですが・・・私は唯の人間・・・お嬢様とは到底・・・」
お嬢様は久しく見せなかった笑顔を見せた。
「ならお前を同族にしてやろう。これでお前は臆病者でも唯の人間でもない。私の・・・」
そこで急に顔を赤くして
「私の・・・生涯の伴侶となる。」
そういい終わるのと同時に首筋に甘い痺れが起こり、俺は意識を手放した。
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10スレ目>>490
「あ」
「・・・」
「やぁ咲夜君、こんばんわ」
夜中、巡廻していた妖精メイドからの報告を受けた
「窓から侵入した不審者がいる」と
来て見れば本当に・・・この上なく不審者だ
夜の闇にまぎれる如く、上下を黒の服に身を包んでいる
何より片手に持った私の身の丈ほどの日本刀、斬馬刀とか言うやつか
「・・・不審者、いや変質者」
「おいおい、これほどの美男子を捕まえてそれはないだろう」
「・・・館の外部は美鈴が見張ってたはずだけど?」
「美鈴?・・・ああ、あの中国拳法の妖怪ちゃんか」
「っ!まさか」
「安心しナサイな、死んじゃいないさ」
鬼のような形相で此方を睨むメイド、そして瞬間
「貴様ぁぁぁ!!」
数十のナイフが、俺にめがけて投擲された
「ああ・・・温いな」
「こんばんわ、俺の愛しい吸血鬼」
「っ!?あなた・・・○○?」
紅魔館への名も亡き侵入者
すぐに捕らえられると思われたソレは門番を倒し、メイドを倒し
館の、主の下へ・・・たどり着いた
「久しいわね、何年ぶりかしら」
「ちょうど百年・・・百年前の夜這いの続きをね」
「まさか・・・本当に・・・」
「百年前は殺されかけたからね、やっと君に相応しい男になったつもりだよ」
「相応しい?百年も待たせておいて何を」
「おいおい、せっかくいい雰囲気になったのに恥ずかしさあまり照れ隠しで体半分吹っ飛ばされたコッチの身にもなれよ」
そう、丁度百年前・・・俺はこいつのせいで体の左斜め下半分を失ったのだ、まぁ長くなるのでこの話は割愛
「だいぶ面子も変わったみたいじゃないか・・・フランやパチュリーは?」
「あなたが知ってる面子は私とフランとパチュリーぐらいしかいないわ」
「問題無い、君さえいれば、な?」
「ば、ばかっ!」
レミリアは顔を赤くして背を向けてしまう、百年経とうと変わりない
あの頃から幼いままの
「なぁ、俺の気持ちは変わっていない・・・お前は?」
「百年ぽっちで変わるような気持ちで・・・貴方を寝室に招いたりはしない」
「・・・コンティニューだな、俺は何処からやり直せばいい?ここに入ったときか?口付けを交わしたときか?それとも君のドレスを乱暴に脱がせて幼い身体を(ry」
あの日の事を思い出したのだろうか、普段偉そうになんでも知ってますよーって面のレミリアが、林檎のようになって俯い・・・否、睨んでいる
「まぁまぁ落ち着け、俺としては・・・えい」
俺はレミリアを突き飛ばした
「きゃっ!?」
ぼすっと軽い音を立ててベットに倒れこんだ
俺はそのまま上から覆いかぶさって、少々強引に、唇を重ねた
「んっ、ちゅ、ふぁ、んーぷぁっ」
俺はレミリアの手首をつかんでベットに固定した
「・・・えっ?嘘」
この私が、吸血鬼である私が
妖怪化吸血鬼かもわからないこの男に、力で負けている?
何か術が?いや、単にびくともしないだけ・・・そんな事があるのだろうか
「驚いた?」
そこに種族の優劣など無いかの様に、私を押さえつける
見かけどおりの子供のように、彼に拘束される
「これでもう壊す心配はないよ、だから・・・力強く抱きしめてもいいんだ」
「○○・・・アナタ馬鹿ね、本当に・・・馬鹿だわ」
「耐久性ばっちり、水陸両用、防腐加工!守られてばっかりも癪だしな」
「ふふ、私を守ってくれるのかしら?」
「えー・・・いや・・・あと百年ぐらい時間をいただければなんとか」
彼女は楽しそうに笑う、百年前の焼き増しのように
うっかり握ったままだった手首を離した
結構気合入れて握っていたのであざになっていないか、そう思ったがそこはTHE吸血鬼、なんともないぜ
「あのー・・・レミリア?」
「なあに?」
ベットにはさっきと同じような体制で倒れこんでいるんだが・・・
「そんなにくっ付いてちゃナニも出来ないんだけど・・・」
「いいの!今夜はずっとこうしてて・・・お願い」
「そう言われちゃ・・・しょうがないな、それで・・・その・・・またお預けですか?」
「あ、明日まで我慢してよ!あなたがここにいて、抱きしめられる事を・・・もっと感じさせて」
そこまで言われちゃそうするほかないだろう
俺はレミリアをギュッと抱きしめた、彼女もそれに応えてくれる
百年越しの恋は成就した、お互いに、最良で最高のパートナーとして
その夜紅魔館には甘ったるい空気が流れていたと言う
咲夜と美鈴は妖精メイドがしっかり回収しました
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最終更新:2010年05月23日 01:53